エビリファイの1.5㎎の剤型 | kyupinの日記 気が向けば更新

エビリファイの1.5㎎の剤型

過去ログでは、いくつかの向精神薬で現在より小さな剤型があれば良いといった記載をしている。特に要望したいのはサインバルタの10㎎カプセル。カプセルの形状の場合、脱カプセルすると、薬理的に動態が変化するため、その㎎の剤型があった方が遥かに良い。

レクサプロも5㎎で十分な人がいるので5㎎錠がほしいところ。レクサプロを販売する持田製薬および田辺三菱製薬は今のところ、5㎎剤型を販売する気はないらしい。

普通、製薬会社が小さな剤型を新規に発売するには、その根拠が必要である。そのため、その剤型を用いた治験などが必要だが、その費用たるや莫大であるのに比べ、剤型を発売した結果の見返りはあまりにも乏しい。ほとんどの理由が患者さんの利便性だからである。

その点でパキシル5㎎剤型は、日本でしか発売されておらず特殊だったと言える。パキシルの添付文書上、服用を開始するにあたり5㎎から開始する、あるいは10から15㎎に増量するなどとは書かれていないからである。

エビリファイは現在、抗うつ剤との併用に限りうつ病、うつ状態の適応を持つが、これは発売初期にはなかった適応である。

現在の日本におけるエビリファイの適応
①統合失調症
②双極性障害における躁症状の改善
③うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)

注:③では選択的セロトニン再取り込み阻害剤又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤等による適切な治療を行っても、十分な効果が認められない場合に限り、本剤を併用して投与すること。


エビリファイの1.5㎎錠があると良いと思う理由は、エビリファイの3㎎併用だとアカシジアが出て使えないが、1.5㎎錠ではアカシジアが出現せず、良好なコントロールができる人が稀ならずいるからである。

このようなことこそ、パキシルの5㎎錠の必要性と同じく、日本人の向精神薬への忍容性の低さが窺われて興味深い。

もし普通の方法で1.5㎎錠を発売しようとすると、再び上記の用量の治験をしなくてはならず、その費用が大きいため難しいと思われる。

しかし現在、自閉症に対し1.5㎎の用量の治験が行われているようなのである。これが順調に行けば、晴れて1.5㎎錠が上梓されることになるかもしれない。

参考
エビリファイと自閉性障害
単極性、双極性の激うつ対策本部