結構な思い入れがあるSB南洋邪術片「種鬼」 | ビバ!アジアン映画好きな日々

ビバ!アジアン映画好きな日々

好きなアジアン映画(主に香港・台湾映画)をメインに時々邦画洋画をだらだらネタバレ込みでレビューするブログです。
一応キョンシー系サイトを共同で開いています。
興味がありましたらお立ち寄りください。
http://www35.tok2.com/home/kyonsy/

ここ最近、SBの南洋邪術映画が続いてきたので、とりあえず締めと言う訳でもないけど次は別の映画のレビューをするという意味も込めて、今回レビューするのが「種鬼」。

 

まだ南洋邪術片をあまり理解できていない頃であり丁度輸入盤を手当たり次第漁っていた時に見つけた作品で、当時は新商品として売り出されていた香港盤をゲットしたのが始まりで、まだこの頃はリージョンフリーのプレイヤーも据え置きのプレイヤーで配線とかの都合上自由に観れなくて半ば埃にかぶっていたんですな。

 

でまぁ、その後見る事が出来てグロさエロさも中々で最後のクリーチャーも良い意味で気味悪くて何度もリピートした記憶がある。

 

ただ、例によって日本語字幕が無いので今でも一部理解できていないんだけど、それだけ思い入れのある作品を今回レビューしようと思います。

 

ストーリー

墓地で墓を掘っている男が一人。

この男は墓を暴いて死体を掘り出そうとしていたが、村人に見つかって追われる羽目に。

すると一台のタクシーがやってきて墓暴きを轢いてしまう。

 

主人公のチョウ

運転手のチョウ(演:高飛(コー・フェイ))は驚いて車を降りるが何もない。

首をかしげて車を発進させると後部座席にさっきの墓暴きがいた。

 

妖しい妖術師

驚くチョウを尻目に、妖術使いである自分はあれしきでは死なないと言い、自分の家を伝えて送ってもらう。

妖術師(演:易木焜山)は何かあれば協力すると伝えて自分の家に戻っていった。

 

翌日、チョウは妻のアイリーン(演:玄智慧)を仕事場まで送り届ける。

 

ディーラーのアイリーン

アイリーンの仕事は賭博場のディーラー。

 

常連客のファン

今日もカードを切っていると、そこの常連であるファン(演:徐少強(チョイ・シウキョン))の目に留まる。

 

デートする二人

ファンはアイリーンに食事を誘う事を皮切りにデートへ誘うようになり、アイリーンもファンの情熱に身を任せるようになる。

 

ファンの嫁(右から二人目)

だが、ファンもアイリーン同様既婚者であり、嫁(演:衛加文)がいた。

 

デート中にアイリーンはファンに離婚するよう迫るが、それを切っ掛けに喧嘩別れする。

 

さらわれるアイリーン

アイリーンはチョウに連絡を取って迎えに来てもらおうとするが、その直後二人の暴漢(演:洪新南、符凌基)に襲われてしまう。

 

転落して死亡したアイリーン

廃墟の屋敷に連れ込まれ、アイリーンは抵抗するがその拍子に手すりから落下、忍び返しに刺さって死んでしまう。

 

アイリーンと待ち合わせしていたチョウはタクシー本部からの連絡を受け、現地へ急行するもそこにはアイリーンの無残な姿があった。

 

疑いをかけられるチョウ

後日、チョウはアイリーンの死亡届を提出する為に警察へ向かうが、容疑者として疑われることに。

チョウは無実を訴え、また警察は独自の調査からファンと不倫をしていた事、そしてチョウが現場へ向かう際にすれ違った車から暴漢の二人組まで居場所がわかり捜査の手が伸びる。

 

事実がばれる前に襲撃を試みる二人

二人組は罪がばれる前にチョウを始末しようと待ち伏せして襲い掛かるも返り討ちに遭う。

 

チョウは返り討ちにした勢いでファンに襲い掛かるも逆に返り討ちに遭って右足を砕かれてしまう。

 

自身一人の力ではどうにもならないと悟ったチョウは先日タクシーで拾った妖術師の元へ向かい、復讐の依頼をする。

 

妖術師に報復を依頼するチョウ

妖術を復讐に使う事は己を破滅に向かわせることになると諭すが、チョウは壺を叩き割り、復讐を手伝わないなら盗んだ人骨を警察に届けると脅迫。

 

破滅することに躊躇いも後悔もないチョウの意思をくみ取った妖術師は妖術を行う為にアイリーンの遺体を掘り出しに向かう。

 

術により遺体を自宅に持ってきた妖術師は早速妖術を施す。

 

この妖術により、暴漢の二人とファンの周りに異変が起きる。

 

呪いのよっておびき出された暴漢

まず暴漢二人組はそれぞれ呪いに侵され、一人は転落死、一人は妖術師の家に呼び寄せられ憤死する。

妖術師は死んだ暴漢とアイリーンのミイラを性行させる事で、悪魔の子供を宿させようとしていた。

 

呪いにかかったファンの嫁

一方、ファンも妖術の影響で嫁が暴れ出したが、道士(演:謝虹、白文彪)を呼び、原因の追究を試みる。

 

南洋の黒魔術に対抗する道士二人

道士は一連の異変は黒魔術を使う妖術師にあるとわかり、祭壇を作って妖術の解除を試みる。

 

法術合戦に敗れた妖術師

道士の術を感じた妖術師も自身の妖術で対抗し、激しい法術合戦が繰り広げられるが最後は道士の術に敗れ妖術師は爆発四散してしまう。

 

妖術も解け、ファンは安堵する。

そして何事も無かったかのようにファンの妻も目覚め、妊娠している身体ながら友人と自宅で麻雀に興じていた。

 

妖術師すら失い絶望に打ちひしがれていたチョウだったが、唯一残っていたのが悪魔の子供を身ごもったアイリーンのミイラだった。

 

最後の賭けに出るチョウ

チョウは何もかもかなぐり捨て、自身の血液をミイラに投入して最後の復讐を試みる―

 

 

 

と言う事で、とにもかくにも陰惨な何とも言えない南洋邪術片、それがこの「種鬼」なんですな。

 

これまで紹介した「降頭」「勾魂降頭」どこかまだ陽気な所があり、最後は綺麗にハッピーエンドだった訳だが、本作は主要メンバーが悉く死んでしまい何とも後味の悪い終わり方をしている。

日本でリリースされているショウブラザーズの南洋邪術片と言えば、「魔」、「邪」、「液体人間オイルマン」くらいで、後は日本未公開の作品って感じかな。

 

とはいえ、この中で妖術を使う事で破滅する様を描いているのは「液体人間オイルマン」くらいなんだよな。

 

「魔」の場合は巻き込まれ型だし、「邪」は計算しつくされた復讐劇である上に厳密には邪術は関係なかった訳で。

 

妖術を個人的に使う事で返ってくるというのはキョンシー映画でも使われているが、それはこの頃からも使われていた内容だったんだなぁとしみじみ。

 

ただ、唯一ちょっとなぁと思ったのが、今回の話の発端がアイリーンの不倫から始まっている事なんだよな。

チョウはアイリーンが死んでから事実を知ったために恐らく寝取られたと錯覚していた可能性もあるので、そう考えるとちょっと感情移入がしづらい。

 

妖術師とチョウ

役者に関しては主演の高飛は本作以外でも先に挙げた「魔」で主演を演じているし、香港映画を見ている人にとって結構見かける人だと思う。

 

どっちかって言うとバイプレイヤーのイメージが強いかな、個人的には。

 

必殺のダブルドラゴンのラストバトルにて

一番、お気に入りなのは梁家仁(レオン・カーヤン)と共演した「必殺のダブルドラゴン」だったりする。

「サイクロンZ」の役も印象強いけどね。

 

腹をぶち抜かれたファン

続いて今回のメイン悪役とも言うべき存在が徐少強。

 

この人もなんだかんだ役幅が広くて、貴公子みたいな役もあれば速攻で殺されるモブもあり、今回みたいなどうしょうもないクソ野郎を演じる事もある。

 

尚、日本刀が良く似合う香港明星らしい。

 

ちなみにキョンシー作品系では「中華道士」とドラマ版「霊幻道士キョンシーマスター」に出ている。

 

彊屍道長にて

特にキョンシーマスターでは自身の運命を変えるために林正英すら手玉にとって法術を完遂させようとする二面性の強いキャラを演じていたな。

 

養鬼では凄まじい暴れっぷり

また、この手の南洋系作品では「養鬼 悪魔の胎児」でも出演しており、こちらではサワヤカなイケメンスポーツマンだったが、主人公でもある彼女のせいで水子の霊に取りつかれメチャメチャに大暴れする男性を演じている。

 

実は役名が無い二人(多分)

珍しい所では暴漢の二人組の片割れを演じている洪新南。

この前後ではショウブラ俳優としてバイプレイヤーとして活躍し、この後も「ゴッドギャンブラー2」や「プロジェクトA」等有名作品にもモブで出ているみたいなんだが、実は「キョンシーの大逆襲」でアメリカ帰りのメン役で出ていたりする。

 

無線電影のキョンシーの大逆襲に出演

更に実は武術指導も兼任しているとか。

 

後、本作では「プロジェクトA2」の悪徳署長役で出演していた林威(ラム・ウェイ)もモブで出ているみたいなんだが…

 

横を向いている白服の人だと思うんだが…

これかな?

 

メインの女性二人玄智慧と衛加文あまり情報ないんだよなぁ…

調べ方がまずいだけなんだろうけど。

まぁどちらもとにかく惜しげもなく裸体を見せつけるのは間違いない。

 

玄智慧はミス・コリアの称号を持っているという情報を見たんだけど、いつの頃にもらったんだその称号…

 

それはともかく、やはり一番の見どころは最後のモンスターだろう。

 

妖術によってアイリーンの身体で出来た子供はファンの妻のお腹に移動し、勢いよく腹をぶち破って現れる。

 

かなりとんでもない化物

これがまた肉塊というにふさわしいグチャグチャの化物で、しかも触手と牙で身体を貫くは締め上げるは噛み千切るわ、しかも化物自体も酸を出しているのか医者の顔にへばりついた後の医者の顔が焼けただれているというね。

 

暴れるだけ暴れて最後は散弾銃で撃ち抜かれたけど、最後の余韻を見る限りは仕留めきれてないんだろうなぁとも思える感じで締めと言う。

 

とまぁ、とにかくエロい、グロい、暗いの三拍子がテンポよくドドーっと押し寄せる様は観ていて飽きない。

 

最初に買ったというのはさて置いても今なお南洋邪術片と言えばコレ!って言えるくらいの作品だと思うんですよ。

 

今では廃盤で手に入りにくいけど、香港グロ系ホラーではおススメの作品ですね。