中国では、4月5~7日は清明節という連休だった。
旅行に行き、バスで16時間かけて、朝8時頃に南通に帰ってきた。
「修行」みたいな旅だった~。疲れた。

家で休んでいようかと思ったが、時間があるので映画を見に行った。
見たいと思っていた『整容日記』だ。
90分ほどと短く、軽く笑えたので、疲れもだいぶ取れた。


この映画のテーマは、「整容」=「美容整形」である。
「整形」して美しくなることは、幸せをもたらしてくれるのか?


中国では、今、美容整形がブームである。
美人スターと同じ顔にしてくれという人が多く、元々の身分証やパスポートと顔が違ってしまって、トラブルが激増中だという記事を読んだことがある。手術したことを証明するために、わざわざ手術後の血だらけの腫れた顔の写真を持って、飛行場などで見せているという話しが載っていた。

韓国まで行って、手術を受ける人も増加中だという。
整形の本場=韓国という認識。笑。
実際、日本人も韓国旅行ついでに整形してくる人が増えているという。アメブロの人気ブログも、韓国に住んでいる人が韓国の化粧品や整形病院を紹介しているものが、多数上位にランクインしている。自分の顔写真を「前」→「後」でアップしている人もいて驚く。


この映画もそんな世情を反映しているのか、整形に関わるいろんな感情や反応を網羅している。コメディとして、おもしろおかしく描いていてる。


あらすじ・・・
郭晶(白百何)は大学の卒業を前にして、恋人だと思っていた男性に振られてしまう。
「お前の顔は交通事故の後みたいだ、そんなのを恋人にするか」のようなひどいいわれ方をして、「じゃあ、私は何だったの」と聞くと、「セフレだろ」と言われてしまう。

一重まぶたでダサいメガネ、鼻は大きく、アゴは四角い。見ていて、それほどの不美人でもないんじゃないのと思うが、そのせいで就職も面接以前に落とされまくる。

郭晶は、意を決して整形外科の病院を訪れる。
すると、受付の女性3人がまったく同じ顔。笑。次のブースの女性たちも、また双子のように同じ顔。笑。
説明を聞いても、最初はとまどって迷いに迷うが、結局、貯金の3000元(約5万円)で手術ができると聞いて、まず二重まぶたにする。


二重にして目がぱっちりしただけで、相当印象が変わり、就職試験も面接まで行くことができた。
もともと有名大学の奨学金をもらうような優秀な学生だったので、面接をパスし、韓国資本の不動産会社に就職する。

出社初日には、ここは韓国の会社だから、きれいであることがひとつの基準です、同じ服を2日続けて着てきてはいけない、できたら午前と午後に着替えるのがいい、などギャグみたいな訓示をされる。笑。そして、社長の近くの席は美人で、遠くなるほど不美人という席順になっていた。笑。(←韓国人に聞いてみたい。笑。)郭晶は、もちろん1番遠い席だ。

郭晶は、自分を面接してくれた男性・エドモンド(郑中基)が気になっている。彼は、美人社員と仲良くしている。郭晶はもっと美しくなってエドモンドの気をひきたいと思い、次々と手術を受けてしまう。鼻を高くして、アゴをけずって顔を小さくした。


そして、偶然から、エドモンドに音楽会に誘われ、2人は急接近する、
しかし、エドモンドが二年前に真剣に付き合った彼女は整形していて、それが許せなくて別れたという話しを聞かされ、郭晶は落ち込む。

事件は、エドモンドとモンゴルに出張に行った時に起きた。
いよいよ今夜は・・・と期待した郭晶だが、風呂場で転んでしまう。すると、手術したアゴがずれて、見れない姿になってしまう。とりあえず、顔を隠して逃げ帰ってしまう。
そして、顔を直すついでに、豊胸手術も受けてしまう。笑。

その後、郭晶はエドモンドとベッドインして、彼を手に入れたと喜ぶ。
しかし、美容整形病院のホームページに、手術例として、郭晶の写真がアップされてしまった。
整形がバレた郭晶は、会社も辞めて田舎に帰る。田舎では、両親も整形した娘にびっくりして、心配されるやら怒られるやらの騒動だ。もちろん、エドモンドとも別れてしまう。

しばらくして、エドモンドは郭晶のことを思い出す。広告のアイデアをスラスラ出してくれた優秀さや、モンゴルに出張に行った時2人でラクダに乗ったことなど。
なにげなくスマホで位置確認をすると、2人は近くにいることが分かり、エドモンドは郭晶に連絡を入れた。

歩いて会えるほどの近い距離。逃げようとする郭晶だが、エドモンドは郭晶を捕まえて、2人はめでたく結ばれる。しかし、2人に子供が生まれたら、どんな言い訳をしたらいい?・・・・というオチ。笑。


想像するに、この映画の中には「整形あるある」がいっぱいなのだと思う。

まず、郭晶は最初の一歩を踏み出すのにすごくとまどったのに、ひとつ成功したら、後は堰を切ったように、次々と手術してしまうかんじ。
60才なのに、美容整形のおかげで30才くらいにしか見えない女性も登場する。

また、病院で受付がみんな同じ顔してたような現象。
今すでに韓国芸能界で起こってる。笑。
意外に、女性よりも、男性アイドルがみんな同じ顔に見えるよね。それに、あるガールズグループのメンバーの鼻、鼻だけがなぜかみんな同じ形。あれ、同じ病院で、同じ先生が手術するかららしい。

などなど。

また負の部分もあること。
あらすじでは触れなかったが、郭晶の親友も就職が決まらなくて手術するが、彼女はうまくいかなくて、アレルギーが起きて半年も入院してしまう。

郭晶もモンゴルでアゴがずれるが、韓国人の医者に手術してもらったので、あわてて電話をする。病院では通訳がいたが、電話では言葉が通じず大変なこと。

などなど、聞いたことのある、あるある感が満載。


整形については、以前、『モンスター』(百田尚樹著)という小説を読んだことがある。(映画化もされている。)
中に描かれている整形についての記述は、すごく取材されていて、勉強になった。ただ、内容はちょっと重い。不美人に生まれついた女性が、どれほど辛い思いをするのかがテーマだから。ラストは、ホラーみたいだった。

それに比べたら、この映画はコメディなので、それほどの深刻さはない。

・・・と思って、私なんかはゲラゲラ笑いながらみていたのだが、主人は「イタイ映画だったね」と。

制作側はコメディとして作ったわけだから、笑って見ていいと思う。
けれど、よく考えてみたら、そんな簡単な問題でもない。

この映画には、美容整形のブームを嘲笑するという風刺的な意味があったのかもしれない。
確かに、軽く手術してしまう人もいるだろう。簡単な手術もあるし。
けれど、手術するまでに真剣に悩む人もいて、その気持ちは決して軽いものでもないだろうし、それを笑ってもいいのか。そのあたりが、軽く流されている。

自分や周囲の人の状況で、笑える人と笑えない人に別れる映画なのかもしれない。
哲学的な含みももたせられるテーマを、わざと簡単に扱ってるね。

だからなのか、評価は5.4点。

主人公の白百何は、すごく好きないい役者だけれど、最近ちょっとこんな映画への出演が多い。
演技も達者だし、コメディもできるけど、そろそろもっといい映画に出て欲しいなあ。