生活保護の患者さんの貯金額 | kyupinの日記 気が向けば更新

生活保護の患者さんの貯金額

精神科病院で長期入院中、生活保護を受けている人は、障害年金を受給できない人が多い。

ところが、もし受けられるなら間違いなく1級相当の病状の悪い人は、お金をほとんど使わないこともあるため、お小遣いが溜まり過ぎて、大変な事態になることがあった。

例えば、貯金額が100万円を超えるなどである。

最近は、このようなことにならないように、福祉のケースワーカーがチェックするので、100万円を超えて初めてわかるということはなくなった。昔はチェックが甘かったせいもあり、このようなことが時々起こっていた。

基本的に、生活保護受給者は貯金を禁じられているわけではなく、ある程度の貯蓄は容認されている。それはある裁判で、生活保護受給者の訴えが認められたからである。

普通、精神科病院は病棟に現金は置けないルールが多い。これは事故が起こると困るから。中には内緒で持っている人がいるかもしれないが、病棟に入る前に病院で預かることになっているのが普通である。

これらの預かり金も少額は病院で預かるが、それを超える金額は本人の取引銀行の普通預金に入れている。そのようなこともあり、生活保護の長期入院患者の場合、貯金の金額は明確にわかる。

市町村によって目安が違うかもしれないが、入院患者の場合、概ね20万を超えない範囲で貯金が許されている。

これを超えると生活保護が打ち切られ、いったん国保になる。過去ログにもあるが、こうなると主治医も書類などの手続きが面倒なので、できるだけ遣ってほしいと思うが、遣わないものはどうしようもない。

障害年金を受給していて生活保護で不足分を受給している人では、国保になった後も、定期的に入金があるので、その貯金が全然減らない。国保になったからと言って、病棟生活のあり方が変わるわけではないから。従って国保の時代が何年も続く。

元々生活保護だったのに、いったんまとまった貯金が出来たために10年くらい国保のままの人もいるほどである。

これら精神科の入院患者さんのお金の使い道だが、病院や主治医はあまり干渉できないことが多い。

たまに生活保護の人で、一般的に知られていない宗教団体に寄付したいと言う人がいる。

特にカルトに近い宗教団体だと、生活保護のお金の由来を考えるに非常に問題があると思うが、元々カルトかどうかはどこかに記載されているものでもなく、突き詰めると主観的なものである

従って福祉のケースワーカーと話し合い、「非常識な高額でなければ、それを止めることはできない」という結論に落ち着く。

つまり、本人の宗教的な考えから、遣うべきところを倹約して寄付するのなら、それを禁じることは難しいといった感じだ。

一方、生活保護でも外来患者さんでは、真の貯蓄額はわからないと言える。タンス預金も可能だからである。

何らかのきっかけで、かなりの金額を持っていることがわかった場合は打ち切りもあるが、わからないままが大半である。

精神科の外来の生活保護の患者さんの場合、入院患者さんに比べ生活のあり方がかなり異なる上、人によるとギャンブルで浪費する人もいるため、貯金どころか、生活費をどこかから借りてこないと生活できない人もいる。

そういう人から僕は借金を申し込まれることがあるが、「これはきっと、僕に頼めば貸してくれるかもしれない」と思われているんだろうなと、少々複雑な気分になる。

今は消費者金融は、「グレーゾーン金利の過払い金」裁判などの結果、あまりにも川の水が綺麗になり、魚も住めなくなっている。

ところが、生活保護の人に高金利で貸してくれる裏の業者も存在しているようである。この世界は、よくわからないことが結構ある。

最近、生活保護を受給していて職を探している患者さんに聴いたことだが、ハローワークに行っても、1年前に比べ少し賃金が上がっているし、選べる職種も以前より増えているという。つまり、色々な意味で選択肢が増えているらしい。(参考

株高とか経済環境の変化は、このようなところにも反映していると言える。

参考
障害年金の8万円で暮らすこと
生活保護の患者さん
精神疾患と生活保護受給について
深刻な不景気とdepression