先斗町、鴨川床。
テーマ:折々の京都先斗町は、木屋町通りと鴨川の間を南北に抜ける、狭い路地の繁華街である。
四条通りの賑わいに気をとられていると、つい見過ごしそうな小さな入り口だ。
長さは五百メートルあまり。四条通りから、三条通りを一筋南に入る所まで。
路の中央には、短冊形の切石を斜めに配した石畳が敷かれ、奥へと導く。
そして両側には、さまざまな顔の飲食店が所狭しと建ち並んでいる。
見上げれば、工夫を凝らしたネオンや看板が、赤、緑、青と光り、
主張している。つらつら、見て歩くだけでも飽きがこない。
木屋町側(西)の店を見ていると、所々に路地がふっと現れる。さらに細く暗い。
そのまま木屋町通りに抜けられたり、どん突きになっていたり‥
そしてそこでも、飲食店が誘いの明りを灯している。
古く花街として有名なこの路には、凛とした女将を思わすような、
美しい、京町屋のしつらえのお茶屋が多く、軒を並べている。
だが、今はそれを取り囲むように、若者を意識した、
新しい感覚の「美味しいもの屋」も多い。
京料理はもとより、フレンチ、イタリアン、中華、創作料理と。
鴨川の床遊びに、創作料理を組合せた「美味しいもの屋」。
とあるSNSのオフ会である。
参加者30人。21歳から51歳まで、男女いろいろな職種の人が集った。
京都だけでなく、奈良から、大阪から、名古屋から。
夜8時からのゆっくりとした始まり。
京都以外から仕事を終えて駆けつける人にとってはありがたい。
鴨川の床での納涼は、イメージほどには涼しくない。
五条橋近くの老舗料理屋での床ならまだ広さもあって、
多少は風通しも良いが、それでも、クーラーに慣れた者には暑い。
まして、狭い間口で密集した床では、隣家との仕切りの簾が
風の通りを妨げたり、場合によっては
室外機のムーッとした空気に晒されることもある。
されど、それも酔いがまわるまでの一時のこと。
飲むほどに、食べるほどに、話すほどに、笑うほどに‥
「場」は、楽しい“風”に包まれて、和んで行く。
人と人との出会いは、楽しい。そして、素晴しい。
昨日までは、隣に座っていても話すことのない、
職種や年齢の人と出逢い、
自分では、選ぶことのなかった店に行き、楽しい一時を過ごす。
人から学び、人によって気持が開かされることも多い。
オフ会といいながら、新しい出会いに、心は“オン”になっていく。
鴨川の床での納涼は、イメージほどには涼しくない。
されど、それも酔いがまわり、心が“オン”になるまでのこと‥
(2007年08月09日記載)







