月よりも遠く

テーマ:

いつからだろう

「月よりも遠く」

この言葉を使うようになったのは


大切なお兄ちゃん

仕事で東京に行く時に

離れてしまうお兄ちゃんに

東京なんて近いさ、飛行機で1時間ちょっと、旭川に行くより近いよ

そう言われても

あの頃の僕にはその距離は

海を越えて見知らぬ街に行ってしまうお兄ちゃんが

月よりも遠い場所に行ってしまうように感じた


もっと古い記憶では

中学の頃の親友

昨年末に結婚したあいつが

高校を卒業して

帯広の学校で働くと聞いたときも

今では帯広くらいたまに遊びにいくくらい近いのに

月よりも遠くに行ってしまうようで

もう二度と会えないような気がして

怖くて

寂しくて

その間の距離は果てしないものに思えた


3月25日

大学生活の中で

僕に大きな影響を与えてくれた

僕を変えてくれた

そんな人たちの一人

りょ~が就職で東京に発つ日だった

地元の釧路の空港から東京に発つ

だから釧路まで見送りにいった

朝6時前に出て友達を一人乗せて

昼くらいにりょ~の実家に着いてご飯を食べてゆっくりして

それから空港に見送りに行った


空港で別れる時も

その後も

ほんの少し寂しさはあったけれど

想っていたよりも

心は軽かった

いつでもまた会える

そう思えた


昔は携帯電話がないと生きていられなかった

友達と繋がっていられないようで

携帯電話がないだけで

皆から月よりも遠い所に突き放されたようで

でも今は連絡を取らなくても繋がっていられると思える


どうやら僕と月の距離は昔よりも遠くなって

その間の距離にはもう平気になったようだ

今の僕ならどこにでもいける

会いたい人にいつでも会える

そう思えるよ


ちゃんといつも想ってる

愛してる

だから離れていても

月までだって飛んでいくから

だから寂しくないよ


高校の頃

自分の寂しさを癒す為に女の子を騙して

傍にいる事で安心していた自分が

一人で立てるように

大学に入ってずっと恋人のいない生活をした

それでも騙した女の子もたくさんいた

でも

あの子と付き合って

人を大切にする事を学んだ


大事にされたいと想うより

自分が大事に想う事を大切にしようと想った

自分の寂しさを癒すより

誰かが寂しい時隣にいてあげたいと想った

自分の辛さや悲しみや苦しみを癒すより

誰かの辛さや悲しみや苦しみが癒える事を祈った

そして今

あの頃よりも大事にしてくれる人達がいる

寂しいと想う事も少なくなった

辛さや悲しみや苦しみは軽くなっていった


誰かの為だけに生きることはできなくても

誰かの為になにかをできる自分でいようと想う


例え月よりも遠い所に行ってしまっても

大丈夫だよ

すぐ傍にいるから

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自分らしさと歩む道

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最近フと想う

ついこの間大学を卒業し

新たな道を歩む時が迫っている


卒業して

今まで「普通」の道を歩んできた

幼稚園 小学校 中学校 高校 大学

中退を考えた事もあった

どうして「普通」の道を歩まなくてはいけないのか

でも、僕には「普通」のレールを踏み外す勇気はなかった

だから高校も中退しなかったし大学にも進学した

そして大学も途中で辞める事を考えたけれど

こうして卒業した


僕にとっては大きな冒険だった

今まで歩いた「普通」のレールを歩み続けるなら

どこかの会社に就職して

本当にやりたい仕事かは関係なく

ただ「それなり」に働いて

いつか結婚して

家庭を築いて

定年まで働いて

老後をゆっくり過ごす

そんな道を歩くことになっていただろう


でも僕は

「普通」のレールを

精一杯の勇気で自ら踏み外したんだ

就職という道を選ばなかった

就職しないという道を選んだ

夢の為にも一旦就職した方が利口だったと想う

でも

一度レールに乗ってしまえば

そこから飛び降りる方が僕には難しいから


そうやって決めた道を記す

その最初の形は

大学の卒業式の日に出した進路届けに残してきた

旅人とへたくそな字で書いてきた

それを友達に話すと皆言うんだ

「お前らしいよ」


自分らしさってなんだろう

「普通」の道の上を歩いて

「普通」のレールの上から飛び出す事を恐れていた自分が

精一杯の勇気で飛び降りた時

「お前らしい」と言われた


「自分らしく」生きようと心に決めて

「今までの自分」をぶち壊して切り開いた道が

「お前らしい」と評価された時に

「自分らしさ」ってなんだろうと

疑問に想った


あぁ、やっぱり難しいな

でも僕はやわらかい土の上に着地したい訳じゃないんだ

いつだって

ずっとずっと

子どものように

駆け回っていたい

空を飛んで

冒険していたいんだ


いつも心がウキウキして

楽しくて仕方ない人生が

そんな時の連続の中にいたいんだ


自分らしさ

本当の自分らしさを見つけるのには

まだまだ時間はかかるだろうけれど

ゆっくりゆっくり

「本当の自分」になっていこうと想う

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無力さ

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自分がどれほど無力なのか

自分がどれほどなにもできず

弱い人間の一人なのか

それをよく知っているから


泣いている貴方のために

本当はもっと楽になれるように

その肩の荷を降ろせるように

本当はもっと役に立ちたいのに

それでも自分がなにもできないことを知っているから


心の傷を癒すために

僕がしてあげられることなんてほとんどなくて

自分の心の傷と向き合い

それを癒していくのは

その人自身の力だって知っているから


まっすぐに前を向いて

一歩一歩歩んでいくことが

どれほど大変なことか知っているから

人は余所見をしやすい生き物だから

だから貴方が貴方の向かう道を歩く手助けをしたいけれど

貴方の道を切り開くのは貴方の力だと知っているから


本当に僕は無力で

してあげたいと思う気持ちはあるのに

してあげられることなんてほとんど浮かばない


だから貴方の心に鳴り響くような

貴方の強さを奮い立たせられるような

貴方の傷口から流れる血がとまるような

貴方の瞳からあふれる悲しい涙をとめられるような

貴方が胸に溜める流すべき涙があふれ出るような

そんな優しい言葉を貴方に贈りたい

そんな優しい歌を唄えるようになりたい


見返りなんて求めないから

ただしてあげたいだけだから

だから知らん振りしていいから

例え言葉を交わすことができなくても

僕はここから

心の奥から貴方に優しい言葉を贈り続けるから

貴方の心に唄い聞かせるから

耳をかたむけてなんて言わないから

それでも僕は

唄い続けるから


皆の心にいつでも唄っていたい


大切な皆の笑顔が曇らないように


ひとつひとつの出会いを心に焼き付けて

会話を交わしたことのない貴方にも

ここを見てくれた貴方にも

どこかで一度すれ違っただけの貴方にも

これから出会う貴方にも

出会えなかった貴方にも

愛を込めて唄っていたい

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冬の終わり

一旦は雪もどんどん溶けてきて

春が近づいてるのかなって思えるような日が続いていたよね


卒業式も

とても気持ちのいい日だったね


それでも今はまた

白くて

綺麗な

寒いのに

暖かい世界が

帰ってきたね


これが最後の雪になるのかな

これが溶けていって

春が来るのかな


早く春が来てほしい

バイクにも乗りたいし

暖かくて

新しい命がたくさん芽吹く

春が来てほしい


そう思う気持ちと

寂しさが

心の中で

揺れ動くよ


ふきのとうが

雪の間から顔を覗かせる

そんな景色が好きです


溶けていく雪

冬の終わりと

新しい植物の目覚め

春の訪れが

共存しているような

そんな景色が好きです


とても寒い時に

空から舞い降りた雪の

結晶が見えたとき

心が温かくなります


でも

冬の夜

真っ白な雪景色の雪原で

星と月を見るのも好きです


冬の寒さと雪の中で

暖かく生きる人たちが大好きです


真っ白な雪の道を

まだ誰も足跡をつけていない

真っ白な道に

足跡をつけて歩いていくのが好きです


悲しい出来事で

心が張り裂けそうなほどの苦しみで

心についた傷を

真っ白な雪で隠して

それでも凛として生きる人を見て

その傷をそっと癒してあげたいと思いました

真っ白な雪が血で滲むことがないように


真っ白な雪に

泥を混ぜて黒くしていく人を見て

貴方は決して汚くなんてない

どんなに真っ白な雪を汚しても

貴方が汚くなることなんてないよと

抱きしめて

凍えた心を暖めてあげたいと思いました


春になれば

溶けてしまう雪を

とても愛しく感じました


長い冬が終わって

もうすぐ春が訪れます


それでも心の奥に

ほんの少しだけ

雪を持っていこうと思います

こっそりと

自分でも気づかないくらい

大切に持っていこうと思います


長い学生生活に一旦幕を下ろし

皆が新しいスタートをきった今


これからは笑っていきようと思います

いつでも静かに

優しく笑っていられるように

もっともっと強くなって

微笑みを絶やすことなく


欲しいものや

手放したくないものがたくさんあっても

いつでも助けを求める誰かに

手を差し伸べて

両手を広げて受け止めてあげられるように

必要のないものに執着しないように


感謝と謙虚な心を持って

誰かの為を想って生きられるように

自分が自分がと焦る気持ちは

脇によけて

皆が笑顔を忘れないように


春がきて

雪が溶けても

心の奥に

ほんの少し

溶けることのない雪を

4年間

テーマ:

4年間過ごした大学生活


4年前

あの頃はまだ何もわかってなかった

自分が苦しんだりつらかった

そんな時本当にほしい言葉をかけてくれる人がいなかった

だから誰かにほしい言葉をかけて安心させてあげられるようになりたかった

一人きりで死を選んだり

それが運良く失敗してもそれに後悔することなんてないように


優しさも人を大切に想うことも

なにも知らなかった

本当はわかってても無視していたのかもしれない

心が凍っていた

心に仮面を被せて自分を偽った


大切な仲間達

言えなかった言葉達

大好きな人たち

好きだった子も

いろんなことがあったよね


皆新しい道を歩きはじめる

それぞれの道をそれぞれの力で

うん

僕も行きます

自分の道を自分の歩幅で

無理はしないで楽しく笑って歩く


大丈夫

不安になっても皆がいる

同じように

不安になったら僕がいるよ


たくさんのおめでとうをもらったよ

皆の力でここまできたよ


りょ~

お見送り行けなくてごめんね

25日に釧路で東京への出発を送りたいよ

これからが不安だったりもしてると想う

そんなりょ~に今までいっぱい助けられた分

笑顔を贈りたい


先生や先輩

皆お世話になりました

すごくわがままで失礼で

本当にどうしようもない奴だったけど皆優しく見守ってくれてありがとう


同級の皆

たくさん関わった人もほとんど話さなかった人も

皆にありがとう


たくさん共に過ごした仲間達

本当にありがとう

最大級のありがとう

皆がいたから今の自分がある

大袈裟じゃなくもしかしたらもう生きてなかったかもしれないのに

本当にお世話になったよね

たくさん皆と笑ったり泣いたり本当に楽しかった

これからも友達だよ


後輩達

一番世話になった後輩はとろだな

他の皆も

恐ろしくわがままで自分勝手で後輩にたかるし

全然いい先輩じゃないよな

でも皆がいてくれた事に本当に感謝しています

何もしてあげられなかったけれどこれからは少しでも皆になにかしてあげられる事があったら

全力で応援したいと想う

なんかあったら頼ってみてください


家族

4年間だけじゃない

ずっとずっと

信じて見守ってくれた

卒業して普通なら就職する所を旅人になるなんて言って就職もしない

そしていずれ専門に行くなんて大馬鹿をそれでも暖かく見守ってくれる

本当にありがとう

自慢の家族です


感謝をこめてお礼をそしてごめんなさいも色々と伝えたい事のある人はたくさんいて

でも伝えきれない

伝える術すらない人もいる


4年間の旅を終えてこれから新しい旅に出ます

今はまだ卒業の実感もやっと感じ始めたばかりだから

まずはきちんと自分の卒業を完結させます


明日

テーマ:

明日は卒業式

明日には4年間過ごした大学を卒業する

たくさんの友達や先輩、後輩

いっぱいいっぱい大事な人たちと出会って

たくさんの素敵な思い出があって

楽しかったこと

辛かったこと

嬉しかったこと

寂しかったこと

誇らしかったこと

苦しかったこと

いっぱい笑った

いっぱい泣いた


苦しんだり悩んだりもいっぱいした

いやなことや悲しいこともいっぱいあった

出会いもあったし別れもあった


そして卒業は出発でもあり別れでもあるから

今まで仲良くいつも一緒にいた友達も今より少し離れていくね

中にはもう会えないかもしれない人もいっぱいいるんだろうね

でもね

昨日はすごく悲しかった

辛かった

皆と離れたくないってすごく寂しかったけれど

なんだか今日はすごく落ち着いてるんだ


たくさん考えた

これからのことで不安にもなったよ

だいたい周りの友達は皆就職していく

一人だけ違う道

自分で選んだ道とは言えすごく不安だったよ

でもね

きっとこれからもいつもそうだと思う

皆だって同じなんだって思う

それにそんなことで挫けてたらきっとキリがないよね

来年になって後輩がまた卒業して就職していったらまた同じこと思うんだろうしさ

だから自分の道をちゃんと歩けばいいって思う


だって今までだってそうだった

すごく不安で

怖くて

緊張して

でもやってみたらあとは楽しくて

嬉しくて

幸せで

辛い時や苦しい時もあっても

絶対いつかまた笑えるって知ってるから


自分の前に続く道がとても細く頼りない道に見えても

その道はきっと光り輝いているはずだから


あのね

明日が終わったら4年間の大学生活とはお別れ

でも新しいまだ見ぬ世界にこんにちわ

そしたらきっと素敵な世界と出会うから

安心して見ていてください

僕は欲張りだから

思い出をひとつ残らず持っていくんだ

今まではね

指の隙間からぽろぽろぽろぽろ大事なものを落としてしまうこともあったよ

何かを手に入れるたびに別な何かを失ってしまったり

でもね

僕は欲張りだから

もう何一つ落とさないんだ


本当はまだ不安もいっぱいあるよ

少しなんてものじゃないよ

とても不安で怖い

でも大丈夫

皆がいるんだよね

一人じゃないんだ

一緒に歩いていくんだよね


明日は卒業式

さっき後輩と少しメールをした中で

明日は泣く?って聞かれたよ

素直に「多分泣くと思う」と答えたよ

きっとね

悲しくて寂しくて泣くんじゃない

寂しさもあるけれど

とても素敵な4年間だったから

その感謝がきっと一粒ずつ涙になって溢れるんじゃないかな

もしかしたら

帰ってきて一人で涙を流すかもしれないけれどね


共に過ごした時間は

テーマ:

4年間の大学生活がもうすぐ終わる

心理学を勉強してカウンセラーになりたい

そう想って大学に入った


私立の4年生大学

心理学科臨床心理専攻


大学に入った頃の自分は

あまりにも小さくて

あまりにも弱くて

砕け散った心を拾い集めてパズルのように組み立てている途中だった

その心は恐怖でいっぱいだった


怖くて怖くて

必死で虚勢を張っていたって今なら笑える

おかげで最初は怖かったってよく言われた

本当は怖かったのにね


友達がほしくて

一人でいるのが辛くて

当時はまだ別れた彼女とも仲が良かったから

「もう嫌だよ、友達できないし一人ぼっちだしもう辞めたい」

なんてメールもしていた


でもそんな緊張の中で友達ができた

だんだん皆仲のいいグループができていって最初は女2人、男2人がベースのグループにいた

その相方だった男友達

まだ臆病で寂しがり屋で泣き虫で皆の優しさが痛くて仕方なかった頃

まだよく死にたいって言ってた頃

きっともう覚えてないだろうけど「お前が死んだら地獄まで追いかけても殴る」って言ってくれたんだよね

すごく嬉しかったんだ

「なんで俺なんかにそんなに優しくしてくれるの?なんにもいい事ないじゃん」って言ったら

「友達だからじゃん」って言ってくれたよね

すごく嬉しかったんだよ

ちょっとずつ皆を信じてもいいかなって思ったよ


そのグループが壊れてから今のグループに入ったんだよね

調度崩壊したグループのメンバーが集まった形だったのかな?

最初は入れなかったよね

最後には合鍵持っていつも行ってたスモットにも最初はいつも電話してたよね

もう家の前にいるのに「行っていい?」って

まだ完全に皆を信じられなかったんだよね

まだ怖いって思ってた


皆さ

すごく優しいんだよね

そこにいられた事がすごく幸せで嬉しかった

皆でボードにも行ったよね

海も行った

カラオケもよくしたし

プールも行ったし

温泉も行ったし

ドライブしたり

鍋もしたし

バイクの後ろに乗せたり

色々思い出せるよ


そのひとつひとつの間に少しずつでも変わっていけた

成長できた

皆がいた

皆が見ててくれた

すごく嬉しかったんだよ

すごく幸せだったんだよ


いつもいたりょ~の部屋ももうすぐ空っぽになってまた別な人が住むんだよね


皆で今までみたいにいられるのは今回の卒業旅行が最後だったんだよね

後は卒業式があって

その後皆で飲んで

その後はきっと今までみたいに皆でいっぱい一緒にいてって事はもうあんまりなくなるんだよね

わかってるんだ

ずっとつながっていられる

皆が大好きだから

でもね、ちょっとだけ寂しくなったりもしたんだよ


皆が社会人になって働いて

一人だけ皆とは違う道で

この先どうなるかも全然わからない中で

ちょっぴり不安もあるんだ


卒業式がまだまだこなければいいのにって少し思っているんだ


ねぇ、これからも皆ずっと一緒だよね


冬の花2

テーマ:

話の続きをしよう

どこまで話したっけねえ

そうそう


そんなそいつも本当は少しずつ変わり始めていたんだよ

少しずつ動かしてくれるもの達にそいつは感謝していたよ

でもそいつはしらんぷりすることしかできなかった

それでもそいつは大切なものを見つけたよ

でもね

今まで何も大切にしないでいたから

どうやって大切にしたらいいかわからなかった


当然そいつはまた一人になったよ

誰もいい気味だなんて笑わなかった

暖かい言葉をかけてくれたんだ


そいつはちょっとだけ反省したようだよ

それからね

たくさんの時間をかけて

そいつは少しずつだけど皆を信じていったよ

皆を大切にしようとしたよ


そいつは不器用だった

ああとっても不器用だったよ

上手にできなくて

また誰かを痛くさせて

自分もまた痛いのにさ


それでもそいつは立ち続けるしかなかったよ

自らの根を断ち切って

枯れてしまおうとしたこともあったけれど


そんなある時心がさ

暖かくなってきたんだ

そいつの周りに新しくきたもの達が

なんの利益にならないのに

そいつの為に一生懸命だった

そいつは嬉しかったのさ


どうして僕なんかを見てくれるの

僕はあげられるものなんてなにもないんだよ

そいつはわからなかった

わからないけれどその時そいつは何かが変わったんだね


それからね

ほんの少しずつ変わって

そいつの周りには素敵な皆がたくさん増えていったんだ

そいつは皆に支えられて

腐りかけた根っこも地面にしっかりと張って

少しずつ元気になっていったよ


それでもそいつは今でもね

よく失敗するんだ

なんたって間抜けな奴だからね

そしてそんな後には必ず心が痛むんだ

それでも失敗してしまうんだ


きっとまだあの

寂しくて悲しくて苦しくて怖かった想いが残っているのさ

それでも皆暖かくそいつを見守ってくれる

だからそいつは

昔よりほんの少し

胸を張ってお天道さんに向かって伸びていけるんだ


そいつはいつか大きな木になって

優しい春の日には皆がゆっくり眠れるように見守って

熱い日差しの夏には皆の日よけになって

憂いを帯びた秋には優しく皆を包んで

寒さの冬には皆を暖める

そんな木になりたいと想っているのかもしれないね


たくさんの傷つけたもの達に

許してなんてもらえなくてもいい

だけど

ごめんね

そう伝えたい

そして

君のおかげでこんなに強くなれたよ

そう言えるようになりたいと想っているのかもしれないね


さあお話はおしまいだよ

またここに来るといい

またお話を用意して待っていよう

冬の花

テーマ:

ねぇ

いつもその心の奥深くに重たく暗い悲しみを湛える君に

今日はこんな話はどうだろう

それは一人の間抜けな植物の話だ


その植物は誰も名前も知らない

綺麗な花を咲かせた事もない

いつも一人で

野原の隅っこで風に揺れていたんだ


そいつはいつも思っていたよ

どうして僕には素敵な名前がないのだろう

どうして僕には綺麗な花がないのだろう

綺麗な花の間を忙しく飛び回る蜜蜂達も見向きもしない

どうして僕はこんな僕なんだろう


そいつはね

元々そんな所にいた訳じゃないんだ

そいつは暖かい温室で

優しい花達に囲まれて

幸せいっぱいで生きていたんだ


でもある時

そいつは野原の隅っこに出ることになったんだ

初めて見るものばかりで

自分はあまりに弱く

いつもビクビクしていたよ


そんな暮らしの中で

きっと温室での楽しかった暮らしも忘れていったんだね

温室の皆はいつもそいつの事を想っていたよ

心配していたんだ

でもそいつは皆の事も信じられなくなってしまったんだ


愚かだよねぇ

愛すること、愛されること

そんなことも何一つわかっていなかったんだ

そして拒絶していたんだ


そいつはね

いつも寂しかったんだ

自分が一人ぼっちでそこにいる気がして

他に誰もいなくなってしまったような気がして


いつも雲を眺めていたよ

ぼんやり雲を眺めて

うっすら涙を浮かべる事もあった

でも

誰にも助けを求めることもできなかったんだ


そいつはさ

綺麗な花なんて咲かなかったし

素敵な香りもしなかったよ

名もない雑草だったんだろうね


でもね

そいつはある時知ってしまったんだ

そんな自分が

あたかも綺麗な花を咲かせる花のように

甘い甘い蜜の香りで誘う方法を


そいつはね

あぁこんな僕でも周りに集まってくるものはあるんだ

なんて嬉かったんだろうね

それから甘い蜜の匂いであっちの蜜蜂こっちの蜜蜂と

たくさんのお客さんを呼び込んだよ


心の中では

こいつらは僕が雑草だと今まで見向きもしなかったのに

ちょっと甘い匂いを出せばつられてやってくる

本当は蜜なんて持っていないけれど

いいさ

こいつらがいれば僕も寂しくない

だましてやればいいさ

そんな風に想っていたのかもしれないね


でもね

本当は蜂達は知っていたんだ

その匂いが偽者だって事も

もしかしたらそいつの醜い心の内までも知っていたのかもしれないね

それでも蜂はそいつの周りに集まってきてくれたんだ

他の花もつれてきてくれた


蜂も他の花も

皆そいつの為に色々としてくれたよ

そいつが哀れに見えたからかもしれない

そいつが自分が素晴らしいから皆がそうしてくれるなんて有頂天になっているのが滑稽だっただけかもしれないね

でもそいつは気づかなかったんだ


そいつは好き勝手にやっていたよ

本当にそいつを想ってそいつに教えてくれるものをそいつは踏みにじってね

自分に都合のいい世界をつくり

自分の都合のいいもので固めた

自分の人生さえも


そうやって生きてきたんだ

そいつの醜さったらないよね

でもそいつも痛い想いをしていたんだよ

そいつは本当は自分に集まってくれる皆が大好きだったんだ

でもそれと同時にそいつはいつも不安だったんだ


皆いつか僕を捨てて離れていってしまうんだ

僕は一人ぼっちはいやなんだ

そんな風にいつも想っていた

だから自分に集まってきてくれるもの達を大好きなのに

そいつは誰も大切にはできなかった


いつか誰かがそいつの元を離れて去っていった

そいつは悲しくて苦しくて切なくて

だから嘘をついた

あんな奴いらないよ

そしてまた別な誰かが来てそこでも同じことの繰り返し

いつもいつもそんな事をしていたんだ

それからそいつがどうしたかって

それはまた次に話そう

僕もほんの少しお喋りするのに疲れてしまったよ