レザミ

ミシュランで唯一クラッシックフレンチにカテゴライズされている店、二ツ星のLes Amis。

 

ミシュランが考えるクラッシックとはどういう意味なのか、そんな思いを胸にお邪魔して来ました。ワインペアリングをお願いして、まずはシャンパンから。

 

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小規模な生産者、Bruno Paillard のシャンパン。

 

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通常のシャンパンは15gほどドサージュするところですが、6gしかドサージュしていない、辛口シャンパン。ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネと3種類のぶどうを使っているということで、バランスが取れています。

 

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最初は、グリュイエールチーズの入ったシュー、グジェールと、タイムの香りのフルーツトマトのコンポートを、サクッと軽いパイ生地の上に乗せたもの。

 

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そして、ペストリー担当のCheryl Kohさんが作る、7年ものの酵母の自家製パンに合わせるのは、世界で20軒ほどのレストランしか使うことのできない、Le Ponclet(ル・ポンクレ)の幻のバター。ミルクの量が多くなるように品種改良された通常の乳牛は、17リットルほどのミルクを出しますが、1日に9リットルしかミルクを出さない、古典的な品種の乳牛のミルクからできているそう。

 

「月に28キロしか入荷せず、1日に1キロ使うから、どうしても品切れになってしまう時もある」のだとか。そんな時はボルディエのバターを使うそう。ディナーサービスの時だけ出される、特別なバターの味を試してみると、後味がとてもスッキリしていること。乳酸飲料のような、濃厚な乳酸発酵の香りがあり、口に入れるとふわりと溶けて、しつこくなく、油分がスーッと口の中で消えて、香りの余韻だけが残る。そのことを、レザミグループのエグゼクティブシェフ、Sebastien Lepinoyシェフに伝えると、「通常はバターはミルクを攪拌して作るけれども、このバターはそうじゃなくて、絞ったミルクを槽に流し入れ、自然に浮き上がって来た脂肪分を固めて作るんだ」とのこと。牧草などを食べているため、季節に合わせて味が変わるのも魅力だとか。

 

加熱殺菌されていないのに、少しだけ塩入りのものの方が色が濃いのでお聞きしてみると、「フランスではバターに塩を入れると、『泣く』という表現を使うのだけれど、中から水分が出て、水分が抜けた凝縮した色合いになるんだ」とのこと。

バター一つとっても奥深い、とても面白いです。確かに、塩の入っている方が、濃厚な味わい。塩が脂肪の甘みを引き立たせるだけでなく、水分が抜けて脂肪の割合が高くなっているせいかもしれません。

 

Sebastien シェフの考えるクラッシックの定義をお聞きすると、メインの食材はフランスからのものを使っていること、そして、クラッシックな組み合わせや調理法を大切にしていることだとか。

 

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あわ立てた生クリームをサーモンで包み、たっぷりのキャビアを載せたもの。ディルのピュレ、ホースラディッシュとわさびを合わせたクリームと共に。わさびをそのまま使うのではなく、ホースラディッシュに合わせてフレンチに寄せてから、後味にほんの少しわさびの余韻を感じるように工夫してあります。

 

 

 

Sebastien シェフが2010年に作ったという、シグネチャーの一皿、一番でんぷん質が少ないというフランス産のピンクポテトは、あっさりとした味わい。その上にサワークリームを塗り、花びらの形の先にはチャイブとごく小さなケイパー。そして、花紫蘇とサーモン、そして中心にはたっぷりと10gのキャビア、上にはディルなどのハーブをオリーブオイルで軽く和えたものが乗っています。

 

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こちらには、オーク樽で熟成していない、早飲みタイプのシャルドネと合わせて。

 

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すっきりとした柑橘のような酸が、キャビアのコクと塩気に合います。酵母由来なのか、ややしっかりとした乳製品の香りも感じ、サワークリームとの相性も良かったです。

 

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そして、気づいたのが、花の中心の見えないところに、小さな玉ねぎのみじん切りが一粒ずつ隠されていたこと。一切れ食べるたびに、ちょうど小さな一粒がカリッと感歯に当たり、心地よい食感と驚きを感じるように構成されています。

 

 

そして、シグネチャーのラングスティーヌの一皿。フライパンで焼き上げたという、250gもあるラングスティーヌは身も分厚くてプリプリ感は残りながらも、ふわふわしっとりと焼き上がり、とてもなめらか。薄切りのズッキーニを巻きつけているのは、繊細な身の水分を守り、優しく火を入れるためだとか。

 

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無濾過のオリーブオイルとヒラメの骨を綺麗に洗い、ローストせずにシャロットや玉ねぎなどと一緒に煮込んだというストックを乳化させて作ったソース。小さなチャービルの葉と共に。

 

 

 

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こちらに合わせたのは、2009年のサヴォワのワイン。Altesseというこの地域の独自品種、中でも、最高品質のものができるというMarestel地区のものを使っているそう。口当たりがとても丸く、フルーツの甘い印象が残るもの。干したマンゴーのようなエキゾティックフルーツや、レーズンのような余韻がありました。エキゾティックフルーツと甲殻類の抜群のコンビネーション、この余韻がラングスティーヌの身の甘みを引き立てていました。

 

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ドーバーソールのムニエル、ジュラ地方の黄色ワイン、ヴァン・ジョーヌのソース

 

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冷めないように銅の鍋でまず全体を見せてもらってから、テーブルサイドでサーブされます。表面をこんがりと焼き上げ、ねっとりとした食感のジャガイモとグリーンアスパラガス、旬のジロール茸と合わせて。

 

 

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こちらもヒラメの骨から取ったスープがベース。しっかりと酸味のあるヴァン・ジョーヌに合わせて、コクのあるバターで乳化させたソース。酸味がはっきりと際立つ味わいは、コース中盤の食欲を増進させてくれます。

 

 

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ここで、フランス・ローヌのエルミタージュ地方から、この地域の代表的なぶどう、シラーズ100%のオーガニックワイン。

ダークフルーツの印象がはっきりとあり、動物性のなめし皮や大地の香りを感じます。

 

そして、シャラン鴨は有名なビュルゴー家のもの、電気ショックを与えて、血を肉の中に閉じ込めたままにするエトフェという屠殺方法をとっているため、しっかりとした鴨本来の味わいが楽しめます。ローストした際に出たジュと、小さなドットはチェリーの天然のジュースを煮詰めたもの。サイドには、蕪の間にフォワグラを挟んだもの、鴨の脂で焼き上げたチェリーを添えて。

 

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Sebastien シェフによると、鴨は丸のまま80度のオーブンで1時間20分焼いているそう。何よりも大切にしているのは身の柔らかくて滑らかな食感。「フランス人は皮は食べない人もいるほどだけれど、こっちの人は皮が好きだからそのまま出している」のだそう。ジュの中にはほんのりコリアンダーと胡椒を効かせてあります、こちらはローストする際に塗ったスパイスが自然に落ちて、ジュの中に溶け込んでいるのだそう。

 

 

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大好きなHerve Mons のチーズを提供しているということで、チーズもいただいてしまいました。

 

右から、ブリードモー、エポワス、コンテ、この日届いたばかりという希少なアルプスで作られるチーズのアボンダンス、ロックフォール、モルビエ。

 

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そして、嬉しかったのは、ずっと食べたいと思っていた、カヴァイヨン産のメロンを使ったデザートが出てきたこと。

レモンジュースとわずかな量の砂糖で少しだけマリネしただけという果肉と、ソルベ。ソルベは乳製品が入っているのかと思うくらい濃厚な味ですが、Cheryl Kohペストリーシェフにお聞きすると、ほんの少しのシロップとともに、ミキサーにかけただけなのだとか。

ゼリーはバニュルス。程よい酸味と、エイジングした味が、このカヴァイヨン産メロンのコクによく合います。

 

この流れで提供されたのが、バニュルスと同じ、グルナッシュ100%で作られた酒精強化ワイン。

 

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そして、シュガーボールの中にあんずのパンナコッタ、オリーブオイルで火を入れた後に蜂蜜をかけたあんずに、タイムの葉をあしらったもの、そしてサブレ。

 

 

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ペストリーシェフのCheryl Kohさんと、薦田健太朗エグゼクティブシェフ

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ミントフィリング入りのダークチョコレート、「今の旬のラズベリーの良さを活かしたかった」という、大粒のラスベリーは、酸はあるものの、まろやかな酸で、クリームとのバランス感も最高でした。カヌレは、以前よりも中がしっとりとした印象。

 

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グループエグゼクティブシェフのSebastienさんと。

 

最後にキッチンを見せてもらいました。綺麗に磨き込まれたキッチンは、すべて直火を使っているのだそう。

 

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抜群の安定と安心感が楽しめる、クラッシックフレンチです。

 

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■Les Amis(レザミ)
営業時間:ランチ 12:00~13:45L.O.、ディナー 19:00~21:00(L.O.月曜~木曜)、18:30~21:00(L.O.金曜~日曜)、無休
住所:1 Scotts Road, #01-16 Shaw Centre, 228208
電話:+65  6733 2225
アクセス:MRTオーチャード駅徒歩2分

 

 

 

 

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