社会的引きこもりとトピナ(前半) | kyupinの日記 気が向けば更新

社会的引きこもりとトピナ(前半)

最初、彼女は従姉妹の薦めで初診している。その従姉妹の女性は入院歴があり、主治医ではないので僕は病棟でごくたまに話すことがあっただけで、治療内容は知らなかった。受診を薦められた際に「院長にかかれば間違いないので必ず院長に初診するように」と言われたという。

彼女の主訴は「なにもかも嫌で自分がダメ人間に思う」と言うもの。

あちこちの病院にかかっていたがさほど良くならず、ここ3年間で運動不足とたぶん薬のために15kg以上も体重が増えたと言う。それでもなお、とても美しい人であった。(元々、スリムだったようである)

実は、僕が精神科医になった当時だが、興味深い論文を読んだことがあり、「美人はそうでない人より予後が良い」というもの。

これは治療者側のモチベーションの差と社会的に恵まれる面もあるように思われる。(その論文の考察はよく覚えていない)

一般に精神疾患では、女性は社会的要求が高い男性より予後が良いとされている(主婦ができれば十分と言う家庭もある)。

また女性ホルモンは精神疾患の病状の悪化を抑制するため、特に女性の統合失調症では更年期以降に病状がひとランク悪化し男性に追いつく傾向がある。(参考


また男性でも、社会的な予後は職種や地位にもよるという過去ログもある。(会社のオーナーや大学教授であれば、なんとかやれる人もいる)

「美人は予後が良い」だが、自分に関しては、美人とかそうではないとかはあまり関係がない。ある患者さんを治療している際に、特にそういう風に思ったが、その根拠に触れた過去ログもある(参考)。

これは僕が既に結婚しているからではなく、患者さんはそういう風に目には映らないのである。これを偏見と言うなら、それは患者さん側の考え方の相違であり、実はそういう風に目に映らないことこそ、プロフェッショナルなんだと思う。

ごく稀に患者さんと結婚する精神科医がいるが、それはある種の公私混同であり、自らの病理が反映している。同業者にはそれは良いことには見えない。

そういうこともあり、女性患者の陽性転移は、ほぼ空想の範囲で終わる。

僕の高校時代のある男性教師は「とうてい生徒とは結婚できない」と言った話をしていた。その理由だが、

あいつあんなこと思っていて授業をしていたのか・・と思われるのが自分には耐えられない。

らしい。これと同じようなものだ。

(前半おわり。今回は後半が長く前半部分は余談である。)