FUJITA'S BAR
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2010-07-29

プレデターズ

テーマ:アニメ・特撮

ピッピッピッ…キュイーン、ターゲット・ロックオン。 …赤い3点レーザーに気をつけろ!


“predator”とは、“捕食動物、 肉食動物”という意味ですが、“略奪者、人の弱味につけ込む者”という意味もあるそうです。(アドバンストフェイバリット英和辞典より) “predators”は複数形なので、“プレデターがいっぱい”ってことでよろしいかと。「エイリアン2」の原題「aliens」とおんなじですな。


監督は、ニムロッド・アーントル。製作は、あのロバート・ロドリゲス。脚本は、マイケル・フィンチ、アレックス・リトヴァク。撮影は、ギュラ・パドス。音楽は、ジョン・デブニー。


出演は、エイドリアン・ブロディ、アリシー・ブラガ、ローレンス・フィッシュバーン、ダニー・トレホ、ルイ・オザワ・チャンチェン、トファー・グレイス、ウォルトン・ゴギンズ。


さて、映画ですが、スケールがデカいんだかショボいんだか、よくわからん小じんまりした作品に仕上がりました。てっきりプレデター軍団がウジャウジャ出てくるのかと思っていたら、すっげえ少ねえでやんの(笑)。プレデターよりも、人間同士の小競り合いが大半なので、中盤まで退屈なシーンに延々と絶えなければなりませんのでご注意。…奴らはまだか?


“その道のプロ”と呼ばれる連中が、何の理由もわからぬままに、突然ジャングルに投げ込まれてしまう。出くわした相手は敵か?味方か?誰も説明してくれないまま、見たこともない謎の生物が襲い掛かってくるのであった…。



主演は、エイドリアン・ブロディ。「戦場のピアニスト」で、ピアノを弾きながら逃げまくっていた兄ちゃんですね。「キングコング」を経て、だんだん特撮映画俳優としての顔つきになってきたようです。ワシ鼻でほっそりした爬虫類系の顔からは想像できないような、マッチョな役柄に挑戦しています。無理矢理太い声を出している感じが、何ともキュートでした。彼の役柄は、傭兵。


メキシカン・マフィアを演じるのは、ダニー・トレホ。実際にムショ暮らしが長かったコワモテのおっちゃんで、そのごっつい風貌を生かして、数々の悪役をこなしてきた怪優。俺は、「デスペラード」「ヒート」で名前を覚えました。ボクサーになりたかったけど、逮捕されてばっかりで夢がかなわず、仕方なく刑務所のボクシング大会でをチャンピオンになったそうな(笑)。


そんな大物を起用したのに、ずいぶんな扱いようで…もったいないというか、贅沢というか。あらら~という感じでした。ま、ここはギャグということで、笑っとくしかないでしょう。彼のファンは、心して見るべし。


謎の男を演じるのは、ローレンス・フィッシュバーン。おお、もしかして彼がカール・ウェザーズ的な立場に…と思いきや、全然違いましたね。こちらもトホホな役柄でした。う~む、これはある意味手強い映画かもしれんなあ。



紅一点は、ブラジル出身のアリシー・ブラガ。「アイ・アム・レジェンド」のお姉ちゃんですね。役柄は、スナイパー。登場人物の中で唯一冷静な人ですが、ちょっと弱々しいかも。男との“接近戦”も苦手のようです。ここはやっぱり、キンタマ蹴り上げるくらいの気迫が欲しいところですが、ちょっと希薄でしたね。だから一応、ヒロインの要素あり。誰が彼女のハートをゲットするかは、本編で確認しましょう。


他にも、ロシア特殊工作員とか、革命戦士とか、死刑囚とか、よくわからん連中がいっぱい出てきます。中でも異色だったのが、ジャパニーズ・ヤクザの殺し屋。演じるのは、ルイ・オザワ・チャンチェン。台湾人の父親と日本人の母親を持つアメリカ人。日本語も堪能。彼の武器は、日本刀とベレッタ。プレデターとサシで勝負する時は、上半身裸になって刺青も披露…何だかよくわからんが、日本の男、ガンバレ!


登場するプレデターは、黒光りするスーパープレデターとか、クラシックと呼ばれる初代プレデターとか、いろいろあるらしい。彼らの“猟犬”も登場しますのでお楽しみに。(でも、絶対数が少ねえ)



本作の舞台は、地球ではなく、プレデターが狩場としている惑星、ハンティング・プラネット。(ロケ地はハワイ) 今までは地球というアウェーで、今回はホームというわけですな。でもそのわりには…ううむ、その辺は、何か事情があったんでしょうな。人間も宇宙人も、仲間割れの方が深刻な問題のようですねえ。


本作は、シリーズを見ていない人でも、全く問題ありません。見ていたところでそんなにオイシイとも思わんし。見ていないとストーリーが理解できないかもしれないというわけでもなさそう。ある意味、このテキトーさがいいんでしょうな。細かいことはファンが勝手に妄想するんでしょう。



「プレデター」第1作が公開されたのは、1987年。「プレデター2」「エイリアンVSプレデター」「エイリアンズVSプレデター」があったので、本作は劇場としては映画5作目になりますが、シリーズとしては3作目…になるのかな。(すいません、あまり詳しくないもんで。調べるの面倒だし)


ロバート・ロドリゲス監督がまだ駆け出しだった1994年に、脚本を依頼されて執筆。その企画は結局流れてしまったけど、2009年になって当時のシナリオを20世紀フォックスが発掘。現在彼が立ち上げたトラブルメイカー・スタジオに企画が戻ってきたということらしい。いかにもハリウッド的な話ですこと。


それをちゃんと引き受けるロドリゲスの兄ちゃんはエラい。残念ながら直接演出はできなかったものの、製作に回って、監督には「アーマード 武装地帯」のニムロード・アーントルを抜擢。この時点で早くも、どうでもいいような映画が出来上がるニオイがプンプンですね。


この映画がヒットすればよし。コケればそれ見たことか、最初の俺の脚本をぞんざいに扱ったハリウッドのばかちんどもめ、とけなしてやればいい。映画も、場外乱闘も、どっちが本当のプレデター(捕食者)なのか、その審判は、劇場へ行く観客が下してやりましょう!



「エイリアン」が、いかにもな宇宙生物であるイメージなのに対して、「プレデター」は、何やら謎めいた宇宙人である。日本のサムライのような雰囲気もあるので、“わけありの怪人”といったダークサイドオーラが漂う、魅力的なキャラクターと言えます。


プレデターのデザインに関しては、「チェンジマン」に登場する悪者の幹部怪人ブーバをパクッたという話が有名ですが、そのブーバもまた「妖怪大戦争」の青坊主のパクリだったりして、きっとその前もあったりして、調べればルーツは無限なんじゃないかと。落ち武者キャラなんていっぱいいるしね。俺なんか、「八つ墓村」(松竹版)の夏八木勲なんかも怪しいと思うんですが。


キャラクター的には、ハカイダーとかワルダーとか、サムライっぽいのも無数に存在しますからね。これは、不滅のジャンルなんですよ、きっと。誰が最初であるかなんて、まあどうでもいいじゃないですか。捕食者なんだから、食ったもん勝ちってことで。



模倣に模造。パクリ・パチもん・バッタもん。マネするところにマネーが動く。いいじゃん、ニセモン、便乗商売。大事なことは、特撮が大好きだってこと。愛がこもった作品には、魅力的な魂がちゃん宿るもんです。


確かに、プレデターは落ち武者のイメージがある。狩りを楽しむ能天気な種族であると簡単に思えないような哀愁がある。それだけに、人間と同じように、いい奴も悪い奴もいるんでしょう、たぶん。



プレデターさん、人間の肉ってうまいの?それとも、殺すのが楽しいの?人間とプレデターって、たぶん共通点があるんですね。だって、同じ大気吸って生きていられるんだもん(笑)。


人間だって、知らない惑星で生き残るには食糧が必要。奴らが襲ってくれば、必然的に戦うことになる。とりあえず、殺したプレデターは食っちゃえばいいでしょう。もしかしたら、カニみたいな味がしてウマいかも?精力増強食品・プレデターの肉!


そうなったら、どっちが捕食者かわからんなあ。地球から選りすぐりの傭兵たちが、続々と押しかけて来るぞ。狩猟ツアーも企画されるぞ。あ、もしかしてこれ、そういう映画だったりして。そう思うと、面白いかも、この映画。まあ、何とでも解釈できるので、見た後でいろいろ想像してみるのも楽しいかと。



追いかけて、待ち伏せて、捕らえて殺して、貪り食う。食う者と食われる者。昨日の敵は、今日の友。敵の敵は味方。で、今日の味方は明日の食糧。 …人間とプレデター、仲良くケンカしな!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月20日(火) 劇場:ワーナーマイカル県央 20:40の回 観客:約10人

親友のYD君と一緒に行きました。終わった時間が早かったので、そのまま2人でスナックBLへ。


【上映時間とワンポイント】

1時間47分。赤いレーザーがいっぱい出る場面を見たら、何かを連想…おお、これってプリキュア劇場版?いいですねえ、コレ。次回作の前売り券には、赤いペンライトをオマケに付けたらどうでしょう?


【オススメ類似作品】


「プレデター」 (1987年アメリカ)

監督:ジョン・マクティアナン、出演:アーノルド・シュワルツェネッガー。全ては、ここから始まった。「ロッキー」のアポロ役で有名なカール・ウェザースが、あっという間にやられてしまう場面は爆笑でした。姿を見せない光学迷彩機能は、サムライというよりはニンジャでしたね。


「バトルロワイアル」 (2000年東映)

監督:深作欣二、原作: 出演:藤原竜也。ワケわからんまんま、戦わなければならなくなる状況の映画といえば、やっぱりコレでしょう。女子中学生が「ばっきゃろー!」と絶叫しながら銃を乱射する場面は、とってもクールでした。今日という日を生き残ったみなさん、おめでとうございます。明日もがんばって、生き残って下さいね。


「必死剣 鳥刺し」 (現在公開中)

監督:平山秀幸、原作:藤沢周平、出演:豊川悦司。一見、関係なさそうですが、俺的には関係あります。だって、クライマックスで、トヨエツがプレデターに変身するんだもん!




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2010-07-19

映画熱5周年特別企画ランキング ~飲食物編~

テーマ:ランキング

久々にランキングをぶちかましてみましょう。今回は、食べ物と飲み物にスポットを当ててみました。子供心に感じた世界を含めて、記憶を探っていきたいと思います。映画だけではなく、TVドラマもいくつか入りますが、細かいことは気にしないでいきましょう。俺にとっては、忘れがたい思い出ですから。


今回は、かなり多くなりました。厳選40作品、はりきってスタート!



1.「ゴッドファーザーPARTⅡ」 (ケーキ)

大物マフィアであるハイマン・ロスが誕生日であったことから、バースデイケーキが登場。切り分けられた後に、皿の上に無造作に横置き!ケーキのペチャッという音が何だか男らしいというか、豪快な感じがしました。こんなことしたら殺されるんじゃないかって、小学生の桑畑少年は怯えたものです。だけど、ロスおじさんは言いました。『…あ、小さいのをくれ。』 さすがは大物だあ!カッコいい!


2.「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」 (ケーキ)

思春期のヌードルス少年は、ケーキを持って来たらヤラセてあげると言われて、お店で買ったショートケーキを持って年上の女に会いに行きます。『…外で待ってて。』と言われ、おとなしく待つ少年であったが、うまそうなケーキが気になって、中を見てしまう。少しくらいならわからないだろ、とクリームをなめているうちに、我慢ができなくなって全部食べてしまう。バックに流れるエンニオ・モリコーネの音楽がスバラシイ。食い終わる頃にドアが開いて、女が出て来ます(爆笑)。少年は、色気より食い気ですな。強い男になれよ!


3.「野性の証明」 (ケーキ)

高倉健おじさんの誕生日に、薬師丸ひろ子がバースデイケーキを買ってきます。しかし残念なことに、転んでケーキを落としてしまいました。落ち込む少女を見て、健さんは、壊れたケーキをムシャムシャ食い始めます。『…うまいよ、これ。』 優しいなあ、健さん。甘いもの好きじゃないだろうにね。


4.「名探偵ホームズ」 (パンケーキ)

「風の谷のナウシカ」と同時上映だった劇場版「青い紅玉」において、万引き少女がホームズとワトソンにお茶をふるまう場面。豪快に積み上げた特製パンケーキがお見事。デッカい口を開けてかぶりつく3人の顔が笑えます。この時点で、犯人は心を開きましたね。


5.「家族ゲーム」 (目玉焼き)

朝食の目玉焼きをチュウチュウ吸うのが楽しみな亭主。しかし、その朝は、固くて吸うことができなかった。『…おい、これじゃチュウチュウできないじゃないか!』 『…あ、そうだったんですか、今まで知りませんでした。』 うわあ、すげえ冷めた会話。長年連れ添った夫婦の、クールな関係に驚いたもんです。


6.「時計じかけのオレンジ」 (ミルクとキャンディ)

今度は、飲み物にいきましょう。未来の世界では、麻薬入りのミルクが若者の間で流行しているそうな。健全なんだか不健全なんだかよくわからん組み合わせが笑えました。このミルク出し人形のデザインがものすごい。股間にぶら下がったコックをひねると、オッパイからミルクがチュ~っと出てきます。これは爆笑でした。劇中には、チンコの形をしたペロペロキャンディも登場。シュールですなあ。


7.「空飛ぶゆうれい船」 (ジュース)

爆発的人気のボアジュースは、実は毒入りだった。世界征服を企む海底魔王ボアの陰謀とも知らずに、みんなうまそうに飲んでいる…。異常に売れ行きのいい清涼飲料には、何かワケがある?


8.「千と千尋の神隠し」 (おにぎり)

行き場を失った千尋に、唯一優しくしてくれるハク。彼が持ってきてくれた白米の塩おにぎりをほおばった途端、彼女は大粒の涙をこぼすのでありました。忘れられない名場面ですね。 …日本人よ、コメを食え!


9.「太陽の帝国」 (たぶんチャーハン)

行き場を失った少年を助けてくれた人が、何やらうまそうなものを料理している。『…食うか?』と言われた途端、少年は全力で食いまくる!お礼を言うヒマもない。ひたすら、食う!食う!食う!生命力あふれる、印象的なシーンでした。


10.「ふしぎな島のフローネ」 (ジャム)

TVアニメからも出しましょう。物語の終盤、漂流し続ける船の上で、死にそうになったフローネの命を救ったのは、ジャムでした。タムタム少年が作ったジャムを、隠しておけと指示したモートンさんの真意がわかる名場面。


11.「タンポポ」 (ラーメン他)

何度も紹介しているのでもう説明するまでもありませんが、高校生の時に試写会が当たって、電車賃だけ持って見に行ったトラウマの1本。出てくる料理が全部、完璧にうまそうなので、腹へって目が回りそうになりました。食べるって、とても大事なことなんですね。ちゃんと味わって、感謝して食事しましょう。


12.「しあわせのかほり」 (トマト卵炒め)

「タンポポ」の教訓を生かして、この映画は空腹でない状態で行きました。でも、やっぱりうまそうなんですねえ。爽やかで酸味のあるトマトと、ふうわりとやわらかな風味の卵との絶妙なバランスがたまらない一品…だそうです。画面から本当に香りが漂ってきそうな、おいしそうな映画でした。食欲のない人は、これを見よう!


13.「南極料理人」 (バター)

きたろうのラーメンを挙げたいところですが、年末ランキングの名セリフ編で紹介済みなので、あえてバターでいきましょう。もしかして一番インパクトがあったのは、これかもしれんなあ。夜中にバターをかじる男がいましてね…おお、何だかホラーチック!


14.「うずまき」 (なると入りの味噌汁)

主人公の父親役を演じた大杉漣が狂ったように食うのがコレ。どう考えてもうまそうに見えないので、本来ならスルーなんですが、妻が本当に夕食に作っちゃいまして、食うはめになりました。はっきり言ってマズいです。ちくしょう、おかげでトラウマになったじゃねえか!


15.「じゃりん子チエ」 (ホルモン焼きとコップ酒)

中学生くらいの時に見たんですが、うまそうな組み合わせだったなあ。ちょっと憧れますね、こういう世界。近所にあったら、常連になったかも。チエちゃんに小言を言われながら飲む酒も、きっとうまいと思うな。


16.「二百三高地」 (熱燗で湯豆腐)

ちょっと変な視点から紹介します。新沼謙治の役柄が豆腐屋だったという設定から、ラッパでちょっと吹いてみろと言われて、豆腐屋のあのメロディを演奏する場面があります。『…熱燗でキューッと。』 というセリフがよかったなあ。大人になってからこの映画を見て、熱燗と湯豆腐の組み合わせが好きになりました。大国ロシアを破った日本軍の英霊に、敬意を表していただきます。キューッと。


17.「ルパン三世 カリオストロの城」 (パスタ)

このアニメも、とにかく食べる場面が多い。代表的なのは、前半のルパンと次元のパスタ争奪バトルでしょう。フォークを器用に扱ってクルクルと巻き取る場面は、曲芸みたいで爆笑でした。とっつぁんがすするカップラーメンも、ルパンがガツガツ食うマンガの肉も、とってもうまそう。やっぱり人間、しっかり食わなきゃいかんですなあ。でも、食べ過ぎると、顔が緑色になりますのでご注意。TVシリーズの「死の翼アルバトロス」のスキヤキもおいしそうだった。最終回「さらば愛しきルパンよ」で、マキちゃんが入れてくれたコーヒーも捨てがたい。縛られている銭形に飲ませながら、一方の手を添える、あのしぐさがタマらんかったなあ。日本女性って、やっぱり美しい存在ですね。


18.「あしたのジョー」 (リンゴと白湯)

宿敵矢吹丈と戦うために、過酷な減量をする力石徹。出された料理にも手をつけず、リンゴ1個だけをむさぼるように食う力石。しかし、ついに限界となり、扉をやぶって水を飲もうとするが、蛇口には針金が巻いてあった。葉子お嬢様が涙ながらに彼に手渡したのは、一杯の白湯(さゆ)であった。『…冷たいお水は、あなたの乾ききった体には毒だと、先生がおっしゃっていたわ。』 『…お嬢さん、そのお気持ちだけありがたく飲ませていただきます。』 彼はジェントルマンです、男です、カッコいいです、力石徹!


19.「あしたのジョー2」 (レモンティーと3枚のビスケット)

劇場版には出てきませんが、TV版では第23話。韓国人ボクサー・金龍飛との試合を控え、ジョーは過酷な減量をクリアしたばかりで、レストランで小さなステーキを静かに噛みしめていた。そこへ、奴が登場。自分は生死を懸けた戦いをくぐり抜けてきた。君のような満腹ボクサーとは違うのだよ。1日の食事は、レモンティーと3枚のビスケット。ボクシングなんて、私にとっては実にのどかで平和な世界なのだよ…ウッフッフ。ちくしょう、こんなビスケット野郎に負けんじゃねえぞ、ジョー!


20.「機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙」 (ハンバーガー)

コアブースターのパイロット、スレッガー中尉が待機中に何か食っている場面。たぶん、ハンバーガーかホットドッグだろうと思うけど、無重力なのでそこらじゅうに食いカスが漂っているのが笑えます。そんなところに、突然ミライ少尉がやって来る。『…どうか、死なないで下さい!』 『…やめましょうや、俺は中尉の好意を受けられるような人間じゃないんだ…。』 でも、この後しっかりチュウしちゃうんですねえ。ケチャップやらマスタードやらが入り混じった、ジャンクフード・キッス(爆笑)! …あんたら、ちゃんと口拭いとけよ!


21.「おもひでぽろぽろ」 (パイナップル)

しかし、ジブリ多いなあ。だって、うまそうなんだもんね。でも、これは違うか。自然そのままのパイナップルをもらって、どう切っていいかわからない人は、これを見て覚えましょう。ワクワクしてお口に頬張ったみんなの表情が、見る見るヘタッていくのが笑えます。きっと、期待した味じゃなかったんですね。


22.「紅の豚」 (ワイン)

ポルコ・ロッソには、ワインがよく似合う。死んでいった仲間たちを思ってグラスを傾けるその姿は、中年の魅力にあふれています。悲しみも苦しみもいっぱい味わったけど、人生の楽しみ方もちゃんと知っている男。飛ばねえ豚はただの豚…めんどくせえことは、人間同士でやんな!


23.「べっぴんの街」 (ビールにレモン)

柴田恭平が演じる探偵さんは、瓶ビールに切ったレモンを入れて飲むのがお好き。ビールじゃないのかもしれませんが、俺的にはビールかなあっと。白いコートにサングラス。武器は、己の拳とメリケンサック!


24.「未来少年コナン」 (カエル)

ラナが捕まった時に、ジムシーが持ってくるカエルが、こんがり焼けていそうで、何だかうまそうだった。彼はブタを飼っていますが、名前はウマソー。俺、こいつが大きくなったら食うんだ!わかりやすくていいですねえ。俺、ジムシーと友達になりたいと思います。


25.「デスノート」 (甘~いお菓子)

松山ケンイチが演じるL探偵は、甘いものが大好き。彼の体はきっと、甘いものでできているんですね。スゴい食い方してるのに、白い服が全然汚れていないのも不思議だなあ。ジョン・トラボルタが演じた、砂糖が大好きな天使マイケルを思い出します。彼らは、虫歯にならんのでしょうか?


26.「レオン」 (牛乳2リットル)

毎日牛乳を2パック買ってくる男、レオン。職業は殺し屋。今どきは、1日に2リットルの水を飲みなさいなんて言われてますが、彼は牛乳が水代わりなんでしょうかね。飲み過ぎると、カルシウムを摂取する力が弱まるかもしれんから気をつけましょう。あ、もしかして牛乳風呂に入っているとか?いやいや、彼はシャワーしか浴びんからなあ。やっぱり、謎の男ということで。


27.「新世紀エヴァンゲリオン」 (エビチュビール)

ミサトさんが風呂上がりにお飲みになるのは、エビチュビール。最近の劇場版ではエビスビールになっちゃいましたが、もともとはバッタもんのエビチュビールです。サッポロがスポンサーになったのかどうかはわかりませんが、どうせなら、期間限定でエビチュビールを発売しちゃえばよかったのに。そうすりゃあ、儲かったのに。俺も絶対買うから。


28.「酔拳」 (よくわからん中国の酒)

酒は男を磨く水。心のけがれを落とす水。酔えば酔うほど強くなる。酔ったフリをして油断させるのか?酔った時だからこそ出る力があるのか?それは、戦っている者にしかわからない。酔っ払いのプロは、地上最強。 …酔った勢いなら、何でもできるのだ!


29.「バッド・ボーイズ」 (缶コーラ)

ウィル・スミスではありません。ショーン・ペンの青春映画です。ムショに入ったショーンは、ボスに目をつけられていた。彼はビニール袋を持って、缶コーラをたくさん買っては入れていく。もしかしてこれは、ボスへの差し入れ?うん、ある意味そうだね。さあ、この後すごい場面が…その瞬間を見逃すな!


30.「ブタがいた教室」 (ピーちゃん)

小学校のある学級で、子ブタを飼うことになりました。『…最後は、みんなでこのブタを食べようと思います。』 おおお、何て粋な授業なんでしょう。だけど、何だかややこしいことに…ええい、面倒くせえ。さっさと食っちゃえばいいじゃん!おい、ジムシー、出番だぜ!


31.「いのちの食べかた」 (世界中のあらゆる食べ物の原材料)

我々の口に入る食物が、どんな過程で運ばれてくるのか、とても勉強になるドキュメント映画です。キモチワルイ?全然そんなことないでしょう。俺、かえって食欲湧きましたよ。あったりめえよ、人間、食わなきゃ死んじまうだろ!


32.「スーパーサイズ・ミー」 (ハンバーガー)

マクドナルドのメニューだけを食って、1ヶ月過ごしたらどうなるかを実験したドキュメント映画。巨大企業にケンカを売った、強い意志を持った男の物語。こうなると、味わっている余裕はないでしょうね。何だか、作られたハンバーガー君がかわいそうになりました。せっかく生まれたのに、憎まれ役とは…ううむ、この映画の本当の悪役は誰なんだろう?


33.「築地魚河岸三代目」 (まぐろコロッケ、赤むつの煮付け)

画面から魚のニオイが漂ってくるような、食欲をそそる映画です。魚嫌いな息子のために、母親が工夫したメニューとして登場するのがまぐろコロッケ。主人公の恩人の奥様が好物だったという設定で登場するのが、赤むつの煮付け。おいしい食べ物は、人を幸せにするんですね。(パンフによると、どちらも通販で購入できるそうな)


34.「西の魔女が死んだ」 (ワイルドストロベリージャム)

魔女が作ったジャムとは、なかなか魅力的。どんな甘い香りがするんでしょうね。この映画の魅力は、おばあちゃんと孫の対話の面白さにあります。生身の人間の微妙な揺れ加減が、ジャムの味そのものに反映するのか、味わう味覚に影響するのか。う~ん、奥が深いですねえ。


35.「全然大丈夫」 (ちくわ)

木村佳乃は、何でちくわばっかり食ってるのか?しょうがないじゃん、好きなんだから。好きな食べ物に、理由なんかないんです。好きなものは好き。嫌いなものは嫌い。特に女の子はそうだよね。好きな男から、バースデイちくわをもらって幸せになれれば、それはそれでいいじゃないですか。ヤボなことは言いなさんな。



36.「サマリア」 (豚足)

女子高生ハン・ヨルムが、食いかけの豚足で頭をポリポリ。『…汚いよ。』 と言われて即答。『…汚くないよ、食べ物だもん。』 う~む、これは見事な切り返し。この映画での彼女の運命を考えると、深いセリフだなあと思います。まあ、彼女の頭が汚れていたら、やっぱり汚いかと思いますけどね。


37.「パンダコパンダ」 (竹やぶ)

いいおうちですね。お天気もいいし、特に竹やぶがいい。初対面からこの調子でぶちかますパパンダ。しかし、うまそうに竹を食うもんですねえ。ちなみに息子のパンちゃんは、竹の子が大好物。ミミちゃんの作ったお弁当は、なかなかイカしてました。


38.「悪魔の手毬唄」 (ぶどう酒)

日本むかしばなしの常田富士男が、飲んだくれのおやじを怪演しています。地酒のぶどう酒をグビグビ飲んで酔っ払って、死体見つけてぎゃあああ!楽しそうな人生ですなあ、おっさん。


39.「ローマの休日」 (アイスクリーム)

一応、正統派も触れておきましょうか。オードリー・ヘップバーンが、歩きながらアイスクリームを食べる姿は素敵ですねえ。お相手は、グレゴリー・ペック。モノクロ映画であることが、彼女の白い肌と白いアイスを際立たせる効果に、一役買ったかもしれませんな。


40.「はじめ人間ギャートルズ」 (猿酒とマンモスの干し肉)
最後は、コレで締めましょう。猿酒をあおって赤くなり、干し肉をうまそうにかじる人類の先祖の生活は、とても楽しそうでいて、誇り高い。いつの時代に生きても、人間はモノを食べ、戦い、愛する者を守る。酔いが回れば世界が変わる。昔も今も、人類みな兄弟。古い人間だからエラいとか、若造だからダメだとか、そんなものは関係ないのだ。限られた人生、気持ちよくなったもん勝ちです。さあ、飲みましょう。人類の輝かしい歴史と未来に乾杯!





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2010-07-18

武士道シックスティーン

テーマ:邦画

ぎゃあああ!だあああ!ビシーッ!バシーッ! …強くてカッコいい女子高生、見参!


原作は、誉田哲也の同名小説。監督・脚本は、古厩智之。撮影は、清久素延。音楽は、上田禎。主題歌を歌うのは、MICHI。


出演は、成海璃子、北乃きい、小木茂光、堀部圭亮、板尾創路、石黒英雄、荒井萌、山下リオ、高木古都、賀来賢人、波留、古村比呂。


さて、映画ですが、とびきりイキのいい作品に仕上がりました。いいですなあ、この2人。気の強い役柄をやらせたら右に出る者がいない若手女優同士の、まさに頂上対決。この2人に竹刀を持たせるというだけで、俺はコーフンします!


3歳から父親の道場で修行を積んできた、エリート剣道少女・香織は、中学のある大会で、同学年の無名選手・早苗に不覚にも負けてしまう。それが悔しくて、負けた相手を追って同じ高校に入学して来るのであった。『…おい、あたしと勝負しろ!』



主演は、成海璃子。おお、このおねーちゃんは、しかめっ面の方がやっぱり映える。「神童」の興奮が再びよみがえってくるようです。目をひん剥いて奇声を上げる彼女は、とってもキュートでセクシー。いいじゃん、成海ちゃんサイコーじゃん!


一方、テキトーに練習している普通の剣道少女を演じるのは、北乃きい。「ラブファイト」では華麗なパンチラハイキックを披露した彼女は、今回はちょっと弱々しい感じ…?いやいや、そんなことないぞ。だんだんいい感じになってくるじゃん。この2人、なかなかいいコンビです。しかも、アイテムが剣道とくれば、小中学校に剣道をやっていた俺の血も騒ぐぜ!


成海ちゃんの父親は、“ネコナデ”小木茂光。おお、このオヤジは厳しそうだ。母親を亡くしてからは、厳格な指導をすることしかできなかったんですね。彼女というキャラクターが育ったのが非常によくわかる状況。


一方、きいちゃんの父親は、“脱獄王”板尾創路。おお、まさか服役中?いやいや、ちゃんと働いているらしいが、ワケありで別居中。しかも、ファミレスでバイトしている…っておいおい、これって「空気人形」じゃん!この映画にエロ要素はご法度だろ!でも大丈夫。たまたまこの職業のようです。全くもって、紛らわしいこと。


他にも色んな人が出てきますが、面倒くさいので割愛します。(コトバの使い方、間違ってるって)


出演者は、成海ちゃんときいちゃんと、竹刀2本。これでOK!後は何もいらん!



そういえば、剣道をテーマにした映画って、あんまりなかったような気がする。ましてや、女子剣道部なんてミステリアスな空間は、そうそうスポットが当たるもんじゃないんだろうか?柔道部や弓道部は出てきても、剣道部は珍しいもんね。いやはや、新鮮で楽しい映画です。


いわゆる、スポ根モノと言ってしまうのも何だかもったいない。かといって、オシャレなスポーツじゃない。女優といえども、剣道の面を被ってカメラに映るのって、抵抗があるんじゃないかな。しかしながらこの2人は、実に堂々と演じている。だから、見ていて気持ちがいい。



本作は、お行儀がいいのか悪いのかよくわからんところがある。厳格に躾けられた香織ちゃんは、学校であぐらをかいて握り飯を食っている。まさに、昼メシって感じ。教室では、「五輪書」を片手に、鉄アレイで筋トレ。それを見てきいちゃんが、カッコいいって思ってしまうのが笑える。


女子高生が制服姿であぐらをかいている姿は、なかなか粋ですなあ。しかも、この2人はごく自然にそれをやってしまう。さらりとしてるから、悪い印象が起きないのはさすが。ホントに、いいコンビだと思います。



男だって、女だって、決着を付けなければならない時がある。それをしないと前に進めない時がある。心が柔軟なうちに、体力があるうちに、やりたい事をドンドンやっちゃいましょう!


これはどんな映画ですかと聞かれたら、気持ちのいい映画です、と答えましょう。元気があって、威勢がよくて、背筋がピンと伸びる映画です。仲のいい友達を誘って、一緒に笑って泣きましょう。



男の子には男の子の、女の子には女の子の世界がある。悔いのないように、不完全燃焼にならないように、青春の光と影がほとばしらせ、情熱の炎を燃やし尽くしましょう。


悩んで苦しんで、笑って泣いて、気がすんだら、また前を向けばいい。自分の剣を握り締め、自分の人生の扉を打ち抜くのだ。 …ぎゃあああ!かかってきやがれ!邪魔する奴は、ぶっ殺す!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月14日(水) 劇場:シネウインド 20:15の回 観客:約5人

仕事がうまくいかなくてイライラしていたんですが、この映画でスッキリしました。やっぱり気合いが大事だ!


【上映時間とワンポイント】

1時間49分。シネウンドの I 支配人は、学生の頃に剣道をしていたとか。だからこの映画を上映したんですね。俺も久しぶりに、素振りしてみようかなっと。


【オススメ類似作品】


「神童」 (2007年)

監督:萩生田宏治、原作:さそうあきら、出演:成海璃子。天才ピアニスト少女を、成海ちゃんがふてぶてしく演じています。本作は気持ちいい映画ですが、こっちは心地よい映画です。悪態をつきながらも、ピアノを弾く彼女の姿は、この上なく美しい。共演は、松山ケンイチ。俺は「のだめカンタービレ」を知りませんが、この映画は大好きで、原作も読んでます。(ザ・あまのじゃくB型)


「ラブファイト」 (2008年)

監督:成島出、原作:まきの・えり、出演:林遣都。きいちゃんが、これでもかとパンチラハイキックを披露します。しかしながら、これはボクシング映画なので、途中からキックは封印。でもね、真剣に戦う彼女の姿は、この上なく美しい。コーチ役は、自らプロデューサーも兼任した大沢たかお。どうでもいいけど、きいちゃんとのキスシーンが長過ぎ(笑)。主題歌は、ファンキー・モンキー・ベイビー。カラオケで歌おうとしたら、舌が回らなくで挫折しました。


「アイコ十六歳」 (1983年)

監督:今関あきよし、原作:堀田あけみ、出演:富田靖子。アラフォー世代には懐かしい1本。こちらは、弓道部であります。袴姿の富田やっちゃんが弓を構えた姿は、この上なく美しいッス。和服っていいよなあ。俺も年食ったら、和服で飲みに行こうかな。何かのコスプレですかって言われたりして。うるせえ、俺は剣道歴9年、合気道歴6ヶ月の武道家だぞ、文句あるか!剣道は初段、合気道は3級だ、あっはっは!(はずかし~)




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2010-07-18

コトバのない冬

テーマ:邦画

寒くて、あたたかくて、心地よくて、切ない映画。 …心をまっさらにしてご覧下さい。


俳優・渡部篤郎が、監督に挑戦。2004年に撮影してから6年の時を経て劇場公開となりました。現在は、新潟のシネウンドで公開中。


原案・監督・編集は、渡部篤郎。音楽は、屋敷豪太。出演は、高岡早紀、渡部篤郎、広田レオナ、北見敏之、未希、鈴木一真、渡辺えり。


さて、映画ですが、かなり実験的な作品に仕上がりました。説明くさい映画に辟易していた俺ですが、これほど何の説明もない映画も珍しい(笑)。これは、「ロストクライム」より手強いかもしれんぞ。


北海道の小さな町でひっそりと暮らす冬沙子は、なかなか連絡が来ない恋人を気にしながら、厩舎で働いていた。ある大雪の日、バス停の近くで謎の男と知り合い、親しくなっていく…。



主演は、高岡早紀。彼女は、存在感そのものに魅力がある女優なのかもしれない。実は今まで、彼女の演技をじっくり見る機会がありませんでした。「四谷怪談」のお岩さんと「長い散歩」の虐待母くらいしかパッと出てこないので。現在37歳だそうで、オンナの匂いが漂ってくる年代ですなあ。


本作の撮影スタイルは、ドキュメント風であるので、日常生活にカメラが入り込んだ感じがします。普通に暮らしている1人の女の、生活のひとコマという感じ。だから、芝居がかってないというか、素に近い自然な演技になるのかも。


そういう中で見る彼女は、何だかとてもいい。お人好しで、穏やかな性格で、ほわんとしている。こういう人に街でバッタリ会ったら、渡部篤郎じゃなくても恋をしてしまうかもしれんなあ。男性客は、ここでみんな彼女に恋をしてしまうのかな?


冬沙子が出会う青年を演じるのは、監督でもある渡部篤郎。役柄は、言葉を発することができない男。彼の最大の魅力である声を封印して、身振りと表情だけで表現していく意図は何だろう?少なくとも、女性客の全員が彼に恋をするとは思えない。この時点で、彼にすんなり恋をしてしまう女性客と、彼氏が早く連絡してこないと、彼女があっちにいっちゃうよとやきもきする女性客に分かれるんでしょうか?


彼が何故話せなくなってしまったのかは、映画の中では明確にしない。しかし、耳は健在なので、彼女の話を聞いて微笑むことはできる。何か理由があって、その状態になったんでしょう。


これだけだと、単なる三角関係なのかということになるんですが、彼もまた1人ではなかった。会いに来る女性がいるのだ。彼女の正体もまたよくわからない。彼女なのか、別れた妻なのか、姉なのか。少なくとも、1人で住んでいる彼の身を案じてくれていることだけは確か。


こうなると、四角関係なの?と観客は混乱してしまう恐れもある。お互いに、異性の相手がいながらも、違う異性と親しくなっていくという物語である。さあ、コマは揃った。ここからは、観客の想像力の出番です。



細かいしぐさや表情、少ない会話などから、登場人物の背景を想像してみましょう。伏線と思われる場面も、最後まで放ったらかしになっちゃうので、謎解きのキーワードなんかほとんどありません。すげえなあ、ここまで観客を突き放して映画を作っちゃうなんて、大した度胸ですね。


だけどね、本作にはイヤミがないんです。あくまで、自然に、ナチュラルに、物語が展開していきます。大体ねえ、浮気している本人は、浮気しているという自覚なんてありませんから(笑)。あたしは自然の成り行きでこうなったのよ、誰のせいでもないのよ。



誤解のないように言っておきますが、本作にエロはありません。あくまでも、ストイックな作品です。だから、気持ちの問題なんですね。見ている側の感覚によって、これは美しい恋愛映画にもなるし、ありふれた日常映画にもなる。何とも、不思議な映画です。


彼氏の気持ちがわからない、彼女の気持ちがわからないといって悩んでいる人は、思い切ってこの映画を一緒に見てみてはいかが。話題のきっかけには絶対なると思うから。



喧騒の中に生きていてうんざりしている人にも、この映画をオススメしてみたい。静かな時間って、心を休めるんですよね。映画の中でにぎやかなのは、食堂のオバチャンを演じる渡辺えりだけですから。


物静かな女性だなあって思っていると、渡部篤郎の前ではマシンガントークになってしまうところが笑えます。静かな人って、単に話すタイミングがつかめないだけだったりしますから。彼女は、本当は話したくて話したくてしょうがなかったんでしょう。彼女が思わず発した言葉の中に、彼女の本来の心の姿を見たような気がします。



さあ、この恋は実るのでしょうか。そもそも、これは恋なんでしょうか。冬限定の、ささいな出来事。画面に映っていない時間に、何かが進行しているかもしれない。だからじっくり見ましょう。彼らの目線になって。


恋は、突然始まるもの。気がついたら始まっていたということもある。追いかけて追いかけて、追いかけすぎて追い越して、勝手に空想してしまって失敗することもある。そこが面白い。恋のかけひきは、相手と自分の心の距離を確かめるための、楽しい作業。



これは、途中から始まって、途中で始まる映画。説明がなさ過ぎる、と嘆くなかれ。人の心はそう簡単に説明できないし、簡単に理解できるものじゃないんだから。


これだけは言える。心地いい方向へと、心は流れていくもの。この映画に足りないものは、観客の心が補ってくれることでしょう。映画を育てるような気持ちで、あたたかい目で、余韻に浸りましょう。



渡部監督、おつかれ様でした。俺は、いい手応えを感じましたよ。自分にしかできないスタイルで、信じる方向へ進んで行って下さい。この映画を見て、新たに誕生するカップルがあるかもしれませんね。



ハッピーエンドなのか、アンハッピーエンドなのか、これからクライマックスなのか。それは、観客が決めましょう。恋にマニュアルはありません。ハートのスイッチは、自分でオンしましょう。


奇跡を奇跡と思う心こそが、奇跡そのもの。出会ったこと自体が、奇跡そのもの。小さな奇跡は、毎日そこらじゅうに転がっています。目をこらして、よく見ましょうね。 …今すれ違った人が、あなたの人生を変えるかもしれないから。




【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月11日(日) 劇場:シネウインド 18:15の回 観客:2~3人

観客が少なくて、余計に静かでした(笑)。カップルで来たら、ほぼ貸切ってことか?


【上映時間とワンポイント】

1時間34分。シネウインドで7月23日まで公開中。新人の受付嬢は、少し表情がやわらかくなりましたね。


【オススメ類似作品】


「トリコロール 青の愛」 (1993年フランス)

監督・脚本:クシシュトフ・キェシェロフスキ、出演:ジュリエット・ビノシュ。静かな映画といえば、やっぱりコレですねえ。心の傷を、時間が癒していくような感覚がよかった。大人の映画です。3部作なので、白と赤もあります。白はジュリー・デルピーが出るピー。赤はイレーヌ・ジャコブ。


「蟲師」 第3話 「柔らかい角」 第23話 「錆の鳴く聲」 (2005~2006年BSフジ)

監督:長濱博史、原作:漆原友紀、声の出演:中野裕斗。静寂と声にまつわる物語といえば、この2つのお話がオススメ。人には、それぞれの事情がある。蟲には、蟲の事情がある。心が傷ついて疲れてしまった人は、この夏このアニメを見てはいかが。映画熱が自信を持ってオススメする、日本人の美しい心を描いた傑作シリーズです。


「プルシアンブルーの肖像」 (1986年キティフィルム)

監督:多賀英典、出演:玉置浩二。安全地帯が危険地帯にシフト。夏休みの小学校で次々と生徒が失踪する。謎の用務員を演じるのは、安全地帯のヴォーカリスト玉置浩二。一言も言葉を発しないのに、高橋かおり嬢は彼の言葉がわかってしまう。果たして、謎の男の正体は…?




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2010-07-18

必死剣 鳥刺し

テーマ:邦画

男は黙って隠し剣。 …いざという時に、その場にふさわしい剣を抜くのだ!


お、うまそうな鳥刺しでござるな。よろしければおひとついかが。さようか、これはかたじけない。では遠慮なく…うわ、イテテテ、おい、針が入っておるではないか!おや、体がしびれてきたぞ、貴様さては毒を…おのれ、はかったな!…うっふっふ、これぞ秘剣・鳥刺しの術!くそう、何というセコい技を…ガクッ(絶命)…という映画ではありませんのでお間違えなく(誰も間違えねーよ)。


“鳥刺し”とは、細い竹竿で小鳥を捕らえること。その先端に塗るのが、いわゆる鳥餅。そうやって鳥を捕まえて売る商売人のことも鳥刺しと呼んだらしい。でも、鳥肉の刺身という意味もちゃんとあるんですよ。(広辞苑より)


原作は、藤沢周平の同名小説。監督は、平山秀幸。脚本は、伊藤秀裕、江良至。撮影は、石井浩一。音楽は、EDISON。主題歌を歌うのは、ALAN。


出演は、豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司、村上淳、戸田菜穂、関めぐみ、高橋和也、小日向文世、岸部一徳。


さて、映画ですが、平山監督渾身の力作となりました。男たちよ、この映画を見逃すなかれ。日本中で日々を戦い抜いている、サムライたちにこの映画を捧げます。ハードボイルドな展開に、カタルシスが爆発する!


江戸時代、東北の海坂藩の城内において、兼見三左ェ門は、藩主の妾を殺害。死を覚悟しての行動であったので、当然切腹だろうと思っていると、以外にも寛大な処分が下される。その真意とは?三左ェ門の運命は?



主演は、豊川悦司。おお、「ロストクライム」で武田真治を見たばっかりなので、これは「NIGHTHEAD」つながりでちょうどいい。今度はお兄ちゃんの登場ですね。彼が時代劇に出るのを見るのは、「座頭市」以来かな。寡黙でストイックな役柄なので、まさにピッタリ。「NIGHTHEAD」の直人のように、怒りを溜め込む表情がタマらんです。


その彼が、一体どんな技を繰り出すのか?それは劇場で確認して下さい。それにしても、鳥刺しとはかわいいネーミングだなあ。トヨエツだったら、馬刺しでもいいような気がしますが…おお、それはスゴそうだ。デッカいナギナタかなんかでグサリと一発!…ってだから刺身じゃないってば!


三左ェ門の妻を演じるのは、戸田菜穂。彼女が病死して3年後に城内での刃傷が起きているので、映画では回想シーンのみ登場します。妻が生きている時の穏やかな空気と、現在の張り詰めた空気の対比が切なくてたまりません。寡黙で実直で誠実な男であればこそ、その佇まいそのものが人生の哀愁を漂わせているのだ。これはシブい。中年オーラがほとばしる、男の魅力が全開であります。


妻の姪を演じるのは、池脇千鶴。“出戻り”という事情を抱えている女で、病弱の妻の代わりに三左ェ門の身の周りの世話をします。奥様亡き後も献身的に働く彼女の姿は、観客の心を打つことでしょう。


彼女、なかなかいいです。時代劇の衣装がすごくよく似合っているし、よく着こなしている。そして、日本人女性としてのしぐさが素敵にかわいいし、健気で美しい。こんな女性に身の回りの世話をしてもらえるなんて、主人公は幸せ者だなあと思います。


平山監督も、細かい動きにこだわったそうなので、そこで生活している空気が感じられるような、いい雰囲気でした。歩き方、ふすまの開け閉め、急な雨に驚いて、走る姿…ああ、彼女の働く姿が美しい。いい女優さんですね。俺的には、食事のしたくをしている時の姿がよかったなあ。俺は料理がからっきしダメなので、料理をする女性の姿に魅力を感じるんですね。漬物を皿に移す時なんかタマらんかったなあ、えっへっへ。


汗に光り輝くおでこが、彼女のチャームポイント。男性諸君、彼女のようなお嫁さんをもらいましょう。そのためには、彼女にふさわしい男にならないとダメですよ。一途で頑固な女性であるという点では、「たそがれ清兵衛」の宮沢りえにも通じるかと思います。男をちゃんと見てくれている女は、やっぱり言うことが違いますな。



さあ、そんな池脇ちゃんに対して、悪役になり切ったのが、関めぐみ嬢であります。彼女、こういう役もできるんですねえ。いやはや、参りました。ただでさえデカい目が、時代劇の衣装で余計にデカく見えました。もうすでに、顔の半分が目です。きらりんレボリューションも真っ青。こんなデカい目をひん剥いて、威圧的な態度を取られると、これはもうスゴいというより、コワい。あたしの言うことが聞けないってえの?はい、あんた、切腹!


次に「デビルマン」の実写映画企画があったら、彼女にサイコジェニーをやってもらいたい。魔性の妾、サイコジェニーめぐみをどうかお見逃しなく!池脇ちゃんの額ビームと、サイコジェニーめぐみの怪光線が激突。さあ、勝敗はどちらに?(註:映画で2人が戦う場面はありません)


妾の言いなりになってしまうウエサマを演じるのは、村上淳。うわー、いかにも卑怯で悪そうな男でんなあ。これは、素晴らしいキャスティングと言えるでしょう。これがもし谷原章介だったら、違う映画になってしまうところでした。きっと、それなりの才覚はあるんでしょうが、女に骨抜きにされてしまってすでに言いなりになってしまっているバカ殿様を、楽しそうに演じています。きっと、サイコジェニーめぐみは床上手なんでしょうなあ、うっひっひ。どこで主導権を取られたのやら。


ウエサマの側近には、大物・岸部一徳が控えし候。出ました、日本のドナルド・サザーランド。まさに完璧の布陣であります。どこをどう見ても悪役商会。ああ、そんなところに真面目で実直で誠実な男が働いていたらどうなるか?しかも、剣の使い手だったらどういう扱いを受けるのか?ああ恐ろしや、三左ェ門の運命やいかに?


主人公の同僚を演じるのは、小日向文世。これはまたちょうどいいポジションでんなあ。不満はあるが、行動する勇気がない男。でも、実際の世の中は、彼のような男たちに支えられているのです。上手にバランスを取って、したたかに生きる。だから、彼自身はいい人なんです。


これが大人の男と言えばそれまでですが、映画を見ていると、やっぱり釈然としないものがある。だからこそ、主人公の三左ェ門の存在が光輝くのだ。彼の演技って、味があるんですよね。もっと年を食ったら、「武士の一分」の笹野じっちゃん並みになるんじゃないかな。「アウトレイジ」でもいっぱい笑わしてもらったので、これからも面白い演技を見せて欲しいです。



そして、強豪の剣客として登場するのが、吉川晃司。彼はどちらかというと銃が似合いそうなイメージですが、刀を振り回すのは大丈夫なのかなと、正直不安でありました。しかしながら、彼がまたなかなか見せてくれます。長身を生かしたどっしりとした動きが、何かを感じさせる。終盤まで剣をぬくことはありませんが、そこまでの溜めがいいんですね。これは、作品としての力がそうさせるのか。持って生まれた彼の才能なのか。


「硫黄島からの手紙」を見た時に、伊原剛志の印象が強かったことを思い出しました。彼もまた長身でがっしりしていて、頼りになる男というイメージでした。演技力うんぬんよりも、存在感としてのオーラが、画面にピッタリだったのかもしれない。そんなわけで、吉川晃司のただならぬ雰囲気がタマらんかった。


三左ェ門とは、しがらみがなければ友になれた男であったはず。できることなら手を取り合って、共に酒を酌み交わす仲であったかもしれない。世の中は、かくも無情なのかと嘆いているうちに、戦いの瞬間は迫る。どちらも死なすには惜しい男。観客は、固唾を飲んでその瞬間を待つのだ。



この映画、あらゆる意味で刺激的です。何がどうすごいのか説明しろと言われても、的確な言葉が浮かびません。その説明できないものが、本作のよさであり、日本映画の長所であり、日本人のすごいところなんです。


生き方に苦悩している人は、だまされたと思ってこの映画を見て欲しい。何かきっと、得るものがあると思う。本当に大切なものとは何か。生きるとはどういうことか、死ぬとはどういうことか。生死を越えたところに答えがあるのかもしれないし、答えなど初めからないのかもしれない。


だけど、この映画は何かを教えてくれる。何かを語ってくれる。登場人物全員の命のきらめきを、息づかいを、肌で感じて欲しい。できることなら劇場で。



男には、あらゆる剣が備わっている。戦うための剣、働くための剣、遊ぶための剣、大切なものを守るための剣、生き抜くための剣…その中には、生涯一度も抜くことがない剣もあるかもしれない。それでもいい。いざとなったら抜けばいい。使わずにすめば、それに越したことはないのだから。


男の顔つきには、生き方が表れるもの。信念を貫いて生きている男には、覚悟がある。行かねばならん時は、とことん行くべきなのだ。上から嫌われても、使える男というのは、簡単にクビにはなりません。どうせいつかは捨てられる身なんだから、言うべきことは言いましょう。やるべきことはやりましょう。



刀には、鞘が必要である。抜いた刀が帰ってくる場所が必要である。三左ェ門の刀が戻ってくる場所はどこか。そうです、池脇ちゃんなんです。これぞ、まさに秘剣。まさに隠し剣!スバラシイ!これぞ男の剣!クライマックスは終盤の殺陣だけじゃないぞ。濡れ場もちゃんとあるんだぞ!


池脇ちゃんはエラい。よくぞここまで演じ切ってくれました。キミはきっと女神かもしれない。露出はないけど、充分エロかった。PG12にならなかったのもスゴい。だから、子供もしっかり見ろ!親は、目隠しなんてヤボなことしちゃあいけませんよ!これこそが、人間の究極の美しい姿なんだから。


行け行け三左ェ門、負けるな三左ェ門。卑怯なやつらをぶった斬れ!行き先は、剣が知っている。迷いを捨て、無心になって振り回し、狙いを定めてぶちこめ!命ある限り、男は戦うのだ。あきらめるな、今こそ抜くんだ、必死剣!…食らえ、最後のひとしずく!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月11日(日) 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 15:15の回 観客:約40人

年代バラバラで、カップルが多かったかな。うっひっひ、今夜はどんな剣を抜くのやら。


【上映時間とワンポイント】

1時間54分。エンディングテーマを歌うALANは、「レッドクリフ」の彼女ですね。本作に合っているのかどうかは微妙ですが。


【オススメ類似作品】


「たそがれ清兵衛」 (2002年松竹)

監督・脚本:山田洋次、原作:藤沢周平、出演:真田広之。藤沢作品の映画化では、やっぱりこれが一番いいですね。真田広之が刀を抜いた瞬間は、ゾクゾクして興奮しまくりでした。同時期に彼が出演した「ラスト・サムライ」との相乗効果もあり、当時のアメリカではこの映画が「トワイライト・サムライ」と呼ばれて話題になりました。


「蝉しぐれ」 (2005年東宝)

監督・脚本:黒土三男、原作:藤沢周平、出演:市川染五郎。藤沢映画でもうひとつ挙げるとすれば、俺的にはコレです。この映画は、とにかく美しい。人物の佇まいというものが、とても心地よくて、見ている側も思わず姿勢を正してしまいます。子役の佐津川愛美が、健気でたまりませんなあ。この娘が成長すると、本作の池脇千鶴になりそうな気がする。彼女はこの映画の後、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」でサトエリにイジメ抜かれます。しかしながら、2011年には「電人ザボ-ガー」に出演するとか。がんばれ、愛美ちゃん!


「時効警察」 第2話 「偶然も極まれば必然となると言っても過言ではないのだ!」 (2006年テレビ朝日)

演出・脚本:三木聡、出演:オダギリジョー。池脇千鶴がゲスト出演したドラマ。俺の記憶では、スイミングスクールのインストラクターだったような気がします。水着姿がセクシーでミステリアスだったなあ。


「将軍家光の乱心 激突」 (1989年東映)

監督:降旗康雄、原作・脚本:中島貞夫、出演:緒形拳。ウエサマのご乱心で大騒ぎする映画といえば、やっぱりコレでしょう。「蝉しぐれ」では無念の死を遂げた緒形拳が大活躍。相手は、ソニー・千葉真一!7人のサムライニンジャが、2000人の兵隊を相手に死闘を繰り広げる、ウルトラ・チャンバラ・アクション・ムービー。主題歌はアルフィー。エンディング・テーマの「フェイス・オブ・ラブ」は名曲。不条理に立ち向かう、男たちの死に様を見よ!…竹千代殿が生き残れば、我らの勝ちでござる。


「ザ・中学教師」 (1992年)

監督:平山秀幸、原作:プロ教師の会、出演:長塚京三。本作のトヨエツのキャラから連想すると、平山作品ではこれが一番近い主人公かもしれない。真面目に淡々と仕事をこなしていく様子や佇まいが、三左ェ門に通じているような気がするんですが、どうでしょう?彼が現代に生まれたら、こんな男になるのかもしれませんね。平山監督が追い求める男のイメージなのかな?





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2010-07-17

ロストクライム 閃光

テーマ:邦画

突き動かされるように、真実に近づいていく。 …まるで、見えない力が働いているかのように。


「踊る大捜査線3」とおんなじ日に公開とは、なかなか粋ではありませんか。ようし、7月の1本目はこれにしようっと。何の予備知識もないまま、劇場に入りました。キャッチコピーは、『…ただでは、すまない。』 ううむ、ますますわからん。そりゃまあ、お金払って見るからね。


“lost”は、“lose”の過去形。“道に迷った、失った”という意味で、“crime”は、“犯罪行為”だから、タイトルの意味は、“迷宮入り事件”といったところでしょうか。それとも、“よくわからん犯罪”なのかな?


原作は、永瀬隼介の小説「閃光」。監督は、伊藤俊也。脚本は、“キカイダー”長坂秀佳と伊藤監督の共同。撮影は、鈴木達夫。音楽は、大島ミチル。主題歌を歌うのは、DEEP。


出演は、渡辺大、奥田瑛二、川村ゆきえ、中田喜子、烏丸せつこ、原田芳雄、夏八木勲、熊谷真実、武田真治、宅麻伸、かたせ梨乃、矢島健一、奥村知史、中村映里子、飯田裕久。


さて、映画ですが、昭和の残り香が随所にちりばめられた作品に仕上がりました。余計なものを極力そぎ落とし、魂の部分だけを強調するスタイルが面白い。説明過多な映画があふれている中で、ある意味骨太な印象が残る怪作。なるほど、よくわからん映画です。この映画そのものがロストクライムなのかも?


東京の隅田川で、中年男性の絞殺死体が発見される。定年を間近に控えたベテラン老刑事は、被害者が過去のある大事件に絡んでいたことをつかんでいた。若手刑事とコンビを組んで捜査を開始するが、次々と壁にぶち当たっていく…。



主演は、渡辺大。新潟県が誇るケン・ワタナベの息子ですな。TVドラマ「臨場」で若手検視官を演じていたのが記憶に新しいので、その延長のキャラといったところですね。パンフでは、“野心あふれる若手刑事”なんて書いてありましたが、映画を見る限りではちょっと違うような…。出世に意欲を燃やす男が、元ソープ嬢と同棲するかなあ?


彼はきっと、あんまりモノを考えない男なんだと思う。テキトーにやってりゃあ何とかなる、っていう雰囲気があって、そのあっけらかんとしたところが、若造らしくていい。学習能力は高そうなので、これから育っていく世代なんでしょうね。彼の演技力のレベルとつり合った、ちょうどいい役柄かもしれない。


ベテラン老刑事を演じるのは、奥田瑛二。本作は、彼が出演しているから見に行ったようなものです。しっかし、いい役者ですねえ。熱血刑事かどうかはよくわかりませんが、長く刑事をやってたような説得力を感じます。彼の

全身から漂う、デカのニオイを感じ取って下さい。華麗なる加齢臭。


主人公の恋人を演じるのは、川村ゆきえ。何ともかわいらしい女優さんです。元ソープ嬢(劇中ではヘルス嬢)というスゴい設定の割りには、全く脱ぎませんので、変な期待はやめましょう。フツーにいい女の子でした。出番はあまりないので、ヒロインと言っていいのかどうかも微妙ですが。


濡れ場として見どころがあるのは、かたせ梨乃オネエサマ。美脚マニアの皆様は、後半のシーンにご期待下さい。はっきり言って、この脚はエロい。ビューティー・クリニック・シベリア超特急。


雑誌記者を演じるのは、武田真治。彼ももう38歳ですが、精悍な顔つきは変わりません。「NIGHTHEAD」の弟役だった頃が懐かしいなあ。うろたえたり、思いつめたりする動作は完璧。いい怪演でした。これからもこの路線で、技をどんどん磨いていって欲しいと思います。


夏八木勲は、かつてギラギラしていた感じがあって、哀愁漂う雰囲気が切なかった。妻役の熊谷真実の熱演も、胸が締め付けられるようだった。中田喜子の美しい朗読、烏丸せつこの女将姿…そう、本作はとにかく切ないんです。何というか、わびさびの世界というべきか。



とにかくこの映画、出てくる人物がやたらと元気がいい。ちゃんとメシをしっかり食ってるし、酒はどんどん飲むし、女も抱く。悩みながらも、やることはちゃんとやってるんだなあ。何というか、生命力のようなものをひしひしと感じました。


本作で警察監修を務めた飯田裕久氏は、公開される直前にこの世を去ったそうです。彼が出演したワンシーンが爆笑だっただけに、後から聞いて衝撃を受けました。自販機でワンカップを買う場面にご注目。ベタベタすぎて死ぬほど笑いました。いい演技でしたよ。ご冥福をお祈りします。



登場人物が多いと、どうしても説明くさくなってしまう傾向があるもんですが、伊藤監督は、それをバッサリ切ってしまいました。表情や仕草、行動から、その人の人生を感じてくれ、と言われているような気がする。人の中身は、そう簡単にわかるもんじゃないし、誰もが、知られざる秘密を抱えたまま生きているもんだから。


そういう意味でこの映画は、観客の感性によって感じ取ることが要求されているスタイルであるような気がします。演じる役者たちの瞳の奥から響いてくる、彼らの魂の声に耳を傾けてみましょう。



いい意味で中途半端。最小限度の情報で、受け取った側が自由に考える。それってもしかして、観客も捜査に加わるということなのでしょうか?…ってそれは深読みし過ぎ?


いやいや、こういう映画はアリだと思う。何でも説明してしまうと安っぽくなるし、隠し過ぎるとイヤミになる。そのバランスが難しい。そういう意味では、ちょっと手強い映画なのかも。


これはこう感じろ、ここで笑え、ここで泣け。そういうわかりやすい映画を好む人は、やっぱり「踊る大捜査線3」を見に行った方が無難かと思います。俺はどうも、そっちの方は興味ないので、こっちの映画で満足です。何だか、ジイさんの説教をくらったみたいで、切なく面白かった。オチもほどよくヒドかったし。



奥田瑛二は、師匠である熊井啓監督作品「海と毒薬」で、渡辺謙と共演したことがあります。その息子との共演は感慨深かったことでしょう。若手を育てたいという彼の情熱が、役柄に対するひたむきさが、画面からひしひしと伝わってくるではありませんか。


だから、セリフや行動に出ない部分は、我々観客の想像力で補いましょう。映画を見た後は、オレはきっとこうだと思う、あたしはこう感じたわ、というような会話で盛り上がって下さい。



人間は、何を考えているのかわからない。行動の意味も、理由も動機も、真実は闇の中。それらに答えを出すのは、他人ではなく、自分自身。映画をどう消化するのかも、自分のスタイルでよろしい。自分の栄養になり、自分の生きる力の源になればよいのだから。


老刑事は、何故そんなにがんばってしまうのか?どうしてそこまで情熱を注ぐのか?全てを失っても、やり遂げねばならない理由は何なのか?もしかしたら、本人にもわからないのかもしれない。わからないからこそ、行動せずにはいられないのかもしれない。



人生をロスト、魂をロスト、大切なものをロスト、時間をロスト、居場所をロスト、なけなしの金をロスト…ううむ、この世は、失ってばかりなのか?いやいや、そんなことはないぞ。目を凝らしてよく見よう。 …そこからしか得られないものも、ちゃんとあるんだから。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月11日(日) 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 11:00の回 観客:約15人

ちゃんと投票をすませてから行きました。PG12なので、小学生は保護者をゲットしましょう。でも、エロはほとんどないから期待しちゃダメだよ。


【上映時間とワンポイント】

1時間58分。オリジナルグッズのミニタオルは、売れないと思う。ボールペンもダサいなあ。もうちょい、何とかならんか。


【オススメ類似作品】


「初恋」 (2006年ギャガコミュニケーションズ)

監督:塙幸成、原作:中原みすず、出演:宮崎あおい。本作と同じ事件を題材にした映画といえば、やっぱりコレでしょう。小出恵介に振り回される篤姫どのは、なかなかキュートでした。


「絆」 (1998年東宝)

監督:根岸吉太郎、原作:白川道、出演:役所広司。渡辺謙が容疑者役で登場する刑事映画。本作で消化不良になってしまった人は、これで口直ししてみてはいかが。


「牡丹灯篭」 (1968年大映)

監督:山本薩夫、出演:本郷功次郎。親子でストーカーになってしまった、切ない女幽霊の物語。しんざぶろう~さまあ~!とガバッと抱きつく幽霊嬢は、青白い脚を絡ませるのであった…うう、エロい幽霊だなあ。違った意味で、トラウマの1本でした。


「笑う警官」 (2009年)

監督:角川春樹、原作:佐々木譲、出演:大森南朋。本作はショパンでしたが、こちらはジャズです。テキトーでストレートな作風は、本作といい勝負かも。不器用な直球スタイルこそが、男の真骨頂。本作と同じく、女は脇役ですな。


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2010-07-07

6月の残り香 ~祝・5周年~

テーマ:エッセイ

え~、ようやく俺の6月が終わりました。やれやれ。


おかげさまで、映画熱も5周年。こんなヒドいブログが、よくもまあここまで生き残ったものだ、と自分で驚いています。というわけで、このブログはまだ続くみたいですね。



ここまで応援して下さった皆様に、熱く御礼申し上げます。


YZさん、お祝いしてくれてありがとうございました。それから、誕生日おめでとうございます。また今度、つげ義春のマンガを語り合いましょう。今年はライダー変身セットが入手できなかったので、来年こそは変身して下さいね!


YD君、お祝いメールありがとう。また今度、一緒に映画館に行きましょう。会社のM先輩、いつも車で送って下さってありがとうございます。また変な特撮映画を一緒に見に行きましょう。カラオケも行きましょう。


スナックBLとスナックBTのスタッフの皆様も、よくわからん乾杯に付き合ってくれてありがとう。くたびれているけど、桑畑はまだ健在です。BTのSママ、今度新しい本を編集したら、持って行きますね。


そして、妻と娘にも感謝です。記念日に、近所のコーヒー専門店で、おいしいコーヒーをご馳走してくれてありがとう。キミたちの協力なしには、ここまでがんばれなかったと思う。ブログをやめようかと悩んだ時も、よく支えてくれました。できれば、俺が書きたい時にパソコンを積極的に空けてもらえるとうれしいな。



6月に見た劇場映画は、全部で6本。今年のトータルは、34本になりました。いやあ、まだまだですね。


最近の映画は、やたらと怒っている作品が多い。いばらを編んだり、復讐したり、アイアンスーツ着たり、人を斬ったり、銃で撃ったり、鉄人間になったり…ううむ、とりあえず怒っとけって感じですね。


妻いわく、『…梅雨どきだからちょうどいいんじゃないの。』 なるほど、それもそうだね。みんなイライラしているからね。「アウトレイジ」なんか、かなりヒドかったもんね。これと比べると、「バトル・ロワイアル」の方がマトモな映画に思えてくるから笑えますな。



人間の心は、乾ききっていると力が出ない。かといって、湿度があり過ぎるとうっとうしくなってしまう。適度に湿った状態を保つのがポイントですね。自分にとって、どういう状態が快適かを、よく考えた上で映画をチョイスしましょう。無理にがんばっても、消化不良を起こしますからね。


以前は、時間が許す限りどんな映画でも見ていましたが、最近はそうでもなくなってきたみたい。だんだん、無理ができなくなってきたのか。しんどくなってきたのか。


若い人たちのブログをたまに読むと、面白い人がいっぱいいますねえ。やっぱり、自分はサイコーだって自惚れて書いてる文章が、俺にとっては魅力的なんです。 …いいじゃん、みんながんばれ!



面白い文章を書こうとすると、わざとらしくなってしまうし、好きなことだけ書こうとすると、まとまりがなくなる。はい、俺のことですね。全くしょうがないなあ。5年も書いているのに、さっぱり成長してませんなあ。


俺的には、気持ちのいい文章を書きたい、といつも思っています。誤字脱字も多いけれど、そこがまた人間くさくていいじゃないですか。俺の幼稚な文章を読んで、これなら自分の方が書けるぞと誰かが自信を持ってくれたら、それはそれでOK。新たな才能が世に出るための、踏み台的ポジションっていうのもオイシイ。



いつのまにか、ここは俺の居場所になりました。だから、居心地のいいところにしたい。また来たくなるような雰囲気を漂わせたい。いいブロガーにならなくてもいいから、忘れられないブロガーになりたい。


こいつ、しょうがねえなあ、と思いながらも、たまにちょっと覗いてみるか、なんていう感じのブログになれたら最高ですね。あんまり期待されても面倒くさいので、世捨て人にならない程度の、少数派で盛り上がりたいところ。



自分のスタイルは、大切にしたい。でも、それが窮屈になったら、あっさり脱ぎ捨てるのもまたいい。毎日、新しい自分になっていく。それは、とっても素敵なこと。自分にワクワク、自分の人生にドキドキ。


今夜は七夕ですね。何か願い事をしなきゃいかんのかな。大体、1年に1回しか愛する人に会えないのに、他人の願い事なんて聞いてるヒマなんかあるか!って俺は思うけどなあ。オリヒメさんとヒコボシさん、いいから今夜は、自分たちのことだけ考えて、熱く燃え上がって下さいな。ムショ帰りみたいに、最高のテンションで…ウッヒッヒ。



そういうわけなので、7月もがんばります。知る人ぞ知る、変てこなブログ、映画熱をこれからもどうぞよろしく。





               2010年7月7日   “酔っ払いのプロに向けて修行中” 桑畑四十郎





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2010-07-05

最近読んだ本

テーマ:

時間がないないと言いながらも、本は何となく読んでました。今回は、いよいよ三島文学に挑戦。ネタ探の記事で「春の雪」を扱った時に、強烈な印象が残っていたので、彼の小説をずっと読んでみたいと思ってました。



「純白の夜」 (三島由紀夫著 角川文庫)


人妻の不倫の恋である。しかしながら、今どきでいうところの不倫とは、かなり毛色が違う。何というか、無邪気で美しい。プラトニックで、ストイックで、ほどよくエロい。主人公の郁子夫人の情感あふれる行動が、読む者の心を切なくさせてしまう。この小説を執筆した時、三島氏は25歳だそうな。


夫は13歳年上の銀行員。不倫相手は夫の友人。夫はお坊ちゃん育ちで真面目な男…。絵に描いたようなシンプルな構成なんですが、これが実に巧妙な展開を見せていく。心に秘めた恋のかけひきが、愛する人との息づまる死闘に発展していく…ううむ、これはなかなか手強いぞ。


純粋な恋ほど傷つきやすく、壊れやすい。だからこそ、必死に守りたくなるし、育てたくなる。自分でも気づかないうちに大きくなってしまった心は、もうどうしようもなくふくらんで…さあ、どうなる?




「不道徳教育講座」 (三島由紀夫著 角川文庫)


「週刊明星」に連載された、三島氏のエッセイ集。世の中の常識に対して、斜めに構えて語っているスタイルがカッコいいです。いやあ、粋な文章ですなあ。


これを読んで、俺は驚愕しました。彼は、常体・敬体が入り混じった文章を書くんですね。俺のブログもいつの間にかこういうスタイルになっていたので、何だか親近感を感じてしまうなあ。ということは、このスタイルはアリということなんですね。三島センセイに認可をもらったような気になっちゃいました。(ザ・自惚れ)


内容は、役に立つようでいて、実効性のないようなお話(笑)。そんなこと、彼じゃなきゃできんわい、って感じのものも多い。粋な行動というのは、それなりの要素がある人じゃないと、単なるヤボになっちゃうもんですから。


やはり、人のマネでなく、自分らしく行動すべし、ということでよろしいかと。




「夏子の冒険」 (三島由紀夫著 角川文庫)


これは、ぶっ飛んでます。修道院に入ろうとした女が、移動中に出会った男に一目惚れして、そのまま一緒に行方不明になってしまう(爆笑)。


そんなアホな、と思いながらも、彼女の思考力と行動力に感心してしまうから面白い。いやはや、すごい女もいたもんですな。こんな女に惚れられたら、人生変わってしまうかも?


純愛と言うべきか、気まぐれというべきか。聖女と言うべきか、悪女と言うべきか。困ったことに、彼女の心には一点の曇りもない。こりゃあ、まいった。最強ですわ。打つ手なし!


こういう女に目をつけられたらどうしますか?逃げることは不可能に近い。あえて嫌われるようにするか、彼女が飽きるまで放っておくか。逃げるのは、まず不可能のようですから。




「七つの黒い夢」 (乙一、恩田陸、北村薫、誉田哲也、西澤保彦、桜坂洋、岩井志麻子著 新潮文庫)


頭が疲れている時は、ショートストーリーを読みます。この本は、寝る前にちょっとだけ読むのにちょうどいい。


乙一の「この子の絵は未完成」は、無邪気で面白かった。誉田哲也の「天使のレシート」は、甘酸っぱくて青くさくて共感できた。桜坂洋の「10月はSPAMで満ちている」は爆笑でした。これは、ホラーというよりギャグですなあ。恐さは、微塵もない。そもそも、我々が生きている世の中自体が、恐怖の世界なんですから。




「現代百物語」 (岩井志麻子著 角川ホラー文庫)


最後は、岩井志麻子センセイの短編集。というか、エッセイ集。というより、飲み屋トーク集かな?


幽霊話はほとんどありません。この世に生きている人間の方がずっとコワいから、そっちの方が題材になるんでしょうな。いっぱい笑わせてもらいました。いやあ、センセイは楽しい人生を送っているんだなあ。


全編、各2ページずつで、実にコンパクトにまとまっています。読みやすいから、寝つきの悪い夜になると絶妙な効果を発揮しました。ああ、世の中に変な人間っていっぱいいるんだなあと思うと、何だかうれしくなってくる。俺なんて、カワイイもんじゃないですか。


何だか、飲み屋のカウンターでセンセイのお話を聞いた気分になりました。ブラックで楽しい夜をどうもありがとうございました。おやすみなさい。






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2010-07-04

鉄男 THE BULLE TMAN

テーマ:アニメ・特撮

ダン!ダン!ダン!ドカン!グワシャーン! …鉄は、熱いうちに打て!


変態映画の巨匠・世界のツカモト監督が放つ、アメリカ版「鉄男」が、ようやく新潟でも公開。“bullet”とは、“弾丸、銃弾”という意味。そりゃ、“アイアンマン”というわけにはいかないもんねえ(笑)。


監督・原作・脚本・撮影・編集・美術・特殊造型は、塚本晋也。あっはっは、相変わらずやりたい放題でんなあ。


出演は、エリック・ボシック、桃生亜希子、中村優子、ステファン・サラザン、塚本晋也、田口トモロヲ。


さて、映画ですが、鉄男・垢抜けバージョンといった仕上がりになりました。1989年版の「鉄男」のテンションには及ばないものの、テイストとしては充分盛り込んであります。アメリカ向けの輸出映画、という性質を考えれば、まあこんなもんかと。


イライラすると、男の体は鉄人間に変身していく…さあ大変! (説明、それだけかい!)



主演は、アメリカ出身のエリック・ボシック。オーディションによって主役に選ばれました。ハイスクール時代から「鉄男」の熱狂的ファンだそうで、意欲的に撮影に臨んだようです。塚本監督からは、“大人になった鉄男”という指示があっただけで、自分なりの想像力を駆使して熱演。タイトルロールのシーンでは、激しい動きを何度も取り直したおかげで、3日間くらい筋肉痛になったとか。


妻を演じるのは、桃生亜希子。「サムライ・フィクション」でデビューした女優さんで、今年で24歳。母親を演じるのは、中村優子。どちらも顔が似ているので、最初は同一人物かと思いましたが、よく見れば違う人。さあ、アメリカ人のみなさんは区別がつくかな?


父親を演じるのは、カナダ出身のステファン・サラザン。本職はメディア・アートの教授だそうで、日本映画を専攻し、フランスに塚本映画を紹介する役目を担った人物。言わば、監督の恩人ですね。本作で長編映画デビューとなりました。親子でメガネをかけているのが、何だか笑えますな。


“奴(THE GUY)”を演じるのは、もちろん塚本晋也。登場した途端に、笑いが込み上げてきます。おお、奴が現れたぞ、ってね。執拗に追いかけるその変態的な眼光は、パンク映画のシンボル的存在と言えるかも。きっともう、神の領域ですね。

本作は、演技力うんぬんの映画ではなく、テンションが全なんじゃないかと。普通の大人しい男が、イライラしながら変貌していく様が面白いのだ。誰の体内にも、鉄分は存在しますからね。



アメリカ版を製作するにあたり、向こうのプロデューサーから 『…ところで、何で鉄になるんだ?』 理由を聞かれたとか。塚本監督は、『…その理由のわからないところがいいんだけどなあ。』 と思ったそうですが、アメリカは合理性が求められるところだから、しょうがない。仕方なく設定を付け加えたそうな(産経新聞記事より)。


変身、突然変異、怪物化。心の暴走が、体の変貌を加速させていく。それが非科学的だと言うなら、進化論は科学じゃなくなってしまうんじゃないか?進化したい、強くなりたい、空を飛びたい、家族や友達を殺したあの野郎をぶっ殺してやりたい!その強い思いが、変身のトリガーとなるのだ。


そもそも“変態”は、科学用語である。“もとの姿・形を変えること”であり、動物の変態を促すホルモンが、変態ホルモン。(広辞苑より) どうだ、参ったか!変態映画こそは、前衛的科学的実験的な冒険ジャンルなのだ!変態バンザイ!人類バンザイ!ヘンタイ映画バンザイ!



変態とアートは紙一重である。異常なジャンルと正常なジャンルの境界線をなくしていくことは、恐怖であり、興奮であり、未来への挑戦である。未知の世界に踏み込むには、勇気がいる。思考や妄想は、現実化の可能性がある。そのためにも、己の感性を磨くことを怠るなかれ。


本作を見て、何を感じ取るか。それは、人によって違っていい。自分の中に棲む鉄男が、溶鉱炉のように燃えたぎっているものが、噴き出しそうになっているマグマが、爆発の瞬間を待っている。そのパワーが放出された時、自分は一体どうなるのか? …ウッヒッヒ、ワクワクしますねえ!



ツカモトムービーこそは、世界に誇る日本のアートである。ヘンタイは、世界中に存在するのだ。この映画も、きっとドンドン進化する。生身の人間と、鋼鉄の物質。有機物と無機物。同じ地球から生まれた化合物なら、もとはおんなじもので構成されているのかもしれないから。


境界線は、崩すためにある。ルールは、破るためにある。恐怖はいつしか喜びとなり、激痛は快感になっていく。その根源にあるものが、強固な吸引力を発揮するからこそ、形を変えて、生命力は強化されていくのだ。


その根源の正体が、きっと愛なんですね。人と人、生き物と物質の絆は、愛によって生まれるのです。強力な愛こそが、結びつきを強固にし、愛の回転運動によって大きなエネルギーを呼び起こしていく。愛するものに対する感情こそが、怒りが、悲しみが、喜びが、心地よい快感が、新しい扉を開いていく。



愛は、力を生み出す。力は、愛から生まれるものだから。誰かを愛し、物を愛し、自分を愛する心があるからこそ、生きる力が湧いてくる。そのエネルギーの流れを、見失うなかれ。絶えず湧き上がる源泉の息吹を、堰き止めるなかれ。だからいつも言うのです。自分の感じ方を大切にして欲しいと。


自分の中から聞こえてくる声に、耳を傾けよ。目をこらしてよく見よ。それがわかれば、進む方向が見えてくる。見えたら、迷わず行くべし。最初はゆっくり、次第に加速して、ダッシュ、ダッシュ、ダンダンダダン!



弾丸となって暴走せよ。闇の中を駆け抜け、壁を突き破り、新たな領域へ到達せよ。自分しか行けない場所がある。自分にふさわしい空間がある。心の命ずるままに、新境地を切り開け!


ガン!ガン!ガン!ガン!若い命が真っ赤に燃えて、チェンジゲッター・バレットマン!たぎる心を解き放て!行け行けぼくらのバレットマン!負けるながんばれバレットマン! …クール・ジャパニーズ・特撮ヘンタイ映画に栄光あれ! (筆者はこのまま、意気揚々と飲み会会場に向かうのであった)




【鑑賞メモ】

鑑賞日:6月29日(火) 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 21:15の回 観客:約10人

ユナイテッドシネマの皆様、公開してくれてありがとう。今度はぜひ三部作一挙上映とかして欲しいなあ。


【上映時間とワンポイント】

1時間11分。監督いわく、『…上映時間はアバターの3分の1ですが、見た後の疲労度はアバターの3倍です。』


【オススメ類似作品】


「鉄男」 (1989年海獣シアター)

製作・監督・脚本・美術・撮影・照明・編集・特撮・出演:塚本晋也。主演:田口トモロヲ。ローマ国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞作品。本作のタイトルバックは、これとおんなじですね。全てはここから始まった、記念すべき第1作。とにかくスゴい映画です。暴走したら、鉄人間になる。よくわからんところがカッコいい。ポコチンドリルがグルグル回転し、彼女の肉体を突き刺していく!これぞ、究極のヘンタイ映画!日本人の想像力と創造力は、世界一! (ちなみにモノクロ映画です)


「鉄男Ⅱ BODDY HAMMER」 (1992年海獣シアター)

製作・監督…ああ、面倒くさいから上とおんなじでいいでしょう。ストレートな続編ではなく、1作目に予算を追加してカラー版にした、一般人に見やすくしてグレードアップした映画。視覚的にスマートになったけど、テンションはやっぱり1作目の方が断然。


「イレイザーヘッド」 (1977年アメリカ)

製作・監督・脚本・美術:デビッド・リンチ、出演:ジャック・ナンス。モノクロ映画の怪作としては、世界的に有名なのはやっぱりコレでしょう。おぞましさ、気色悪さは絶品。俺的には、この映画と本作は2点セットになっています。キモチワルイものを美しく見せる腕を持っているのがリンチ、キモチワルイものをカッコよく見せる腕を持っているのがツカモト…てな感じでしょうか。






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2010-07-03

アウトレイジ

テーマ:邦画

売られたケンカは買う。キッチリとオトシマエをつける。 …キタノ映画が、世界にケンカを売った!


“outrage”とは、“憤慨”という意味(アドバンストフェイバリット英和辞典より)。強い怒りが、度を越えてしまうと、もう暴走しかない。これは、ロクな質問をしてこない映画関係者に対しての、ケンカ映画だと思う。やりましたねえ、北野組組長、たけし親分!


監督・脚本・編集は、北野武。撮影は、柳島克己。衣装デザインは、黒澤和子。音楽は、鈴木慶一。


出演は、ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、三浦友和、國村隼、杉本哲太、塚本高史、中野英雄、石橋蓮司、小日向文世、北村総一朗。


巨大暴力団・山王会幹部総会において、トップからある指示が出る。それは、組織全体を揺るがす暴力闘争に発展していく引き金であった。その意図とは?現場で右往左往する男たちの運命は?激しい怒りが、熱い火花となって飛び散る!



さて、映画ですが、とことん怒ってばかりいる作品に仕上がりました。あっはっは、これはヒドい。こうなると、もう笑うしかありません。「仁義なき戦い」よりも仁義がありません。任侠もへったくれもありません。あるのはただ“怒り”のみ。本作を見た後は、極端に言葉遣いが悪くなりそう。劇場を出た後は、人と肩がぶつからないように気をつけましょう。


本作は、デートには全く向かない映画です(笑)。大人しい彼氏と付き合っている女性は、見た後に彼が豹変するかもしれないのでご注意。誰かと一緒に行くなら、同姓同士がいいかも。憎いあいつを思い浮かべて、映画の中でケンカして、銃をぶっ放してスッキリしちゃいましょう!



主演は、誰だかわかりません(爆笑)。一応、ビートたけしのようですが、彼の存在感はさほど大きくありませんでした。特別カッコいいわけでもなく、特別な力を持っているわけでもありません。ただ、彼のクールなキャラは健在です。だからこそなのか、本作の彼の役柄は、感情移入できてしまうところもあったりして。


大ボスを演じるのは、北村総一朗。ヤクザの親分を演じるにはちょっと弱い感じもしますが、実際のヤクザの親分がどんななのかよくわからないので、こんなものなのかもしれない。冷静に人殺しを命令できる人間は、一見すると普通の男に見えるのかも。


たけしの側近を演じるのは、椎名桔平。「GONIN」で初共演した彼は、すっかり大物俳優になりました。加瀬亮とともに、頭の切れる頼もしい部下として映画を盛り上げてくれます。おおよそヤクザに見えないところが、かえってヤクザっぽいような、不思議な感覚。この2人を使いこなせるたけし兄貴は、やっぱりスゴい。


北村親分の側近を演じるのは、三浦友和。「悲しきヒットマン」以来のヤクザ映画であり、北野作品初出演。パンフ掲載のコメントにでは、『…暴力描写が中途半端な映画が多い中で、北野作品は、リアリティに裏打ちされた底知れぬ恐ろしさがある。』とありました。最近記憶に新しい「沈まぬ太陽」でも真面目なワルを演じて、彼の演技はますます面白くなってきています。スーツは、洋服の青山が提供したんでしょうか?


一番かわいそうだったのは、“イカでビール”石橋蓮司のおっさんでしょう。彼個人はお人好しの小心者なのに、これでもかとヒドい目に遭わされます。歯医者の診療台に乗っかっている姿を見ただけで、ひいいいと悲鳴をあげてしまいそうになった人はいっぱいいるでしょう。面倒見がよさそうな男だけど、頼りなさそうだから、杯はもらいたくないなあ。


で、一番注目したいのは、たけしの上司にあたる役を演じた國村隼。このおっちゃんは、ホントに面白い俳優ですねえ。たぶん、本作で一番バカな役柄はこの男でしょう。それをさり気なく演じられる彼は、やっぱりスゴい!「脱獄王」の印象的な役柄も、「キルビル」の腹にイチモツ男も、「ローレライ」の機関長も、「愛を乞う人」の弱気夫も、み~んな彼です。自分がアホであることを全く自覚していない男って、何だか恐ろしいもんね。



本作には、北野監督の映画魂が込められているような気がします。「その男、凶暴につき」「HANABI」では刑事、「ソナチネ」「BROTHER」ではヤクザと、それぞれの立場で怒りを表現してきましたが、これほど“怒り”そのものにこだわった映画もないのでは。


喜怒哀楽という感情の中で、一番厄介なのが怒り。これは、発散させるのが一番なんですが、そう簡単にもいかないのが今の世の中。我慢して辛抱して、だんだんすさまじいエネルギーになっていく。自分でも気がつかないうちに…。


どんな人間でも、どんな立場の人でも、怒りは湧いてくるもの。不満からストレスへ、恨みから仕返しへ、呪いから報復へ…。怒りの連鎖はとどまることを知らない。だから恐い。



暴力こそは、怒りを発散する手っ取り早い手段なのかもしれない。しかし、殴られれば痛いし、刃物で切られれば血も出る。まして銃で撃たれれば死ぬ。人間とは、いとも簡単に死んでしまう存在なのだ。


その痛み、あっけなさをしっかり描いているところに、この映画のよさがある。暴力とは、決してカッコいいものではない。売り言葉に買い言葉、仕返しの仕返し…恐ろしいのは、暴走していく心なのだ。



悲劇が極まると、喜劇になる。あまりにも悲惨な状況では、もう笑うしかない。観客は、自分が暴力抗争の真っ只中に放り込まれた気分になって、画面を追いかけましょう。こんなバカなことがあってたまるか、なんて考えるヒマもなく、次々と人が死んでいく…じゃあ、どうするべきだったのか?


この映画は、笑える部分と笑えない部分がある。しかし、北野監督はこうコメントしています。『…ここしばらく自分の内面についての映画ばかりやってきたから、思い切りエンターテイメントにふってみようと思った。今回は、全員カッコ悪いヤクザになっている。カッコいいヤクザを見たければ、Vシネを見ればいい。』


だから、本作は笑い飛ばしていいんです。現実にこんなことできないからこそ、映画として笑い飛ばせる。お行儀のいい映画、人気があるから見た映画ばっかり見ているようでは、魂はなかなか成長しないのだ。感性は、磨かれてこそ鋭くなっていくもの。空気を肌で感じられるような、心の皮膚感覚というものは、画面に対しての自分自身の積極性によって鍛えられていくのだから。



北野監督は、映画界で独特のポジションを獲得している男。映画業界から攻撃されれば、映画で反撃する。そう、戦う映画人なのだ。それって、カッコいいじゃん!


同じものを見ても、感じ方は人によって違うもの。この映画を、世界はどう見るか?笑い飛ばせるか?それとも憤慨するか? …ちくしょう、こんなもん見せやがってバカヤロー!うるせえ、だったら見るんじゃねえよコノヤロー!日本人ヤクザ映画監督をナメんじゃねえぞ、バカヤロー! …ガタガタ言うんじゃねえよ、ぶっ殺すぞこの野郎!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:6月27日(日) 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 13:15の回 観客:約20人

どうやらこの劇場も、もうすぐ3D上映が始まるようですね。8月からだそうで。


【上映時間とワンポイント】

1時間49分。音楽を担当した鈴木慶一氏は、「座頭市」を手掛けたおっちゃんです。


【オススメ類似作品】


「GONIN」 (1995年松竹)

監督・脚本:石井隆、出演:佐藤浩市。本作を見て、真っ先に思い出したのはコレです。ビートたけしは、バイク事故で大怪我をした直後に、眼帯をして出演。そのプロ根性にシビレました。椎名桔平は、セリフがなくてほとんど誰だかわかりませんが、強烈な印象でした。たけしと木村一八、佐藤浩市と本木雅弘のホモッ気タップリの怪演が見どころ。 『…テメエ、ナメてんのか!』 『…ナメたら立つぞ!』 の名セリフは爆笑でした。


「レザボア・ドッグス」 (1991年アメリカ)

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ、出演:ハーヴェイ・カイテル。出演者全員がイライラしている映画といえば、やっぱりコレでしょう。OPに使われた名曲「リトル・グリーンバッグ」は、ウィスキーやお笑い番組などでもおなじみ。グラサンに黒いスーツとネクタイは、「ブルース・ブラザース」だけじゃねえぜ。それにしても、銃弾を受けたティム・ロスが、なかなか死なないのは笑えました。


「ミラーズ・クロッシング」 (1990年アメリカ)

監督・脚本:ジョエル&イーサン・コーエン、出演:ガブリエル・バーン。カッコ悪いのに、何だか不思議とカッコいい、変な暗黒街映画。名優ガブリエル・バーンの、中途半端なシブい魅力が全開。この映画を見ると、コートを着て森の中を歩いてみたくなります。(ならんか)


「シクロ」 (1995年フランス・ベトナム・タイ)

監督・脚本:トラン・アン・ユン、出演:トニー・レオン。シクロとは、いわゆる輪タクのこと。この映画に登場するトニー・レオンは、“詩人”と呼ばれる物静かなヤクザ。いつもくわえタバコがキマッいるクールな風貌は、ヤクザのイメージとしてはとても新鮮でした。ヴェネチア映画祭金獅子賞、国際評論家賞受賞作品。




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