FUJITA'S BAR
2010-05-15

ウルフマン

テーマ:洋画

月光に激昂。 …みんな満月が悪いんだ、オレは何も覚えてねえ!


シマウマの次は、オオカミでがんす。1941年に登場したユニバーサルホラー「狼男」をリメイク。タイトルもそのまま「THE WOLFMAN」。果たして、その内容は?


今回の記事は、少しばかり長くなるかも。イチゲン様は、読むと疲れるので今のうちに退散して下さい。鍛えられた古株の読者のみなさんは、腕まくりしてお読み下さい…なあんちゃってね。では、張り切ってスタート。



監督は、ジョー・ジョンストン。脚本は、アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー、デヴィッド・セルフ。撮影は、シェリー・ジョンソン。特殊メイクは、リック・ベイカー。音楽は、ダニー・エルフマン。


出演は、ベニチオ・デル・トロ、アンソニー・ホプキンス、エミリー・ブラント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジェラルディン・チャップリン。


さて、映画ですが、何だか落ち着きのない作品に仕上がりました。ゴシック調の落ち着いた雰囲気を期待してしまったせいか、ちょっと肩透かしを食らったかも。ゆったりしてるかと思えば、デカい音でビックリさせる場面も多い。慌ただしく早送りで登ったり沈んだりするお月さまも、何だかせわしなかった(笑)。


お化け屋敷風というか、見世物小屋というか、恐い映画というよりは、むしろ楽しい映画かも。ずったんばったん、ガオー、ぎゃあ、血ィドバーって感じですね。モノクロ時代のファンも、’80年代スプラッタホラー世代も、懐かしい気分になれます。格調高い映画というわけではなさそうなので、気楽にポップコーン食いながら見られます。


R15指定なので、中学生以下はアウト。残酷シーンがあるくらいで、エロはありません。だから、コドモが見ても特に問題ないでしょう。なあに、ちょっと首チョンパがある程度ですから。


19世紀のイギリス。舞台俳優のローレンスは、兄が行方不明になったという知らせを聞いて帰郷。しかし、到着した時にはすでに兄は惨殺死体で発見されていた。ローレンスは真相を究明すべく、自ら捜査を始めるのであった…。



主演は、プエルトリコ出身のベニチオ・デル・トロ。俺にとっては同い年の等身大ヒーロー。相変わらずの苦悩顔は、ますます脂がのってきています。一度見たら忘れられない強烈なインパクトを持つ彼の姿は、そのまんまでホラー要素抜群。いい素材だなあ。そのまんまですでに狼が宿っていそうな男。さあ、彼の中にうごめく獣の正体を、映画館のスクリーンで見届けましょう。


父親を演じるのは、イギリス出身のアンソニー・ホプキンス。彼ももう72歳。じいさんになっても、怪オーラは健在です。いやむしろ濃くなっているか?妖しい怪光線がビンビン出ています。デル・トロ、これは相手にとって不足はないぞ。思う存分暴れてやれ。しかしまあ、すげえ親子もいたもんですなあ。この2人が演じるというだけで、何だかワクワクしてしまう。怪物俳優同士が、スクリーンで激突。 …これはもう、怪獣映画だ!


ヒロインを演じるのは、エミリー・ブラント。「プラダを着た悪魔」でブレイクしたおねえちゃんですね、俺見てないけど。セリフも出番も少ないので、演技力の方はよくわかりませんでしたが、獣のニオイが充満する映画の中での、唯一の芳香剤の役割はちゃんと果たしています。他にマトモな女が登場しないので、とってもキレイに見えました(笑)。現在27歳。彼女が主演した「デスロード 鮮血」という映画を見てみたい。


“犯人”を追う刑事を演じるのは、ヒューゴ・ウィーヴィング。おお、「マトリックス」でウジャウジャ湧いて出たおっさんですな。グラサンがないと、誰だかわからん(笑)。本作では、犯人が狼男かどうか疑問を持ちながらも、その正体を見たいと思っているマニアックな男という印象でした。彼はオーストラリア出身で、ブレイクしてからも低予算の映画にたくさん出演し、母国の舞台にも立っているそうです。いい俳優なんですね。


変わりどころでは、ジェラルディン・チャップリンが出演してました。彼女の父親は、あのチャップリン。4番目の妻の娘だそうな。よくわからないままに映画を見たけど、たぶんあのバアさんかな?



注目したいのは、特殊メイクを担当したリック・ベイカー。ディック・スミスの弟子であり、ロブ・ボーティンの師匠でもある、特撮映画界の大御所。現在59歳だそうですが、本作もスバラシイ特殊メイクでした。CGもいいけど、やっぱり手作り感のある特撮っていいなあ。飛び散る血しぶきにも、人肌のぬくもりがあっていい(笑)。


「エクソシスト」「ゴッドファーザー」「タクシードライバー」で有名な巨匠ディック・スミスに弟子入りしたリック・ベイカーは、「キングコング」「スター・ウォーズ」「メン・イン・ブラック」「猿の惑星」といったメジャー作品から、「溶解人間」「フューリー」「ビデオドローム」といったマニアックな作品も多数手掛けた、筋金入りのプロ職人。「キングコング」では、自ら着ぐるみの中にも入った熱血ぶりでした。


そのリック・ベイカーに弟子入りしたのが、ロブ・ボーティン。「ハウリング」の仕事を一緒にするはずだったのに、ベイカー師匠は土壇場で「狼男アメリカン」に移ってしまう。そのために、「ハウリング」はボーティンが担当。結果は、どちらも狼男の変身シーンが話題を呼び、2作品とも大ヒット。大きな仕事を任せて弟子を一人前にしたベイカーもすごいし、師匠がいなくなって自力でいい仕事をしたボーティンもエラい。


その後、ボーティンは、「遊星からの物体X」「ロボコップ」「トータル・リコール」「氷の微笑」といった傑作を次々と生み出し、プロの腕を磨いていくのであった。この3代にわたる師弟関係は、真ん中にいるリック・ベイカーの存在なしにはあり得なかったと思う。その彼が、渾身の力でアナログ特撮を楽しんでます。彼のいい仕事ぶりを堪能することも、本作の見どころの一つです。(「タクシードライバー」ネタの場面もありました。きっと師匠へのオマージュですね。)



とにかく、人体破壊のオンパレードです。気持ちいいくらい、体のパーツが飛びまくり。狼の爪で首がスッパリいくのかどうかなんて、いらんこと考えないで下さい。「もののけ姫」だって、飛んで来た槍で首がスパッといっちゃったじゃないですか。最初はエグいけど、だんだん慣れてくると笑えるようになるから面白い。やっぱりこれって、’80年代のノリでしょうか。「死霊のはらわた」みたいな。死霊にはらわたなんかねえだろ、とツッコミたくなるタイトル自体が、これはツッコんで楽しんで下さいという開き直りの表れと言えなくもない、ってね。


ベイカー・スピリッツがぎっしり詰まった人体破壊ショーを、心ゆくまでお楽しみ下さい。切り株ファンのみなさんも、どうかお見逃しなく。興奮度は、「太陽にほえろ!」でゴリさんが殉職した回の、最後の銃撃戦なみだ!(ちょっと違うだろ)


この映画はどんな映画ですか、と聞かれたら、セクシーで凶暴な映画です、と応えましょう。一般ウケはしないでしょうが、マニアックな視点で見れば充分楽しめる1本。デートには不向きかもしれませんが、男性のリードがうまければ、2人の愛も高ぶるでしょう。誰の心の中にも、獣は棲んでいますから。


お行儀のいいお嬢様方は、どうかご遠慮下さい。決して上品な映画ではありませんので。行くなら、どうかご覚悟を。血を見るのが苦手な看護学生のみなさんは、訓練のつもりで立ち向かいましょう。


視覚効果アクションは、あくまでも添え物として楽しむとして、本編のメインディッシュは、狼男の苦悩にあります。最初から怪物として登場するのではなく、人間だった男が怪物になってしまうところが、ドラキュラやフランケンと違うところ。その悲哀こそが、狼男の最大の魅力かもしれません。


全ては、2大怪優の熱い視線が物語っています。お互い、登場した途端にすでに異彩を放っている(笑)。何もしなくても、この2人は充分コワい。ストーリーとして語られる部分を追いながら、彼らの目の演技に注目して欲しいんですね。セリフでは表現しきれない部分を、彼らの瞳が担当していますので。


異常な状態を苦しんでいる心と、どこかでそれを楽しんでいる心。理性に縛られた情欲を、抑えきれない衝動を、獣の荒々しい息づかいを、霊的な肌で感じてみましょう。



狼男の伝説は、世界各国でいろいろあるけれど、最も古いものは聖書だそうな。旧約聖書のダニエル書第4章において、ネブカドネザル王が悪夢に悩まされるくだりがある。日本聖書協会の聖書では、“獣”としか記述してありませんが、新教出版社の「新共同約聖書 聖書辞典」では、『…狼狂という呼ばれる精神病を患い、自分が動物になったという幻想を起こすもので、彼は牛のように振舞った。』という記述があります。


さすがの王様も、相手が夢魔では苦戦したようです。聖書の記述では、『…彼は追われて世の人を離れ、牛のように草を食い、その身は天から下る露に濡れ、ついにその毛は、鷲の羽のようになり、その爪は鳥の爪のようであった。』とあります。人類最初の、獣人間誕生の瞬間ですね。彼はその後、人間の姿と心を取り戻し、神を讃えて宴会を開いたそうな。



人間が、人間の姿でなくなるという恐怖。見た人間も怖いが、当の本人はもっと怖いと思う。社会から拒絶されてしまい、居場所がなくなる恐怖。変身して暴れた時の記憶はない。目が覚めると、血だらけの服をきた自分が道端に横たわっている…ああ、自分はどうしてしまったんだろう?


自分が怖い。知らないうちに、無意識のうちに人を傷つけてしまう自分が恐ろしい。大切な人を失いたくないから、一緒にいられない。逃げなくちゃ…一体どこへ?


酒に酔っ払って迷惑をかけてしまうおっさんたちは、この映画をよく見ましょう。悪態をついてさんざん人に迷惑をかけておいて、何にも覚えてねえ、なんて平然と言うウスラバカ野郎ども!お前らなんて、狼の餌食になってしまえ!おい、狼男、ここにエサがあるぞ、好きなだけ食らえ!アルコールが染み込んで、肉が軟らかいぞ!



けものへんに良いと書いて、狼と読みます。そうか、狼って良い獣なんだ。けものへんは、犬という文字の変形したものだから、狼って良いわんこなのかも。学術的には、ネコ目イヌ科の哺乳類。オオカミは大神の意でもあるから、きっと神聖な動物なんですね。(広辞苑を参考)


「怪物くん」も「怪物王女」も、ドラキュラはクールな知性派、フランケンは無口で怪力なのに対し、オオカミ男は人なつっこい人情派だもんね。オオカミ姉ちゃんは怒りっぽいけど、気は優しい。それぞれ、担当している部分があるのだ。



姿形は、人それぞれ。コワい顔をしていても、心の優しい人はいっぱいいる、だから、甘いマスクに騙されるな。男はみんな獣かもしれないが、いい獣だっているのだ。よくないケモノは、ケダモノ。こういう奴は、ノケモノにしてやりましょう。

永井豪のマンガ「デビルマン」第1巻では、不動明がデーモンと合体する時に、理性が吹き飛んでしまい、本能だけで動いていたという。この本能ってやつが、獣の正体を解明するキーワードじゃないだろうかって思う。善と悪は表裏一体。男には男の、女には女の本能がある。それは、見方によっては正義の味方となり、悪魔の化身となるのだ。


人の心が本当に解放されるために、人同士が本当の意味で一つになるために、邪魔をしているものはたくさんある。自分を守るはずの鎧に、自分自身が閉じ込められてしまっているとしたら、それは悲しいこと。


本能というのは、ある条件が揃うとスイッチが入る。本能的にうんぬん、というのは、人間の中にもともと組み込まれている機能が発動するということ。何重にもプロテクトされた鎖を断ち切って、信じられない力を発揮するなんて、素敵でカッコいいと思う。



自分と向き合うということは、自分の中の獣を飼い馴らすことでもある。封じ込めれば凶暴になるし、解放し過ぎると人に迷惑がかかってしまう。間違いないことは、それが自分の一部であるということ。それをまず受け入れ、そういう自分を理解することによって、獣の正体に近づいていく。その作業は、面倒だけど楽しいもの。


どうせ解放するなら、気持ちよく解放したい。自分の心を解放することで、人の心も解放することができれば、それが一番理想。その状態が、一番気持ちいいし、一番美しい。


愛の行為も、お互いの気持ちが一体となってこそ、新たな世界が生まれるんです。例えて言うなら、2つの宇宙が融合するようなスケール。その瞬間に、獣は解放され、狼は大神に生まれ変わるのだ。かぐわしいオーラが、みなぎる力が、エクスタCを極めていく…ああ、エロいなあ、狼って。



満月って、何だか不思議です。見た瞬間は安らぐのに、ずっと見ていると、何かとてもすごい力を感じるような、妙な気分になる…え、それってヤバい?いやあ、普通でしょう、全然。


しかしまあ、狼男の連続殺人が月のせいにされても、月の方としてはいい迷惑でしょうな。うさぎさんがモチついている間に、下界では殺戮の地獄絵図が展開。そうか、返り血を浴びて、うさぎさんのおメメは赤いんだ…うわあ、恐ええ!



俺個人としては、得体の知れない力に悩むくらいなら、その能力を生かして何かをやってみたいと思う。今までのものは失ってしまっても、新たな未知の世界が開けるかもしれないしね。まさにそれは、けものみち。自分にしかできない、何かを探してみようじゃありませんか。


戦いを好む人と、戦いを避ける人がいる。実は、前者より後者の方が、本当は手強いんです。獣をずっと封じ込めている人の方が、小出しにしてケロッとしている人よりも、より多くの力をため込んでいるもの。だから、人を痛めつけて楽しんでいる輩は気をつけた方がいい。獣プログラムが発動したら、誰も止めることはできないから。


獣のエサって、何だと思う?愛でしょうか、哀しみでしょうか、憎しみでしょうか、それとも恐怖でしょうか。それは、誰にもわからない。一番恐いのは、自分自身の心。ちゃんとつないでおいて下さいよ。主人を守る忠実な味方ですから。力を秘めた生き物ですから…ウッヒッヒ。



獣は、生まれながらに全てを知っている。いい力も、悪い力も、生き抜く力も持っている。人間の心が苦しい時は、獣も苦しんでいる。自分が嬉しい時は、一緒に喜んでいる。泣いて笑って楽しんで、人も獣も成長する。苦しい時は、本能を呼び覚ませ。野生の狼は、草を食べて毒を消す力が備わっているのだから。


人の心の獣たちよ、邪悪な世界から主人を守れ。心の傷口をなめ、冷えた心をあたためよ。そして、主人の生命に危険を感じたら、迷わず実力行使せよ。お前を誰よりも大切に思ってくれた男のために、命をかけて戦うのだ。


人は、人の心を貫く。獣は、けものみちを突っ走る。お互い、仲良くやろうじゃないか。俺たちは、一心同体。戦う時も、うつろぐ時も、うまい酒を飲むのも一緒だ。誰もが、泣きながら生まれてきた。だから、死ぬ時は笑って死にたいよな。その日が来るまで、最後のその瞬間まで、楽しい時間を過ごそうぜ!



憎らしい相手には、こう言ってあげよう。『…俺は、お前を許してやりたい。だけど、俺の中の獣がオマエを許さないかもな。』 おお、何だかハードボイルド。ううむ、何だか眠くなってきたぞ…うっふっふ、こいつは楽しみだ。気がついたら、どんな世界が待ってるかな?





【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月13日(木) 劇場:ワーナーマイカル県央 19:35の回 観客:2人

俺と、若い女性が1人でした。雨が降っていたのでお月さまは見えなかったけど、奥の席に座った貴女が、背後から僕の背中を照らしてくれました。 …お嬢さん、どうもありがとう。(誰が僕だ)


【上映時間とワンポイント】

2時間5分。オープニングのユニバーサル映画のクレジットが、モノクロ風で雰囲気抜群でした。エンドロールは、血の色でこれまたマニアック。 …目が疲れましたけど。


【オススメ類似作品】


「狼男アメリカン」 (1981年アメリカ)

監督・脚本:ジョン・ランディス、出演:デヴィッド・ノートン。1941年版の「狼男」が未見なので、こちらを紹介します。リック・ベイカーが、「ハウリング」を蹴って飛びついた意欲作。腕がニョキ~ンと伸びる場面は驚愕でした。アカデミーメイクアップ賞受賞。原題は、「An American Werewolf In London」。これはタイトルからして、1935年に公開された「倫敦の人狼」のリメイクなのかな?


「ハウリング」 (1981年アメリカ)

監督:ジョー・ダンテ、出演:ディー・ウォーレス。ロブ・ボーティンの特殊メイク出世作。空気を送り込んでボコボコ動く顔面の動きはスゴかった。その後シリーズ化され、6作目まで製作したとか。本作の便乗映画として、また作られることでしょう(笑)。


「狼の血族」 (1984年イギリス)

監督・脚本:ニール・ジョーダン、出演:アンジェラ・ランズベリー。本作の舞台がイギリスなので、イギリスの狼男映画も紹介しましょう。元ネタは、グリム童話の「赤ずきんちゃん」です。狼の変身シーンがこれまたスゴい。人間の口の中から、狼の頭がニュル~っと出るのが、何ともエグい。出産のようでもあり、幻想的な芸術でした。アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭審査員特別賞受賞。


「21グラム」 (2003年アメリカ)

監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、出演:ショーン・ペン。ベニチオ・デル・トロのナイーブな演技を見たい人には、これをオススメしたい。脇役ですが、セリフが少ない分だけ存在感が際立つ。迷惑そうに下から見上げるまなざしがタマらんかった。いい俳優だなあ、デル・トロ。もっと若い彼が見たい人は、「誘拐犯」なんかも面白いですよ。銃撃戦もあるしね。



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2010-05-09

ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲

テーマ:アニメ・特撮

5分の間に、何かが起きる。 …見ている観客の目も白黒!


あのシマウマ男が、あの脱力系特撮ヒーローが、まさかの復活。作る人もすごいし、演じる人もすごい。さらに、お金を払って劇場に行く観客もすごい!…しかし、こんなんでいいのか?


監督は、三池崇史。脚本は、宮藤官九郎。出演は、哀川翔、仲里依紗、阿部力、井上正大、田中直樹、ガダルカナル・タカ、波岡一喜、前田健。


さて、映画ですが、ストーリーもスケールも規格外のトンデモ映画に仕上がりました。前作よりも、ムダな要素がさらにスケールアップ。脱力感タップリの、ユルい展開をお楽しみ下さい。


西暦2015年。東京の中心部はゼブラシティという暗黒都市となり、悪者の独裁者によって支配されていた。5分間に設定されている、ゼブラタイムとは何か?踊り狂う謎の女・ゼブラクイーンの正体は?記憶を失ってしまった我らがゼブラーマンの運命は?地球の存続を懸けたテキトーな戦いが、今始まるのであった…。



主演はもちろん、哀川翔。15年後のくたびれた屍のようなゼブラーマンを、楽しそうに演じています。彼の存在そのものが、すでにゼブラーマン。シマウマオーラを放ち、たてがみをなびかせて、悪い奴らをバッタバッタとなぎ倒す…かどうかは、見てのお楽しみ。


ゼブラクイーンを演じるのは、仲里依紗。「パンドラの匣」のマア坊ですね。役者としての彼女を見るのは、本作で2度目。コスチュームがエロいでんなあ。パンクなメイクは、「ブレードランナー」のダリル・ハンナ風。胸元パックリ、フトモモむっちりは、監督の趣味ですね。


演技は、まあ普通かと。本作では、いかにも悪そうな雰囲気で登場しているので、かえって逆効果だったかも。何だか、アタマの悪い女に見えてしまう。やっぱり彼女は、純粋無垢な役柄の方が精神的にエロいかもしれんなあ。


ゲリラ的な医療施設の院長を演じるのは、仮面ライダーディケイド・井上正大。東映だから、ちょっとくらい何か見せてくれるのかとも思いましたが、残念ながらライダーには変身しません。(そりゃそうだ) 役者として成長しようとしている彼の、プロ根性をよく見てあげましょう。なかなかいい青年です。


井上先生のもとで介護士をしているのが、田中直樹。おお、「逆境ナイン」の監督ですな。お得意の四字熟語をゼブラーマン流に言うと、やっぱり二者択一でしょうか。それから、ライオン丸・波岡一喜もチョイ役で出演。すげえ、特撮ヒーローがいっぱい!


悪者を演じるのは、ガダルカナル・タカ。沢田研二風のメイクでやる気まんまんですが、彼もやっぱり悪のオーラが中途半端なんですねえ。まあ、プロの役者じゃないからしょうがないか。「座頭市」の時は、お笑い担当だったからよかったのかも。「バットマン リターンズ」のペンギン男みたいなオーラを出せればよかったんだけどね。ちょっぴり惜しいキャラでした。



映画の見どころは、ショボいギャグと、おっさんのモタモタしたユルいアクションにあります。俊敏な若手と違い、おっさんは脳から指令が出て、筋肉に伝わるまでの時間が長い。そのタイムラグが、スリルとサスペンスを生むんですねえ。…ああもう、イライラ!


本作は、おねーちゃんとのデートには向かんでしょうな。行くなら、人を選んだ方がいい。相手を間違うと、映画館の出口でビンタを食らう可能性もあるのでご注意。(ホントですよ!)


1作目を見た人には懐かしい、見たことがない人には不親切レベルな回想シーンが随所に登場するのでそれぞれお楽しみ下さい。(ていうか、それしか言えん)



この映画はどんな映画ですかと聞かれたら、あんまり面白くないです(爆笑)。何がいけないんだろうと考えれば、何から何まで全部イカンように思う(笑)。だから、どこからツッコんでいいかわからん。ここまでやっちゃうと、もう考えるのをやめたくなります。いいなあ、三池監督は。ここまで遊んじゃっても許されるポジションなんですから。


そういう意味では手強い映画なので、面白いものを見せてもらおうという受身の姿勢だと、腹が立つ可能性が極めて高い(笑)。むしろ、どうせつまんないシロモノだろうけど、1つくらい笑える場面があるだろうと思って臨む方が、きっと収穫がある。つまりこれは、観客としてのプロ根性が試される映画なのだ!…ってなことで。



そして、最大のポイントは、やっぱりフトモモサービスでしょう。里依紗ちゃんの極上フトモモが、あらゆる角度から楽しめます。後半には、ドアップもあり。宇宙人の触手がニュルニュルと…ああ、そこはやめて、イヤイヤ…。ここは最大のヤマ場(笑)なので、フトモモ星人の皆様はどうかお見逃しなく!


精神的に子供で、カラダはエロい。これは、三池監督の美学ですね。「妖怪大戦争」の川姫、「ヤッターマン」のドロンジョ、そして本作のゼブラクイーン。忘れちゃいけないゼブラナース!フトモモ万歳!


それから、世界の三池監督が人類に贈る、感動的な熱いメッセージも出ますので、拍手を持ってご覧下さい。こんな芸当は、このおっさんにしかできんわ!参りました、もう何も言えません!



怒りに震えた男が、後ろを向いたら要注意。今日がお前の、ラララ命日だ~。食らえ、ゼブラ・バックキック!どうせ蹴られるなら、クイーンの方がいいか? …蹴られた瞬間に、最高の景色が見られるぞ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月8日(土) 劇場:ワーナーマイカル新潟 21:05の回 観客:約7人

前作も一緒に見た、Y君と2人で行きました。帰りの車の中で、ツッコミ合戦!


【上映時間とワンポイント】

約1時間45分。エンドロールでの、水木一郎アニキのおたけびを胸に刻んでから劇場を出ましょう。


【オススメ類似作品】


「ゼブラーマン」 (2003年東映)

監督:三池崇史、脚本:宮藤官九郎、出演:哀川翔。すべては、ここから始まった。ゼブラナースを演じるのは、何と鈴木京香!カニ男の柄本明、刑事役の渡部篤郎など、豪華キャストでショボい超大作。一番爆笑したのは、ケロリンの場面だったかなあ?


「リアル鬼ごっこ」 (2008年ジェネオン)

監督:柴田一成、原作:山田悠介、出演:石田卓也。本作を見て、真っ先に思い出したのはコレです。理不尽な政策に国民が苦しめられるという設定はおんなじかと。これは、全国の佐藤さんが受難に遭う物語。原作はスカスカでしたが、映画はノリがよかった。「夜のピクニック」ではひたすら歩いていた石田君が、この映画ではひたすら走っています。本作を見て、おっさんがもさくさしている姿にイライラした人は、こっちの若くて青くさいアクションで口直しするのもよろしいかと。悪役は、またしても柄本明!本作のタカさんは、彼のテンションを見習って下さい。


「キューティーハニー」 (2003年)

監督・脚本:庵野秀明、原作:永井豪、出演:佐藤江梨子。前半の露出度は、限界ギリギリでコーフンしました。サトエリちゃんの初々しいカラダが健康的でよろしい。健全なお色気は、不健全な心を癒すのだ。いいぞ~、かかって来い、ハニーとやら!


「パンドラの匣」 (2009年東京テアトル)

監督・脚本:冨永昌敬、原作:太宰治、出演:染谷奨太。本作でゼブラクイーンを演じた仲里依紗が、結核療養所の看護婦を演じています。天真爛漫な女性ですが、やっぱり魔物の要素を感じたのは事実。本作はカラダが主体でしたが、役者としての彼女の演技も気になるところ。ちなみに、アニメーション映画「時をかける少女」の大泣きした主役の声も彼女。最近は、わざわざ実写でまた主演してるとか。人気急上昇ですね。本作で、フトモモファンもヒートアップ! …おおっと、これも開けちゃいけないパンドラの匣だったかな?




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2010-05-08

最近見たアニメ

テーマ:DVD ・ アニメ

「マイマイ新子」が面白かったので、久々にアニメの記事も書いてみましょう。ずうっと書いてなかったので、忘れたのもいっぱいありますが、記憶に残っている作品をいくつか紹介します。


「けいおん!」


これは、はっきり言ってかわいい。文句なしにかわいい。反則じゃないかって思うくらいにかわいい作品です。


女子高の軽音楽部の話なんですが、何というか、とってもユルユルな感じが素敵。暗くて理不尽で非道なことがまかり通るような、今の世の中において、これはまさに救いとなるような癒しのアニメです。


制作は、京都アニメーション。どうやら、超有名なところらしいですね。クオリティが格段にいい。女の子の細かいしぐさが、たまらんかった。43歳の俺が見ても、すごく魅力的。これはいい。素直に肯定したい。日本人って、こういう技術は世界一だと思いますね。


疲れてヘトヘトになっても、死にたくなっても、これを見ると、何だか元気がわいてきそう。いいじゃん、力が湧いてくるなら何でもいいんです。このご時世において、いいタイミングでこの作品に出会ったのかもしれない。


どんな女の子も、男の目から見たら、みんなかわいい部分があるのだ。女性のみなさんは、これを見て、自分のかわいい部分をどんどん磨きましょう! (新潟では、火曜日の深夜に第2シーズンが放映中)




「化物語」


ばけものがたり、と読みます。これはなかなか手強い。毎回、曲者の女の子が続々と登場します。「マイマイ新子」の記事で紹介したまよいちゃんも、この作品に出てきます。とにかく、奴らは全員、口が達者である。まともに組み合ったら、俺も言いくるめるのが難しい。だからこそ余計に、主人公のアララギ君のすごさがわかるというもの。


世の中には、大人でも子供でも、すごい人がいる。すごい分だけ変人かもしれないけど、そこがいいのだ。彼らの多くは、きっと孤独である。友達や仲間はいても、その真の価値をわかってくれる人はほんの一握りだから。


すごい人の心には、魔物が棲んでいるのかもしれない。いいじゃん、魔物のひとつやふたつ。その魔物も含めて、その人を愛してあげればいい。もともと、彼女の一部なのかもしれないから。


彼女に振り回されている男性諸君は、このアニメを見て、心を磨くべし。手強い彼女であればあるほど、いいものもたくさん持っているぞ。必要なら、己自身も魔物と同化せよ! …あ、そっちの方がコワかったりして。


 (特典のコメンタリーも結構笑えますので、合わせてお楽しみ下さい)


「狼と香辛料」


これもまた、手強い彼女の物語。彼氏は、頭のいい商人。彼女は、神様。うわあ、すごい組み合わせですこと。これはもしかすると最強か?


だけど、商人といえども男。神様といえども女。そこがいいんですなあ。息づまる駆け引きが、スリリングな展開が、プライドと愛を懸けた戦いが、見る者の脳と心を刺激する。これは結構、大人のドラマですね。


経済の勉強になるアニメ、だそうです。交渉を有利にするためのノウハウなんかも、これでかなり学べるかも。営業の仕事をしている人にオススメしたい作品ですね。 …いいなあ、俺も神様の友達が欲しい。




「怪物王女」


嵐の大野君のTVドラマ「怪物くん」が放映開始する日に合わせて、前座としてレンタルしてきたDVDでしたが、娘に大ウケでした。早く続きが見たいとせがむので、現在3巻目まで見ました。娘は、もうTVドラマの方はどうでもいいそうです(笑)。


内容は、怪物くんがそのまんま女になったようなお話。年齢設定は、高校生くらいかな。手下にはちゃんとドラキュラとフランケンとオオカミ女がいます。でね、ドラキュラの声が能登麻美子なんですねえ。おおお、これはエロくてよろしい。ねえちゃん、何なら俺の血をやろうか?


メイドさんは、YAWARAの皆口裕子だし、なかなか大人の作品です。ムスメよ、次も見たいか?しょうがねえなあ、また借りてくるか(笑)。




「とある科学の超電磁砲」


コンバトラーVではありません。超電磁砲は、レールガンと読みます。超能力学園に通う女の子たちが、サイキックパワーで悪人と戦う物語…でいいのかな。(よくわからんのでテキトーです) その名も、学園都市の治安維持機関“ジャッジメント”。戦う女子高生を甘くみたらアカンで…えっ、中学生?


けいおん!では、ユルユルキャラでしたが、こっちはアクティブキャラ。積極性・自己主張・闘争心・欲望実現願望…ううむ、濃ゆいなあ。そんなワケで、にぎやかで楽しい作品です。


戦う以上は、ピンチもある。ハードな場面もある。血も出るし、ケガ人も出る。命を懸けて戦う女の子の真剣なまなざしは、この上なくカッコいいのだ。以外と、骨太の物語かも。


怒れ!戦え!愛する者を守れ! …よくもやったわねえ、絶対許さないわ、食らえ、サイコガン!




「夏目友人帳」


なつめゆうじんちょう、と読みます。かなり時間が経ってしまいましたが、実はこれもハマっていました。ちなみに俺のケータイのストラップは、ニャンコ先生とマイケル・ジャクソンです。


これは、限りなく優しい作品です。ワケあって孤独な少年時代を過ごした主人公には、不思議な力があった。他の人には見えない何かが、彼には見える…。


「蟲師」と似てますが、あっちは生業として営んでいるだけあった、大人キャラ。しかしこっちは、封じ込められた魔物たちを、自ら解放してあげたいという、慈しみの心。


夏目君は、優しい。自分がヒドい目に遭えば遭うほど、人の心はゆがんでしまうもの。しかし、彼は違っていた。本物の孤独を知っている者は、人の気持ちがわかる。だから、攻撃しない。だから、すぐにやられてしまう。


そんな彼を見ていると、周りの者が助けたくなる。魔物も味方になる。だけど、彼の優しさは変わらない。自分の命を失っても、失いたくないものが彼にはあるのだ。


優しさは、彼にとっての最大の武器である。優しさと強さは、対義語ではない。強さの反対は、弱さ。優しさの反対は、厳しさなのだ。優しい男であればあるほど、自分に厳しくできる。そういう男こそが、本当は一番強いのかもしれない。


ニャンコ先生の声を演じるのは、ベテランの井上和彦。ユルキャラと骨太キャラのギャップが楽しくて笑えます。やっぱり、こういうオヤジはカッコいいと思います。憧れるなあ。


この作品に出会ってから、俺は日本酒をよく飲むようになりました。このDVDを見ながら一杯やると、ニャンコ先生と飲んでいるような、いい気分になります。


日本のアニメーションは素晴らしい。時代は変わっても、外国に普及しても、日本人にしか創り出すことができない世界がある。日本の美しい心は、現代の若者の心にも息づいているんだってことを強く感じました。


若者たちよ、自分の感じ方を大切に。人の言うことばっかり聞いていると、つまんない人生になるぞ。100回バカにされたら、101回自分のスタイルを貫くべし。それが、自分自身のスタンダードになるのだ!…なあんてことをつぶやきながら、オヤジは酔っ払っていくのであった。あっはっは。


第1シーズンのエンディングテーマ「夏夕空」は名曲です。歌うのは、中孝介。ここ一年くらい、この歌をカラオケでいっぱい歌いました。日本酒で酔っ払って歌うと、これがまたいいんですよ~。 えっ、酔っ払いオヤジはあっちへ行けって?にゃあんだとぉ~!





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2010-05-05

マイマイ新子と千年の魔法

テーマ:アニメ・特撮

ファンタジックな、ハードボイルド児童映画。 …小学3年だからってナメんなよ!


“マイマイ”は、主人公の額にある、つむじのこと。広辞苑で引くと、ミズスマシの意味もあり、その場合は“舞舞虫(まいまいむし)”になります。舞舞蛾とか、舞舞螺とか、舞舞かぶりとか、色々あるみたい。かたつむり(蝸牛)は、マイマイ目の陸生有肺類巻貝…ああ、めんどくせえ。要は、クルクルまいてあるやつは全部マイマイ!


本作は、昨年の秋に全国で劇場公開されながらも、すぐに上映が終了してしまったアニメーション映画。しかし、ミニシアターで再上映が始まると、口コミで話題騒然となり、現在も全国でロングランが続いているというからスゴい。そんな伝説の映画が、遂に新潟でも公開!


「ベジャール」を見に行った時に手にしたチラシを読み、シネウインドがそこまでいいと言うならひとつ見てやろうじゃないかという気持ちになり、娘と2人で万代シティまで行って参りました。



原作は、芥川賞作家・高樹のぶ子が、自らの幼少時代をモデルにした自伝的同名小説。監督・脚本は、片渕須直。アニメーション制作は、マッドハウス。音楽は、村井秀清。主題歌を歌うのは、コトリンゴ。


声の出演は、福田麻由子、水沢奈子、森迫永依、江上晶真、松本環季、中嶋和也、野田圭一、竹本英史、本上まなみ、脇田美代。


さて、映画ですが、タイトルや絵柄からは想像できないような、熱い作品に仕上がりました。内容自体はいたってシンプルで、SF要素や超能力や怪獣やぶっ飛んだ映像は出てきません。しかしながら、見る者を限りなく揺さぶる要素がふんだんにあります。こりゃあ驚いた。アニメだからって侮れない、なかなか手強い映画です。


舞台は、昭和30年代の山口県防府市国衙(こくが)。おでこにマイマイがある小学3年生の新子は、祖父から聞かされる千年前の平安の都の話と、空想が大好きな小学3年生の女の子。ある日、東京から転校生・貴伊子がやって来る。都会と田舎の生活の違いに戸惑う彼女は、気さくに話しかけてくれる新子と、次第に心を通わせていくのであった…。



このアニメの絵柄とキャスティングだけを見たら、いかにもテキトーなファンタジー作品だと思ったとしても無理はない。エイベックスと松竹は、宣伝にあまり力を入れなかったんでしょうか?それとも、作品を軽視していたんでしょうか?なんてことを勘ぐりたくなるほど、劇場のどよめきはハンパじゃなかった。


どこかで見たような、懐かしいような雰囲気がありながらも、新しさを感じてしまう不思議な感覚。あたりまえのことをあたりまえにやっているだけなのに、どうしてこんなに新鮮なんだろう?


本作は、“理由のわからない涙” を流す映画としても話題になっているそうです。泣くようなところじゃないのに、ウルウルしてしまう。そんなバカな、と思いながらも、俺もウルウルしちゃった(笑)。


これはたぶん、見た人の人生そのものに問いかける内容だからかもしれない。画面はいたってシンプルなんだけど、細かい技が随所にあって、微妙な変化球がときたま発生。それが、異なるにストライクゾーンにヒットするんじゃないかと。


大人が見ても、子供が見ても、等身大で体感できる映画。こういう作品は、稀有なのかもしれない。今の時代だからこそ、人々が元気を失っている時だからこそ、こういう映画が出てくる必然性があるのだ。



片渕須直監督は、「名探偵ホームズ」「魔女の宅急便」で宮崎駿監督の演出補を経験し、「名犬ラッシー」「アリーナ姫」で監督を務めた実力派。彼はこの映画のために、山口県を3回訪れたそうです。その熱意は、画面からしっかりと伝わってきます。 『…想像力とは、他人の心をおもいはかるためのものです。』 (パンフのコメントより)


片渕監督の意向で、主要キャストには10代の若い俳優に演じさせたそうです。子供たちの間に友情が出来上がっていく過程を描くためにも、声の質感は大切にしたい。その結果として、こういうキャスティングになったようです。さらに、リアルな方言を重視する意味で、プロの声優は、山口県出身の野田圭一が祖父役を、竹本英史が父親役を演じ、作品に厚みを持たせています。



そういう意味で本作は、息づかいの感じられる、良質な作品と言えるでしょう。1人で見に行って感動したら、今度は愛する人と一緒にもう一度行くのもいいでしょう。見た後で、誰かに話したくなってしまう映画。だから、口コミで広がったのかもしれませんね。しかも、この感動をどう言い表せばいいかわからない(笑)。だから、とにかく見てよ、絶対いいから!っていうようなことしか言えない。そんな人、いっぱいいるんじゃないですか?


あることに夢中になる。それは、魅力があるからに他ならない。古いものでも、新しいものでも、いいものはいいのだ。おいしいものは、誰かに食べさせてあげたい。美しいものは、誰かと一緒に見たい。それが人情。そう思える心があるのは、自分が生きている証拠です。よかったねえ、この映画に出会えた皆様。俺も今、ようやくそのお仲間に入れました。


この映画、まだDVDの発売も未定だとか。新潟のシネウインドでは5月21日まで上映しています。これは、お金を払って見る価値のある映画。デートで行けば、成功率も高いぞ。ケンカしているカップルも、間違いなく仲直りできる。でもね、俺が一番見て欲しいのは、思春期の女の子。友達どうしで手をつないで、泣きながら見て欲しいなあ…そういう場面を想像して、また俺もウルウル。



大人のみなさんにくれぐれもお願いしたいのは、この映画を見た後で、子供につまらん説教をしないで欲しいということ。昔の子供はよかった、今の子供はうんぬん…といった言葉は御法度です。昔も今も、子供の本質は変わっていないと、俺は思いますから。 (そういう意味では、パンフに掲載されていた、作家の那須正幹氏のコメントはイカンと思う)


本作に登場する人物は、大人も子供も、いたって普通の人たち。特別すごい人なんて、1人もでてきません。いい部分もあれば、悪い部分も持っている。人間は、それが当たり前だから。悪いと思ったら謝ればいいし、怒ったら遠慮なく怒りをあらわにする。泣く時は泣き、笑う時は思いっきり笑う。だから、気持ちがいい。


子供の行動力の源泉は何か。この映画に答えのヒントがある。友達のためなら、普段できないことだってやる。それは、相手の気持ちが痛いほどわかるから。いてもたってもいられないから。



ほのぼの路線だなあと、安心しきって見ていたら、後半からとんでもない展開に。さあ、どうする新子?まさかこんなハードボイルド路線になるとは、誰が想像したであろうか…? なあんてね、それは大げさかもしれないけど、この新子ちゃんは大したタマです。相手が大人であろうが、ヤクザであろうが、オトシマエはキッチリつけるのだ。 …額のマイマイは、ダテじゃねえぜ!


とにかく目が離せない。子供が本気でぶつかってきたら、大人も本気で応えてやらねば。新子ちゃんの直球を、オヤジの皆さんはしっかりと受け止めましょう。 『…このガキ、なかなかいい根性してるじゃねえか。』 その瞬間に、あなたもこの映画の住人になれます。さあ、どのポジションがオイシイかな?



昭和30年代にはその時代の、今の子供には今の輝きがある。そして、千年前の時代だって、子供の瞳は輝いていたはず。意外と、俺らとおんなじようなことで笑っていたかもしれないしね。そういう意味では、みんな命がつながっている。今とおんなじような人間が、いつの世にもいたに違いない。そして、それぞれが自分の生きた時代を担当していたのだ…う~ん、ロマンだねえ。



ちなみに、ベトナムの言葉でマイマイは、“ずっとずっと、いつまでも” という意味だそうな。いいもんですね。くるくる巻いて、時代を超えて、つながっているのよあなたとわたし。怒りも涙も悔しさも、心の傷も、憧れも、全てはマイマイ、マイマイン。くるくる巡って、次のわたしへ届けましょう。


自分らしく生きることは、自分の心に正直に生きることであり、素直に生きること。それはきっと、気持ちのいい生き方。困った時は立ち止まり、額をクルクルおまじない。 …ミズスマシの音が聞こえたら、迷わずダッシュだ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月4日(火) 劇場:シネウインド 15:00の回 観客:約50人

娘と一緒だったこともあって、差し入れを持って行きました。映画が始まる前に、I 支配人がごあいさつ。『…この映画のよさを、口コミやブログ等で、より多くの人たちにお伝え下さい。』 はい、ちゃんと約束守りましたよ。

それから、新しい受付嬢のAさんはまだ18歳だそうです。メガネをかけた、色白の小柄な美人。まだ慣れていないようなので、あたたかく応援してあげて下さい。あ、それからHさん、ジュースをごちそうさま。娘は炭酸が飲めないので、代わりに俺がいただきました。新年会で一度会っただけなのに、覚えていてくれてありがとう。


【上映時間とワンポイント】

1時間34分。音楽と主題歌も、何だか気持ちがいい曲なので、そちらも合わせてお楽しみ下さい。

新潟のみなさんには、ちょっとオイシイ場面もあり。野生の○○が一瞬だけ登場します。


【オススメ類似作品】


「じゃりん子チエ」 (1981年東宝)

監督:高畑勲、原作:はるき悦巳、声の出演:中山千夏。子供が大人と対等にやり合う映画といえば、やっぱりコレでしょう。バクチ好きの親父を持つ、小学5年生のチエちゃんは、酒飲みオヤジたちを相手に、毎日ホルモンを焼くのであった。『…おっちゃん、今日は何かいいことあったやろ?特級飲んではるもん。』 なかなか魅力的な店であります。


「おもひでぽろぽろ」 (1991年徳間書店)

監督:高畑勲、原作:岡本蛍、声の出演:今井美樹。11歳の女の子と、27歳に成長した彼女の場面が交互に登場するファンタジー青春アニメーション映画。11歳のタエ子の場面の心理描写が、たまらなく切なかった。作画監督とキャラクターデザインを担当したのは、新潟県が生んだ天才・近藤喜文(故人)。


「セロ弾きのゴーシュ」 (1982年オープロダクション)

監督:高畑勲、原作:宮沢賢治、声の出演:佐々木秀樹。これは、動物が人間と対等にやり合う映画。チェロ奏者のゴーシュは、身近な動物たちに練習を邪魔されてイライラしながらも、彼らの面倒をみてやるのであった。登場するのは、ネコとカッコウと、ネズミの親子とタヌキ。キャラクターデザインを務めた才田俊次の名前が、本作の原画のクレジットにあったので、この作品を思い出しました。


「あしたのジョー2」 TV版 第19話~第25話 (DVD第4~5巻に収録)

“舞々” と書いて、“チョムチョム” と読みます。氷のような韓流ボクサー金龍飛が、必殺技チョムチョムを武器に矢吹丈に襲い掛かる。 『…舞うんだ矢吹、死ぬまで踊れ!』 声は、あのベリーメロン若本紀夫!(当時は若本紀昭)


「化物語」より「まよいマイマイ」 (2009年放映のTVアニメ)

今どきのアニメでは、マイマイといえばコレでしょう。主人公アララギ君にまとわりつく、小学5年生の八九寺真宵(はちくじまよい)ちゃんの物語。実は彼女は、カタツムリに取り憑かれた物の怪であった。もうすぐ母の日なので、まよいちゃんが出没する時期ですね。ツインテールでデカいリュックを背負った女の子が近づいてきたら気をつけろ!




(追記)

この記事を書いた後で、DVD発売決定の情報を耳にしました。よかったですねえ。でも、幸運にも劇場で見ることができた人は、一生の心の宝物になると思いますので、できれば映画館で見ることをオススメします。万代シティのシネウインドで、絶賛公開中!



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2010-05-03

最近読んだ本

テーマ:

おお、本の記事を書くのは久しぶりだなあ。考えてみれば半年以上書いていませんでした(笑)。風呂敷だけ広げてそのまんま放置プレイ、っていうのは映画熱ではよくあることです。あっはっは。気にしない気にしない。


全然読んでなかったわけじゃないんですが、読むのがかなり遅かったかもしれない。2冊同時に読んだ時期もあったので、順番がよくわからなくなっちゃった。記憶の許す限り、読んだ本をピックアップしてみます。




「裁判長!ここは懲役4年でどうですか」 (北尾トロ著 文春文庫)


これを読んだのは、昨年だったかもしれないなあ(笑)。裁判員裁判が始まる時期に、勉強のつもりで買いました。内容は、裁判の公判を傍聴した手記。だからこれ、100%ホントの話ってこと。リアルな人間ドラマの向こうに、人生の喜怒哀楽がある。嘲笑でも美化でもない、著者の感じ方そのもののストレートな文章が、臨場感タップリに進んでいく。


しかしまあ、この著者は面白い文章を書くもんです。テキトーなイラストもナイスな潤滑油。本人は意識していないところで人を笑わせる能力がある人って、何だか尊敬しちゃいます。中でも、被告が法廷で、ドクロのバックプリントのトレーナー着てたのは爆笑でした。(笑っちゃいけないんだけど、笑える)


すでにマンガ化もドラマ化もされていますが、本で読むのが一番面白い。シリーズ化されているみたいなので、続きも読んでみたいと思います。




「超訳 ニーチェの言葉」 (白取春彦訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン)


これは、インパクトのある1冊。黒い装丁にシルバーの文字。はっきり言ってカッコいい。辞書並みの重さで、値段は1700円!これは、本棚に飾っておくとハクがつきますね。飲み代を節約して、思わず衝動買いしてしまいました。すごい贅沢。


フリードリヒ・ニーチェであります。19世紀後半に活躍した、ドイツの哲学者。普通の人には馴染めないような難しい文章というイメージですが、この本は実にシンプル。1ページに1項目ずつ、わかりやすい表記で紹介されています。これなら、誰もがとっつきやすい。


大切なことは、複雑な表現を必要としないものなのだ。しかし、シンプルな言葉であるからこそ、奥が深いとも言える。モノを考える人と考えない人では、言葉の重みが全く違ってくると思う。


内容は、全部で232項目。その中で俺的にヒットしたのは、12項目目と、69項目目。自分が悩んで考えていたことを、ニーチェ先生がバシッと言葉にしてくれていたということが、とてもうれしかった。


わかりやすい言葉ほど、難しいものもないのだ。これは、読めば読むほど脳が鍛えられる。何度も読んでわかることもあるだろうし、こうだと思っていたことが実は逆だったということもあるでしょう。さすが、天才の文章は違うなあ。


彼は、45歳で精神が崩壊して死んだそうな。オーラを出し過ぎちゃったかなあ。考えすぎてもいけないけど、考えなさすぎてもいかんと思う。ほどよく考えて、ほどよくテキトーに生きましょう。




「自殺ドミノ」 (石原行雄著 晋遊社)


自殺についての本はそうそうないので、タイトルを見て迷わず買いました。本書は、自殺する本人ではなく、自殺されてしまった身近な人たちの苦しみに焦点を当てた本です。


自殺する人間は、その後のことまで考える余裕などない。どうしようもなくて死んでしまう。その後、残された人たちがどうなるのか、実際の証言を多数収録することによって、自殺防止に役立てたいという悲痛なメッセージ。


自殺されてしまうと、誰のせいで死なせてしまったのかと考えたくなるものらしい。結果として、その人のために精一杯尽くした人が犯人にされてしまう。自殺のショックと、悪者にされてしまった二重のショックで、人間の心は崩壊してしまう。これはとても恐ろしいこと。


自殺という不幸は、連鎖していく。10の事例が細かく紹介してあるので、自殺を考えている人は、読んでみる価値はある。これを読んで、考えを変えられる人がいればありがたい。


だけど本書は、自殺しようとする人の気持ちには一切踏み込んでいない。そこが問題である。自殺なんかされたら迷惑だ、だからやめろというのが本書の結論。それでは乱暴すぎる。それで本当に自殺防止になるんだろうか?


自殺した人からは、証言が取れない。恐山にでも行くしかない。自殺したい人にだって、それなりの言い分があるはず。そういう声を聞く手段はないのか?俺はこの本を読んで、そっち側の意見をもっと聞きたい気持ちになりました。


カウンセラーとか、精神科医とか、刑事とか、いのちの電話のスタッフとか、自殺する側の事情がわかる人たちからの声は聞けないものか。そういう本はないのか?


ネットで同じ境遇の仲間同士で交流しているうちに、気持ちが変化した人もいるんじゃないか?自殺する奴が悪いというような考えは、いじめられる奴が悪いという考えと変わらないと思う。心が阻害されると、そこにいたいという気持ちはなくなっていく。愛も一方通行になっていく。


するなと言われれば言われるほど、したくなってしまうのが人情。ダメだダメだとタブーにして封印して、臭いものにフタという考えでは、貴重な命がどんどん失われていってしまう。赤ちゃんポストのような発想で、合法的に失踪させるアイディアとか、自殺した気分になれる自殺カフェとか、自殺願望の人を受け入れるシステムを誰か思いつかんのか?



それぞれに事情がある。それはわかる。俺ごときが意見することじゃないこともわかる。でも、俺はお金を払って本屋でこの本を買って読んだ。だから、批評する権利はある。ないと言うなら、タダでこの本を配るべきだ。


俺はこの本を読んで、釈然としないものが残りました。恨み続けてばかりいても、何も解決しない。被害者の嘆きをぶつけるところは、他のところにあるような気がするんです。どうも納得できない。


だから、しばらく態度保留。もっと調べたいし、もっと考えたい。




「死因を科学する」 (上野正彦著 アスキー新書)


さあ、ヘビーなタイトルが続きます。著者は、元東京都監察医務院長の医学博士。つまり、死体を検死するおっちゃん。死因を解明することによって、自殺か他殺がわかり、どういう状態で死んだかもわかる。


内容は、80項目以上の事例を紹介し、死なないですむためにはどうすればいいかもちゃんと解説している。このスタイルはとてもいい。著者の、人間に対する慈しみとユーモアが感じられる。これは、良書だと思います。


身体にいいからといって無理に動かせば、死を招くことになるのは道理である。さっきの本より、本書の方がよほど自殺防止になるような気がします。自殺って、結構マヌケな部分があるんですねえ。カッコ悪~い。


もう一つのポイントは、犯罪防止にもなるということ。偽装殺人は、すぐに見抜かれるみたい。これ読んだら、悪いことはできないなあっていう気分にもなる。この本を書いたおっちゃんは、相当頭がいい人だと思う。難しいことをわかりやすく説明して、肝心なことを伝える能力がある。きっと、仕事も的確で早いに違いない。


彼は、今年で81歳だそうな。 うっへー、モーリス・ベジャール並みのスーパージイさんじゃん!




「うつノート」 (備瀬哲弘著 集英社文庫)


帯に、“40代の方必読!”なんて書いてあったので、何となく購入。内容は、さほど大したことありませんでした。これは、うつ病のことがよくわからない人向けの入門書のようです。だから、ソフトな文章。どちらかというと、女性向きかな。


よく言えば、悩んで苦しんでいる人に、精神科の受診を受けやすくするガイドブック。悪く言うと、センセイの自慢話。今どきの女の子を、こういう風にカウンセリングしたら素直になりましたよ、って感じ。


これ読んでたら、俺がうつになりそう。つまんない本でした。さっさとブックオフに売ってしまおうっと。




「擬態」 (北方謙三著 文春文庫)


何だか、ハードボイルド小説が読みたくなってきた。ようし、この分厚い本に挑戦するか!


約500ページの長編。30代のサラリーマンが、ひょんなことから1人でヤクザと戦争してしまう物語…なんじゃそりゃあ!


この男、登場してからタダモンじゃねえ。バツイチだけど、元妻を1週間に1回抱いている。恋人もちゃんといて、こちらも週イチで抱いている。こっちは、金持ちのお嬢様。結婚を迫られているが、そんな気はない。潔癖症でプライドの高い女を、ワイルドに陵辱していく主人公。しかも、本人は、女の身体にまったく欲情しない、でも、持続力は2時間以上…おいおい。


この主人公は、とんでもないワルです。こんな奴は、さっさと死んじまえって思う。だから、俺はヤクザを応援したくなった(爆笑)。やいやい、もっとちゃんとやらんかい、ヤクザ!


ドキドキ感は、全くなかった。この男、どうやっても死にません。きっとサイボーグなんでしょう。こんなに感情移入できない主人公もそういないだろうなあ。勝手にやって下さい、って感じ。


ここまで強いと、何だかシラケてしまわないか?松田優作みたいな、繊細な部分はないのか?


読んでいると、こっちの心が凍りつきそうになる。 …あ、もしかしてそれが狙いかも?




「恐怖はこうして作られる」 (藤ダリオ著 中経の文庫)


最後は、軽い本でいきましょう。(軽くねえって)


著者は、ホラー映画の脚本家。名前からして、ダリオ・アルジェントのファンだとわかります。


内容は、ホラー映画の裏話が中心。ホラー映画の構造やら、原作と映画の違いやら、幽霊役の女優の話やら、心霊ビデオは本物なのかなど、思いつくままの雑談エッセイ。


俺的には、いくつか参考になる話もあったので、読む価値はありました。でも、そんなに大した本じゃないです。軽い気持ちでちょっとホラー映画気分、って感じ。読むのが早い人なら、30分くらいで読めます。電車の中で読むのにちょうどいい本ですね。


映画を作る側って、見るのとは違った楽しみがあるんですね。製作にたずさわる皆様、これからもがんばっていい映画を撮って下さい。俺も、しっかり見ます。





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2010-05-02

4月の残り香

テーマ:エッセイ

4月がようやく終わりました。俺が働いている会社は4月が年度末なので、売り上げを確保するために、ここ一ヶ月は日曜以外は全部出勤でした。しかし、休日手当てはなしで、5月に全部代休を取らされることに。残業ダメ、休日手当てなし。でも納期は守れですから、朝早く出勤したり、昼休みも仕事したり、夜こっそり行って仕事したりと、涙ぐましい努力をしています。


ここ数年で、仕事のやり方が大きく変わってしまったような気がするので、体調を崩す社員が続出。俺も昨年は不眠に悩まされましたが、今は何とか適応しています。年を取ると、急激な変化に対応しづらくなるので、俺より年上の人たちは、大変な思いをしているんだろうなあ。(人の心配ができる身分ではありませんが)


そんな中でも、がんばって細々と劇場に通っています。見逃した映画もいっぱいありますが、それは縁がなかったと思うことにしています。本数は減っても、ブログはそう簡単に終わらせませんので。



そんな状況なので、なかなかコンスタントに劇場に行けません。時間とお金と体力のバランスがどうも一致しなくて。記事にアップしている映画は、幸運にも見ることができた作品ってことになりますね。


そんなだから、1本映画を見てから記事にするまでがだんだん長くなっているし、記事を更新する間隔も、だんだん大きくなっていく。まあ、それはしょうがないよね。おっさんになっちゃったし。


最近、妻がまたネットゲーをやるようになっちゃって、パソコンが塞がっちゃうことが多くなりました。書きたい時はあいてない。で、いざあくと、俺がすでに眠くなっちゃってるっていうパターンが多いみたい。そうしているうちに数日がドンドン過ぎて、記憶がほどよく失われていっちゃう(笑)。


やっぱり、自分のパソコンが欲しいなあ。ビンボーだからすぐには買えないけど、お金をためていつか買おう。何とも情けないブロガーですが、それもまた、何か意味のあることかも。



でも、このブログって、記事を更新しようがしまいが、1日のアクセス数はあんまり変わらないんです。むしろ、更新した時の方が少なかったりすることもある。書く方も読む方も、好きな時にやるんです。我ながら、いいブログだなあ(笑)。


6月で、映画熱は5周年になります。こんな変な文章を読みに来てくれる、心の広い物好きな読者の皆様のおかげで、未だに続いているんですねえ。何でもやってみるもんだなあ。



4月は、俺の誕生日がありました。スナックBのみなさん、お祝いしてくれてどうもありがとう。やっぱり、いくつになってもうれしいもんです。来年もよろしくね。その6日後には、A君の誕生日でした。25歳おめでとう。俺のつまらん下ネタジョークに、これからもどうかお付き合いよろしく。


月末には、伝説のスナックJの、伝説のバーテンY君から連絡が入り、久しぶりに2人でスナックBに行きました。キミももう38歳かあ、全然変わんないね。え、俺も変わんない?あっはっは、当たり前じゃん!


その翌日には、同級会で泥酔。連チャンで飲んで、見事に二日酔いになりました(笑)。そのおかげで身動きが取れず、やっとブログを再開できました(爆笑)。 う~、やっと酒が抜けてきたかな~?



以前は、映画行かなきゃ、早く見なくちゃ、次はあれに行かなきゃっていう風に焦っていたようにも思う。若いうちはできても、おっさんになると、体力がついていかなくなる。無理して見に行って、劇場で眠くなったりしたら映画に失礼だもんね。いい映画は、やっぱりベストコンディションで見たい。


だから最近は、1本1本の映画を大事に見るようになりました。見方は変わってないけど、栄養の吸収の仕方が少し変わったかもしれない。まあ、文章はおんなじレベルですが。



劇場で映画を見られる幸せ。ブログを書ける幸せ。アクセスしてもらえる幸せ。お酒を飲める幸せ。飲み仲間と楽しく飲める幸せ。カラオケ仲間と楽しく歌える幸せ。そして、家族の小さな団らん。


人から見たら、低いレベルの生活かもしれないけど、自分の生きるスタイルを変えるつもりはない。というか、こういう風にしか生きられない。よくも悪くも、俺の人生なんだからいいじゃん。



読者のみなさんは、好きなところを拾って読んで下さい。映画熱を読みこなせる人は、プロの読者である。人の言葉をやたらと鵜呑みにしちゃいけないことをわかっている人である。実生活で、わけのわからないことをクドクド言い続ける人がいたら、視点を切り替えて聞く能力が備わっている人である。


いいものは吸収し、悪い部分は吐き出す。感動は心の栄養になり、難解な感情は消化能力を鍛える。食いついて、噛み砕いて、味わって、酔いしれて、自分の新しい細胞になる。それが、生きる力になるのだ。



映画は、楽しんだもん勝ち。感動したもん勝ち。人がどうのこうの言ってきたからって、それで揺らぐようじゃあ、まだまだアマチュアの観客。世界中が駄作だと言おうが、自分にとって傑作ならそれでいいのだ。堂々と主張せよ。それこそが、映画熱魂である。自分の感じ方を大切にせよ、というのはそういう意味。



そんなわけで、5月も自分らしくがんばります。 次に見る映画は…やっぱりアレだな!






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2010-05-01

ベジャール そしてバレエはつづく

テーマ:洋画

師匠から弟子へ、ソリストから観客へ。 …伝える側と受け取る側が一体となり、芸術は進化していく。


モーリス・ベジャールは、フランス・マルセイユ出身の偉大な振付家。男性舞踏を中心としたスタイルで世界中を魅了し、バレエは女性が踊るものというイメージを一変させた。歌舞伎や能などの日本文化を愛し、東京バレエ団とコラボしたこともあり、クイーンの音楽に乗せてロックミュージックとバレエの融合を実現した人物である。


そんなすごいおっちゃんが、2007年11月に80歳で死去。彼を師とするモーリス・ベジャール・バレエ団は、後継者のジル・ロマンを中心として、新たな挑戦を始めることになる。彼の初振付作品「アリア」ワールドプレミアまでの最後の1ヶ月を追う、迫真のドキュメンタリー映画。(2009年スペイン)


監督は、アランチャ・アギーレ。自身もバレエ経験のある、スペイン出身の女性監督(45歳)。出演は、ジル・ロマン、ダヴィッド・クピンスキー、ジョルジュ・ドン、那須野圭右、オスカル・シャコン、カテリーナ・シャルキナ。


さて、映画ですが、緊迫感あふれる作品に仕上がりました。バレエって、すごい世界なんですね。セリフや歌ではなく、身体の動きひとつで全てを表現する世界。何というか、美しいというか、気持ちよかった。バレエが好きな人はもちろん、全く知らない俺みたいな男でも充分楽しめる映画です。


巨匠モーリス・ベジャール亡き後、唯一の後継者として芸術監督に任命されたジル・ロマンは、モーリス・ベジャール・バレエ団の新たな幕開けのために奮闘する。 『…モーリスなら、どうする?』 偉大な師匠から引き継いだ精神に、自分のオリジナリティを加えることによって、新しいスタイルを構築すべく練習に励むバレエ団。限られたわずかな時間で、トラブルが続発。果たして、彼らの運命は…?



バレエというのは、言うまでもなく、身体の動きのみで表現する世界。これほど表現力が要求される芸術もないでしょう。言葉ではなく、身体で話し、歌い、メッセージを伝える…うう、カッコいいなあ。素敵だなあ。運動オンチの俺には、彼らが全て超能力者に見えます(笑)。


バレエのステージは、優雅で煌びやかな空間。しかし、練習はそれだけ厳しい。そりゃそうだ。ましてや、世界のトップクラスのバレエ団の練習風景なんて、見てる側も緊張してしまう。だけど、彼らはどこか楽しそうなんですね。


当然ながら、出演者は全員本物です。本物の生身の迫力を、ほとばしる情熱を、かぐわしい熱気を、観客も五感を研ぎ澄まして受け止めましょう。俺は、バレエの魅力とは何なのかを学べるチャンスだと思って見に行きました。意図的な誘導を感じさせない構成もよかった。これは、良質のドキュメンタリーだと思います。


本作を特にオススメしたいのは、後継者問題に悩んでいる人たち。師匠の側に立つ人、弟子の立場の人、板ばさみになって悩んでいる人など。どんなジャンルにも、いいものを受け継ぐというのはそう簡単じゃない。そのヒントになるものが、本作の中にあります。人から人へ受け継がれていくもの。それが、この映画のテーマです。



芸術というのは、発信者と受信者がいてこそ成り立つもの。表現したいものがある。それを伝えたいと思う。じゃあ、どんな方法で伝えたらいいのか。一番伝えたいこは何か。どう表現したらいいのか。どうやったら、ベストな状態で伝えられるのか。


例えば、人を好きになったとする。その人の魅力をもっと感じたいと思う。相手が気持ちよく話せるように、もっと理解してあげたいと思う。自分の気持ちを、いい形で伝えたいと思う。そのためには、自分をいい状態にしていく努力をするようになる…そういうもんじゃないかな。


自分の一番美しい力を、自分のベストな方法で表現する。そして、その美しさを理解し、感動し、賞賛してくれる人がいる。そこで初めて、芸術作品が完成する。俺は、そう思うんですね。いいものを人に伝えていく力は、愛の力でもあるから。



だから、本作のバレエの練習を見ていて、何だか熱くなった。能力をフル回転させて、脳と筋肉を100%シンクロさせると同時に、心と体を一つに融合させていく作業。厳しければ厳しいほど、魂はレベルアップしていくのだ。


俺は凡人なので芸術家の苦悩はよくわからないけど、何かを生み出す作業というのは、苦しいけれども、基本的には楽しいもんだと思っています。心のイメージを、相手に正確に伝えるための努力だから。



モーリス・ベジャールのおっちゃんは、ジル・ロマンの奮闘ぶりを、あの世から見守っていてくれている。この映画を見ると、そう思えます。彼が生み出した芸術の最高傑作は、ジル・ロマンなのかもしれない。自分が生きた証しとして、いいものを残したい。師匠が残してくれたものを大切にし、彼ができなかったものを完成させたい。そういう思いが、本作に込められています。


芸術は、受け継がれて進化していく。 …観客の心もまた、その一部である。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:4月25日(日) 劇場:シネウインド 16:40の回 観客:3人

受付嬢が、若い女の子になりましたね。 あ~、エロ映画じゃなくてよかった(汗)。


【上映時間とワンポイント】

1時間20分。マーラーの「アダージェット」は、やっぱりええでんなあ。


【オススメ類似作品】


「愛と哀しみのボレロ」 (1981年フランス)

監督・脚本:クロード・ルルーシュ、出演:ジョルジュ・ドン。本作にも出演しているジョルジュ・ドンの出世作。高校生くらいにTVのロードショーで見ただけでしたが、本作を見た後だと全然違うような気がする。3時間を越える長編ですが、それがラスト17分のボレロに集結していく構成が美しいのだ。


「ホワイトナイツ」 (1985年アメリカ)

監督:テイラー・ハックフォード、出演:ミハイル・バリシニコフ。踊る男が美しいと思ったのは、この映画が初めてでした。バリシニコフと、共演のグレゴリー・ハインズが一緒に踊る静かなシーンが、たまらなくカッコよかった。ヒロインを演じるのは、イングリッド・バーグマンの娘、イザベラ・ロッセリーニ。


「昴」 (2009年)

監督:、原作:、出演:黒木メイサ。若い人には、こちらがいいでしょう。黒木メイサは女性ですが、男性的なオーラがある。だから、本作とも通じているように思う(笑)。コテコテの女性バレリーナの映画が見たい人は、シャーリー・マクレーンの「愛と喝采の日々」(1977年アメリカ)、ジェニファー・コネリーの「エトワール」(1989年イタリア)あたりがよろしいかと。




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