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2009年11月23日 14時35分34秒 posted by le-trou

その日はじめてのコーヒー

テーマ:片岡義男百科事典/飲食物
 しばらくして、彼は体を起こした。バッグをひきよせ、サービス・エリアでミネラル・ウオーターを入れてきたシグのボトルシエラ・カップで、黒くエナメルを塗った取手のついたアルミ・カップ、エスビットのポケット・クッカー、そして固形燃料ウインド・プルーフのマッチを、彼は取り出した。
 ポケット・クッカーを半開きにし、固形燃料の箱から角砂糖のような燃料をいくつか、砂の上に出した。そのひとつに、マッチで、火をつけた。燃えているのかいないのかわからないような淡い炎をあげて、固形燃料は燃えはじめた。ポケット・クッカーのなかにそれを置き、さらにその上に、固形燃料をいくつか、要領よく重ねた。
 半開きのクッカーの上にシエラ・カップをのせ、ボトルの栓をとり、水をカップに静かに注いだ。
 ジャンパーのポケットから、彼は、朝子にかえしてもらったバンダナをとり出した。砂の上に置き、立ち上がってオートバイまでひきかえした。工具ボックスから七インチのヴァイス・グリップをとり出し、もとの場所へもどった。
 コーヒー豆をくるみこんであるバンダナを注意深く持ち、スロープをさらにすこし下へ降りた。手ごろなサイズの岩をみつけてそのかたわらに両ひざをついた。コーヒー豆が外へこぼれないようにつつみなおしてしぼりこむようにバンダナを持ち、岩の上にあてがうように置き、ヴァイス・グリップの頭で叩いた。
 しばらく叩いてからバンダナのなかの豆に外から指を触れてみると、豆は充分にこまかく砕けていた。
 ポケット・クッカーのところへもどり、固形燃料をいくつか加え、しばらく待った。やがて、シエラ・カップのなかで、湯が沸いた。
 もうひとつのカップの上に、広げたバンダナをフィルターのように置き、砕いたコーヒー豆が中央へ来るようにした。シエラ・カップを持ち、コーヒーの粉の上に熱湯をおだやかに注いだ。
 ドリップによる熱いコーヒーが一杯、アルミニウムのカップのなかに出来あがった。黒い取手を持ち、彼は今日はじめてのコーヒーを、楽しんだ。



「その日はじめてのコーヒー」より
(『月刊 小説王』1984年12月号/角川書店)
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2009年11月22日 19時36分33秒 posted by le-trou

朝食

テーマ:片岡義男百科事典/飲食物
 朝食は、きわめて個人的な出来事なのだ。朝食を中心とした朝の時間そのものが、たいへんに個人的なのだ。だから、朝食を楽しもうと思うなら、その時間全体を、これ以上ではあり得ないほどに個人的な、気に入った時間にすればそれでいい。メニューは、ほぼ自動的に生まれてくるだろう。


「冬の貿易風」より
『頬よせてホノルル』片岡義男著/新潮文庫)
2009年11月22日 19時35分34秒 posted by le-trou

『映画館』

テーマ:片岡義男百科事典/書評した本

高瀬 進 著
『 映画館〈1〉』


高瀬 進 著
『映画館〈2〉特集 東北映画館紀行』



高瀬 進 著
『映画館〈3〉特集・性紀末の映画館風景』

「Hoseki Book Center : 2nd Floor 当店推薦本|町といえばそこには当然のように映画館が独立して存在していた時代が確実にあったのだ」より
(『週刊宝石』光文社/2000年2月24日号 No. 883)
2009年04月04日 07時24分25秒 posted by le-trou

"WEB OF MURDER"

テーマ:片岡義男百科事典/書評した本

(ジャケット画像はweb of murder on Flickr - Photo Sharing!より)


by Harry Whittington
"WEB OF MURDER"


「私の好きなベスト 5───アメリカン・サスペンス───鋭意翻訳中」より
(『ミステリマガジン』早川書房/1967年6月号 No. 134)
2009年03月31日 23時53分01秒 posted by le-trou

ヴァーガス・ガール

テーマ:片岡義男百科事典/アート
 じつはぼくは、幼少のころから、身近な、あるいは遠くの、さまざまな美人から、主として形而上の影響を強く受けてきた。ヴァーガス・ガールは架空の存在だが、アメリカ軍がらみのポスターやカレンダーあるいは映画雑誌の表紙や広告アートなど、身近なもののなかにヴァーガス・ガールはたくさんいた。アルベルト・ヴァーガスの、なん種類かある独特なサインとともに、彼女たちが一様に持っている不思議なセクシーさは、おそらく意識の深いところでぼくに影響をあたえているはずだ。


「ヴァーガス・ガールという架空の美しい女性たち」より
『ブックストアで待ちあわせ』新潮社/1983年)


Vargas―アルベルト・ヴァーガス作品集
Alberto Vargas: Works from the Max Vargas Collection
2009年03月16日 07時55分12秒 posted by le-trou

"So Young, So Wicked"

テーマ:片岡義男百科事典/書評した本

(ジャケット画像はBill Crider's Pop Culture Magazineより)


by Jonathan Craig
"So Young, So Wicked"


「私の好きなベスト 5───アメリカン・サスペンス───鋭意翻訳中」より
(『ミステリマガジン』早川書房/1967年6月号 No. 134)
2008年12月31日 15時24分30秒 posted by le-trou

"A Bullet for Cinderella"

テーマ:片岡義男百科事典/書評した本

(ジャケット画像はFantasticFictionより)


by John D. MacDonald
"A Bullet for Cinderella"


「私の好きなベスト 5───アメリカン・サスペンス───鋭意翻訳中」より
(『ミステリマガジン』早川書房/1967年6月号 No. 134)
2008年12月31日 14時31分44秒 posted by le-trou

南半球への旅

テーマ:片岡義男百科事典/個人年表
 一九六〇年代の終わりから一九七〇年代のはじめにかけて、僕は南半球をよく旅行した。『エンドレス・サマー』という波乗りの映画の影響を受けた僕は、なんの用事も責任もなしに、南半球のいろんな場所をひとりでうろうろしていた。
 フィージーへたどり着いて、最初の何日かは普通のホテルに泊まった。当時よく聴いていたフィージー音楽のLPが録音された場所だ。ほかの国の別なホテルと記憶のなかで混同していなければ、そのホテルの名はモカンボ・ホテルといった。観光客用の、小ぢんまりしたいいホテルだった。


「一杯の紅茶の、ずっとむこう」より
(『花のある静かな日』角川文庫/1989年)
2008年12月02日 06時55分24秒 posted by le-trou

『俗界富士』

テーマ:片岡義男百科事典/書評した本

藤原新也 著
『俗界富士』


「Hoseki Book Center : 2nd Floor 当店推薦本|現在の日本の光景を手前に置いたときに富士山が奇妙に目立つのはなぜなのか?」より
(『週刊宝石』光文社/2000年4月20日号 No. 891)
2008年11月20日 20時11分31秒 posted by le-trou

『日本映画ポスター集 東映時代劇篇』

テーマ:片岡義男百科事典/書評した本

佐藤 隆 編
『日本映画ポスター集 東映時代劇篇』


「Hoseki Book Center : 2nd Floor 当店推薦本|映画作品のすぐ隣に存在する魅力的なポスターをためつすがめつ眺めるのも立派な鑑賞行為のひとつ」より
(『週刊宝石』光文社/2000年7月13日号 No. 901)
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