2011-03-29

太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男

テーマ:邦画

守る力は、戦う力になる。 …静かに黙々と、成すべきことを成す。


原作は、ドン・ジョーンズ著「タッポーチョ」。監督は、平山秀幸&チェリン・グラック。脚本は、西岡琢也。撮影は、柴崎幸三&ゲイリー・ウォーラー。音楽は、加古隆。


出演は、竹之内豊、ショーン・マクゴーウァン、井上真央、山田孝之、唐沢寿明、安部サダヲ、中嶋朋子、光石研、近藤芳正、ベンガル、板尾創路、柄本時生、岡田義徳、酒井敏也、ダニエル・ボールドウィン、トリート・ウィリアムズ。


さて、映画ですが、過酷な戦場を描きながらも、清々しい風が吹くような作品に仕上がりました。こういう戦争映画も珍しい。娯楽的な要素は薄いですが、勉強になる1本。


太平洋戦争末期。日本から2000キロ離れたサイパン島では、アメリカ軍の圧倒的な兵力の前に、日本軍の劣勢は明らかになりつつあった。陸軍歩兵第18連隊の大場栄大尉は、玉砕命令を受けて、突撃するが…。



主演は、竹之内豊。実を言うと、彼の演技をしっかり見たのは今回が初めて。TVドラマ「サイコドクター」で名前を知り、映画では「さまよう刃」くらいしか見たことありませんでした。本作では、寡黙な指揮官役。彼の演技力はまだ未知数ですが、映画に懸ける意気込みは充分感じました。


彼の風貌は、どちらかというとクール。デカい声で現場を仕切るオヤジキャラではありません。その辺は、「真夏のオリオン」の玉木宏と同様の部類かと。過酷な状況であればあるほど、冷静な判断というものが必要なものであろうから。


竹之内豊は、自ら希望してサイパンに行き、激戦の跡地や慰霊碑を回った他、大場大尉の墓参りにも行ったそうです。撮影前から減量し、タイでの撮影始まるとさらに減量。5~6キロ体重を落としたそうな。(パンフ記述より)


後半になり、状況が逼迫すればするほど、彼の表情が引き締まっていくのがわかる。決して特殊な人間ではなく、あくまでもあたりまえで普通の男であり続けるというのは、精神力があるということではないでしょうか。



大場に一目置く、ハーマン・ルイス大尉を演じるのは、ショーン・マクゴーウァン。日本語のセリフはたどたどしいけど、英語のシーンはバッチリでした。(当たり前だっつーの) ちなみに彼が、将棋の駒を用いて日本人の精神性を説明するのは、チェリン・グラック監督のアイディア。原作にはないエピソードだそうな。


出演者の中で存在感があったのは、唐沢寿明でしょう。スキンヘッドで刺青という、ギラギラオヤジを好演してくれました。「二百三高地」の佐藤充を思い出しますな。山田孝之が演じるのは、愛国心ゆえに上官に逆らう青年。板尾創路、光石研、安部サダヲたちも、真剣なまなざしがカッコよかった。



女性陣では、井上真央がイキのいいおねえちゃんを演じていました。い~い眉毛に、い~いデコでんなあ。これくらいの気迫があれば、女戦士になれるでしょう。今度はテロリスト役なんかもぜひ。そして、中嶋朋子が、い~い感じのオバチャンを演じてました。男ばっかりでむっさい映画だから、彼女たちの存在にホッとします。



本作は戦争映画ですが、戦争を知らない世代が作ったという点は、注目に値します。だから、説教くさくないのかもしれない。ギラギラしていないのかもしれない。派手さや奇抜さが少ないのかもしれない。娯楽性が乏しいのかもしれない。


しかし、人間をしっかり見せるという点では、優れたものがあると思う。ベタなシーンは極力カット。何気ない小さな動きや、微妙な表情や仕草で、それを目立たなく表現していく。その小さな積み重ねによって、そこにいる人間の匂いを感じさせるのだ。これは、高等テクニックでしょう。さすがは、平山監督。


人間関係というものは、露骨な表現をしなくても、空気で理解できることが多い。最小限のセリフを言い放って、観客自身に考えさせる技もある。ただ、アメリカ人にとってはわからんのかも…う~む、映画って深いなあ。



原作者のドン・ジョーンズ氏は、アメリカ海兵隊第2海兵師団第2海兵連隊第2大隊の伍長(中隊長付情報係)としてサイパン戦に従軍した兵士。“敵の眼”を通して語られる、戦場の物語をとくとご覧下さい。


アメリカは戦勝国であり、日本は敗戦国である。しかしながら、現在は友好関係を結んでいる。何故、国境を超えて仲良くなれたのか。もちろん、国益や戦略という視点もあるでしょう。でも、それだけでは説明できないような、心のつながりがあるような気がしてならない。それが、この映画を見た俺の心に残りました。



なぜ、フォックスと呼ばれたのか。何が奇跡なのか。彼らの運命は?俺は、ネタバレしませんから書けるのはここまで。知りたい人は、劇場で彼らと一緒に戦いましょう。 …大場大尉のもとで。




【鑑賞メモ】

鑑賞日:3月18日(金) 劇場:ワーナーマイカル県央 14:10の回 観客:3人

計画停電は結局中止になりました。エスカレーター、止まってましたね。


【上映時間とワンポイント】

2時間8分。しっかり勉強したい人は、パンフも買いましょう。いい資料になります。


【オススメ類似作品】


「硫黄島の手紙」 (2006年アメリカ)

監督:クリント・イーストウッド、出演:渡辺謙。硫黄島の激戦を描いた大作映画。この戦闘をしているさなか、サイパン島では何が起きていたかを比べてみましょう。


「氷雪の門」 (1974年東宝→東映)

監督:村山三男、出演:二木てるみ。戦火の樺太。ソ連軍が迫る中、命懸けで電話交換手業務を続けた9人の乙女の物語。製作当時、ソ連からイチャモンをつけられ、細々と公開された不運な映画。それから36年の時を経て、2010にようやく全国順次ロードショーとなりました。東宝の腰抜け!


「ムルデカ 17805」 (2001年東宝)

監督:藤由紀夫、出演:山田純大。日本敗戦後、インドネシア独立のために戦った日本人兵士の物語。“ムルデカ”とは、インドネシア語で“独立”という意味。興行的には、失敗しました。あっぱれ、東宝!


「二百三高地」 (1980年東映)

監督:舛田利雄、出演:仲代達矢。やっぱり、コレが好きなんですねえ。本作の大場大尉は、学校の先生だったそうな。この映画では、あおい輝彦が学校の先生をしています。奥様は、夏目雅子。本作の唐沢寿明と、この映画の佐藤充を見比べて下さい。イレズミの兵隊さんはカッコいい!





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2011-03-13

PROJECT A (若手アニメーター育成プロジェクト)

テーマ:アニメ・特撮

若い。瑞々しい。気持ちいい。 …はばたけ、若きプロフェッショナルたちよ!


1週間の限定上映ということで、興味を持って見に行って来ました。4話のオムニバス映画です。




「キズナ一撃」 (監督:本郷みつる、制作:アセンション)


13歳の女子中学生は、格闘少女。家の借金を返すために、武術大会に参加。巨漢を相手にバッタバッタと叩きのめす、痛快ギャグアニメ。小学生の男の子にウケそうな題材ですね。


とにかく、明るくて楽しい。自由奔放な作画は、見ていて気持ちがいい。オープニングにふさわしい、生きのいい作品と言えるでしょう。




「おぢいさんのランプ」 (原作:新美南吉、監督:滝口禎一、制作:テレコム・アニメーションフィルム)


一転変わって、今度はシブい作品。新美南吉の名作童話を、忠実に再現。貧しくて灯りのない村に、ランプを持ち込もうと奔走する若者の物語。始めは新しいものに抵抗を示す村人であったが…。


主人公の彼女が、無口で恥ずかしがりやで、何ともかわいい。色彩といい、情緒といい、日本の美しい風景と人の心を、さわやかに表現しています。OPテーマはクレイジーケンバンド、EDテーマは白鳥英美子という豪華さ!




「万能野菜 ニンニンマン」 (監督:吉原正行、制作:P.A.works)


主人公は、小学2年生の女の子。キライな食べ物は、ニンジンとピーマンと牛乳。どうしても食べなさいと言われ、ムリヤリ食べたら、変てこなモンスターが現れた!


今度は何だか、アメリカンスタイル風。ニンジンとピーマンは、ディズニーもどき。しかしながら、ミル姉さんはムッチリしていてなかなかよいです。好き嫌いの多い女の子は、コレを見よう!




「たんすわらし。」 (監督:黄瀬和哉、制作:Production I.G)


最後は、一人暮らしのOLが主人公。声優は、何と能登麻美子!ほっこりしたデザインに、彼女の声はピッタリですねえ。オトナの女性にオススメ。


ある日、母親から荷物が届く。それは、使い古された箪笥であった。仕事から帰ってくると、家の中に誰かがいる…きゃあ、誰よ、あんた!


4本ある作品の中では、これが一番出来がいいと思いました。才能って、素晴らしいですね。




4作品を見て率直に思うのは、ややまとまり過ぎているということ。でもそれは、初めての試みだからなんじゃないかなって思います。こういうイベントは、どんどんやって欲しいです。次回はぜひ、若さを燃やしてもっとダイナミックな路線でいきましょう。先輩たちに挑戦するような、気合いの入った作品を頼むぜ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:3月10日(木) 劇場:T-JOY新潟万代 11:30の回 観客:約5人

ロビーに人がやたらいっぱいいるなあと思ったら、GANTSのお客だったんですね。(開場時間同じ)


【上映時間とワンポイント】

1時間38分。料金は、一般で1000円。


【オススメ類似作品】


「ロボット・カーニバル」 (1987年)

北久保弘之、森本晃司など8人のクリエイターたちが、ロボットをテーマに製作したオムニバスのOVA作品。OPとEDを担当したのは、大友克洋でした。俺のお気に入りは、梅図泰臣の「プレゼンス」。



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2011-03-13

ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ天使たち~

テーマ:アニメ・特撮

思いやりこそ最大の武器。 …どんなに否定されても、譲れないものがある。


いつものことながら、娘と2人で行きました。タイトルに“新”とある通り、1986年に公開された作品のリメイク。どのみち俺は未見だったので、まっさらな気持ちで見ることができました。


原作は、藤子・F・不二雄の同名マンガ。監督は、寺本幸代。脚本は、清水東。作画監督は、浅野直之。音楽は、沢田完。主題歌を歌うのは、BUMP OF CHICKEN。


声の出演は、水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昇、関智一、三石琴乃、千秋、沢城みゆき、小林由美子、加藤浩次、中村正、福山雅治、テレビ朝日のアナウンサーのみなさん。



さて、映画ですが、人間の良心に訴える、あたたかい作品に仕上がりました。おめでたいと言われようと何と言われようと、「ドラえもん」はこれでいいのだ。


スネ夫にラジコンロボットを自慢されてひがむのび太は、ドラえもんにロボットを出してくれとせがむが、あっさり拒否されてしまう。困ったのび太の前に、巨大なロボットの足が現れる…。



リメイクに際して、ピッポというキャラが登場。巨大ロボット・ザンダクロスの頭脳が、ドラえもんのひみつ道具によって擬人化されたものであるが、これが何ともかわいい。ほっこりしていて、ツンデレのような愛くるしい存在。彼の出演によって、殺伐としたロボット世界にあたたかみが生じたように思います。


しずかちゃんのセクシー場面は、今回はビキニのみ。入浴シーンはありません。その代わり、ロボット兵の女の子リルル嬢がサービス。彼女のオールヌードが2回登場しますので、どうぞお楽しみに。人間じゃなくてロボットだから、これはOKなんでしょう。なかなかよろしい。



のび太という少年は、困っている人を放っておけないタイプ。自分が弱いからこそ、弱い者の気持ちがわかるのかもしれませんね。しょうがないなあ、と思いながらも、つい協力してしまう。もしかしたら、彼のような男が一番リーダーシップがあったりして。


彼を動かす原動力って、一体何なんだろうっていつも思います。きっとそれは、誰もが持っている純粋な心。弱肉強食の現実世界にあって、「ドラえもん」が多くの人たちに支持されている理由は何だろう?


きっとそれは、“世の中、こうあって欲しい”というみんなの願いがあるからじゃないのかな。どんなにバカにされても、自分の純粋な気持ちを貫くことができる人間でありたい、と誰もが思うはずだから。



本作では、のび太とピッポの友情の他に、しずかちゃんとリルルの友情も表現されています。ロボットに真心があるのかどうかはわかりませんが、人間から生まれたものなら、きっと…。



おめでたい人間、いいじゃないですか。おめでたい国民、いいじゃないですか。「ドラえもん」は、日本が誇る良質な文化です。日本人の長所を失わないためにも、このシリーズはずっと続いて欲しい。


自分の心に正直に生きるって、素敵なこと。少年少女たちよ、「ドラえもん」に学ぶべし。今の純粋な真心を、どうか失わずに、大切にしてね。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:3月5日(土) 劇場:ワーナーマイカル県央 13:55の回 観客:約200人

子供たちのマナーがよかったので、安心して見ることができました。エライぞ、みんな。


【上映時間とワンポイント】

1時間48分。エンドロール終了後にも、ちょっぴりあります。


【オススメ類似作品】


「カラフル」 (2010年東宝)

監督:原恵一、原作:森絵都、声の出演:冨澤風斗。本作のピッポを見て思い出したのが、この映画の死後の世界に登場する、ガイド役の天使プラプラ。生意気な関西弁少年の存在が、何だか楽しかったなあ。


「カリメロ」 (1974~75年日本・イタリア合作)

演出:芹川有吾、原作:ニーノ&トニー・バゴット、声の出演:三輪勝恵。カラを被ったヒヨコといえば、やっぱりコレでしょう!





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2011-03-12

パラノーマル・アクティビティ2

テーマ:洋画

びっくりするけど、恐くない映画。 …でも、エンディングはドキドキ?


前に紹介した「パラノーマル・アクティビティ2 TOKYO NIGHT」は、どうやら番外編だそうで、こっちが本家本元の2作目らしい。ただし、物語は1作目の前日譚だそうで、位置づけとしては、エピソードゼロといったところでしょうか。


監督は、トッド・ウィリアムズ。脚本は、マイケル・R・ペリー、クリストファー・ランドン、トム・パープスト。出演は、ケイティ・フェザーストーン、スプレイグ・グレイデン、ブライアン・ボーランド、ミカ・スロート。


さて、映画ですが、アメリカンに薄められた作品に仕上がりました。悪ふざけを駆使したコメディ映画…くらいの評価しか言えませんねえ。退屈ではないけど、安っぽい感じ。



俺的には、「TOKYO NIGHT」の方が面白かったと思うのですが、それはあくまでも日本人の感覚なのかもしれない。アメリカ人的には、本作の方がウケるのかもしれない。その辺はどうなんでしょう?


霊というものに対しての考え方とか、恐怖の感覚とか、盛り上げるための“間”とか、色々な要素があるんでしょうね。日本人が恐くても、アメリカ人は恐くない。あるいは、日本人が恐くなくても、アメリカ人は恐いとか…。



映画を見ていて意外だったのが、赤ちゃんが登場しているところ。これ、立派な虐待映画ですね~、いいのかな。そういう方面に厳しいアメリカで、よくこういう映画が撮れたなあって、ちょっと不思議な気分。


面白いと思って見ていると、細かいアラは気にならないもんですが、今回は色々考えちゃったなあ。防犯カメラをたくさん取り付けている割りには、防犯装置がなかったりして…。(だって、1回も作動しないよ)



う~む、この映画、あんまりオススメできないですね。これで恐がれる人は、よっぽど器用なんだと思う。


1作目では、幽霊はスケベオヤジだと思いましたが、今回のイメージは、単なるいたずらっ子。驚かして喜んでいる、薄っぺらいガキんちょって感じ。 …さあ、あなたの印象は?





【鑑賞メモ】

鑑賞日:3月1日(火) 劇場:T-JOY新潟万代 16:25の回 観客:約20人

女子高生とか多かったなあ。小さな悲鳴がかわいかった。

【上映時間とワンポイント】
1時間31分。エンドロール終了後に、“何か”があります。驚愕か?失笑か?


【オススメ類似作品】


「パラノーマル・アクティビティ」 「パラノーマル・アクティビティ2 TOKYO NIGHT」

とりあえず、この2本しかないでしょう。本作よりは面白いです。(記事も書いてます)




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2011-03-12

悪魔を見た

テーマ:洋画

追って追われて追いつめて、とどめを刺さずにキャッチ&リリース!


監督・脚本は、キム・ジウン。撮影は、イ・モゲ。音楽は、モグ。出演は、イ・ビョンホン、チェ・ミンシク、オ・サナ、チョン・グックァン、チョン・ホジン、キム・ユンソ、チェ・ムソン、キム・インソ。


さて、映画ですが、非常に濃い内容の作品に仕上がりました。ホラーと言うよりは、ギャグに近い。もう、ここまでくると、理性もへったくれもありません。行き着くとこまで行っちゃえ!


婚約者を無残に殺された男は、犯人に復讐を誓う。しかしそれは、単に捕まえることではなかった…。



主演は、イ・ビョンホン。キム・ジウン作品は、「甘い人生」以来でしょうか。同じようなキャラクター設定になっているようです。真面目で、寡黙で、腕っぷしの強い、クールな男。今回も、なかなか見せてくれます。しかしながら、今回は相手が悪かった…。


犯人を演じるのは、チェ・ミンシク。「シュリ」「オールドボーイ」などでおなじみのおっちゃん。このオヤジ、なかなかのツワモノ。とっつかまっても、ぶん殴られても、安易に反省などしません。どう考えても、ムショから出たらまたすぐに人を殺しそう。そう感じさせる演技はすごい。まさに、怪演と言えるでしょう。


映画は、この2人のバトルが中心になります。あっさり捕まえますが、そのまま警察に引き渡すようなことはしません。ボコボコにして、また泳がせます。そして、悪さをしようとするところを邪魔して、またボコボコに…。


こんな奴、刑務所に入れるだけでは気がすまん。徹底的にやっつけてやろうという主人公に、観客は拍手喝采。しかしながら、こやつはそう簡単には観念しない。どうやら、本物のワルのようである。


こうなると、もうどうにも止まらない。暴走が暴走を生み、ひたすら突っ走るしかない。途中からは、どっちが善でどっちが悪かわからなくなる。これはもう、怪獣映画だ!



この映画の主役は一体誰だろう?悪役は一体誰だろう?観客は、自分の倫理観が危うく思えてくる。ここがコワい。犯人の動機はいたって単純である。純粋なまでに、悪いことをする。まるで、悪いことをするために生まれてきたようである。まさに、ナチュラル・ボーン・キラー。


こんなの、理解できない、と言ってしまえば、“正常側”にいられるのかもしれない。じゃあ、どうすればいいのか。どうしたら、主人公の気は晴れるのか。復讐なんて考えなければいいのか。



これは、「殺人の追憶」よりも、「チェイサー」よりも、毒が多い。毒を喰らわば皿まで、なんて言葉がありますが、どうせなら観客も、彼らの暴走にとことん付き合うしかないでしょう。途中退席なんかしないで、ぜひ最後まで見届けましょう。


被害者の女性たちが可憐であればあるほど、純粋であればあるほど、犯人への怒りが増していく。主人公を応援したくなる。たしかに、逮捕しただけではもの足りない。じゃあ、どうすればいいのか。映画を見ながら、観客も考えざるを得ない。これは強敵だぞ~。



やっぱり、男はタフでなければ生きていけない。殴られても蹴られても、どんなに否定されても、最後まであきらめない心が大切なのである…ってそれは誰から学ぶべき?主人公?犯人?ああ、やっぱりよくわからない。



映画を見て、興奮する。ゾクゾクする。いいぞ、そこだ、もっとやれ。 …それこそが、悪魔の心?





【鑑賞メモ】

鑑賞日:3月1日(火) 劇場:T-JOY新潟万代 11:55の回 観客:約30人

やっぱり、オバチャン多いなあ。イ・ビョンホン目当てかな?


【上映時間とワンポイント】

2時間24分。R18なので、高校生以下は見られませんのでご注意。


【オススメ類似作品】


「甘い人生」 (2005年韓国)

監督・脚本:キム・ジウン、出演:イ・ビョンホン。本作を見てすぐに連想するのは、やっぱりコレでしょう。イ・ビョンホンがとにかくカッコいい。本宮ひろ志ばりのハードなアクションはコーフンしました。本作を見てスッキリしなかった人は、コレを見ましょう。


「八仙飯店之人肉饅頭」 (1993年香港)

監督:ハーマン・ヤウ、出演:アンソニー・ウォン。悪役が魅力的な映画といえば、やっぱりコレでしょう。彼は、切り刻んだ被害者を、まんじゅうにしてお客に食わせます。しっかりリサイクルするエコな犯人ですな。


「エボラ・シンドローム」 (1997年香港)

監督:ハーマン・ヤウ、出演:アンソニー・ウォン。上記作品と全く同じ組み合わせの1本。悪ノリは、ますますパワーアップ。エボラ出血熱の女性をレイプして感染した男が、怒涛の逃亡劇。追いかける警官隊に、『…エボラのツバをくらえ、ペッペッ!』と言う場面は爆笑でした。


「ドーベルマン」 (1997年フランス)

監督:ヤン・クーネン、原作:ジョエル・ウーサン、出演:ヴァンサン・カッセル。もうちょっとスタイリッシュでオシャレなものがいい人には、コレなんかどうでしょう。何たって、テーマ曲がエロカッコよくてオススメです。チェッキー・カリョの、ふてぶてしいワルぶりが見事でした。こういうやられ方もスゴいですよ。




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2011-03-11

あしたのジョー

テーマ:アニメ・特撮

フルコン・アナログ・肉体美。 …嗚呼、美しき狼たちよ!


デンデ~ン、デレレンレンレンレ~ン、デンデ~ン…のテーマ曲にのって、あのジョーが帰ってきた。正確に言うと、俺はジョー世代ではないのですが、中学生くらいの時に、兄の影響でハマリました。今はうつ病ドランカーで涙ウルウル状態ですが、俺もこの映画で泪橋を逆に渡りたいと思います。


原作は、高森朝雄(梶原一騎)・ちばてつやの同名マンガ。監督は、曽利文彦。脚本は、篠崎絵里子。撮影は、橋本桂二。音楽は、高橋哲也・北里玲二。主題歌を歌うのは、宇多田ヒカル。


出演は、山下智久、伊勢谷友介、香川照之、勝矢、香里奈、モロ諸岡、ファブリーズ西田尚美、津川雅彦、杉本哲太、加藤浩次、倍賞美津子。



さて、映画ですが、キレイで美しい作品に仕上がりました。これは、脚本を書いたのが女性ということが影響しているのでしょう。血なまぐさい部分は極力封印してあります。これはこれで面白いと思いました。男性の筋肉が大好きなオネエサマ方にオススメかな、と。


泪橋を渡ったところにある貧民街(通称ドヤ街)で暴れていたところを補導された少年、矢吹丈は、少年院でプロボクサーの力石徹に出会う。丹下段平からコーチを受け、メキメキ上上達していったジョーは、力石との決着をつけるために、プロのリングに上がる決心をするが…。



主演は、NEWSの山下智久。ジャニーズの兄ちゃんがどこまで野性のジョーを演じられるのか、興味津々でしたが、彼はなかなかがんばりました。昭和のジョーというよりは、平成のジョーという感じでしょうか。さすがにあのヘアスタイルは無理と見えて、フツーにロン毛でした。(実際にやったら、バッティングで顔にささるって)


力石徹を演じるのは、伊勢谷友介。おお、これはうまいキャスティングと言えるでしょう。長身で、彫りの深い顔は、まさに力石そのもの。雰囲気タップリに、男の色気を感じさせますね。彼はもともとアーティスト系ですが、運動神経は抜群のようです。


俺は思うんですが、本作の真の主役は、男の肉体美ではないかと思うんです。2人は、数ヶ月にわたる肉体改造で、体脂肪率4%前後のボクサー体型を獲得。実際に減量と戦ったおかげで、本番直前には気性が荒くなって、隠れた闘争本能が出たそうな(笑)。限界を超えた2人のファイトをしっかりとご覧下さい。



丹下段平を演じるのは、香川照之。うわっはっは、爆笑!ここまでやってくれると、実に気持ちがいい。彼はすごい役者ですね。マンガを実写化するには、これくらいの根性がなくちゃねえ、うん。彼はもともと熱烈なボクシングファンだそうなので、役作りにも気合いが入っていますね。毎日2時間半かけて、あのメイクをしたそうです。


白木葉子を演じるのは、香利奈。う~ん…彼女だけちょっとなあ。どうにも、気品というものが感じられない。「しゃべれどもしゃべれども」の時と、おんなじ演技でしたね。ガサツな役柄ならいいんだけど、上品な演技は彼女にはちょっと無理みたい。何だか、「オーシャンズ11」のジュリア・ロバーツと同じ違和感を感じました。1970年版で葉子を演じた、高樹蓉子の方が上かな?



脚本を書いた篠崎絵里子は、熱狂的な原作ファンだそうな。彼女は、OKが出るまで、2年間闘い続けたそうです。その不屈の闘志を買いましょう。『…ここで私が逃げ出して、誰か他の人が書くというのだけは耐えられなかったんです。』(パンフのコメントより)


曽利監督といえば、「ピンポン」が有名なので、CGがいっぱい使われているイメージがありますが、本作は、ほとんど全部本物だそうです。すげえ、殴られて顔が歪むシーンとか、力石の計量シーンの肉体とか、みんな本物なんだ!うっは~、こいつは驚いた。『…本物でやることが一番高級なこと。今回はほぼ本物で撮れたんで、こんなに嬉しいことはない、と思っています。』(パンフのコメントより)


ボクシング指導をしたのは、梅津正彦。ハードなトレーニングに加え、実際にパンチを当てて演じさせたフルコンタクト・ファイトは素晴らしかった。パンチがヒットするたびに乱れ飛ぶ、若者の汗が美しい!パンチを喰らいながらも、根性でカメラを回した撮影監督の橋本桂二にも脱帽。フルコンで、アナログな肉体美をご堪能下さい。




男には男の、女には女の戦いがある。性差はあるが、戦いの本質は同じであると思う。それぞれの個性に応じて、色々な戦場があるのだ。戦う人は、エラいのだ。



だから、病人にも病人なりの戦いがあるのです。どうぞ理解して下さい。俺は、本作で、元気をもらいました。復活したら、また戦うぜ! …やや内角を狙い、えぐり込むようにして、鬱べし!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月23日(水) 劇場:ワーナーマイカル県央 20:30の回 観客:約20人

兄が送り迎えをしてくれました。感謝。


【上映時間とワンポイント】

2時間11分。エンディングテーマは、できれば男性のシンガーにして欲しかったなあ。これはヤボというものでしょうか。宇多田ヒカルの声って、どうも好みじゃないんですよね。伊勢谷君との組み合わせは、「キャシャーン」以来かな。


【オススメ類似作品】

「あしたのジョー 劇場版」 (1980年富士映画)

監督・脚本:福田陽一郎、声の出演:あおい輝彦。本作でジョーの世界に興味を持った人は、とりあえずコレで復習しましょう。本作の続きが見たい人は、「あしたのジョー2」TV版第1話を見ましょう。そこでハマッたら、もう止まらない!


「ピンポン」 (2002年アスミックエース)

監督:曽利文彦、原作:松本大洋、出演:窪塚洋介。曽利監督といえば、やっぱりコレですね。この映画の、窪塚洋介と中村獅童の関係って、本作にも通じると思います。ああ、美しき男の世界。


「ラブファイト」 (2008年)

監督:成島出、原作:まきの・えり、出演:北乃きい。女だって、ボクシングしたい!戦いたい!と思った貴女には、この映画がオススメ。ラブコメみたいなもんですが、本格的なボクシングだったんで驚きました。北乃きいちゃんのパンチラハイキックと、長~いキッスがええでんなあ。





(体調がよくなってきたので、また執筆を再開します。期待しないで、お待ち下さい。)



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2011-03-02

U-NOTE 12 「フラッシュバック」

テーマ:ケガ・病気

フラッシュバックが起こる。


色々な情景が、感情とともに蘇ってくる。



罵声を浴びせられたこと。


失敗したこと。


部下をかばって無理をしたこと。


家族の笑顔と、仕事のプレッシャー。



嘲笑が聞こえる。


お前はもう終わりだという声が聞こえる。




初めて病院に行った朝は、雪が降っていた。


死刑台に向かう気分だった。


診断(判決)が下り、会社に向かう時は、地獄へ戻る気分だった…。




休職が決まってからは、心が落ちていく感じだった。


家族に、友達に励まされて、今は何とか生かされている。


みんなに心配(迷惑)をかけていると思うと、辛くなる。


この状況を、呪いたくなる…!




どうしてこんなことになってしまったんだろう。


俺は、みんなを励ます側だったのに。


もっと、役に立てる人間だったのに。



今は、ただの無能な男でしかない…。




今回の落ち込みは、何だか深い。


簡単には、上がって行けそうもない。


深くて、重い。


こんな状態では、まともな文章が書けない。




だからまた、しばらく休憩。


心が浮かび上がってきたら、また映画の話をしたいと思います。


それまで、少し時間をください。





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