2011年09月30日(金)

《死すべき者》人間~<アキレウスの怒り>『イリアス』ホメロス

テーマ:メルマガ「楽しい読書」

―第66号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記


◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆
2011(平成23)年9月30日号(No.66)-110930-《死すべき者》人間~
 <アキレウスの怒り>『イリアス』ホメロス
http://archive.mag2.com/0000257388/20110930120000000.html


『イリアス』[上下] 松平千秋/訳 岩波文庫 1992.9
―詩形式の行立てを外し、小説のように読みやすくした翻訳によ
 る現代の定番。詳しい解説と豊富な訳注付。

イリアス〈上〉 (岩波文庫)/ホメロス
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『イリアス 完訳』小野塚友吉/訳 風涛社 2004.2
―二段組一巻本。分かりやすい、読みやすい訳。感動の戦記。

完訳 イリアス/ホメロス
¥3,990
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本誌ではほとんどふれませんでした、
『イリアス』のおおよそのあらすじを紹介しましょう。


 ・・・


トロイア王の二男パリス(アレクサンドロス)に奪われた、
アガメムノンの弟スパルタ王メネラオスの妃
ヘレネを奪回する目的で始まった、
トロイア戦争が10年目に入った時、ギリシア軍を悪疫が襲った。


占いによりそれは、ギリシア軍の総大将アガメムノンが、
戦利品として得た女の変換の要求を拒否、
恨んだ父親の神官が神々の力を借りて復讐したことによる
と判明―。


その後、アガメムノンは女を返しますが、その代償として、
アキレウスが武勲によって得た女ブリセイスを奪います。


ギリシア軍一の勇将アキレウスは、
権勢をかさにきた、このアガメムノンの横暴に怒り、
戦線を離脱―。


しかし、アキレウスの悲嘆にくれる姿に同情した母、
海のニンフ(女神)であるテティスは、オリンポスの神ゼウスに頼み、
アキレウスに武功を挙げる機会を作ってもらうべく取り計らってもらいます。


ゼウスの後押しを受けたトロイア軍によって
ギリシア軍は敗退を続け、ついに多くの将たちが命を落とし、
アガメムノンやオデュッセウスらも負傷するはめに陥ります。


アキレウスの戦線復帰を願うギリシア軍の将たちは衆議を諮り、
アガメムノンを説得し、
アキレウスに女を返し、贈り物をすることに決し、使節を送ります―。


それでもアキレウスは頑として聞き入れません。


味方の窮地を見かねた、アキレウスの親友パトロクロスが、
彼の武具を借り受け、彼の身代わりとして立ち上がります。


アキレウスが戦列に復帰したと錯覚したトロイア軍は敗走。


ところが、アキレウスの忠告を忘れ、
深追いしたパトロクロスは敵将ヘクトルに討ち取られ、
アキレウスの武具も奪われます。


パトロクロスの死を知らされたアキレウスは怒りをおさめ、
母テティスが鍛冶の神ヘパイストスに作らせた武具を身につけ、
敵討ちに立ち上がります。


しかし、彼もまた死すべき定めであることを知らされます。


それでも、彼は友情と名誉を賭けて、出撃―。


そして、ついにトロイア方の大将ヘクトルとの一騎打ちの果てに討ち取ります。


凱旋した彼は、パトロクロスを火葬し、葬送競技会を開催。
名立たる将たちがそれぞれに優勝、賞品を手にし、
最後にはアガメムノンにも賞品を贈り、一同の融和を図ります。


いよいよ、大詰め―。


なおもヘクトルの遺体を引きづり回し、
友パトロクロスの死を嘆くアキレウス―。


見かねた神々は、ヘクトルの父トロイア王プリアモスに助言し、
ヘクトルの遺体の返却をアキレウスに掛け合いに行かせることに。


自分も年老いた父と子を持つ身であり、
名誉の武勲を挙げた後には死すべき運命にあることも承知の上で
この戦争に参加した身の上であるアキレウスは、
老父プリアモスの気持ちも理解できると、
願いを聞き入れ、遺体を返します。


さらに葬儀にかかる日にちを問い、その間休戦することも約束します。


ラスト、返ってきたヘクトルの遺体と対面する家族たちの別れ―。


 ・・・


ラストの別れの場面も含め、感動的な場面がいくつもあり、まさに感動巨編です!


戦記ものとしても楽しめ、人間的な感情のせめぎ合いもあり、
古代ギリシア人はじめ、
西洋の人々が2500年以上も大切に読み続け、
代々受け継ぎ、伝え続けて来た理由がわかる気がします。


限りある命を生きる人間ならばこその物語です。


是非、ご一読を!

◆本誌本文で触れた本:
『ギリシア文学を学ぶ人のために』松本仁助・岡道男・中務哲郎/編 世界思想社(1991.4)
―叙事詩から始め、抒情詩、悲劇、喜劇、ヘレニズム・ローマ時代、哲学を含めた散文、小説・伝記・随筆・その他、詩論まで
 ギリシア文学全般を一通り紹介した入門書。


ギリシア文学を学ぶ人のために/著者不明
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2011年09月15日(木)

読書の効用:最初の一冊の選び方(4)文学は連続している

テーマ:メルマガ「楽しい読書」

早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書)/清水 義範

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私の読書論-24-初心者のための読書の仕方を考える(7)

最初の一冊の選び方(4)文学は古代から現代まで連続している
―第65号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記


★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2011(平成23)年9月15日号(No.65)-110915-
私の読書論-24-初心者のための読書の仕方を考える(7)
最初の一冊の選び方(4)文学は古代から現代まで連続している
http://archive.mag2.com/0000257388/20110915120000000.html


今月は、文学は古代から現代まで連綿と続いているものだ、というお話でした。


本誌本文で紹介しました、

清水義範『早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術』ちくま新書712(2008.3.10)で、
本を読むこと、読書の効用について書いています。


一つは、【論理的思考力を養う】


『ファーブル昆虫記』の「不思議なスカラべ」という章に関してこう述べています。


《... という話の進め方の論理性ね。頭のいい人間はそういうふうに考えるのか、というくらいの論理的思考力。本を読んで納得していくということは、論理的思考力があるということですから、そういう論理的思考力だって読書すれば身につくの ですよ。... 思考の魅力みたいなことに気がつくでしょう。それが読書の面白さですね。》
「講義II 読書で学べること」p.83-4


次に、小説の効用ですが、一つは【人間を知ることができる】

人間の心の動きについて知ることができる。


《... 小説を読んでいる人は、人間について多くを学ぶことになり、そういう豊かさが増すんだということを言ってきました。言い換えれば、人の心の動きがわかるようになるってことですね。持ってるとすごくチャーミングな能力ですよ。》同p.91


もう一つは、【社会を知ることができる】


《社会っていうのは、人間が造っている世の中の構造だと考えればいいでしょう。その世の中が、どんなふうに人間を縛りつけているかってことに気がつくのも、社会がわかるっていうことです。人間はどういうふうに自由であって、どういうふうに自由ではないかわかるのも、社会が見えるということです。》同p.92


ゾラの小説『居酒屋』を例に挙げて説明しています。


《... 小説を読むということは、人間には心があるのだということに気がつくことで、人間を理解することにつながるんですね。[...] 小説というものは、自然のうちに書かれた時代だとか、社会というものが色濃く反映されているものです。その時代の一番の文学のテーマは何かというのは、その時代はどういう時代だったかということに関係しているのですから、そこまでわかってくるん です。》同p.101-2



そこで、氏は、古典でなくても現代ものでもいいんですよ、とも書いています。
たとえば、『世界の中心で、愛をさけぶ』でも『電車男』のようなものでも、

《今、話題のものを読んで行けばいいんです》(同p.104)。
《知らないうちにガンガンいろいろなことを教えてくれるはずだ》(同p.104)と。


その時代を表すものが描かれていて、それを読みとれるはずだから、ということでしょう。


この部分は、古典を薦めたい私はカットしたい気持ちですがね。


とにかく、「本を読めば、読んだなりに何かしらプラスになるのだ」、というのが世間一般の「本読み(読書家)」たちの「結論」です。


私も同感!


―というところで今回はおしまい。


完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 上/ジャン=アンリ・ファーブル
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居酒屋 (新潮文庫 (ソ-1-3))/ゾラ

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『世界の中心で、愛をさけぶ』について―

この作品は本で読むより、映画やドラマの方が面白いのかもしれません。
本は読みましたが、基本的にはよくあるお話で、現代版リメイクといったところ。

私より上の世代には『愛と死をみつめて』(大島みち子・河野実/著 1963)という名作がありました。

リメイクとしては良くできているとは思いますが、タイトルも"パクリ"だし、
どうしてもマイナス評価にならざるを得ないところがあります。


純愛ものとして読むなら、伊藤左千夫『野菊の墓』の方をおススメします。

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愛と死をみつめて ポケット版 (だいわ文庫)/大島みち子
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