FUJITA'S BAR
2011-04-29

アンチクライスト

テーマ:洋画

狂気のセラピーは、過激な世界。 …もう誰にも止められない!


デンマークの巨匠、ラース・フォン・トリアー監督最新作が、ついに新潟でも上映開始。2009年カンヌ映画祭主演女優賞受賞。デンマーク・ドイツ・フランス・スウェーデン・イタリア・ポーランド合作。(一部モノクロ、R18)


監督・脚本は、ラース・フォン・トリアー。撮影は、アンソニー・ドッド・マントル。音楽は、クリスチャン・エイネス・アンダーソン。出演は、ウィレム・デフォー、シャルロット・ゲンズブール、ストルム・アヘシェ・サルストロ。


さて、映画ですが、極めて感覚的な作品に仕上がりました。これは、なかなか手強い。しかしながら、視点を変えて見ると、ある意味単純でもある。何とも、不思議な映画です。一般受けはしないでしょうが、人間が普段入り込めない領域に大きく踏み込んだ前衛的な作品として、歴史に残る1本となるでしょう。


ある夫婦がセックスをしている最中に、幼い息子が窓から落ちて転落死をしてしまう。良心の呵責に打ちひしがれた妻は精神を病み、セラピストである夫は妻を救おうと治療を試みるが…。



本作は、2005年に製作開始する予定でしたが、プロデューサーが内容をバラしてしまったことにより、トリアー監督が激怒(とぉりぁ~!)。脚本を書き直すために、撮影は延期。しかし、2007年にトリアー監督がうつ病を患ったしまい、回復までに2年かかるとされ、公開が危ぶまれてしまう事態に。


それでも何とか映画は完成し、2009年カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で初上映。しかし、凄惨でショッキングな場面で4人の観客が気絶。上映後の記者会見も大荒れで賛否両論の作品となりました。日本での公開は絶望視かと思われましたが、2011年2月26日に無事公開となりました。よかったあ。(ウィキペディアの記事を参考)


パンフ記事によると、トリアー監督は、うつ病のリハビリとしてこの映画の台本を書いたそうです。『…それは私にとってのセラピーであり、自分が再び映画を撮ることがどうかを知るためのテストでもあった。』 苦しんで生まれた作品だけに、何か運命的なものを感じてしまいますね。



子役のストルム・アヘシェ・サルストロの出番はほんの数分しかないので、全編に渡ってウィレム・デフォーとシャルロット・ゲンズブールの2人っきりで物語が進みます。彼らの演技は素晴らしい。ぐいぐい引き込まれて、見ていた自分も森の中をさまよいました。


観客は、両者の精神世界の狭間で、愛と狂気の世界でさ迷うことになります。男性目線で見るか、女性目線で見るかによって、映画の印象は全然違うものになっていくことでしょう。カップルで見る人は、くれぐれも覚悟して下さい。



大体、自分の妻の精神を、夫が治療することにはやっぱり無理があると思う。冷静でいなければならない反面、夫としての愛情も示さなければならない。優しくして欲しい時に、冷たい態度をとられると寂しいし、放っておいて欲しい時に、ベタベタされてもウザい。あらゆる場面で、この夫婦の心の結びつきの濃度が垣間見えるので、細かい部分もよく見ておきましょう。


冒頭のプロローグでの濃厚なラブシーンとは対照的に、第1章からの淡々とした会話が印象的でした。もしかして彼らは、情欲のみでつながっていたんでしょうか?愛する我が子を失った原因の根源は、一体どこにあったのか…?



人間の心は怖い。自分が思う以上に、自分の心は深くて、とても危険な領域があるのです。今の俺には、それがよくわかる。心の中の獣が、猛毒が、襲い掛かる何かを求めて息を殺している状態…ああ、恐ろしや。


ちょっとしたボタンの掛け違いから、何かが壊れていく。誤解は誤解を生み、妄想が狂気を加速させていく。音叉のように、共鳴しながら、深い闇の世界へ突進していく…。もしかしたら、そういう火種がすでに彼らの中にあったのかもしれない。暗示的な場面も多いし…。



人間は、自分の意思で堕ちて行くんだろうか。人間は、愚かな存在なんだろうか。不様で醜い生き物なんだろうか。救いようのない罪を背負って滅びていくしかないのか。そういう運命なんだろうか。トリアー監督は、本作にどんな思いを込めたのだろう。怒り、悲しみ、恨み…そして、慈しみ。


映画監督にとって、作品は子供のようなものだと聞いたことがある。当初に描いた作品を穢されたことで彼の怒りは爆発し、同時にそれは、自分自身の油断から起きたことであると己を責めた。失ったものはもう戻らない。そういう心情の中で、彼は痛みをこらえてこの映画を撮ったのではないか。俺は、そんなうふうに思うんです。


マイナスの感情を持っている者は、プラスの感情も潜在的にしっかり持っている。人間は本来、美しい生き物である。そうであるからこそ、汚れていることに気づくのだ。理性がなかったら、悲しみは存在しない。



タイトルの「ANTI CHRIST」は、直訳すれば「反キリストですが、本作の記述は、「ANTI CHRIS♀」になっています。俺は、ここに注目したい。キリストといえば救世主。その文字に雌マークが入っていることが、この映画を解くキーワードになるかもしれない。ううむ、これは奥が深そうだ。


“救い”という字は、“父を求める”と書きます。人間の創造主たる神は、父性と母性のどちらも持っているはず。父性によって救われる人もいれば、母性によって救われる人もいると思うから。


本作の受け止め方は、人それぞれでいいと思う。うつ病が現在進行形の俺にとっては、結構楽しむことができました。安全無害な映画を見るより、このくらい刺激的な方が、よっぽど治療になるかもしれないもんね。



トリアー監督は、個性の強い人だと思うので、自分なりの治療法を見い出したことでしょう。もう治ったのかな?それはきっと、次回作を見ればわかるでしょう。(シャルロットがまた出るそうです、楽しみ!)


狂気一秒、怪我一生。 …夫婦ゲンカはほどほどに。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:4月27日(水) 劇場:シネウインド 15:15の回 観客:約30人

新潟市内は暑かったなあ。汗ビッショリになりました。


【上映時間とワンポイント】

1時間44分。ボカシばっかりで笑いました。デンマーク本国では、無修正版で公開したとか。


【オススメ類似作品】


「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」 (1986年フランス)

監督・脚本:ジャン・ジャック・ベネックス、原作:フィリップ・ディジャン、出演:ベアトリス・ダル。愛が深すぎて、狂気へと暴走していくウルトラな恋愛ドラマ。でも、本作の方がある意味スゴいかも?


「死の棘」 (1990年松竹)

監督・脚本:小栗康平、原作:島尾敏雄、出演:松坂慶子。結婚10年目にして夫が浮気。それをきっかけに、妻の心が歪んでいく。狂気だけどユーモラスでもある不思議な映画。カンヌ映画祭審査員特別賞受賞。


「アヒルの子」 (2005年)

監督・出演:小野さやか。自身のトラウマを、映画を通して告白しながら行動していくセルフドキュメンタリー。こういう乗り越え方もあるのかと感心しました。本作のシャルロットと同じくらい、脱ぎっぷりもいいです。


「最後の誘惑」 (1988年アメリカ)

監督:マーティン・スコセッシ、原作:ニコス・カザンザキス、出演:ウィレム・デフォー。本作主演のデフォーが、イエス・キリストを演じた映画。ユダ役のハーヴェイ・カイテルが笑えました。果たして、イエス自身は救われるのか?




AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
同じテーマ 「洋画」 の記事
2011-04-28

ザ・ライト エクソシストの真実

テーマ:洋画

悪魔は、常に人の心に囁きかける。 …さあ、こっちにおいでぇ。


“rite”とは、“儀式”という意味。“exorcist”とは、“悪魔祓いの祈祷師”のこと。これは、バチカン公認の正式な職業であり、養成講座もちゃんとあります。イタリアでは実際、需要が多くてエクソシストが不足しているとか。いいねえ、俺も転職したいなあ。というわけで本作は、事実に基づいた物語だそうです。


監督は、ミカエル・ハフストローム。脚本は、マイケル・ペトローニ。撮影は、ベン・デイビス。音楽は、アレックス・ヘッフェス。出演は、アンソニー・ホプキンス、コリン・オドノヒュー、アリーシー・ブラガ、キアラン・ハインズ、ルドガー・ハウアー。


さて、映画ですが、真面目に作り過ぎて、地味な作品に仕上がりました。豪華キャストだけに、変な期待をしてしまったのが悪かったのかもしれません。サスペンスとしてもホラーとしても、中途半端な印象でした。


アメリカの神学校に通うマイケルは、自分自身の信仰に疑問を抱き、司祭になる道を捨てようとしていた。しかし、恩師の強力な勧めもあって、ローマに渡り、バチカンのエクソシスト養成講座を受けることになった。そこで、一流のエクソシストと言われるルーカス神父の悪魔祓いを手伝うことになる…。



マイケルを演じるのは、アイルランド出身のコリン・オドノヒュー。あまり個性は感じませんが、真面目でストイックな性格を感じさせる演技でした。


彼の父親を演じるのは、オランダ出身のルドガー・ハウアー。「ブレードランナー」「ヒッチャー」の時の迫力ある演技が印象的な名優なので、つい期待してしまいまいした。これがイカンかったなあ。ごく普通のオヤジでした(笑)。


そして、ルーカス神父を演じるのは、イギリス出身のアンソニー・ホプキンス。もうすでに悪魔が宿っているような風貌なので、彼がエクソシストなら最強でしょう。でも、それがイカンかった。理由はネタバレになるので言えませんが。


紅一点のジャーナリストを演じるのは、アリーシー・ブラガ。ブラジル出身のせいか、何となくアメリカ女っぽいイメージ。個人的には、彼女、はっきり言っていらないですね。何だか、ウザったかった。俺的には、長年追い続けている老いぼれ記者にした方がいい感じだったかもしれないって思いました。

俺としては、ブリティッシュ・ホラーのような、落ち着いたシブい描写をイメージしていました。監督はスウェーデン出身らしいので、ここまでアメリカ映画っぽくしなくてもよかったんじゃないかって思う。急に大きな音でびっくりさせるような、チャラい演出は失笑を買うだけで、かえって逆効果でっせ。


これだけの俳優を使えば、もっとスゴい映画ができただろうに…。なんてことは、俺の立場で言えるようなことではありませんが、やっぱり俺的には残念な映画でした。熱心な信仰をお持ちでない人には、あんまりオススメできないかも。




悪魔が人間に取り憑く、というような現象自体は、どこの国でもあると思う。アンソニー・ホプキンスご本人は、精神疾患だとコメントしていますが、俺の視点では、あくまでも両側面から見ていたい。


自分自身が今、うつ病に苦しんでいるせいもありますが、脳科学的に見て、セロトニンがどうとかドーパミンがどうとかいう理屈はわかりました。だけど、心霊的な側面もちゃんと見ておきたいんですよね。肉体と精神は、見えない力でつながっているものだと思うから。


人間に善人と悪人がいるように、霊にも善霊と悪霊がいる。もっと細かく言えば、人間の心自体に善の部分と悪の部分がある。それをバランスよく活用していられるのが健常者。バランスが崩れたのが精神疾患であると思うのです。



ヤクザで言えば、チンピラもいれば親分もいる。悪霊の総司令官が、きっと悪魔なんでしょう。聖書を読むと、悪魔(サタン)は、堕落した天使であるとされていますが、それなら悪魔自体も神が生み出したことになる。だから、神の力を借りて、悪魔を追い払うことが可能なんでしょう。


日本で言うと、除霊とか浄霊という行為になります。これは、霊媒師が善霊の媒体になって、神通力で悪霊を成仏させてあげようということ。だから、基本的には似たようなことをやっているのではないかと。


相手が悪魔であれば、神の言葉である聖句で立ち向かい、聖水で浄化する。日本の場合はお経でしょうか。でも、もともと人間だった魂なら、率直な言葉でも通用する気がしますが。



悪魔に取り憑かれた女性が映画に登場しますが、なかなかの演技でした。名前がわからないので紹介できませんが、ジャーナリストのおねーちゃんより魅力的だったと思います。だから悪魔に狙われたのかな。



俺も今、精神疾患に苦しんでいますが、科学的な療法に頼るだけでなく、心の深いところも見つめるようにしています。俺の背後には、きっと悪霊がウジャウジャいます。すでに満員なので、チンピラ悪霊は入る余地がありません。だからきっと、背後霊が交代する時期なのかなあって、自分では密かに思っています。俺自身も、人生の節目なんだと思う。


戦いに敗れれば、自殺して死んでしまうかもしれない。その誘惑はしょっちゅう来ますが、今のところはまだ大丈夫です。何とかうまく乗り越えて、新しい自分を構築したいと思っていますので。その時は、「わたしの恐怖体験」シリーズに記事をまとめましょう。



この映画は、一応それなりに勉強になる映画、と言っておきましょう。それなりにいい部分もあるから。ただ、信仰を啓蒙する映画としては弱い。その辺は、見る者が取捨選択して感じ取る、ということで。



俺に取り憑いている霊は、俺と似たような部分を持っている霊だと思う。突然、涙が止まらなくなってしまう時がある。そういう時は、一緒に泣いてあげる。突然、怒りが込み上げて来る時もある。そういう時は、一緒に怒ってあげる。悲しい、寂しい、やりきれない…そういう感情にも浸ってあげる。寄り添うように。


誰もが、何らかの悔いを残して死んでいくもの。そのくすぶった感情を吐き出させてあげることが、魂の浄化につながっていくのではないでしょうか。甘っちょろいと思われるかもしれませんが、俺はそう思うんです。俺の背後の霊たちは、俺のところが居心地がいいからいるんでしょう。じゃあ、一緒に気持ちよくなろうよ、ってね。


魂の戦いに負けたら、俺は命を失うでしょう。でも、もし勝ったら、今までなかった新しい力が宿るかもしれない。昨日まで敵だった者が、味方になってくれるかもしれない。今度は俺を守ってくれるかもしれない。俺のちっぽけな魂が、どこまでやれるか。さあ、かかって来い!



人の心は弱い。しかし、ある部分では強い。その強さも弱さも、神が与え賜うたもの。優しさも厳しさも、生きていく上で学び取っていくもの。人生は、魂の修行の場であるのだから。


世の中は、悪魔でいっぱい。 …世界中で活躍するエクソシストたちに栄光あれ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:4月20日(水) 劇場:ワーナーマイカル県央 14:20の回 観客:3人

おっさんの1人客ばかりでした。ちなみに俺は、この日で44歳になりました。


【上映時間とワンポイント】

1時間54分。カエルが苦手な人は、覚悟して下さい。


【オススメ類似作品】


「エクソシスト」 (1973年アメリカ)

監督:ウィリアム・フリードキン、原作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ、出演:エレン・バースティン。小学校低学年の時にTVで見て、恐くてオシッコにいけなくなったトラウマ映画。ジェイソン・ミラーがカッコよかった。ディレクターズ・カット版はマヌケなのであまりオススメしません。見るなら、オリジナルの方で。


「リーピング」 (2007年アメリカ)

監督:スティーヴン・ホプキンス、出演:ヒラリー・スワンク。ホラー映画かと思って見に行ったら宗教映画…といえばやっぱりコレでしょう。“イナゴ少女”ローレンを演じたアナソフィア・ロブは、ちょっとネコ目の美少女でした。


「ウルフマン」 (2010年アメリカ)

監督:ジョー・ジョンストン、出演:ベニチオ・デル・トロ。本作を見て消化不良だった人は、これを見ましょう。ベニチオの師匠役は、アンソニー・ホプキンスです。がおー。


「震える舌」 (1980年松竹)

監督:野村芳太郎、原作:三木卓、出演:渡瀬恒彦。異色なところで、邦画も1本ご紹介。破傷風にかかった娘と親子の物語なんですが、描写がハンパなく凄い。これは、間違いなくホラー映画です。



AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
2011-04-23

最近読んだ本

テーマ:

映画もブログも、体調が悪いと全くダメなんですが、読書だけは、少しずつやってます。大体、2冊同時に読んでいて、その時の気分で読み分けています。なかなか進まないんですが…(苦笑)。今回は、7冊の本をご紹介。




「死にカタログ」 (寄藤文平著 大和書房)


いきなりヘビーなタイトルですいません(笑)。自殺未遂をしたせいか、死が身近に感じられる今日この頃。何気に手に取りました。読んでみると、何のことはない、結構のんびりした本です。死に方や死因、宗教や国によっての死の受け止め方を、のん気なイラスト入りで紹介。


有名人の人生や、映画ネタなども出てくるので、俺的には面白い本でした。「ゴッドファーザー」は笑える。「ジュラシック・パーク」の保険屋は爆笑。ハチ公はかわいい。信長・秀吉・家康は勉強になる。感慨深いのは、太宰治でした。俺は、どうやって人生を終えるんだろう?




「ツレがうつになりまして。」 (細川貂々著 幻冬社文庫)

「その後のツレがうつになりまして。」 (同上)


これは、いい本でした。俺にとっては、救いの書であるとも言えます。夫はサラリーマンで、妻は漫画家。その夫が鬱病になった実話を、妻が漫画化。一般人にはなかなか理解してもらえない病気の特徴を、わかりやすく面白く表現しています。あまりにいい本なので、妻にも読んでもらいました。今年の秋に映画化だそうです。うつで悩んでいる人には、一読の価値ありです。超オススメ!



「マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 圧縮」 (冲方丁著 ハヤカワ文庫)


映画を見たので、原作にも挑戦。でも、難しい表現が多くて、かなり手こずりました。元気な時ならバンバンいけたんでしょうが、今の俺にはキツい。あまりノレませんでしたが、メンタルな部分は楽しめました。独特のリズムがあるので、マニアックな人にオススメ。




「毎月新聞」 (佐藤雅彦著 中公文庫)


気楽に読めそうだったので手にしました。著者は、NHKの「ピタゴラスイッチ」「だんご3兄弟」を生み出した人。毎日新聞に月イチで掲載された記事を書籍化したものです。


この人の文章は面白い。3コママンガもかわいい。体調が悪い時でも、この本は読めました。魅力的な文章を書ける人って、やっぱりカッコいいですね。見習わなきゃ。




「マンガ 物理に強くなる」 (関口知彦原作 鈴木みそ漫画 講談社ブルーバックス)


少しは頭を働かそうかと思って手にしました。物理は得意ではないけど好きな教科だったので、基礎を復習してみたいという思いもあって。野球部の男子が、物理に詳しい女子にボールをぶつけてしまったことがきっかけで、苦手な勉強を教えてもらうという構成。


ガリレオ、ニュートン、アインシュタイン…彼らは考え続けていた。それは、考えることが楽しいことだから。この本は、そう言ってくれてるように思います。だって、わからないことがわかるって、面白いことだから。


今の俺も、何かを学ぶために病気と闘っている状態なんだと思う。というか、そう思いたい。




「逮捕されるまで 空白の2年7ヶ月の記録」 (市橋達也著 幻冬社)


行き付けのスナックBTのSママから頂いて読みました。いやあ、こんな本が出版される日本って、すごい国ですね。殺人犯の視点で書いた手記を、興味深く読みました。


内容は、逃亡してから逮捕されるまでの2年7ヶ月の間、彼がどういう行動をしていたかを記述したもの。裸足で逃げて、所持金は5万円でスタート。公園で寝たり、沖縄でサバイバルしたり、工事現場でバイトしたり…。文章がうまいかどうかはともかく、リアルな記録が延々と続いていく。お金がたまると、ホテル生活したり、ディズニーランドで遊んだりして、日本中を渡り歩く。新潟にも来ていたそうで、びっくりしました。


もちろん、ここに書いてあることが全部事実ではないでしょう。出版社が加筆・校正した部分もあるでしょうし、ウソもあると思う。だけど、こういった世界を味わったことがない者にとっては、新鮮な刺激がある。


残念なのは、リンゼイさんを殺害した経緯に全く触れていないこと。この本を読んだ限りでは、『…オレは精一杯逃げ切った。どうだ、スゴいだろ。』という印象しかない。印税を遺族に、という名目ではあるが、この内容では、遺族の神経を逆撫でする結果になるでしょう。文中では、夜に泣いたとか、恐くなって逃げたとか書いてあるけど、具体的には何も反省していないように思える。マズッたな、程度の認識か。


彼の“生き抜く力”はすごいと思う。それはきっと、プライドの高さも関係しているかもしれない。いつも自分が主役だから、何事も自分目線であるように感じます。贖罪のために、と本人は言っていますが、むしろそれは“食材”の方かも。


この本の出版が、いいことなのか悪いことなのか俺にはわかりません。賛否両論、話題沸騰、前代未聞。ある意味“逃亡生活”をしている俺にとっては、少し感じるものがありました。


逃げ続けるって、大変なんですね。



AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
2011-04-21

攻殻機動隊SAC SOLID STATE SOCIETY 3D

テーマ:アニメ・特撮

電脳ってカッコいいなあ。 …俺もやってもらいたい!


本作は、すでに発売されているDVD作品の3Dヴァージョン。幸い未見で、しかも3D。妻と2人で見に行ってきました。


原作は、士郎正宗。監督・脚本は、神山健治。総作画監督は、後藤隆幸。音楽は、菅野よう子。主題歌を歌うのは、Origa。


声の出演は、田中敦子、阪修、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、小野塚貴志、山口太郎、玉川砂紀子、たてかべ和也、榊原良子、玄田哲章。


さて、映画ですが、クド過ぎず、大げさ過ぎず、ちょうどいい感じに仕上がりました。電脳空間のシーンはゾクゾク。人間はペーパークラフトみたいでしたが、それなりに立体感があって面白かったです。


2034年。新たに隊長に就任したトグサを中心に行動していた公安9課は、シアク共和国の特殊工作員を追いつめた矢先、拳銃で自殺されてしまう。彼が残した謎の言葉『くぐつまわし』とは一体何か。2年前から姿を消した草薙少佐との関わりは…?



この映画は、「攻殻機動隊」という作品を知らない人にとっては、かなりハードルが高いと思います。でも、わかんなくても見る価値はあります。見て興味を持ったら、DVDを見てみてはいかがでしょう?ある意味実験的な映画ですが、完成度は高いです。



本作を見て感じたことは、“プロの仕事”という感覚です。作画や声優のクオリティはもちろん。3D映像化する際のこだわりも、随所に見られました。ファンにはたまらない、コーフンの1本です。


パンフに掲載されている神山監督のコメントでは、『…普通は3D映画というと、槍やナイフが飛んできたりとかを連想しがちですが、この作品ではそういう強引な表現は避けています。』 なるほど。日光江戸村の立体映画なんかは、まさにソレですね。


『…大きく飛び出す映像ばかり見ていますと、どうしても目が疲れてしまいます。今回はオープニングを完全新作として作り直し、大きく立体視させていますが、それ以外の普通のシーンなどは奥行きをわずかに付ける程度で、さほどの視差はつけていません。それよりも電脳シミュレーションとでもいいますか、3Dで電脳化した人の“見た目”というものを体感的に表現してみようと。』 ははあ。言われてみればそういう映像でした。



3D映画というと、どうしても派手なものを期待してしまうのが人情。’80年代の特撮映画だって、’90年代のアクション映画だって、確かにそういう刺激をどんどん追求していく風潮が確かにありました。映画そのものを大切にするなら、過剰で不自然な特殊効果は、かえって逆効果になってしまうのかもしれない。


日本のアニメーションが優れている理由は、一体何でしょう?他の国が真似できないものが、日本にはあるからです。アメリカにはアメリカの、フランスにはフランスの、ロシアにはロシアの、中国には中国の長所がある。そして日本には、日本にしかないよさがある。日本人だからこその長所がある。



俺の頭脳は今、壊れていますが、電脳化したらそういう苦しみもなくなるんでしょうか。いやいや、人間の心はそういうもんではないでしょう。仕事を正確にこなすためには、電脳は都合がいい。しかし、人間らしい生活を営むには、心が大事。俺の“ゴースト”はきっと強烈だから、そう簡単に消えないかも…?


「銀河鉄道999」の星野鉄郎も、こういう機械の身体だったら、手に入れただろうか?俺は断然欲しいですね。ついでに左腕にサイコガンをつけてもらいたい。背中にはデビルウィングも欲しいし、奥歯には加速装置、ベルトの風車で変身もしたい。それから、ウルトラアイと、ファイヤースティックと、怒りの電流回路と…(このまま著者しばらく陶酔)



そんなわけで、攻殻ファンは必見の1本。評価はその人次第ですが、俺は◎です。あ~、いいもん見せてもらいました。この映画を劇場で見ることができたのは幸せなことです。


人間の能力は素晴らしい。そして、美しい。行きましょう。いざ、電脳世界へ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:3月30日(水) 劇場:T-JOY新潟万代 11:50の回 観客:約10人

攻殻カフェも魅力的でした。バトーのサイボーグビールが飲みたかったけど、車だったからなぁ。


【上映時間とワンポイント】

1時間48分。立体メガネは、赤青タイプっぽかった。


【オススメ類似作品】


劇場版2作と、SACシリーズ全巻。これ以外になし!




いいね!した人  |  リブログ(0)
2011-04-13

冷たい熱帯魚

テーマ:邦画

でんでん、でんでん、ででんで~ん。 …狂気炸裂!


話題沸騰の映画が、ついに新潟でも公開。監督は、園子温。脚本は、園子温&高橋ヨシキ。撮影は、木村信也。音楽は、原田智英。


出演は、吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲、諏訪太朗、芦川誠。


さて、映画ですが、気持ちいいくらいブッ飛んだ作品に仕上がりました。このくらいやってくれると、実に爽快。ああ、俺もこんな人生生きてみてえ!


熱帯魚店を経営する男・社本の娘が、万引きをしてしまう。警察に突き出されるところを救ったのは、謎のオヤジ・村田であった。彼の独特の話術のせられ、男は知らない世界に足を踏み込んでしまう…。



主演は、吹越満。役柄は、真面目でおとなしい男。娘からは無視され、後妻ともうまくいってない。経営している熱帯魚屋も、あんまり儲かっているとも思えない。こういう役を演じさせると、彼はうまいですねえ。たまったフラストレーションが、今にも吹き出しそうな危うさがいい。冒頭から、あ、これはヤバいと感じました。「わらの犬」のダスティン・ホフマンですね。


彼の妻を演じるのは、神楽坂恵。彼女のオッパイはエロい。というか、身体全体から立ち上る女体オーラがムンムン。娘を演じるのは、梶原ひかり。「パークアンドラブホテル」の金髪ねーちゃんだった女の子ですな。相変わらず、色気もへったくれもない役柄。だからこそ、母親が際立つんですなあ。


謎の男・村田を演じるのは、でんでん。ええっ、あの人なつっこいおっさんがなんでこんなことに?いやいや、これはこれでなかなか気合い入ってますよ。登場した瞬間から充分怪しかった。たぶん、ご本人も相当楽しんで演じていたんじゃないでしょうか。主役の吹越満を完全に食ってました。「アンタッチャブル」のケビン・コスナーとロバート・デ・ニーロみたいですね。


“でんでん”という名前の由来は、“でんでん虫のように可愛くありたい”という意味らしい。ヴェネチア映画祭では、『…自分の中の悪に目覚めた。これを機にこういう役が増えたらいいな。』とコメントしていたそうな。う~む、61歳にして自分の新しい内面に目覚めるってスゴい。


村田の妻を演じるのは、黒沢あすか。おお、「六月の蛇」で調教された女ですね。こりゃ最強夫婦だわ。神楽坂恵のエロさとはまた一段格が違うぞ。こちらも要注意。夫婦の“共同作業”は楽しそうでした。あいよ、あんた、なんて感じで息もピッタリ。


悪徳弁護士を演じるのは、渡辺哲。こんなコワモテ俳優を従えるでんでんオヤジはやっぱりスゲエ。中途半端なヤクザより恐いかもしれない。彼らは一体、どんな人生を生きてきたんでしょうなあ。



園子温監督の映画を見たのは、これが4本目。「うつしみ」「愛のむきだし」「ちゃんと伝える」、そして本作。俺にとっての彼の作品の印象は、“突っ走る”ということ。湧き上がる魂が求める方向に、徹底的にこだわりを持つということ。走り出したら、もう止まらない。行き着くところまでノンストップ!


本作も、かなり暴走してます。正気を失っています。だけど、何かが気持ちいい。ある意味、カタルシスがある。現実にはできないことをやって、現実では通れない道をひたすら走る。どこまでも走る。そこには、生半可な理屈はもはや通用しない。


この映画は、ストレスがたまりすぎて行き場を失った人にこそ見て欲しい。映画という文化の可能性を、表現の何たるかを、そして、男の美学を味わって欲しい。ここには、確かに何かがある。



俺は病気になって4ヶ月になりますが、この映画は興奮しました。一時的だけど、身体の奥底から湧き上がってくるものがありました。これはヤバい映画です。間違いなく、傑作だと思う。


負のエネルギー同士をかけ合わせれば、プラスの力になる。この映画は、俺という人格を構成する上での栄養になりました。エログロな人生、それもまたいいじゃん。人間は、色んな引き出しを持たなきゃ。



パンフのコメントによると、映画のタイトルは、ジョン・レノンの「コールド・ターキー」という歌から思いついたそうです。『…ならば、「コールド・フィッシュ」もありかなと。そんな単純な発想ですね。で、調べてみたら、「冷淡な人」って意味があるらしく、これはピッタリだなって。Winkの歌とは何の関係もありません(笑)。』 いやいや、監督、充分熱いッス。


『…今回は、“徹底的に救われない家族”を描いてみました。何にでも希望を持たすのはイカンと思うんですよ。ダメなものはダメ。そのくらい徹底した方が活力になる。』 さすが、カッコいいなあ。こんなこと言ってみたいもんですね。今の俺がダメダメだから、余計にこたえてしまう。ダメな時はとことんダメなんだ、ちくしょう!



俺には、希望も余裕もない。ただ、底辺の人生を味わっているだけ。先が見えない真っ暗闇。でもね、何かが見えるんです。この映画の向こうに。


ダメな人間だからこそ、見える視点というものがある。今だからこそ、学び取れるものがある。こういう時だからこそ、伝わるメッセージがある。だから俺は、本作を面白いと思う。前衛的で、刺激的。韓国映画にはない、日本映画の奥深さ。


病気であっても、可能な限り、映画は見続けたい。俺という人間の本質だから。自分の心の正体を知るためにも、魂の探求は続くのだ。これは、人間としての尊厳を守るための修行なのだ。


心の闇は、誰にもある。そのダークな世界と、しっかり向き合うことで、真の己が見えてくる。さあ、しっかりスクリーンを見つめましょう。あなたにしか見えない、何かが迫ってくる…。



でんでんむしむし、かたつむり。お前の魂どこにある? …ツノ出せヤリ出せ、本音出せ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:3月28日(月) 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 15:45の回 観客:約20人

メンズデーなので1000円でした。


【上映時間とワンポイント】

2時間26分。やや長めですが、テンポがいいのであっという間に終わります。なんのなんの、「愛のむきだし」に比べれば、どうってことありません。


【オススメ類似作品】


「SF・サムライ・フィクション」 (1998年)

監督:中野裕之、出演:吹越満。本作とは違った意味で、彼がブチ切れます。その姿は、何とも愛くるしい。俺が彼の名前を覚えた、最初の映画でした。「シュシュトリアン」にも出てたとか。


「CURE」 (1997年大映)

監督・脚本:黒沢清、出演:役所広司。でんでんが、人のよさそうなお巡りさん役で出演。それが、あんなことに…。ラストシーンにご注目。


「昭和四十六年 大久保清の犯罪」 (1983年TBSドラマ)

演出:山泉脩、原作:筑波昭、出演:ビートたけし。1971年に実際に起きた、連続女性殺害事件をドラマ化。DVD化はされていないと思うので、VHSでお探し下さい。ちなみに本作も、埼玉愛犬家連続殺人事件をヒントにしていますが、色々と手を加えているので、ほぼオリジナルであると監督は言っています。


「復讐するは我にあり」 (1979年松竹)

監督:今村昌平、原作:佐木隆三、出演:緒形拳。日本映画史上に残る傑作。倍賞美津子と小川真由美がエロい。そして、清川虹子の凄みのある演技!本作は、この映画をイメージして撮ったそうです。なるほど、結構符合する箇所がありますね。


いいね!した人  |  リブログ(0)
2011-04-12

U-NOTE 13 「無能の男」

テーマ:ケガ・病気

どうも、桑畑です。何とかまだ生きております。ずうっと何も書いてないので、いいかげん死んだかと思われるといけないので、そろそろまた書こうかと思います。



東日本大震災で被害に遭われた被災者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。自分自身も、人の心配ができる立場ではないのですが…。



休職して、4ヶ月が経ちました。症状は、相変わらずです。よかったり、悪かったり…。


焦って早く治そうとすればするほど、余計に治らないという話を聞きました。ホントに、面倒くさい病気だこと。


元気な時は結構ハイテンションになれて、俺もう治るんじゃないかと思えるほどなんですが、ダメな時は本当にダメで、一日中身体が動かせず、毛布を被ってうずくまっている始末。



もうすぐ44歳になろうとしているのに、何て情けない状態なんだろうと自分の運命を呪ってしまいます。バリバリ働いていた頃が懐かしい。今は、ただの粗大ゴミ。役に立たない無能な男。



この間、久しぶりに体重を量ったら、何と10キロも増えていました。現在、身長169センチで、体重は72キロ。あっはっは。中年デブですな。病気になった時は、62キロだったのに。何にも動かずに食ってばかりいたら、そりゃあ、太るわな。


医者に頼んで、食欲を活発にする薬を止めてもらいました。ああ、お腹の周りが重い。身体全体が重い。だけど、運動をする気力がない。このままだんだん肉ダルマになっていくんだろうか。



それでも、時々会って話を聞いてくれる友達が数人いてくれるので、それがいい気晴らしになっています。みんな、どうもありがとう。いましばらくこの状態が続きそうなので、面倒かけるけどよろしくね。





いいね!した人  |  リブログ(0)

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。