FUJITA'S BAR
2017-06-26

12周年。

テーマ:ごあいさつ

ブログを始めて、12年が経ちました。

 

 

今年見た劇場映画は、18本。

 

少な過ぎて、トホホでございます。

 

でも何とか、自称現役映画ブロガーとして、アメーバの片隅にいます。

 

 

思えば、38歳で始めて、三十郎だった男は、すでに五十郎。

 

健康状態は、あまりよくありません。

 

肉体労働自体もしんどいし、体重はどんどん減る一方。

 

「疲れている」か、「すごく疲れているか」のどっちかです。

 

 

昨年は、大腸の手術を受けて、

 

今年の健康診断では、胃で引っかかって、来月、胃カメラ検査の予定。

 

まだ普通に動けますが、確実に、死に向かっているんでしょうな。

 

 

食べられるし、お通じもあるし、夜も一応、眠れているので、

 

うつの方はたぶん、大丈夫だと思うんですが、

 

仕事のプレッシャーがどんどん重くなり、今、過酷な状況が続いています。

 

 

昨日今日の2連休も、最低限の外出だけして、基本、家で横になってました。

 

でも、映画を2本見られたので、悔いはないです。

 

エアコンの掃除もしたし、家の雑用も、ほぼ終わりました。

 

 

 

これからしばらくまた休んで、夜は、家族で外食する予定です。

 

名目は、娘の部活引退のねぎらいと、俺のブログ12周年記念として。

 

(明日からまた仕事だから、早めに帰って来るつもりですが)

 

 

 

文章がうまいかどうかはともかく、文字で発信できる場所は、あった方がいい。

 

人と直接話をすることで、解放される心もあれば、

 

飲んでカラオケしたりして、発散できる心もある。

 

 

だけど、文章で吐き出すのって、ある意味、特殊な次元なんですよね。

 

 

俺は、若い頃に30人以上と文通をした経験もあって、

 

文章で気持ちを伝えることは、基本、好きなんです。

 

話した方が伝わる人もいえば、文章の方が伝わる人もいる。

 

 

本来は、映画の楽しさや魅力を伝えるために始めたブログだったんですが、

 

お前偉そうに何者だよ、みたいな嫌味をたくさん言われると、

 

自分の素性や、キャラクターを明確にしておく必要があるな、と気づき、

 

あくまでも、こういう男がこういう状況で見て、こう感じた、というスタイルができあがったのです。

 

 

 

当然ながら、同じ映画を見ても、感じ方は人それぞれ。

 

俺と同じ感想を抱く人など、ほとんどいない。

 

それを承知の上で、あえて、自分の感じたことを、正直に書く。

 

 

賢明な読者の方は、

 

こいつがこう感じるのなら、こういう映画なんだろう、くらいに思って下さるものなんです。

 

 

そういう心優しい読者の皆様に支えられて、今日まで続けることができました。

 

応援して下さって、心より感謝申し上げます。

 

 

 

今、仕事の状況が苦しいので、元気ではありませんが、

 

ぶっ倒れない程度に、がんばろうと思います。

 

娘の志望校が決まり、これから、たくさんお金がかかりますので、

 

稼げるだけ稼いで、娘には、自分の好きな勉強をさせてあげたいな、と。

 

 

 

毎日怒鳴られながらも、何かしら社会の役に立っている、と信じて。

 

ヘトヘトになっても、倒れそうに傷ついても、生きて、帰宅する。

 

そして、ゆっくりと、晩酌の時間を楽しむ。

 

 

 

もう少しして、元気を取り戻したら、また活発に行動しようと思いますが、

 

今は、自重して、仕事優先で。

 

 

 

やりたいことがあるうちは、まだ、大丈夫。

 

通いたいお店があるうちは、まだ、大丈夫。

 

 

 

今年ももう半分が過ぎようとしていますが、

 

あと何本見られるやら。

 

 

どうしても見たい映画に絞って、

 

無理をしない範囲で、映画館に通います。

 

 

 

だって、俺の大事な居場所だから。

 

 

 

やれることは、全部、精一杯やる。

 

見たい映画は、できるだけ、全部見る。

 

 

 

桑畑は、まだ、健在です。

 

現役で、突っ走っておりますので、どうかご安心を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2017-06-26

映画 「22年目の告白 私が殺人犯です」

テーマ:邦画

告白、告発、宣戦布告。 …さあ、犯人の目的は何でしょう?

 

 

これは、笑えます。

 

怪しいキャストがいっぱいで、全員イカレている感じがよろしい。

 

 

昨日見た映画と対照的で、こちらはかなりアクティブ。

 

よかったなあ、この順番で見て正解だったわ。

 

 

さて、冒頭いきなり、犯人が告白します。

 

これは、真面目な映画ではないので、笑い飛ばすのが正しい。

 

「渇き。」なんかとおんなじジャンルに入れてもいいかと。

 

 

いきなり犯人が登場、というと、

 

「刑事コロンボ」とか、「古畑任三郎」とか。

 

途中で犯人が登場、というと、

 

「セブン」とか。

 

いきなり系としては、アメリカのドラマ「ブラックリスト」の、ジェームス・スペイだーとか。

 

 

まあ、物語としては、使い古されたネタかもしれませんが、

 

こんなに豪華キャストで始まると、何だかワクワクして楽しいですね。

 

 

 

内容は、時効を過ぎた連続殺人犯がどうのこうの、というお話。以上。

 

あまり書くとネタバレになっちゃうから、俺はここまでしか言いませんよ~

 

詳しく知りたい人は、他の人の記事を読んで下さい。

 

 

 

22年目の告白くらい、大目に見てよ~

 

開き直るその態度が、余計に怪しいよ~

 

(ヒットソング「三年目の浮気」のメロディで)

 

 

元ネタは、韓国映画だそうな。

 

なるほど、これ、復讐劇なら、すごいものができるわな。

 

日本版はリメイクだから、こんなにソフトなんですね。

 

 

そこは、藤原竜也の、浮世離れした独特の雰囲気。

 

追いかける刑事は、伊藤英明。(陰陽師の側近海猿悪の教典!)

 

医者役は、岩松了。(時効警察川の底からこんにちは下ネタオヤジ!)

 

ニュースキャスターには、仲村トオル。(ビーバップあぶない刑事海猫間男!)

 

そして、ヤクザが岩城滉一。「新幹線大爆破を筆頭に爆発暴走系映画の常連!」

 

 

全員、ワルの匂いがプンプンですが、

 

そこを、藤原君の、「アイムフラッシュ」のような、カリスマ性が漂う。

 

 

ここはぜひ、観客は、考えるのをやめたくなってしまいますね。

 

 

 

魅力的な男がたくさん登場するので、その掛け合いを、ひたすら楽しみましょう。

 

 

 

真実、事実、真犯人。

 

本物、偽物、まがい物。

 

嘘つき、正直、新事実。

 

イケメン、イクメン、大画面。

 

伏線、いい線、やってません。

 

どんでん返し、ミスリード。

 

 

そうです、私が、変な犯人です。

 

変な犯人だから、変な犯人。

 

 

 

 

…さあ、犯人は何を考えているんでしょう?

 

 

騙されるな。

 

自分の中に、答えを見つけ出せ。

 

 

 

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2017-06-26

最近読んだ本

テーマ:

久しぶりに、本の記事を。

 

 

ポールのライブに行く前から、ユルユルと何冊か読んでいたんですが、

 

毎日の疲労が激しくて、1日数ページがやっとくらいでした。

 

それでも、記憶が薄れないうちに、文章化しておきたくて。

 

 

4冊、ご紹介します。

 

 

 

「スターティング・オーヴァー」 (三秋縋著 メディアワークス文庫)

 

 

娘から借りて読んだ「恋する寄生虫」が面白かったので、

 

じゃあ、これも読みなよ、と渡されたのが、この本。

 

彼のデビュー作らしい。

 

 

人生をやりなおせたら…という題材は、昔からよくあります。

 

「ドラえもん」の「人生やりなおし機」とか、懐かしいですね。

 

 

この物語は、幸せな人生を送っていた男が、

 

ある日突然、子供の頃に戻ってしまうところから始まります。

 

彼が言うには、“二周目”なんだそうだ。

 

 

同じことをやれば、きっとまた幸せになるだろう、と、

 

記憶をたどって努力しますが、“一周目”よりも、うまくいかない。

 

バラ色だった人生は、灰色になりつつあった…

 

 

この本を読むと、人間って、やっぱり生き物なんだなあって感じます。

 

生きた時間も空間も、ある意味、生き物だから。

 

条件が全く同じ、ってことは、基本、あり得ないと思う。

 

何かの歯車が狂えば、同じ結果は出てこない。

 

同じ結果が出ても、感じ方が変われば、何もかも変わってくるし、

 

歯車が狂った方が、面白い結果になるかもしれない。

 

 

誰もが納得する「正解」は、存在しないのだ。

 

 

今、自分が生きている人生は、正しいのか、間違っているのか。

 

幸せなのか、不幸なのか。

 

それは、誰にもわからないし、自分でもよくわからない。

 

それで、いい。

 

 

悩むのは、生きている証拠。

 

悔やむのも、生きている証拠。

 

喜びも悲しみも、感覚が生きているから、味わえる。

 

 

出発点は、自分で決めていい。

 

そこが、自分のスターティング・オーヴァー。

 

 

 

 

「三日間の幸福」 (三秋縋著 メディアワークス文庫)

 

 

借りた本、面白かったよと娘に言ったら、もう1冊渡されました(汗)。

 

病院の待ち時間とか、映画館の近くのカフェで少しずつ読んで、

 

おお、何だか、こっちの方が俺の領域かな~って気分になりました。

 

 

主人公の青年は、20歳にしてすでに、人生に絶望しています。

 

俺とは、絶望の質が違いますが、何となく、その感覚は同意できるんですね。

 

 

 

当たり前だけど、人は、みんな違う。

 

今どきはそれなりに、個性を重んじる教育とかしているのかもしれない。

 

俺の少年時代は、みんなと同じことができないのは、敗北を意味した。

 

だから努力して克服して、できるようになることが大事だと教えられた。

 

でも、いくらがんばっても、できないことはできない。

 

がんばり方が悪いと言われても、ちゃんと指導してくれる人がいない。

 

ネットもない時代だし、図書館で調べても、限界があった。

 

先生はもちろん、親とか、大人はみんな怒って否定するばっかりで、

 

俺の話をまともに聞こうとしてくれる存在は皆無。

 

 

でもそれは、今思えば、

 

俺自身が、

 

“話を聞いてあげたくなる人間” じゃなかったから。

 

むしろ、

 

“こんな変な奴の話聞いてたら、こっちがおかしくなっちゃうぜ” 的な野郎だったから。

 

 

そう思えるのです。かなり確実に。

 

 

 

だから、この主人公には、共感できる。

 

だけど、彼と友達になれるかと聞かれたら、よくわからん。

 

共通項があるからといって、簡単に仲良くなれるほど、人は単純じゃない。

 

 

 

もし、寿命を売ることができたら?

 

今の俺だったら、間違いなく売っぱらってしまうでしょう。

 

彼は、それを、実行してしまうのです。

 

おお、やるじゃん。いいなあ。羨ましい!

 

 

 

そこからが、物語。

 

彼は、色んなことに、気づきます。

 

だからといって、後悔なんかしない。

 

だって、自分で「選択」したことなんだから。

 

そこは、俺の「ろくでもない人生」と、ある意味、おんなじ。

 

 

馬鹿だと言われようが、周りからどう思われようが、

 

自分の意志で決めた生き方こそが、尊い第一歩だったんだから。

 

あれがなかったら、今の自分はいない。

 

 

 

物事は、見方が変われば、まるで違う。

 

その変わる「きっかけ」は、人それぞれ。

 

 

 

あとがきで筆者が触れていることですが、

 

馬鹿は死ぬまで治らないとか、

 

馬鹿は死んでも治らないとか、

 

馬鹿は死ななきゃ治らないとか、色々言われてる中で、

 

彼は、違うことを言っています。

 

 

俺は、まさにその通りかもしれない、と感じました。

 

そう考えることができれば、俺の人生にもまだ、

 

ほんの少しだけ、希望みたいなものがあるような…

 

 

 

10代はもちろん、くたびれたおっさんの世代でも、充分に楽しめます。

 

なかなか、いい本でしたね。

 

 

 

 

「女のいない男たち」 (村上春樹著 文春文庫)

 

 

実は、村上春樹の本が、苦手なんです。

 

こんなことを書くと、世界中の村上ファンから殺されそうですが、

 

どうも、文章が甘ったるくて、すぐに眠気が来てしまう。

 

 

かつて、「海辺のカフカ」と「1Q84」を、買って読み始めたことがあるんですが、

 

どちらも、途中で挫折してしまいました。

 

俺は基本、どんな本でも映画でも、とりあえず最後まで味わってから、

 

評価なり感想なりを言えばいい、と考えている男なので、

 

こんなことは、作品にも作者にも失礼極まりないのですが、

 

つまんないんだから、仕方ないじゃん!

 

 

というわけで、短編集なら、きっと読めるはず、と思って、挑戦。

 

結果は…

 

時間はかかったけど、読み終えました☆

 

 

全体的には、やっぱりつまんない話がほとんどなんだけど、

 

1つだけ、「木野」という物語が、ちょっと面白い題材でした。

 

バーのカウンターで、静かにうごめいていく、不思議な不協和音。

 

 

この世界観は、俺もしょっちゅう足を踏み入れている領域なので、

 

短編という切り口が、絶妙な効果と余韻を生み出したと思います。

 

 

ようし、今度は、いよいよ、「ノルウエイの森」に挑戦しようかな。

 

 

 

 

 

「あの頃、ぼくらはアホでした」(東野圭吾著 集英社文庫)

 

 

親しい人から、プレゼントしてもらったので、読みました。

 

彼の青春時代の風景を綴った、エッセイ集です。

 

とても、幸せで恵まれた子供だったことがわかるくらい、

 

のびのびとした、純粋な文章で、楽しい気分になれる1冊です。

 

 

俺よりも年上の年代なので、怪獣や特撮にかんするこだわりが深い。

 

自分で映画も撮ったそうで、なるほど、作家になるべくしてなった人という気がします。

 

 

自分のやりたいことを、自由にさせてもらえる子供は、すくすくと育ちます。

 

ああ、はっきり言って、羨ましい。

 

 

彼の本は、このコーナーでも何冊か紹介しましたが、

 

本著は、青くさくて初々しい、彼の創作活動の原点を垣間見るようで、微笑ましくなります。

 

 

独特のハードな視点と、クールなユーモア。

 

心が安定している人の文章は、やっぱり、安心して読めます。

 

 

巻末の、金子修介監督との会談も、なかなか楽しいです。

 

 

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2017-06-25

映画 「午後8時の訪問者」

テーマ:洋画

失った時間を取り戻すことはできないけど、心を再構築することは、きっとできる。

 

 

過酷な仕事の状況の中で、ようやく7日間を働き抜き、いざ、映画館へ。

 

最近は、疲労が激しいので、つまらないと、すぐ眠気がきちゃう。

 

でも、この映画は、大丈夫でした~ (それが基準かよ)

 

 

 

主人公は、そこそこ経験豊富な、若い女医さん。

 

街の開業医のじいさんが身体を壊して入院中なので、

 

彼に代わって、患者を一時的に診ている。

 

 

ある日の夜、診療時間を1時間過ぎた頃、ブザーが鳴った。

 

対応しようとする研修医の青年を、彼女は制止。

 

『…出なくていいわ。緊急なら、何度も押すはずよ。』

 

ブザーが鳴ったのは、一度きりだった。

 

 

翌日、警察が彼女のもとを訪れ、身元不明の少女が死んだことを知らせる。

 

診療所の防犯カメラの映像をもとに、警察は捜査を始める。

 

 

 

あの時、もし、ああしていたら…

 

 

こういうことって、日常生活の中では、よくあること。

 

気にしない人は、余計なストレスを感じずにすむけど、

 

気にする人は、とことん悩んでしまうのである。

 

 

彼女は、どうしても気になってしまい、独自に探偵を始める。

 

それは、良心の呵責とか、自責の念とか、

 

そういったわかりやすいきれいごとではないような気がする。

 

説明がない分だけ、彼女の表情や仕草から、ほのかに読み取れるのだ。

 

 

彼女は、「何か」を感じて、行動することによって、答えを見つけようとしている。

 

毎日の仕事をこなし、ひたむきに、「何か」を探す。

 

 

そしてそれは、彼女自身の、心の問題でもあった。

 

 

 

とても魅力的で、素敵な女性である。

 

彼女は、ほとんど笑わない。

 

黙々と、自分がやるべきことを、シンプルにこなす。

 

 

まるで、アキ・カウリスマキ作品の世界にいるようだ。

 

無表情だからこそ、にじみ出てくるものがある。

 

 

そして、音楽をやたらに使わないところも、面白い。

 

「家族ゲーム」は異色だったけど、本作は違う。

 

「音」は、確かにあるのだ。

 

ただそれは、日常生活の中の、ありふれた「音」。

 

 

 

映画は、日常の中に潜む「闇」を、さり気なくあぶり出していく。

 

派手な場面や、華麗なクライマックスも、存在しない。

 

ただ、淡々と、真実に少しずつ、近づいていくのみ。

 

 

う~ん、ハードボイルド。

 

彼女は、勇敢ですわ。

 

 

 

 

人の心は、なかなか奥が深くて、複雑なもの。

 

単純な行動をするからといって、単純な思考の持ち主とは、限らない。

 

誰もが、人に言えない事情を抱えて、毎日を必死で生き抜いているのである。

 

 

生命力というのは、元気があれば、あふれ出る。

 

しおれて、枯れて、萎えて、息絶え絶えでも、生きている限りは、なくならない。

 

 

助けを、求める者。

 

助けたいけど、助けられない者。

 

助けられる立場にいるけど、助けない者。

 

助けられないのに、助けようとする者。

 

助けて欲しくなんかないのに、助けられてしまう者。

 

 

色んな出会いがあって、人の心が形成されていく。

 

弾んだり、歪んだり、傷ついたり。

 

弾めば、何かにぶつかって、跳ね返る。

 

歪めば、物事が、歪んで見える。

 

傷つけば、痛みを恐れるようになる。

 

 

心が柔軟であれば、もとに戻ろうとする力が強くなる。

 

自己修復機能であり、自然治癒力と言われる性質のもの。

 

 

そのエネルギーの源が、生命力なんだと思う。

 

 

早く、回復する人。

 

ゆっくり、時間をかけて、回復する人。

 

誰かが力を貸してくれて、初めて回復に向かう人…

 

 

助けを求めるのも、

 

困っている人を助けたいと思うのも、

 

人間の本能。

 

 

本能を動機とした行動には、理由が存在しない。

 

ただ、そうしたかったから。

 

それだけのこと。

 

 

理由や説明なんて、後から考えればいい。

 

今はただ、目の前のできることを、精一杯やるのみ。

 

 

だから、彼女を見ていると、美しく生きていると、俺は感じてしまう。

 

 

 

誰も見ていなくても、

 

誰からも褒められなくても、

 

自分の、やるべきことを、ひたむきに、夢中になる。

 

 

 

 

俺の、疲れ切った心に、気持ちのいいスパイスを効かせてくれた1本でした。

 

やっぱり、映画って、いいもんです。

 

 

 

失ったものは、数多いけれど、

 

もう二度と取り戻せないものも、たくさんあるけれど、

 

壊れた心を、少しずつ、再構築していけば、

 

その先に、何か新しい道が開けるかもしれない。

 

 

 

彼女が笑う場面が、2つくらいあったと思うんですが、

 

すごく、いいですね。

 

 

そういう短いひとときでも、ほんの一瞬でも、安らぎをかみしめられるように、

 

自分の心を、常にオープンにしておきたいものです。

 

 

 

何もかもが、ダメというわけじゃない。

 

研修医の青年の心が、何かによって変化していく。

 

主人公も、出会う人たちも、何かによって、変わっていく。

 

 

それは、

 

変えてもらったのではなく、

 

自ら、変わろうとしているのである。

 

 

それが、生命力だと思う。

 

 

生き物は、破壊されたところを、自ら修復しようとするものなのです。

 

 

 

 

彼女は、きっと、新しい力を得たんだと思います。

 

冒頭の彼女と、ラストの彼女の対比が、素晴らしい。

 

 

人は、自ら望んで行動した方が、成長する。

 

またひとつ、勉強させてもらいました。

 

 

 

出会って、壊れて、また再構築。

 

しっかり向き合って、ひたむきに生きることは、とても美しい。

 

 

 

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2017-06-15

映画 「ローガン」

テーマ:アニメ・特撮

生きることは、痛みに耐えること。

 

 

R15だそうで、これは、大人の匂いがプンプン。

 

久しぶりの映画館で、本作を選びました。

 

 

今の俺にピッタリで、ジーンときちゃいました~

 

2時間18分くらいあるけど、眠気は全く感じなかった。

 

疲れていても、面白い映画だったら、寝ないのである。

 

 

さて、ウルヴァリンも、すっかり高齢に。

 

伸び放題のヒゲには、白髪も交じっています。

 

スマホを見る時は、老眼鏡をかけています(笑)。

 

 

このくたびれ感が、なかなかいいですなあ。

 

 

そして、プロフェッサーXのジイさんは、もっとジイさんになり、

 

体も心も病んで、ヨボヨボでございます。

 

 

しかしまあ、超能力者が発作を起こすと、もう大変!

 

「AKIRA」の鉄雄君くらい、手が付けられません~

 

 

強靭な体を持つウルヴァリンだからこそ、介護ができるんですな。

 

やっぱり、いざとなった時に助けてくれる仲間がいるのは、幸せなことです。

 

 

俺は、2人の関係が、羨ましく思えました。

 

 

今回、新たに登場するのは、ミュータントの少女。

 

彼女は、登場してから、ずっと押し黙ったまま。

 

謎の少女を守ってくれと言われ、断るローガンであったが、

 

その女の子の「機能」を見た瞬間、スイッチが入ってしまう。

 

 

…彼女は一体、何者なんだ?

 

 

昔から、“おっさんと少女”という組み合わせは、数多く存在します。

 

「道」 「ブラックジャック」 「レオン」 「紅の豚」 「ルパン三世 カリオストロの城」

 

「WASABI」 「カーリー・スー」 「長い散歩」 「ガンスリンガー・ガール」などなど…

 

 

まあ、「グロリア」みたいに、“オバチャンと少年”なんていうジャンルもありますが、

 

やっぱり、“おっさんと少女”は、永遠のロマンなんですな。

 

(まあ、エロ映画の「白い婚礼」なんかは別枠ですが)

 

 

 

冒頭、「赤ずきん」みたいなシチュエーションがありますが、

 

そこは、狼と少女というネタで、掴みのギャグなんでしょう。

 

 

か弱い女の子と、血に飢えた狼ではなく、

 

追い詰められてギラギラ殺気を放つ少女と、くたびれたおっさんですから(笑)

 

 

そこに、ヨボヨボの超能力ジイさんが加わって、

 

まるで疑似家族のような、変てこなロードムービーになっちゃうのが笑えます。

 

 

 

ウルヴァリンの魅力は、ジャキーンな爪と、驚異的な治癒能力。

 

受けた弾丸も、ふんっ!と体に力を入れれば、出てきてポットン。

 

いやあ、スバラシイ回復力。

 

 

しかし、心の傷は、そうはいかないのであった。

 

 

 

体の治癒能力が衰えてくる一方で、

 

心の痛手は、増えて行く。

 

 

この映画は、“痛みを感じる”作品になっています。

 

それは、ヒュー・ジャックマンという、俳優の力でもあると思う。

 

 

とにかく、何もかもが、痛々しい。

 

病床で苦しむ、ジイさん。

 

くたびれた体にムチ打って働く、おっさん。

 

むき出しの敵意を撒き散らしながら逃げる、謎の少女。

 

 

訳ありで、社会からはじき出された者たちが、縁あって、出会う。

 

自分たちが生きるのもやっとなのに、協力し合い、いつしか“仲間”になっていく。

 

 

孤独と秘密を抱え、闇の中で、寄り添い、生き抜く。

 

たとえ、短い時間であっても、

 

たとえ、一瞬であっても、

 

たとえ、ほんの、束の間のひとときであっても、

 

安らぎを感じることは、幸せである。

 

 

 

何でだろう。

 

こんなに、ベタベタな物語なのに、

 

若者にはウケないような、地味なストーリーなのに、

 

何でこんなに、涙が出るんだろう。

 

 

何でこんなに、心に突き刺さるんだろう…

 

 

不思議である。

 

これはきっと、おっさん向けの映画なのかもしれない。

 

 

そして、行き場をなくした、子供向けの映画なのかもしれない。

 

 

…R15なんて、クソくらえっ!

 

 

 

生きていれば、必ず、絶対に、傷つく時が来る。

 

その痛みと戦い、打ち勝って乗り越えた者だけが、

 

今日を生きる資格を得るのだ。

 

 

 

痛みは、残る。

 

苦痛は、いつまでも、消えない。

 

だからこそ、

 

その痛みは、誰かを助ける力に変わるのだ。

 

 

 

思いがけず、人に感謝されることがある。

 

知らないところで、誰かの役に立っていることが、あるらしい。

 

 

それって、何だか、素敵なこと。

 

 

人に迷惑をかけ、

 

人を怒らせ、

 

人に煙たがられ、

 

人に憎まれ、

 

人に嫌われた者であっても、

 

 

その分だけ、

 

どこかで、他の誰かの役に立っている。

 

 

誰かを不幸にした分だけ、

 

誰かを、幸せな気分にさせているのかもしれない。

 

 

映画の中で、名作「シェーン」が出てくる。

 

俺の好きな台詞が… ああ。

 

 

「荒野の7人」の、チャールズ・ブロンソンの台詞と同じくらい、好きな言葉。

 

 

男は、こうでなくっちゃ。

 

 

真のヒーローは、こうでなくっちゃ。

 

 

 

忘れていた、大切な何かを、思い出させてもらいました。

 

いい映画です。

 

 

 

痛みをこらえて生きている、

 

いっぱいいっぱいで生きている、

 

がんばってがんばって、がんばり抜いている人に、オススメしたい。

 

 

 

生きることは、痛い。

 

痛みに耐えてこそ、生きる意味が見いだせる。

 

痛みを知っているからこそ、人に優しくなれる。

 

 

みんなに理解されなくても、いい。

 

大切な人にだけ、わかってもらえれば、それでいい。

 

 

今日という日を、生き抜いたあなたは、真のヒーロー。

 

痛みは、忘れようとしても、忘れられない。

 

忘れなくていい。ちゃんと、覚えていよう。

 

その痛みの意味が、きっと、報われる時が来るから。

 

 

 

傷ついて、傷つけて、激痛のなかで、人は、生きて行く。

 

 

『…打たれることを、恐れるな。』

 

これは、「ロッキー」のスタローンの台詞。

 

 

 

打たれようが、撃たれようが、切り刻まれようが、

 

自分を、堂々と貫け。

 

 

俺は、そう教えられたような気がします。

 

 

ローガン。

 

この名前を、俺は、忘れない。

 

 

 

男として、大切なことを、教えてくれたから。

 

 

 

…明日も、痛みに耐えて、がんばるぜ!

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2017-06-13

U-NOTE Ⅱ 「ギリギリの世界で」

テーマ:ケガ・病気

こんばんは。桑畑です。

 

まだ、しぶとく生きております。

 

 

映画は、今日、久々に行きました。

 

よかったですね~

 

 

気力も体力も、生命力も低下している今、

 

出会った一本一本が、とても貴重な作品に思えてきます。

 

 

もう一日、心の中で転がしてから、記事を書こうかな、と。

 

 

 

仕事は、相変わらず怒られながらも、必死でがんばっています。

 

娘の志望校も決まり、しっかり学費を稼がなくてはならないので、

 

あと数年、生きられればいいかな、と。

 

 

今日見た映画は、心にしみました。

 

あんなにカッコよくいかないけれど、

 

俺なりに、男の生き様を示せればなあ、なんて思います。

 

 

 

今、

 

余計な荷物を、ひとつひとつ、降ろしているところです。

 

無理して付き合わなければいけない相手とは、縁を切る。

 

縁切りが難しい相手とは、できるだけ、距離を置く。

 

 

あたたかく接してくれる人とは、依存しない程度に、仲良くする。

 

相手に、余計な負担をかけなくてすむように…

 

 

先週は、8勤だったので、昨日今日と、2連休でした。

 

それでも、映画1本見に行くのが、精一杯でした。

 

 

だけど、映画館に行くことができて、よかった。

 

 

やせ過ぎて、みんなに心配をかけていますが、

 

まだ、働けているうちは、大丈夫です。

 

 

明日から、また、がんばって働きます。

 

 

働ける職場があるってことは、幸せなことだから。

 

 

 

ギリギリの世界で、かろうじて、持ちこたえております。

 

 

応援して下さる、数少ない皆様に、感謝申し上げます。

 

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2017-06-03

映画コラム 「大切なもの」

テーマ:映画コラム

関係ないカテゴリーで、関係ない話題を、もうひとつ。

 

実は、今日は、今の仕事に就いて、4年目を迎えた日なんです。

 

46歳で、社会復帰して、未経験の仕事をして、勤続4年になりました。

 

 

妻が、刺身を用意してくれて、ささやかなお祝いをしてくれました。

 

 

家族で食卓を囲んで、一緒に見たのが、「夏目友人帳」の第5シーズン第1感。

 

 

俺は個人的に、「蟲師」の方が好きなんですが、

 

「夏目友人帳」には、「蟲師」とは違った魅力があります。

 

 

前者は、青年誌。後者は、少女マンガ。

 

そういう一面もあってか、表現のスタイルが、違うんですね。

 

大人な表現と、思春期の表現は、明らかに違う。

 

 

根本は、同じなんです。

 

生きることの厳しさを、わかりやすく表現することは、共通なんですが、

 

絵柄や、物語のソフトさの具合に、、微妙なセンスを感じるのです。

 

 

両者に共通するテイストは、

 

人間の感性を、深いところで表現している点にあります。

 

 

 

自分は、他の人とは、何かが致命的に違う。

 

そのことに、コンプレックスを感じている人に、勇気や希望を与えるスタイル。

 

 

他の誰にも見えない領域を、感じる能力がある。

 

他の誰かには気づかないことを、いち早く察する力がある。

 

 

普通は、常識を逸脱したことは、知らんぷりしたり、蟲したりするもの。

 

しかし、夏目君も、ギンコさんも、本能的に、行動する。

 

 

それはきっと、生まれながらに持った能力であり、天職の領域なんだと思う。

 

 

その「能力」は、誰にも認められることもなく、評価もされず、

 

闇に埋もれたまま、生涯を終える性質のものなのかもしれない。

 

 

しかし、金儲けや、生活の手段とは無縁の行為であるからこそ、

 

本能的で、無償な行動であるからこそ、見えない実績として、心に蓄積されていくのだ。

 

 

 

夏目君は、不遇な少年時代を過ごして、優しい義父母に、命を救ってもらった。

 

ギンコさんは、両目を失うところを、片目だけ生かしてもらうことができた。

 

 

「恩返し」という言葉がある。

 

 

俺は、個人的には、

 

「やらないといけないこと」というよりも、

 

「やりたいからやること」という解釈でありたいと思っている。

 

 

もっとつっこんで言えば、

 

「やらずにはいられないこと」という領域のレベルである。

 

 

動悸は、簡単。

 

後悔したくないから。

 

 

映画であろうが、TVドラマであろうが、アニメであろうが、

 

小説であろうが、人の話をじっくり聞くことであろうが、

 

「物語」に触れること自体は、同じである。

 

 

そしてそれは、その時だからこそ、生きた「物語」となって、心に残るのだ。

 

 

 

自分が、人と違う境遇を生きたからといって、悲しむことなかれ。

 

自分が、人違う性質を持っているからと言って、悲嘆することなかれ。

 

 

そういう自分にしか、友達になれない人もいるし、

 

そういう自分を、必要としてくれる人も、必ずいるのだから。

 

 

俺は、何度も、死んだ人間です。

 

でも未だに、友達や仲間が、ゼロにはならない。

 

それが、何を意味するのか。

 

 

俺は、何度も、仕事で挫折して、社会から弾かれた人間です。

 

でも未だに、雇ってくれる場所がある。

 

それが、何を意味するのか。

 

 

かつての映画友達は、「最近は、見たい映画がなくなった」と嘆きます。

 

でも未だに、俺は、見たい作品がたくさんある。

 

それが、何を意味するのか。

 

 

 

その答えを見つけるために、俺は今日も、映画を見続けます。

 

映画館に行けなくても、未知の領域の物語に、足を踏み込みます。

 

 

嫌な現実から、逃げているだけなのかもしれない。

 

いい年して、子供じみているのかもしれない。

 

どう思われたって、構わない。

 

 

自分が、やりたいことを、やり続ける。

 

誰に認められなくても、自分が行きたいところに、自分の力で行く。

 

 

体力と、気力が続く限り、俺は、新しい世界を探していくのだ。

 

 

 

明日から、また、怒られながら、仕事をして来ます。

 

50歳になって、ガミガミ怒鳴られながら働くのは、正直、しんどいけれど、

 

それが、家族を養う、唯一の道だから。

 

 

 

来週は、映画館に行けるように、がんばります。

 

 

今日まで、桑畑を見捨てずに応援して下さった皆様に、感謝申し上げます。

 

 

 

苦痛の多い人生だけど、心優しい人に出会えたことは、俺の誇り。

 

 

名曲「夏夕空」を口ずさみながら、心穏やかに、一週間を過ごそうと思います。

 

 

 

まだ、俺は、こうして、生きている。

 

そして、明日も、必死で働く。

 

 

残りの人生を、映画とともに、燃焼させてみせます。

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2017-06-03

U-NOTE Ⅱ 「映画 葛城事件 をDVDで見て」(ネタバレあり)

テーマ:ケガ・病気

今日は、お休みです。

 

明日から、また7勤が始まりますので、

 

身体をあまり動かさないように、ダラダラ過ごそうかと。

 

 

で、今日返却予定だったDVDをまだ見ていなかったことに気づいて、

 

さっきまで見ていて、今、返して来たところです。

 

 

 

これは、すごい内容でした。

 

休日の朝に見るような作品ではありませんが、

 

何だか、記事にせずにはいられない。

 

普段は、DVDで見た映画の記事は、原則的に書かないことにしているんですが、

 

本作は、別格。

 

 

だから、U-NOTEの枠で、書くことにしました。

 

少し長めになると思うので、しんどい方はご遠慮下さい。

 

 

 

内容は、無差別殺人事件を題材とした、ある家族の物語。

 

死刑判決を受けた男の前に、獄中結婚を申し込む女が現れる。

 

 

彼の父親は、傍若無人で、酒癖が悪く、家族を人間扱いしない男。

 

彼の母親は、夫の肉体的精神的暴力に苛まれ、心を病んでいる女。

 

彼の兄は、成績優秀で真面目だけど、父親に逆らえない、気の弱い男。

 

次男である犯人は、仕事をしていなくて、半分引きこもり状態…

 

 

 

俺は、この家族に、自分の境遇を重ねずにはいられませんでした。

 

…あまりにも、共通点が多い。

 

 

 

父親は、金物店を経営する、自営業の社長。

 

しかしその店は、自分の親から受け継いだ家業。

 

俺の父親もまた、自営業の社長。

 

その店もまた、自分の親から受け継いだ家業。

 

 

とにかく、傲慢。

 

人の話をちゃんと聞かない。

 

早とちりと誤解と勘違いで、すぐに怒鳴る。

 

酒癖が悪く、持論をいつまでも話す。(無理矢理聞かせる)

 

 

映画の母親は、心を病んだ。

 

俺の母親は、重い病気になり、入退院を繰り返し、衰弱して死んだ。

 

 

兄も母も、すでに心を病んでいた。

 

俺は、家を出て独立して、必死にがんばったけど、

 

とうとう、俺も心を病んで、社会から弾かれた。

 

 

ただ、殺人と自殺をしていないだけだ。(今のところ)

 

 

 

言いたいことが言えない家庭は、地獄である。

 

絶対服従を強いられ、逆らえば制裁をくらう。

 

父親は、絶対権力者であり、独裁者。

 

自分がおかしいと豪快に笑い、家族にも笑うことを強要。

 

自分が面白くない話題で家族が笑うと、機嫌が悪くなる。

 

 

 

映画の中で、いくつか、ホッとする場面がある。

 

1つは、母親と長男と次男が、3人で談笑しているところ。

 

そこへ、父親がおもむろに登場。

 

途端に、場の空気が凍りつく。

 

 

これ、俺にはよくわかるんです。

 

 

俺が小学生の頃、

 

父親が飲みに行った夜に、帰りは遅くなるだろうと思い、

 

母親と一緒にTVを見て笑っていたところに、父親が帰って来た時があった。

 

 

その時の、彼の不機嫌な目を、今でもよく覚えています。

 

 

きっと、嫌なことがあって、早く帰って来たのでしょう。

 

帰って来て、妻に愚痴をこぼしたかったのでしょう。

 

自分ががんばっていることを、労って欲しかったのでしょう。

 

 

それなのに、妻と子供は、TV見ながらゲラゲラ笑っていやがる。

 

一家の主である自分を、何でもっと尊敬しないのか、このクソ馬鹿野郎!

 

 

 

楽しい時間は、いつも、ほんの一瞬だった。

 

俺が何かを楽しむと、その直後に、必ず嫌なことが起きた。

 

俺は、物事を楽しんではいけない。

 

俺は、笑ってはいけない。

 

俺は、父親の話を“ちゃんと”聞かないといけない。

 

 

相手が、満足するまで。

 

しかし、彼が満足することは、決してなかった。

 

いったん機嫌が悪くなると、イライラはエスカレートし、

 

怒鳴りまくり、自分の父親の悪口を言い、

 

あいつを殺してやりたい、早く死ねばいい、と、いつまでも罵り続けた。

 

 

あの時の、酒に酔って濁った目が、気持ち悪くて、心に焼き付いている。

 

 

普段、彼は、話す時に、人と目を合わせない。

 

相手の目を見るのは、怒る時だけ。

 

 

だから、俺が覚えている父親の顔は、鬼の形相である。

 

 

 

兄は、幼い俺を、よくいじめた。

 

子分ではなく、奴隷だったと思う。

 

父親に逆らう勇気がなかった彼は、俺をいたぶって鬱憤を晴らした。

 

家で本を読みたかった俺を、無理やり外に連れ出そうとして、

 

腕を引っ張られ、脱臼したことがあった。

 

黙っていろと言われ、痛みがひどくて夕食が食べられない俺を、

 

母親が不審に思って、ことが発覚した。

 

 

ふざけていて、いつのまにかそうなった。

 

 

結局、怒られたのは、俺だったような気がする。

 

俺は、不器用で、人前でうまく話せず、自己主張も下手だった。

 

相手にうまく言いくるめられ、いつも、貧乏くじを引かされた。

 

 

 

俺は、映画を見て、俺の家族よりも、まだましのような気がした。

 

この環境なら、もっと違う立ち振る舞いができたかもしれない。

 

それは、父親役が、三浦友和だったせいもあると思うけど、

 

俺の父親とは、根っこが違うような気がするから。

 

この父親だったら、俺は、反抗して親子喧嘩ができたかもしれない。

 

 

そう思うと、もったいない家族である。

 

 

 

俺は、父親を憎んでいる。

 

本気で、殺したいと思っている。

 

母も、祖父も祖母も、奴が殺したようなもんだから。

 

 

俺は、母親を、守ることができなかった。

 

もっと早い段階で、離婚すればよかったんだろうと思う。

 

でも、夫婦というのは、お互いに選択した上で、築く関係。

 

 

 

『…あの女と結婚したのが、そもそもの間違いだった。』

 

『…お前らが生まれて来なければよかった。さっさと死んでくれた方がいい。』

 

『…もっとオレを尊敬しろ!もっとオレを立てろ!もっとオレを大事にしろ!』

 

 

 

さんざん、聞かされた言葉である。

 

 

 

 

映画の中で、父親が次男を殺そうとする場面がある。

 

次男は、死んでもよかった、と言う。

 

ちくしょう、まだ生きなきゃいけないのかよ、と。

 

 

この家族は、すでに壊れている。

 

もともと、ちゃんとした家庭になっていなかったんだと思う。

 

 

マイホームを建てたばかりの、明るい場面での、

 

父親の笑顔は、実に優しそうだ。

 

どこで、おかしくなってしまったんでしょうね。

 

 

 

俺の記憶では、

 

幼稚園児だった頃には、すでに、

 

家族というのは、いつも言い争っている集団、というイメージだった。

 

食卓は、戦場。

 

団欒という記憶は、クリスマスくらいしか残っていない。

 

巨人が優勝すると、父親が上機嫌になり、明るい雰囲気ができるけど、

 

その楽しさは、すぐに、次の地獄がいつ始まるか、という不安に変わる。

 

 

幸せな時間は、長続きしないのだ。

 

 

 

映画に出てくる母親役は、南果歩。

 

苦悩する役柄が、とても映える女優さんである。

 

「漂流教室」「蛍」「坂本竜馬」「エンジェル・ダスト」で、

 

切なそうに笑う彼女が、痛々しくて、美しい。

 

 

本作の彼女もまた、たまらなかった。

 

俺の母親も、彼女を見たら、泣くだろう。

 

 

かわいそうな人生だけど、それを選択し、生を全うする強さは、誰にも真似できないから。

 

 

 

この映画のポイントは、長男だと思う。

 

新井浩文が演じるから、何かしらやらかしてくれるかと思ったんですが、

 

何と、全くの弱虫のまんまでございました。

 

 

成績がよく、父親からも認められて、大学を出て就職、結婚をして、

 

もうすぐ2人目の子供が生まれる、という順調な人生だったのに、

 

ある日突然、リストラを言い渡される。

 

“失敗”とか“脱落”に対して免疫がない者にとっては、つらい仕打ち。

 

確かに、営業マンには向いていないタイプかもしれない。

 

 

彼は、解雇されたことを、妻に言えなかった。

 

毎日、出勤するふりをして、公園でパンを食べている。

 

他の会社の面接を受けるも、相手の顔をまともに見られず、

 

汗をかいて、どもってばかり…

 

これでは、営業職としては採用されないだろうなあ。

 

 

この時点で、長男もまた、心が追い詰められていることが鮮明になる。

 

奥さんもまた奥さんで、子育てが忙しくて、旦那の異変に気付かない。

 

唯一、気づいていたのは、彼の長男だったかもしれない…

 

 

 

とにかく、短いシーンや短いセリフ、ほんのちょっとした仕草で、

 

精神面を表現するのに絶大な効果を上げている。

 

 

突然、トーンが暗くなったり、声色が変わったり…

 

ホラー映画かと思うくらい、強烈なインパクトがあります。

 

 

 

人は、そんなに、強くなれない。

 

“自分は強い”と思い込んでいるのは、そうさせてくれる誰かが、そばにいるから。

 

“自分は弱い”ことを自覚することは、実に大事なことなのだ。

 

 

誰もが、強い部分と、弱い部分を合わせ持った集合体である。

 

今、たまたま、強い部分が表面に出ているだけ。

 

今、たまたま、弱い部分が表面に出ているだけ。

 

 

 

父親は、悪いことを全部人のせいにする。

 

だから、いつも自分は正しい、と思っている。

 

母親は、攻撃性を自分に向け、精神が崩壊。

 

長男もまた、攻撃性を自分に向け、自殺してしまう。

 

(コンビニのレシートの裏に書いた遺書が、泣かせます)

 

 

そして、次男は…

 

サバイバルナイフを持って、街に出て行きます。

 

 

抑圧された魂の、行き場所はどこに向かうのか。

 

 

 

人を殺すくらいなら、自分を殺す方がまし。

 

俺が、父親を殺さずにいられるのは、妻と娘がいるから。

 

殺人犯の家族にさせてしまうのは、あまりにも不憫だから。

 

 

だから、死んだつもりで、必死に働いて、

 

借金を少しずつ返し、娘の学費を稼いでいます。

 

 

体重は、30キロも落ちたけど、懸命に働いています。

 

 

 

俺は、まともな家庭環境で育っていません。

 

でも、どういうわけか、家族を持ちました。

 

元気なうちに子育てができて、幸運だったと思います。

 

精神を病んで療養を始めた頃は、娘がまだ小学生でした。

 

 

人生が終わったと思っていた俺を、

 

家族の明るさが、救ってくれました。

 

 

父親というのは、無敵で強い存在でなくていい。

 

弱い部分があるからこそ、支え合える。

 

元気がある者が、弱っている者を助けてあげればいい。

 

 

自分の家族に、教わったことです。

 

 

 

 

映画の冒頭で、次男が死刑を宣告されます。

 

彼は、振り返って、ニヤリと笑います。

 

それは、傍聴席にいる、父親に向けてでした。

 

…あんたのお望み通り、死んでやるよ。よかったな、オヤジ。

 

 

 

俺は、父親を殺す時に、こう言ってやろうと思ってました。

 

…これが、あんたの育てた子供だ。ざまあみろ。

 

 

疫病神のように、人に迷惑ばかりかけて、

 

それでいて元気で、長生きする輩がいる。

 

それは、人の気持ちを考えない分だけ、ダメージを受けないから。

 

 

優しくて思いやりのある正直で誠実な人ほど、早死にしてしまう。

 

それは、たくさんのことに、エネルギーを使い果たしてしまうから。

 

そして、その気持ちを誰にも理解されないまま、寿命を使い切ってしまうから。

 

 

 

やっぱり、自己主張は、大事である。

 

権力者や独裁者には、叱ってくれる人がいない。

 

だから、増々、暴走していくのだ。

 

 

我慢には、限界がある。

 

いっぱいいっぱいの状態が続くと、心が崩壊する。

 

 

そうなる前に、何とかしたいもの。

 

 

 

 

家族という仕組みは、俺にとっては地獄のイメージである。

 

世の中で、一番嫌な言葉でもある。

 

 

 

親に感謝しろ。

 

親に心配かけるな。

 

親孝行しろ。

 

家族を大切にしろ。

 

家族こそが、一番大事。

 

 

 

親子の愛ほど、胡散臭いものはない。

 

だから、家族向けの映画とか、親に感謝する歌とか、

 

本当は好きじゃない。

 

 

個人の魂そのものや、人間の尊厳に焦点を当てた作品の方が、

 

歪んだ心の奥底に眠る、精神核に触れるような物語に、俺は惹かれる。

 

 

 

この映画だって、父親をモンスターにしちゃえば、解釈が簡単になる。

 

でも、その父親だって、何かの原因でそうなってしまった。

 

そこを掘り下げて考えるからこそ、本作は味わい深いのである。

 

 

 

俺の父親の父親もまた、ひどい男だった。

 

祖父と父親が取っ組み合いの喧嘩をする場面を、何度も見ている。

 

あのくらい、怒りをぶつけないと、立ち向かえない存在だったのである。

 

 

兄は、父親に立ち向かう勇気がなかった。

 

そしていつも、肝心な時にいなくなる。

 

 

去年、母親が死んだ時も、即座に失踪した。

 

どうせ、俺が来て、面倒くさいことを全てやってくれると思っていたらしい。

 

 

俺は、年末のあの時からすでに、父親に対して憎悪しか湧かなかったし、

 

精神科医からも、カウンセラーの保健師からも、

 

父親とは顔を合わせずに、距離を取った方がいいと言われていた。

 

 

妻と娘が、お通夜や葬式やら、代理で動いてくれたので、

 

俺は、今もこうして、のうのうと生きていられるのです。

 

 

実は来週、母の法要があるんですが、

 

妻も娘も、休みを取って、2人で行ってくれるそうです。

 

(それもあって、ここしばらく、不安が大きい状態が続いています)

 

他にも、今月は、色んな問題を片づけないといけないので、

 

休日の度に、色々動いています。

 

 

でも今日は、ひどく疲れているので、休まなきゃ。

 

 

 

今、レイトショーに行けません。

 

映画館に行く体力と時間が、乏しいからです。

 

 

でもそれは、仕方がないこと。

 

また、元気が出たら、行きたいと思います。

 

 

 

 

体や心に毒がたまると、機能が鈍ってしまう。

 

どこかで、咀嚼し、消化して、吐き出さないと。

 

きれいにしてから、新しいものを取り入れないと。

 

 

 

そういう意味では、いい映画に出会えたと言えるでしょう。

 

本作のおかげで、自分の気持ちを少し、整理できました。

 

 

殺人や自殺は、まともな精神状態では、できない行為。

 

どんな人にも、起こり得る事態であることを、肝に命じます。

 

 

俺が、ここまで生きて来られたのは、幸運だったんでしょう。

 

俺自身、生きていていい存在なのか、さっさと死んだ方がいい存在なのか、

 

未だによくわからないのですが。

 

 

疲れているけど、

 

毎日、不安や恐怖と戦いながら生きているけど、

 

少しずつ、悪い癖を修正して、

 

まともな人間に近づけるように、努力しています。

 

 

 

あ、そういえば、死刑囚と獄中結婚する女ですが、

 

演じているのは、田中麗奈です。

 

彼女もまた、イカレている人間のひとりですが、

 

彼女という存在もまた、愛すべきキャラクターです。

 

「真幸くあらば」の尾野真千子、「接吻」の小池栄子と見比べてみて下さい。

 

 

 

もう少し、時間が経過して、

 

俺の精神もそれなりに落ち着いたら、

 

また、この映画を見てみたいと思います。

 

 

その時はきっと、新しい発見があるでしょう。

 

 

こういう状態で、

 

いや、こういう状態だからこそ、

 

自宅で、雨の降る肌寒い朝に、DVDで映画を見るのも悪くないな、と思いました。

 

 

 

これからは、DVDによる鑑賞でも、

 

気に入った映画は、記事にしていこうかな。

 

 

 

俺も、少しずつ、変わっていければ、

 

生きるための選択肢も、増えていくように思えるから。

 

 

 

 

さあ、これから、コーヒーを淹れて、

 

太るための甘いお菓子でも食べながら、

 

新たに借りて来た、映画のDVDを見ようと思います。

 

 

 

 

明日は、朝7時から出荷。

 

まだまだ、休日の時間はたっぷりある。

 

 

体の力を抜いて、ゆっくり過ごします。

 

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