02愛読書『はてしない物語』をもう一度読み直し、今までの知識と経験を加味し咀嚼する。 P17 岩波書店、ミヒャエル・エンデ作『はてしない物語』の17ページです。 「バスチアンは、ふと、自分の目がさっきからずっとあの本に吸い寄せられているのに気がついた。・・・・表紙があかがね色の絹で、動かすとほのかに光った。・・・・二匹の蛇が描かれているのに気がついた。一匹は明るく、一匹は暗く描かれ、それぞれ相手の尾を咬んで、楕円につながっていた。」 初めて読んだとき、ここで思わず表紙を見返したのをおぼえている。 本の中に本が出てくる。 いきなりの不思議砲だ。 筋全体を知っている今ではわかる。 物語の主人公、バスチアンが読む本の主人公はアトレーユ。 アトレーユの過去から未来の横の時間軸の物語を読むバスチアンの過去から未来の横の時間軸の物語を読む私本人。 『はてしない物語』には常にこの縦の軸がついてまわっている。 さらに今回はその上を意識してみる。 この物語を読みながら何かを書こうとしている私の過去から未来の時間軸を常にTENが見ていると仮定しながら進むつもりです。 「この本を持たずに立ち去ることはどうしてもできないのが、バスチアンにはわかっていた。・・・・本をオーバーの下にかくし、両腕で底をしっかり押さえた。・・・・ガラスのドアを開け、外に出た。」 実はこの本は二冊目なんです。 小さいながらも繁盛していた喫茶店『らふぁ』を経営していましたが立ち退きにあい、次は町はずれの静かな場所でのんびりしたいと2軒目をオープンしました。 もう興味が神秘世界に向いていたので営業に力が入りません。 借金しない程度のやりくりでしたが、そんななかでも常連さんの一人に可愛い女性客がいました。 私が書いた例の日記を読ませてほしいなどと嬉しいことも言ってくれました。 住所や名前や連絡先も知りませんが勝手に『春風さん』と呼んで毎日が待ち遠しく感じていたんです。 日記には当然、『はてしない物語』を題材にしていたので、読んでみますか?と言って本を貸しました。 こちらは返してもらえるものと思っていたのですが、むこうはプレゼントだと感じたのかも・・。 ある日、彼氏と2人で来店し、「結婚して大阪に行く」と報告しに来たんです。 唖然として何も言えませんでした。 春風さんも本も返ってきません。 でも・・内心・・物語の内容と同じようなことが起こったんだとにんまりしたんです。 TENは私に苦い思い出を思い起こさせ、世界のトップにトランプというユニークなキャラクターを登場させ、どんなことを書かせようとしているのか! 先はさっぱり予定がありません。