・日中共同歴史研究が今週から開始 ~日本は何を目標とすべきか~ | アジアの真実

・日中共同歴史研究が今週から開始 ~日本は何を目標とすべきか~

「歴史共同研究」「日中の相互理解は深まるか」:読売社説

 国家や民族が違えば、それぞれの歴史に対する認識もおのずと異なってくる。その前提に立って、どこまで相互理解を深めることができるか。

 日本と中国の歴史研究者でつくる日中歴史共同研究委員会が今週、北京で初会合を開く。共同研究は10月の安倍首相訪中時に合意したものだ。2008年をめどに研究成果をまとめる。

 歴史認識を共有する作業は決して容易ではない。05年に作成された日韓歴史共同研究の報告書も、双方の主張を併記するだけに終わった。

 韓国側の研究者に民族主義的イデオロギーが色濃く、日本側委員からは「分析者としての立場を離れて政治的主張を強く展開していることに驚き、失望した」との声が漏れたほどだ。

 中国の場合は体制の違いも加わる。

 委員の一人の山内昌之東大教授は「中国では歴史の最終解釈者は中国共産党」と指摘している。その上で、「中国側の歴史家に言説の自由が許されていない以上、新たな摩擦を増やす温床を日中関係にもちこむ危険性をはぐくむかもしれない」と警鐘を鳴らしている。

 そうした困難に加え、日中戦争の歴史解釈を巡っては様々な論争がある。

 1937年の「南京事件」の犠牲者数も、中国政府は「30万人以上」が公式見解だ。推定20~25万人とされる当時の南京の総人口を上回る犠牲者がいたとは考えにくいとの批判は、日本国内だけでなく欧米の研究者にも根強い。

 「過去の過ちをもみ消そうとしている」といった感情論を招かずに、実証的な議論を進められるか。米国など第三者の研究者を参加させることも一案だろう。

 ただ、中国側にも変化の兆しがうかがえる。昨年秋以降、日中戦争における国民党軍の役割を再評価する動きが強まっている。従来の中国共産党史観と比べれば、日本側研究者の歴史認識とのギャップは狭まる可能性がある。

 共同研究の対象も、中国が日本側の求めに応じ、戦後の日中関係史を加えることになった。日本の経済協力が中国の発展に寄与したことも対象となろう。

 安倍首相の訪中を機に、政治対話が加速するなど日中関係は好転している。訪中時の合意文書は、靖国問題への言及はなく、代わって「戦後60年余、一貫して平和国家として歩んできた」日本を中国が「積極的に評価した」と明記した。

 日中の歴史認識のギャップは狭まるのか。歴史認識を外交カードに利用する対日姿勢はこのまま影を潜めるのか。

 過大な期待は戒めねばならないが、中国側の変化を注視したい。


 いよいよ日中歴史共同研究が今週から始まります。これについては過去の記事 にも書きましたが、方向性や考え方を変えなければ、何の成果もでないことは目に見えています。私は過去の記事で、第三国を入れるべきであると主張しました。上記の読売の社説では、それを仮に米国と挙げていますが、米国は日本陣営である為、中国が賛同する可能性は少ないでしょう。過去記事では、この”第三国”について、完全なる中立性を持った国などほとんど存在しない。そもそも共通の歴史認識など不可能であり不要であるとのコメントも多く頂きました。確かにそうかも知れません。

 以前から言われている通り、”歴史認識”とはその国々で違って当たり前のものであり、同じ国であってもそのときに所属するイデオロギーや政治思想等によってすら”歴史認識”は変わってくるでしょう。今の日本において、自虐史観が問い直され始めているのも同じことだと言えるでしょう。

 しかし”認識”は違っても、事実は一つのはずです。動かしがたい”事実”をお互いで確認するだけでかなりの成果にはなります。と言っても”認識”と”事実は”複雑に絡みあう為、これこそが”事実”であると主張しても、根底にある”認識”が邪魔をし、お互い共通の”事実”を確認することさえ困難であるというのが日中、及び日韓の歴史研究の実情です。

 では何もできないのかと言えばそうではないはずです。中国が政治宣伝に使っている”歴史事実”の中で、客観的な資料から明らかに間違っている”事実”について指摘すること。例えば南京事件で言えば、南京事件の有無についての結論は出なかったとしても、当時の人口は”20万人”、日本軍の南京入城後の人口が25万人という事実から、30万人虐殺という数字は明らかにおかしいことや、証拠写真とされているものが上海のものであったり重慶のものであったり、馬賊を中国人自ら処刑したものであったりと、明らかに結果が出ているものだけでも、二度と使用できないように結論をつけていくことはできるのではないでしょうか。もし例えそれすらも中国側が認めなかったとしても、共同研究の結果というものは公式文書として残るはずです。この問題は疑問点としてこのような議論があると記されるだけでも成果といえます。日本は今までそれすらもしてきませんでした。

 中国側は、ことあるごとに米国や欧州において、南京事件や日本軍による蛮行というテーマの展示会やロビー活動を行っています。今現在もイタリアにおいて「忘れえぬ第二次大戦の災禍―南京大虐殺史実展」という展示会が行われています。これらの活動に対して、日中間において”疑問点があり、議論がなされている”ことが正式に文書において記されていることとないことでは大きな違いになります。

 今回の日中共同歴史研究、せっかくお金と時間をかけてやるのですから、「体裁上やった。しかし成果はなかった」ではなく、最低ラインそこまではやって頂きたいと思います。

 

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参考書籍:

これだけは知っておきたい日本・中国・韓国の歴史と問題点80
竹内 睦泰
4893086170

中国が葬った歴史の新・真実―捏造された「日中近代史」の光と闇
黄 文雄
4413034422

韓国・中国「歴史教科書」を徹底批判する―歪曲された対日関係史
勝岡 寛次
4094023763