オーディオとエイジング | kyupinの日記 気が向けば更新

オーディオとエイジング

オーディオ機器は新品の状態と、使い込んで時間が経った後では音が違うと言われる。普通、このような経時変化は劣化の意味合いで使われるが、オーディオでは良い意味で使われることが多い。

一般的な老化を言うエイジングは、「エイジングを防ぐ」などの言葉が成立するが、オーディオでは良い意味なので、こういう用法はたぶんない。

これはスピーカやアンプばかりではなく、ケーブルなどもエイジングによる変化が言われている。スピーカなどは一定時間、鳴らすことで部品の一部が振動することにより、次第に動きがこなれ、良い音が出始めるメカニズムらしい。アンプもコンデンサなどの部品が、通電により若干の変化を起こし音が良くなるという。

ただ、少しオカルトが入っているため、全面的に否定する人もいる。

オーディオの世界は、これほどハイテク機器なのにオカルトの話がたくさんある。そういう議論は非常に面白い。

このエイジングについては僕も経験がある。ある時、優れているが効率の悪いスピーカを買ったことがあった。これは今でも使っている。このスピーカーをうまく鳴らすには自分のアンプはちょっと非力とは思っていた。買ったばかりなのでこれで良いかどうかがわからず、そのまま1年以上使っていた。マンションなので、こんなものだろうと諦めていたのである。

ある時、パワーアンプを買い足しスピーカと釣り合いがとれるようにしようと思った。プリメインアンプをプリアンプとして使いパワーアンプで迫力を出す作戦である。

新しいパワーアンプを買って配線をやり直すのは面倒だし、辛抱のいる仕事である。だいたいマンションでは空間が狭く、アンプ、CDプレーヤー、ユニバーサルプレーヤーの裏を見るのも大儀なものである。

それほど苦労して買ったのに、いざ聴いて見ると、苦労しただけの変化などなかった。少し音が大きいくらいで質的なものがほとんど変わらなかったのである。

しかし・・ちょうど1ヶ月ほど経った頃であろうか・・

なんだこりゃぁぁぁ・・!

ある日、突然、音が変わったのである。明らかに艶があり、今まで経験しなかったほどの良い音に変化した。これこそ、エイジングだと思った。(このパワーアンプは試運転に1ヶ月もかかったのね・・)

ケーブルなどにもエイジングがあり、被覆の絶縁体も影響するらしい。だから、使用し辛いほど太いケーブルも存在する。

オーディオは面白いもので、このようなスピーカケーブルや電源ケーブルを変えることで、音がかなり変化する。誰が聴いてもわかるほどの変化である(嫁さんでもわかるほど)。

壁のコンセントを変えるだけでも相当に好影響がある。壁のコンセントをオーディオ用に変えたら、そこに刺していた大型テレビの音質がかなり改善した。特にサックスや弦楽器の音が全然違う。

ただ、このような壁のコンセントを変えるのは、エイジングとはまた異なる現象である。

音が変化するのを判別しやすい音楽がある。

それは僕の場合、サックスが使ってあるスティングのライブ演奏や山本潤子のライブ演奏である。これらを聴くと、そのオーディオアクセサリーが良い(つまり合っているかどうか)かどうかが判断できる。(山本潤子はかつての「青い鳥」のヴォーカル。彼女は桁外れに歌が上手い。 ←赤い鳥の誤りです。

ただ、これもエイジングがあるのが難しいところである。

ある時、清水の舞台から飛び降りる気持ちで、電源タップを4万円だったか7万円だったか、それくらいのものに替えてみた。

結果。

ガーーン・・

1000円もしないパナソニックの電源タップの方がずっとクリアだったのである。ところが、そのまま使わないのももったいないので、無理やり使っていた。配線をしなおすのが面倒だったのもある。

しばらくして、なんだかその音に慣れてきたというか、この方が「クリアではない」と言うより、「柔らかい音になっているのではないか?」と思い始めた。実際、テレビの映像もオレンジとか青が随分鮮やかで綺麗になっている。目に染みるほどである。

もちろんこの一連の出来事は、「キツネと葡萄」の話に似ている。

あれはきっとケーブルのエイジングだと思うし、ひょっとしたら自分の脳のエイジングかもしれない。

とにかく、心理的なものと金銭的実害もごっちゃになった視覚と聴覚の変化が感じられたのであった。


竹田の子守唄(山本潤子)


Roxanne(Sting)僕にとって、これほどオーディオのアクセサリーの良し悪しがわかる楽曲はない。Roxanneはポリス時代のデビュー曲である。