FUJITA'S BAR
2017-06-03

U-NOTE Ⅱ 「映画 葛城事件 をDVDで見て」(ネタバレあり)

テーマ:ケガ・病気

今日は、お休みです。

 

明日から、また7勤が始まりますので、

 

身体をあまり動かさないように、ダラダラ過ごそうかと。

 

 

で、今日返却予定だったDVDをまだ見ていなかったことに気づいて、

 

さっきまで見ていて、今、返して来たところです。

 

 

 

これは、すごい内容でした。

 

休日の朝に見るような作品ではありませんが、

 

何だか、記事にせずにはいられない。

 

普段は、DVDで見た映画の記事は、原則的に書かないことにしているんですが、

 

本作は、別格。

 

 

だから、U-NOTEの枠で、書くことにしました。

 

少し長めになると思うので、しんどい方はご遠慮下さい。

 

 

 

内容は、無差別殺人事件を題材とした、ある家族の物語。

 

死刑判決を受けた男の前に、獄中結婚を申し込む女が現れる。

 

 

彼の父親は、傍若無人で、酒癖が悪く、家族を人間扱いしない男。

 

彼の母親は、夫の肉体的精神的暴力に苛まれ、心を病んでいる女。

 

彼の兄は、成績優秀で真面目だけど、父親に逆らえない、気の弱い男。

 

次男である犯人は、仕事をしていなくて、半分引きこもり状態…

 

 

 

俺は、この家族に、自分の境遇を重ねずにはいられませんでした。

 

…あまりにも、共通点が多い。

 

 

 

父親は、金物店を経営する、自営業の社長。

 

しかしその店は、自分の親から受け継いだ家業。

 

俺の父親もまた、自営業の社長。

 

その店もまた、自分の親から受け継いだ家業。

 

 

とにかく、傲慢。

 

人の話をちゃんと聞かない。

 

早とちりと誤解と勘違いで、すぐに怒鳴る。

 

酒癖が悪く、持論をいつまでも話す。(無理矢理聞かせる)

 

 

映画の母親は、心を病んだ。

 

俺の母親は、重い病気になり、入退院を繰り返し、衰弱して死んだ。

 

 

兄も母も、すでに心を病んでいた。

 

俺は、家を出て独立して、必死にがんばったけど、

 

とうとう、俺も心を病んで、社会から弾かれた。

 

 

ただ、殺人と自殺をしていないだけだ。(今のところ)

 

 

 

言いたいことが言えない家庭は、地獄である。

 

絶対服従を強いられ、逆らえば制裁をくらう。

 

父親は、絶対権力者であり、独裁者。

 

自分がおかしいと豪快に笑い、家族にも笑うことを強要。

 

自分が面白くない話題で家族が笑うと、機嫌が悪くなる。

 

 

 

映画の中で、いくつか、ホッとする場面がある。

 

1つは、母親と長男と次男が、3人で談笑しているところ。

 

そこへ、父親がおもむろに登場。

 

途端に、場の空気が凍りつく。

 

 

これ、俺にはよくわかるんです。

 

 

俺が小学生の頃、

 

父親が飲みに行った夜に、帰りは遅くなるだろうと思い、

 

母親と一緒にTVを見て笑っていたところに、父親が帰って来た時があった。

 

 

その時の、彼の不機嫌な目を、今でもよく覚えています。

 

 

きっと、嫌なことがあって、早く帰って来たのでしょう。

 

帰って来て、妻に愚痴をこぼしたかったのでしょう。

 

自分ががんばっていることを、労って欲しかったのでしょう。

 

 

それなのに、妻と子供は、TV見ながらゲラゲラ笑っていやがる。

 

一家の主である自分を、何でもっと尊敬しないのか、このクソ馬鹿野郎!

 

 

 

楽しい時間は、いつも、ほんの一瞬だった。

 

俺が何かを楽しむと、その直後に、必ず嫌なことが起きた。

 

俺は、物事を楽しんではいけない。

 

俺は、笑ってはいけない。

 

俺は、父親の話を“ちゃんと”聞かないといけない。

 

 

相手が、満足するまで。

 

しかし、彼が満足することは、決してなかった。

 

いったん機嫌が悪くなると、イライラはエスカレートし、

 

怒鳴りまくり、自分の父親の悪口を言い、

 

あいつを殺してやりたい、早く死ねばいい、と、いつまでも罵り続けた。

 

 

あの時の、酒に酔って濁った目が、気持ち悪くて、心に焼き付いている。

 

 

普段、彼は、話す時に、人と目を合わせない。

 

相手の目を見るのは、怒る時だけ。

 

 

だから、俺が覚えている父親の顔は、鬼の形相である。

 

 

 

兄は、幼い俺を、よくいじめた。

 

子分ではなく、奴隷だったと思う。

 

父親に逆らう勇気がなかった彼は、俺をいたぶって鬱憤を晴らした。

 

家で本を読みたかった俺を、無理やり外に連れ出そうとして、

 

腕を引っ張られ、脱臼したことがあった。

 

黙っていろと言われ、痛みがひどくて夕食が食べられない俺を、

 

母親が不審に思って、ことが発覚した。

 

 

ふざけていて、いつのまにかそうなった。

 

 

結局、怒られたのは、俺だったような気がする。

 

俺は、不器用で、人前でうまく話せず、自己主張も下手だった。

 

相手にうまく言いくるめられ、いつも、貧乏くじを引かされた。

 

 

 

俺は、映画を見て、俺の家族よりも、まだましのような気がした。

 

この環境なら、もっと違う立ち振る舞いができたかもしれない。

 

それは、父親役が、三浦友和だったせいもあると思うけど、

 

俺の父親とは、根っこが違うような気がするから。

 

この父親だったら、俺は、反抗して親子喧嘩ができたかもしれない。

 

 

そう思うと、もったいない家族である。

 

 

 

俺は、父親を憎んでいる。

 

本気で、殺したいと思っている。

 

母も、祖父も祖母も、奴が殺したようなもんだから。

 

 

俺は、母親を、守ることができなかった。

 

もっと早い段階で、離婚すればよかったんだろうと思う。

 

でも、夫婦というのは、お互いに選択した上で、築く関係。

 

 

 

『…あの女と結婚したのが、そもそもの間違いだった。』

 

『…お前らが生まれて来なければよかった。さっさと死んでくれた方がいい。』

 

『…もっとオレを尊敬しろ!もっとオレを立てろ!もっとオレを大事にしろ!』

 

 

 

さんざん、聞かされた言葉である。

 

 

 

 

映画の中で、父親が次男を殺そうとする場面がある。

 

次男は、死んでもよかった、と言う。

 

ちくしょう、まだ生きなきゃいけないのかよ、と。

 

 

この家族は、すでに壊れている。

 

もともと、ちゃんとした家庭になっていなかったんだと思う。

 

 

マイホームを建てたばかりの、明るい場面での、

 

父親の笑顔は、実に優しそうだ。

 

どこで、おかしくなってしまったんでしょうね。

 

 

 

俺の記憶では、

 

幼稚園児だった頃には、すでに、

 

家族というのは、いつも言い争っている集団、というイメージだった。

 

食卓は、戦場。

 

団欒という記憶は、クリスマスくらいしか残っていない。

 

巨人が優勝すると、父親が上機嫌になり、明るい雰囲気ができるけど、

 

その楽しさは、すぐに、次の地獄がいつ始まるか、という不安に変わる。

 

 

幸せな時間は、長続きしないのだ。

 

 

 

映画に出てくる母親役は、南果歩。

 

苦悩する役柄が、とても映える女優さんである。

 

「漂流教室」「蛍」「坂本竜馬」「エンジェル・ダスト」で、

 

切なそうに笑う彼女が、痛々しくて、美しい。

 

 

本作の彼女もまた、たまらなかった。

 

俺の母親も、彼女を見たら、泣くだろう。

 

 

かわいそうな人生だけど、それを選択し、生を全うする強さは、誰にも真似できないから。

 

 

 

この映画のポイントは、長男だと思う。

 

新井浩文が演じるから、何かしらやらかしてくれるかと思ったんですが、

 

何と、全くの弱虫のまんまでございました。

 

 

成績がよく、父親からも認められて、大学を出て就職、結婚をして、

 

もうすぐ2人目の子供が生まれる、という順調な人生だったのに、

 

ある日突然、リストラを言い渡される。

 

“失敗”とか“脱落”に対して免疫がない者にとっては、つらい仕打ち。

 

確かに、営業マンには向いていないタイプかもしれない。

 

 

彼は、解雇されたことを、妻に言えなかった。

 

毎日、出勤するふりをして、公園でパンを食べている。

 

他の会社の面接を受けるも、相手の顔をまともに見られず、

 

汗をかいて、どもってばかり…

 

これでは、営業職としては採用されないだろうなあ。

 

 

この時点で、長男もまた、心が追い詰められていることが鮮明になる。

 

奥さんもまた奥さんで、子育てが忙しくて、旦那の異変に気付かない。

 

唯一、気づいていたのは、彼の長男だったかもしれない…

 

 

 

とにかく、短いシーンや短いセリフ、ほんのちょっとした仕草で、

 

精神面を表現するのに絶大な効果を上げている。

 

 

突然、トーンが暗くなったり、声色が変わったり…

 

ホラー映画かと思うくらい、強烈なインパクトがあります。

 

 

 

人は、そんなに、強くなれない。

 

“自分は強い”と思い込んでいるのは、そうさせてくれる誰かが、そばにいるから。

 

“自分は弱い”ことを自覚することは、実に大事なことなのだ。

 

 

誰もが、強い部分と、弱い部分を合わせ持った集合体である。

 

今、たまたま、強い部分が表面に出ているだけ。

 

今、たまたま、弱い部分が表面に出ているだけ。

 

 

 

父親は、悪いことを全部人のせいにする。

 

だから、いつも自分は正しい、と思っている。

 

母親は、攻撃性を自分に向け、精神が崩壊。

 

長男もまた、攻撃性を自分に向け、自殺してしまう。

 

(コンビニのレシートの裏に書いた遺書が、泣かせます)

 

 

そして、次男は…

 

サバイバルナイフを持って、街に出て行きます。

 

 

抑圧された魂の、行き場所はどこに向かうのか。

 

 

 

人を殺すくらいなら、自分を殺す方がまし。

 

俺が、父親を殺さずにいられるのは、妻と娘がいるから。

 

殺人犯の家族にさせてしまうのは、あまりにも不憫だから。

 

 

だから、死んだつもりで、必死に働いて、

 

借金を少しずつ返し、娘の学費を稼いでいます。

 

 

体重は、30キロも落ちたけど、懸命に働いています。

 

 

 

俺は、まともな家庭環境で育っていません。

 

でも、どういうわけか、家族を持ちました。

 

元気なうちに子育てができて、幸運だったと思います。

 

精神を病んで療養を始めた頃は、娘がまだ小学生でした。

 

 

人生が終わったと思っていた俺を、

 

家族の明るさが、救ってくれました。

 

 

父親というのは、無敵で強い存在でなくていい。

 

弱い部分があるからこそ、支え合える。

 

元気がある者が、弱っている者を助けてあげればいい。

 

 

自分の家族に、教わったことです。

 

 

 

 

映画の冒頭で、次男が死刑を宣告されます。

 

彼は、振り返って、ニヤリと笑います。

 

それは、傍聴席にいる、父親に向けてでした。

 

…あんたのお望み通り、死んでやるよ。よかったな、オヤジ。

 

 

 

俺は、父親を殺す時に、こう言ってやろうと思ってました。

 

…これが、あんたの育てた子供だ。ざまあみろ。

 

 

疫病神のように、人に迷惑ばかりかけて、

 

それでいて元気で、長生きする輩がいる。

 

それは、人の気持ちを考えない分だけ、ダメージを受けないから。

 

 

優しくて思いやりのある正直で誠実な人ほど、早死にしてしまう。

 

それは、たくさんのことに、エネルギーを使い果たしてしまうから。

 

そして、その気持ちを誰にも理解されないまま、寿命を使い切ってしまうから。

 

 

 

やっぱり、自己主張は、大事である。

 

権力者や独裁者には、叱ってくれる人がいない。

 

だから、増々、暴走していくのだ。

 

 

我慢には、限界がある。

 

いっぱいいっぱいの状態が続くと、心が崩壊する。

 

 

そうなる前に、何とかしたいもの。

 

 

 

 

家族という仕組みは、俺にとっては地獄のイメージである。

 

世の中で、一番嫌な言葉でもある。

 

 

 

親に感謝しろ。

 

親に心配かけるな。

 

親孝行しろ。

 

家族を大切にしろ。

 

家族こそが、一番大事。

 

 

 

親子の愛ほど、胡散臭いものはない。

 

だから、家族向けの映画とか、親に感謝する歌とか、

 

本当は好きじゃない。

 

 

個人の魂そのものや、人間の尊厳に焦点を当てた作品の方が、

 

歪んだ心の奥底に眠る、精神核に触れるような物語に、俺は惹かれる。

 

 

 

この映画だって、父親をモンスターにしちゃえば、解釈が簡単になる。

 

でも、その父親だって、何かの原因でそうなってしまった。

 

そこを掘り下げて考えるからこそ、本作は味わい深いのである。

 

 

 

俺の父親の父親もまた、ひどい男だった。

 

祖父と父親が取っ組み合いの喧嘩をする場面を、何度も見ている。

 

あのくらい、怒りをぶつけないと、立ち向かえない存在だったのである。

 

 

兄は、父親に立ち向かう勇気がなかった。

 

そしていつも、肝心な時にいなくなる。

 

 

去年、母親が死んだ時も、即座に失踪した。

 

どうせ、俺が来て、面倒くさいことを全てやってくれると思っていたらしい。

 

 

俺は、年末のあの時からすでに、父親に対して憎悪しか湧かなかったし、

 

精神科医からも、カウンセラーの保健師からも、

 

父親とは顔を合わせずに、距離を取った方がいいと言われていた。

 

 

妻と娘が、お通夜や葬式やら、代理で動いてくれたので、

 

俺は、今もこうして、のうのうと生きていられるのです。

 

 

実は来週、母の法要があるんですが、

 

妻も娘も、休みを取って、2人で行ってくれるそうです。

 

(それもあって、ここしばらく、不安が大きい状態が続いています)

 

他にも、今月は、色んな問題を片づけないといけないので、

 

休日の度に、色々動いています。

 

 

でも今日は、ひどく疲れているので、休まなきゃ。

 

 

 

今、レイトショーに行けません。

 

映画館に行く体力と時間が、乏しいからです。

 

 

でもそれは、仕方がないこと。

 

また、元気が出たら、行きたいと思います。

 

 

 

 

体や心に毒がたまると、機能が鈍ってしまう。

 

どこかで、咀嚼し、消化して、吐き出さないと。

 

きれいにしてから、新しいものを取り入れないと。

 

 

 

そういう意味では、いい映画に出会えたと言えるでしょう。

 

本作のおかげで、自分の気持ちを少し、整理できました。

 

 

殺人や自殺は、まともな精神状態では、できない行為。

 

どんな人にも、起こり得る事態であることを、肝に命じます。

 

 

俺が、ここまで生きて来られたのは、幸運だったんでしょう。

 

俺自身、生きていていい存在なのか、さっさと死んだ方がいい存在なのか、

 

未だによくわからないのですが。

 

 

疲れているけど、

 

毎日、不安や恐怖と戦いながら生きているけど、

 

少しずつ、悪い癖を修正して、

 

まともな人間に近づけるように、努力しています。

 

 

 

あ、そういえば、死刑囚と獄中結婚する女ですが、

 

演じているのは、田中麗奈です。

 

彼女もまた、イカレている人間のひとりですが、

 

彼女という存在もまた、愛すべきキャラクターです。

 

「真幸くあらば」の尾野真千子、「接吻」の小池栄子と見比べてみて下さい。

 

 

 

もう少し、時間が経過して、

 

俺の精神もそれなりに落ち着いたら、

 

また、この映画を見てみたいと思います。

 

 

その時はきっと、新しい発見があるでしょう。

 

 

こういう状態で、

 

いや、こういう状態だからこそ、

 

自宅で、雨の降る肌寒い朝に、DVDで映画を見るのも悪くないな、と思いました。

 

 

 

これからは、DVDによる鑑賞でも、

 

気に入った映画は、記事にしていこうかな。

 

 

 

俺も、少しずつ、変わっていければ、

 

生きるための選択肢も、増えていくように思えるから。

 

 

 

 

さあ、これから、コーヒーを淹れて、

 

太るための甘いお菓子でも食べながら、

 

新たに借りて来た、映画のDVDを見ようと思います。

 

 

 

 

明日は、朝7時から出荷。

 

まだまだ、休日の時間はたっぷりある。

 

 

体の力を抜いて、ゆっくり過ごします。

 

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