今月号の惡の華の感想 | 痛い院生のアニメブログ

今月号の惡の華の感想

「惡の華」がとてもよかったです。
セリフが一言もない話で一見抽象的な話かなと思いきや、読んでみると感覚的にはすごくわかりやすい。

【ネタバレ】
単行本三巻に登場する夢の中の「"惡の華畑"」が、今回では「一面普通の花畑」に変わっています。花の変化は青春期早期(?)と青春期晩期(?)の内面のメタファーかなと思っているのですが、晩期の花畑の世界には、巨大な"惡の華"が一輪そびえ立っており大量の花びらを散らしています。

花畑は抜けられない地元の象徴であり、副次的なかつての佐伯さんの象徴であり、現在の常磐さんの象徴(そしてまた大人になっていく自分の象徴?)なのでしょうか。一方で惡の華は、かつて想像していた外の世界の象徴であり、かつての(そして今も?)仲村の象徴なのでしょうか。

その仮定が正しいのであれば、春日の中には仲村の存在が深く息づいていて、しかも大量の花びらを散らしてる(あるいは枯れつつある)。

でも一方で仲村は(惡の華の象徴である)人間が持つある種の情動(≒悪徳/根源的な性衝動)が収束しつつあり、銚子の海でみつめる太陽の昇沈に自然的輪廻観に美意識を見出し続けています(ここ適切な表現が見つかりませんでした・・)。

夢の中で、世界が回り続けてる(時間が進んでいるのに)仲村だけが歳を取らないのは、自転している自分(老いる自分)と、止まっている太陽(仲村)を意味しているのでしょうか。

いやぁ、でもやっぱり惡の華は言葉にすると急に陳腐になりますね。
もっと抽象的に受け取ったほうがいい漫画だと思います。

なんとなくそんなことをぼんやりと考えながら読んでいました。