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2010-11-23

最近読んだ本

テーマ:

読むスピードは落ちたけど、読書はちまちまやってます。今回は、3冊の本をご紹介。




「死亡フラグが立ちました!」 (七尾与史著 宝島文庫)


何とも、意味深なタイトル。第8回「このミステリーがすごい!」大賞で落選作しながらも、“隠し玉”として刊行された、いわくつきの作品。そんなこととは全く知らず、単に面白そうだと思って手に取りました。


最初は、小説や映画でこういうことを言うと、死亡フラグなんだよ、という事例を集めた雑学本かと思っていたんですが、読んでみると、ちゃんとした小説でした。あらら、失敗したかなと思いきや、これが結構面白い。


俺は小説には詳しくないのですが、変な先入観がない分だけ純粋に楽しめたような気がします。「このミス」大賞の選考員は、目の肥えたプロフェッショナルなので、ありきたりの内容ではそうそういい点数は付けないのでしょう。ただし、買って読む人の大半は、一般人だと思うので、マニアじゃない視点で読むのがいいのかも。



内容は、都市伝説として有名な“死神”を題材にした、トンデモミステリー。事故死だと思った事件が、実は周到に用意された殺人だったとしたら…。しかも、凶器はバナナの皮!


まるで、江戸川乱歩の短編小説を読んだ時の興奮を思い出すようでした。これは、はっきり言って面白いです。もともとは長い小説だったのを、色々カットして短くしたそうな…あっはっは。何だか、この作者に親しみを感じてしまう(笑)。


この小説、ヒットするとうれしいな。こういう作品がどんどん世に出ると、出版業界も面白くなると思う。





「考えない練習」 (小池龍之介著 小学館)


俺が読む本としては、何とも以外なタイトル。考えることが何よりも好きな俺にとって、挑戦状とも言える内容なので、思わず手に取りました。著者は、東京都世田谷区にある月読寺の住職(32歳)。


考えるということ自体は、悪いことではない。余計なことを考え過ぎて、目の前が見えなくなってしまう状況にならないように、わかりやすくアドバイスした本のようです。


前半は、何をコノヤロウという感じでムカムカして読みましたが、中盤から作者の言わんとしていることが何となくわかってきて、後半はなるほどなあという印象でした。さすがは百戦錬磨のお坊さんだと思う。俺なんかよりは、見てきた人間のサンプル数が違う。



ただ、うなづける部分もあるけど、そこはちょっとなあという部分もある。人の話を100%鵜呑みにはできない性格なので、そこまで無条件に素直にはなれません。


心がただれた状態になってしまって一刻を争う深刻な状況の人にとっては、福音となる書かもしれないけど、相手にとっては、さらなるカウンターパンチになる可能性も秘めている、両刃の剣と言えます。


作者の文章は、丁寧なようでいて、けっこう棘がある。優しいタッチでキツいことを言われると、余計にグサッとくることってありますよね。そういうことを平気で言い放ち、まるで人間をふるいにかけているような感じがする…。ううむ、ある意味恐い本であるかも。


参考にはなるけど、何か得体の知れない“うさんくさいもの”を感じる本でした。いいことをたくさん言っているだけに、ちょっと気になる。くれぐれも、鵜呑みだけは要注意。



考えることは、基本的に楽しいもんだと思う。考えること自体を否定するのは、何だか寂しい。余計なことを考えるからこそ、人間は愛しい存在だと思うんです。何もかもクールにやり過ごして生きるのは、俺のスタイルじゃない。そういうことは、坊さん同士で盛り上がって下さい。


俺は、死ぬまで考え続けると思う。答えなんて、出なくたっていいのだ。心が疲れた時は、休めればいい。それは賛成。しかし、考えること自体が悪いことだとは思わない。ムダな考えをして悩むことによって、いい考えが生まれることも多いのだから。



残念だったのは、映画と酒を有害だと決め付けているところ。そりゃ、あんたからすればそうかもしれんけどなあ。それを楽しみに生きている人だっているんだから…。


俺は、心の狭い人間なので、これからも可能な限り、映画と酒を楽しみたいと思います。そして、余計な力をどんどん使って、好きなだけ悩みたい!





「宇宙を味方にする方程式」 (小林正観著 致知出版社)


前書に対して、今度は対照的な本をご紹介します。著者は、心理学博士で教育学博士のおっちゃん(62歳)。


こちらの本は、何だか能天気な感じがして、結構笑えました。そんなんでいいのか?と思いながらも、そんなもんかもなあと思えるから不思議。何よりも、語っている本人がとても楽しそうである。


『…面白がった人の勝ち。神様は、面白がった人に味方するのです。』 これは、同感です。映画も小説も飲み会も、楽しんだもん勝ちです。100人が同じ映画を見て、99人がつまらないと嘆いていても、面白かったと言う人が1人いたら、その人は誰よりも楽しんだことになるでしょ。俺は、そういう生き方をしたいと思う男です。



花粉症の話は爆笑でした。アトピーの話は、興味津々でした。このおっちゃんの語り口は、いい意味でうさんくさくて面白い。前に紹介した、「通風をビールで治す」のおっちゃんにちょっと似てるかな?


何もかも否定して生きる人よりも、色んなことを肯定して楽しんでしまえる人の方が魅力的だと思う。やっぱり人間は、気持ちいい方向に生きたいもんですからね。


宇宙までとは言わないけど、味方は多い方が心強い。変てこな本だけど、何だかちょっとがんばろうかなっていう気持ちになりました。





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2010-11-21

マチェーテ

テーマ:洋画

トレホ、トレホ、トレホッホー! …男は黙って首チョンパ!


“machete”とは、スペイン語で“鉈(なた)”という意味。中南米などで、伐採道具や武器として用いられるデッカい刀のことです。(アドバンストフェイバリット英和辞典より)


クエンティン・タランティーノ監督とロバート・ロドリゲス監督がタッグを組んで世に送り出した2本立て映画「デス・プルーフ」と「グラインド・ハウス」の間に、ニセモノ予告編として登場したあの伝説の「マチェーテ」が、まさかの劇場映画化!噂には聞いていましたが、まさかホントに公開するとは驚いた!これは、何としても見に行かねば!


監督は、ロバート・ロドリゲス&イーサン・マニキス。脚本は、ロバート・ロドリゲス&アルヴァロ・ロドリゲス。撮影は、ジミー・リンゼイ。音楽は、ジョン・デブニー。


出演は、ダニー・トレホ、ジェシカ・アルバ、ミシェル・ロドリゲス、リンジー・ローハン、ロバート・デ・ニーロ、スティーヴン・セガール、ドン・ジョンソン、チーチ・マリン、トム・サヴィーニ、ジェフ・フェイヒー。



さて、映画ですが、期待を上回るスバラシイ作品に仕上がりました。新井浩文より何億倍もスゴい顔の、世界一凶悪ヅラのコワモテヒーロー誕生。男たちよ、この映画を見て強くなれ!


メキシコの連邦捜査官であるマチェーテは、愛刀マチェーテを手に取り、人質救出に向かった。しかし、麻薬王トーレスの罠にはまり、家族を惨殺されて、自身も重傷を負ってしまう。それから3年経ったある日、日雇い労働者として働いていたマチェーテに、殺しの依頼が来る…。



主演は、ダニー・トレホ。何と、本作で映画初主演!そりゃそうだ。顔と体のインパクトは絶大だけど、セリフ読みはちょっとイカンので…。でもそこんとこはさすがロドリゲス監督。セリフ少な目、アクション大目でセーフ。寡黙でストロングなイメージ作りに成功しています。トレホの長所をよく掴んでいるなあ。(そういえばいとこなんだっけ)


ダニー・トレホは、もともとボクサーになりたかったけど、麻薬やって捕まってばかりいたから、プロボクサーになることはできませんでした。仕方ないので、刑務所でボクシングのチャンピオンになったそうです(笑)。そこから更正を果たし、現在ではカウンセラーをやるようにまでなったらしい。う~む、こんなスゴい顔でカウンセリングされたら、何もかも吐いてしまいそうだ。(ウィキペディアの記事を参考)


映画出演数は多く、ほとんど悪役専門なんじゃないかなと思います。俺が名前を覚えたのは、「デスペラード」と「ヒート」からです。先日お話した福本清三のおっちゃんといい、影で多くの映画を支えてきた人にスポットが当たるのはいいことですね。もっとも、トレホのおっちゃんは何もしなくても目立ちますが(笑)。



だから、本作でいきなり警官姿で登場した時は、死ぬほど笑いました。う~む、どうやら彼は本気のようです。思わず座りなおしてしまいました。ようし、それならしっかり見てやろうじゃねえか。


このおっさん、どういうわけかモテモテであります。登場する女は全員、彼に恋をするようになっているみたい。そして、当然ながら強い・強い・強い…あれ、弱い?いやいや、強いって。でも、やたらと倒されるなあ。何だこのドキドキ感は?おい、ちゃんと戦えよマチェーテ。マジメに応援したくなっちゃうじゃねえか!



悪役がすごい。マチェーテに依頼された殺しのターゲットである上院議員を演じるのは、ロバート・デ・ニーロ。おお、「タクシー・ドライバー」の逆ですな。後半のアクションの最中にも、爆笑ネタが満載。トラビス・ビックルは今も健在です。トレホとは、「ヒート」以来の共演になるのかな?


国境警備隊のボスを演じるのは、ドン・ジョンソン。おお、「マイアミ・バイス」のおっちゃんですな。そして、麻薬王トーレスを演じるのは、スティーヴン・セガール!なあんだ、「エクスペンダブルズ」に出てないと思ったら、ここにいたんですね。なるほど、デカい銃よりも、日本刀を握らせた方がカッコいいもんね。マチェーテのナタと、セガールの長ドスの一騎打ちは、映画史上に残る超スゴ対決だ!どうかお見逃しなく。(ちなみにセガールとトレホは、「死の標的」で共演)



ヒロインは、ええと、何人いるのかわかりませんが、一応ジェシカ・アルバのようです。役柄は、ICE捜査官。セクシー女優でありながら、なかなか脱がない女でしたが、本作でついに、シャワーシーンが登場!微妙に見えそうで見えないようでもありますが、彼女の場合、これで充分でしょう。姉ちゃんエラい!キミを本作のヒロインとして認めよう!


もう1人のヒロイン候補は、タコス売りのお姉さんを演じたミシェル・ロドリゲス。登場した瞬間に、ただのタコス売りじゃねえだろという感じがします。カタギかどうかは、劇場で確認して下さい。


リンジー・ローハンの脱ぎっぷりもいい。ミニスカナースが銃をぶっ放すのもクール。とにかくこの映画、とことん楽しいです。いやなことを全部忘れて、この世界で一緒に遊んじゃいましょう!


忘れちゃいけないのが、チーチ・マリンのおっちゃん。彼は、ロドリゲス作品の常連。今回も、なかなかオイシイ役柄を演じていました。どこで出るかは、見てのお楽しみ。彼がきっと、ドン・ジョンソンを引っ張って来たんでしょうね。(TVドラマ「刑事ナッシュ・ブリッジス」で共演)




顔というのは、人間の身体部分の中でも、かなり重要な部類に入るもの。パッと見の90%は、顔で判断されることが多い。顔形だけでなく、表情とか顔つきなども含めての話ですが。優しそうな顔をしていて恐い性格の人もいれば、コワモテだけど優しい人もいる。顔はすごいのに声がやたらに高かったり、声だけがやたらと渋かったり…。トータルすると、ちょうどいいバランスになっているもんです。


トレホの顔はスゴい。もしかしたら、顔だけで人を倒せるんじゃないかって思ってしまいます。暗闇で彼に出遭ったら、間違いなく殺されると思う。死体の横に立っていたら、間違いなく犯人にされてしまいそう。俳優は、彼にとって天職なんじゃないでしょうか。個性を最大限に生かせる、やりがいのある仕事。素晴らしい男ですねえ。笑った顔が、余計に恐い(笑)。


高校生の時に見たアニメーション映画「クラシャージョウ」で、ジョウの相棒タロスが、悪役のロキの顔を見て、『…すげえ、俺よりひでえ顔だ。』と言った場面を思い出しました。にわかコワモテの男たちは、彼と対峙した瞬間、顔の迫力で負けるでしょうな。


どおくまんのマンガ「熱笑!花沢高校」の力勝男なんかも、顔の迫力だけでケンカが弱いのカバーしようとしていたもんね。ビートたけしは事故を起こした後の顔の方が貫禄がついたし、ミッキー・ロークも、最近のゆがんだ顔が妙にカッコいい感じがするし…。男の顔って、面白いもんですね。



人相が悪いのは、もしかしたら大きな魅力かもしれない。俺なんか童顔でタレ目なもんだから、すぐにナメられてしまうもんね。やっぱり男は、強くならなきゃいかん。普段は物静かで、いざとなればものすっげえ強い男って、憧れちゃうなあ。うらやましい限りです。



この映画は、完全に野郎がターゲットになっていますので、女性のみなさんは、あんまり真面目に受け取らないようにお願いします。こんな映画に本気で怒っちゃいけません。男ってしょうがないわねえ、くらいのスタンスで、斜めに見てあげて下さい。


間違っても、デートで行かない方がいいと思いますが、組み合わせによっては盛り上がる可能性もあるので、そこは両刃の剣。見に行った後で、焼肉でも食いに行くといいかも。



マチェーテの、セリフの言い回しがいい。『…マチェーテ、○○する。』 『…マチェーテ、○○しない。』 といった具合。いいなあ、これ、使えるなあ。


桑畑、映画を見る。桑畑、ブログ書く。桑畑、本を読む。桑畑、酒を飲む。桑畑、酔っ払う。桑畑、カラオケ歌う。桑畑、下ネタ言う。桑畑、DVD見ながら寝る。桑畑、仕事する。 …あれれ、あんまりカッコよくないなあ。


やっぱり、マチェーテだからいいんですね。マチェーテ、仕事する。マチェーテ、タコスを食う。マチェーテ、悪い奴らやっつける。マチェーテ、女を抱く。 …うわあ、やっぱりカッコいい!やっぱり、マチェーテだからいいんですね。



マチェーテのアクションは最高。マチェーテがマチェーテをブンブン振り回せば、悪党どもは首チョンパ。ネタバレするといけないので言いませんが、殺し方のバリエーションもスゴい。見たことないような、新しいパターンもあります。エロあり、グロありの盛りだくさん。R18指定ですが、さほど問題ないように俺は思います。だって、ギャグなんだもん。笑い飛ばせばいいじゃん!


映画なんだから、とことんやる。人にできないことをやってみせるのがヒーロー。コワモテヒーロー、マチェーテ見参。愛刀マチェーテ振りかざし、悪者どもを首チョンパ。下半身のマチェーテは、夜を貫く。


銃弾浴びようが、ナイフで刺されようが、女の愛ですぐに回復。あっちも回復。戦うガラナチョコレート、絶倫マチェーテどこへ行く。マチェーテお願い、行かないで。あナタちょっと待チェーテ。あたしを置いていかないで!



大丈夫。マチェーテはいつもここにいる。そして、どこにでもいる。悪に屈せずに戦う者の心の中に、マチェーテが棲んでいる。負けるな、戦え。 …明日のマチェーテは君だ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月15日(月) 劇場:T-JOY新潟万代 20:45の回 観客:3人

全員男の1人客でした(笑)。


【上映時間とワンポイント】

1時間45分。パンフレットは売ってませんでした。どうやら、製作されなかったらしい。残念。


【オススメ類似作品】


「デス・プルーフ in グラインドハウス」 (2007年アメリカ)

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ、出演:カート・ラッセル。劇中の予告編にご注目。冗談で始めたことが、現実になることはよくある。本作も、世に出るのがきっと運命だったんですね。他にも何本かあったような気がするけどなあ。忘れちゃった。


「プラネット・テラー in グラインドハウス」 (2007年アメリカ)

監督・脚本:ロバート・ロドリゲス、出演:ローズ・マーゴーリン。もともと2本立て映画だったのを、日本で公開する時に2つにしちゃったので、もしかしたらこっちに入っているかも?一応、両方紹介しておきます。


「デスペラード」 (1995年アメリカ)

監督・脚本:ロバート・ロドリゲス、出演:アントニオ・バンデラス。「エル・マリアッチ」から始まった、マリアッチシリーズ第2作。ダニー・トレホが投げるナイフが、バンデラスの体にプスプス突き刺さる場面が、イテテッて感じで笑えました。このキャラを膨らませたのがマチェーテなんですね。リュック・ベッソン監督の「ニキータ」に登場した掃除屋ヴィクトールが、「レオン」になったのと似ているかな。




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2010-11-21

ソウ ザ・ファイナル3D

テーマ:洋画

臓器が、血しぶきが画面から飛び出してくる! …最後の出血大サービス!


シリーズ7作目にして、3D映画になりました。撮影したフィルムを3D化するのではなく、最初から3Dカメラで撮影した本格的なものらしい。タイトルからしてシリーズ最終作ということですが、映画を見る限りでは、終わっていないような気がします…ううむ、これがヒットしたらまだわからないかも?イッツ・ア・プレイング・ゲーム!


監督は、ケヴィン・グルタート。脚本は、パトリック・メルトン&マーカス・ダンスタン。撮影は、ブライアン・ゲッジ。音楽は、チャーリー・クロウザー。製作総指揮にはもちろん、ジェームズ・ワン&リー・ワネルの名が連ねてあります。


出演は、トビン・ベル、コスタス・マンディラ-、ベッツィ・ラッセル、ケアリー・エルウェズ、ショーン・パトリック・フラナリー、ジナ・ホールデン、レベッカ・マーシャル、チャド・ドネラ、ローレンス・アンソニー、ディーン・アームストロング、ナオミ・スニックルス、ジェームズ・ヴァン・バッテン。



さて、映画ですが、シリーズファイナルにふさわしい、サービス精神盛りだくさんの作品に仕上がりました。今までDVDだけで楽しんでいた人は、今回だけでもぜひ劇場へ行きましょう。死んだと思われていたあの人も、まさかの再登場。コーフンしまっせ。


目覚めるとそこは、デパートのショウウィンドウの中。男2人と女が1人、装置につながれている。『…60秒以内に、君たちのうち1人が死ぬ。ゲーム開始だ!』 回転ノコギリがウィ~ン!



主演は、まだまだトビン・ベル。シリーズ半ばですでに死んでいるのに、毎回しつこく主役を張るとは、何ともイヤなジジイであります(笑)。でも、「ソウ」の主人公はやっぱりジグソーしかいないもんね。死んでもなお、主犯格でいられるカリスマ性は、他に類を見ないのでは?犬神佐兵衛も真っ青!


今回も、回想シーンで登場。新たなセリフもあるので、ジグソーファンは必見。帽子を被ったジグソーは、なかなかチャーミングでした。奴の魂は、ファンの心の中に永遠に生き続けるのだ。


ジグソーの妻を演じるのは、もちろんベッツィ・ラッセル。彼女の妖しい顔つきは、したたかさを通り越して、狂気のオーラを放っています。亡き夫の遺産をめぐってのバトルを繰り広げる相手は、コスタス・マンディラーが演じる、下克上オヤジ・ホフマン刑事。この2人のマッチョな争いは、ソウシリーズの名物になりました。力押しのホフマンに、ズル賢いジル姐さん。果たして、今回で決着が着くのか?


今回、懐かしいキャラが再登場します。シリーズ1作目で死んだと思われていたあの人物…とだけ言っておきましょう。まあ、出演者の名前を見ればわかるんですが、それがすぐにわかるレベルの人なら、すでに予告やホームページで情報を掴んでいるものと推測しますので、一般的には一応秘密にしておきます。劇場に行ってのお楽しみということで。



ホラー映画のシリーズにおいて、これほど長く成功した作品は、他にないそうです。「エクソシスト」「オーメン」「ハロウィン」「13日の金曜日」「エルム街の悪夢」「死霊のはらわた」「スクリーム」「CUBE」など、シリーズ化した映画は数あれど、進むにつれて、どうしても作品の質が落ちていってしまうもの。


しかし、「ソウ」だけは違う。回を重ねれば重ねるほど面白くなっていく。これって、すごいことだと思うんですね。改めて、ジェームズ・ワンとリー・ワネルの才能のすごさを感じてしまいます。今年の7月には、ギネスブックの「最も成功したホラー映画」に認定されました。おめでとうございます。



パンフの記事によると、前回の6作目ですでに3D化の企画があったとそうな。しかし、時間的に間に合わず、7作目にして満を持して3D映画になったらしい。で、本来の進行状況では、8作目と9作目の構想もあったんですが、今回でシリーズ終了ということで、先に予定していた部分も本作の中に盛り込んだらしいです。


そんなわけで、今回の映画はかなり気合いが入っています。濃ゆい内容が、3Dで見られる超ハイテンションな渾身作。熱狂的ファンの中には、あれはどうした、あいつは出てこないのかといった疑問が湧いてくるところもあるでしょう。それが見たかったら、映画館にドンドン足を運んで、次回作はまだかと言い続けましょう。



世の中の、善と悪とを比べれば、恥ずかしながら、悪が勝つ。神も仏もねえものか。一掛け二掛け三掛けて、仕掛けて殺して日が暮れて、廃墟の片隅腰掛けて、遥か向こうを眺めれば、この世はつらいことばかり。片手に人形、カセット持って、おっさんおっさんどこ行くの?


私は必殺仕事人。ジョン・ジグソーと申します。今日は、どこのどいつをやろうって?それは、私自身が決める。死ぬも生きるも、本人次第。生き残ることができたら、人生が変わるのじゃよ。


命を賭けて、チャンスは1回。制限時間は60秒。地獄に落ちるか、生まれ変わるか。いざ、イッツ・ア・プレイング・ゲーム!



“GAME OVER” には、“CONTINUE” が付き物。ジグソーファンも、ジグソー御本人も、今回で満足したかな?それとも…?



目覚めると、そこは薄暗い廃屋のバスルーム。ゆっくり立ち上がると、天井から何かぶら下がっているのが見える…それは、マイクロカセットレコーダーであった。“PLAY ME” と書いた紙が張ってある…。


突然TVモニターにスイッチが入り、人形が写し出される。豚マスク男が襲い掛かる。何かのスイッチが入る音がする…。


…では、悪夢の中でお会いしましょう。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月11日(木) 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 21:15の回 観客:約10人

スナックBLのT君と、飲み仲間のO君と、Tちゃんと4人で行きました。だんだん大所帯になるなあ。これで俺は、2作目から6年連続で劇場に行ったことになります。シリーズが再開したら、またみんなで行こうかな?


【上映時間とワンポイント】

1時間30分。冒頭に、“忙しい人のためのソウ集編”が流れます。予習が間に合わなかった人は、よく見ましょう。


【オススメ類似作品】


「ソウ」シリーズ1~6までの全作品。これ以外になし!






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2010-11-20

桜田門外ノ変

テーマ:邦画

この映画に込められた、日本人の想いを大切にしたい。 …それこそが、国を変える原動力!


1860年に起きた歴史的大事件を映画化。水戸藩開藩400年記念作品として、水戸市千波湖畔にオープンセットを建設。大規模なご当地映画が誕生しました。史実としては有名だけど、あまり語られることがなかったその全貌が、当時の志士たちの想いが、150年の歳月を超えてスクリーンに甦る!


原作は、吉村昭の同名小説。監督・脚本は、佐藤純彌。撮影は、川上浩市。音楽は、長岡成貢。主題歌を歌うのは、alan。


出演は、大沢たかお、北大路欣也、伊武雅刀、西村雅彦、柄本明、生瀬勝久、渡辺裕之、榎木孝明、須賀健太、田中要次、長谷川京子、加藤清史郎、本田博太郎、温水洋一、福本清三。


さて、映画ですが、人物の描写と心情に力を入れた作品に仕上がりました。血なまぐさいダイナミックな描写と、静かに流れる時間の描写が対照的で味わい深い。サムライが、サムライらしく生きられなくなった世の中において、志を貫いた若者たちとともに、観客も激動の時代を駆け抜けましょう。


安政7年(1860年)、季節外れの雪が降りしきる3月3日。江戸幕府大老・井伊直弼は、18名から襲撃を受け、江戸城桜田門の傍らで暗殺されてしまう。実行部隊の指揮を執ったのは、水戸藩士・関鉄之助。井伊暗殺後の次の行動を開始するはずであったが…。



主演は、大沢たかお。誠実で実直な人柄にピッタリな風貌。彼が幕末の世界にいると、TVドラマ「JIN」を思い出しますな。あれは、いい出来でした。俺が珍しく、毎週見ていたくらいだから。ギラギラした若者ではなく、思慮深い男として、繊細な神経の持ち主として、魅力的な人物です。


大沢君には、独特の甘い雰囲気がある。何と言うか、人を包み込むような優しいまなざし。「陽気なギャングが地球を回す」の陽気なギャング、「ラブファイト」のボクサー、「築地魚河岸三代目」の魚兄ちゃん、先述した「JIN」、そして「媚山」でも演じたお医者さんなど、あたたかくて熱い心を持った男が似合います。


ワルを演じた「イントゥ・ザ・サン」でも、どこか憎めないところがあった。やっぱり、男から見てもカッコいいもんね。3人兄弟の末っ子で、全員が180センチ以上だとか。こりゃあ、モテますなあ。で、彼の最大のチャームポイントは、やっぱりあのタレ目でしょう。グレゴリー・ペック、アル・パチーノ、ダスティン・ホフマン、シルベスター・スタローン、ラッセル・クロウ…いい男はタレ目が多いのだ。うっふっふ、実は俺も…あ、それはいいって?聞き飽きた?すいませんねえ。


大沢君は、いい俳優です。時代劇、いいじゃん。これからも、いい男をたくさん演じて下さいね。だから、「ミッドナイト・イーグル」のことは忘れましょう。(まだ言うか)


出演者が多いので、個別の説明は極力割愛しましょう。俺的によかったのは、温水洋一でした。いいですねえ、こういう役柄。笑っちゃいけない場面なんだけど、笑いをこらえるのに必死でした。彼はうまい役者ですねえ。プロの演技をとくとご覧下さい。


それから、大沢君たちが船の上で熱燗を飲んでいる場面があるんですが、その時の船頭さんを演じたおっさんはもしかして…と思ったら、“5万回斬られた男”福本清三でした。すげえ、今回はセリフもバッチリあります。時代劇ファンは感涙モノですね。「仁義なき戦い」シリーズで撃ち殺してくれた北大路欣也も本作に出ていますので、撮影時に懐かしい話でもできたかな。


福本のおっさんも、今年67歳だそうです。「ラスト・サムライ」やら、「仮面ライダーW」やら、「宇宙からのメッセージ」の宇宙人やら、そこらじゅうに出ているので誰もが必ず見ている男。不死身の男・フクモトは今も健在です。こういうオヤジたちに支えられて、世界は動いているんですなあ。舟に乗った福本フィギュアを製作したら、絶対売れると思う。(俺も欲しい)



話がそれましたが、日本の窮地を救うのは、世の中を変えるのは、名もない人たちなのです。色んな人ががんばってくれて、命を犠牲にして成し遂げてくれたことのおかげで、日本は外国から侵略されずに済んだのだと思いたい。


いい仕事は、1人ではできない。多くの名もない人たちの協力によって、いいものが生まれるのだ。この映画を製作するためにがんばった一人一人の努力が、画面の空気に反映されているんだと思います。皆様、大変おつかれ様でした。



本作の大きな特徴は、桜田門外での襲撃シーンを、冒頭に持ってきたところ。普通の映画なら、クライマックスは終盤に持ってくるはずなんですが、いきなり始まってしまって血がドバーですから、観客も奇襲を受けた気分になります。これぞまさに、井伊気分!


俺は、ショートケーキを食べる時、イチゴから食います。イチゴの強烈なうまさを余韻に、残りのケーキを味わいます。本作は、まさにそういう映画と言えるのではないでしょうか。オイシイところを最初に味わうと、損した気分になる人と、得した気分になる人で、この映画の感想が変わるんじゃないかと思うんですね。


冒頭で一番強烈な部分を出してしまうことで、後半の時間がとても静かに流れて、情緒あふれる構成になりました。後半が退屈に感じられる人もいるでしょうから、誰かを誘う時は、相手がどんなタイプなのかを考えてからにしましょう。俺が思うに、この映画のよさがわかる人は、心の深い人ではないかと。


最近見た「十三人の刺客」は、クライマックスが長すぎて疲れました(笑)。そういう意味では、本作のアクションシーンの長さはちょうどいい。その余韻を残した状態で、後半を味わいましょう。そのためにも、冒頭をよく見ておいて下さいね。


そんなわけで、3月3日には、イチゴのショートケーキを食べたいと思います。雪が真っ赤に染まった情景を思い浮かべながら、井伊イチゴをパクッといきましょう。 …世の中、変えるぜよ!




桜田門外の変が、歴史に大きな影響を与えたことは事実。行為そのものは、残虐なテロであり、クーデターなのかもしれない。だけど、それだけではないような気がするんですね。もちろん殺人自体は悪いことに間違いない。だけど、それだけで片付けられないものが含まれていると思うんです。


井伊直弼は、日米修好通商条約の締結やら、安政の大獄やら、やたらとスタンドプレーが目立った人物でした。しかし、彼のおかげで開国が早まったという解釈もあります。結果的に悪役となってしまった感はありますが、彼の功績も、それはそれで称えるべきかと思います。彦根藩の名誉のためにも。彦にゃん、かわいいし。


本作は、というより本事件は、どちらが正義でどちらが悪、という単純な構図ではないということ。起こるべくして起きたのか、回避の方法はあったのか。その辺のところは専門家に分析してもらうとして、俺としては俺なりの感覚で解釈したい。何もしないで後から文句だけ言う人よりも、行動した者こそが一番偉いのだ。この映画で学ぶべきは、そういう部分だと思う。批判は覚悟の上です。さて、あなたはどう感じますか?


それを確かめるためにも、映画館に足を運んでみて欲しいと思います。今の時代であるからこそ、この映画を作る意義があり、見る価値がある。先日紹介した「氷雪の門」と同様、日本人の美しい心は、決して封印すべきでないのだ。



日本人は、基本的には優しい民族である。優しいからこそ、愛するものを守るために命を懸ける。それが、日本人の強さ。眠っている本来の心を、憂国の思いを、この映画で目覚めさせよ。大和魂・大和撫子・サムライスピリッツ。誰もがみんな持っている、かけがえのない美しい心。


関鉄之助は、サムライである。彼が何故決起したか、どういういきさつで戦いに加わったか、事件以前の具体的説明は、映画ではほとんど語られない。それは、後半の逃亡生活においての彼を見ることによって、少しずつわかってくるものなのかもしれない。わざとらしくセリフで語られるよりも、気持ちで訴えてくるものに、きっと意味があるように思えてならない。



純粋な気持ちは、理不尽に裏切られるのが世の常である。うまくいくかどうかは、やってみなければわからない。最後に世の中を動かすのは、人の思いである。世論というのは、人の心の塊である。名もない人たちの、悲痛な叫びが、形となって動き出すのだ。


彼が最後まで背負い続けたものは何だったのか。最後まで守り続けたものは何だったのか。ラストシーンの情景が何を意味するのか。わかる人には、ちゃんとわかる。日本人は、人の心を大切にする民族だから。



今夜は、熱燗で一杯やります。日本という国に生まれたことに乾杯。そして、志士たちに乾杯!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月8日(月) 劇場:ワーナーマイカル県央 19:15の回 観客:1人

何と、俺1人でした!久しぶりだなあ、貸切状態!


【上映時間とワンポイント】

2時間17分。ちょっと長い尺ですが、この意味をよく考えてみましょう。ちなみに水戸市では、本作の関連イベント伊が開催中だそうです。限定グッズもあるとか。


【オススメ類似作品】


「226」 (1989年松竹)

監督:五社英雄、原作・脚本:笠原和夫、出演:萩原健一。本作のスタイルに似ているのでご紹介。本作の大沢たかお的な位置にいる男を演じるのは、三浦友和。豪華キャスト陣の中で目をひくのは、当時まだ駆け出しだった本木雅弘。美化しすぎだとの批判もありましたが、こういう作品は、思いっきり美化した方がロマンがあっていいと思う。俺的には、いい映画です。ちなみに、我が家の結婚記念日は2月26日です。


「荒神」 (2002年アミューズ)

監督・脚本:北村龍平、出演:大沢たかお。本作で大沢君のアクションにもの足りなさを感じた人には、この映画がオススメ。重傷を負ったサムライが駆け込んだ屋敷は、何と神様の家だった!加藤雅也との、息詰まるスリリングな駆け引きが面白い。大沢君の時代劇作品としては、「GOEMON」なんかもオススメ。こっちは、霧隠才蔵の役でした。


「ラブファイト」 (2008年東映)

監督:成島出、原作:まきのえり、出演:林遣都。大沢君の、役者としての魅力を感じた記念すべき作品。北野きいちゃんの、パンチラハイキックはいい目の保養になりました。主題歌は、ファンキー・モンキー・ベイビー。俺、必死にカラオケで歌いました。それにしても大沢君、キスシーンが長過ぎ(笑)。






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2010-11-19

BOX 袴田事件 命とは

テーマ:邦画

“犯人”は、いとも簡単に作られてしまう。 …悪人と、悪そうな人は違うのだ。


袴田事件の秘蔵映像を集めたDVDBOXが発売…ではありません。“BOX”は、映画のタイトルです。“ボクシング”と、“閉じ込める”という意味が込められているそうな。


昭和41年に静岡県で起きた袴田事件の真相に迫る映画が登場。監督は、高橋伴明。脚本は、夏井辰徳・高橋伴明。撮影は、林淳一郎。音楽は、林祐介。


出演は、萩原聖人、新井浩文、葉月里緒菜、村野武範、保阪尚希、石橋凌、塩見三省、岸部一徳、大杉漣、上田耕一、國村隼、ダンカン、須賀貴匡、中村優子、雛形あきこ。



さて、映画ですが、ヒューマニズムあふれる作品である反面、とても恐ろしい作品に仕上がりました。実在の人物の視点で描いた、真実を追究する映画。人間が人間を裁くということの責任の重さというものを、観客自身が裁判官になったつもりで考えてみましょう。


高橋監督の独特の切り口で、人間の深層心理にまで映像が食い込むので、ものを考えない人にとっては苦痛なシーンも多いかと思いますが、俺は興奮して楽しめました。描く内容はシビアですが、映画として面白いです。


袴田事件を扱っている以上、すでに宣伝の時点でネタバレだと思うのであらかじめ言っておきますが、本作は、冤罪がテーマです。ただし、本当に冤罪なのか、事実はどうだったのか、映画をみながら検証していきましょう。



昭和41年6月30日未明、静岡県清水市で、味噌製造会社専務の自宅が放火され、一家四人が殺害される事件が発生。県警は、味噌工場の従業員で元プロボクサーの袴田巌を容疑者として逮捕。袴田容疑者は犯行を否認するが、拘留期限3日前になって突然自白…。


主任判事として“袴田事件”の裁判を担当することになった熊本典道は、長時間にわたる取調べや、供述が二転三転することを不審に思い、警察の捜査に疑問を感じ始めるのであった…。



主演は、萩原聖人。正義感あふれる熊本典道を熱演しています。彼の風貌は、まさにこういう役にピッタリ。高橋監督作品に出演するのは、「光の雨」に続いて2作目。中盤から後半にかけての苦悩が熱い。頭のいい兄ちゃんが悩む姿は、絵になるもんです。カッコいいなあ。「CURE」や「マークスの山」の時は犯人役でしたが、どことなくインテリ感があるのが魅力的。素晴らしい役者だと思います。


真面目でナイーブな男が、意を決した行動するのはとても勇気のいるところ。自分を守ることばかり考えている人があまりにも多い世の中において、こういう男は貴重です。信念やこだわりって、生きる上でとても大切なことです。そういうことを、彼の演技を通して学びましょう。


“凶悪殺人犯”の袴田巌を演じるのは、新井浩文。おお、すげえキャスティング!「青い春」で授業中に早弁してた男。「クヒオ大佐」で唯一ウソを見破って脅迫したコワモテの男を演じた彼ですな。打たれ強そうな顔は、元プロボクサーに見える。兄ちゃん、ええ顔してまんなあ。


新井君はいい。いかにも悪そうな風貌である。登場したとたんに、9割の観客は、絶対こいつが犯人だって思うのではないでしょうか。そのくらい、インパクトのある顔です。一度見たら、忘れられない顔。「悪人」の軟弱な妻夫木聡とはえらく対照的。こっちの方が、ずっと魅力的だと思います。惚れ惚れするような三白眼。大森南朋と並べて見てみたい。ぜひ今度は、時代劇やヤクザ映画にも出てもらいたい。面白い役者です。


画面のほとんどを占めるのは、この2人。理不尽な社会と戦う男の生き様をとくとご覧あれ。立場は違えど、熱い心を持った男たちの、重厚なドラマ。打って打たれて、足を使ってクリンチして、倒されて立ち上がって…。おっつぁん、タオルだけは投げんなよ、俺ぁまだ、真っ白になっちゃいねえ。



“プロの判事”を演じるのは、村野武範と保阪尚希。この2人の駆け引きが絶妙で、そのしたたかぶりが映画的に笑えました。青春スターの村野のおっちゃんは、「日本以外全部沈没」でも総理大臣を演じて貫禄充分ですが、どこかコミカルな部分があるから面白い。保阪の兄ちゃんは、い~い感じでワル。頭が切れそうなクールキャラ。この組み合わせは、なかなか味があってよろしい。


大人の世界というのは、こういうものかもしれないなあ。“清く正しく美しく”がタテマエ。“汚く醜くズル賢く”がホンネ。こういう世界で生きられる人って、ある意味すごいと思います。俺には絶対ムリだろうから。


“現場のプロ”を演じるのは、石橋凌。鋭い睨みと不敵な笑いがスゴかった。若造、ナメんなよビームがものすごいですね。刑事役のダンカン、検察官役の大杉連など、クセ者がたくさん出ていますので、ピンポイントで役者の演技をお楽しみ下さい。



で、唯一、違和感を感じたのが、主人公の妻を演じた葉月里緒菜。これはイカン。芸術的なドヘタぶりは、今も健在。これはきっと、監督の好みなんでしょう。むっさい男ばっかり出てくる映画だから、どこかに華がないとね。彼女を起用するなら本妻でなく、愛人の方が魅力的だと思うけどなあ。「突入せよ!あさま山荘」の天海祐希だって、パッと見が愛人だったもんね。


葉月ちゃんは、「パラサイト・イヴ」とか、「叫」のような、“人間以外”の役の方が絶対映えると思う。できれば、セリフはほとんどなしで(笑)。ただ、本作に愛人として登場するわけにはいかなかったんでしょう。“謎の女”という枠があればよかったんですが、事実を扱った映画なので、捏造になっちゃうもんね。実在の熊本さんに愛人がいたかどうかはわかりませんが、変に脚色すると、それこそ冤罪になっちゃうもんね。



一番爆笑したのは、國村隼でした。役柄は、何と死刑囚!「脱獄王」の時は看守だったから、笑えて仕方ありませんでした。出番もほんの一瞬なのに、なんでこんなに記憶に残るんだろう?務所の廊下を歩く姿が、なかなかサマになってました。う~ん、ニクいオヤジだこと。





“冤罪”とは、“無実の罪”という意味。いわゆる、“濡れ衣”というやつですな。濡れ衣というのは、先妻の娘を疎ましく思った後妻が、猟師の濡れ衣を娘の寝室に置いて、猟師と密通しているように見せかけて陥れたというのが語源だそうです。(日本語語源辞典より)


生きていると、疑われることがままある。俺なんか、怒られるのが日常茶飯事の男だから、他人事ではありません。要領の悪い人、お人好しの人は、この映画を教材にしてよく学びましょう。


瓜田に靴を入れず、李下に冠を正さす。まぎらわしい行動や、疑われるような行動はできるだけ慎みましょう。



こいつがやった、とでっちあげることは簡単。週刊誌のスキャンダルとか、噂話でも、悪いことの方がすぐに広がるもの。人を褒めることよりも、人をけなすことの方に関心がいくのは世の常なんです。長所よりも、短所の方が気になる。いい思い出よりも、イヤな思い出の方が記憶に残る…。


人はみな、自分を認めてもらいたい、人より高く見てもらいたいとう願望があります。自分で努力して高めることができればベストなんですが、自分より下の人を見て安心する方が楽。人の幸福を見ると自分の不幸度が増し、人の不幸を見ると自分の幸福度が増すものだから。


何か悪いことが起きると、誰かのせいにしてしまいたくなる。それは、自分の身を守るための防衛手段。攻撃の矛先が自分に向かないように、常に風上にいようとする。悲しいことだけど、人間が集団になると、必ずそうなってしまう。それはもう、しょうがないことなのかもしれない。



映画を見ていると、条件さえ揃えば、誰でも“犯人”にされてしまう感じがする。なかなか犯人が捕まらないと、警察はイライラする。そこに、“悪そうな人”がいれば、とりあえずこいつでいいやってことになってしまう。“悪そうな人”と、“悪人”は全く違うのに。


いとも簡単に、“犯人”が作りだされてしまう世の中って、とても恐いと思う。やっぱり人は、見た目で100%判断されてしまうものなのでしょうか?あいつならやりかねない、あいつが犯人の方が都合がいいからあいつにしよう…。そういう意味では、本作はホラー映画の要素もありますね。



やってないことを証明するのって、なかなか難しい。いったんやったことになってしまうと、そう簡単には覆らない。一度既成事実化してしまうと、世の中の常識になってしまう…だから恐ろしいんです。「あるある大辞典」の記事を書いてた時に感じたこととおんなじ。盲目的に信仰するのは、とっても危険。テレビが言ってるから正しい、映画でやってたから正しい、なんてことはない。最終的に判断するのは、自分自身なのだから。


裁判のシステム化が進めば進むほど、良心とか正義とか道徳観念とかの根本的なところが薄れていく。薄々気づいていたとしても、個人の力ではどうすることもできない。だから、慣例に従う。上司や先輩に睨まれては面倒だから。義理と人情、花より団子、我田引水、長いものにはマッケンロー。


正義と真実は、人の数だけ存在する。視点が変われば、解釈も変わる。警察も裁判官も、理性よりは損得勘定で動くものなのかもしれない。商売であるからこそ、個人の意見など抹殺されてしまう。ああ、なんかもうイヤだ。そんな世界に埋もれていってしまうと、本来持っているはずの優れた感覚が死んでしまう!




映画に登場する“若造”は、一味違っていました。彼を突き動かしたものは、正義感と倫理観、司法側の人間としての誇りとプライドもあったことでしょう。でもそれ以外に、どうしても捨てきれない思いがあった。このままでいいのか?自分にできることはないのか?これを甘んじて受け入れた瞬間に、自分の心は死んでしまうんじゃないのか?自問自答しながら悩み続ける男は、その熱い思いをどうしても抑えられなかった。


“余計なことをするな”といさめられても、彼は食い下がった。反抗すれば、自分の立場が悪くなるのはわかっている。だけど、司法側に立つ人間にとって、一番大切なものを失うことの方が、彼は耐えられなかったのかもしれない。誰に何と言われようと、バカにされようと、自分の答えが見つかるまで、行くべき道を行く。それが男というものだから。



感覚というものは、人間が人間として生きていくためのレーダーである。目を開き、耳をすまし、匂いをかぎ、触れてみて、味わう。五感を通して研ぎ澄まされるのは、心の感性である。


大人になると、面倒くさいことがどんどん増えていく。そのために、封印されていく感覚も多い。子供じみたこと、青くさいこと、純粋な気持ち、感動する心…。こんな大人になるはずじゃなかった、と嘆いている人は多い。


でも、大丈夫。感覚は、封印されているだけであって、なくしたわけじゃないから。大切なものだからこそ、心の奥にしまってあるだけなんです。固く閉ざされた扉を開く鍵は、自分だけがちゃんと知っている。俺の場合は、それが映画の世界なんですね。忘れていたいいものを思い出させてくれて、自分は生きる価値がある人間であることを教えてくれる。宝物は、心の中にたくさんあるのだから。



正義という感覚は、子供の時は単純な発想で済んだけど、大人になると、色々複雑になってくるもの。ある人にとっての正義は、もう一方の人にとっては悪となる。正義ほど、うさんくさい言葉もないのだ。


だけど、本当はみんな知っている。普遍的な正義が存在することを。それがないなら、この世は無法地帯になってしまっているはずだから。だから、封印せずに、闇に葬らずに、映画を通して考えてみたい。自分にとっての正義は何か。今やらなければいけないことは何か。



袴田事件は、現在進行形である。無益な争いは可能な限り避けなければならないけど、戦わなければならない時は戦う。徹底して戦う。邪悪な存在に蹂躙されたくなかったら、全力で抵抗せよ。何もかも失ってしまっても、得がたい何かがきっと残るから。


攻撃は最大の防御。 …ルール無用の悪党に、正義のパンチをぶちかませ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月3日(水) 劇場:シネウインド 12:20の回 観客:約5人

「氷雪の門」と2本続けて見ました。なかなかいい組み合わせ。


【上映時間とワンポイント】

1時間57分。2010年モントリオール国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。5月より全国順次ロードショーで、新潟では10月30日から11月12日までの2週間にわたって上映されました。


【オススメ類似作品】


「それでもボクはやってない」 (2007年東宝)

監督・脚本:周防正行、出演:加瀬亮。冤罪映画といえば、やっぱりコレでしょう。ブログでも記事を書きましたが、この主人公を見ていると、無性にイライラしたのをよく覚えています。今思うと、それもまた周防監督の計算であり、加瀬亮の演技力のなせる技だったのかもと思います。本作を見て、冤罪事件に興味を持った人は、これも見ておいて損はないです。日本アカデミー賞11部門受賞作品。


「板尾創路の脱獄王」 (2010年)

監督・脚本・主演:板尾創路。こんなエネルギッシュな囚人は、スティーヴ・マックィーンの「パピヨン」以来ではないか?脱獄してすぐにつかまって、また脱獄する。謎の男にはどんな秘密があるのか?本作で死刑囚を演じた國村隼が、看守役を好演。挿入歌は、松ちゃんの「大日本人」とおんなじ。


「刑務所の中」 (2002年ビーワイルド)

監督・脚本:崔洋一、原作:花輪和一、出演:中村義洋。ムショ暮らしって、以外と快適?これはとことん笑えます。本作を見て気分が悪くなった人は、この映画でほんわりして下さい。


「クヒオ大佐」 (2009年ショウゲート)

監督:吉田大八、出演:堺雅人。自称米軍パイロットの詐欺師のドタバタ人生を描く、トンデモ映画。本作で新井君がかわいそうだと思った人は、この映画で発散して下さい。けっこう笑えます。ヒロインは、松雪泰子、満島ひかりなど魅力的な女性がいっぱい!

「怖い顔」 (2006年オンリーハーツ)

監督:本田隆一、出演:松田賢二。人相が悪いせいで不幸のドン底人生を味わっている男の物語。しかし、彼の個性的な顔がプラス効果になる仕事を得て、道が開けていく。「仮面ライダー響鬼」で、斬鬼を演じた松田君が、渾身の力で変顔してます。続編を企画されるなら、ぜひ新井君をキャスティングして下さい!




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2010-11-14

樺太1945年夏 氷雪の門

テーマ:邦画

日本人として、真摯な気持ちでこの作品を受け止めたいと思います。 …決して封印するなかれ。


“氷雪の門”とは、北海道稚内市内の稚内公園にある、樺太(からふと)で亡くなったすべての人のための慰霊塔の名称。戦争への怒りと、平和の願いを込めたこの塔と同じ思いで、この映画が製作されました。


原作は、金子俊男の「樺太一九四五年夏・樺太終戦記録」。監督は、新潟県柏崎市出身の村山三男。脚本は、国弘威雄。撮影は、西山東男。音楽は、大森盛太郎。


出演は、二木てるみ、鳥居恵子、岡田可愛、野村けい子、木内みどり、藤田弓子、千秋実、若林豪、丹波哲郎、藤岡重慶、黒沢年男、佐原健二、赤木春恵、田村高廣、南田洋子、久米明。



さて、映画ですが、限りなく美しい作品に仕上がりました。36年前に製作されたにもかかわらず、政治的な圧力によって封印された映画でしたが、その瑞々しいまでの輝きは少しも風化していません。歴史を学ぶ上でも、日本人の心を学ぶ上でも、大切な教材として後世に残していきたい1本。


1945年8月9日。ソ連は日ソ中立条約を無視して、満州、朝鮮、樺太の攻撃を開始。直ちに緊急疎開が始まり、日本軍は住民の盾となって戦った。終戦日の8月15日を過ぎてもその攻撃は止まず、次々と犠牲者が増えていく一方であった。


婦女子と子供を最優先で非難させよという命令に対して、真岡郵便局に勤務する電話交換手の女性たちはそれを拒絶。樺太に残る日本人のために、職場を離れることなく最後まで任務を果たしたいと熱望するが…。




主演は、二木てるみ。「赤ひげ」で心を病んだ少女役が印象的だった彼女ですね。本作では、電話交換手第一班班長という、女性たちのリーダー役を演じています。彼女の表情に、何度も吸い込まれそうになりました。すごい役者さんですね。日本人女性の底力というか、強い母性のようなものを感じました。しなやかで美しく、凛々しくてあどけない女性。カッコいいなあと思いました。


木内みどり、藤田弓子が若い!岡田可愛は「サインはV」の朝丘ユミを演じたおねーちゃんですね。できることならソ連軍に“稲妻落とし”とか“X攻撃”して欲しかったなあ。そうそう、“殺人スパイク”なんてのもあったっけ。


「椰子の実」を歌う彼女たちの歌声が美しい。平和で穏やかな場面であればあるほど、涙が込み上げてくる。この後の彼女たちの運命を思うと、観客も胸が張り裂けそうになる。映画館の中も、すでに戦場と化しているのだ。


本作には、大物俳優がたくさん出演しています。中でも、丹波哲郎のイライラ感あふれる演技が凄かった。彼は「二百三高地」で児玉源太郎を演じていましたね。本作の主役は女性たちですが、男たちも泣かせます。敵の銃弾が飛び交う中、子供たちを助けようとして次々と死んでいく名もない兵士たち…。


この映画は悲惨な内容ですが、理不尽に命を奪われていく中で必死に生きようとする人たちの心を、目を背けずに見て欲しいと思います。南田洋子の鬼気迫る演技は圧倒的でした。子役たちが泣きわめく姿は見ていて辛かった。目の前で日本人がどんどん殺されていくのに、どうすることもできない…。




樺太は、北海道の宗谷岬の北43キロに位置する島。地図を見ると、ユーラシア大陸と北海道にほとんどくっついているような、ややこしい場所にあります。ロシア名はサハリン。唐の時代から、元、明を経て大清帝国、ロシア帝国の間で度々争奪戦があったようです。日本は豊臣秀吉の時代あたりから加わり、日露での戦いに発展していったようです。(ウィキペディアを参考)


日露戦争後のポーツマス条約で、北緯50度を境界に南北に分断。北サハリンはロシア領、南樺太は日本の領土となりましたが、第二次大戦後のサンフランシスコ講和条約で日本は南樺太を放棄。しかし、ソ連が調印しなかったために、日本は国際法上、南樺太は所属未定地であるとして、地図上では南樺太が白くなっています。現在は、ロシアが南樺太を実行支配している状態。



1945年8月の時点で、樺太の人口は約40万人だったそうです。そこで生まれた住民にとって、樺太は故郷であり、生まれ育った大切な場所。平和に暮らしていた人たちにとって、突然戦火に巻き込まれてしまうという衝撃は、尋常でなかったと思います。


自国の領土とはいえ、国境の向こうは外国であり、いつ侵略してくるかわからない状況であったのかもしれない。そう思うと、恐い場所とも言えます。樺太全土を領土にしたとしても、すぐそこにはユーラシア大陸があるのだし、攻めるにしても守るにしても、大変な島なんじゃないかと。



本作は1974年に製作。製作費が5億円を超える超大作として話題になり、前売り券も70万枚売れました。しかし、公開直前になって、ソ連大使館から『…反ソ映画の上映は困る。』と抗議を受けたことにより、東宝が上映を断念。代わりに東映系の劇場で北海道と九州で2週間ほど上映しただけで、今日まで実質日の目を見ることはありませんでした。


それから30年後の2004年になって、本作の貴重なフィルムが発見され、助監督として参加していた新城卓氏が中心となって、フィルムをデジタル化して上映活動を展開。2010年夏、実に36年ぶりの劇場公開となりました。


樺太を扱った日本映画は、なぜか今までになかったそうです。だから、本作こそが貴重な1本。老若男女を問わず、多くの人に見ていただきたい作品です。ソ連がどうしてこの映画の上映を妨害したのか、知られてはマズいことがあったからなのか、映画を見ればわかります。映画だから誇張や美化もあるかもしれないけど、それらを差し引いても、本作は見る価値があると俺は思います。



もう1つの見どころとして、自衛隊の全面協力による戦闘シーンがあります。陸上自衛隊の本物の戦車18台が登場。実弾を使用してのド迫力場面となりました。日本本土最後の地上戦を、しっかりと見届けましょう。


劇中に流れる歌は、「椰子の実」の他に、灰田勝彦が歌う「新雪」もあります。うっとりしながら聞く乙女たちの顔がたまりませんなあ。いい男たちはみんな戦場に行ってしまった。恋愛を夢見る女たちの、ほんのひとときのやすらぎの場面が、いつまでも心に残りました。



沖縄と同様に、樺太も忘れてはならない日本の歴史です。この映画が、樺太の御霊の供養になるように、一映画ファンとして祈りを捧げます。


本作に携わったスタッフの皆様、出演した役者の皆様、上映するためにがんばった皆様、上映してくれたシネウインドの皆様、いい映画をありがとう。日本人として、この作品に出会えたことを誇りに思います。



最後に、パンフの記事より一文を紹介して終わります。


『1945年8月11日、ソ連軍第56狙撃軍団約35000名、中央軍道を南下開始。国境の町半田にて日本軍・警察合同部隊約100名と交戦。一昼夜にわたり、日本軍はソ連軍の進撃をくいとめた。8月12日、半田陥落。』


最後まで男らしく、日本人として戦ってくれた兵隊の皆様、ありがとうございました。あの世で、9人の乙女たちと一緒に、楽しい歌をたくさん歌って下さい。 …ようやく日本は、この映画を堂々と公開することができました!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月3日(水) 劇場:シネウインド 10:00の回 観客:約50人

見に行けるラストチャンスに、ギリギリ間に合いました。パンフレットも、最後の1冊でギリギリゲット。まさに、“これが最後”ですね。


【上映時間とワンポイント】

1時間59分。もともとは2時間33分版と、1時間49分版が存在するらしい。今回公開されたのは、フィルムをデジタル化して再編集したバージョンであるとのこと。


【オススメ類似作品】


「二百三高地」 (1980年東映)

監督:舛田利雄、出演:仲代達矢。日露戦争最大の激戦地となった旅順の戦闘を描いた傑作。本作にも出演している丹波哲郎のセリフが熱かった。総人口4600万人の弱小民族であった日本が、大国ロシアに何故戦いを挑み、いかに勝ったのかを、壮大なスケールで再現します。『…熱燗でキューッと。』は名セリフでした。


「一番美しく」 (1944年東宝)

監督・脚本:黒澤明、出演:志村喬。軍需工場で働く女子挺身隊の物語。健気な乙女たちの瑞々しい描写がたまりませんでした。かわいらしくも勇ましい、誇り高い日本女性万歳!


「赤ひげ」 (1965年東宝)

監督・脚本:黒澤明、原作:山本周五郎、出演:三船敏郎。小石川養生所における、赤ひげ先生の診療譚。本作の主役である二木てるみが、心を病んだ少女を好演しています。意地悪なババアを、女性たちが大根で撃退する場面は爆笑でした。





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2010-11-13

9月と10月の残り香

テーマ:エッセイ

ええと、これでようやく俺の9月と10月が終わりました(笑)。


なかなか書かないので、体調悪いのかとか色々言われますが、まあ何とかやってます。9月に見た劇場映画は全部で5本。10月は3本でした。だんだん少なくなってきますなあ。



書きたい時には書けなくて、書ける時には書けない。そんな状況が続いているせいか、なかなかアップできません。自分のパソコンを買うお金がないので、妻に貸してもらっている立場上、限られた時間の中でいかに書きたいことを表現するかが俺の課題です。


以前は、ほぼリアルタイムで書きまくっていたんですが、最近は筆が遅くなってきました。大体、文章が長すぎるんですよねえ。もっとサラッと書きゃあいいのに。わかっているんだけど、自分のスタイルはやっぱり変えられないかも。読む方も大変だけど、書く方はもっと大変。大変な思いをして書いたものを、大変な思いをして読む。ううむ、何だか変てこな関係ですよねえ(笑)。


くれぐれも言っておきますが、このブログを読んで気分が悪くなった人は、直ちに読むのを中止して下さい。無理して我慢して読み続けると、あなたの健康と心身と社会性を損なう場合があります。ましてや、真剣に読むほどの内容ではありませんので、ほどほどにしましょう。心の行き場に困った時だけ、こっそり覗いてもらえればいいです。忘れないでいてもらえれば、それで充分。



スナックBTのSママ、製本した映画熱第10巻を一生懸命に読んでくれてありがとう。それから、以前まで俺と一緒に働いていたOさんのことを教えてくれてありがとう。まさかブログでつながっていたとは驚きでした。『…スナックBTのママって貴女ですか?』と聞かれた話を聞いた時は爆笑でした。そうかあ、Oさんも俺のブログ読んでくれてたんだ。うれしいやら恥ずかしいやら。では、彼のためにもがんばって書かなきゃ。Oさん、電話で話した限りでは、元気そうで安心しました。今度、近いうちに一緒に飲みましょう。スナックBTで。


(ちなみにOさんは、長澤まさみ主演の「そのときは彼によろしく」に関わった人物です。これはホント。)



同級生のS君、先週と先々週と2週連続で飲み代をおごってくれてありがとう。大変ごちそうさまでした。金がない俺にとって、君はありがたいいい友達です。おかげで色んな店を知ることができました。また一緒に盛り上がりましょう。



今日はこれから、飲み友達のOKD君の結婚パーティに参加するので、ここで筆を止めます。明日二日酔いにならなかったら、次の記事を書こうと思いますが、どうなるやら。


仲間がいるって素晴らしい。誘いが来るのもうれしい。楽しい酒が飲めるのは、とても幸せなこと。人の気持ちがありがたい。ぬくもりが心地よい。人生、楽しまなきゃ損ですよね。前向きに、明るく生きていきたい。力を入れる時と、抜く時のバランスをうまくコントロールできるようになりたいと思います。



では、これからようやく俺の11月が始まります。読者の皆様、桑畑をどうかお忘れなく。では、またお会いしましょう。飲み会、行ってきま~す。





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2010-11-13

エクスペンダブルズ

テーマ:洋画

男たちの熱い思いが、銃弾となって飛び交う。 …アブラギッシュな男汁がほとばしる1本!


“expendable”とは、“消耗品、使い捨て”という意味。タイトルが複数形なので、“消耗品軍団”ということらしいです。監督は、シルベスター・スタローン。原案は、デヴィッド・キャラハム。脚本は、この2人の共作。撮影は、ジェフリー・キンボール。音楽は、ブライアン・タイラー。


出演は、シルベスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ミッキー・ローク、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガー、エリック・ロバーツ、ランディ・クートゥア、スティーヴ・オースティン、デヴィッド・ザヤス、ジゼル・イティエ、カリスマ・カーペンター、ゲイリー・ダニエルズ、テリー・クルーズ。



さて、映画ですが、ちょっと懐かしい体育会系ド派手アクション作品に仕上がりました。’70年代、’80年代、’90年代の映画ファンに共通する熱い思いが込められています。コテコテマッチョな超ド級アクションが大好きな人には感涙モノです。ここまでやってくれると、実に気持ちいい。ムチャクチャで豪快でクール。東宝チャンピオンまつりに匹敵する、ハリウッドアクションスター総進撃!コワモテ加齢臭オーラ全開!


バーニー・ロス率いるスゴ腕傭兵軍団“エクスペンダブルズ”は、政府や軍隊が直接関与できない、ウラの仕事を請け負っていた。今回依頼された任務は、南米の島国ヴィレーナにおいて、クーデターを起こして政権を握ったガルザ将軍を殺害すること。偵察に向かったバーニーは、思った以上にヤバい状況であることに気づくが…。



主演は、シルベスター・スタローン。役柄は、エクスペンダブルズのチームリーダー、バーニー・ロス。本作のボスであるだけに、貫禄は充分ですが、中身はいつものスタローン兄貴です。特別威張るわけでもないし、高圧的な態度に出るわけでもない。心優しきソルジャーは、ライバルや若い俳優に囲まれてとても楽しそうでした。


チームのNo.2のポジションであるリー・クリスマス役に大抜擢されたのは、ジェイソン・ステイサム。彼が、実にいい。ダミ声のスタローンに対して、囁くような声のジェイソン。マッチョな筋肉のスタローンに対して、しなやかな筋肉のジェイソン。このコンビ、なかなかよいです。身長はジェイソンの方が高いけど、髪の毛の量はスタローンの方が多い!おっさんも若いもんも、男としては対等。2人の粋な会話が魅力です。いよっ、ナイスガイ!


クンフーの達人であるイン・ヤンを演じるのは、ジェット・リー。出演者の中で一番身長が小さいことを武器に、画面狭しと駆けずり回ります。クールなジェットが、ちょっとコミカルなポジションであるのが面白い。彼は、役者としても素晴らしいと思いました。大勢の中にいても、自分の仕事をキッチリやる姿は男としてカッコいい。



特筆すべきは、ガンナー・ヤンセンを演じたドルフ・ラングレンでしょう。映画を一番盛り上げたのは、俺的には彼だったように思います。例えて言うと、「仮面ライダーTHE FIRST」に登場した一文字隼人みたいな男。それから、「ヒート」のバル・キルマー。男心のわかる人ならわかると思います。いいじゃん、ドルフ。「ロッキー4」のイワン・ドラゴ役の印象が強烈だった男は、ユニバーサルなソルジャーに成長しました。(ちなみに、彼はロシア人ではなく、スウェーデン出身です)


元エクスペンダブルズのタトゥー職人ツールを演じるのは、ミッキー・ローク。いいねえ、おっさん。甘いマスクだった色男は、年食ってシブい怪物顔になりました。まさに、「ジョニー・ハンサム」を地でいく感じですね。得体の知れない貫禄は、映画の中でも異彩を放っています。ゴジラ系怪獣で言えば、ヘドラですな。


そうか、みんなある意味怪獣なんだ。スタローンは文句なしにゴジラとして、ドルフがアンギラス、ジェットはミニラ(笑)…いやいやそれは失礼だ。彼はラドンにしよう。ジェイソンはジェットジャガー、シュワちゃんはメカゴジラ、ブルースはキングコング…といったところでしょうか。


で、モスラを演じ…いやいや、ヒロインのサンドラを演じるのは、メキシコ出身のジゼル・イティエ。男連中に負けないくらい、血の気の多い女です。あんまりカワイイ女優を起用すると、おっさんたちがロリコンだと思われてもいけないので、これくらいでちょうどいいかと。演技がいいかどうかはよくわかりませんが、他に女がほとんど出てこないので、いやでも目立つ存在です。



ガルザ将軍を演じたデヴィッド・ザヤスと、権力者ジェームズ・モンローを演じたエリック・ロバーツも強烈でした。いやはや、男の世界ですねえ。東映のヤクザ、東宝の怪獣をミックスしたようなブレンド感がたまりません。どこを切っても、男しか出てこない映画。これはぜひ、野郎同士で見に行った後に、そのまま飲みに行っちゃましょう!


デートで行くなら、男を理解できる女性を誘いましょう。誘われた貴女は、男心を学ぶつもりで付き合ってあげて下さい。決して、ああだこうだと不満を言わないようにご注意。男は、いい気分にさせてしまえば、しっかりがんばってくれますから。




『…これまでとは違った感じの映画をやりたいと考えているうちに、社会になじめなくなった男たちを描いたら面白いんじゃないかと思うようになった。』 (パンフ記事より)


シルベスター・スタローンは、出生時の医療ミスが原因で顔面の神経が傷つき、言語障害が残ってしまいました。舌ったらずで表情が暗かった彼は、子供の頃にひどいいじめを受けたという。思春期の頃には両親が離婚。ワルの道に走り、14の学校から放校処分を受ける…やっぱりスタローンだ、やることがデカい。


子供の頃から漫画や映画が好きだったこともあって、大学で演劇を学ぶ傍ら、ボクシングジムにも通っていたらしい。そして、モハメッド・アリの試合を見て感銘を受け、「ロッキー」の脚本を3日で書き上げる。映画会社は、ロバート・レッドフォード主演で映画化したいと言ったが、スタローンは、『…オレが主演じゃなきゃ脚本は譲らん!』と猛反発。「ロッキー」は、低予算・小規模で細々と公開された…その後の展開は、ご承知の通り。(ウィキペディアの記事を参考)



アメリカン・ドリームを体現した男、シルベスター・スタローン。彼は、努力の人であった。ダミ声で、セリフ回しや表情も乏しい彼は、俳優としての一般的な魅力に欠けていた。しかし、そのゆがんだ顔が、独特の言い回しが、乏しい表情の奥底から湧き上がってくる情熱が、何かを表現していた。それは、まさにロッキーの顔であった。スタローンこそが、ロッキーその人であった。彼にしかできない、新しいヒーローの誕生の瞬間であった。


無数のパンチを受けて、ゆがんだ顔。痛みに耐えている声。どんなに打たれても、前に出る男。不運な境遇を人のせいにせず、自らの努力で乗り越える男。逆境に立ってこそ、苦しい立場であるからこそ、見えてくるものがある。彼の燃える瞳は、それをよく知っているんだと思う。



男が男であろうとすればするほど、社会の常識の枠から外れていく。社会になじめない男は、たくさんいる。彼は、そういう男たちの気持ちがわかるのかもしれない。彼が、出演者にオファーした時の姿勢そのものが、作品の中に表れているように俺は思います。


残念ながら、出演がかなわなかったベン・キングスレー、フォレスト・ウィテカー、ウエズリー・スナイプス、ジャン・クロード・ヴァンダム、スティーヴン・セガール、カート・ラッセルにも、彼の熱い思いだけは伝わっていると思いたい。皆様、次回作にはぜひお越し下さい。できれば、チャック・ノリスと千葉真一とチョウ・ユンファとアントニオ・バンデラスも呼んでいただきたい。女性陣は、デミ・ムーアとシガニー・ウィーバーと志穂美悦子と…∞。



シルベスター・スタローン。白いタンクトップが似合う男。友達を大切にする男。そして、不可能を可能にする男。カッコいいじゃん、スタローン。努力と根性の男。愛と正義と男。イタリアの種馬ロッキー・バルボア。1人軍隊ジョン・ランボー。マシンガン・ジョーが地を駆け、デモリションマンがセーターを編み、オーバー・ザ・トップしてロックアップ。暗殺者と追撃者が絡み合ってデッドフォール。コブラのマッチがクリフハンガー!(だんだん意味不明)


これだけの面子を一同に揃えられる彼の存在は、本当に素晴らしいと思います。こんなにうれしい豪華共演は、映画ファンにとっては夢でした。アメリカン・ドリームを体現した男として、偉大なアクションスターのカリスマとして、彼の名は永遠に語り継がれていくことでしょう。今年64歳。まだまだイケるぜスタローン!



エイドリアン、どこにいるんだエイドリアン。俺はここだよエイドリアン。どうだ勝ったぜエイドリアン。君のためならエイドリアン。俺はがんばるエイドリアン。


弱い者をいじめる奴は許さねえ。ロッキーのパンチが顔面を襲い、ランボーのアーミーナイフがのどを切り裂き、マシンガン・ジョーの殺人カーが牙を剥く!オトシマエは、キッチリつけさせてもらうぜ!


シルベスター・スタローンと仲間たち。チーム名はエクスペンダブルズ。只今、隊員募集中。世界中の強者よ、バーニー・ロスのもとに集うべし。消耗品であろからこそ、使い捨てであるからこそ、思い切ったことができる。 …男たちよ、一度しかない人生を、熱い心を持って生き抜くべし!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:10月26日(火) 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 19:15の回 観客:約20人

仕事のストレスがピークの時に、あえてこの映画を見に行きました。…これで戦えるぜ。


【上映時間とワンポイント】

1時間43分。パンフレットも面白いです。「知られざる邦題墓場」の記事は爆笑でした。「アストロ傭兵団」「汗と血管と上腕二頭筋」「俺が死ぬ時はカラスだけが泣く」…スバラシイじゃん!


【オススメ類似作品】


「暗殺者」 (1995年アメリカ)

監督:リチャード・ドナー、原案:ウォシャウスキー兄弟、出演:シルベスター・スタローン、アントニオ・バンデラス。王者スタローンが、若手俳優のバンデラスに胸を貸した痛快アクション映画。プロの殺し屋のターゲットを横取りするとは許せん。ナメんなよ若僧、容赦しねえぞ!


「デモリションマン」 (1993年アメリカ)

監督:マルコ・ブランビヤ、出演:シルベスター・スタローン、ウエズリー・スナイプス。王者スタローンが、若手俳優のウエズリーに胸を貸した痛快SF映画。現代だろうが未来だろうが、悪い奴は許さねえ。待ちやがれチンピラ!ヒロインは、サンドラ・ブロック。冒頭のシーンで、スタローンのチンコが見えたとか見えないとか。


「ドリヴン」 (2001年アメリカ)

監督:レニー・ハーリン、脚本・主演:シルベスター・スタローン、キップ・パルデュー。「ロッキー」はモハメッド・アリでしたが、こちらは、アイルトン・セナをテーマにして、スタローン自身が書いた脚本。「デスレース2000年」で人を轢きまくったマシンガンジョーは、こんなとことで若手俳優キップ・パルデューに胸を貸していました…って全然違う映画だろ!それにしても似合うなあ、白いタンクトップ。昔風でいうところのランニングシャツ。スタローン、グンゼのCMに出てくれ!う~ん、マンダム。死語の世界。ちなみに、デスレースの後継者は、ジェイソン・ステイサムがキッチリこなしています。






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2010-11-07

クロッシング

テーマ:洋画

希望と絶望、天国と地獄はいつも隣り合わせ。 …少年よ、君はよくがんばった。


イーサン・ホーク主演のアレではありません(あっちは来年正月公開予定)。北朝鮮の脱北者をテーマにした韓国映画です。“crossinng” とは、辞書によると、“横断、渡航、交差、十字路、踏切” という意味ですが、パンフの記述によると、“十字を切ること”、“妨害” という意味もあるそうな。


監督は、キム・テギュン。脚本は、イ・ユジン。撮影は、チョン・ハンチョル。音楽は、キム・テソン。


出演は、チャ・インピョ、シン・ミョンチョル、ソ・ヨンファ、チュ・ダヨン、チョン・インギ。


さて、映画ですが、生きることの意味を、ストレートに問う作品に仕上がりました。この映画が作られたこと、日本で公開できたことを喜ばしく思います。横田めぐみさんを奪われた新潟県の県民としても、見なければならない1本でした。上映してくれたシネウンドに感謝。



北朝鮮の炭鉱の町に住む少年は、両親とともにつつましく幸せに暮らしていた。しかしそれは、いつ全てを失うかもしれない、危ういものであった。ある日、病身の母の容態が悪化。父親は、薬を求めて国境を越える決意をする…。



主演は、チャン・インピョ。元サッカー選手という役柄ということもあって、イケメンでスポーツマン風の俳優。真面目で実直な性格であることがよくわかる、いい演技でした。才能があって国に貢献したことで、いい生活ができているようだけど、次の瞬間にはどうなるかわからない影が常につきまとう。


病弱な妻を演じるのは、ソ・ヨンファ。「殺人の追憶」で“唯一の生存者”を演じた女優だそうで、はあそういえばいたっけなあと思ってパンフを引っ張り出したら、彼女を紹介するページはありませんでした。でも、29ページの集合写真の右端に…いたいた、間違いない。いかにも苦労してそうな風貌は今も健在ですね。本作でも、今にも死にそうな女を熱演していました。健康そのもののダンナと対照的ですな。


そして、本作の真の主人公は、息子役のシン・ミンチョルでしょう。彼の健気な行動に、何度もウルッときてしまいました。彼を見ていて、何だか自分と重なる部分が多かった。お人好しって、損ばかりしているみたいだけど、彼は自然に友達がたくさんできるタイプだと思う。こんな環境でなければ。


彼のガールフレンドを演じるのは、チュ・ダヨン。冒頭の無邪気なやり取りが、すでに痛々しかった。天国から地獄に叩き落される過酷な運命の真っ只中において、彼らの純粋な気持ちが、観客の心に突き刺さる。これは切ない。切な過ぎる。しかし、目をそらしてはいけない。懸命に生きようとする小さな魂を、しっかり見守るのだ。



本作は、作品に入り込んで共感するか、斜めに構えて傍観するかで、見方が分かれる映画かも。俺は、前者でした。理不尽な仕打ちを体験したことのある人なら、きっと心に響く部分があるので、できるだけ多くの人に見てもらいたいと思います。


これはどうも、飲食物を取りながら見る映画ではなさそうです。できれば、飲まず食わずで、姿勢を正して見るのがいいかと。過酷な運命に翻弄されながらも、必死で生き抜こうとする姿を、約束を命がけで守ろうとする強い意志を、心の中にしっかり焼き付けながら、彼らと行動を共にしましょう。



キム・テギュン監督は、北朝鮮のドキュメンタリー映像を見て、衝撃を受けたそうです。それから10年の歳月を経て、映画は完成。 『…この作品を完成させるために私は存在するのではなかろうか?あの時のあの恥ずかしさが、「クロッシング」という作品を最後まで仕上げるための原動力となった。』(パンフ掲載のコメントより)


この映画には、限りない情熱が込められている。見れば、その価値がわかる。この映画を劇場で見ることができて幸運でした。北朝鮮に住む人たちの鎮魂歌として、長く語り継がれていって欲しいと思います。



2008年に製作された映画が、2年経ってようやく日本で公開されたというのも、何だか大変な話です。上映を妨害した人がいっぱいいたということなんですね。“こんなもの絶対見ちゃいかん”と言われれば、余計に見たくなるのは人情。かえって宣伝しちゃいましたか。


日本で堂々と劇場公開され、横田めぐみさんを奪われた新潟でも上映が始まったことは、新潟の映画ファンとしても感慨深いものがあります。こういう気骨あふれる作品を、どんどん上映して欲しいです。エンターテイメントばかりが映画じゃない。映画は、人の心を育てる教材なのだから。



本作に登場する少年は、いたって普通の男の子。痩せていて、お人好しで、心があたたかくて、無邪気で人に優しい。そういう子供が、全てを取り上げられて何もかも失い、一人ぼっちで行動することになる。彼の心がどうなっていくのか、注意深く見守っていて下さい。


悪いことを、何かのせいにしたり、人のせいにするのは簡単。しかし、少年は考えています。セリフがなくても、少年の心がわかるだけに、俺は泣けて泣けてしょうがありませんでした。何ていいやつなんだろう、ちくしょう。世の中こういう人たちばっかりだったら、こんな悲劇は起きないはずなのに。



お腹が空いた時、寒さに凍える時、暴力で脅迫された時、うどんを食べる時、星空を眺める時…。この映画のことを思い出しそう。当たり前にご飯が食べられること、水が飲めること、家族や友達がいること、治安で守られていること、家に住めること…。身近にたくさんある幸せをかみしめて。



何のために生きるかではなく、生きることそのものが目的なのかもしれない。まずは、生き抜くこと。親がしっかりと生きる姿を見て、子供は何かを学ぶのだ。


お人好しは、どういう社会にいても、やっぱりビンボーである。もっとズル賢くなれば、オイシイ思いができるのかもしれない。だけど、人を踏みつけて、見下して生きるような人間にはなりたくない。悪いことをしてお金持ちになるくらいなら、正しいことをしてビンボーのままでいい。心まで貧しくなってしまっては、寂しくて耐えられないから。



少年は、母親からもらった宝物の指輪以外、何も持っていない。しかし、誰よりも多くのものを持っている。一番大切なものを持っている。その美しいものを得ただけで、彼はこの世に生まれた意味があった。星空は、まばゆい輝きを放ち、少年の心に降り注ぐ。小さな喜びを、かすかな光を生きる力に変えて、少年は歩き続ける。


現代を生きる少年少女にも、この映画を見て欲しい。そして、自分が何を感じたかを、自分で考えて欲しい。こう感じなさい、こう考えなさいといったレベルの内容ではありません。人間としての根幹に関わるテーマなので、人によってとらえ方が違うと思うから。



子供たちよ、その純粋な瞳で世の中をしっかりと見よ。大人の曇った瞳には映らない光を、力強く吸収せよ。一番大切なことは何か、自分の心で受け止めよ。その真っ直ぐな視線の向こう側に、生きる道がある。自分の行くべき方向は、自分で見つけた方が絶対面白いから。


人には、それぞれ役割というものがある。強さ担当、優しさ担当、話す担当、聞く担当、ボケ担当、ツッコミ担当、ケンカ担当、なだめ役担当、作戦担当、後始末担当…自分の個性によって、あるいは環境によって、それは刻一刻と変化していく。だけど、自分そのものはおんなじ。その時と状況によって、自分を使い分けるのが、知恵というものである。


映画の少年よりも、もっと悲惨な子供だってたくさんいる。彼は、たまたま北朝鮮で生まれた。そして、自分のやるべき事を貫いた。立派な一人の男である。少年、君はエライ。不幸な目に遭っている世界中の子供たちに、君は勇気と生きる力を与えたのだ。



純粋な心は、踏みにじられることが多い。しかし、その心を失ってはいけない。それをなくしたら、人間として生まれた意味がない。何もかも奪われても、人の心は絶対に奪えないのだ。


最後に、「ウルトラマンA」の最終回で、エースが語った最後の言葉を、映画の少年に贈りましょう。 …最後までよくがんばったね。




『…優しさを失わないでくれ。弱い者をいたわり、互いに助け合い、どこの国の人たちとも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえ、それが何百回裏切られようと。 …それが、私の最後の願いだ。』





【鑑賞メモ】

鑑賞日:10月18日(月) 劇場:シネウインド 20:50の回 観客:約5人

映画を見た後、早く帰って娘の顔を見たいと思いました。家族は大切にしなくちゃ。


【上映時間とワンポイント】

1時間47分。2008年韓国映画評論家協会賞受賞、イチョン春史大賞映画祭最優秀作品賞他8部門受賞、米国ハリウッド映画祭グランプリ受賞。


【オススメ類似作品】


「絶唱母を呼ぶ歌 鳥よ翼をかして」 (1985年)

監督・脚本:井上梅次、原作:池田文子、出演:沖田浩之。北朝鮮を題材にした映画といえば、やっぱりコレでしょう。北朝鮮に行って帰れなくなった1828人の日本人妻は、1人も里帰りさせてもらえませんでした。その真実が、この映画で明らかになる。俺は、横浜に住んでいる時に上映会で見ることができました。パンフもちゃんと持ってます。今は亡き沖田浩之が、主人公を熱演。彼の代表作と言えるでしょう。とり~よ、とりよ~、おま~え~の~、つばさ~を~、かして~。


「めぐみ 引き裂かれた家族の30年」 (2006年)

製作総指揮:ジェーン・カンピオン、監督:クリス・シェリダン&パティ・キム、出演:横田滋。北朝鮮の拉致問題をテーマにしたドキュメント映画。横田夫妻が闘ってきた30年の歳月を、めぐみさんの貴重なエピソードを交えながら綴っていく、衝撃的作品。新潟の海は、彼女の帰りをひたすら待っています。大勢の日本人妻を率いて、集団の先頭に立ってで帰国してくれることを願います。未見ですが、アニメ版もあるそうな。


「母をたずねて三千里」 (1976年フジテレビ)

監督:高畑勲、原作:エドモンド・デ・アミーチス、声の出演:松尾佳子。子供が親を探して一人旅といえば、やっぱりコレでしょう。バアサマが死んだ場面は震えたなあ。パブロとフアナの物語は熱かった。少年が大人になる瞬間って、こういうことなんだ。子供心ながらに、社会のことをいっぱい学んだ思い出深い作品。子供たちよ、世の中甘くはないけれど、いい大人もいっぱいいるんだよ。将来自分が大人になった時に、子供に語る人生が恥ずかしくないように、自分を磨け。そして、誇り高い男になれ。




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2010-11-03

nude

テーマ:邦画

脱いで、脱いで、脱ぎ捨てて …ホントのあたしを見て!


何ともすごいタイトルの映画が登場。当然ながら、R15です。うわはは、ガキんちょは見れんだろ、やーい!俺はオトナだから見られるんだぞ、いいだろ、えっへっへー!(ガキはどっちだっつーの)


新潟県出身のAV女優、みひろの泣き笑い人生を綴った自伝的小説が映画化。これは新潟県人として、行かなければいかん。いざ、レイトショーで万代シティへ!



原作は、みひろの同名自伝小説(講談社刊)。監督は、小沼雄一。脚本は、小沼雄一・石川美香穂。撮影は、早坂伸。音楽は、宇波拓。主題歌を歌うのは、テニスコーツ。


出演は、渡辺奈緒子、光石研、佐津川愛美、永山たかし、山本浩司、富田真帆、みひろ。


さて、映画ですが、ぎこちないものの、前向きで潔い作品に仕上がりました。題材からすると、暗くなりがちなもんですが、この映画はとことん明るい。だから、見ていてキモチイイ。これは、れっきとした青春映画だと思います。エロ映画ではないので、オヤジのみなさんは変に期待しないようにしましょう。…えっ、お前のことだろうって?あっはっは、当たり前じゃん!



主演は、渡辺奈緒子。本作が初出演の21歳。偉いなあ、その心意気を買いましょう。脚本を読んで、直感的に“やる”と決めたそうです。演技はカタいですが、そこが初々しくてよろしい。色気もへったくれもない普通の女の子が、プロのオンナになっていくプロセスを、じっくりとご覧下さい。


マネージャーを演じるのは、ベテラン光石研。彼は、やっぱりいい役者ですなあ。イケメン俳優じゃウソっぽくなるし、モロおっさんではイヤラシくなる。真面目で実直な男というキャラが、主演女優を引き立てるように思う。役柄を通して、新人女優を育てているようでもありますねな。若者を育てる力がある人って、こういうタイプなのかもしれないなあ。奈緒子ちゃんは、彼の胸を借りてドンドン成長していって下さい。


主人公の親友を演じるのは、佐津川愛美。「蝉しぐれ」で健気に荷車を押し、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」でサトエリに風呂場でイジメられた彼女ですな。スレンダーな主人公に対して、ふっくらした彼女は実にかわいい。そして、新潟弁で怒りまくる姿はサイコーでした。このテンションなら、サトエリ姉ちゃんにもきっと負けないぞ!



主人公の彼氏を演じるのは、永山たかし。ナヨナヨのヘタレぶりが爆笑でした。優しいけど口ばっかりの男って、何だか笑えますなあ。みひろご本人のコメントによると、雰囲気がそっくりだったそうです。なるほど、こういう男が女を成長させるんですねえ。(違うか)


大物プロデューサーを演じるのは、山本浩司。彼だけが唯一、男目線で堂々をセリフを言う、ある意味“悪役”。女性から見たらイヤなおっさん。だけど、AV産業の顧客はほとんどが男性であることも考えましょう。彼女の進む方向のターニングポイントを担う、重要なシーンに登場するので、女性のみなさんはしっかりと見ておきましょう。イヤな男に出会うからこそ、女はより女らしくなっていくものですから…。



注目したいのは、みひろ本人が出演していること。これはすごい。だけど、さすがに本人が主演というわけにもいかんだろうから、事務所の先輩という形でゲスト出演…といったところでしょうか。主演女優を引き立てる役柄であることを、ちゃんと心得ているなあという印象でした。さすがは、プロの女ですね。セリフも出番も少ないですが、存在感タップリでした。渡辺奈緒子が自分を演じる姿に、感慨深いものを感じたのかもしれませんね。2人の掛け合いは2回ありますので、こちらもしっかり見ていて下さい。




この映画は、仲のいい女性同士で行くのがベストかと思います。デートには、ちょっと向かないかも知れませんが、ある意味、男と女の勉強にもなるので、信頼関係があれば大丈夫だと思います。むしろ、見た後に燃え上がったりして…おっとっと。


映画の根底にあるのは、どんな仕事にせよ、自分らしさを失ってはダメだということ。いい仕事ができる人間は、必ず共通の要素があるもの。若いうちにいっぱい苦労した人は、打たれ強くなるもの。そこが大事。


本作は、見る人の性別や年代によって、様々な評価があると思います。俺的には、お姉ちゃんがんばっているなあ、すごいじゃん、っていう印象。彼女のAV作品を見ていないので、的確な評価はできませんが、きっといい仕事をしてるんじゃないかと。通常、AV女優の寿命はせいぜい1~2年なんだそうですが、彼女はなんと5年も売れ続けたそうな。それって、すごいことなんじゃないでしょうか。



AV女優という仕事は、俳優でいうところの女優とは、一味も二味も違う。えっ、一緒にするなって?いやいや、カラダ張って仕事している点では共通の要素があるでしょう。


自分にない部分を演じることは、基本的に不可能だと思うんです。少しでも共有する部分があるからこそ、感情移入とか、共感ができるもの。全く接点がないものは、想像力だけではカバーできないから。


肉体の魅力だけで観客を魅了できるのは、ほんの短い時間だけ。その恵まれたボディを最大限に生かして仕事をするには、並大抵以上の努力が必要なはず。その努力の姿勢は、必ず仕事の内容に反映するものだと思うんです。



本作で感じられるみひろのすごいところは、マイナスの要素も、自分なりに噛み砕いてプラスに展開するところ。中盤のある瞬間から、ああ、彼女はプロの道を歩んでいるな、と感じました。すごい女性です。大したもんだ。彼女が切り開いた突破口は、伝説となってこれからも語り継がれていくことでしょう。


俺は男性なので、女性の気持ちは100%理解できません。それは、しょうがない。だけど、男の目線で見ても、彼女は魅力的だと思います。がんばって仕事している女性は、応援したくなるものだから。



AV女優は、誰でもなれるものじゃない。限られた人だけがなれる。なれたとしても、やり続けられる仕事にするには、影の努力が不可欠である。アイドルや人気歌手や人気女優は、ある程度事務所の力で作られるものなんだろうけど、観客の心に残るのは、ほんの一部の人だけなのだ。それが、本物であるという証拠。


女性の目線で見ると、男なんてみんな同じよ、という意見があるかもしれない。しかし、そうではないのだ。誰でもよければ、同じAV女優が5年も売れ続けるはずがない。その理由が、その秘密が、本作にあるように思うんです。仕事の本来の目的は、人の役に立つということ。その報酬をもらうことで、おまんまが食えるのだから。



新潟県人は、大人しいとか、自己主張が乏しいとか、いろいろ言われたことがあります。しかしそれは、見方が浅い。人間の魅力なんて、常に未知数なのだ。どこでブレイクするかは、誰にもわからない。才能は、万人共通にあるのだ。プロとして活躍できる人には、それなりの使命がある。それを背負って生きることができる人がスゴイのだ。


みひろは、選ばれた人であり、自分の意志で職業を選択した女なのだ。だから、エライ。新潟が生み出した大スターなんです。彼女が苦悩して乗り越えた分だけ、救われた男たちもたくさんいるのだから。



見せたいものと、見えるもの。見て欲しいものと、見たいもの。需要と供給のバランス。ありふれた映像と、貴重な映像。どこにでもいそうな女と、滅多に出会えない女。いい男になったつもりで、いい女との限られた時間を買う男たち。期間限定で、サービスしてくれる女神たち。


脱ぐことは、自分をさらけ出すことである。自分の体を通して、表現したい世界がきっとある。誰にも真似できない、自分だけの魅力をしっかり見て欲しい。そういう気持ちで仕事をしている女性の心を尊重して、男たちはしっかりと見るべし。そして、その美しさを目にしっかりと焼きつけよ!



男には、ロマンが必要なのだ。いつの時代でも、夢を見たいのだ。だから、そういう仕事をしてくれる女性たちは、男たちにとって女神である。どんなに不景気だったとしても、このジャンルは決してなくならないと思う。


みひろは、幸福な女性なのかもしれない。不幸な女性なのかもしれない。でもそれは、他人が決めることじゃない。自分で選んだ、自分だけの人生。彼女が幸福かどうかは、彼女の作品を見ればわかるんじゃないでしょうか。少なくとも俺は、映画に登場した彼女の姿を見て、何となくわかったような気がします。



転職して、天職に出会うことは珍しいことじゃない。若いうちは、心ゆくまで心の旅をするのがいい。人の世話になった分だけ、後から恩返しすればいい。本当に大切なことは、苦悩してこそ理解できるものなのだから。


ひろみが、みひろになり、みひろは、また新しい何かになっていく。だけど、本質は変わらない。いいものはそのままに、磨きをかけて、さらにいいオンナになっていく。素晴らしいじゃないですか。 …新潟のうまい米をしっかり食って、これからもガンバレ!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:10月12日(火) 劇場:シネウインド 21:00の回 観客:3人 舞台あいさつのあった日は、都合が悪くて行けませんでしたが、購入したパンフには、しっかりサインがしてありました。エヘヘ、照れるなあ。


【上映時間とワンポイント】

1時間46分。原作は、ヤングマガジンでコミック化もされています。


【オススメ類似作品】


「ベティ・ペイジ」 (2006年アメリカ)

監督・脚本:メアリー・ハロン、出演:グレッチェン・モル。本作を見て、真っ先に思い出したのはコレです。1950年代にブレイクした、知る人ぞ知る伝説のピンナップ・モデルの物語。彼女の健全なお色気は、世界中の男性をとりこにしたそうな。俺は生まれていないのでわかりませんが。映画の彼女は、自然体で美しい。屈託のない笑顔は、まさに女神。監督と脚本が女性であるという点でも、本作との共通点は多いかも。


「桑の葉」 (1985年韓国)

監督:イ・ドゥヨン、原作:ナ・ドヒャン、出演:イ・ミスク。レンタルビデオ創成期に、一時期ブームになったコリアン・エロス。1920年代の小さな村で、美人の嫁さんが受難に遭う物語。美しい人は、やっぱり苦悩があるんですなあ。彼女自身は、優しくてとってもいい女なのに、どうしてこうなってしまうんでしょうね。シリーズは確か3作目くらいまであったかな。


「カンゾー先生」 (1998年東映)

監督・脚本:今村昌平、原作:坂口安吾、出演:柄本明。冒頭のシーンが好きです。麻生久美子が売春をして弟たちを食わせているという設定が、リアルで感動しました。『…ねえちゃん、ハラへって死にそうじゃ。いんばいたのむ。』 その“激しいおなご”が、看護士として転職します。一生懸命働く女性は、やっぱり美しい女神なのだ。




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