地図にしやすい国
テーマ:旅サツマイモ?
小さな紙切れにエドさんがペンを走らせて書き上げたのは、ごくシンプルな台湾の地図だった。
彼はKeelung、 Kenting・・・さらに地名を書き込んでいく。
その傍からNさんが基隆、墾了と漢字を付け足し、まずは、と台湾の地理に関する説明が始まった。
正確な発音の北京語の単語を織り交ぜながら、エドさんの話は進んでいく。
僕は馴染みのないそれらの単語や短い言い回しをいくつかメモにとった。
挨拶やお礼、ノーと伝える言い方を知っているだけでも現地でのコミュニケーションは随分と円滑になるものだ。
台北のナイトマーケットはどこが楽しいか、そこの屋台での注文の仕方はこうだ・・・
小さな地図が走り書きや何やらで黒くなってきた頃、話は自然と台湾からフィリピンのことへ移行していた。
Nさんやエドさんはこのマラパスクアでどうやら退屈しているらしい。
「去年の休みにはボラカイへ行ったんです、それが楽しくて楽しくて・・・」
まるで気心の知れた幼なじみの同級生、といった感じの2人は滞在先で日中は別行動とのことだ。
たとえ1人でもボラカイは違和感を感じさせず、夜な夜な合流してはビーチのバーをハシゴしたんだ、エキサイティングでなお且つリラックスできるし・・・“セカンドボラカイ”という呼び名に触発されてこの島へやって来たはいいけど・・・
僕は彼らの心中を察し、同情の言葉を述べた。
刺激を求めてやって来た人にとってマラパスクアは確かに素朴すぎる。
これじゃあ、ボラカイへ行っとくべきだったよなぁ、と苦笑しあう2人。
物事の捉え方はまさに人それぞれだ。
休みを返せ!、と言わんばかりの彼らの落胆を理解しながら、一方でこの島を充分満喫している自分の事を思った。
僕は、かつてまだまだ素朴だった頃のボラカイの姿に思いを馳せ、この島の洗練され無さ具合を楽しんでいるところがある。
そして心の片隅では、今後島が開発されていくかもしれないという事に少なからず抵抗を感じていた。
「ありがとうございました!台湾に入ったら電話しますね。」
程よく酔いもまわった所で、僕達はNさんとエドさんにお礼を言って席を立った。
彼らはもうすでに、この後バーホッピングでもしようか、と話し合っている。
荷物を携えビーチの方へ歩き出そうとした時、僕の視線がとまった。
その視線の先は3メートルほど先のテーブルだ。







