FUJITA'S BAR
2016-05-31

映画 「うつくしいひと」

テーマ:邦画
危なっかしくて、もどかしい。 …それってたぶん、素敵なこと。



熊本のチャリティ映画を、新潟でもようやく見ることができました。

上映時間は、40分。料金は、1000円。

全額が熊本に寄付されるということなので、少しだけ、お役に立てたかな。


この映画は、「わくわく都市くまもと」の親善大使である高良健吾が、

熊本出身の行定勲監督に提案して生まれたものだそうな。

熊本出身の橋本愛、石田えりに加え、

熊本出身の政治学者、姜尚中(カンサンジュン)が出ていたので驚いた。

彼は、NHKの「日曜美術館」の司会をしていたおっちゃんですよね。



行定監督の作風は、独特であると思う。

最近は、「ピンクとグレー」が記憶に新しいけど、

俺が一番好きなのは、やっぱり「つやのよる」ですね。


本作は、まさに、「つやのよる」の延長のような印象でした。




主人公は、たぶん、橋本愛かな。

母親役が、石田えり。

たぶん、母子家庭。


母親に、謎の男が近づいて来る。

演じるのは、姜尚中。なるほど、これは怪しい!(笑)


母親の身を案じた愛ちゃんは、探偵に相談する。

その探偵が、高良健吾なんですね。


う~ん、彼のキャラは、「軽蔑」とおんなじですね。

そして、愛ちゃんのキャラも、「リトルフォレスト」とおんなじですね。



これは、ユルい。

でも、このユルい感じが、何とも気持ちいい。



そして、チョイ役で、くまモンも登場。

ああ~ どんどんユルくなっていく~



こうして、肩の力が抜けて、いい感じで物語が進行します。



「つやのよる」で、俺が一番好きなシーンは、

大竹しのぶ&汐里ちゃんの、母親と娘の会話。


本作は、まさに、この延長ですね。




恋心は、ロマンチックな世界。


現実をしばし離れて、ゆったりした気分に浸れる、夢の世界。



言葉で簡単に説明しちゃうと、実につまんなくなるものなんです。




ホイットマンの詩なんか出てきて、すっげえキザなんですが、

キザなセリフを堂々と言える男って、粋だと思うんですよね。



熊本城とか、ご当地の舞踊とか、観光アピール満載。




先週も結局、7日勤務だったので、かなり疲労していたんですが、

ちょうどいい長さの映画にたまたま出会えて、俺の心も救われました。



親子でこういう会話が自然にできるって、素敵ですね。




見終わった後の印象としては、「スーパー8」に似ているかな。

純粋な心というのは、純粋な感性を持っている人にこそ、理解できる。



今の俺にとって、潤いを与えてくれるような、いい作品でした。



おいおい、とツッコミたくなる気持ちをしばし抑えて、

この世界に、しばし、身を委ねてみましょう。



…ときめいた“あの頃の気持ち”が、蘇るかも。






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2016-05-22

映画 「ルーム」

テーマ:洋画
生き残るために本当に必要なことは、そう多くない。


アカデミー主演女優賞を受賞して、東京では4月に公開された話題作が、

ようやく、新潟でも始まりました。

珍しく、娘が「見たい」と言ったので、一緒に観賞。



予告編で、内容はほぼネタバレしていますが、

それがわかっていても、実際の映画を見ると、驚きと戸惑いがたくさん。


本作は、「こう見るべきだ」というマニュアル的な情報は極力切り捨てて、

自分の感覚で味わいながら、より深いところで思考するのがよろしい。



少年が、朝、部屋の中で目覚める。

彼は今日、5歳の誕生日を迎えたのだった。

母親は、バースデイケーキを作ってくれる。

しかし、「ロウソクがない」ので、少年は、だだをこねる…


映画が始まって、何かがおかしいことに気づく。

親子が住んでいるのは、トレーラーハウスでもなければ、

ワンルームマンションでもない。


彼らは、監禁されていたのだ。


何故、こんなことに?

いったいどうやって、今まで暮らして来たのか。

食料や生活品は?

そもそも、親子で監禁されてしまった理由は何なのか。



勘のいい人は、すぐに先が読めるんだろうけど、

こういう時は、俺はあえて、思考が進むのにブレーキをかけます。


ストーリーを先読みしていると、細かい描写を見落としてしまうから。



子供は、無邪気である。

母親は、すでにいっぱいいっぱいである。


ロベルト・ベニーニの「ライフ・イズ・ビューティフル」と同様、

親は、子供に出来る限りの楽しさと希望を与えようと、懸命に努力する。

たとえ、現実が、絶望的な状況であっても…


ジョディ・フォスターの「パニック・ルーム」は、

犯罪者から逃れるために、親子自らが閉じこもった。


①いつでも、出ようと思えば、出られる。

②出られるが、出られない事情がある。

③出たくても、出られない。


一番苦しいのは、③である。



刑務所に収監されるのとは、わけが違う。

悪い事をして、押入れに閉じ込められるのとは、わけが違う。

精神状態が悪化して、強制入院させられるのとは、わけが違う。



自ら進んで「引きこもり」になる者もいれば、

外に出たいのに、無理矢理監禁される者もいる。



自由を奪われるのは、人の尊厳に関わることなのだ。




人は、生まれると、親に出会う。

初めて体験する人間関係が、親子である。(あるいは、世話をしてくれる人)

よくも悪くも、その体験は、心に刻まれる。

次に認識するのが、自分が存在している「空間」だと思う。


居心地がよければ、そこは「安心できる場所」になれるし、

日常的に虐待を受けていれば、「地獄の処刑場」になる。



少年は、監禁された部屋にいるのに、不満そうな素振りをほとんど見せない。

彼の様子を見ているだけで、母親の素晴らしさがわかる。


衣食住といった、物理的なものも大事だけれど、

精神的に安定した生活ができるかどうかも、重要な要素だと思う。



親じゃなくても、いい。

子供が生まれたことを喜び、愛情を注いでくれる「誰か」が必要なのだ。


本作の少年が、俺は羨ましい。

親がしっかり自分を愛してくれている、と実感できているから。


だから彼は、いざとなった時に、強い行動に出られるし、

自分の考えを、素直に表現することができる。



賛否両論だろうけど、俺は、教育的効果抜群の映画だと思いました。



どんなに悲惨な状況になっていても、

心のどこかに「しっかりとした土台」があれば、越えていける。

そしてそれは、幼少の頃に、形作られるべきものなんじゃないか、と。



この映画を見ていると、母親と息子が、

かけがえのない絆で結ばれているのが、よくわかる。



特に後半の展開が、実にスリリングで、

現実と向き合う親子の葛藤が、丁寧に、繊細に描かれているのが嬉しい。



両親なんて、揃っていなくてもいい。

施設の人であろうが、他人であろうが、子供の心と向き合ってくれたら、それでいい。


中盤から登場するレオという男性が、俺はとても魅力的に感じました。

彼はきっと、過去に色んなことを経験した男なんだろうと思います。


彼の、さり気ない優しさ、とってもグッドですね☆

彼のような男がそばにいてくれたら、救われるような気がします。




人の心は、出会った人の影響を少なからず受けるもの。

少年は、傍から見たら、不幸な境遇かもしれないけど、

母親が彼女だったことが、幸運であると俺は思います。




強さというのは、何もないところからは、生まれない。

心に種をまくように、そっと、大切に扱うところから始めて、

後は、自分自身の力で、成長していくのを、じっと待つのだ。



俺は、親子のあり方について、語る資格がありません。

自分の両親との関係は最悪だし、

妻や娘に対しても、いい父親になれる自信がないからです。


ただ、繰り返される悪循環だけは、どこかで断ち切りたい。

生きているうちに、まだやらなきゃならないことがある。

その一心で、苦痛な毎日を、どうにか生きているのです。



人は、笑顔が一番美しい。

大切な人の笑顔を守るために、みんながんばっているのだから。



見終わった後の余韻は、

今村昌平監督の「うなぎ」に似ていました。



映画は、人が生きていく上での、最高の教材。

本作もまた、大切な何かを教えてくれる、優れた映画です。




閉じ込められたのは、肉体だけじゃない。

精神もまた、そこに縛られてしまっている。



楽になるのは、簡単じゃない。

人の心は単純なようで、結構複雑なもの。

だから、シンプルな言葉では、表現しきれない。



人が生きるために、最低限必要なものって、何だろう。

わかっているようで、俺はまだわかっていません。



そういう意味では、少年の方が、俺よりずっと大人で、強いと思う。



少年は、一番大切なことを、母親からしっかり学んだ。



それを、強く感じました。




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2016-05-21

U-NOTE Ⅱ 「たとえ、立場が悪くなっても」

テーマ:ケガ・病気
この土日は、2連休。


先週から今週にかけて、怒鳴られっぱなしだったので、

よく生き残れたもんだと思います。


「正しい言葉」というのは、人を奮い立たせることもありますが、

相手の精神状態によっては、人を死に追いやることにもなります。


追いつめられないと、やらないから。

人間、死ぬ気になれば、何でもできるから。

そう軽く言える人は、人の心がわからない人だと思います。



あまりにも、ひどい言い方をされると、

人は、生きる力をなくしてしまいます。


ましてや、6年間にわたって、うつに苦しみながら、

歯を食いしばって仕事している者にとっては、残酷な仕打ちなんです。


木曜日の朝イチで、1時間以上にわたって「お説教」が続くと、

さすがに、もう、ふらふらして、歩けなくなりました。



上司にも、社長にも、直訴しました。


ハローワークに、すぐ募集をかけて下さい。

こんなにダメな人間がここで働いていては、会社の損害が増えるだけです、と。

俺みたいな人間じゃなくて、もっと優秀な人材を確保して下さい、と。



もう、これ以上、無理です…



社長は、引き止めてくれました。

上司は、説教を続けるだけで、俺の話は聞いてくれません。



息苦しくなり、体は痙攣し、過呼吸になっていく。

安定剤を2錠飲み、尻餅をついて、ひたすら、呼吸を確保しようとする…



このまま、倒れて死んじゃっても、いいな。

仕事中に死亡するなら、保険金を家族が受け取れるかもしれない。


そう思った直後に、体の力が抜けた。


悪霊か何だか知らないが、憑きものみたいな何かが、体から離れていった。




体の自由が、少し戻った。



その数分後に、出荷のトラックが到着した。



俺の中で、何かのスイッチが入る。



このまま、逃げるのは嫌なので、仕事させて下さい。

上司は、大丈夫ですか?とだけ。

俺は、何とかやります、とだけ。


60頭の出荷。

豚の数を数えて伝えるのは、俺の役目。


肥育担当者にとって、出荷は、一番大切な仕事。




俺はきっと、人の話を正確に聞き取ることが下手なんだと思います。

俺の理解度が足りないから、上司の言っている意味がわからないんだと思います。



先輩も、後輩も、楽しそうに仕事をしています。

いつも、俺だけが、みんなの前で、怒られています。


きっと俺は、映画「空気人形」の板尾創路みたいなイメージなんだろうな。

でも彼は、「武士道シックスティーン」で、いい父親の一面を見せていた。



たとえ、職場で無様でも、それは、仕方のないこと。

この年では、この病気持ちでは、もう再就職は難しいから、

娘が大人になるまで、がんばって学費を稼がなくては。



木曜日の発言によって、確実に俺の立場は悪くなったと思います。

でも、もう、言ってしまったものは、しょうがない。


来週は、薬がなくなるので、病院に行かなきゃ。

その時に、病状を報告して、相談してみます。


縁があって採用されて、もうすぐ3年になろうとしているけど、

人間、できることと、できないことがある。


俺は、生まれてから、死ぬまでずっと、非難されてばっかり。

人間というのは、そういう生き物なんだと思う。


それに耐えられる力があれば、生き抜くことができるし、

それに耐えられなければ、力が尽きて絶命するだけ。



木曜日の夕方も、

金曜日の夕方も、

カーテンの設定について、綿密に打ち合わせました。


自分ではこれでいいと思っても、聞いてみると、まるで違っていたりするから。

気温が同じでも、湿度や風向きや体感温度で、バリエーションは無限にあるから。


人は、100%、人に合わせることはできない。

親子でも、恋人でも、夫婦でも、親友でも、無理な部分は無理。



だけど、上司のイメージに合わせないと、この仕事はできない。

俺がダメで、辞めた後に採用された人が、うまいこといくなら、

俺は、早いうちに辞めた方がいい、ということになる。

俺が辞めて、次に来た人がもっとダメなら、俺の方がましということになる。



前の会社で15年勤務したけど、人の出入りが激しい会社って、

経営方針とか、勤務体形とか、幹部社員の資質によるところが大きい。

人材は、使い捨て。

そこで15年という長い時間を過ごしたら、

もっと早く辞めればよかったのに、と言われた。


今の会社が、いいのか悪いのか、俺にはわからない。

ただ、会社の業績を上げたい、会社のためにがんばりたい、という思いは強い。


俺は、失敗はするけど、決して怠けているわけじゃないんだから。



がんばり方が気に食わないなら、さっさとクビにすればいい。

もっと「いい人材」を採用して、俺を切り捨てればいい。


その方が、スッキリするから。



立場が悪くなろうがどうなろうが、言うべき時は、ちゃんと言う。

前の会社で、パワハラが本格的に始まったのも、

俺が、弱い者いじめが公然と行われている現場に、耐えられなかったから。


俺が何を言ったところで、何が変わるわけじゃないけど、

何もしないで知らん顔したら、一生、後悔する…


そう思った時に、俺は、捨て身で行動に出る。



その結果は、いつも、散々なものだけど…



でもね、

できなかったことと、

しなかったことは、違うんです。



たとえダメな結果になっても、行動したことに、意味があるんです。



俺は、社会的にはダメな人間だけど、

娘に1つだけ誇れるものがあるなら、

後悔しない生き方をしてきた、ということだけ。



運よくうまくいけば、よし。

運悪く、裏目に出たら、それはそれで、後になって生きてくる。


迷った時は、心の声に従うべし。



自分に対して、後ろめたいことだけは、したくない。



自分に対して正直に行動した結果、

うつ病になり、父親との関係は悪化し、家庭の経済状態も悪くなった。


だけど、一番大切なものは、まだ失っていない。



金曜は、妻の誕生日だった。

仕事で遅くなったけど、家族で食事に行った。

今日は、娘が見たいと言ったので、映画に連れて行った。



自由行動の時間に、本屋に行って、文庫本を1冊買い、

どこかのカフェに寄って読もうかと思ったけど、

喧騒が何となく嫌だったので、駐車場の車に戻った。

幸い、日陰だったので、窓を開けて読書していると、

涼しい風が吹いて、つい、うとうと…



どうやら、すぐ裏手に、公園があるらしい。


子供たちの、楽しそうに遊ぶ声が、聞こえてくる。

この音は、好きである。

全然、騒音なんかじゃない。



映画「ゴッドファーザー」のドン・コルレオーネは、

孫が楽しそうに遊んでいる声を聞きながら、息を引き取った。


子供が純粋にはしゃぐ声は、実に美しい。




この2週間、つらいことばっかりだったけど、

子供たちの楽しそうな声に、救われた。


振り返って、いちいち見たりしなくていい。

ただ、声を聞いているだけで、楽しいかどうかくらい、すぐにわかる。


子供たちもきっと、貴重な「楽しい時間」を過ごしているんだろうな。



怒鳴り声は、嫌いな音。

楽しそうに笑う声は、憧れる音。



「安らぎ」って、忘れた頃に、ふいに訪れる。



それは、もう少し、生きていてもいいんだよ、という、

生命力に満ちた、メッセージ。




ダメかと思ったけど、もうちょい、がんばってみます。










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2016-05-17

U-NOTE Ⅱ 「怒鳴られて、怒られて、嫌味を言われて」

テーマ:ケガ・病気
先週から、苦しい日々が続いています。


俺は、生まれてからずっと、「ダメ出し」される毎日でした。

今も、それは変わりません。


一時的に、ほんの一時だけ、褒められることもありますが、

次の瞬間には、その人を、落胆させてしまうことになるんです。


そういう、運命なのかもしれない。


楽しい時間を、たまに過ごす時もありますが、

大抵は、その後に、すごくつらい出来事が襲い掛かってくるものです。


俺は、生まれたことが、そもそもの間違い。

水子の兄弟が2人いて、その後に生まれた、呪われた子供…


もっと、強い子供だったらよかったのに、ね。



今は、生命力が低下しています。



それでも、朝起きて、生きていることにがっかりして、

仕方なく、仕事に行っています。



怪我が絶えない肉体を引きずりながら、

永遠に癒やされない精神を自虐しながら、

借金を返すために、家族を養うために、

懸命に生きております。



「さっさと死んでしまえ」という声が、たくさん聞こえてきます。

はいはい、言われなくても、そのうち死にますから。

もう少し、お待ち下さい。


俺が死ぬことを喜ぶ人がたくさんいると思うと、

少しは、自殺が正当化されるかも…?



少なくとも、借金だけは、きれいに清算したいと思いますので、

もうしばらく、生きていることをお許し下さい。



動悸が、激しくなる。

命が、削られていく。




早く楽になりたいけど、

まだまだ、それは許されない。




明朝、運悪く目覚めたら、きっとまた、仕事に行くと思います。


生きていて、ごめんなさい。






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2016-05-08

映画 「追憶の森」

テーマ:洋画
樹海で、自戒して、磁界は狂い、自壊していく。


きっとホラー映画だろうと思っていたら、すごく真面目な映画でした。

お笑いコンビのインパルスが主演した「樹海のふたり」と合わせてご覧下さい。


原題は、「the sea of trees」。まさに「樹海」ですな。

有名な監督に、有名な俳優が3人。

でも、カンヌではウケなかったそうな。

ほほう、そいつは気になる~


昨日は、2本続けてドキュメンタリー映画を見たら、

レイトショーでもう1本いけそうだったので、見てまいりました。



何かワケありなアメリカ人が、飛行機に乗って、日本にやって来ます。

たどり着いたのは、青木ヶ原樹海。

水と薬を持って、立ち入り禁止区域に足を踏み入れる…


彼はきっと、死ぬつもりなのだ。


広いアメリカから、わざわざ遠くて狭い日本を死に場所に選んだ理由は?

そもそも、どうして死にたくなってしまったのか?


映画が進むにつれて、少しずつ明らかになっていきます。



さて、ここら辺で死んだろか。

薬を取り出して、少しずつ水で喉に流し込んでいくと、

誰かの声がする。



見ると、ボロボロになったスーツ姿の、日本人男性が歩いていた。

『…早く、ここから出なくては…』

顔面蒼白の彼を見て、主人公は、声をかけずにいられなかった。




出会いというのは、普段なら行かない場所で起こる方が、インパクトが大きい。

そこが、非日常空間であることで、感覚もまた、通常よりも敏感になるのだ。



これから死のうとしている人間は、そんなに忙しくない。

あいつが気になったまま死ぬのは、どうもスッキリしないから、

とりあえず、声をかけてみよう。それからゆっくり死ねばいい。



マシュー・マコノヒーは、だんだんと、深みが増してきたように思う。

「ダラス・バイヤーズ・クラブ」でも、「インターステラー」でも、

半分あの世に行ってたような役柄でしたが、

本作では、冒頭からすでに棺桶に両足突っ込んでいます(笑)


キャラとしては、「her」のホアキン・フェニックス状態に近い。

ここはぜひ、「イリヤ」のお姉さんにレポートしていただきたいところですな。




さて、死のうと思った彼ですが、謎の男に興味が湧きました。

しばらくの間、死ななそうです。


でも、ここはヤバい。


日本人が見たら、ええ~っ 樹海ってそんなんなの~?ってツッコミたくなりますが、

そこは、初めて日本を訪れた外国人の視点でお楽しみ下さい。

(細かいことを言うと、ギャグになってしまうので)




俺はもともと方向音痴なので、ここに迷い込んだら、間違いなく死ぬでしょう。

見渡す限りの木・木・木…

夜は真っ暗。

そして、限りなく静かな空間。


恐山の次に、霊界に一番近い場所かもしれませんね。


映画の中で、「煉獄」(れんごく)という言葉が出てきます。

たしか、ダンテの「神曲」で覚えた言葉だったかな。

心霊用語でいうと、「幽界」に近いかもしれない。


いわば、この世とあの世の中間みたいな世界ですね。


それは、場所とか空間を指すのかもしれないし、

精神の状態を指すのかもしれません。


体は何とか生きているけど、

心が死んだようになっている人っているでしょ。


体も心も、生きるためには何らかのエネルギーが必要なんですよね。



本作は、ホラーというよりは、人間ドラマとしてのカラーが強い。

先日見た「レヴェナント」とも、共通項がある。

生きようとする男がいれば、死のうとする男もいる。

生きたくても死んでしまう男がいれば、死にたいのに生き残ってしまう男もいる。


本気で死のうとする者は、黙ってひとりで死ぬ。

少しでも迷っている者は、死を回避するきっかけを、最後まで探す。



本作の主人公は、どういう人物だろうか。

それは、映画を見ながら、考えて欲しい。


考えていることがわかりやすい人間なんて、いない。

誰もが、心に闇を抱えているものなのである。



苦悩には、必ず原因があり、

死にたいという思いに達するまでに、必ずいきさつがある。


どうして死にたいの?とダイレクトに聞かれて、単純に答えられるくらいなら、

自殺なんて誰も考えない。


何故?

どうして?

理由をわかりやすく説明しろ、と言われても、

そんな力はもう、残っていないのである。


かえって、その乱暴な言い回しが、当事者を追いつめてしまう。



だから、本気で死にたいと思っている人を助けることは、不可能に近い。

だからこそ、そこまでいく前に、会話が可能なうちに、何とかできたらいいと思う。


本当は死にたくないけど、もう死ぬしかない、と言っているうちは、まだ大丈夫。

話をちゃんと聞いてくれる人がいれば、充分に回避できるし、

その人が本来行きたかった方向へ、導くこともできるから。



SOSのサインは、人によって全く違うし、

助けを求められる人が近くにいなかったら、誰にも届かない。


俺は、本作の主人公には、まだ生命力が残っていると感じました。

さあ、彼はこれから、謎の男と、どんな対話をするんでしょうか。


つらい気分に耐えられなくて、逃げ出したい気分の人は、ぜひご覧下さい。

愛する人が落ち込んでいたり、親友をなぐさめてあげたい人にも、ぜひ。


そうそう、尾野真千子主演の「殯の森」がお好きな人にも、オススメですね。



見た後に、邦題を見ると、趣きを感じられるような気がしました。

このタイトル、悪くないと思いますよ。





静かで、美しい映画です。


まるで、森林浴をしたような気分になれるかもしれません。




彼と一緒に、しばしの間、彷徨ってみましょう。



…自分の中にある、本当の気持ちが、見えてくるかも。
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2016-05-08

映画 「ヤクザと憲法」

テーマ:邦画
人間という存在の、奥深い部分を、真摯に見つめる映画。


今年1月に公開され、連日超満員だったという話題作が、いよいよ新潟に。

制作したのは、数々の良質なドキュメンタリーを生み出している、東海テレビ。

昨年3月にTV放映され、日本民間放送連盟賞優秀賞を受賞。劇場公開となりました。



「平成ジレンマ」でも、「死刑弁護人」においても、

残酷で厳しい現実と向き合う男たちの、真の姿に迫っていました。

俺のブログでも、熱く紹介したことを強く覚えています。


今回はなんと、大阪指定暴力団にカメラが入りました!


取材時の取り決めとして、

①取材謝礼金は支払わない

②収録テープ等を事前に見せない

③モザイクは原則かけない


上映したことで、取材対象者が逮捕されるのは本意ではないので、

法律相談は綿密に行い、「このシーンで立件するのは不可能」という

スレスレのところで、細かい配慮がなされているそうです。


いやあ~ やりますなあ、東海テレビ。



実は、この映画を見てみたいと思ったきっかけは、

月間ウインド5月号の表紙でした。

お~ いい面構えのおっちゃんが写っているなあ、と思って。

記事を読んでみたら、俳優じゃなくて、本物のヤクザじゃん!(笑)


ツーブロックの粋なヘアスタイルに、キリッとした眉と、鋭い眼光。

彼の名は、川口和秀。何と61歳だそうです。若けえ!



東映Vシネマをよく見ている人だと、思いっきり物足りないと思います。

そりゃあ、当たり前でしょう。だってホンモノなんだもん。


Kー1やプロレスを見慣れた人が、実際の格闘技の試合を見て、

地味でつまんない、という理由と一緒です。


TVのバラエティ番組は、過剰な演出で盛り上げるのが大事なので、

不自然なところで笑いを取ったりしないといけないのが、見ていて切ない。



だから俺、こういうシンプルな取材姿勢だと、すごく安心できるんですね。




何度か言っていることなんですが、意図的な操作がやたらと感じられるのは、

優れたドキュメンタリーではないと思っています。


「ザ・コーヴ」「標的の村」みたいなスタイルが、一番嫌悪感を抱きます。

俺が心を打たれたのは、「ヒロシマナガサキ」と「隣る人」の2本。

「風の波紋」は、まだ見たばかりなので、心の中でしばらく熟成させておきます。




さて、本作ですが、中途半端な感じはあるものの、力作だと思います。

100日にわたって取材したのは、ヤクザの日常。

実際、そんなに毎日出入りや手入れがあるわけじゃないので、いたって地味です。


それでも、取材を受けた清勇会は、懐が深いですなあ。

まさか勝手に決めたわけでもないでしょうから、ちゃんとオジキに許可もらって、

組織のみんなに協力してもらったんだと思います。

決断に至るまで、どんな話し合いや交渉があったのか、すごく興味ありますね。



毎朝10時になると、事務所の責任者がやって来る。

そのタイミングで、カメラが回り始める。


色んな人がやって来る。

いかつい顔のおっちゃんが、きちんと頭を下げてるあの男は、大物なんだな、とか、

若いもんが、不器用なりに掃除や雑用している姿とか、緊張感が走りますな。


21歳の「部屋住み」の兄ちゃんも、終始姿勢が低いですが、

取材でインタビューに答えている顔や声のトーンは、

しっかりと「カタギに語るヤクザ」オーラが出ていましたね。



『…このバッグの中身は、機関銃ですか?』

『…銃は、どこにあるんですか?』

『…それは、覚醒剤のシノギですか?』


ダイレクトでぶしつけな質問に対して、ヤクザの皆さんが、

『…勘弁して下さいよ~ 映画の見過ぎですよ~』

と苦笑しながらかわすのが、何ともユーモラスでした。


(これが過剰になると、松ちゃんの「大日本人」になっちゃいます)




あくまでも、聞き手は「素人目線」で。

あくまでも、答える側は「プロ目線」で。


飲み屋のオバちゃんが言ってたこと、シンプルだったけど重みがあったなあ。

真実って、余計な飾りつけはいらないものなんですよね。




現在、日本全国にいるヤクザは、6万人だそうな。

ここ3年で、2万人が組織を離脱。

これは、暴力団対策法や暴力団排除条例が施行されたことが大きい。



俺は、子供の頃から、ヤクザは、必要悪だと思っていました。

ガキ大将がいなくなってから、いじめは陰湿化したような気がするし、

ヤクザを排除したら、外国人の犯罪に歯止めがきかなくなっていったように思う。


ヤクザがゼロになる世の中って、かえって何だか恐ろしい。

いじめがゼロになる世の中って、かえって何だか恐ろしい。



決められた枠に、入りきれない人がいる。

みんなと同じように、うまく立ち回れない奴がいる。

この世の価値観だけで測れない、優れた能力の持ち主だっている。

本意ではないのに、追いつめられて犯罪に走る者たちだっている。

社会の理不尽さに人生を破壊され、突然放り出されることだってある。



そういう「行き場のない者」たちの、魂の叫びが聞こえる。



「風の波紋」もそうだったし、本作でもそうだったけど、

登場する人たちが、「よそ者」に優しくしている姿が、とても印象的でした。


もちろん、そこまでいくためには、「よそ者」は、人一倍努力したでしょう。

「よそ者」を受け入れた者は、理解しようとして、人一倍努力したことでしょう。


さり気ない、ちょっとしたやり取りの中に、そういうものを感じるんです。


俺は、色んな職業を転々としたので、こういう空気に敏感なのかも。

話し方や、顔つきや、何気ない動作や仕草に、そういうことが表れるのです。



苦悩を乗り越えてきた人は、人の苦悩を理解できる。

たくさん失敗した人は、失敗した者の気持ちを理解できる。


社会から弾かれた者は、弾かれそうになる者を、助けたいと思う。



自分のようになって欲しくない、と思うか。

自分が味わった苦しみを、同じように味あわせたいと思うか。



彼らの目を、しっかりと見てみよう。


…言葉で語られる以上の、極上の物語を、感じることができるから。


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2016-05-08

映画 「風の波紋」

テーマ:邦画
風は、色んなことを教えてくれる。


新潟県と長野県の県境付近に存在する、越後妻有(つまり)の小さな集落。

ここには、県外から移住して来た人たちと、地元民たちで構成された、

一風変わったコミュニティー空間となっています。


そう言うと、聞こえはいいかもしれないけれど、

実際の生活は、農作業と古い家屋の修繕を共同作業で行う、小さな村。

彼らの生活を真摯に見つめた、良質のドキュメンタリー映画です。


小暮さん夫婦は、東京から14年前に、ある縁があって、ここにやって来ました。

彼のもともとの職業は、報道写真家。

農作業とは無縁のような彼が、何故ここに住もうと思ったのか。

それは、彼の言動から感じ取ってみて下さい。


松本さん夫婦は、兵庫から移住してきて、染織工房を営んでいます。

ここで収穫された植物から独自の染料を得て、オリジナルな手法を開発。

成人式を迎えた娘の着物も、ご両親の手づくり。



冒頭、ばあちゃんが3メートルくらい雪が積もった屋根で、

スコップ1つでホイホイ雪下ろしをする姿がカッコよかった。



それぞれが食材を持ち寄り、囲炉裏を囲んで、しばしば宴会が開かれます。

アカペラと手拍子で、自分の好きな歌を披露するかと思えば、

レーザーディスクのカラオケが登場し、ナレーション付きで歌ったり、

即行で詩吟を始めたおっさんと、尺八を奏でるおっさんのセッション。


いやあ~ ジャズってますなあ、皆さん(笑)



橋本愛主演の「リトルフォレスト」が好きな人、

松田龍平主演の「ジヌよさらば」が面白かった人には、オススメしたい1本。






人は誰も、居心地のいい居場所を求めて、彷徨っているもの。

どこに逃げても、安住の地なんてみつからないし、安心な場所なんかない。


2011年3月12日。新潟・長野県境地震が発生しました。

東日本大震災の直後だったので、あまり報道されませんでしたが、

全半壊の住宅被害は397棟。一部損壊も含めると2474棟が被災しました。

幸いにして、死者が出なかったのが救いでした。


趣のある古い家屋が崩れ落ちる姿を見ていると、

「ニューシネマパラダイス」のあのシーンを思い出しますね。


形あるものは、いつか壊れる。

出会いがあれば、お別れが来る。


嘆いてばかり、いられない。


みんなそれぞれ、心の中に抱えた思いがあり、

答えの出ない難問と格闘しながら、日常を生き抜いているのだ。



生きることは、基本、苦しさがつきまとう。

大半を占める苦痛の中で、ほんのひとときの安らぎを得るために、

束の間の幸福感を味わうために、今日もこうして、必死に体を動かす。



楽しそうに笑う表情の向こうに、深い何かが垣間見える。

それに、触れないでそっとしてあげることもまた、人のぬくもりである。



生きて行くのが大変な場所だけど、いい村だと俺は思う。

人同士が、ユルく結び付いているのが、いい。


しがらみや強制で、がんじがらめにするのではなく、

それぞれが、自分がやれることをやって、誰かのために協力していく。

助けてもらって、今度は助けてあげて、全く異質な人同士が、結び付いていく。


そうしているうちに、自然に「仲間」という関係が出来上がり、

「みんな」という言葉が生まれて来るのだ。



恵まれた環境って、何だろう。

田舎って、何だろう?

都会って、何だろう?

危険な場所って、何だろう?

安全な場所って、何処だろう?



過去は塗り替えられないし、未来なんて予測できない。

だから、今、ここにいたいから、いる。

ここで、自分のやるべきことがあるから、やる。



人は本来、それだけで充分、幸福なんじゃないかって思う。




ここに、住んでみよう。

そう思った瞬間から、開拓が始まる。

耕して、手入れをして、住みやすくなるように、工夫していけばよろしい。



風の吹くまま、自由気ままに、彷徨うのは、気持ちがいい。

風は、空気を動かして、心を運んでくれる。


時には、風に逆らうのもよし。

時には、風に身を任せるのもよし。


できる時に、できることをやる。

必要以上に、無理をしない。


やれる時は、とことんやってみる。

悔いの残らないように。



…気が付くと、きっとそこが、「自分の居場所」になっているはずだから。
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2016-05-06

豚コラム 「記憶力と表現力が優れている人たち」

テーマ:豚コラム
農業という仕事に就いて、2年11ヶ月になりますが、

この業界の人たちは、会話力がすごいなあとつくづく感じます。


言葉で簡単に表現できないことを、あれこれ試行錯誤し、

今現在において、一番適切な表現を探すように会話するんです。


いやあ、これは、脳を使いますな。



今日は、大物の獣医が来社。現場を視察されて、色々お話を窺いました。

先生はいつも、聡明で品格のある、魅力的な話し方をされるんですね。



例えば、今日のやり取りのひとコマ。


「換気が大切ですよ」という会話の中で、

先生『…天気をコントロールする術を体得できれば…』

桑畑『…はあ、諸葛孔明みたいな能力でしょうか。』

先生『…いやいや、X-MENにいたでしょう?』

桑畑『…はいはい、ストームですね。ハル・ベリーが演じてました。』

先生『…そうそう!でもあれは、雨降らせるだけですから(笑)』

桑畑『…そうですね、雨乞いくらいしか使い道がないかも(笑)』

先生『…まあ、換気した方が楽ですよ。』


う~ん、この会話の内容は、俺ら2人にしかわからんかったと思います。



何と言うか、彼の思考は、実に柔軟。

常に、あらゆる視点で、物事を考える。


こんな会話もありました。


桑畑『…隣りの建物が、風を遮って、この空間が蒸れやすくて…』

先生『…ほうほう、それならあの建物、ぶっ壊してなくしましょうか。』

桑畑『…いやいや、あれは、堆肥舎として重要な…』

先生『…あはは、冗談ですよ(笑) まあ、それは無理でしょうから。』



問題点があると、その真逆のことを言ってから、本題に入る。

そういう思考をすると、頭が整理されてくるんですよね。



いっぱいいっぱいな状態の人に、何でもいいから話をさせると、

話しているうちに、整理されてくるものなんです。


ビジネス用語の「5S」でも、整理は1番目にきますよね。

整理ができて初めて、整頓ができる。


心が整理されると、冷静に考える「余裕」が生まれます。



話し方がうまい人は、人に心を開かせるのもうまい。

物事の本質を見抜く人は、相手の気持ちを大切にするものなんです。


その方が、会話がスムーズにいくから。

問題を解決する最短コースは、理屈や理論を越えたところにあるから。


それがちゃんと理解できる人は、品格がある人なんです。


「信頼」って、目に見える実績とか、肩書きだけで得られるものじゃない。




入社して、しばらくは、皆さんの会話の意味が、さっぱりわかりませんでした。

今は、ほんの少しだけ、理解できます。

でも、まだまだ、わからないことがいっぱい。

だから、面白いのかもしれない。 (大変だけど)



まだ、半人前の半人前くらいのレベルですが、

それなりに、少しは成長しているのかも。


今日の肥育舎巡回では、上司よりも俺の方が、先生と話していました。

わからないことは聞くけど、答えられることは、俺が答えていました。


先生も、「現場の情報」を得ようと、真剣に聞いてくれます。

言葉が足りない部分は、先生がフォローして補ってくれているみたい。



現場視察が終わった後のミーティングも、熱を帯びて続きます。

嬉しかったのは、「豚の状態がいい」と言われたこと。

自分が一生懸命やっていることを認めてもらえると、救われる思いです。



何をやっても否定され続けた人生だったから、尚更…




記憶力は、データバンク。

表現力は、人に正確に伝えるための、高等テクニック。


あらゆる角度から考え、最善の方向を示すための、先人の教え。

今現在において、ベストな選択をするための、道標。


職人の仕事もそうだったけど、

農業を営む人たちの思考力は、ものすごいレベルなんだと思う。


蓄積された、膨大なデータがあって、

それを、臨機応変に引き出して、現在の状況を分析していく。


いやはや、高度な作業だと思います。


農業って、カッコいい。




今週も、脳がオーバーヒートするくらいまで、苦悩しました。

でも、それだけ、自分の能力の領域が、広がったようにも感じます。




あ~ マジでホントに疲れた~





7日間連続勤務して、1日休んで、4日勤務。

この土日は、久々の2連休となりました。



明日は、映画館に行きたいと思います。

何を見るかは、明日になってから考えます。



晩酌のウイスキーが、心に深く沁み込んでいく。


…俺、知らないうちに、いい仕事をしているのかもしれない。


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2016-05-02

U-NOTE Ⅱ 「それが、どうした」

テーマ:ケガ・病気
マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」は、名盤だそうな。

それが、どうした。



今、俺の上腕は、ガタガタに疲労している。

それが、どうした。


先週、7日連続勤務で、昨日は出荷があって、ずっと仕事してた。

でも、火曜日にはレイトショーで映画「レヴェナント」見たし、

翌日の水曜には、クラブRでジャズライブ聴いてた。


人に褒められたくて、がんばっている訳じゃない。

気がついたら、がんばっていた自分がいただけ。

自分を褒めるほど、自惚れてなんかいない。

ただ、毎日を必死に生きているだけ。

自分を出し切らないと、一日が終わらないから。



最近、面白いと感じるマンガが増えて来た。

一番熱いのは、「ブルージャイアント」だと思う。

ジャズマンガって、ありそうで、なかなかなかったかもしれないけど、

こういうテイストのマンガや小説は、無数にあったんだろうな。


「坂道のアポロン」もよかったけど、こっちの方が男性的でゾクゾクする。


心を病んで療養している時は、ピアノの美しい音色に、命を救われた。

ジョージ・ウィンストンだけでは、もたなくなっていた俺の錆び付いた魂を、

エヴァンスが、ガーランドが、パウエルが、ガーナーが、癒やしてくれて、

トリスターノが、モンクが、上原ひろみが、刺激を与えてくれた。



映画は、視覚と聴覚の両方で楽しむ芸術。

映画が好きな人は、音楽好きな人が多い。

映画音楽が好きな人は、音と映像を、セットで記憶していく。


だから、いい音楽を聴くと、映像が浮かんでくる…



音楽には、魔物が棲んでいる。

同じ曲でも、気分によって聴こえ方はまるで違ってくるし、

同じメロディでも、演奏者が変われば、全然異質のものになる。


アーティストと呼ばれる人たちの心は、苦悩に満ちている。

しかし、今しかできない、いい仕事をした時の喜びは、すごく大きい。

本当にいいものを生み出すためには、たくさん苦しまないといけないのだ。



映画「バード」「ラウンド・ミッドナイト」は、若い頃に見た。

正直、あまり面白くなかった印象があったけど、

ジャズをかじってから改めて見ると、感じ方が変わっていることに驚く。


同じ映像なのに。



俺の友人に、同じ映画を何回も見る人がいる。

その理由は、よくわかる。


でも、俺が「わかる」のは、奴の心の一部分だけ。

それで、いい。


『…あいつのことは、オレが全部わかる』なんて、軽々しく言う輩は、

そいつのことを、自分の貧弱なものさしでしか測っていない。



先日、命日だった尾崎豊も、「僕が僕であるために」の中で、

『…人はみな、わがままだ』と歌っている。


見たいものを見たいし、聞きたいものを聞きたい。

見たくないものには目を塞ぎ、聞きたくないものには耳を塞いでしまう。


人の心は、加工できない。

だから、自分の心を加工しようとするのである。



相手に伝わりやすいように、アレンジする。

相手に理解してもらいやすいように、言い方を工夫する。


料理の味付けとか、隠し味と同じように。


わかる人には、すぐわかる。

わからない人には、やっぱりわからない。



「わかる」と言っている奴ほど、実はよく理解していなかったり、

「わからない」と素直に言う奴ほど、すごく理解してくれていることだってある。




俺は人から、「考え過ぎ」だと言われることが多い。



…それが、どうした。



お前らが、考えなさ過ぎなんじゃねえの?

適当に考えて、適当に話を合わせていけば、自動的に友達が増えるってか?


悪いけど、そんな友達なら、いらねえ。

そこまでしないといけないほど、友達には不自由してねえから。




人同士のコミュニケーションが、一番脳を使う。

だから、多くの人と話す職業の人は、いちいち深い会話に付き合っていられない。

100人の人と出会えば、10人くらいは、「嫌な奴」が必ずいる。

「人はみんなわかり合える」なんて言葉は、とっくに俺は卒業したから。


一部なら、理解することは可能。

だけど、全部は不可能。

どんなに仲良くなっても、愛し合っても、無理なものは無理。


それは、仕方のないこと。


ただしそれは、理解するためにちゃんと努力したかどうかが大事。

自分から動いて、汗水流して努力しなければ、絶対得られない領域だから。


もし、本気でがんばったのなら、それは心にしっかり刻まれる。

これから出会う人との関係で、その能力が発揮される時が来るから。



結果は、目に見えるものと、見えないものがあるから。


俺は、経験した職場の数だけ、人格と人生を否定された。

社会的に見たら、「ダメ人間」である。


…それが、どうした。



うつ病と診断され、転落して挫折を味わい、まだ生き恥をさらしている。

…それが、どうした。



ブログを10年以上続けて、自分の文章力のなさがよくわかった。

今まで、調子に乗って書きまくっていい気になっていた自分が、ホントに恥ずかしい。

今まで、俺に調子を合わせてくれていた心優しい読者たちに、ずっと甘えていた。



俺は、打たれ弱い。

俺は、子供っぽい。

俺は、ヘタレでいくじなしの、汚らしいただのおっさん。


…それが、どうした。



今日は、やっとたどり着いた休日だから、ゴロゴロしようと思った。

いや、ゴロゴロしなきゃ、と心に決めていた。


しかし、つい、まだ解けていない「知恵の輪」をいじくっていた。

難易度6のやつを、今まで2日以内に外していたのに、

これだけは、なかなかうまくいかない。

今日は、いいところまで行ったのに、ダメだった…

これをやると、結構握力を使うので、上腕がガタガタになる。


さっきまで、小一時間ほど、こいつに振り回された。

我ながら、アホなおっさんである。


しかし、人の心を開くための苦悩に比べたら、まだ浅い。

人の心が解放される時の美しさを知っている人間にとっては、ストレスじゃない。

いつかは、外れる瞬間がある。

その楽しみが、ちょっと先に延びるだけのこと。



人の情熱は、いつか冷める。

夢中になったものも、極める前に、飽きてしまう。



人は、人生の中で、本気になれる時間が、必ずある。

仕事でうまく行って、その仕事の需要があり続けて、

生涯を懸けて取り組める「天職」になり得た者は、幸いである。


…それが、どうした。




人生を踏み外し、己の運命を呪い、苦痛に満ちた毎日を送っても、

病気の再発と戦い、破滅する恐怖に耐えながら、眠れない日々を過ごしても、

ある瞬間に、ほんの一瞬だけでも、「安らぎ」が得られるなら…


それはまだ、生きる意味があるような気がする。



同じ映画をまた見て、違う感覚を発見するように、

同じ音楽をまた聴いて、違う感覚が開発されるように、

自分が「時間を重ねた生き物」であることを、自覚していくのである。



「今」という時間は、ほんの一瞬。

明日のこの時間まで、俺が生きている保証は、どこにもない。


だから、後悔しない生き方を、ずっとしている。

ああしようか、こうしようかと思い悩んでいるうちに、命は終わってしまう。


だから、出し切って終わる。

だから、今日吐き出せる言葉を、今日の内に吐き出す。



「ブルージャイアント」は、そのことを思い出させてくれた。

20代の頃に、エネルギーを燃焼しまくっていた俺がいたことを、

熱い画力で、ビンビンに伝えてくれた。


最初は、ジャズを流しながら読んでいたんだけど、

3巻目くらいから、無音にした。


だって、マンガから「音」が聴こえてくるんだもん。


テナーサックスは、アルトよりも肺活量が要る。

そういう意味では、男らしい楽器なのかもしれない。


昨年、映画「セッション」で感じた、あの熱い感覚。


ロックとは異質の熱さが、ジャズには確かに、ある。


豚舎の温度が急上昇する時の感覚と、

緩やかに、ジワジワ上がって行く時の感覚は、まるで違う。


それは、聴く側の「心の温度」でもあるのだ。




俺は、1年半続けた「バーでの映画会」を、あっさりやめた。

一番の理由は、心が淀んでしまったからである。


人間、同じところにばかりいると、精神が濁ってしまう。

視野は狭くなり、つまらないことでイライラ、モヤモヤするようになる。


同じ飲み屋に入り浸りするのは、どうも、俺の性分に合わない。

どうせお客もほとんど来ないし、全然盛り上がらなかったから、

やめるタイミングとしては、ベストだったと思う。

60作品も紹介できたんだから、幸運なひとときだったんだよね。



あれをやめてから、半年間、色んなお店を渡り歩いた。

おかげで、面白いお店も数軒、開拓できた。

髪は伸び放題で、無精ひげも生えて、お気に入りのポンチョコート姿で。


まるで、浮浪者のような、世捨て人のような、怪しい俺が、街を練り歩く。


…はっはっは、それがどうした。


自分の裾野を広げる期間も大切だし、

自分の心を深く掘り下げる期間も大切。


一部だけを酷使すると、くたびれてしまうから。


知恵の輪に夢中になって、上腕がヘトヘトになった時に、気づいたのだ。



俺は、集中力があり過ぎるので、つい、全力疾走してしまう。

だから、走るのは大嫌い。

全力で走ると、リミットを越えて力を出すから、すぐに嘔吐してしまう。


その代わり、歩くことは大好き。

今の仕事は、一日で12000歩から20000歩くらい歩く。

肉体的にはきついけど、耐えられる範囲。

精神的にもストレスがかかるけど、前の仕事とは、カラーが違う。



ずっとできるかどうかは、まだわからない。

だけど、続けられる限り、続けたいと思っている。




「カインド・オブ・ブルー」は、名盤だそうな。

…それが、どうした。



最初は、このアルバムのよさが、わからなかった。

ただひたすら、退屈な音楽だった。


今は、違う。



俺はまだ、ジャズを語れるほど、たくさん聴いてはいない。

たぶん、永遠に、初心者だと思う。

いや、むしろ、その方がいい。


俺のブログを中傷した人は、「自称評論家」と言った。

俺は、評論できるほど、映画をちゃんと見ていない。

お金をもらって書いていないからこそ、自由に書けるのだから。



映画に対しても、

音楽に対しても、

俺はいつまでも、「ファン」でありたいと思っている。


その視点を失わないからこそ、いつも新鮮な気持ちで楽しめるのだから。



「カインド・オブ・ブルー」の1曲目は、「SO WHAT」。

名曲かどうかなんて、俺にはどうでもいい。



今日はずっと、半日以上、これを流している。

今の俺の気分に、ちょうどいいから。


きっと、このアルバムを気持ちよく聴けるのは、今日だけかもしれない。

だから今夜は、ずっとこれを流し続けていたいと思う。



浸れるのは、一瞬。

味わえるのも、一瞬。


楽しさも、

心地よさも、

気持ちのいい時間も、


ほんの、束の間。



だから、貴重なのである。


こういう時間を得られる喜びを知っているから、

毎日の苦痛に耐えられるのである。


誰にも、理解されなくていい。

否定されようが、けなされようが、こういう生き方しかできないんだから。



世の中は、連休だそうな。

…それが、どうした。



俺は、明日の朝を生きて迎えられたら、また仕事に行く。

朝が来るのは、まだ、俺にやるべきことが残っている証しなんだから。



このブログは、だんだんつまらなくなっていくと思う。

ただのさえないおっさんの、愚痴を吐き出すだけの場所になっていくと思う。


…それが、どうした。



裾野を広げたら、今度は、掘り下げていく。

そうやって、少しずつ、大人の男になっていくのだ。









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