JR西日本が昨年12月から今年1月にかけ、運転士に異常が起きた際の緊急列車停止(EB)装置が機能しない列車2編成を運行させていたことが分かった。車両点検に伴い、いったん装置を取り外しながら、その後、再設置を怠るなどしていた。EB装置はJR福知山線脱線事故(05年4月)をきっかけに導入が義務化されたが、今回の2編成のうち1編成は事故のあった路線を走っていた。JR西は事態を重視し、点検内容を見直すなどの対策に乗り出した。【鳴海崇】

 EB装置は、急病や居眠りなど運転士に不都合があった場合に列車を止めるシステム。運転士が列車の操作を1分間行わない場合に警報ブザーが鳴り、5秒間操作がなければ非常ブレーキが作動する。福知山線事故を契機に国土交通省が省令を改正し、06年7月から設置を義務付けた。JR西は、現在、約85%の整備を終えている。

 今回不備が発覚したのは、装置を整備済みの2車両。うち1車両は昨年12月18日~今年1月4日、京田辺(片町線)-宝塚(福知山線)間で、普通電車の先頭車両として運行。車両点検で一時的にEB装置を取り外したが再設置をしていなかったという。非常時にボタン一つで列車を停止し、付近の列車に停止信号を出す「TE装置」と速度検出装置も併せて外されていた。検査日誌などの書類には装置を外した記載がなく、作業内容が十分に引き継がれていなかったのが原因とみられる。

 また、もう一つの車両は昨年12月28日~今年1月13日、城崎温泉-豊岡(山陰線)間の普通電車として運行されたが、速度検出器のスイッチが切られており、連動するEB装置が作動しない状態だった。この間に車両点検は計6回行われたが、速度検出器のスイッチの状態は確認の対象外だった。

 JR西広報部は「EB装置義務化の発端を作った会社が、自ら装置の不具合を看過してしまい、誠に申し訳ない」としている。

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