2012-02-06 18:49:02
仮設住宅と民間賃貸住宅... スタッフが見た格差
テーマ:NICCOスタッフ
ご存知の通り、宮城県名取市は他地域より比較的復旧が早い被災地です。4月には仮設住宅建設が始まり、並行して「家賃補償(上限付)」が 発表されてから、避難所の人々は「狭い、遠い、不便な、仮設なんかより」と競争するように不動産廻りを開始し、町内会単位での仮設住宅入居を断って、民間賃貸住宅(以下:民賃 と称す)空き物件へ入居していく方々が多かったのが特徴的です。その動きもあって名取市仮設住宅は希望者全員を入居させられる目処が立ちました。5月GWから仮設住宅へ町内会単位で順次入居開始となり、毎週末に避難所から引っ越しがありました。6月第1週には避難所閉鎖が相次ぎ、2週目には完全閉鎖となりました。
その後、市行政としては被災者も日常の地域生活、地域活動を行うことに位置づけ、各仮設住宅の自治会発足のお手伝い等も積極的に行なってきました。民賃住民の方々へは「広報なとり」発行や名取市HP、名取災害FM放送「なとラジ」等を通して震災被災による行政サービス等の情報提供を行なっています。
現在、名取市では被災者(罹災証明書を持つ方々)全体で約7000人余り。9ヶ所ある仮設住宅団地には県外避難者や福島原発避難者なども合わせて約2000人余りが暮らしています。一方、民賃に暮らす住民はその倍にあたる約4000人以上が暮らしています。
当初から多くのボランティアや支援団体が日本中から集まり各分野での専門的支援やニーズに合っていたりミスマッチだったり...の様々な支援活動を展開してきました。被災者へ支援提供…その足掛かりの多くが「仮設住宅へ行くこと」だったように思います。外部支援者が被災者と逢いたい、話したい、支援を提供したいという活動ニーズは「仮設住宅」へ行く事で一致出来ていましたし、活動規模もその程度の支援が圧倒的多数でしたので、結果的に地域民賃に暮らす住民が恩恵を受けられず、蚊帳の外になってしまっていた現状は否めません。多くの支援関係者は、名取市の同じ被災者が仮設住宅住民の2倍が地域民賃に暮らしている事実など、知らなかっただろうと思います。
ではなぜ格差はあるのでしょう…それは「個人情報保護の壁」と「市行政のコーディネート不足」です。例えば■■アパート○号室の被災者○○さん宅へ支援活動提供が叶わないのは、外部支援団体の人間には当然教えることが出来ない、地域に暮らす住民の個人情報であるから。また、爆発的に押し寄せる民間の支援活動提供申し出も、あくまで自治会等で地域活動を主体に行なって頂くという行政の姿勢の中、地域へ散らばった民賃住民(被災者4000人以上)全体へ情報提供も支援提供振り分けも出来ずに、日々、多業務に追われていた市行政。そのため、支援団体や民間での各活動が仮設住宅集中型となっていったのは、あの当時は自然な、でも苦しい現実です。
昨年春~夏には名取市でもこうした多くの支援活動が展開されており、その中で地域民賃住民の方々からは当然ながら支援格差(支援を受けられていないこと)に対して嘆きや苛立ち、怒りの声があまりにも多く聞かれていました。
「支援物資も有名人も、そうした情報もなんにも来ない」
「私たちは何も知らされないし、終わった後で○○提供や○○配布が有った、と聞いて初めて知るんだ」
「私たちも同じ被災者なのに、みんな仮設ばっかり行っちゃうから、置き去りにされてんだよ」
「仮設の人は何でも貰えてイイだろうけどね、私たちは全部買って揃えなきゃなんないんだ」
「市役所行ってもHPに載ってますって…パソコン有ったら見てるわ!みんな流されたんだって」
同じ被災者なのにその恩恵を受けられない現実は、民賃から仮設住宅への引っ越し希望者が出る一面もあり、対応の遅さとお役所仕事に多くの被災者の不信感と呆れ、やがて強い怒りになって市行政へ向けられていました。
震災から半年ほど経過した昨年の秋頃からは、炊き出し等の単発的支援より継続的な支援活動が地域ニーズであり主体となってきました。NICCOスタッフの私としても名取市保健センター主催「健康関係支援団体合同会議(定期開催)」の場や、市社協委託の「名取復興支援センターひより」へ出向き、仮設住宅支援以外の現状を問題提起していました。ちなみに、復興支援センターひよりは、主に仮設住宅自治会と外部支援団体との間で調整役を担っており、生活支援相談員が各仮設住宅へ常駐配置され、自治会負担軽減を図っております。その働きもあって仮設住宅支援、名取市の小中学生を対象とした心のケア「スカイルーム」 をはじめとした継続的活動の安定実施が定着していきました。
前述の民賃の現状は、名取市も認識しており「仮設住宅支援課」から「復興生活再建課」が設置され、NPO法人や社会的企業に委託する等で事業対応しているようです。昨年冬から、民賃住民へ往復はがきが郵送され、名取市市民体育館で冬季寒冷対策の支援物資配布会を定期開催し、やっと支援物資提供の一端を民賃住民へ届けられたようですが、一部の住民のみ受け取れた…などと疑問の声が出ているのも見過ごせません。すでに1年が経とうとしている現在ですが、市行政発信拠点となるセンターのような部署も設置されており、限られた人員でありながら急務である認識を持ちつつ、市行政も一歩ずつ確実に進展しているところです。
(報告者:NICCO 名取事務所 看護師/心理カウンセラー 宗貞研)
その後、市行政としては被災者も日常の地域生活、地域活動を行うことに位置づけ、各仮設住宅の自治会発足のお手伝い等も積極的に行なってきました。民賃住民の方々へは「広報なとり」発行や名取市HP、名取災害FM放送「なとラジ」等を通して震災被災による行政サービス等の情報提供を行なっています。
現在、名取市では被災者(罹災証明書を持つ方々)全体で約7000人余り。9ヶ所ある仮設住宅団地には県外避難者や福島原発避難者なども合わせて約2000人余りが暮らしています。一方、民賃に暮らす住民はその倍にあたる約4000人以上が暮らしています。
当初から多くのボランティアや支援団体が日本中から集まり各分野での専門的支援やニーズに合っていたりミスマッチだったり...の様々な支援活動を展開してきました。被災者へ支援提供…その足掛かりの多くが「仮設住宅へ行くこと」だったように思います。外部支援者が被災者と逢いたい、話したい、支援を提供したいという活動ニーズは「仮設住宅」へ行く事で一致出来ていましたし、活動規模もその程度の支援が圧倒的多数でしたので、結果的に地域民賃に暮らす住民が恩恵を受けられず、蚊帳の外になってしまっていた現状は否めません。多くの支援関係者は、名取市の同じ被災者が仮設住宅住民の2倍が地域民賃に暮らしている事実など、知らなかっただろうと思います。
ではなぜ格差はあるのでしょう…それは「個人情報保護の壁」と「市行政のコーディネート不足」です。例えば■■アパート○号室の被災者○○さん宅へ支援活動提供が叶わないのは、外部支援団体の人間には当然教えることが出来ない、地域に暮らす住民の個人情報であるから。また、爆発的に押し寄せる民間の支援活動提供申し出も、あくまで自治会等で地域活動を主体に行なって頂くという行政の姿勢の中、地域へ散らばった民賃住民(被災者4000人以上)全体へ情報提供も支援提供振り分けも出来ずに、日々、多業務に追われていた市行政。そのため、支援団体や民間での各活動が仮設住宅集中型となっていったのは、あの当時は自然な、でも苦しい現実です。
昨年春~夏には名取市でもこうした多くの支援活動が展開されており、その中で地域民賃住民の方々からは当然ながら支援格差(支援を受けられていないこと)に対して嘆きや苛立ち、怒りの声があまりにも多く聞かれていました。
「支援物資も有名人も、そうした情報もなんにも来ない」
「私たちは何も知らされないし、終わった後で○○提供や○○配布が有った、と聞いて初めて知るんだ」
「私たちも同じ被災者なのに、みんな仮設ばっかり行っちゃうから、置き去りにされてんだよ」
「仮設の人は何でも貰えてイイだろうけどね、私たちは全部買って揃えなきゃなんないんだ」
「市役所行ってもHPに載ってますって…パソコン有ったら見てるわ!みんな流されたんだって」
同じ被災者なのにその恩恵を受けられない現実は、民賃から仮設住宅への引っ越し希望者が出る一面もあり、対応の遅さとお役所仕事に多くの被災者の不信感と呆れ、やがて強い怒りになって市行政へ向けられていました。
震災から半年ほど経過した昨年の秋頃からは、炊き出し等の単発的支援より継続的な支援活動が地域ニーズであり主体となってきました。NICCOスタッフの私としても名取市保健センター主催「健康関係支援団体合同会議(定期開催)」の場や、市社協委託の「名取復興支援センターひより」へ出向き、仮設住宅支援以外の現状を問題提起していました。ちなみに、復興支援センターひよりは、主に仮設住宅自治会と外部支援団体との間で調整役を担っており、生活支援相談員が各仮設住宅へ常駐配置され、自治会負担軽減を図っております。その働きもあって仮設住宅支援、名取市の小中学生を対象とした心のケア「スカイルーム」 をはじめとした継続的活動の安定実施が定着していきました。
前述の民賃の現状は、名取市も認識しており「仮設住宅支援課」から「復興生活再建課」が設置され、NPO法人や社会的企業に委託する等で事業対応しているようです。昨年冬から、民賃住民へ往復はがきが郵送され、名取市市民体育館で冬季寒冷対策の支援物資配布会を定期開催し、やっと支援物資提供の一端を民賃住民へ届けられたようですが、一部の住民のみ受け取れた…などと疑問の声が出ているのも見過ごせません。すでに1年が経とうとしている現在ですが、市行政発信拠点となるセンターのような部署も設置されており、限られた人員でありながら急務である認識を持ちつつ、市行政も一歩ずつ確実に進展しているところです。
(報告者:NICCO 名取事務所 看護師/心理カウンセラー 宗貞研)
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