2010-03-31 22:28:40

ラミクタールと重篤な中毒疹

テーマ:ラミクタール
ラミクタールで最も有名なのは、その効果ではなく、むしろ重篤な中毒疹の発現が高いことと思われる。臨床上、ラミクタールは軽微な中毒疹の発現率は非常に高い。しかし、アレルギー体質の人が必ず中毒疹が出るわけではなく、この薬に限れば大丈夫ということはよくみられる。

ラミクタールが発売されるまで、精神科で汎用されるもので最も中毒疹の危険性がある薬物はテグレトールやアレビアチンであった。他の抗てんかん薬も危険性が高い。従って、その本質的な毒性を考慮して、僕はなるだけテグレトールは使わないようにしている。(使わないわけではない。全く使わないと精神科医はできない)

ラミクタールで言われる重篤な中毒疹とは皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群 Stevens-Johnson syndrome)や中毒性表皮壊死症(ライエル症候群 Lyell syndrome)のことである。

ラミクタールは1993年に投与法を変更されている。それまではいきなり100㎎投与していたという。ところが、重篤な中毒疹が多く出たため、今回のように少量から漸増する方法に変更されている。それ以降、上記、重篤な中毒疹はほとんど出現しなくなった。初期の用量に依存することと、慎重に増量し、皮膚の異常について医師が十分に注意することが大きいと思われる。

現在、日本で出現する皮膚粘膜眼症候群などの副作用はむしろラミクタール以外の薬物で生じている。

さて、ラミクタールは重篤な副作用が生じやすいというが、いったいどの程度の危険率があるのだろうか?

これは調査があり、主な抗てんかん薬で比較されている。テグレトールとラミクタールで比較すると、国内では重篤な皮膚の副作用はテグレトールの方がラミタールより3倍くらい高い。これは、テグレトールは危険な薬物とは言え、ラミクタールほど厳重に扱われないためと思われる(いきなり400~600㎎くらい処方されたりするため)

ラミクタールは特に低用量から始めると、ほとんどといって良いほど重い中毒疹は発生しないらしい。(少ない量から始めても軽い中毒疹はかなり多い)

ドイツで1万人に投薬された調査がある。63日以内で重篤な皮膚の副作用の出現状況である(1998~2001年)。

1万人当たりの重篤な中毒疹の人数

テグレトール 1.4
ラミクタール 2.5
フェノバール 8.1
アレビアチン 8.3
デパケンR   0.4 (人)


これを見るとわかるが、アレビアチンとフェノバールが圧倒的に危険である。その次がラミクタールであり、テグレトールより高い点が特筆される。

デパケンRは重篤な中毒疹の出現率が低く安全な薬物に見えるが、実はそうではなく中程度の中毒疹が結構でると言う(これは皮膚科医の感覚だが、精神科医から見ると、デパケンRはさほど酷い中毒疹がない印象)

だから、ラミクタールは皮膚粘膜眼症候群が怖いので使わないと言う精神科医は、フェノバールとフェニトインも処方すべきではない。またテグレトールも処方上の制約が甘いため、実際上、国内ではラミクタールより皮膚粘膜眼症候群が多く出ている状況があるので、やはり使うべきではない。

ラミクタールは適応外処方ではないか?という意見もあるかしれない。

元々、日本では広汎性発達障害は、ADHDへの適応を持つコンサータ、ストラテラを除き、正式な適応を持つ薬物はない。(この2剤も年齢の制約がある)

従って、例えばアスペルガー症候群は、正式に適応がある薬物は存在しない。


ラミクタールの適応外処方をすべきではないと言う人は、広汎性発達障害に対し、一般的な抗精神病薬、SSRIなどの抗うつ剤、あるいはデパケンRなどの抗てんかん薬も処方すべきではない。(精神療法や認知行動療法のみで対応すべきだ)

また、そのようなことを言う人は、セロクエルの処方も統合失調症に限るべきだと思う。

つまり、そのような考え方はプラクティカルではないのである。

参考
ピロリ菌と除菌
統合失調症の人の表情の改善(後半)
精神科医と法律家
カタプレス

コメント

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1 ■無題

ラモトリジンは適用外処方 + 重篤な副作用の可能性ってことで避けられているのでしょうか。

怖さで言えば、非定型抗精神病薬を老人の異常行動に使った場合、死亡率が悪化するとFDAが正式に警告を出しているので、そっちの適用外処方のほうが怖そうですけどね。死んじゃった場合の医師の責任とか。

困ったもんだ。

2 ■無題

あ、しまった、適用外 -> 適応外 です。m(__)m

3 ■適応外処方

患者として心配なのは、適応外の処方で医師側に迷惑がかかるのではないのか心配です。
レセプトチェックでなにやかやと。

調剤薬局でも3割は患者が負担するけど、残りの7割は薬局が目をつぶるのでしょうか。
保険適応外扱いになっちゃって。
もっとも、仕入れ値がもともと低いのであれば経営圧迫まではいかないと思いつつ。

それ以前に、混合診療はどうなのだろう、とかいろいろ心配してしまいます。

4 ■使わない医師

やはり副作用が怖いのかな。厚労省も消極的なのでしょうかね。

5 ■テグレトールも出し渋ってるなら確かにわかる

私と元嫁の主治医はテグレトールもすごく出し渋ってたからラミクタール出したくないのは理解できるんですよね。

ついでに、元嫁にリボトリール出てるので、てんかんって病名付いてるんですかと聞いてみたら、付いてる、とのことでした。

さらについでに三環系もなるべく出したくないらしい。飲み続けられないと意味無いからだそうで。

ポリシーなんでしょうね。

6 ■Re:テグレトールも出し渋ってるなら確かにわかる

>(さ)さん
三環系抗うつ剤にビビっている医師は確かにいます。副作用が怖くて出せないようで。

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