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2010-09-23

おにいちゃんのハナビ

テーマ:邦画

かわいい妹の純粋な気持ちが、心の導火線を熱くしていく。


2005年に放映された、中越地震から1年後の被災地を取材したTVのドキュメント番組において、新潟県小千谷市の片貝まつりの打ち上げ花火にまつわる実話が注目を浴びたことにより、映画化が実現。新潟先行ロードショーとして、全国より一足早く公開されたので、新潟県人として、しっかり見て参りました。


監督は、国本雅広。脚本は、西田征史。撮影は、喜久村徳章。音楽は、小西香葉・近藤由紀夫。主題歌を歌うのは、藤井フミヤ。


出演は、高良健吾、谷村美月、大杉漣、宮崎美子、佐藤隆太、佐々木蔵之介、塩見三省、岡本玲、早織、尾上寛之。


さて、映画ですが、直球ストレートな作品に仕上がりました。こういうシンプルなスタイルは、たまに見ると新鮮に感じます。わかりやすく丁寧な演出なので、しみじみとご覧下さい。


病気で入院していた妹が、退院して家に戻ってくると、兄は引きこもりになっていた。明るく振舞って兄を励まし、健気にがんばる妹であったが…。



主演は、高良健吾。彼は、なかなか面白い俳優ですねえ。「M」や「ハゲタカ」を見た時は、固い演技をするなあ、肩に力が入り過ぎかもなんて思っていたんですが、「蛇にピアス」や「南極料理人」では、思いっきり砕けてました。もしかしたら、器用な男なのかもしれない。で、本作の役柄は、頭はいいけどナイーブで不器用な兄。ううむ、何だか彼でちょうどいい感じがします。


プライドがあって、気難しいところがあるけど、根は優しい。だから、人一倍悩むんですねえ。引きこもりとしてはまだ軽症のようなので、きっかけがあればすぐに立ち直れそう。ちょっとスネているだけですね。


その彼が唯一心を開く相手は、療養中の妹。演じるのは、谷村美月。頬がぽっちゃりしている彼女は、病弱な役柄はどうかとも思うのですが、映画を見る限り、それは杞憂であったようです。いい演技でした。そしてかわいい。こんな健気な妹だったら、俺も欲しいなあと思いました。


父親を演じるのは、大杉漣。寡黙で物静かなタクシードライバーですが、人にも自分にも厳しい人…というイメージ。母親は、またしても宮崎美子!もう母親役といえば彼女を連想するようになってしまいました(笑)。よく見ると、笑顔にも色んな種類があるんですねえ。嬉しくで笑う。おかしくて笑う。気まずくて笑う。勇気を振り絞って笑う…。本当に勉強になります。母親って、いいもんだなあ。 (彼女は、現在公開中の「悪人」にも出演中)



学校の先生は、佐藤隆太。田舎の素朴な教という雰囲気が笑えます。ベタベタだけど、作品にちゃんと溶け込んでます。妹の同級生の1人に岡本玲。彼女のカタコトの新潟弁がカワイイなあ。(谷村ちゃんはかわいい、玲ちゃんはカワイイ。ここがポイントです)


花火職人は、塩見三省。出番は少ないですが、シブいオヤジでした。病院の先生は、佐々木蔵之介。しっかし、豪華キャストだなあ。実力派の演技陣に囲まれて、観客も映画の世界の住民になって、花火の導火線の温度を上げていきましょう。



本作は、家族や仲のいい友達どうしで見に行くのがちょうどいいと思います。あるいは、家族に問題を抱えている人や、家族の絆を大切にしている人、家族の愛情に飢えている人など、あらゆる人への処方箋になる良薬です。本当の意味でのエンターテイメント性というのは、人の心の中にあるのだから。


ただし、デートで行くカップルは要注意。マジで泣けてしまうので。俺は普段こんなこと言わんのですが、本作に関しては別格。実話であるし、観客が泣いてあげることで、多くの魂の供養になると思うから。だから、男性も遠慮なく泣きましょう。泣いた方がオトクです。泣き顔を彼女に見られたくなかったら、こっそり1人で見にいきましょう。そして2度目で彼女を誘ってあげてはいかが。



花火というのは、何とも不思議な文化であると思う。火薬というのは、戦争の武器として使えば爆弾や銃火器になるけど、空に打ち上げて楽しむ娯楽にしてしまうところが、人間のすごいところです。


花火の起源は諸説があるようですが、日本に伝わったのは、16世紀の鉄砲伝来以降。江戸時代になって戦がなくなった頃から活発になったそうです。鍵屋、玉屋の二大花火師が登場したのもこの時代。物騒な国だと、敵襲と誤解されやすいし、火薬自体がもったいないから、平和な日本で普及した理由は何となくわかりますね。(ウィキペディアを参考)



片貝まつりの花火は、長岡まつり、ぎおん柏崎まつりと合わせ、“越後三大花火大会”として有名。長岡市、柏崎市に対して、片貝は“片貝町”であることにご注目。花火大会の正式名称は、“浅原神社秋季例大祭奉納大煙火”。町民が、子供の誕生や成人、還暦など、人生の節目となる年を祝して、神社に奉納する形で打ち上げられる花火。400年の歴史がある伝統行事だっていうから、すごいもんです。


毎年9月9日、10日の2日間にわたって、15000発の花火が打ち上げられます。俺も子供の時に2回くらい連れて行ってもらった記憶があります。また行きたいなあ。四尺玉は、直径800メートルくらいに広がるド迫力!



主人公の“おにいちゃん”は、19歳。来年は成人の花火を上げる年だからと、妹にせがまれて、小さな行動を起こす。もともとよそ者であり、性格も暗い彼は、地元の人間になかなか溶け込めない。すぐにくじけそうになる彼であったが、そんな時背中を押してくれるのは、妹の存在であった。


彼の表情が、少しずつ変わっていくことに注目して下さい。心の問題というのはそう簡単に解決するもんじゃないけど、本作は、じっくりと丁寧に、彼の心を育てていきます。まるで、花火を丹念に作っていくように…。



心のこもったものは、どんなものであっても、どんな形であってもうれしいもの。それは、贈る側の魂がこもっているからかもしれない。それが伝わるかどうかは、両者の関係の、心の深さによって決まる。


本作は、ストレート過ぎてちょっと気恥ずかしくなってしまう場面も多い。ベタベタで、おいおいって言いたくなる場面もある。でもね、そこがいいんです。この映画は、正直な心で作られているんです、きっと。だから、細かい点を攻撃しようという気にならないんだなあ。


新潟のローカルネタだから甘いんだろう、と思われてしまいそうですが。そんなの当たり前じゃん!(笑) だけど、それを差し引いても、この映画はいい作品だと思う。思い出し笑いじゃなくて、思い出し泣きしそう…え~ん。



花火って、見る時の精神状態によって感じるものが違うのかもしれないですね。子供は無邪気に。青年は楽しく。おっさんはしみじみと…。夜空を彩る、不思議な光。お腹に響く、低周波。身体の中も、心の中も、悪いものを追い出してきれいにしてくれそうな、幻想なひととき。


人と人との、不思議な縁。魂と魂の、不思議なつながり。見えない力に支えられて、今日という日を生きていく。楽しかった思い出も、つらく悲しい傷跡も、大輪の花となって打ち上げよ。空に昇った情念は、浄化されて昇華する。涙も怒りも悔しさも、この一瞬で吹き飛ばせ!



いや~、花火ってホントにいいもんですね。では、夜空でお会いしましょう。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:9月21日(火) 劇場:ワーナーマイカル県央 21:25の回 観客:5人

11日から公開してたんだけど、「悪人」を先に見たかったもんで、こっちは後回しになっちゃいました。新潟先行ロードショーって、ちょっとプレッシャーだよなあ。


【上映時間とワンポイント】

1時間59分。ところどころに、新潟弁が登場します。何だかくすぐったいけど、うれしい。エンディングテーマの藤井フミヤの歌は、本作のために書き下ろしてくれた力作。ありがたいことです。


【オススメ類似作品】


「シンデレラ・マン」 (2005年アメリカ)

監督:ロン・ハワード、出演:ラッセル・クロウ。本作を見て、真っ先に思い出したのはコレです。ボクシング映画なので題材は全く違いますが、ストレートなスタイルがおんなじだと思う。この映画を見た時は、まだブログも駆け出しの頃で、何をどう書けばいいか迷ったっけなあ。本作と同様の意味で、これも家族思いのいい映画です。記者会見でのあの名セリフは、何度聞いても笑えます。(2005年ランキング名セリフ編を参照)


「マリと子犬の物語」 (2007年東宝)

監督:猪俣隆一、出演:船越英一郎。中越地震のさなか、健気に生き抜くわんこの物語。『…マ~リ~!』 と叫ぶ絶叫少女のおたけびは、今でも心に残っています。


「チェスト!」 (2008年ティ・ジョイ)

監督:雑賀俊郎、出演:高橋賢人。ローカル映画として記憶に残っているのはこの1本。鹿児島県の松原小学校の伝統行事「錦江湾横断遠泳大会」にまつわる物語。泳げない少年が主人公なので、泳げるようになりたい人にオススメ。先生役は、ゲゲゲの松下奈緒。俺としては、羽田美智子のうろたえぶりがエロかったなあ。

「南極料理人」 (2009年)

監督:沖田修一、原作:西村淳、出演:堺雅人。南極観測基地ドームふじにおいて、料理人として派遣された男たちの寒くて熱いドラマ。高良健吾が、おとなしい青年として出演しています。引きこもりの本作とキャラが似ているので、合わせてお楽しみ下さい。ちなみに「M」では、本作とおんなじ職業をやってます。いずれも、本作を見てからだと笑えます。


「カナリア」 (2004年シネカノン)

監督:塩田明彦、出演:石田法嗣。谷村美月の映画デビュー作。14歳にしてこの演技はスゴい。コドモなのに、何でこんなに色気があるんだろう。不思議な印象のある作品。彼女は、「リアル鬼ごっこ」といい、「魍魎の匣」といい、本作といい、受難の役柄が多いですな。


「Dear Friends」 (2007年東映)

監督:両沢和幸、原作:Yoshi、出演:北川景子。難病ものからも1本ご紹介。主人公は、カリスマギャル。だから始末が悪いこと。敵も多いから、パワーダウンすると途端に攻撃対象にされてしまう。この映画では、親友役の本仮屋ユイカにご注目。本作の兄妹の立場と、何だか構図が似ているような感じがしませんか?


「ポストマン・ブルース」 (1997年日活)

監督・脚本:サブ、出演:堤真一。病魔と闘うヒロインを演じるのは、遠山景織子。しかし注目して欲しいのは、本作で父親役を演じる大杉漣が、同じく病魔に冒された殺し屋として登場するところ。“殺し屋選手権”に命を懸けるストイックな男が、自転車で駆け抜けていく…手信号がカッコいい!




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2010-09-20

最近読んだ本

テーマ:

秋の夜長は、読書で盛り上がりたいところですが、最近はすぐに眠気が来てしまって、夜遅くまで本を読むことが少なくなりました。そんなワケで、今回は気軽に読める本6冊をご紹介。




「文章は接続詞で決まる」 (石黒圭著 光文社新書)


興味をひくタイトルだったので、手に取りました。文章を書くプロではないので、あんまり文法とか文脈とか考えずに書いてきたもんで、読めば読むほど恥ずかしくなりました。接続詞の使い方って、やっぱりセンスなんですね。人柄とか性格とか、出てしまうんだそうです。あっはっは、それもまたよろしいかと。



「隠し剣狐影抄」 (藤沢周平著 文春文庫)


藤沢文学を読むのは初めて。なるほど、エロくて深い世界ですねえ(笑)。映画はもっとこのエロさを強調すべきだと思いました。そういう意味では、「必死剣鳥刺し」は上出来な方かもしれない。「隠し剣鬼の爪」は、原作の方がムチャクチャ興奮しました。キャストを変更して、もう1回映画化して欲しい!山田洋次監督には、エロは無理みたいだし。ここはひとつ、若松監督の出番か?


中でも、「女人剣さざ波」は感動的でした。最後のダンナのセリフが泣けます。いい女だなあ。今の世の中にも、こういう美しい心を持った女性はいっぱいいると思う。男たちは、目を見開いて彼女の心を見つめるべし。


男は、自分だけの隠し剣を持っている。普段は隠していて、いざという時に抜く必殺技。いい女を抱いた代償は、キッチリ払わされる。それもまた、世の道理なのかもしれない。隠し剣でしっかりヌイて、隠し剣を抜いて決着をつける。いいですねえ、男のロマン!



「黒笑小説」 (東野圭吾著 集英社文庫)


「怪笑小説」「毒笑小説」という本と一緒に並んでいたので、とりあえずこれかなあと思って読んだんですが、これが第3弾だったらしい(笑)。何だか、読む前からブラックな笑いに包まれてしまいました。全13話で構成される、バラエティ豊かな短編集です。下ネタもけっこう多くて、特に「インポグラ」は爆笑でした。アニメキャラ商品に振り回されるファミリーを風刺した「臨界家族」は、何だか切なかったなあ。



「デキる人は言い回しが凄い」 (日本語力向上会議 角川ONEテーマ21)


いかにもなタイトルですが、それなりに内容がありそうなので読んでみました。若者言葉にツッコミを入れるのも、オヤジ側の言葉のセンス次第。なるほどと思う反面、説教くさいなあと思う部分もあります。大人社会で対等にやり合おうと思うなら、読んでおいて損はないでしょう。しかし、言葉というのは、最終的には人柄が表れるものなので、人間力を磨くこともお忘れなく。優等生にならなくてもいいから、バランスのいい大人を目指したいと思いました。



「ワルに学ぶ会話の心理術」 (内藤誼人著 王様文庫)


これもまたいかにもなハウツー本のようですが、小ワザがたくさん出ているので、何かしら役に立ちそうな1冊。自分が無意識にやってきたことって、そういうことだったんだという発見もあったし、そんな言い方俺にはできんなあという箇所もありました。やっぱり俺って、ワルにはなれない男なんですね(笑)。



「読むだけですっきりわかる日本史」 (後藤武士著 宝島社文庫)


そんな都合よくわかるもんか、と思って購入してしまいました(笑)。歴史が嫌いな人、苦手な人向きに書かれた本だそうですが、全く興味のない人はそもそも買わんでしょう。これはたぶん、すでに歴史を充分理解している人が、ど忘れしたことをすばやく確認するためにある本ではないかと。膨大な内容を無理矢理1冊にまとめるのは、大変な作業だったことでしょう。歴史に対するその熱意が、ビンビンに伝わって来る力書です。


学習塾経営のプロが執筆していることもあって、文章自体はかなりくだけていてわかりやすい。話し言葉で書かれているので、プライドの高い大人が読むとムッとする可能性もあるかも。でも、俺は大丈夫。よくわからんから。一気に全部読破するのは非常に疲れそうなので、調べたい時にちょこちょこ読もうかと思います。





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2010-09-20

悪人

テーマ:邦画

ギョーザと酒の勢いで、イケメンにアプローチするのはやめましょう。 …イカが見ているぞ!


監督は、新潟県出身の李相日(り さんいる)。在日コリアン三世で、「フラガール」を監督したおっちゃんですね。原作は、吉田修一の同名小説。脚本は、監督と原作者の共同。撮影は、笠松則通。音楽は、久石穣。主題歌を歌うのは、福原美穂。


出演は、妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明、宮崎美子、光石研、塩見三省、松尾スズキ、余貴美子、井川比佐志、モロ師岡、でんでん、永山絢斗。



さて、映画ですが、人間味あふれるシュールな作品に仕上がりました。表向きはシリアスな感動作というスタイルですが、俺的にはけっこう笑えます。クールな小ワザもピリリと効いて、なかなか奥が深い。観客の想像力によって、印象のまるで違う映画になるでしょう。後ろめたい恋をしているカップルは、ぜひデートのお供に。


出会い系サイトで知り合った男は、殺人犯であった。このまま別れた方がいいと思う反面、心の中には捨てがたい感情が大きくなっていく。2人は、一緒に逃亡することを選択するが…。



主演は、妻夫木聡。原作小説を読んで、演じることを熱望してこの役を獲得したそうです。なるほど本作での彼は、言われなきゃわからないほど、妻夫木聡としてのオーラを消している。けれど、基本がイケメンなので、どんなに小汚くしてもダサダサにしても、好青年に見えてしまうんですね。育ちもよさそう。


見た目悪人には見えないけど、得体の知れない男という雰囲気は出ていると思うので、彼としてはよくがんばったんじゃないでしょうか。うまいかどうかは別として、つかみどころのないキャラとしては成功していると思います。主人公がどういう種類の人間なのかは、映画を見て判断しましょう。



ヒロインを演じるのは、深津絵里。普通の女性なんですが、何か変化を求めている表情がなかなかよろしい。何だか思わず、手を引いてどこかへ連れて行ってあげたくなる雰囲気がありますね。


性格は、誠実で優しい。今どきの世の中で考えたら、国宝級のお人好しです。その反面、無防備で危なっかしい部分もあります。ううむ、なかなか目の離せない女ですな。


田舎の小さな町で、つつましく暮らしていた彼女は、男性に縁がなかった。家と職場との往復だけで年を取って行くだけの人生…と思っていたところに、待望の彼が現れた。しかし、それはトンデモない彼氏だった!



本作の彼女はスゴいです。正直、ここまでやるとは思っていませんでした。濡れ場もキッチリ演じて、大人の女優の演技をしています。モントリオール映画祭で最優秀女優賞を受賞したのもうなづけます。ああ、何ていい女なんだろう!妻夫木君にはもったいないくらいの、女神のような女。何でまた、あんな男に惚れちまったんだ?


その謎は、映画を見ると少しずつわかってきます。人を好きになるのに理由なんかないんだけど、惹かれる理由は、実はちゃんとあるんです。ただ、簡単に説明できないだけ。恋愛のプロと呼ばれる人たちは、そういうことをきちんと理解しているんでしょうね。でも本作では、言葉で結論を出したくない。感じたままの余韻を、いつまでも大切にしておきたいたいから。



初恋というのは、どんな形であれ、純愛である。愛は、人の心をを動かす。一方的に好きになって実った恋じゃない。出会って、忘れられなくて、放って置けなくて、会いたくて、一緒にいたくて…気がついたら愛していた。その純粋無垢で素直なところが、主人公の心を変化させていくんですねえ。


そんなわけで、この2人の組み合わせだからこそ味わえる、絶妙な駆け引きをお楽しみ下さい。おいおいっていう場面も多いですが、若いカップルなんてこんなもんでしょうって。その初々しさがいいじゃないですか。



これは、大人の恋愛ではなく、青春映画だと思います。期間限定の恋っていうと、どちらかが難病だったりするパターンが多いですが、本作は犯罪がからんでいるので、時間が限られていること以上に、後ろめたさがプラスされます。不倫の後ろめたさとは異なる、スリリングな緊張感。


犯人が妻夫木聡以外のうまい役者だったら、また違った映画になったと思う。しかし、彼だからこそ、深津絵里の熱演が輝きを増したことは間違いない。こんないい女が惚れたあいつは何者?という疑問が、観客を最後まで引っ張っていくように思えるのです。



そしてもう1人、殺される被害者を演じた、満島ひかりにもご注目。いやあ、すげえすげえ。何て憎たらしい女!こんな女は、思わず殺したくなってしまいますな(笑)。妻夫木が殺さなくても、誰かに殺されていたかもしれない。そういう女を演じられる若い女優さんって、ホントに貴重だと思います。出番は少ないですが、強烈な印象が残りました。男運の悪い女を演じたら、彼女は最強ですね。


ここで殺されなかったら、いい感じで「川の底からこんにちは」でつながっていくところですね。悪い子じゃないんだけど、たまたまギョーザ食って、酔っ払って、偶然が重なって、自意識過剰な性格が災いして、とても憎たらしいキャラがインスタントに出来上がって…ああちくしょう、何であんたはギョーザ食ったんだ(笑)!



彼女の両親を演じるのは、柄本明と宮崎美子。おお、これはまた強烈な組み合わせ。柄本明の沸騰するような演技は、頭から立ち上る空気のユラユラ感がたまらんかった。「さまよえる刃」も、彼が主役だったら面白くなったのにねえ。宮崎美子は、「デトロイト・メタルシティ」のクラウザーさんの母親でもある。もし夫婦で仕返しモードになったら、犯人の家族も皆殺しだ!SATSUGAIせよ!恨みはらさでおくべきか!



主人公の母親を演じるのは、余貴美子。「おくりびと」を思い出す役柄でした。祖母を演じるのは樹木希林。「半落ち」を思い出す役柄でした。他にも、金持ちのイケメン青年役に岡田将生、刑事役に塩見三省、変な商売やってるおっさん役に松尾スズキといった、個性的な役者がいっぱい出ています。主人公をとりまく人たちの人間模様が繊細に描かれているところも、本作の味わい深いポイントですので、腰を据えてじっくりとご覧下さい。



パンフ記事によると、プロデューサーの仁平知世氏は、李監督にオファーした理由を次のようにコメントしています。『…「フラガール」を見て、人間の感情に正面から向き合う、誠実な演出だと思いました。また、内容のクオリティがヒットに繋がるという、作品自体の底力を感じる映画でした。』


李監督作品の特徴は、「フラガール」の時もそうだったけど、場面が移り変わる時の余韻がとてもいいんですね。登場人物の気持ちがつながっていくような、丁寧な印象を受けるんです。ぬくもりを感じさせるような、血の通った演出。素晴らしいプロの監督を生み出すことができて、新潟県人としてうれしい限りです。

その中でもひときわ異彩を放ったのが、イカの刺身が出てくるシーン。このイカから次の場面に移行するんですが、その切り替わり方がスゴい。これではまるで、イカが目撃者だったように思えるではありませんか。 …そうか、イカが全てを見ていたんだ!イカは見ていた!ジャ~ジャ~ジャ~ジャ~ン!


何気ない場面かもしれないんですが、異様な感覚というか、緊張感のようなものが駆け抜けました。ううむ、これは言葉にできない、心理的効果を狙ったのかも…というのは考え過ぎか?悪いことは全部見られているぞ~、なんてね。李監督、この場面の意図を教えて下さい。気になって眠れないよう。


そんなワケで、何とも変てこな場面でした。これから劇場に行く人は、イカ刺しが出てきたらちょっと注目してみて下さい。それとも、この場面に食いついたのは俺だけか? …悪いことはするもんじゃねえ、イカがお見通しだよ!




“悪人”って、どんな人間なんだろう、と時々思う。俺の感覚では、人の気持ちがわからない、身勝手でわがままな人間というイメージです。それでなくても、世の中にはズルい人間が多すぎる。力のない弱い者は、いつもその犠牲になってしまう。いい人間ほど短命だったりするのはどうしてなんだろう?


本作には、本当の意味での悪人は登場していないように思えるんです。そうでなければ、全員が悪人と言えるかもしれない。むしろ、プチ悪人といったところか。俺も、どちらかといえば悪い人間の部類かもしれんから。


誰もが、そういうダークな部分を持っている。そう思えれば、本作の出来事は他人事じゃなくなる。自分だったらどうするかをよく考えて、殺人恋愛駆け落ちシミュレーション・ツアーを体験しましょう。皆様、どうぞご無事で。



本作の主人公は、殺人を犯す前までは、普通の青年だった。むしろ、家族思いのいい若者。それが、殺人によって全てが一変してしまう。つい出来心でやってしまった、というレベルの犯罪ではない。どんないい人間であろうと、殺人という重罪を犯したら、その報いは受けなければならない。それが、社会のルールであるから。


誰でも、憎らしい人間や、殺したい人間の1人や2人はいるでしょう。(いないか) それを実行するかどうかは、ほんの紙一重なんです。それが恐ろしい。善意を実行すれば善人となり、悪意を実行すれば悪人となる。過失とか、未必の故意でなく、殺意があればまちがいなく殺人。そうならないように、この映画を抑止力として社会のために役立てましょう。ぜひ、刑務所でも公開していただきたいと思います。



映画の中で、犯行の場面をよく見ていて下さい。殺人が起きるいきさつのひとつひとつを。被害者は、自分が殺されるなんて微塵も思わなかった。加害者も、助けようとしただけで殺すつもりなんかこれっぽっちもなかった。双方、自分のことを棚に上げて、相手を責める、責める、責める。場所も、自分が置かれている状況も考えずに…。


2人が向き合ったその絶妙なタイミングで、お互いの心理状態が化学反応を起こすように、激しい口論となってしまった。こうなると、もう止められない。それが恐ろしい。痴話ゲンカ常習犯の人は、最悪の結末にならないように、映画を見て回避する方法を考えてネ。


2人とも、そんなことは望んでいないのに、何かに引き込まれるように、次第に、ジワジワと、黒い渦に巻き込まれていく…そういう恐怖感がたまらんかった。ここまで踏み込んでしまうと、自業自得という他はない。ほんの少し、タイミングがずれていたら…事件は起きなかった。出会い系サイトで遊んでいるおねーちゃんたちは、ここんとこをしっかり頭に叩き込んでおくべし。 …逃げるタイミングを誤るな!



映画の2人は、普通に出会っていたら、普通のカップルになれたかもしれない。しかし、普通に生きていたら、2人は出会わなかったかもしれない。殺人犯だってわかっていたら、会いに行かなかったかもしれない。もうほんの少し早く出会っていたら…。そう思うと、切ないですねえ。


だけど、2人は出会ったことを後悔するだろうか。あんたのせいでこんな目に遭った、と恨むだろうか。画面の2人を見ていれば、すぐにわかる。わかるからこそ、見ている側も何かを考える。共感し、反発し、共に行動している感覚になるのだ。映画館という限られた空間で、限られた時間で、2人とともに観客も心の旅をしていく。そして、何かを学ぶのだ。


ね、何だか自分も恋愛した気分になりませんか?良質の恋愛映画とは、そういうものなんです。わかりやすい恋愛映画ばかり見ている人には、わからないと思う。彼女が、どうして彼を好きになってしまったのか。それは、彼女を見ていればわかる。そういう演技ができる女優だからこそ、評価されたんだと思います。そういう意味では、大人の演技でした。そう、オトナの演技でした…エッヘッヘ。



本気の恋を経験した人には、微笑ましい場面もいっぱいあります。彼らの青くささが、何だか懐かしい気分にさせてくれるような、何とも言えないノスタルジック・メモリー・アゲイン。(なんのこっちゃ)


重ねて言いますが、自分とは関係ない話としてとらえるか、自分に当てはめて考えるかで、映画の印象は全く違ったものになると思います。どうせなら、のめり込んで映画を楽しみましょう。ちなみに、俺だったらこうするかなあ、ああやって、こうやって…ウッヒッヒ。



人と人が出会う確率、親しくなる確率、友達になる確率、恋人になる確率を考えれば、人と人が愛し合うということは、宇宙と宇宙が1つになって、新しい宇宙が生まれるというくらいの奇跡なんです。その素晴らしさ、美しさの価値は、当人同士にしかわからない。それでいい。それまでの人生が、嘘で固めた偽りだったとしても、この瞬間の気持ちだけは本物。実らない恋だったとしても、心に刻んだことは、一生の宝物だから。自分が生きたことの証しだから。


恋愛とは、覚悟である。恋愛気分を味わいたいなら、恋愛ゴッコで充分。本気の恋って、けっこうしんどいもんです。だからこそ、命がけで燃え上がるんです。狂おしく抱き合えるんです。身も心も溶けてしまいそうな、美しい瞬間をどうか忘れずに。



命短し、恋せよ乙女。真心は、凍った心を溶かし、冷え切った感情に血を通わせる力がある。人間には、素晴らしい機能がたくさんあるのだ。握った手を離さずに、暗闇の中を突き進むべし。答えは、その向こう側にある。 …しっかりと青春を味わえ!イカも見ているぞ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:9月11日(土) 劇場:ワーナーマイカル新潟 15:20の回 観客:約100人

実は、初日に行きました。女性客とカップルが多かったなあ。

“悪人製作委員会”って、何だか言葉的に笑えますね。


【上映時間とワンポイント】

2時間19分。映画のことを妻に話したら、すかさず夕食にギョーザが出てきました(笑)。スーパーに行くと、パック詰めされたイカの目が…くそう、俺を見るんじゃねえ!


【オススメ類似作品】


「春の雪」 (2005年東宝)

監督:行定勲、原作:三島由紀夫、出演:妻夫木聡。彼は、本作よりもこの映画の方が、素晴らしい悪役っぷりでした。彼に振り回される女性を演じるのは、竹内結子。ううむ、ある意味おんなじ映画かもしれんなあ。


「博士の愛した数式」 (2005年アスミック・エース)

監督:小泉堯史、原作:小川洋子、出演:寺尾聡。深津絵里の演技が初めて素晴らしいと思ったのは、この映画です。80分しか記憶が持たない博士の家に、家政婦として雇われたシングル・マザーの物語。本作を見て、彼女に興味を持った人にオススメの1本。


「フラガール」 (2006年シネカノン)

監督・脚本:李相日、出演:松雪泰子。内容はシンプルでわかりやすいストーリーなんですが、肉付けが味わい深い映画として印象に残っています。駅のホームでフラダンスを踊る場面は、’70年代の青春ドラマみたいで熱かったッス。フラの動作には手話の意味があるということを、この映画で知りました。


「悪党」 (1965年東京映画)

監督:新藤兼人、原作:谷崎潤一郎、出演:小沢栄太郎。タイトルが似ているので、古い映画もついでにご紹介。こっちは、複数形であることにご注目。品性のかけらもない、モテない権力者が、美しい人妻に惚れてしまったことから起きる騒動の物語。見終わった後は、誰が本当の悪人なんだろうと考え込んでしまいます。ある意味、全員?だから悪党?未だにわかりません。


「ヘブンズ・ドア」 (2009年アスミック・エース)

監督:マイケル・アリアス、出演:長瀬智也。本作を見てヘコんでしまったカップルには、この映画をオススメしたい。意図せずに犯罪者になってしまうところはおんなじですが、こちらはとことん明るい。追いかける警察がマヌケなのも爆笑でした。 …WHERE IS 犯人?




【追記】

後で気づいたことですが、問題のイカのシーンは、ヒッチコック監督の「サイコ」かもしれないですね。シャワー室の殺害場面で、排水溝のアップからジャネット・リーの瞳にかぶるところ。「SPACE BATTLESHIP ヤマト」でのデスラーのセリフが、たしか「サイコ」だったなあと思ってDVDで確認していた時に見つけました。一応付け加えておきます。(2010年1月、ランキング記事執筆中にて)




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2010-09-16

キャタピラー

テーマ:邦画

這いつくばって、おっ立てて、泣いて怒って、流血する神様。 …生きることそのものが戦争!


“caterpillar”とは、“(戦車などの)キャタピラー”という意味の他に、“芋虫・毛虫・青虫”という意味があります。たしかポケモンにも、キャタピーっていうのがいましたね。進化すると、トランセル、バタフリーになるやつ。


企画・製作・監督は、若松孝二。脚本は、黒沢久子、出口出。撮影は、辻智彦、戸田義久。音楽は、サリー久保田、岡田ユミ。主題歌を歌うのは、元ちとせ。


出演は、寺島しのぶ、大西信満、川原さぶ、石川真希、小倉一郎、地洩豪、ARATA、篠原勝之、吉澤健。


さて、映画ですが、思ったよりマトモな作品に仕上がりました(笑)。「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」がスゴかったので、覚悟をして劇場に行ったんですが、割りと安心して見ることができました。しかしながら、一般人にとっては、かなり強烈な作品であると思うので、それなりに覚悟して行きましょう。勉強になる映画です。


戦争に行った夫が、変わり果てた姿で帰ってきた。手足は吹き飛ばされ、顔は大火傷をしてただれ、耳は聞こえず、話すこともままならない。そんな夫は、“軍神”として祭り上げられ、たくさんの勲章を授かった。肉ダルマのようになった夫は、食欲と性欲だけが旺盛であった…。



主演は、寺島しのぶ。ご存知の通り、ベルリン映画祭で銀熊賞を受賞しました。なるほど、鬼気迫る渾身の演技でした。彼女の表情や仕草には、セリフを超えた迫力があります。姉さん、いい仕事しましたね。


キャタピラー夫を演じるのは、大西信満(おおにししま)。彼は、「赤目四十八瀧心中未遂」で寺島しのぶと共演し、「実録・連合赤軍」で若松監督作品にも出演しているので、信頼関係があっての起用ではないかと。ご本人はちゃんと手足がある人なので、本作はCG処理をしているんでしょう。(まさか、本当にぶった切ったりしてないですよね、監督)


この2人、とにかくすごいです。台本に具体的なセリフがない場面では、アドリブで即興で演じたらしい。だから、意味不明であっても、それが人間の生の感情なのだ。この緊迫した役者魂を、どうかお見逃しなく。



本作は、新潟県でロケをやったそうな。微妙な新潟弁も少し登場するので、新潟県人のみなさんは苦笑しましょう。「マリと子犬の物語」では思いっきり標準語だったので、ちょっぴりローカル気分。


彼女の役柄が新潟県の女性なら、なるほどと思う部分もある。新潟の女性は、ひたむきで辛抱強いですからね…なあんて、言ってみただけで~す!


でも、俺の知る限り、何で貴女みたいないい女が、こんな男と…っていう組み合わせはいっぱいいます。彼女たちに聞くと、『…だって、他に男の人を知らないもの。』 なんて言うんですよ。たまんないですよねえ。


新潟に限らず、いい人なのに、良縁に恵まれない人はいっぱいいるんでしょう。ましてや、戦争当時なら、女性の身分はかなり低い。自己主張なんて許されない。そういう背景もしっかり踏まえて、映画を見ましょう。現代にも通じてくる何かが見えてくるはず。昔も今も、男と女の本質はそんなに違わないと思うから。



江戸川乱歩の短編小説に、「芋虫」という作品がある。当初は、これを原作として映画化する企画だったらしいが、大人の事情でこういう形になったみたい。パンフ記事では、『…乱歩の「芋虫」と、アメリカ映画「ジョニーは戦場へ行った」などの作品から感じ取ったイメージの影響が頭の中にありました。』 という監督のコメントが掲載されています。


確かに、「芋虫」ほどエロくないし、「ジョニー」ほどお行儀よくない。なるほどこれは、やっぱりワカマツ映画としてのオリジナル作品なんでしょう。俺、もっとエグくてエロいのかと思っていたので、何だか小じんまりしているようにも感じました。時間も短いし、シンプルでコンパクトでわかりやすい。クドくないから、海外にウケたのかもしれないなあ。



しかしまあ、夫婦と言えども、この状態はしんどい。やっぱり、コミュニケーションを取れないのはつらい。夫が唯一元気な部分が、チンコだけというのも悲しい。下半身のマグナムだけが、生きている証し。チンコだけふっ飛ばされた方が、まだ幸せだったかな?


劇中で、夫は口で鉛筆をくわえ、文字を書こうとする。しかし、長時間かかって書いた言葉は…「○○○○」。これは爆笑でした。ネタバレするのでお教えできませんが、年末の名セリフランキングで間違いなくランクインするでしょう。お楽しみに。



あまりに悲惨だと、もう笑うしかない。どん底を味わった人なら、わかると思う。だって、嘆いたってどうしようもないんだもん。グチるのも疲れるし、落ち込むのも疲れる。死ぬのも面倒くさいし、深刻になるのもいい加減飽きた。そんな時、人の精神はどうなるか。やっぱり、こうなるわな。



生きることは、戦いである。俺は戦争体験がないので、偉そうなことは言えない。戦争体験があるから偉そうなことが言える、というもんでもないと思う。誰だって死にたくないし、人を殺したくないし、殺されたくない。そんなことはわかっている。


戦争というのは、なくそうとしてもなくならないのだ。いじめや差別がなくならないように、強い者が弱い者をいたぶるのは、人間の悲しい性なのである。



命や尊厳は、いとも簡単に踏みにじられる。現実世界でも、ネット世界でも、人間がやっている以上はおんなじ。大勢で1人を攻撃する習性は、どこに行ってもなくならない。いくら逃げても、またブチ当たる。


だから、どこかで踏み越えるしかない。自分なりにケリをつけるしかない。正しいとか間違っているかではなく、自分が人間らしく生きるために、自分の脳で、自分の心で結論を出すのだ。自分で決めたことは、自分で責任を持つこと。人のせいにしてはいけない。



本作で学ぶべきことは、覚悟することである。逃げないで、立ち向かうことである。できないと嘆く前に、どうやったらできるか考えることである。適応というのは、自分が100%人に合わせることではないのだから。


“反戦”というのもまた、戦いである。どこにでも強者と弱者はいるし、加害者と被害者はいる。弱者が力を持ったとたんに強者になる。強者が力を失ったとたんに弱者になる。立場なんて、いくらでも逆転する可能性があるのだ。



虐げる者よ、驕るなかれ。汝はいつか滅ぶなり。その時こそ、己の罪を思い知るべし。だから、虐げられる者よ、嘆くなかれ。 …牙を研ぎ澄まして、その瞬間を待て!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:9月4日(土) 劇場:シネウインド 14:45の回 観客:100人以上(超満員)

「川の底からこんにちは」を見て出てきたら、すっげえ人だかり。86席しかない映画館なのに、立ち見やら補助席やら、すっげえ盛況でした。新潟のシネコンがみんな腰抜けだから、新潟中の映画ファンがみんなここに来たのかも?


【上映時間とワンポイント】
1時間27分。冒頭に、寺島しのぶのメッセージフィルムが数分間上映されました。


【オススメ類似作品】


「乱歩地獄」 (2005年角川)

監督:竹内スグル・カネコアツシ・実相寺昭雄・佐藤寿保、原作:江戸川乱歩、出演:浅野忠信。4人の監督によるオムニバス映画。「芋虫」も登場します。あんまり面白くないけど…っておいおい、オススメじゃないじゃん!


「ジョニーは戦場へ行った」 (1971年アメリカ)

監督・原作・脚本:ダルトン・トランボ、出演:ティモシー・ボトムズ。第一次大戦で手足と目と耳と口を失った青年の物語。さあ、この主人公はどうやって看護士と会話するのでしょう? (カンヌ映画祭審査員特別賞、国際批評家連盟賞受賞作品)


「ボクシング・ヘレナ」 (1993年アメリカ)

監督・脚本:ジェニファー・リンチ、出演:シェリリン・フェン。モテない青年医師が、好きになった女の手足を切断して自宅に監禁する。せっせと身の回りの世話をする男の姿に、女は次第に心を開く…ワケないか。冷凍保存してある手足を返してもらうために、ヘレナは態度を軟化していく…んだったかな。見てからだいぶ経つので忘れちゃいました。監督は、デビッド・リンチの娘。親子して変態映画監督とはスゴいなあ。


「ミラクルカンフー 阿修羅」 (1980年香港)

監督:ロー・ツゥー、出演:シェン・サンツェン。悪者のワナにはまって、両腕を奪われた男と、両足を奪われた男が、協力して敵をやっつける復讐映画。肩車して戦う姿は、水木しげるの妖怪、手長足長のようでした。この映画に出演している2人は、実際に両腕のない男と、両足のない男が演じたそうな。さすがは中国。すげえカンフーの達人もいたもんですな。知る人ぞ知る、カルト作品。





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2010-09-15

川の底からこんにちは

テーマ:邦画

腹の底から込み上げてくる笑いが、いい感じでした。 …ああ、そこよ、そこ!


監督・脚本は、石井裕也。撮影は、沖村志宏。音楽は、今村左悶・野村知秋。


出演は、満島ひかり、遠藤雅、相原綺羅、志賀廣太郎、岩松了、並樹史郎、稲川美代子、鈴木なつみ、菅間勇、猪俣俊明、目黒真希、森岡龍、廣瀬友美、潮見諭、とんとろとん。


さて、映画ですが、緻密なユルさがメガヒット!素晴らしい傑作に仕上がりました。どんな環境であっても、楽しく生き抜く方法はあるもんです。今の世の中にピッタリの、タイムリーな作品ではないかと。こういう映画がどんどん出てくるといいですね。


勢いで上京したものの、何もかもうまくいかないまま、5年の歳月が過ぎたはみだし女が主人公。日々を悶々として暮らしていると、田舎の実家で父親が倒れて入院したという知らせが。今さら家になんて帰れないと、意地を張るが、仕方なく帰京することになった…。



主演は、満島(みつしま)ひかり。今、一番勢いのある女優さんではないでしょうか。彼女の演技はとにかく面白い。「ウルトラマンマックス」でアンドロイド・エリーを演じてから、もう5年になるんですね。「モスラ2」やら「デスノート」やら、特撮界では有名。「愛のむきだし」のいかつい演技とは一味違う、彼女の新しい魅力を堪能しましょう。


バツイチの彼氏を演じるのは、遠藤雅(まさし)。これはまた、いい役者を起用しているなあ。見ているだけでイライラするようなキャラは絶品でした。彼を通して、主人公のムカつき度がグングンアップしていく様子が楽しい。これは絶妙な組み合わせだと思います。面白過ぎます、この2人。


彼氏の連れ子を演じるのは、相原綺羅(きら)。まだ8歳だそうですが、シブい女の子ですねえ。彼女はきっと、自分のおかれた状況をよく理解しているんでしょう。少なめのセリフ、何気ない仕草が、何だか胸を締め付けられるような思いにさせられました。母親がいない分だけ愛情が足りないのかもしれないけど、それだけ心も強くなっているのかもしれません。「愛のむきだし」の時のひかりちゃんと似たような境遇なのかも。



主人公の父親を演じるのは、志賀廣太郎。本作では、一番落ち着いたキャラクターかと思いきや、結構熱いオヤジです。怒り狂った病人っていうのも、何だか凄みがあります。ヅラを愛用していますが、堂々と生きています。カッコいいなあ、こういうオヤジ。


その親父の弟、つまり主人公の叔父を演じるのが、岩松了。これは爆笑キャラです。酒好きで、酔っ払いのプロで、下ネタが大好き。いいなあ、憧れるなあ。本作は、魅力的なオヤジがいっぱい登場しますねえ。オバチャンたちはコワいけど、オヤジたちはクール。ううむ、だから対等に渡り合えるのかな?



本作で注目したい点は、オリジナル脚本であることです。何かの原作ではなく、映画として生まれた作品であることは、映画ファンとして素直にうれしい。待ってたんだよう、こういう映画!


とにかく、メチャクチャ面白いです。人間のいい部分も悪い部分も、対等に表現する。いいところばっかりの人間はいないし、悪いところばっかりの人間もいない。人の悪いところばっかり見る人は、自分に対してもそうなっちゃうもんです。マイナス思考って、本当は悪いことだけじゃじゃないんだけどね。



本作の主人公は、ダメな自分を受け入れているところがすごい。“しょうがない”が口ぐせになっているので、職場仲間との会話もすぐに終わってしまう(笑)。正直で素直なのはいいんだけどね。自分がどう思われているのかとかは、あまり関心がないみたい。そういう意味では、ある意味カッコいい女と言えるでしょう。


彼女がどういういきさつでそうなったかは、映画が進むにつれて明らかになります。彼女の巧みな演技から想像して、主人公の心情を理解していきましょう。誰にでも、“そういう部分”ってありますから。俺なんか、ああ、またこんなことしやがって、このバカ!って何度思ったことでしょう。知らず知らずのうちに、画面の中の彼女を応援したくなっちゃう。ホントに、不思議な魅力にあふれた映画です。



笑いの質は、かゆいところに手が届くというか、いいツボを押されているような感覚。そう、そこよ、そこ!そこで笑いたかったんだよ、俺は…てな感じでしょうか。川の底から湧き上がるパワーで、腹の底をきれいにしてもらった気分。なかなかテクニシャンな笑いのツボでした。



石井裕也監督は、天才だと思う。俺は本作で名前を知りましたが、輝かしいキャリアのある実力派なんですね。現在27歳。これからの活躍に期待します。パンフ掲載の写真は、髪がムダにたなびいていてステキですねえ。狙って撮ったんでしょうか。おい、この角度から撮れよ、なんてね。


極めつけは、「木村水産 新社歌」。作詞したのは石井監督。スバラシイ歌詞ですねえ。何だか俺も、この会社に就職したくなっちゃうなあ。この歌は、劇中に登場します。ひかりちゃんが歌った歌というと、ウルトラマンマックスのチョコエッグのCMを思い出しますなあ。ウルトラマンが、チョコの中~。チョコにいる~。集めよう!



人は愛し、憎み、泣いて笑って大人になる。何のために生きるのかとか、難しく考えなくても、生きる目的は見つかる。どうしたらいいのかと悩んでいるうちに、どうにかなってしまうこともある。深刻になろうが、楽観的であろうが、何とかなる時は何とかなる。だから、人生は不思議で面白い。


俺も、浮き沈みの多い人生を生きていますが、俺なりに楽しんでいるつもりです。そりゃ、苦しいことはいっぱいあるけど、何と言うか、俺しかこういう生き方はできないだろうっていう自負はあるんです。仕事でもプライベートでも、悪く言われることは多い。まあ、そんな生き方しかできないんだから、しょうがないじゃん!



主人公のような生き方は、俺にはできない。だからこそ、俺の生き方は俺のオリジナルだと思っていい。自分にしかできないことって、いっぱいあると思うんですよ。これを読んでいるあなたも。あなたの大切な人も。


所詮、人間なんて大したもんじゃない。そう思えるようになれば、そこが出発点かもしれない。今どきは、何もかもうまくいって当たり前みたいな雰囲気がある。失敗が許されない世の中は間違っている。成功してばっかりだと、それはそれでか細い人間になってしまう。大きな失敗をした人ほど、多くを学んでいるもの。



失敗は成功のもと。はみだした人生の方が、楽しい美しい思い出になる。後悔するくらいなら、思い切ってやってみよう。ダメでもともと、味の素。失敗談は、美化される。自分の輝かしい武勇伝になる。誰もやってないんだからどうせわかんない。尾ヒレをいっぱいつけて、オリジナルストーリーを作っちゃえ!


だけど忘れるな。自分の成長のきっかけになった人を。あたたかい言葉を。力強い言葉を。ぬくもりのあるあの一言を。それがあったから、今の自分がいると思うことができれば、憎たらしいあいつも、存在価値が出てくるというもの。そう思えた瞬間に、過去のトラウマは克服できている。



今をしっかり見つめよ。過去も未来も、不確かなもの。今を楽しむことができなくて、どうして過去に感謝できようか。どうして未来に希望が持てようか。どんな状態であっても、今が一番!って思えれば問題なし。「メガ・ゾーン23」の高中唯ちゃんの精神ですね。


心は、どうしても淀んでしまう。それが、生きているということ。底にたまった不純物を、痛みをこらえてさらってみよう。スッキリすれば、トラウマも美化できる。毒も栄養になる。そういう力が、人間にはきっとある。



くよくよしても、ウジウジしても、何も変わらない。川の底で生きている、シジミがなぜ体にいいのかを考えよう。底辺の世界で元気に生きている者は、最強である。てーへんなことを抱えて生きているから。考え方ひとつで、苦痛は半減。 …底辺×高さ÷2。それは、三角関係の免責!


川の底からこんにちは。男にハマってさあ大変。親父が倒れて田舎に帰り、バツイチ男と痴話ゲンカ。オバチャンたちからイジメられても、清く正しく美しく。どうせ大した女じゃないし、ダークサイドなこの世界。やれるとこまでやってみよう。 …シジミのように、たくましく!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:9月4日(土) 劇場:シネウインド 12:30の回 観客:約10人

パンフが入手できてラッキーでした。支配人の I さんが受付にいたので、家から持参したカサブランカのプレートをお渡しできました。よかったら何かに役立てて下さい。


【上映時間とワンポイント】

1時間52分。下ネタも多いので、教育上はよろしくないかもしれませんが、我が家ならOKです。親として、自信を持って見せられます。


【オススメ類似作品】


「愛のむきだし」 (2008年ファントム)

監督・脚本:園子温、出演:満島ひかり。ひかりちゃんの魅力全開の出世作。4時間くらいある大作ですが、勢いで一気に見れます。本作と合わせて、彼女の代表作と言えるでしょう。戦う女子高生の、パンチラハイキックは絶品!


「クヒオ大佐」 (2009年ショウゲート)

監督:吉田大八、原作:吉田和正、出演:堺雅人。実在の結婚詐欺師の物語。だまされる女性の中で、唯一金持ちじゃない女を演じたのが、満島ひかり。男運の悪いところは、本作とおんなじですね。『…どうしてあたしなの?』と何度も聞くところが印象的。ぎこちないキスシーンがかわいかったなあ。新井浩文の怪演も爆笑でした。


「この森で、天使はバスを降りた」 (1996年アメリカ)

監督・脚本:リー・デヴィッド・ズロートフ、出演:アリソン・エリオット。森に囲まれた小さな田舎町に、若い女がやって来る。やたら機嫌悪いわ、タバコは吸うわ、なかなか手強い天使のようです。この無愛想なおねえちゃんによって、町の人たちの心に変化が生じてくる。しかし、彼女には、人に言えない秘密があった…。


「119」 (1994年松竹)

監督・脚本・出演:竹中直人。消防士の映画でありながら、1回も火事が起きないユル~い映画。しかしながら、このおっさんたちが何だかいとおしい。ヒロインの鈴木京香が初々しい。温水洋一が、絶叫しながら猿を捕まえようとする場面は、涙なくして見られない!



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2010-09-14

8月の残り香

テーマ:エッセイ

もうすでに、8月の残り香がすっかりなくなってしまったような気もしますが、これで何とか俺の8月は終わりました。こんなになるまで記事をためなきゃよかったのにねえ。 …ごめんね、自分!



最近は、猛暑とストレスと、悩み事と蓄積された疲労があったこともあって、夜はすぐに眠くなってしまう日々が続きました。だから、パソコンの前に座った途端に意識が飛ぶ。DVDを見始めた途端に意識が飛ぶといった状態。まあ、一年前に不眠で苦しんだことを思えば、これもまた幸せってもんでしょう。


健康診断の結果は…まあまあってとこ。すぐに死ぬことはなさそうですが、体重が6キロも減ったのには驚きました。67.5キロから、61.5キロに。うっふっふ、苦悩ダイエット。



8月に見に行った劇場映画は、全部で10本。なかなかがんばりました。飲み会が少なかったのが幸いしたかな。同級会やっても、みんなすぐに眠くなって終わっちゃうんです(笑)。きっと疲れているんですねえ。同じ剣道部だったWK君に『…お前の文章は読みにくい!』って言われたのだけ覚えています…はいはい、すまんね。


それだけに、ユトリロ展に行けたことが救いでした。その直後に「カラフル」を見ることができて、何だかとても素敵な休日になりました。こういうのって、大切なひとときですね。



若い時には軽々とできたことが、だんだんできなくなっていく。だけど、若い時はできなかったことが次々とできるようになっていく。走っている時には見えなかったものが、歩くと見えてくる。そういうもんだと思って、自分を何とか奮い立たせています。



すでに9月も半ばですが、今日までに劇場映画を3本見ています。近日中に記事にしますので、期待しないでお待ち下さい。では、9月後半もしっかりがんばりますのでどうぞよろしく。読者の皆様も、お体大切に。





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2010-09-13

特攻野郎Aチーム THE MOVIE

テーマ:洋画

アナログオヤジの、ええチーム。 …不可能を可能にするのは、男気と遊び心!


1983年から87年まで放映されていたアメリカの人気TVドラマが、装いも新たに劇場映画になりました。企画が始まってから10年以上経って実現したそうです。製作総指揮と製作は、リドリー&トニー・スコット兄弟。監督・脚本は、ジョン・カーナハン。撮影は、マウロ・フィオーレ。音楽は、アラン・シルベストリ。


出演は、リーアム・ニーソン、ブラッドリー・クーパー、クイントン・ランペイジ・ジャクソン、シャルト・コプリー、ジェシカ・ビール、パトリック・ウィルソン。


さて、映画ですが、無邪気でやんちゃな作品に仕上がりました。ストレートな娯楽映画ですが、ところどころに中年の悲哀がちりばめられているところがニクい。おっさんは、色んなモノを背負って戦うのだ!


任務遂行上で運命的に出会った4人の男がチームを組んで、ある重要なプロジェクトに挑む。しかし、それは罠であった。オイシイところは持って行かれ、階級を剥奪され、オヤジたちは収監されていく…。



あらかじめ言っておきますが、俺はこのドラマに詳しくありません。高校生くらいの時に深夜か夕方にTV放映していたような気がしますが、記憶がはっきりしません。何となく見た気もするんですが、もしかして見てないかも(笑)。そんなワケなので、俺流にテキトーにやります。役名とニックネームがどうもややこしいので、おっさんABCDで分類します。



おっさんAは、湾岸戦争の英雄。確かドラマだとベトナム戦争の英雄だったかなあ。演じるのは、“開眼人”リーアム・ニーソン。大佐という階級だけあって、偉い人のようです。このおっさんが、Aチームのリーダー。くわえタバコ(葉巻だったかな)で微笑む姿は、若山富三郎にちょっと似ていたように思います。何があっても動じないふてぶてしさがサイコーでした。


おっさんBは、色男担当。演じるのは、ブラッドリー・クーパー。フェイスというニックネームを持つだけあって、顔が命なんですね。でも、やたらに顔を殴られる(泣)。彼は、調達のプロ。物資から女性まで、現地で何でもゲット。どこにいても、必ず世話をするおねえちゃんがいるのが笑えます。


おっさんCは、メカニック担当の黒人。演じるのは、総合格闘家のクイントン・ランペイジ・ジャクソン。飛行機嫌いなのは、ドラマとおんなじみたいです。強いんだか弱いんだかわからんところがセクシーでした。


おっさんDは、ヘリのパイロット。精神を患っていて、普段は病院で待機していますが、出動時は即座に退院して隊員になります。クレイジーなテクニックが最高でした。ありえないアクションをお楽しみ下さい。


ヒロインは、ジェシカ・ビールなんでしょうが、何だかどうでもいいような気がする。悪役も、どうでもいいような気がする。このおっさんたち4人が主役で、後はただの小道具か背景みたいだった。なんか、そういう映画って感じ。



見どころはもちろん、アクションなんですが、おっさんたちのキャラクターがあってのアクションなので、彼らの演技もよく見ていて下さい。個性バラバラな男たちが、文句言い合いながらも何とかしてしまうところがスゴい。映画だから、とかセコいことは言いっこなし。こんなことできるはずがねえ、と思いながらも、奴らだったらできるかも?なんて思わせてくれる要素があるから楽しいのです。なかなか、ええチームであります。


おっさんたちの大きな特徴として、アナログにこだわるところが面白い。携帯電話とか、GPSとか、ハイテクはあんまり興味がないようです。だから、最新兵器や高精度の計算値が当てはまらないのかもしれない。予測不能のおっさん脳。タイミングは勘でつかむのだ!



こういう映画って、何だか懐かしい。’80年代の映画って、マッチョな作品が多かったもんね。最近では、華麗なアクションは多いけど、肉弾戦みたいな暑苦しいのはウケない傾向にあるしね。だからこそ、余計に本作は新鮮な気がするんですね。今どきの若者にはウケないかもしれないけど。


本作は、悩んでばかりで窮屈になってしまっている人にオススメ。こういう映画って、気分転換にもってこいだから。大人のシブいアクションには、独特の魅力があるから。



原題は、「THE A TEAM」。“特攻野郎”なんてアホな言葉は、日本人が考えたんでしょうか。毎回特攻して死んでたら、隊員をしょっちゅう補充するか、サイボーグに改造しないと持ちませんね。ニックネームも、“コング”とか“クレイジーモンキー”とか、どっかで聞いたことのありそうな最悪センス。当時は、こんなんでよかったんですね。今それをやったら、アタマ悪い連中と思われるかも。



ある目的のために、エキスパートが集まって何かをするのって、カッコいい。俺の友達にも色んな人間がいますが、それぞれ個性があって、変な性格の男が多い。だから、付き合うと楽しいんですね。年上も年下もいるんだけど、同年代が少ないのがミソです。もともと友達はそんなに多くなかったから。大人になってからできた友達の方が多いですね。


Aチームのおっさんたちも、たぶん年齢はバラバラでしょう。年齢や性格が違う人と付き合うと、脳が鍛えられる。同年代や親しい仲間だとお約束のように伝わる内容も、説明能力が要求される。そうやって鍛えられて熟練すると、会話がスムーズになってくる。それは、ちょうどいい距離感ができるということ。



おっさん、オバチャンは手強い。飲み屋のカウンターなんかで1人で飲んでると、色んな人に出会って話をする機会がある。酔っ払いのプロもいれば、気難しい人もいる。だれど、酒という共通項で何とかなるもんです。そうやっているうちに、いつのまにか仲間ができていく。そういう縁は、自分が行動してこそ得られるもの。


Aチームのメンバーはたぶん、出会うべくして出会った。この素晴らしい男たちに出会うために、それまでの不遇な経験があった。それがあるからこそ、立ち向かう情熱が生まれる。このメンバーだからこそ、できることがある。それが信頼であり、誇りであり、命を懸けて行動する原動力となるのだ。


俺たちだからできる。いや、俺たちじゃなきゃできない。だからやる。だれのためでもない。そうすべきだし、そうしたいからやる。命の保証なんかいらねえ。命知らずの特攻野郎、Aチームに任せとけ!



1人じゃできないことも、同志が集まればできる。そういう自分のAチームを、生きているうちにたくさん結成しましょう。力仕事のAチーム、酔っ払いのAチーム、パソコンのAチーム、カラオケのAチーム、下ネタのAチーム…いろいろあった方が楽しい。そうそう、映画を語るAチームも欲しいなあ。酔った勢いで映画を語るAチーム、なんて楽しそうだな。



葉巻くわえて作戦指令。武器と女は任せとけ。マシン最高、メカも最強。イカレたパイロットが操縦し、て空を飛びながらみんなで絶叫。ああ、楽しいな、Aチーム。香り高い加齢臭は、男のコロン。負けるながんばれアナログおやじ。 …それ行けぼくらのAチーム!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:8月30日(月) 劇場:ワーナーマイカル新潟 21:00の回 観客:約10人

YD君が整体治療に行くついでに映画を見たいと行ったので、黒崎経由で一緒に行きました。俺たち、突発的な行動力はAチームだね!


【上映時間とワンポイント】

1時間57分。エンドロール終了後に、オマケ映像あり。もしかして、オリジナルキャストのゲスト出演か?よく知らんので、知ってる人は確認してみて下さい。


【オススメ類似作品】


「スペース・カウボーイ」 (2000年アメリカ)

製作・監督・主演:クリント・イーストウッド。トミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームズ・ガーナーといったそうそうたるジイさんたちが、宇宙飛行士になって活躍してしまうトンデモ映画。若いモンはみんなだらしない存在として描かれています(笑)。ここまで徹底してやると、結構キモチイイ。


「アルマゲドン」 (1998年アメリカ)

監督:マイケル・ベイ、出演:ブルース・ウィリス。土建屋のおっさんたちが、宇宙飛行士になって地球を救ってしまうトンデモ映画。妻が妊娠中に一緒に見に行った、思い出の映画です。そして娘は、1999年7の月に生まれました(爆笑)。誕生おめでとう、アンゴルモアの女大王!


「老人Z」 (1991年東京テアトル)

監督:北久保弘之、原作・脚本:大友克洋、声の出演:松村彦次郎。全自動介護ベッドが暴走し、老人の妄想が次々と実体化して大混乱。そこで立ち上がったのは、パソコンマニアのジイさんチームだった。このジイさんたち、メチャクチャカッコええチームです。 …惚れ惚れするぜ、クールシニア。





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2010-09-12

仮面ライダーW FOREVER A to Z/運命のガイアメモリ (3D)

テーマ:アニメ・特撮

知恵と勇気が合体して、行動力が生まれる。 …風よ吹け!変身ベルトはダテじゃねえ!



「天装戦隊ゴセイジャー エピック ON THE ムービー」 (監督:渡辺勝也)


ワケアリの宇宙人が、大切なものを悪者に奪われた。ゴセイジャーが助太刀して、地球の危機を救う。ついでに、お姫様のハートもゲットしたいレッド…という感じのお話でした。


ダークなライダーワールドに対して、明るい戦隊ヒーロー。突然始まって慌ただしく終わってしまいましたが、だんだん上映時間が短くなっているように感じるのは、気のせいでしょうか。20分もなかったような気がしますが、あんまり長いと子供が飽きるので、まあこんなもんかと。



ゴセイジャーは、5人の見習い天使の物語。レッド、ブラック、ブルーが男性、ピンクとイエローが女性。変身することを天装と呼びます。助っ人は、ゴセイナイト。おやっさん的存在は、髭男爵のおっちゃん。劇場版では、相方もアナウンサー役で登場します。


悪役も、ウジャウジャいっぱい出てくるし、変形合体して巨大ロボットになる伝統スタイルも健在。ドタバタして戦ってやっつけて、お祭り騒ぎみたいで楽しい。戦隊ヒーローは明るさがモットーだから、悩んでいるヒマなんかないのだ。悩んでいると、映画が終わっちゃうぞ!


3D映画だったので、ちょっぴりワクワクしたんですが、5人が並んで映っている映像が、ペラペラの紙が5枚浮き上がっているだけに見えて、何だか安っぽかった。あれですね、飛び出す絵本ってやつ。時間的にちょうどいいのがこれだったのでフンパツしたんですが、無理に3Dで見なくても、2Dで充分だと思います。参考までに。




「仮面ライダーW FOREVER A to Z/運命のガイアメモリ 」 (監督:坂本浩一)


ライダーに変身するのは、左翔太郎とフィリップ。2人で変身、バロローム。ライダーのデザインは、左右色違いのキカイダースタイル。変身に必要なのは、2人の魂と1つの肉体なので、変身後は、メインじゃない方がその場で倒れます(笑)。


面倒くさい設定だなあ、一緒にすればいいじゃんって思うけど、2人分の肉体を取り込むと、スリムな体形が保てないのかもしれませんね。だからウルトラマンAは、ちょっと太めなんですね。それがイヤだから、南夕子は月へ帰っちゃったんですね。月でモチ食って、また太ったりして。



探偵・左翔太郎は、その名の通り、ライダーの左側を担当します。(メタル、トリガー、ジョーカー) 右側を担当するのがフィリップ。(サイクロン、ヒート、ルナ) その組み合わせで、幾種類ものライダースタイルが楽しめます。分身の術とか、ライダーキックの時に半分に別れたり、遊び心も満載。さあ、キミのお気に入りは?


今回は、奥様方に人気のフィリップ君が主役。記憶を失っている彼に、母親らしき謎の女性、マリアが現れる。演じるのは、杉本彩。国際特務調査機関員という職業の人らしいですが、顔もスタイルも派手ですな。見た目は銀座のクラブのママですが、つらい過去を背負った女性のようです。果たして、彼と彼女の関係は?



助っ人ライダーとして登場するのが、風都署の警視、照井竜。彼は、両親と妹を殺され、仮面ライダーアクセルに変身して戦います。父よ、母よ、妹よ~ですな。彼が変身する時のアクセル音が楽しいですね。ブワーンって。


ライダーガールは、成海亜樹子。吉川おやっさんの娘。これがなかなか賑やかなおねーちゃんで、暗いドラマを明るくする役割を担っているようです。というか、うるせえ。どうやらアクセルと恋仲になったようですね。俺のアクセルを握ってみるかい?なんていう風にクドいたんでしょうか…キャハハッ!


おやっさんを演じるのは、なたぎ武。本当の意味でのおやっさんは、吉川晃司なんですが、彼は、前回の劇場版に登場したけど、今回は出てきません。ただし、仮面ライダースカルとしてチラッと姿を見せますのでお楽しみに。フィリップと名づけたのは彼です。(語源は、フィリップ・マーロウ)


ライダーの協力者として、ウォッチャマンとサンタちゃん、クイーンとエリザベスがいます。これって、少年仮面ライダー隊みたいなもんでしょうか。俺的には、おっさんライダー隊と、女子高生仮面ライダー隊ですね。



今回、敵側のライダーも登場します。その名は、仮面ライダーエターナル。白いライダーって、何だか弱そうだなあ(笑)。演じるのは、主題歌を歌っている兄ちゃんです。イケてるのかどうかわからんけど。


悪の親玉を演じるのは、寺田農。ネコを抱いているところがゴッドファーザーしてますなあ。ちなみに、このネコも変身するそうな。娘が2人いて、そのうちの1人は「ひぐらしのなく頃に」の飛鳥凛が演じています。



ちょっと注目したいのが、ヒート・ドーパントを演じた八代みなせ。彼女は、「片腕マシンガール」の主演女優。知る人ぞ知る、マニアックなおねーちゃん。色気はないけど、弾けるようなフトモモキックを披露します。お父さん方、お見逃しなく。グイグイ締め付けてきますぜ!


ゲスト出演としては、現在放映中の仮面ライダーOOOも登場。これ、オーズって読むらしい。ホモタコ怪人と戦う場面で登場しますので、チビッ子たちはちゃんと見ようね。



仮面ライダーWが守るのは、風都(ふうと)と呼ばれる街。風の都かあ、いいネーミングですね。そもそも仮面ライダーの初期設定は、ベルトに風圧がかかると変身するというもの。だから、バイクに乗るんですね。その設定が、本作でも生きています。このことを踏まえて、クライマックスをお楽しみ下さい。


フィリップ君は、色々と謎の多い男です。軟弱な衣装を身に付けている割りに、態度がデカい。精一杯の太い声で、『…ゾクゾクするね。』というセリフが口ぐせ。実際にアタマがいいから始末が悪い。こういう男に、お母さん方は母性本能を発揮するんでしょうか。ライダーのキャラを見ていると、時代の最先端の年上キラーの理想形が見えてくるかもしれない…なんちゃって。ホント、ゾクゾクしますね。


フィリップを演じた菅田将暉(すだまさき)は、パンフのコメントでこんなこと言ってました。『…フィリップがマリアに抱く複雑な気持ちの参考にしたのが、「銀河鉄道999」の鉄郎とメーテルの関係なんです。どこか恋愛にも似ている感情で…。』 エロいなあ。マリアにチンコ洗ってもらうか?



仮面ライダーと、戦隊ヒーローの大きな違いは、孤独に強いということ。戦隊ヒーローは、仲間との協調性を重視するが、ライダーは、1人で戦うのが基本。「仮面ライダー THE FIRST」で、一文字隼人を殴って気絶させて、たった1人で敵に向かっていく本郷猛は、ホントにカッコよかった。仮面ライダーこそは、俺にとってのヒーローの原点。男は、1人で行動すべき時が必ずあるのだ。


生きていると、色んなことがある。絶体絶命な時、どうにもならない時、苦悩に押しつぶされそうになる時、思い出す心は何か。ダメだとわかっていても、負けるとわかっていても、行かねばならない時に背中を押してくれる存在は何か。俺の場合は、それが仮面ライダーなんです。



仮面ライダーは、不可能を可能にする。不完全な改造人間だからこそ、見えてくる世界がある。人間であって、人間でない。枠からはみ出したダークヒーロー。孤独が似合うヒーロー。その名は、仮面ライダー本郷猛。その精神を受け継いだ教え子たちが、平成の今も、子供たちのヒーローであり続けている事実が、俺は素直にうれしい。


孤独に打ち勝つ男は、悪を倒す力を持つ。自分の中の悪と戦える男は、人の心を愛せる。自分に厳しい男であるからこそ、人に優しくなれる。美しいものを守る力は、そういうところから生まれるのだ。男には、自分に合った戦い方がある。必要な時に、自分のオリジナルライダーに変身するのだ。



男は、いつも心に変身ベルト。 …どんな敵にも、ライダーキィィィック! (今回は3D!)





【鑑賞メモ】

鑑賞日:8月29日(日) 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 16:30の回 観客:約30人

子供の声が響き渡る、賑やかな場内でした。少年、そんなことじゃまだライダーに変身できんぞ。もっと男を磨け。


【上映時間とワンポイント】

約1時間40分。翔太郎の探偵グッズと、フィリップのボーダーロングTなど、通販商品もたくさんあるみたい。お母様方は、自分の息子を無理矢理フィリップにするかもしれんなあ。…ゾクゾクするね。


【オススメ類似作品】


「仮面ライダーダブル&ディケイド MOVIE大戦2010」 (2010年東映)

監督:田崎竜太、出演:井上正大。Wファンで、未見の人は要チェック。吉川晃司のカッコいいおやっさんは、Wの源流。翔太郎は、帽子の似合う男になったでしょうか。お母さん方、判定をお願いします。





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2010-09-12

東京島

テーマ:邦画

人間のDNAに訴える、渾身の1本。 …生き残るためには、何だってやるわ!


原作は、桐野夏生の同名小説。監督は、篠崎誠。脚本は、相沢友子。撮影は、芦沢明子。音楽は、大友良英。主題歌を歌うのは、Superfly。


出演は、木村多江、窪塚洋介、福士誠治、山口龍人、柄本佑、木村了、染谷奨太、テイ龍進、鶴見辰吾、サヘル・ローズ、宮武祭。


さて、映画ですが、爆笑ダイナミック・サバイバル映画に仕上がりました。女1人と、男23人という設定は、どういう映画になるか大体想像がつきそうなもんですが、そこは原作が女性だけあって、マイルドなストーリーになりました。脚本も撮影も女性。監督だけが男性。ううむ、これはある意味プレッシャーだ!


結婚20周年記念に、ヨットで世界一周しようという無謀な計画は、嵐で遭難、無人島に漂着という結果に終わる。サバイバル能力を発揮する妻・清子に対して、夫・隆は意気消沈。そんな時、新たに16人の若者が島にやって来た…。



主演は、木村多江。登場シーンから、すでに気合い充分でした。これは間違いなく、彼女の代表作の1本になるでしょう。スバラシイ演技でした。女優ってすげえ!オンナってすげえ!「ぐるりのこと」なんてみみっちい映画は、コレで吹き飛んだ!


野郎に囲まれた囚われの女ではなく、島に君臨する女王という存在になってしまうくだりは、さすが女性視点だと思う。実際はこんな風にいかんかもしれんが、案外こんなんかも、なんて思ってしまうのも事実。そこはやはり、説得力のある演技の賜物と言えるでしょう。


彼女のこのテンションなら、「ゼロの視点」の中谷美紀にも勝てたことでしょう。大役、おつかれ様でした。次はぜひ、オシャレな映画に出演して下さい。


夫・隆を演じるのは、鶴見辰吾。セリフも出番もほとんどないのに、すごいインパクトがあったのが笑えます。ブツブツ言いながら、地図の裏に食べ物の絵をびっしり描いている姿がたまりませんでした。その絵が巧かったりするから余計に切ない(笑)。


役柄を細かく説明するとネタバになってしまう恐れがあるので、ここでは最小限にしましょう。印象的だったのは、ロン毛のメガネ男子を演じた柄本佑。彼の何とも言えないつかみどころのない存在感が、無人島にいる男だと認識させてしまうのが面白い。それから、不思議な青年を演じた染谷奨太。彼は、「パンドラの匣」の彼ですね。最初はバカにされて無視されていたのに、後半になって重要な役割を担うようになるのは、いい展開でした。


特筆すべきは、窪塚洋介でしょう。登場する男たちの中で、一番自由に生きているのは、彼かもしれないと思いました。悪態をついて、嫌われ者になりながらも、一番鋭いところを見つめている。清子が一番嫌っているのも、この男。さて、彼の役割は一体なんでしょう?



これはどんな映画ですかと聞かれたら、生きることを学ぶ映画である、と答えましょう。展開が読めないので、一緒にハラハラドキドキして、漂流気分を味わえます。カップルは、女性の方が楽しめるでしょう。見終わった後は、おいしいごはんを思いっきり食べちゃいましょう。



極限状況においては、善も悪もない。生きるか死ぬかという時には、直感による判断力が必要になる。キレイゴトだけでは、厳しい生存競争には勝てない。生き残る奴は生き残るし、死ぬ奴は死ぬ。


俺がこの中にいたら、どんな風になるだろう。少なくとも、1人しかいない女を争って奪う気にはなれないような気がする。その場に対峙して、初めて見えてくるものがあると思うから、心の声と相談しようっと。



便利な暮らしに慣れてしまうと、不便で何もない状態に陥った時にパニックになる。備えあれば何とやらですが、備えたってどうにもならない時はならない。それは、しょうがないこと。


大切なのは、慌てずに冷静に行動できるかということ。うろたえて意気消沈して気力がなくなって、自暴自棄になってしまうのが一番恐ろしい。そういう意味では、出演者はみんな逞しいです(笑)。カッコいいなあ、彼ら。



日本人って、仲間と協力して何とかしようという気持ちがある。そこは、長所だと思うんですね。後半には中国人も出てきますので、行動心理をよく比べてみて下さい。能力差はあるけれど、最終的には気持ちの問題ですから。


今いる場所が地獄だ思うと、そこを脱出したくなる。今いる場所が楽園なら、そこを動きたくなくなる。しかし、心は変化していくもの。居心地のいいはずの場所が居心地悪くなったり、イヤだった場所が安住の地になったりすることはよくある。魂は、そうやって旅をするのだ。自分の終の棲家を求めて。



そういう意味では、生まれた時からすでにサバイバルは始まっているのだ。守り守られて、人間は強くなっていく。そういう魂のDNAに刻み込まれた能力の原点を、本作で見つめ直してみるのもいい。


清子は、生き抜くために頑張る。どんな立場になっても、決してあきらめない。観客は、正しいかどうかという基準はこの際捨てちゃいましょう。清子の魂と直接対話して、画面の彼女を追いかけましょう。


何のために生きるかではなく、生きるためにどうするか。生きること自体が目的になれば、世界観も倫理観も大きく変わる。「カラフル」とは正反対の方向から、人間の心を見つめてみる。それもまた、面白いから。



人の心は、あてもなく漂う、一艘の小船。行き先は風まかせ、波まかせ。海よ空よ太陽よ、俺の行き先決めてくれ。太陽ギラギラ、星がキラキラ。明日はどこへ行くのか、ちっぽけな魂。


生まれて死ぬまでの短い時間に、熱い夢を見ようぜ。風向きは、いつかは変わる。 …命ある限り、最後まで戦うべし!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:8月29日(日) 劇場:T-JOY万代 11:30の回 観客:約40人

女性の1人客が多かったなあ。みなさん、たくましいですね。


【上映時間とワンポイント】

2時間9分。ヨットで世界一周する予定の方は、ヘビの殺し方くらいはマスターしておきましょう。


【オススメ類似作品】


「感染」 (2004年東宝)

監督・脚本:落合正幸、出演:佐藤浩市。病院内で起きる感染パニックを描いたホラー映画。看護士役の木村多江のうろたえぶりが爆笑です。本作と同様、さまよい続ける彼女の魂を見つめましょう。俺は、「ぐるりのこと」よりは、こっちの方が好きです。


「マタンゴ」 (1963年東宝)

監督:本多猪四郎、原作:ウィリアム・H・ホジスン、出演:久保明。無人島といえば、やっぱりコレでしょう。ヨットで遭難した7人が漂着した島には、動物も鳥もいなかった。あるのは、不気味な形をしたキノコだけ。飢えに負けてキノコを食った仲間は、次々とキノコ人間になっていく…。


「未来少年コナン」 (1974年NHK放映のTVアニメ)

監督:宮崎駿、原作:アレクサンダー・ケイ、声の出演:小原乃梨子。サバイバル能力世界一なのは、たぶんコナン少年でしょう。彼の活躍は、見ていて気持ちがいい。親友ジムシーとのコンビは最高でした。こいつらは、何があっても絶対生き残ると思います。2008年に超磁力兵器で世界が滅びなくてよかったですね。


「ふしぎな島のフローネ」 (1981年フジテレビ放映のTVアニメ)

監督:黒田昌郎、原作:ヨハン・ダビット・ウィース、声の出演:松尾佳子。こちらは何と、家族で無人島に漂着します。ケバい本作に比べて、ほのぼのした家族ドラマに仕上がっているので、ある意味安心して見られます。俺が好きなのは、両親が一晩中、狼と戦うお話。実写になったら、ぜひ木村多江に演じて欲しいなあ。





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2010-09-12

ルーガルー

テーマ:アニメ・特撮

獣、のけもの、なまけもの。 …安全安心な場所が、一番キケン!


“ルーガルー”とは、フランス語で“人狼”という意味。正確には“ルー=ガルー”と表記するようですが、面倒くさいのでここでは“ルーガルー”でいきましょう。狼男ではなく、狼人間ですね。


原作は、京極夏彦。未来設定を一般公募した企画小説らしいです。監督は、藤咲淳一。キャラクターデザイン・作画監督は、石井明治。音楽と主題歌は、SCANDAL 。制作は、プロダクションIG。


声の出演は、沖佳苗、五十嵐裕美、井上麻里奈、沢城みゆき、植竹香菜、平田絵里子、河本邦弘、青山穣、西村知道。


さて、映画ですが、フツーにシンプルな作品に仕上がりました。これはやっぱり、思春期の女の子向けなんでしょう。オッサンが見ても、そんなに面白くなかった。まあ、ねえちゃんたちがんばれや、って感じ。


近未来。人間はモニタと呼ばれる端末で管理され、人との物理接触(リアルコミュニケーション)はほとんどなくなっていた。全て植物性の無害な合成食品を食べ、安全安心システムで守られているはずの社会において、少女連続殺人事件が発生した…。



14歳の少女が主人公ということもあって、内容的には子供っぽい。ずっと家に閉じこもっているわりには、なかなか体力のあるおねえちゃんたちです。管理社会のわりにはセキュリティが甘かったり、端末ケータイも、ストラップなしで両手で持ってたりして、何だか危うい。すぐに壊れそう。“通学”するのにバスを利用するのも何だかアナログで笑えます。


俺が思うのは、閉じこもってばかりいると、かえって人間の凶暴性が増幅されるんじゃないかってこと。家にいる時も、全ての部屋で監視カメラが作動しているもんだから、うっかりセンズリもコケませんなあ。女の子の部屋なんて、覗き放題じゃん。監視システムを担当する奴らが、ネットで映像を流して悪どく儲けているんじゃないかって思ってしまいます。


ツッコミたいところはいっぱいありますが、そんなに力作というわけでもなさそうなので、気楽にユルく構えて見るのがよろしいかと。夏休みの宿題で、おねえちゃんたちが探偵ゴッコをがんばっちゃいました、ってことで。



今どきのアニメにしては、あんまり新しい感じはしなかった。この社会って、人口が極端に少ないのかもしれんなあ。100人くらいだったりして。悪者の集団も、5~6人くらいか(笑)。そんなに小さな社会じゃあ、殺人による損失はデカい。ましてや、女の子を狙うとは許せんですなあ。


動物性たんぱく質を全く取らないと、人間はどういう風になるんだろう?やっぱり、動物の肉を食いたくなるんだろうか?満月の夜になると、何かが疼くんでしょうか…。悪いのは自分じゃない。みんなあの月が悪いんだ!


言葉によるコミュニケーションのみの社会では、お肌が触れ合う機会もなく、生殖能力も低下していくんでしょう。モテるとかモテないといった概念すら、なくなってしまうのかもしれない。みんながのけもの、なまけもの。



立ち上がったのは、少女たちであった。おう、やったれ。こんなクソつまらん安っぽい世界なんか、さっさとブチ壊してしまえ!早いとこ、この退屈な映画を終わらせてくれ!


ルーガルー。ガールが追いかけるーガルー。やり方なんて、あたしら流なのルー我流。獣が群がるーガルー。月光浴びて激昂し、今だ変身、ルーガルルルー!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:8月28日(土) 劇場:T-JOY長岡 19:10の回 観客:7人

仕事を大急ぎで終わらせて、M先輩と長岡までぶっ飛ばしました。初日なのに、少なかったですねえ。映画館を出たら、近くで花火があがりました。すっげえ、これは得した気分。


【上映時間とワンポイント】

約1時間45分。この映画は女性向きかもしれないので、内容が気になる人は、女性のブロガーの意見を探してみて下さい。俺んとこは、あんまり参考にならないので(笑)。


【オススメ類似作品】

「ウォーリー」 (2008年アメリカ)

監督:アンドリュー・スタントン、声の出演:ベン・ハート。管理され過ぎたアブナイ社会といえば、最近ではコレでしょう。ブヨブヨに太った人間が、ウジャウジャ登場します。こちらは、29世紀のお話。


「ヴィドック」 (2001年フランス)

監督・脚本:ピトフ、出演:ジェラール・ドパルデュー。19世紀のパリを舞台にした、連続少女誘拐殺人事件を追う、探偵ヴィドックの物語。当時最新のデジタルカメラを駆使した映像が、マニアックで美しかった。


「デモリションマン」 (1993年アメリカ)

監督:マルコ・ブランビヤ、出演:シルベスター・スタローン。2032年、犯罪も暴力も排除された管理社会において、冷凍刑に処されていた凶悪犯が蘇生する。彼を倒すために、凍結処分になっていたアブナイ刑事も解凍され、マッチョな対決が始まる。サンドラ・ブロックとのバーチャルセックスは爆笑でした。トイレに置いてある貝殻の使い方は、未だに謎なんですが…。






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