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このブログは精神科全般、旅行、音楽、スポーツなどについての日記です。始めて既に10年以上経っているため、過去の記事には、現在のルールに沿わないものがあります(適応、処方制限など)。精神科に関する疑問は過去ログのどこかに記載していることが多いので検索してみてください。(○○ kyupin でググる)

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)
kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)

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2017-04-28 20:55:13

統合失調症の患者さんの体重が増加する意味について

テーマ:精神疾患

統合失調症の人が初めて初診する際には、標準体重より痩せていることが多い。もちろん例外はあるが一般的にはそうである。

 

かなり昔、たぶん30年くらい前だが、中国の精神科病院の映像をテレビで観た。概ね痩せ細っていて、どのくらい治療されているのかも定かではなかった。ひょっとしたら収容されているだけだったのかもしれない。

 

統合失調症で緊張病状態などでは、興奮、昏迷にかかわらず碌に食べないことも稀ではなく、初診直前に痩せているのは自然である。

 

治療を開始すると、次第に食事が摂れるようになるので体重がゆるやかに増加する。これは効果の一部が目視できるわけで、表情などの改善なども含め、体重増加は良い結果と捉えられることが多かった。これは今でも基本的には同じである。

 

当時、特別に体重増加を来す薬がなかったわけではなく、旧来のフェノチアジンのコントミンなどは体重増加を来しやすいとされている(個人的にはそれほどではない印象)。それに対しセレネースやトロペロンなどのブチロフェノンは薬自体の体重増加作用は大きくない。

 

重要なのは、ここ20年くらいで発売された非定型抗精神病薬は、旧来の薬に対し体重増加を来しやすい薬が多いこと。これは錐体外路症状を弱めることや陰性症状に効果的である作用機序の代償のような感じになっている。また日本人については、このタイプの薬に弱く、西洋人に比べ体重増加のため糖尿病を来しやすい。

 

そのような理由で、ジプレキサとセロクエルはおそらく日本でのみ糖尿病に禁忌となっている。

 

非定型抗精神病薬で体重増加を来しやすい薬は、薬剤性の過食なども生じうるため、精神症状の改善によるものと薬剤性による体重増加が2重に起こる。そのために激太りという好ましくない事態になる。

 

これは結果的に、本来の良い結果と捉えられた体重増加を台無しにしているが、程度にもよるが体重増加を来しても精神病状態が良くなる方が遥かに良い。ここが、いわゆる反精神医学的な考え方の人たちが理解できない点である。

 

統合失調症でも中核群と呼べる古典的精神病状態を放置すると、精神が荒廃し、人としての生活が成り立たなくなる。また、容易に後戻りがきかないことも重要である。

 

真に荒廃している人は打つ手がないが、それでも服薬している方が看護が楽だし、他の人への迷惑行為が減るので、特に入院している活発な症状を持つ人は結構な用量を服薬していることが多い。また、年配で未だにそのレベルにある人は標準体重か痩せていることすらある。エネルギーを消費する戦いが続いているからであろう。

 

回復期に体重が緩やかに増加するのは、いくつかの要素があり、1つは上に挙げた食欲が回復すること。2つ目は、それまで脳内で異常体験や恐怖、不安、疑念などのために消費していた無駄なエネルギーが費やされなくなるのが大きい。(治療の結果、交感神経優位から副交感神経優位になったため体重も増加したという理解も良い)

 

興奮はともかく、昏迷はほとんど動けないため運動の面でカロリー消費が多かったわけでは決してない。服薬により脳の燃費が著しく改善し、その結果、体にカロリーが行きわたるのである。これに薬剤による体重増加作用が加わる。

 

次第に進行し慢性期になると、脳の燃費が改善したのは良いが空虚で不活発になるので、思考的にも身体的にも消費エネルギーが減少する。また、中年以降では代謝も低下するため、この水準の人たちは肥満している人の方が多い。これが古典的な戦いをほぼ終えた統合失調症の患者さんの姿だと思う。

 

また長期に入院している患者さんの場合、もちろん運動不足も影響する。

 

今回の記事は統合失調症の人(特に中核群)を想定して記載している。診断がうつ病、躁うつ病、広汎性発達障害などの人では状況が異なる。それは近年は精神疾病の多様性がみられ、過食など他の状況が体重へ大きく影響するからである。また広汎性発達障害などの人では、薬剤性に敏感なため、それらの影響が強く出たりする。

 

精神疾患全てが多様化しているため、以前より体重増加を避けるといった制限のある治療は難しくなっているのである。(一応、それに注意して治療を進めましょうくらいは自分は伝えている。特に女性や体重増加を気にする人)

 

参考

人生として成立していないほどの精神状態

薬剤性肝障害

抗精神病薬と体重増加 (古い記事)

抗うつ剤の体重増加について (古い記事)

精神科入院と体重の減量

105kgから62kgまで減量した人 (この患者さんは現在59㎏である)

体重の減量のテクニック (2008年の総論的な記事)

 

 

 

 

 

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2017-04-26 23:33:09

転院のため紹介状を書いた後も何度か受診する

テーマ:精神科受診マニュアル

先日、精神科病院やクリニックを受診してもその日に診てもらえず、待機せねばならない話をアップしている。普通、精神科以外の内科や外科だと、よほどの専門性の高い病院以外、その日に診察してもらえないことなど滅多にない。

 

ところが、単科の民間精神科病院でも初診日に診てもらえず、予約しか受け付けない病院が少なからずある。その予約日も、他の病院を探した方が良いくらいの日数である。

 

精神科はスティグマもあるのか、さんざん悩んでやっと受診を決断する人もいて、初診日にすぐに入院した方が良いほど悪化していることがある。

 

時に待たされているうちに自殺既遂も起こる。この自殺既遂は、もちろん新患をその日に診なかった病院やクリニックの責任ではない。だって、まだ診ていないのに。

 

そんな予測などできないでしょう。

 

と言ったところだ。

 

新患を診ると言う点では、クリニックはもっと厳しい。新患を一切受け付けず、再診患者のみ診ているクリニックが存在する。これは新しい患者が入ってくると、再診の患者さんを診る時間が減るとか、医師が体力的に難しいとかそのような理由のようである。

 

新患患者は、その日、診察にかかる時間を考慮したコストに見合っていないというのが相当にある。その理由は、再診患者は5分かければ法的には問題ないからである。新患とは大違いである。

 

そういうこともあり、進学や就職、転居などで紹介状を書いたはずの患者が、その後も数週間ないし数か月、再診することも良くある話で、いつのまにか、

 

進学はしたけど、今のままうちの病院で診察を続けましょうか?

 

という笑えない話になる。その距離約200㎞だが、1か月に一度なら通えるという。まあ人にもよるが。

 

精神科病院の場合、入院患者の診療にも時間がかかるので、外来の部分だけとってみてもかけられる時間は有限だし、概ね診察できる人数も上限は決まっているようなものだ。(つまり自分が診ているカルテ数)

 

元々、精神科は身体疾患の科に比べ、診る入院患者数が多いのである。(これは国が決めている)

 

精神科は徐々に患者が増えているので、このような事態も、特に都市部では仕方がないと思う。(精神科では新患をその日に診られない話)

 

参考

土曜日の外来

 

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2017-04-24 23:56:18

2017年6月エビリファイのジェネリック発売

テーマ:エビリファイ

今年6月にエビリファイのジェネリックが発売される。このブログはエビリファイが発売されたばかりの頃、始まったが、もうジェネリックが発売されるという。

 

なんと、時が経つのは早い。

 

エビリファイは徐々に効能効果が拡大された歴史があり、ジェネリックが発売されても当初は統合失調症しか適応がないようである。

 

特に未成年でも小学生以下だと統合失調症となかなか診断できないと思うので(適応外処方としても)、ほとんどが先発品が処方されると思う。

 

国もジェネリックを推進したいのなら、この辺りの適応も速やかに広げてほしいものだ。

 

ジェネリックは薬にもよるが、出来不出来が相当にあり、ジェネリックに変更直後、何らかの異常が多数現れることがある。これは賦形剤にも特許があり、ジェネリックの会社が一様に同じものが造れないことも関係している。

 

今回も賦形剤とは関係がないが、エビリファイのOD錠は先発品とはかなり形状が異なるようである。先発品のエビリファイODはザイディスに非常に似ているが、この形状は特許なのでジェネリック医薬品は採用できない。したがって、表面がハードタイプのOD錠になると思われる。(先発品と同様に効くのなら問題ない)。

 

大塚製薬にとって、自社開発品エビリファイのジェネリック発売は大打撃だと思う。大塚製薬は元々、向精神薬をほとんど発売していなかったので、他に高い収益が見込める柱になる向精神薬がないからである。イーケプラがあるが、これは海外からの導入品で自社開発品ではない。

 

なお、大塚製薬はREXULTI®(レキサルティ)一般名:ブレクスピプラゾールという新しい非定型抗精神病薬がアメリカFDAに2015年夏に承認されている。ブレクスピプラゾールが日本発売できるまでまだ時間がかかりそうである。

 

世界的に日本はいくつかの非定型抗精神病薬を発売しており、今後も発売される見込みなのは、製薬会社の創薬技術の高さという点で十分に先進国だと思う。

 

現在、エビリファイ、ルラシドン(ラツーダ)、ブレクスピプラゾール(レキサルティ)が世界で発売され、おそらく日本だけで発売されている非定型抗精神病薬として、ルーラン、ロナセンがある。また、ジプラシドンは海外で創薬された非定型抗精神病薬だが、骨格としてはセディールが基礎になっている(過去ログ参照。ジプラシドンは世界の非定型抗精神病薬の中で最も体重増加がない薬とされているが、実はロナセンではないかという記載がある)。

 

なお、ブレクスピプラゾールのアメリカでの適応は、発売当初から統合失調症と成人の大うつ病(MDD)補助療法である。近年の非定型は統合失調症と双極性障害ないし、うつ病の補助療法として処方できるものが増えている。

 

大日本住友製薬によるラツーダは日本での治験に失敗しており、とりあえずすぐには発売されない。今後、発売されるとしても相当に時間がかかりそうである。

 

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2017-04-22 20:00:00

待ちネコ

テーマ:動物(旅行以外)

 

これは路上で偶然遭ったネコ。たぶんノラネコ。

 

このように電信柱の横でこんな風に足を揃えて座っていると、誰か待っているように見えるのよね。

 

 

なかなか正面の写真が撮れない。キジトラの前足の模様が左右ぴったり合っているのに注意。

 

逃げようとしないので、いっそう誰か待っているように見える。

 

ひょっとして、この猫、あまりかわいくないのかも?

 

それにしても、よくもまあ、同じような写真が撮れると思うよ。

 

(ソニースマホZ3で撮影。圧縮済)

 

 

 

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2017-04-20 21:41:55

広汎性発達障害+うつ状態の亜昏迷

テーマ:広汎性発達障害、アスペルガー症候群 

過去ログに亜昏迷にはさほど疾患性がないという話が出てくる。今回は広汎性発達障害に伴ううつ状態の経過中、亜昏迷に至った女性の話。

 

亜昏迷になると、その程度にもよるが不注意、些細なことの失敗、物忘れ、不活発(思うように動けない)などが出てくるので、周囲の人もいつもとは異なることに気付く。人にもよるが、食事もあまり摂れなくなる。

 

入院が必要なレベルだと、とりあえず入院治療を行うほかはない。特に希死念慮が強い場合、どんなことでも起こりうる。

 

真の昏迷では動けない上に決断まで至らないので、一見、かえって安全のように見えるが、そうではない。

 

その理由は過去ログにもあるが、「昏迷」と「緊張病性興奮」はコインの表裏のようであり病態的に近接しているからである。位相が変わった瞬間、自殺既遂もありうる。

 

ある時、亜昏迷に入りかけた広汎性発達障害+うつ状態の女性患者が再診した。前回と著しく病態が変化しており、本人によると、希死念慮も強いらしい。また、ここのところほとんど食事を摂れていないという。周囲の人の話も全然頭に入って来ないし、テレビを観ても理解できないと言う。

 

また、身体的には振戦がみられていたが、これは昏迷ないし亜昏迷が、いわゆる「悪性症候群」の近縁の病態なので振戦が生じてもおかしくない。

 

そこで、まだ会話もなんとかできる程度だったため、外来でアナフラニールを行うことにした。過去にアナフラニールを実施したことがある患者さんだったので、副作用の程度も予測できるし、効果も十分に見込めると思った。

 

初日、アナフラニールの半アンプルと250mlのブドウ糖を1時間10分くらいで点滴し帰宅させた。

 

翌日再診したところ、驚くほど改善しており、本人も久しぶりに十分に食事が摂れたことや家事ができたことを喜んでいた。今後、2日に1度くらいのペースで点滴を続けるように勧めた。

 

なんと、亜昏迷だったのに、2週間後には職場に戻れたのである。

 

過去ログにはこのような病態では、単にブドウ糖の点滴だけでも有効と記載している。なお、このブログ的には一般的な悪性症候群の概念は存在しない。

 

(おわり)

 

参考

短期決戦に構える

悪性症候群の謎

悪性症候群の謎(補足)
アトピーによる精神病状態
リーマス中止による奇跡的病状安定についての考察
精神症状身体化の謎

 

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