結婚したら人生はバラ色?…そうは問屋がおろしません。人生、晴れる日もあれば曇りの日もあり、時には大雨や嵐の日だってあるでしょう。大なり小なり、夫婦間に亀裂が生じ、いっそのこと離婚してしまおうか…と悩む日が来るかも知れません。


 そんなとき、誰に相談するのが良いのでしょう。友人? それとも親兄弟? 私は、少なくとも親兄弟に相談するのは避けた方が賢明だと思っています。それは何故か? それは親兄弟があなたの一番の味方であり、応援団だからです。


 味方であり応援してくれる立場にあるからこそ相談したい…というのが人情では? いえいえ、そこに大きな「落とし穴」があります。本当に離婚を決意し、その目標に向かって走り出す際には、親兄弟に相談したりアドバイスをもらったりすることも良いことだと思います。


 しかし、どうしようか…と悩んでいる段階、つまり、どちらに転ぶかわからない時点で、親兄弟に相談したりすると、とんでもないことが起こります。もちろん、あなたが悩む状況にあるわけですから、配偶者との間に多少ながら問題が生じているのでしょう。夫婦喧嘩が絶えなかったり、夫婦の生活がすれ違いだったり、浮気の疑惑が起きたり…。


 あなたに愛情を注いできた親御さんはもちろんのこと、兄弟姉妹にとっても、大切なのはあなたのことですから、この場合、配偶者はただ「糾弾すべき対象」になり下がってしまいます。例えば、あなたにとっては、ちょっと話を聞いてもらって、どこかモヤモヤしていたのが晴れて、まあ思い直してもう一度やり直そうか…と考えたとしても、どっこい応援団の方が許しません。


 あなた自身よりもエキサイトした親兄弟が「相手を許せない!」と怒り出し、別居を勧め、離婚を奨励し、最後は離婚調停を担当する弁護士まで用意してしまいます。本人の思惑とは関係なく、離婚話はどんどん進みます。ちょっと話を聞いてもらいたかっただけなのに、気が付いたら離婚していた…という話も決して少なくありません。


 先日、私の事務所に離婚相談に来られた女性がいました。お話を伺っていると、必ずしも破綻に直面しているわけではなく、十分に修復可能な夫婦であるように感じられました。そこで、私から「離婚だけが道じゃないですよ」と切り出すと、嬉しそうに「もう少し頑張ってみます」と言って帰られました。ちなみに、この女性は「親兄弟に相談したら引っ込みがつかなくなる」と考え、まっさきに弁護士である私のところに相談に来たそうです。慧眼ですねぇ。


 ただし、人生いろいろ、弁護士も色々です。私のように離婚問題を数多く取り扱ってきた弁護士もあれば、この分野はまったく苦手…という弁護士もいます。その意味では、相談する弁護士を適切に選ばないと、いつの間にか、自分の思いとは違う方向に話が進まないとも限りません。ご用心!


兵庫県弁護士会/神戸市中央区/藤本尚道法律事務所
職人かたぎの法律のプロ、弁護士藤本尚道です!
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