向精神薬の剤型についての考察 | kyupinの日記 気が向けば更新

向精神薬の剤型についての考察

向精神薬の剤型は、製薬会社がこの量だとたぶん利便性が高いくらいで決められていると思う。臨床の側から言わせて貰えば、このmg数の剤型があった方が便利なのに思うことが時々ある。

例えばジプレキサは非常に剤型が多い薬物と考えられる。
2.5mg、5mg、10mgの錠剤。
5mg、10mgのザイディス錠。
細粒。


と6種類も用意されているからだ。一応、上限とされている20mg服用でも10mg錠か10mgザイディス錠の2錠で済む。しかも1日1回投与で良いとされている。ジプレキサで不満があるとすれば、10mg錠のバカでかさ。これは喉に詰まりかねない。これもザイディス錠が発売になりかなり良くなっている。

余談だが、ジプレキサはやがてリスパダールのようにジェネリックが発売されるようになるだろうが、ザイディス錠については特許がイギリスかどこかの会社にあり、同時にジェネリックのザイディスが発売できないらしい。製薬会社が口腔内崩壊錠などをずいぶん遅れて発売したりするのは、ジェネリック対策もあると推測する。

そんなこともあり、リスパダールのジェネリック発売の際に、液剤は同時発売されないような気がしていた。が、どうも同時に発売されるようなのである。液剤についての特許の扱いがザイディスとは異なっているのだろう。

セロクエルは剤型を失敗しているというをいつか書いたことがある。セロクエルの剤型は25mg錠、100mg錠、細粒の3種類だが、セロクエルの上限600mg(最高750mg)処方した場合、1日6錠服用しなければならない。これは今の時代、いかがなものかと思う。200mg錠が発売されれば便利だし、あんがい売れるような気がする。

ルーランは4mg錠と8mg錠しかない上に細粒が発売されていない。これは大きな制約といえる。なぜならルーランは48mgまで処方できるので、最高量だとやはり6錠処方せねばならないからである。大日本住友製薬は16mg錠か24mg錠を発売すべきかもしれない。

臨床上、処方する方から見ると剤型はたくさんあった方が良いが、病院から見るとそうでもない。もし1つの薬物にあまりにも多様な剤型があったとしても全種類は揃えられないからだ。

なぜ揃えられないかというと、主に2つ理由がある。1つは薬局の分包機の皿が有限なこと。これはかなり重要である。もう1つは、デッドストックをなるだけ増やしたくないことがある。病院の薬局に準備している非定型精神病薬の総額は大変な額なのである。もし1種類増やしたら、更にデッドストックが増える。

例えば、リスパダールはかなり多くの剤型があるが、たぶん病院により選択していくつかしか置いていないところが多いと思う。

たくさんの剤型が発売されているのに、その病院の剤型の種類が少ない場合、ちょっと不親切な病院と思われる。必ずしも病院から見るとそうでもない、というのはそういうことだ。患者さんはその薬があるのなら、漠然とすべての剤型が揃っていると思っている人もいる。

向精神薬の場合、できれば患者さんに心証が良いように大きな剤型が追加発売されたほうが良い。だから、今回のエビリファイの12mg錠は歓迎できる。1回に服用する錠数が減らせるからである。

参考
ジェネリックの考え方
向精神薬の1日の服薬回数