VBAC

テーマ:

VBAC: Vaginal birth after cesarean delivery
帝王切開後経膣分娩

この呼び方は、経膣分娩が成功した場合で、
正確には帝王切開後経膣分娩を試みる事を

TOLAC: Trial of labor after cesarean delivery

私達はよくVBACトライなんて言ったりします

面倒臭いので
全てVBACで統一します

「VBACについてどう思いますか?」


とても多くのコメントを頂いたので
記事を書きます

先に断っておきますが、
皆さんVBACを凄く特別なお産
と考えている方も多い様ですが

何も起こらないと

驚く程あっさりとしたお産

です

本当に他のお産と
全く変わらない・・

ただ、
もし当直中に
VBACトライの妊婦さんが
陣痛発来で入院してくると

正直イヤだ・・


不安・・


と感じます

もしも総合病院では無い
普通の産院だったら
なおさら・・

何故かと言うと
皆さんご存知の様に

子宮破裂のリスクが高いから

VBACは子宮破裂が起こらないかどうか?

がほぼ全て

子宮破裂の経験は
今まで数例あるけれど

本当にマッハの対応が必要で
時間との闘い


時間がかかると
例え赤ちゃんの命は助かったとしても
脳に障がいが残ってしまう事も
十分にあり得ます

という訳で
VBACを希望する妊婦さんが
比較的安全にトライできると判断するには
結構厳しい基準があります


1)一般的な帝王切開方法かつ1回まで

早い週数での緊急帝王切開や
子宮を縦に切開する術式
子宮筋層が縦に裂けた場合等は
VBACのリスクは上昇します

そのため
一般的な方法で1回の帝王切開歴
までがVBAC条件です

2)児頭骨盤不均衡が無い

お母さんの骨盤と赤ちゃんの頭のバランスが悪いと
子宮収縮に伴い、筋層に負担がかかり
破裂しやすくなります

前回帝王切開の理由が
児頭骨盤不均衡による分娩停止
だったりすると、VBACは
出来ない施設が多いです

3)帝王切開以外の子宮切開創が無い

子宮筋腫核出術によるものが多いです
筋腫を摘出する際に
子宮筋層まで切開創が及ぶ場合は
VBACできません

ちなみに
粘膜下筋腫の手術である
子宮鏡下筋腫切除は
その時の手術状況によりけり

4)緊急帝王切開ができる環境である事

最も大事な要素です

上述した様に
破裂後は時間との勝負なので

麻酔科医
手術スタッフ
産科医
小児科医


すぐに揃う環境で無くては
トラブルが起こった場合の
予後に大きく関わります

助産院はもちろんNGですし
産院でも院長の判断でVBACを
行っている施設もありますが
個人的には総合病院で行う方が
絶対に良いと思います


このあたりが
VBACトライの最低限の条件ですが

それ以外にも

破水した場合でも
積極的に子宮収縮剤(分娩誘発剤)を使えない


何か他の異常がおこった時に
帝王切開を決定するハードルが低い


等々
普通分娩と比べ
色々と縛りが多いです

当然破裂のリスクが上がりますからね・・

じゃあ
実際にどれくらい子宮破裂の
リスクが上昇するのか?


予定帝王切開術を選択した場合を1とすると

自然陣発:3、3倍
子宮収縮剤を使用:4、9~15、6倍

さらに
胎児死亡率は約1、7倍

胎児仮死は約2、2倍

やはり予定帝王切開術に比較して
これだけリスクは高くなります

さらに、前回帝王切開術を行った時の状況や
その時の手術方法も非常に重要で

上述した児頭骨盤不均衡の例は
VBACを避けるべきですし

帝王切開術をする際の
子宮筋層の縫合方法によっても
リスクは大分異なります
(一層縫合と二層縫合で
約4倍もリスクが異なる)
↑開業医さんだと1層縫合の所も結構多い・・

そのため
VBACを考える時には
VBACを行っている病院を探したら終わりでは無く
前の病院での分娩経過や手術方法等
詳細なデータをキチンと考慮して
自分がVBACを比較的安全にトライできるかを
担当の先生と良く相談しなくてはなりません


これだけリスクを説明すると
じゃあVBACを選択する利益は無いの?

と思いますよね

VBACによる利益

・経膣分娩を経験できる
・次回妊娠時の前置胎盤や癒着胎盤の
 確率を上昇させない


この2つが比較的大きな利益かと思います

経膣分娩に対する意識は
人それぞれだと思うけど

経膣分娩をしたい!

人が想像よりも多い事にビックリして

お産に【完璧主義】はあまりオススメできない
http://ameblo.jp/kyusan0225/entry-11955230175.html

で色々解説をしたけれど
最終的には、スクとやりたい事を
天秤にかけるのは皆さん個人
だと思うので
今回は深く考察はしないでおきます

さて
下については

帝王切開術を繰り返すと
次回妊娠する時に
胎盤が切開創にくっつく確率が
だんだん上がると言われているためです

つまり、次の妊娠で
前置胎盤や癒着胎盤の可能性が上昇する
事になります

仮にVBACが成功すれば、
次回妊娠における上記疾患リスクの
増加を防ぐ事ができる

という訳です

帝王切開術が安全に出来る様になってから
海外を中心として
安易に帝王切開というパターンが増え
帝王切開術数や既往帝王切開数が
どんどん増えていきました

ちなみに中国だと
占い師が決めた日に帝王切開!
というのも普通にやっているらしい


ホントッ??


当然反復帝王切開に伴うリスクも
徐々に増えるので

帝王切開しなくていい症例は
なるべく経膣分娩にしよう!

というのが世界の流れとなりました

それ自体には私は大賛成です
(もともと日本はアメリカ等よりも
帝王切開基準は厳しいと思いますが・・)


ただ、日本の現状を考えると
VBACを強く推奨するのはどうかな?

と思います

まだまだ女性が沢山の子供を
出産する国ならば
VBACによって
帝王切開を繰り返す症例を減らす事は
有効だと納得できるんですけど



日本の合計特殊出生率
(1人の女性が一生のうちに
出産する子供の平均数)

平成24年度:1、43

ですので

1人の女性が
4回も5回も帝王切開する
というのは非常に稀です
(無いとは言いませんよ^^;)

ベビーブーム
(合計特殊出生率:4、5)
の時代ならいざ知らず

VBACによる
前置胎盤・癒着胎盤増加によるリスク
VBACトライによるリスク

天秤にかけると

現代の日本人にとっては
帝王切開を選択した方が
利益が多いと思います・・
(これから4人も5人も産むぜ!という人以外は)


あくまで、リスクを考えた上で
VBACによって、自分がどれだけ
満足感を得られるか
をしっかり考えて
分娩計画を立てるべきかと思います


で・・

結局あんたは
VBACについてどう思ってるのかって?


正直・・


怖いっす・・
当直中寝れないっす・・




妊娠レシピ 産科医と管理栄養士が監修した 本格レシピアプリ

 
【妊娠応援アプリママケア】 13000ダウンロード突破!
応援お願いします^^

女性・婦人科の病気 ブログランキングへ
AD

リブログ(2)

リブログ一覧を見る

コメント(56)