2007-08-17 17:30:41

ロボトミー

テーマ:精神科一般
ロボトミーを受けたことのある患者さんを、かつて数名、診ていたことがある。1名は、継続的に8年くらい入院患者として診察していた。彼の診断は統合失調症であったが、病状的には平凡な情意の減弱状態で目立つような症状もなかった。もしこの患者さんはロボトミーを受けたという情報がなったなら、それに気がつかなかったかもしれない。

彼のCTでは前頭葉に両側性に「切れ込み」が入っているような所見があり、これがロボトミーの手術による傷と思われた。場所的にはシルビウス裂あたりであったが手技がどのようなものなのか、情報がなかった。

ロボトミーは戦前の1935年、ポルトガルの神経科医エガス・モニスが外科医と組んで世界で初めて行った。終戦後、モニスにノーベル生理学・医学賞が与えられている。ある時期、ロボトミーは世界的に行われたが、副作用が大きいことと、その後、薬物療法が進歩したこともあり、1975年以降はほとんど実施されていないはずである。

僕の患者さんがロボトミー手術の前にどのような症状だったのか、情報が不備であまりわからなかった。ただ、そういう手術をしたくらいなので、相当に病状が悪かったのではないかとは思っていた。

彼は、日常、「今日の晩御飯は何かな~?」くらいの関心しかなかったような気がする。それほどまでに空虚な病棟生活だった。時々、不機嫌の日がみられたが、それが統合失調症によるものか、あるいはロボトミーによる副作用なのかはわからなかった。それでも暴力を振るったり、大声を出したりは全然なかった。それなりに扱いやすい患者さんではあったのである。

彼は、今、どうしているんだろう?
ひょっとしたら、もう亡くなっているのかもしれない。

コメント

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1 ■ロボトリー・・・

初めて聞きました。この手術は、昔精神科で行われていた手術なのですか?
精神的な病の時、有効な手術とされていたのでしょうか?
でも、この手術をしても、また精神的な病が発病してしまうのですね^^;
人間って複雑ですね。

2 ■ロボトミー

精神病が発病するのではなく、もともとの病気が残っているのです。完治させるものではないですし。昔は統合失調症だけでなく、難治性のうつにも使われていたようです。

3 ■ロボトミーでしたね^^;

うつにも使われてのですね。
前頭葉にキズが入ると、性格も変わってしまいそうな気がしました。

有難う御座います。

4 ■無題

前頭葉は社会性を担っている部分ですから、そこにメスを入れるとなると余計に悪影響が出そうな気がしますが、、、
暴力的になるとか、確か人間で実例が存在したような。

5 ■無題

戦前までロボトミーをしてたのは知ってましたが、前頭葉に手を入れてたのは知りませんでした。
自分が読んだ本では「左脳と右脳を繋げる脳幹を切除する」みたいな記述だったような?

6 ■映画のワンシーンを

思い出しました。牢屋に閉じ込めていた患者さんの額を切開して、前頭葉に傷をつける手術するシーンです。術前と術後の変わり果てた姿に、少し恐怖を感じました。すごくリアルで、ノンフィクションだと直感で思いました。

7 ■全然関係ない話ですが・・・

うつ病を4年患っている者です。ルボックスを単剤で、200mg飲んでいたのですが、一向によくならず、2ヶ月ほど推移していたのですが、四環系のテシプール6mg追加したところ、まるでそれまでが嘘のように劇的に回復しました。社会復帰も目前です。「抗うつ薬は単剤で!」というのはもちろん原則ですが、私のような例もあるので、今苦しんでいる方たちの参考になればと思い、投稿してみました。先生も過去にそういう症例に接したことはありますか。何かコメントをいただければ、幸いです。失礼いたしました。

8 ■無題

ロボトミィ全盛期に比べて今は脳のメカニズムがかなり解明されているのに。どうしてロボトミィは復活しないんだろうかと思います。

9 ■>>わっふる、harashow

ウィキペディアにも「精神外科」という名前で詳しく出ています。

10 ■>>サトちゃん、wingseed-1975

僕たちは、手術前、その後を比べた世代ではないので、よくわからないですね。統合失調症の人よりは、うつ病で後遺症が残った人には恨まれたのではないかと思います。

手術を実施して脳の病気を治すほどは、まだよくわかっていないと思う。

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