FUJITA'S BAR
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2017-07-14

映画 「人生タクシー」

テーマ:洋画

たまたま乗り合わせて、出会って別れて、あらあら、大変!

 

 

イラン映画を見る機会は、なかなかありませんでした。

 

しかも、タクシーものという題材は好きなので、映画館に行きました。

 

 

これ、よくわからんところが、面白いですね。

 

 

主人公は、タクシードライバー。

 

温厚なようで、問題を色々抱えていて、

 

イライラしながらも、人に対して優しいおっさん。

 

 

う~ん… でもこの男、何だか怪しい。

 

 

 

色んな乗客が登場しますが、みんな平等に変てこな連中で楽しい。

 

イランのタクシーって、相乗りが普通なのかな?

 

人がすでに乗っているのに、じゃんじゃん乗って来る。

 

で、客同士が言い合いをしたりして、やっぱり楽しい。

 

 

イランとイラクって、隣り合っているし、どちらも産油国でイスラム教だから、

 

ごっちゃになりやすいんだけど、

 

個人的には、イラクの方が物騒で、イランは温厚なイメージ。

 

(イランイラク戦争の発端とか、スンニ派とシーア派とか、諸説はあるでしょうが)

 

 

 

この映画の一番面白いところは、“行先がわからない”ということだと思います。

 

観客は、有無を言わせずこの乗り物に乗せられ、どこかに連れて行かれる。

 

 

そう考えると、家庭とか、学校とか、会社とか、飲み屋とかって、

 

たまたま同じ場所にいるってことで、つながっているんですよね。

 

 

そもそも、どうしてこういうスタイルになったのか、考えて見た方が奥深い。

 

国家のせいか、宗教上の理由からか、

 

イランで映画を作って公開するのは、なかなか規制が厳しいらしい。

 

 

だから本作は、映画監督としての“挑戦状”なのかもしれない。

 

 

肩をいからせて、恐い顔をして睨みつけて、暴力をふるう“戦い”ではなく、

 

真面目で大人しい人が、静かに炎を燃やし続ける“戦い”もあるのだ。

 

 

さあ、この映画は、どこに行く?

 

ラストシーンギリギリまで、深読みしてみましょう。

 

 

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2017-07-13

映画 「ハクソー・リッジ」

テーマ:洋画

自分が自分であり続けるために、失ってはいけないものが、きっとある。

 

 

宣伝の仕方があまりよくなかったので、見に行こうという気持ちは弱かったのですが、

 

せっかくの休日に、どうしても何か見たくて、これしか見る時間がなかったので、映画館へ。

 

 

作品の出来はともかく、

 

内容が、今の俺にすごく突き刺さってしまい、最後まで、固唾を飲んで見守りました。

 

 

人にオススメしていいものかどうか迷うのですが、

 

この映画のおかげで、ダウンした時のダメージが、幾分、少なく済んだのかもしれません。

 

 

 

ネタバレをしない程度の情報を、3つだけ、教えておきましょう。

 

 

①タイトルの意味は、「のこぎり崖」。沖縄の高田高地を、アメリカ視点で名付けた名称。

 

②主人公は、武器を持たずに、衛生兵として戦場に行った青年。

 

③舞台が沖縄戦である以上、日本人としては複雑な心境になる可能性あり。

 

 

以上を踏まえて、覚悟してご覧下さい。

 

ひとりの人間の、尊厳を懸けた戦いのドラマとして、見ていただければOK。

 

 

 

本作を見て、真っ先に思い出すのは、「二百三高地」ですね。

 

あれは、思春期の頃に見たので、強烈に残っています。

 

 

戦争映画というのは、どの視点で描くかで、まるで別世界の生き物になります。

 

俺は、色んな国の映画を見ているので、

 

国益とか、戦意高揚とか、あまりこだわりません。

 

その当時の現地の人たちの目線でとらえるからこそ、心が見えてくるもの。

 

 

日本人が敵役で登場するから、複雑な気分にはなるでしょうが、

 

アメリカが作った映画なんだから、そんなの当たり前じゃん。

 

戦争の悲惨さを描いたとか、あからさまな反戦映画とかではなく、

 

ひとりの人間の、心の戦いの映画として、楽しむべし。

 

 

彼の、意志の強さには、秘密がある。

 

どうしても曲げられないものとか、こだわりとか、

 

我慢できないこととか、許せないこととか、誰にでもあるでしょう。

 

 

 

利害とか、みんながやってるから反射的にそうしていることとかだったら、

 

状況や条件が変われば、コロッと手のひらを返してしまうもの。

 

 

しかし、

 

死んでも譲れないものって、どこかにある。

 

 

 

マーティン・スコセッシ監督の「沈黙」を見た時も、

 

本作と同じことを感じました。

 

(よく見たら、主演がおんなじ兄ちゃんですね)

 

 

 

アンドリュー・ガーフィールドは、人のよさそうな風貌をしています。

 

銃を持って戦う兵士よりは、宣教師の方が、たしかに似合う。

 

 

監督は、メル・ギブソン。

 

「ワンス・アンド・フォーエバー」では、無敵の兵士だったし、

 

「マッドマックス」「リーサル・ウェポン」では、カッコいいヒーロー。

 

「陰謀のセオリー」「マーヴェリック」「身代金」「ペイバック」では、イカレたおっさん。

 

そして監督作「パッション」「アポカリプト」では、想像を絶する戦いを描いた。

 

 

彼は、カトリックだそうで、「サイン」で、苦悩する神父を演じていました。

 

で、プライベートでも過激な言動で、色々問題があったりして、

 

双極性障害だったりとか、イカレた部分をたくさん持ってるおっさんなんですな。

 

 

だからこそ、表現したいネタも、豊富にあるんでしょうな。

 

いいじゃん、どんどんやっちゃって下さい。

 

普通の人が考えた、誰でも感動できるクソ単純な映画なんか、どうでもいいから。

 

ギブソン監督こそ、イカレた映画の巨匠になっていただきたい。

 

 

大体ねえ、面白い戦争映画は、イカレてるもんですから。

 

美化なんか、しなくていい。

 

「ハートロッカー」「アメリカン・スナイパー」「スターリングラード」みたいな映画を、

 

リアル路線の、興奮するようなカタルシスを、どんどん生み出して欲しい。

 

 

 

誰だって、毎日を生き残るのに、必死なのだ。

 

今日を生き残れただけで、奇跡なのだ。

 

 

誰かを守るために、何かの目的を果たすために、

 

命を投げ出して、戦って、今日の糧を得るのだ。

 

 

置かれた状況の中で、

 

自分は今、何をすべきなのか。

 

本当にしたいことは、何なのか。

 

 

 

いくら考えても、わからない時。

 

人は、直感で動く。

 

 

理由なんて、後からいくらでも、くっつければいい。

 

後悔しないために。

 

悔いのない生き方を、選択するために。

 

 

ギリギリの世界で、

 

もがいて、悩んで、苦しんでこそ、

 

感性は、磨かれていく。

 

 

そして、「自分らしさ」を獲得するのだ。

 

 

 

誰に何と言われようが、

 

何にもわからない奴らに、中傷されようが、

 

胸を張って、自分の思うがままに、行動する。

 

 

 

…男が輝く瞬間を、どうかお見逃しなく。

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2017-06-25

映画 「午後8時の訪問者」

テーマ:洋画

失った時間を取り戻すことはできないけど、心を再構築することは、きっとできる。

 

 

過酷な仕事の状況の中で、ようやく7日間を働き抜き、いざ、映画館へ。

 

最近は、疲労が激しいので、つまらないと、すぐ眠気がきちゃう。

 

でも、この映画は、大丈夫でした~ (それが基準かよ)

 

 

 

主人公は、そこそこ経験豊富な、若い女医さん。

 

街の開業医のじいさんが身体を壊して入院中なので、

 

彼に代わって、患者を一時的に診ている。

 

 

ある日の夜、診療時間を1時間過ぎた頃、ブザーが鳴った。

 

対応しようとする研修医の青年を、彼女は制止。

 

『…出なくていいわ。緊急なら、何度も押すはずよ。』

 

ブザーが鳴ったのは、一度きりだった。

 

 

翌日、警察が彼女のもとを訪れ、身元不明の少女が死んだことを知らせる。

 

診療所の防犯カメラの映像をもとに、警察は捜査を始める。

 

 

 

あの時、もし、ああしていたら…

 

 

こういうことって、日常生活の中では、よくあること。

 

気にしない人は、余計なストレスを感じずにすむけど、

 

気にする人は、とことん悩んでしまうのである。

 

 

彼女は、どうしても気になってしまい、独自に探偵を始める。

 

それは、良心の呵責とか、自責の念とか、

 

そういったわかりやすいきれいごとではないような気がする。

 

説明がない分だけ、彼女の表情や仕草から、ほのかに読み取れるのだ。

 

 

彼女は、「何か」を感じて、行動することによって、答えを見つけようとしている。

 

毎日の仕事をこなし、ひたむきに、「何か」を探す。

 

 

そしてそれは、彼女自身の、心の問題でもあった。

 

 

 

とても魅力的で、素敵な女性である。

 

彼女は、ほとんど笑わない。

 

黙々と、自分がやるべきことを、シンプルにこなす。

 

 

まるで、アキ・カウリスマキ作品の世界にいるようだ。

 

無表情だからこそ、にじみ出てくるものがある。

 

 

そして、音楽をやたらに使わないところも、面白い。

 

「家族ゲーム」は異色だったけど、本作は違う。

 

「音」は、確かにあるのだ。

 

ただそれは、日常生活の中の、ありふれた「音」。

 

 

 

映画は、日常の中に潜む「闇」を、さり気なくあぶり出していく。

 

派手な場面や、華麗なクライマックスも、存在しない。

 

ただ、淡々と、真実に少しずつ、近づいていくのみ。

 

 

う~ん、ハードボイルド。

 

彼女は、勇敢ですわ。

 

 

 

 

人の心は、なかなか奥が深くて、複雑なもの。

 

単純な行動をするからといって、単純な思考の持ち主とは、限らない。

 

誰もが、人に言えない事情を抱えて、毎日を必死で生き抜いているのである。

 

 

生命力というのは、元気があれば、あふれ出る。

 

しおれて、枯れて、萎えて、息絶え絶えでも、生きている限りは、なくならない。

 

 

助けを、求める者。

 

助けたいけど、助けられない者。

 

助けられる立場にいるけど、助けない者。

 

助けられないのに、助けようとする者。

 

助けて欲しくなんかないのに、助けられてしまう者。

 

 

色んな出会いがあって、人の心が形成されていく。

 

弾んだり、歪んだり、傷ついたり。

 

弾めば、何かにぶつかって、跳ね返る。

 

歪めば、物事が、歪んで見える。

 

傷つけば、痛みを恐れるようになる。

 

 

心が柔軟であれば、もとに戻ろうとする力が強くなる。

 

自己修復機能であり、自然治癒力と言われる性質のもの。

 

 

そのエネルギーの源が、生命力なんだと思う。

 

 

早く、回復する人。

 

ゆっくり、時間をかけて、回復する人。

 

誰かが力を貸してくれて、初めて回復に向かう人…

 

 

助けを求めるのも、

 

困っている人を助けたいと思うのも、

 

人間の本能。

 

 

本能を動機とした行動には、理由が存在しない。

 

ただ、そうしたかったから。

 

それだけのこと。

 

 

理由や説明なんて、後から考えればいい。

 

今はただ、目の前のできることを、精一杯やるのみ。

 

 

だから、彼女を見ていると、美しく生きていると、俺は感じてしまう。

 

 

 

誰も見ていなくても、

 

誰からも褒められなくても、

 

自分の、やるべきことを、ひたむきに、夢中になる。

 

 

 

 

俺の、疲れ切った心に、気持ちのいいスパイスを効かせてくれた1本でした。

 

やっぱり、映画って、いいもんです。

 

 

 

失ったものは、数多いけれど、

 

もう二度と取り戻せないものも、たくさんあるけれど、

 

壊れた心を、少しずつ、再構築していけば、

 

その先に、何か新しい道が開けるかもしれない。

 

 

 

彼女が笑う場面が、2つくらいあったと思うんですが、

 

すごく、いいですね。

 

 

そういう短いひとときでも、ほんの一瞬でも、安らぎをかみしめられるように、

 

自分の心を、常にオープンにしておきたいものです。

 

 

 

何もかもが、ダメというわけじゃない。

 

研修医の青年の心が、何かによって変化していく。

 

主人公も、出会う人たちも、何かによって、変わっていく。

 

 

それは、

 

変えてもらったのではなく、

 

自ら、変わろうとしているのである。

 

 

それが、生命力だと思う。

 

 

生き物は、破壊されたところを、自ら修復しようとするものなのです。

 

 

 

 

彼女は、きっと、新しい力を得たんだと思います。

 

冒頭の彼女と、ラストの彼女の対比が、素晴らしい。

 

 

人は、自ら望んで行動した方が、成長する。

 

またひとつ、勉強させてもらいました。

 

 

 

出会って、壊れて、また再構築。

 

しっかり向き合って、ひたむきに生きることは、とても美しい。

 

 

 

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2017-05-15

映画 「わたしは、ダニエル・ブレイク」

テーマ:洋画

自分に厳しく、人には優しく。 …そして、ユーモアを忘れない男。

 

 

一ヶ月以上も映画館に行っていなかったので、もう死にそうでした。

 

色んな映画を見逃して、ようやくたどり着いた本作は、

 

イギリスの巨匠、ケン・ローチ監督の最新作。

 

いったん引退したんだけど、やっぱりもう1本撮るわ、ってことで、

 

2016年に公開され、カンヌでパルム・ドールを獲得しちゃったそうな。

 

 

ダニエル・ブレイク…、おお、007ですか!

 

いやいや、そっちは、ダニエル・クレイグ。こっちは、ブレイク。

 

ダニエル・ブレイクは、主人公の名前。

 

タイトルの意味は、映画を見ればわかります。

 

 

 

この映画、すごいですねえ。

 

シンプルな物語だけに、心にしみます。

 

社会から弾かれた者にしかわからない、痛みと苦しみと悲しみにあふれています。

 

しかしながら、暗い気分にならないから、不思議。

 

 

俺、このじいさん、カッコいいと思う。

 

こういう男って、いそうで、いなさそうで、実は、身近にいたりするんです。

 

 

その魅力に、気づく人がいないだけかもしれない。

 

本人が、いちいちアピールしないからかもしれない。

 

 

俺が感じるのは、

 

彼の言動や行動が、すごく自然であること。

 

喜怒哀楽の感情は、誰にでもある。

 

その、出力の仕方が、実に絶妙。

 

 

ユーモアというのは、痛みをやわらげる特効薬。

 

どんな状況にあっても、笑い飛ばすことができたら、無敵である。

 

 

しかし、いかに優れた能力を持った人間も、やっぱり生身である。

 

心に余裕があれば、人を助けることもできるけど、

 

疲れ切って、体調が悪化すれば、力が出なくなる…

 

 

 

今日、食べるものがない。

 

明日を生きるための、お金がない。

 

働きたいのに、仕事がない。

 

医者からは、就労は無理、と言われるが、

 

役所からは、就労可能だから、社会保障の給付金は出せない、と言われる…

 

 

じいさんは、どうなる?

 

 

 

 

 

俺も、精神病になって、会社をクビになり、

 

労働基準監督所に行った時の、冷たいあしらいとか、

 

ヤブ医者に引っかかって、いきなり抗うつ剤を点滴されて、

 

地獄の苦しみを味わったこととかを、思い出しました。

 

 

生活できなくなる、不安と恐怖。

 

死の誘惑。

 

家族を守らなきゃという、薄っぺらな責任感。

 

 

 

追い詰められた状況で、ユーモアを発揮するのは、実に困難。

 

無理なことをやり続ければ、心が破綻してしまう。

 

 

 

ダニエルは、聖書に登場する名前であり、

 

映画「ベスト・キッド」の主人公の名前。(たしか、ラルフ・マッチオが演じた)

 

 

ダニエルじいさんは、基本、強い男である。

 

しかし、生身の人間には、限界がある…

 

 

ジョニー・デップが演じた「エド・ウッド」を、思い出す。

 

 

 

 

俺は、こう考えるんです。

 

無邪気な人は、基本、誰かを楽しませずにはいられない。

 

 

弱い者には、優しく接する。

 

強い者には、厳しく意見を言う。

 

 

ダニエルじいさんみたいな生き方は、できそうで、なかなか、できない。

 

身近にいそうで、いなさそうで、いるような、いないような。

 

 

きっと、真のヒーローは、こういう人なんじゃないか、って思う。

 

 

がんばれば、なれそうで、なかなか、なれない。

 

一時的には真似できても、やり続けることは、難しい。

 

 

さあ、じいさんの運命は?

 

 

気になる人は、ぜひご覧下さい。

 

 

今の俺には、ジーンとくる映画でした。

 

 

 

今日も、つらくて悔しいことが、たくさんあったけど、

 

きっと、ダニエルなら、こういう風に乗り切るだろうって思いながら、生き抜きました。

 

 

 

映画は、今日を生き抜く原動力であり、

 

明日をしっかりスタートさせるための、エネルギー源である。

 

 

 

正しいか、間違っているか、ということよりも、

 

もっと、大事なことがある。

 

 

選択肢がたくさんあっても、選ぶのは、たった1つであり、

 

行動を決めるのは、自分自身である。

 

 

自分の生き方は、自分で決めていい。

 

ダニエルが、そう教えてくれます。

 

 

 

…俺は、桑畑五十郎。

 

自分が本当にやりたいことを、残りの人生の中で、やり続けるのみ。

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2017-04-21

映画 「月光」

テーマ:洋画

行き場をなくした魂は、ひたすら、彷徨うしかない。

 

 

「ムーンライト」と同じタイトルですが、

 

こちらの方が、かなり強烈です。

 

どれくらいかというと、「淵に立つ」「そこのみにて光輝く」のレベル。

 

だから、軽い気持ちでは見ない方がよろしいかと。

 

 

テーマは、性的虐待。

 

韓国映画「トガニ」は、なかなかの秀作でしたが、

 

日本も、こういう映画をどんどん作って欲しいと思いました。

 

 

 

ピアノ教室を開いている、若い女性が主人公。

 

彼女のもとには、“何か”を抱えた生徒がやって来ます。

 

そしてまた、彼女自身も、人に言えない“闇”を抱えて生きています。

 

 

う~ん、これくらいしか書けませんな。

 

内容をできるだけ知らせない方が、先入観なく見られると思いますので。

 

 

 

強者が弱者を一方的に踏みつける行為は、昔からあります。

 

いじめも虐待も、心の暴力も肉体的な暴力も、なくなりません。

 

条件さえ揃えば、誰でも加害者になり得るから。

 

 

 

俺は、この世に“普通の人”なんていないと思っています。

 

誰でも、残虐性は心に秘めているし、人を攻撃する可能性はある。

 

一番たちが悪いのは、自分が“普通”だと思い込んでいることかもしれない。

 

一番始末が悪いのは、自分が“正しい”と思い込んでいることかもしれない。

 

 

権力者がイライラすると、弱い立場の者に八つ当たりすることはよくある。

 

それがさらに下の者に連鎖して、いじめが蔓延していく。

 

最下層に達する頃には、憎悪が雪だるま式に増幅されてしまう。

 

 

猛毒をぶつけられ、逃げ場もない者たちの、魂の叫び。

 

 

 

本作には、性的虐待を受けた女性が、何人出てくるのだろう。

 

ちょっとした言動やしぐさに、深い悲しみを感じてしまう。

 

あの人も、この人も、もしかして…と思ってしまう。

 

 

しかしまあ、ロクな男がいませんな(笑)

 

ここまで徹底すると、大したもんだ。

 

 

これはぜひ、女性の意見を聞いてみたいものです。

 

 

 

被害に遭った女性も、ひとりの人間。

 

心が崩壊しないように、必死でバランスを取ろうとします。

 

そこが、痛々しい。

 

 

タイトルの意味は、映画を見ると、わかると思います。

 

月光。

 

激昂。

 

狼男。

 

 

月明りというのは、基本、ロマンチックなイメージなんですが、

 

気分とか、精神状態で、受ける影響って違うんじゃないかと。

 

 

…ていうか、月のせいにするんじゃねえっ!

 

 

 

あなたの美しさが、僕をそうさせてしまうんです、なんて、

 

歯が浮きまくって、宇宙空間弾道ミサイルみたいにすっ飛ぶウスラバカ野郎である。

 

 

…人の心は、暴力で開くことはできないんだよ!

 

 

女なんて、こうすれば簡単に落とせる、なんて吹聴する奴って、

 

飲み屋のカウンターでもよく見かけるけど、

 

大抵は、ただのバカである。

 

(そういう男に限って、イケメンだったりするから、面倒くさい)

 

 

俺は、フェミニストではないので、女性の気持ちを理解できる男ではありませんが、

 

何をしたら相手が不快になるかくらいは、わかっているつもりです。

 

(逆に、女性にこう言われたら男はムカつく、っていうのもわかります)

 

 

 

やっぱり、相手の人格を無視した行為は、

 

年齢や性別を問わず、許されないものですな。

 

 

 

ああ、人間って、面倒くさい。

 

 

 

嫌な男と付き合ってしまった自分を呪い、

 

嫌な親のもとに生まれた自分を呪い、

 

自分のせいで、とか、

 

自分が悪いから、とか、

 

そんな風に考えてしまう女性たち。

 

 

もう、たまらない気持ちになってしまいます。

 

 

 

 

俺は、この映画の中で、立ち位置があるだろうか。

 

あるとしたら、たぶん、ああいう立場で、こういうことをするだろう。

 

 

 

そうやって、自分の心を、映画に添わせるのです。

 

そこから、自分のこれからの生き方が、見えてくるから。

 

 

 

映画は、人生を学ぶ上での、優れた教材です。

 

体験していないこと、これから体験することを、シミュレーションできるのです。

 

 

自分だったら、どうするか。

 

 

 

俺は男なので、女のつらさはわかりません。

 

ただ、50年間、心の暴力による虐待を受け続けた、ひとりの人間として、

 

15年間、パワハラに耐えて精神が崩壊した、ひとりの人間として、

 

一方的に凌辱される苦しさや悔しさは、人一倍理解しているつもりです。

 

 

 

一生残らない、心の傷。

 

忘れたくても忘れられない、憎悪の対象。

 

相手はきっと、何の罪悪感もない、ウスラバカ。

 

 

殺してやりたいほど憎いけど、

 

八つ裂きにしてやりたいほど恨めしいけど、

 

それをやったら、奴と同じ人間になってしまう。

 

 

自分なりの解決法を、己の心の中から、見出すべし。

 

 

ただし、怒りは、忘れるべからず。

 

その怒りを、弱者たちを救う優しさに変換せよ。

 

いつか、きっと、

 

笑える瞬間が、来ると信じて。

 

 

 

…月光のもとで、激昂して、己の本能を呼び覚ませ!

 

 

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2017-04-20

映画 「ハードコア」

テーマ:洋画

どこまでも、自分目線で突っ走れ!

 

 

ロシアの30代の監督だそうで、本業はミュージシャン。

 

プロモーションビデオの映像がウケたので、映画の依頼が来たそうな。

 

 

全編、自分目線の映画です。

 

頭にカメラを取り付けて、監督自身と複数のスタントマンで撮影。

 

 

だから、主人公の顔が出てこない(笑)

 

見えるのは、自分の手足と、動く景色と、重火器やら、吹っ飛ぶ死体やら…

 

 

やっぱりこれ、ゲーム感覚なんでしょうな。

 

ずーっと動きっぱなしで、ストーリーもあるようで、ないみたい。

 

ただひたすら、生き残るために、愛する人を救うために、がんばる映画です。

 

 

90分くらいしかないんだけど、すっげえ疲れます。

 

二日酔いの人とか、体調がすぐれない人は、おやめになった方がよろしいかと。

 

 

 

「ブレアウイッチ・プロジェクト」とか、「クローバーなんとか」(タイトル忘れた)とか、

 

「REC」とか、たまたま持ってたカメラに写ってた系の映画はたくさんあるけれど、

 

こういうのも、何だか新鮮で、楽しいですね。

 

 

若い柔軟な思考と、フットワークの軽さと、豪快な行動力が、素晴らしい。

 

たぶん、「ヤマカシ」とか好きな人は、ハマるんじゃないかな。

 

 

 

現実の嫌なことはとりあえず忘れて、映像の楽しさに酔いましょう。

 

 

 

 

 

まずは、動いてみる。

 

じっとして考えても、考えがまとまらないことって、結構ある。

 

 

俺は、走るのは嫌いだけど、歩くのは好き。

 

歩くと、色んな考えが、まとまってスッキリしてくるから。

 

 

本作は、とにかく、突っ走る。

 

走って走って、走りまくる。

 

 

走り続けるから、余計な景色なんか見ない。

 

ただ、前だけを見て、己の本能をむき出しにして、駆け抜けるだけ。

 

 

それが、若さの特権である。

 

 

だから、思考が早い。

 

だから、行動が素早い。

 

だから、スタートダッシュが、軽やかで美しい。

 

 

 

ゴチャゴチャ考えて、頭の中がぐちゃぐちゃになるくらいなら、

 

思い切って、行動してみればよろしい。

 

 

動けば、風が吹くから。

 

動けば、道が開くから。

 

動けば、見たかったものの近くに行けるから。

 

 

 

命短し、走れよ、若造。

 

自分の好きな世界では、とことん、わがままであれ。

 

 

どうでもいい他人目線は、無視しちゃえ!

 

あくまでも、自分目線で、真実を確かめろ!

 

 

…自分で行動して獲得したものこそが、青春の宝!

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2017-04-07

映画 「ムーンライト」

テーマ:洋画

月明りの下で、人の心はより深くしみわたっていく。

 

 

新潟では、1館でしか上映していなかったので、

 

こりゃあ、よほど人気がないのか、みんなが敬遠する映画なのかと思い、

 

上映が短期間で終わってしまうんじゃないかという危惧を感じて、行きました。

 

 

 

これは、詩的な映画ですね~

 

 

余計な台詞や、説明口調を極力省いているところは、俺好み。

 

内容をよく知らずに行ったのも幸いしました。

 

 

「ラ・ラ・ランド」もよかったけど、こっちも捨てがたい秀作です。

 

少年の抑圧された感情を、よくぞここまで表現してくれました。

 

 

 

主人公は、いじめられています。

 

何故かは、映画を見ているうちにわかりますが、

 

少年の表情とか仕草で、おおよその検討はつきます。

 

 

ああ、まるで、俺みたいだ…

 

 

彼に優しく接する大人は、そう感じたのかもしれない。

 

自分には、この子の気持ちが、痛々しいほどに感じられる。

 

しかし、彼に、何と言ってあげればいいのか。

 

きっと、何をしても、彼の心に安らぎが訪れることはないのかもしれない。

 

 

 

弱虫とか、

 

挨拶がちゃんとできないとか、葉

 

自己主張がうまくできないとか、

 

人の話をちゃんと聞けないとか、

 

そういうネガティブな先入観を捨てて、彼をよく見て欲しい。

 

 

彼は、怯えている。

 

彼は、怒りをため込んでいる。

 

彼は、人を信じない。

 

 

それは、恐ろしいものを見てきたから。

 

それは、怒りをぶつけられて育ったから。

 

それは、気持ちを踏みにじられる悲しみを知っているから。

 

 

心に抱えているものって、言動や仕草に出てしまう。

 

それが、印象を左右してしまう。

 

 

 

悪気はないのに、人に不快感を与えてしまう。

 

見た目が異質なせいで、人に疎まれてしまう。

 

 

彼の目を、よく見て欲しい。

 

そして、想像力を、膨らませて欲しい。

 

 

 

俺が、親からまともに愛されなかったのは、

 

愛されるような要素を持ち合わせていなかったからかもしれない。

 

俺が、同級生から嫌がらせを受けたのは、嫌な奴だったからなのかもしれない。

 

理由さえあれば、大す義名分さえあれば、人は容易に攻撃的になる。

 

同じ状況なら、誰もが同じ行動を取ってしまう。

 

 

その恐ろしさを、この映画は教えてくれるのです。

 

 

俺は、孤独を楽しむ方法を知っていますが、

 

彼は、好き好んで孤独になったわけじゃないと思う。

 

 

彼を、よく見てあげて下さい。

 

彼の中からにじみ出る、魂の叫びを感じ取って欲しいのです。

 

 

 

 

 

行き場のない気持ちは、居場所がないことに直結していく。

 

彼には、安心できる場所も、安心して話せる人もいない。

 

 

だから、そういう内面が、行動や印象に出てしまう。

 

みんなと同じことができないから、異端者扱いをされる…

 

 

そしていつしか、それが当たり前になってしまうことが、恐ろしい。

 

自分はいじめられても仕方がない人間だと思い込むことが、さらに恐ろしい。

 

 

果たして彼は、何を選択したのか。

 

 

 

 

 

本作は、単なる〇〇映画というくくりでは、おさまらないほどの内容量がある。

 

俺流の表現を使うなら、「魂に問いかける映画」とでも言いましょうか。

 

ダイレクトに、胸が締め付けられるシーンの連続だから…

 

 

 

これ、R15なのがもったいない。せめて、PG12にしろっ。

 

できれば、現役の少年たちにこそ、見てもらいたいから。

 

賢い諸君は、大人をうまくたらしこんでDVD借りさせて、こっそり見ようね。

 

 

 

 

 

人には、我慢の限界というものがある。

 

決して消えることのない、深い悲しみがある。

 

いくらがんばっても埋まらない、心の溝がある。

 

誰に愛されても癒されない、傷口がある。

 

 

 

少年は、青年になり、大人になっていく。

 

しかし、心と思考に刻まれた「初期設定」は、決して消えることはない。

 

 

 

少年は、不幸なのだろうか。

 

少年は、かわいそうなのだろうか。

 

 

否、である。

 

正確には、まだわからない、である。

 

彼には、これからの人生が残っているのだから。

 

 

 

彼の周りには、彼を助けてくれる人もいた。

 

優しく接してくれる人もいた。

 

彼を、忘れずにいてくれた人も…

 

 

 

不安と恐怖は、生涯、絶えることなく、続く。

 

安心は一瞬だけど、生きる勇気を与えてくれる。

 

 

その一瞬が、忘れられない。

 

その一瞬を味わいたくて、人は、心の旅をする。

 

 

 

ほんのわずかだけ、彼の心が安らぐ時…

 

いい場面だなあ、ちくしょう。

 

 

 

 

ちなみに、森永のムーンライトは、俺の好物。

 

あの有名なパッケージは、深いブルー。

 

青は、安らぎの色でもあり、哀しみの色でもある。

 

そこに、ぽっかりと浮かぶ、お月さまが、

 

真っ黒い夜を、青色に染め上げてくれるのだ。

 

 

 

肌の色。

 

心の色。

 

闇であって、闇でない、やわらかい、不思議な景色。

 

 

ブルーな気分の時は、ブルーに浸るべし。

 

月明りが、普段とは違う色で、物事をやんわりと包んでくれるから、きっと大丈夫。

 

 

 

…月光浴をするような気分で、映画を味わってみて下さい。

 

 

 

 

 

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2017-03-29

映画 「ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映」

テーマ:洋画

アニメーションって、やっぱり素晴らしい芸術ですね。

 

 

ユーリー・ノルシュテインという名前を知ったのは、高校生の時。

 

高畑勲監督が絶賛していた記事(たぶん、アニメージュ系)を読んで、

 

レンタルビデオかなんかで、「話の話」を見た記憶があります。

 

 

その当時は、俺もまだ感性が瑞々しかった頃で、

 

日本やアメリカのアニメはもちろん、

 

チェコ・フランス合作の「ファンタスティック・プラネット」とか、

 

中国の水墨画アニメ「鹿鈴」(NHKで放映)とか、

 

カナダのフレデリック・バック監督の「木を植えた男」とか、

 

色んなアニメーションをかじった思い出があります。

 

 

ユーリー・ノルシュテインは、ロシアの監督。(当時はソ連)

 

彼の作品を見ることができただけで、えらく興奮したものです。

 

 

で、彼の作品が、何と豪華6本立てで見られる機会が!

 

素晴らしい!待ってました!

 

監督生誕75周年記念企画だそうで、彼は今でも新作を製作中。

 

 

そのうちにDVDで見られるんだろうけど、そんなのはどうでもいい。

 

俺にとっては、劇場で見られるということが、至福のひとときなのだから。

 

新潟で、一週間限定上映だったので、初日に行って参りました。

 

 

上映作品は、

 

①「25日・最初の日」(1968年 9分)

 

②「ケルジェネツの戦い」(1971年 10分)

 

③「キツネとウサギ」(1973年 12分)

 

④「アオサギとツル」(1974年 10分)

 

⑤「霧の中のハリネズミ」(1975年 10分)

 

⑥「話の話」(1979年 29分)

 

以上の6本。全部で大体、80分くらいです。

 

 

 

俺が一番気に入ったのは、「霧の中のハリネズミ」でした。

 

い~い絵柄ですねえ。詩情あふれる、ぐっとくる映像美。

 

ディズニーの「ファンタジア」に出てくる「くるみ割り人形」を思い出しました。

 

光と影の、幻想的な構成がお見事。

 

今回の上映は、デジタル処理をしているらしいので、

 

個人的には、オリジナルのまんま見たかったけど、

 

そこは、時代の流れだから、しょうがない。

 

これを、劇場で見られた幸運を、ひたすら噛みしめたいだけです。

 

 

 

で、笑えたのが、「アオサギとツル」。

 

男と女の心理って、こんなもんかもしれませんな。

 

告白とか、プロポーズって、どちらが優位になるんでしょうね。

 

ユーモアと気品に満ちた、オシャレなアニメーションでした。

 

 

 

子供の頃って、世界がとても深く見えて、

 

刺激も怖さもビンビンに感じられて、

 

毎日が、冒険と新発見の連続だったように思う。

 

俺は、暗い少年時代を過ごしたけれど、

 

映画と音楽と本が、俺の魂に、命を吹き込んでくれた。

 

 

だから、感激した心って、一生の宝物なのです。

 

それは、誰に否定されようが、決して変わることはないのです。

 

だって、自分がそう「感じた」ことは、まぎれもない真実だから。

 

 

 

「話の話」を見たのは2度目だけど、

 

若い頃に見た時と、全くおんなじ感覚で楽しめました。

 

やっぱり、あのシーンは、びっくりしますわなあ。

 

俺、未だにホラー映画かと思っていますから。

 

 

 

映画は、活動写真。つまり、写真が動く。

 

アニメーションは、絵が動く。

 

動くことによって、生き物になる。

 

そこに音声が加わって、言葉を発し、

 

音楽や効果音が、世界観を広げていく。

 

 

やっぱり、映画こそが、総合芸術だと思うのです。

 

俺は、映画に出会わなかったら、ここまで生きてこられなかった。

 

映画の仕事に就くことはかなわなかったけど、

 

映画を見続ける「観客」というポジションだけは、確立できた。

 

 

このブログだって、ほとんど誰にも読まれていないけど、

 

俺が生きた証しとして、可能な限り、感じたことを語っていきたい。

 

 

 

物語は、語り継がれて、だんだんと面白くなっていくものだから。

 

 

アニメーションは、奥が深い。

 

同じものを見ても、感じ方は千差万別。

 

みんなが同じように感動できる映画って、大抵、つまらない。

 

自分だけのオリジナルな感じ方を見つけると、それが傑作になる。

 

 

好きな世界の中では、わがままでよろしい。

 

人に合わせない。迎合しない。ご機嫌なんて、とってたまるか。

 

 

俺は、自分が生きる力を得るために、映画を見続けているだけだから。

 

 

アニメーションこそは、これからもさらに進化していく素材だと思う。

 

だから、自分が感じたことを、大切にしたい。

 

 

…俺の心は、いつだって、霧の中にいるハリネズミなのだ。

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2017-03-20

映画「ティエリー・トグルドーの憂鬱」

テーマ:洋画

仕事って何だろう、と、心に問いかける映画。

 

 

2015年カンヌ国際映画祭と、2016年フランス・セザール賞において、

 

主演男優賞をW受賞した、社会派のヒューマンドラマ。

 

 

51歳の男が、長年勤務した職場をリストラされ、就職活動中。

 

それだけで、切なくなっちゃいます。

 

俺も、働き過ぎでうつ病になり、復帰したけど、結局再発して事実上の解雇。

 

倒産も経験したし、今の職場で7つ目の男なので、

 

右往左往する彼の姿が、痛々しく感じられます。

 

 

イタリアの名作「自転車泥棒」は、

 

やっと得た仕事で使っている自転車を盗まれ、

 

幼い息子と二人で途方にくれる場面が切なかった。

 

 

切ない記憶って、いつまでも心に残っちゃうんですよね。

 

 

 

 

 

ヴァンサン・ランドンの演技が、素晴らしい。

 

 

すぐそこにいそうな、不器用な男。

 

現役でバリバリ働いていた時は、輝いていたのだろうけど、

 

失職した途端に、社会的地位はなくなってしまう。

 

それでも、ひたむきに、彼は、職安に通う。

 

愛する家族との、生活のために。

 

 

面接で、若い人たちにダメ出しされる場面がある。

 

あれがダメ、これがダメと言われる時の、彼の表情が絶妙。

 

オーバーアクションは一切なく、ただ、耐えている男の姿。

 

その場で体裁だけ繕っても、今更印象なんか変わらない。

 

そう見られたのなら、仕方がない。

 

自己主張すべき時と、沈黙すべき時。

 

言いたいことが言えない、立場の低さに、じっと我慢する男の背中…

 

 

 

ああ、切ない。

 

切な過ぎます、この映画。

 

シンプルな構成だけに、派手さもないだけに、

 

若い観客にとっては、退屈かもしれませんね。

 

 

でも、数々の苦渋をなめた人なら、彼の悔しさがわかると思う。

 

 

彼は、嫌な目に遭っても、人に八つ当たりしない。

 

家族には優しいし、仕事も誠実にこなしていく。

 

 

しかし、彼の「仕事」は…

 

 

 

 

 

 

人には、

 

できる仕事と、できない仕事があるように思う。

 

向き不向きとか、根性があるとかないとか、

 

それ以前の問題で。

 

 

俺は今、たまたま縁があって、農業に携わっていますが、

 

この仕事も、できる人とできない人がいるんだと、身にしみて思うのです。

 

 

 

苦労して、やっと得た、仕事と居場所。

 

もう、失いたくない。

 

たとえ、どんなことをさせられても。

 

 

 

本作は、物語を追っていく映画ではなく、

 

その場面場面において、人の気持ちを感じ取る映画だと思う。

 

過ちとか、失敗とか、魔がさしたとか、

 

生きていれば、いろんなことがある。

 

 

彼の仕事は、自分の感情を押し殺さないと、やっていけない。

 

ただ、黙々と、“やるべきこと”をやるのだ。

 

 

 

上映時間は、1時間32分。

 

短い時間が、長く感じられるようで、終わってしまえば、あっという間。

 

 

彼は今、どうしているのだろう。

 

俺の中でまだ、彼が黙々と仕事をしている姿が浮かぶ。

 

 

彼と、飲み屋のカウンターで出会ったなら、

 

いつまでも、話をしたいと思う。

 

 

生きるのは、簡単じゃない。

 

生き抜くことは、もっと簡単じゃない。

 

 

 

仕事は、生きるための糧を得るための手段であり、

 

会社というのは、能力をお金に変換するためのシステム。

 

 

割り切れるか。割り切れないか。

 

深く考えないようにするか、ひたすら考えるか。

 

 

行動は制限されても、思考と感情は自由である。

 

自分らしさを失わないように、

 

自分の心の中で、迷子にならないように、

 

ジタバタしながら、続けていくしかないのだ。

 

 

誰かの、役に立つ。

 

それが、仕事の根源だと思う。

 

 

褒められなくても、認められなくても、

 

ひどい扱いを受けようとも、心を踏みつけられても、

 

ただ、ひたすらに、働き続ける。

 

 

体が、動く限り。

 

命が、ある限り。

 

 

 

…仕事をがんばる全ての人たちに、乾杯。

 

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2017-03-19

映画 「ラ・ラ・ランド」

テーマ:洋画

うまくいく、というのは、必ずしも、思った通りではないことが多い。

 

 

まわれま~われ~メリーゴーランド♪ ではありません。

 

ララァ・スンが大量に住んでいる、ララァだけの島でもありませんのでご注意。

 

(誰も間違えねーよ)

 

 

 

さて、映画を見てから、かなり時間が経ってしまったんですが、

 

ようやく体も回復してきたので、そろそろ再開します。

 

 

ミュージカル映画というと、とにかく明るくてハッピー、みたいな印象ですが、

 

本作は、物語の切り口が、なかなか鋭くて、シビア。

 

 

監督・脚本は、「セッション」で一世を風靡した、デイミアン・チャゼル。

 

俺個人としては、ダンスよりも、音楽に期待を込めて劇場に行きました。

 

 

はっきり言わせてもらえば、エマ・ストーン、いらねえなあっていう印象。

 

でも、ライアン・ゴズリングだけだと、華がないから、

 

やっぱり、恋愛要素を入れないと、オスカー候補にならんのかも。

 

 

ジャズピアニスト志望、とはいえ、世の中、そう簡単にはいかない。

 

才能はあっても、それを認めてくれる人や、自己アピール能力や、

 

世間的な需要や、メンタル的な強さがないと、希望の職は得られない。

 

 

自分のやりたいことを、やりたいようにやらせてもらえる人は、

 

世界中で、ほんの一握りの勝者だけ。

 

 

命がけで血ィ流しながらがんばっても、ダメなものはダメ。

 

「セッション」は、今思い出してもやっぱりスゴい映画でしたな。

 

 

今回もチョイ役で、J・K・シモンズが登場しますが、

 

やっぱり、主人公にダメ出しするおっさん(笑)

 

すっかり、世界一のダメ出し俳優のポジションを獲得しました。

 

 

 

MGMのミュージカル映画は、そんなにたくさん見ていないんですが、

 

「雨に唄えば」は、よく覚えています。

 

サイレントからトーキーに以降する期間の、業界の事情がよくわかる物語。

 

(金田一耕助の「悪魔の手鞠唄」も、弁士さんのお話でしたな)

 

ジーン・ケリーとフレッド・アステアのアクロバティックなダンスが、

 

当時、ほとんど地上から浮いているように見えて笑えたもんです。

 

本作でも、そういうシーンのオマージュがちりばめられているようで、

 

懐かしいような新鮮さを、たくさん感じることができるでしょう。

 

(俺より上の年代の方は特に)

 

 

でも、

 

終わり方が気に食わん、という人が多いような気がします。

 

(俺より上の年代の方は特に)

 

 

 

ビョークが出演した「ダンサー・イン・ザ・ダーク」は、どうでしょう?

 

チャールズ・チャップリンの「街の灯」は、どうでしょう?

 

 

誰もが納得するような、

 

絵に描いたようなラストって、

 

ちゃちい。

 

 

俺の好みとしては、

 

見終わった後に、世界が広がるような、

 

深い思考が続くような、

 

ずっと長い間、物語が展開していくような、終わり方です。

 

 

そういう意味では、本作は、実に気持ちがいい。

 

 

「ボディガード」のような、大人の恋愛。

 

「カサブランカ」のような、肩透かし。

 

「レオン」のような、追い詰められた純愛。

 

「ベンジャミン・バトン」のような、限られた時間の青春。

 

「春の雪」のような、傲慢と後悔の狭間で揺れる、屈折した愛。

 

 

恋愛には、色んな形があっていいのです。

 

こうでなきゃ、と考えるから、いつの間にか、一方通行になっちゃう。

 

 

お互いのラグランジュ・ポイントを掴むことができれば、

 

バランスのとれた関係を続けることができる。

 

 

あの時、こうしていたら、自分の人生は、違ったものになったろうか。

 

確かに、そうだけど、それは同時に、今ある大切なものを失うことにもなる。

 

何かを得ようとすれば、何かを手放さないといけない。

 

それは、たぶん、宇宙の法則なんじゃないかと思う。

 

 

 

夢をかなえる、ということ。

 

欲しいものを手に入れる、ということ。

 

好きな人と、相思相愛になる、ということ。

 

愛する人と、結ばれる、ということ。

 

 

それは、

 

一時的にはできても、永遠には続かないもの。

 

 

だから、

 

今の、幸せだと思うひとときを、しっかり心に焼きつけておくのだ。

 

 

美しかった瞬間。

 

ときめいた瞬間。

 

悔しかった瞬間。

 

怒りを感じた瞬間。

 

 

心と、体と、記憶に、しっかり刻め。

 

二度と感じることのできない、新鮮な感覚を。

 

 

それが残っている限り、一生なくならない。

 

自分だけの、かけがえのない宝物。

 

 

夢も、

 

欲しいものも、

 

時間が経てば、形が変わっていく。

 

 

本当にかなえたい夢というのは、

 

イメージでいいんじゃないかと、俺は思う。

 

 

具体的に言える人は、堂々と言えばいい。

 

現実的に行動できる人は、思い切りがんばればいい。

 

 

 

夢は何ですか、と聞かれても、明確に答えられない人の方が多い。

 

俺も、そのひとり。

 

 

だから、心の声に耳をすませ、

 

イメージを、どんどん膨らませていくのを楽しめばよろしい。

 

それはきっと、楽しい作業。

 

 

理想はこうだ、現実はこうだ。

 

そこで嘆くんじゃなく、想像力で補完せよ。

 

 

この部分ではダメだったかもしれないけど、違う部分で新しい発見があるから。

 

そうやって、うまくいかないことの方が、面白いことに気づいたら、

 

人生は、きっと、楽しくなっていく。

 

 

 

そういうことを、学べる映画だと俺は思います。

 

 

居心地が悪いなら、居心地がよくなる工夫をする。

 

居場所が欲しいなら、気に入った場所を常に探す。

 

友達が欲しいなら、出会いを大切にする。

 

そして、出会いがある場所に、自らの意志で、足を運ぶ。

 

 

 

…そうやって手に入れたものが、自分だけの、ラ・ラ・ランドになる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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