5年ぶりに中国での大規模反日デモ、ということだ。
5年前というと、ちょうど俺が現地にいたころで、目の前で見ていたアレだ。
今更反日デモが起きたっても驚くようなものでもないし、起こるべくして起こったような気もするが。
中国への批判はあちこちで勝手にやってくれてるだろうから、そちらに任せるとして。
やっぱり違和感を感じてしまうのは、マスコミの報道姿勢。
5年前にも感じたが、どうにもこのデモによるマイナス面(中国の負の姿)を強調しているように見えることが多々ある。
今回は、直接のきっかけは東京での反中デモへの対抗ということになっているのだが、その事実はちょこっとだけ触れられているような扱い。
きっかけにすぎないから、という意見はもっともではあるが、言ってしまえば双方ともにデモをした、それだけだ。
それはそれとして。
杭州で反日デモの渦中にあったころ、日本にいる友人たちが心配してくれるほどには、実は危険でもなければ切迫した空気でもなかった。
街中が敵・・・ということにはならなかったからだ。
アパートの向かいの部屋のおばちゃんとか、行きつけの飯屋とか、床屋のおばちゃんとか。
基本的には、相変わらずフレンドリーで、心配してくれて、同情してくれていた。
若い連中がなんかしらないけど勝手に騒いでいるだけだから、と。
その「若い連中」の中でも、俺の友達の学生たちは、やはり一様にデモには厳しい目を向けていた。
つまりは、大騒ぎしているのはあくまでも少数派の一握り、という見方もできるわけで。
ところが日本のニュースを見ている限り、とてもそんな雰囲気ではない。
中国全土が日本の敵に回ったかのような騒ぎである。
そんなのを見せられた日本人が、中国人に友好感情を持つはずもない。
うがちすぎかもしれないが、どうもそこら辺の報道姿勢に、何らかの意図を感じてしまうのだが。
デモをデモとしてニュースで伝えるのはいいとして、もう少しこう、デモとは関わりのない一般市民の声を拾ってくれないものだろうか。
たぶん、中国という国への受け止め方が随分変わるんじゃないか、と思っている。