FUJITA'S BAR
2010-03-22

シャーロック・ホームズ

テーマ:洋画

頭が良くて、腕っぷしが強いストリートファイター・ホームズ登場! …紳士かどうかは怪しいが。


原作は、アーサー・コナン・ドイルの小説。本作は、ライオネル・ウィグラムのオリジナルコミックをもとに映画化したらしい。監督は、ガイ・リッチー。イギリスとアメリカとオーストラリアの合作だそうな。


出演は、ロバート・ダウニー・Jr.、ジュード・ロウ、レイチェル・マクアダムス、マーク・ストロング、エディ・マーサン、ケリー・ライリー、ジェラルディン・ジェームズ、クリーヴ・ラッセル。


さて、映画ですが、すこぶるマッチョな作品に仕上がりました。名探偵ホームズといえば、クールで知的なイメージでしたが、本作はかなりやんちゃです。とにかくこの男、何をするかわかりません。スマートな推理サスペンスを見たいと思っている人は、覚悟して行きましょう。画面から汗のニオイが漂ってきそうな映画です。


原作を知らない俺にとっては、純粋に笑えました。ホームズはボクシングの腕前がプロ級であるという設定もあるらしく、ある種のこだわりが入っているようでもあります。監督をはじめ、出演者もイギリス出身の俳優陣で固めてあるので、単なるハリウッドナイズ作品ではないようです。せっかくだから、一味違うホームズを、頭脳戦と肉弾戦の両面から楽しみましょう。


1891年のロンドンでは、黒魔術の怪しげな儀式により、若い女が次々と殺害される事件が起きていた。ホームズとワトソンの活躍で、犯人のブラックウッド卿が現行犯逮捕され、直ちに処刑される。しかし、彼は生きているらしいとの噂が流れ…。



主演のシャーロック・ホームズを演じるのは、ロバート・ダウニーJr.。彼はアメリカ出身ですが、父親はアイルランド系の映画監督。5歳でヤクを覚え、8歳ですでに常習者となっていた彼は、ヤク中のホームズ役にピッタリ。映画ではヤクをやる場面は出てきませんが、絶対やっていると思わせるような名演技。生身のアイアンマンもなかなか面白いので、アクションにもご注目。これからが楽しみな44歳のおっちゃんです。


相棒のワトソン医師を演じるのは、イギリス出身のジュード・ロウ。どちらかといえば、彼の方がホームズっていう雰囲気がありそうなんですが、そこがキャスティングの妙ってやつですね。このワトソンも、なかなか笑かしてくれます。イカレたホームズに対しても、正々堂々とキレまくります。「スカイ・キャプテン」をはじめ、ヘタレキャラも多かった彼ですが、今回はちょっと骨太。現在37歳。これからが楽しみな俳優です。


この2人、なかなかいいコンビです。ずっと組んでやってきたような、くされ縁のようなものをすでに感じました。主導権がコロコロ入れ替わるのも楽しい。ボケとツッコミみたいな関係でしょうか。ホモかどうかはわかりませんが、友達以上の、深い関係なんでしょう。


悪役のブラックウッド卿を演じるのは、イギリス出身のマーク・ストロング。がっちりしたおっさんのイメージですが、まだ46歳だそうな。あんまり悪そうに見えないので、ちょっと物足りなさを感じるのも事実。何故黒魔術にこだわるのか、彼が何をしたかったのかがよくわからないまま展開していくので、悪役としての魅力がサッパリ。できれば悪の美学を語って欲しかったなあ。


ヒロインも一応2人くらいいるにはいるんだけど、よくわからんしあんまり存在感がなかったので、どう書いていいやら。レストレード警部も、何だか微妙だったしなあ。う~む、これはやっぱり、主役の2人が強烈過ぎるからイカンのでしょうな。ブラックウッドよりホームズの方が悪そうだし、ヒロインのおねえちゃんたちよりワトソンと一緒にいる時の方がロマンチックだもんね(笑)。


そういうわけなので、この映画に出てくる人は、ホームズとワトソンとその他大勢ってことでいう認識で充分。名前も顔もすぐに忘れてしまいそうだし。がんばって覚えないことにします。わっはっは。とにかくこの2人が面白いから、バディ・ムービーの視点で楽しむのがよろしいかと。


かといって、特別変な映画ではありませんので、誰と一緒に見に行っても大丈夫です。好きな相手と、手をつないで仲良く寄り添ってお楽しみ下さい…むっふっふ。




“探偵”という職業は、少年たちにとって永遠の憧れ。実際は地道な仕事なのかもしれませんが、危険をくぐり抜けて事件を解決していくというイメージはカッコいい。警察のルールに縛られることなく、困っている依頼者の味方になって行動するスタイルもいい。俺はやっぱり、石坂浩二の優しさと松田優作のクールさが好きですね。


解決不可能と言われた怪事件を、想像力と行動力を駆使して挑むには、普通の人が考えないような、自由な発想ができる人間でなければできない。そう考えると、やっぱりフツーじゃない男であっても不思議ではないでしょう。イカレた男だからこそ、イカレた推理ができる。悪人を上回るくらいの悪の器を持ってこそ、敵を倒せるのだ。



映画を見ていると、ホームズの着眼点が面白い。ガサツではあるけれど、ちゃんと冷静に物事を考えている雰囲気がある。本人としては丁寧に行動しているつもりでも、はたから見るとどこかおかしい。でも、彼なりに真剣。その驚異的な集中力で、問題の鍵を見つけていく。思考力のオーラが、画面から漂っていく…。


彼の非現実的な世界と、現実の世界をつなぐ役割を担っているのが、ワトソンなんだと思う。「アマデウス」のモーツアルトとサリエリの関係のような、最大の理解者であり、ライバルのような関係。ルパンと次元とか、こういういい組み合わせっていっぱいある。


ホームズは、ワトソンの協力なしには力を発揮できない。ワトソンは、ホームズの魅力を一番理解している男。うらやましい関係ですね。だから、2人の駆け引きが面白くてしょうがない。これは、男同士の関係においては最高レベルではないでしょうか…っておいおい、そんなこと書くと誤解を招くぞ…って別にいいじゃん。それはそれで面白いから。



ロバート・ダウニーJr.は、ますます面白い俳優になっていく。ヤクでつかまって今までの功績を失ったかに見えたけど、「アイアンマン」でマッチョに大ブレイク。本作は、まさに生身のアイアンマン。やっぱり、ヤクを極めた男は違う。ホームズもヤク中だったらしいけど、本作にはヤクをやる場面は出てこない。でも、やっぱりやってる。彼を見ればわかる。アドレナリンが、ドーパミンが、奴の脳内からほとばしる!


アイアン・ジャンキー・ホームズ見参。不健全な精神は、不健全な肉体に宿る。体が休んでいる時は、頭脳がフル回転。考えがまとまれば、鋼の肉体が戦闘モード。かかって来い、チンピラ悪党ども。最強のアイアンパンチを食らえ!とどめはアイアンキック!


戦え、ぼくらのアイアン・ホームズ!許せぬ悪に立ち向かう、鋼の体は無敵だぞ。胸に輝く日輪は、王者のしるし、キーエナルジー。愛するワトソン守るため、おたけび上げて、火と燃えて、今こそ合身!…ってそりゃダイアポロンだろ!懐かしいじゃねーか!



そんなわけで、「アイアンマン2」も楽しみにしています。 …がんばれ、鋼鉄の男!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:3月16日(火) 劇場:ワーナーマイカル県央 18:15の回 観客:6人

仕事が終わらなかったけど、無理矢理抜け出して行っちゃいました。


【上映時間とワンポイント】

2時間9分。続編作る気まんまんのエンディングにもご注目。愛煙家のみなさんは、映画を見た後にぜひ一服しましょう。劇中でもホームズは、ちゃんとパイプを吸っています。中身がどんな葉っぱなのかはわからんけど(笑)。


【オススメ類似作品】


「真夜中の弥次さん喜多さん」 (2005年アスミックエース)

監督:宮藤官九郎、原作:しりあがり寿、出演:長瀬智也。これぞ、ジャパニーズ・ホモジャンキー映画の金字塔。笑って泣いて、不思議な世界へ誘う珍作。俺はこの映画を男2人で見に行って、場内のおねえさま方の注目を浴びました(爆笑)。


「超人バロム1」 (1972年放映の特撮TVヒーロードラマ)

監督:田口勝彦、原作:さいとうたかを、出演:高野浩洋。少年が合体しておっさんになる特撮ヒーロー。2人の友情の熱バロメータがアップしないと変身できない、という設定がスリリングでした。2人の心が1つになって、むっふっふ…。イカゲルゲ、タコゲルゲ、オコゼルゲなど、変てこな怪人もたくさん登場。後半になると、ウデゲルゲ、クチビルゲ、ノウゲルゲといった、泣きたくなるようなデザインもありました。


「名探偵ホームズ」 (1984年徳間書店)

監督・脚本:宮崎駿。当時は、「風の谷のナウシカ」の同時上映。まともなホームズを見たことがないので、ホームズっぽいのも一応ご紹介。わんこキャラのホームズは、なかなかシャレています。劇場版は、「青い紅玉」と「海底の財宝」の2本立て。キャラクターは、わんこを擬人化したスタイルでした。この後、TVシリーズとして放映されました。俺が好きなのは、「ミセス・ハドソン人質事件」と「ドーバー海峡の大空中戦」。


「スナッチ」 (2000年アメリカ)

監督・脚本:ガイ・リッチー、出演:ブラッド・ピット。ガイ・リッチー監督作品の中で、一番ノリノリの1本。野郎たちの無軌道な行動がスピーディーに展開していく、クールな犯罪映画。テンポがいいので、若い人にもオススメです。これにハマッたら、「ロック・ストック&トゥ・スモーキング・バレルズ」も合わせてお楽しみ下さい。




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2010-03-14

ドラえもん のび太の人魚大海戦

テーマ:アニメ・特撮

しずかちゃん、危うし。ウニョウニョの触手が、電気ショックが彼女を襲う。 …のび太よ、急げ!


娘に付き合って、一緒に行きました。さすがにもうワクワクしませんが、娘が喜んでいたからOK。


監督は、楠葉宏三。原作は、藤子・F・不二雄。脚本は、真保裕一。主題歌を歌うのは、青山テルマ。挿入歌は、武田鉄矢。声の出演は、主要キャラ5人に加え、田中理恵、飯塚雅弓、温水洋一、さかなクン、真矢みき、ケンドーコバヤシ。


さて、映画ですが、思ったよりタレント色が薄くて、比較的マトモな作品に仕上がりました。子供が見るものだからオヤジがいちいち口を出すこともないと思うので、まあこんなもんでしょう。


地球の深海には、人魚族が王国を築いていた。しかし、彼らの安息を奪う、怪魚族が出現。伝説の剣をめぐって戦闘が始まる。のび太とドラえもんは、ひみつ道具でたまたまその領域に接触したことから、彼らの戦いに巻き込まれてしまう。人魚族の姫であるソフィアを助けるべく、仲間たちとともに立ち上がったのび太であったが…。



主要キャストの5人については、今さら説明するまでもないので省略します。それぞれがすっかり役柄になじんで、違和感を感じなくなりました。その調子で盛り上げていって下さい。(ただし、ドラミだけはまだちょっと…)


今回ホッとしたのは、ヒロインのソフィア役がプロの声優だったこと。演じるのは、田中理恵。あ~、やっぱりタレントとは全然違うなあ。個人的に、すごく魅力的な女性に感じられました。のび太より年上であることには間違いないでしょう。素晴らしい声でした。彼女なら、命をかけて戦おうという気にもなる。パンフには写真も名前も掲載されないヒドい扱いでしたが、俺は彼女こそが、本作の最大の功労者だと思っています。いい仕事しましたね、姉さん。


温水洋一、さなかクン、真矢みき、ケンドーコバヤシのゲスト組は、いいとは言えないけど特別悪くもなかったので、作品の質には影響ないでしょう。このくらいの範囲だったら、どんどんタレントも起用していいんじゃないかと。ただ、作品の本質に関わる重要な役柄に対しては、細心の注意を払って欲しい。


でも、これはくまでもオヤジ目線の意見なので、これを読んであまり目ぐじらを立てないで下さい。今どきの子供にウケればいいんだし、映画はやっぱり商売ですから、作品の質よりも話題性が優先されることがあるのも仕方ないこと。ただ、目の肥えた子供はしっかり見抜くと思いますので、その辺は製作サイドも覚悟しなきゃね。



物語は、SFチックなファンタジーになっています。どうも人魚というと、エロい世界を想像してしまうんですが、本作に登場する人魚たちは、上半身にちゃんと服を着ています(笑)。え~、着衣水泳かよ、なんて言わんで下さい。しょうがないでしょ、コドモの見るもんなんだから!(できれば、貝殻くらいで手を打って欲しかったけどなあ)


ただし、お色気がないわけでもない。まずは、ソフィアちゃんの入浴シーン。地上では急激に水分が急激に消耗するらしいので、ああ、クラクラ…お水ちょうだい…ってね、あっはっは。


そして極めつけは、しずかちゃん誘拐!何故さらわれてしまうかは、映画を見てのお楽しみ。囚われの身になった彼女に、ウニョウニョな触手が、電気ビリビリが襲い掛かる。傷だらけになったしずかちゃんは、息絶え絶えになって助けを求める…。彼女の命が危ない。急げのび太、時間は残りわずかだ!


女王様がいて、お姫さまがいて、戦闘隊長がガキんちょのハリセンボンとは…よっぽど男手がいない王国なんですね。これなら、のび太たちにも入り込めるスキがありそうだ。しずかちゃんを見殺しにして、ソフィア姫の彼氏になるという暗黒の選択もあるぞ。さあ、どうするのび太?



娘が、純粋に楽しんでいる間、俺はいらん妄想ばかりしてニタニタしてました。いいじゃん、ちゃんと父親としての役目は果たしたんだから。面白かったか?そうかあ、よかったなあ、ムスメ。


「ドラえもん」の魅力って一体何だろうって、時々思うんです。自由な発想力と想像力にあふれ、能天気な主人公が無邪気に行動しまくり、友達みんなで力を合わせればなんとかなるという世界。いいなあ、日本だからこそ、こういうものが作れるのかもしれないですね。


みんな仲良くとか、人のためになることをやろうとか、困った人に親切にしようという教えは、子供の時にみんな教育される。しかし、大人になるにつれ、いつしか忘れてしまい、麻痺していってしまう。それは、とても哀しいこと。


「ドラえもん」という作品が、世代を越えて今もなお愛され続けているということが、全てを表しているように思えます。みんなそういう世界を望んでいるんだし、本来そういうものであって欲しい、ということじゃないかと。


「ドラえもん」は、色々なことを子供に教えてくれます。それは、大人がいちいち言わなくても、子供自身の感性で理解すること。そういう心を大切にして、すくすくと成長して欲しいものです…なんてね。



大人になってから、改めて「ドラえもん」の世界に触れると、色んな意味で感慨深い。「ドラえもん」に夢中になっていた頃の自分に向かって、胸を張れる自分であるのかどうか…。


でもね、そこはやっぱりのび太なんです。何度も何度も同じ失敗をして、情けなくて泣いてばかりで、どうしようもない男。そんな彼を、いつもあたたかい目で見守っていたのがドラえもんでした。彼だけは、のび太を決して見放さなかった。この関係こそが、スタンダードモデル。


自分がダメになって挫折した時は、のび太の心を思い出せ。ダメな奴を目の前にしたら、ドラえもんの心を思い出せ。弱い者を、しっかり助けるのが男の子。誰に何と言われようと、自分が信じた考えを貫け。そして、成功して人から褒められたら、こう言おう。 『…ドラえもんのおかげです。全ては、この作品に学びました。』



「ドラえもん」は、子供の心を育てます。悩める人間の心を奮い立たせます。年代に関係なく、思考力を鍛えます。子供は面白い部分を、大人は深い部分を楽しみましょう。


人間の思考力こそが四次元ポケットであり、人間の行動力こそがどこでもドアである。「ドラえもん」の読者一人一人が、自分にしかできないことを1つずつ身につければ、それがドラえもんにとってのひみつ道具になる。1万人いれば1万種類の道具になるし、1億人いれば1億種類の道具になるのだ。


弱い者を助けるられるような人間になるために、優しい心を貫く人間になるために、学ぶべきことはたくさんある。子供たちよ、「ドラえもん」に学べ。 …キミの純粋な心が、新たなひみつ道具を生み出すのだ!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:3月13日(土) 劇場:ワーナーマイカル県央 14:15の回 観客:約70人

大きなイビキかいてるオヤジが1人。ケータイをやたらに開くオバチャンが1人。グーグー、パカパカ。ゴーゴー、チカチカ。でも子供たちは、ちゃんと画面を見てました。 …えらいぞ、みんな。


【上映時間とワンポイント】

1時間39分。エンドロール終了後に、ドラえもんからお知らせがあります。


【オススメ類似作品】


「ドラえもん」 劇場版シリーズ30作品

いっぱいあるので、どれがいいのかよくわかりませんが、どれを見てもメッセージは共通じゃないかと。

自分の心の中ののび太と会対話しながら、じっくりと見ましょう。





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2010-03-14

人間失格

テーマ:邦画

生まれて、すみません。モテまくって、すみません。 …少女から熟女まで、全階級制覇!


3月に入って、ようやく1本目の記事です(笑)。もうすでに映画ブログとしての機能を果たせなくなりつつある今日この頃ですが、まあよくあることなので気にしないでいきましょう。


原作は、太宰治の同名小説。監督は、荒戸源次郎。脚本は、浦沢義雄。撮影は、浜田毅。衣装デザインは、宮本まさ江。音楽は、中島ノブユキ。


出演は、生田斗真、伊勢谷友介、石橋蓮司、大楠道代、寺島しのぶ、森田剛、小池栄子、石原さとみ、坂井真紀、室井滋、三田佳子、柄本佑。


さて、映画ですが、豪華絢爛なヘタレ映画に仕上がりました。はっきり言って、うらやましい人生です。モテない男にも、モテる男にも、それぞれ苦悩がある。色々な意味で、勉強になる1本。


主人公の葉蔵(ようぞう)は、津軽では有名な資産家の息子であった。上京して高等学校に入った頃から、バーやカフェで知り合った女性を次々とモノにしていく。金と女に不自由しない彼の人生は、いつしか破滅へと大きく加速していくのであった…。



主演は、生田斗真。本作で映画デビューであると同時に、初主演。まさに大抜擢。彼の演技を見たのは初めてなのですが、色気のある青年だなあと思いました。ジャニーズ所属だそうで、こういう役柄にはピッタリかも。


彼の悪友として登場する堀木正雄を演じるのは、伊勢谷友介。彼は今年で34歳。すっかり貫禄が出てきました。生田君はほんわかキャラなのに対して、彼の役柄は、背筋の通ったビシッとした男。このコントラストがとてもいいバランスを保っています。パンフ掲載の監督のコメントによれば、『…苦みばしったいい顔立ちをしていて、立ち姿も見栄えがいい。色気があるし、殺気もある。』 なるほど、男の色気にもいろいろタイプがあるんですね。


葉蔵の世話役をする“じい”役を演じるのは、石橋蓮司。イケメン俳優たちの中で、唯一のオヤジキャラ。このおっさんのポジションが、なかなかオイシイ。感情を抑えたシブい演技にご注目。


原作には登場しないキャラとして、中原中也が登場。演じるのは、V6の森田剛。「ホールド・アップダウン」で、神様を轢き殺した男ですな。今回の役どころは、ハングリーでストイックな詩人。本人のイメージと合うのかどうかはわかりませんが、面白いキャラだとは思う。でも、やっぱり演技の方はちょっとね。



そして、葉蔵に出会う女性たちは、全部で7人。さあ、誰がベストのヒロインなんでしょう?


第1の女は、女給・常子を演じる寺島しのぶ。


第2の女は、下宿先の娘・礼子を演じる坂井真紀。


第3の女は、子持ちの未亡人・静子を演じる小池栄子。


第4の女は、煙草屋の娘・良子を演じる石原さとみ。


第5の女は、薬屋の女主人・寿を演じる室井滋。


第6の女は、療養中の葉蔵を世話する女・鉄を演じる三田佳子。


そして第7の女は、最初から最後まで彼を見守り続けるバーのマダム・律子を演じる大楠道代。


どうですか、この豪華絢爛な女性たち。それぞれが魅力あふれるキャラであり、そんな彼女たちを魅了した葉蔵という男は一体何者なんだろうと思う。彼に惹かれる彼女たちは、それぞれにかわいくて美しくて、生き生きとしていました。そこが、この映画の気持ちいいところ。



寺島しのぶは、戸惑う表情がいい。坂井真紀は、うれしそうに微笑む姿がよかった。「実録 連合赤軍あさま山荘」で、拷問を受けて絶叫する痛々しい姿がまだ俺のトラウマだったので、何だか泣けてきました。


小池栄子は、しっかり生きていながらも、心にポッカリ穴があいている大人の女の色気を感じさせてくれました。室井滋と三田佳子は、それぞれにヘビー級のエロさを感じました。大楠道代も貫禄充分。もしかして、これが熟女の魅力というものなんでしょうか。すごいなあ、女って。


で、特筆すべきは、石原さとみです。彼女、本作に登場する女優さんたちの中で、ダントツにエロかったです。純粋無垢な女の子なんですが、登場したシーンから俺はゾクッとしました。彼女、こんなに妖艶な演技ができるんですね。まだ24歳ですが、これは大きな収穫でした。男性のみなさん、ぜひとも彼女に注目して下さい。出番は少ないけど、一番印象に残る名演でした。いいなあ、ヨシちゃんという女性。


この映画はどんな映画ですか、と聞かれたら、多種多様な恋愛映画です、と答えましょう。とにかく、勉強になる映画です。男の魅力って何だろう?女の魅力って何だろう?男と女の理想の関係って、一体何だろう?これは1人で行くもよし、同性でワイワイ見るもよし。カップルで行くもよし。それぞれの感覚で、自分にとってのオイシイ部分を探しましょう。


本作に登場する人物は、それぞれに個性的で、魅力的。そして、画面の映り方が美しい。悲劇的な内容ではありますが、個々の切り取ったシーンは生き生きしている。そういう意味では、生命力にあふれた作品であると言えます。これは、日本映画でしか表現できない世界だと思う。「ヴィヨンの妻」よりも、俺はこっちの方が好みですね。



原作小説は、20代後半くらいの時に読みました。人間の心の中の葛藤を、ありのままの表現で赤裸々に語るその切り口は、とても衝撃的でした。自虐的と言えばそれまでですが、否定して否定して否定しまくった先に、何かが見えてくるものがある…そういう風に俺は受け止めたもんです。


男という生き物は、とかく強がりな性質を持っています。弱みなんか見せたら、途端に足をすくわれてしまう。自分に都合の悪い状況になると、誰かのせいにして怒る・怒鳴る。ましてや小説が発表された1948年という時代を考えたら、前衛的な作品だったに違いないと思う。


自分の弱い部分を堂々と告白することは、とても勇気がいることだと思う。その潔さと素直さは賞賛に値します。そして、弱いもの、恥ずかしいものを全て吐き出してしまうと、最後に美しいものが出てくる。それこそが、彼の最大の魅力なんだと思う。甘い言葉もキザなセリフも、彼が言うからこそいいのだ。自分の心に対して正直に語る彼の言葉であるからこそ、人の心をつかむのだ。


太宰小説には、一般的には暗いイメージがつきまとうかもしれないけど、結構笑える部分も多い。「人間失格」には、“おチンポ”なんていう言葉が出てくるんですよ。ああ、何ていう上品な下ネタ用語。一生懸命真面目に書いている言葉が、時に滑稽に思える瞬間。それもまた、太宰文学の高等なギャグであると俺は思うんです。


異性とコミュニケーションを取る上で大切なのは、わかりやすく素直に語ることであり、相手の話をしっかりと聞くことから始まることだと思う。そういう意味では、葉蔵という男は、女性をリラックスさせる雰囲気を持っていたのかもしれない。安心感のある男って、やっぱり話しやすいと思うから。すごい男もいたもんですねえ。



俺は映画を見ていて、彼がうらやましいと思う反面、大変なものを背負った人生だなと感じました。俺だったらとても彼のようにはできない。彼だからこそ、彼の生き方を貫けたんじゃないかと。だから、彼を愛した女性たちにとって、彼は忘れられない男なんでしょう。それは、人として幸せなことだと思う。


少年であろうが少女であろうが、青年であろうがギャルであろうが、おっさんであろうが熟女であろうが、男と女であることには変わりない。1人の男として、1人の女として本気で誰かを愛したのであれば、そこに恋愛が生まれる。困難な関係であればあるほど、愛の力は強くなっていく。簡単に手に入らないものだからこそ、価値があるのかもね。



男はみな、恥の多い人生を送っているものだと思う。男にはみんな、葉蔵の部分があるのだ。そのナイーブな心と上手に付き合うことで、女性に対して優しくなれるのだ。自分をいたわるように、相手をいたわる。人間失格・男性失格。自分をいったん否定してこそ、見えてくるものがある。


男はみんな、不器用である。繊細な感情表現は、女性の方が優れている。男は、そういう女の仕草が見たくて、色んなことをする。女が喜ぶ、と書いて、嬉しい、と読む。女を喜ばせることが、男にとっての喜びなのだから。


生まれて、すみません。人を愛して、すみません。楽しんで、すみません。笑って泣いて、すみません。映画を見て、すみません。ブロガーになって、すみません。つまらないことを書いて、すみません。嫌われ者で、すみません。好きなことをやって、すみません。家族を愛して、すみません。友達のために心を砕いて、すみません。



男たちよ、自分の生き方に誇りを持て。女たちよ、自分の魅力に自信を持て。自分の心に正直に生きている人ほど、たまらなく魅力的なもの。嘘の自分を憎み、ホントの自分を愛せよ。


古くさい殻を脱ぎ捨てた瞬間に、新しいスタイルが生まれるのだ。否定の先に、肯定がある。短所を極めれば、長所になる。だから、人間失格、大いに結構。 …合格ラインなんか、糞くらえ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:3月8日(月) 劇場:ワーナーマイカル新潟南 20:20の回 観客:約30人

俺以外、全員女性でした。すげえ、まさに葉蔵の気分…と思ったら、レディースデイだったんですね。


【上映時間とワンポイント】

2時間14分。エンドロールで、スナップ写真のメモリアル映像が流れます。


【オススメ類似作品】


「ピカレスク 人間失格」 (2002年)

監督:伊藤秀裕、原作:猪瀬直樹、出演:川村隆一。太宰治の半生を描いた伝記映画。主演は何と、LUNA SEAの川村隆一。粘着性のあるナルシストぶりが面白いので、太宰ファンは一見の価値あり。女性陣は、さとう玉緒、緒川たまき、裕木菜江、とよた真帆といった豪華ラインナップ。


「ヴィヨンの妻」 (2009年)

監督:根岸吉太郎、原作:太宰治、出演:松たか子。主演の松たか子以外は、全部よかった映画。俺のお気に入りは、広末涼子でした。甘ったるい声でバーのカウンターに立つ彼女は、とても魅力的でした。妻夫木聡のヘタレっぷりも見事。細かい部分で太宰ワールドを堪能しました。


「包帯クラブ」 (2007年)

監督:堤幸彦、原作:天童荒太、出演:柳楽優弥。石原さとみちゃんのかわいさが映える1本としてご紹介。ムスッとした表情ではキュッと締まるタラコ唇がチャームポイント。笑顔になると、それが全開になります。この映画を見た後に本作を見ると、余計にエロく感じるかも。女性陣は他に、貫地谷しほり、関めぐみ、原田美枝子、風吹ジュンといった豪華キャスト。ヤギラ君、オイシイじゃん!




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2010-03-07

2月の残り香

テーマ:エッセイ

2月は、とうとう3本しか記事を出せませんでした。あっはっは、前代未聞ですね。


まあ、いつまでも若くないので、こんなこともあるでしょう。正直言って、これだけ間があくと、もう俺は書けないんじゃないかって思っちゃいました。でも、何とかなるもんですね。ご心配をおかけしました。これでようやく、俺の2月が終われそうです。では、はりきっていつものやつを。



【今月行かなかった映画とその理由】


「インビクタス 負けざる者たち」

モーガン・フリーマン主演で、感動の名作と聞いただけで、何だか萎えてしまうのでパス。クリント・イーストウッド監督作品は、当たりハズレ多いし。


「おとうと」

山田洋次監督で、ハートフルドラマで、吉永小百合と笑福亭鶴瓶が共演というだけで、何だか萎えてしまうのでパス。蒼井ちゃんが出ていても、どうだかなあ。


「Dr.パルナサスの鏡」

テリー・ギリアム最新作だから、行ければ行きたかったんですが、大雪に阻まれてアウトでした。


「交渉人」

交渉する余地もなく、問答無用でパスです。


「ゴールデンスランバー」

伊坂幸太郎原作というだけで、最近は萎えるようになりました。堺雅人主演は面白そうだけど、やっぱりパス。


「食堂かたつむり」

柴崎コウ主演、というだけでパス。説明するまでもありません。


「ソフィーの復讐」

メリル・ストリープ主演だったら、絶対見るけどねえ。


「パーフェクト・ゲッタウェイ」

先日見たSF映画のトラウマがまだ消えてなくて…しばらく彼女をスクリーンで見たくないので、パーフェクトにゲッタウェイします。


「猿ロック」

TVドラマ見てなかったから、やめときます。こじ開けられるのも、こじ開けるのも嫌いだし。


「大洗にも星はふるなり」

真冬に真夏の映画見るのも何だかなあ。山田孝之の演技は見たいけどね。


「人間失格」

これは、できれば見に行きたいと思ってます。ただ、劇場が遠いので、状況が許せばですけど。





ああ、何だか長い2月だった。オリンピックなんて、ほとんど関係なかったもんね。仕事が急に過酷になって、身も心も削ってがんばったわりには、あんまり中身がなかったような気もする。だけど、誰かがやらなきゃいけない仕事だしね。ビンボーくじ引くのは慣れてますから。


誰からも理解されない立場って結構つらいもんだけど、そういうポジションが俺の役割だと思っている部分もあるので、まあこんなもんかと。明日の朝は、この1週間がんばった結果がハッキリする瞬間を迎えることになるんだけど、今から戦々恐々の気分。今夜は、薬飲んで寝ようかな。


もし明日、無事に仕事を終えたら、会社から映画館に直行しようかと思います。そこで初めて本当の意味で、俺の3月がようやく始まることになる。そうなって欲しいし、そうしたいと思う。


やるべき事はやった。もし明日の朝、ダメ出しを食らったら、俺は会社にいられなくなるかもしれない。そうなれば、劇場で映画を見るのはもう不可能になるかも…いやいや、そんなことわかるもんか。あんなにがんばったんだ。もっと自分を信じろってね。


会社では先週、入社して2ヶ月の男性が辞めて行きました。そして、10年以上勤めた俺の部下が今、クビにされかかっています。出来が悪くて不器用だけど、貴重な戦力なので、何とか彼を助けてやりたいと思う。だけど、俺の力にも限界がある。だから今、俺は非常に苦しい立場に立たされています。まあ、いつものことですけど。



人の運命なんて、誰にもわからない。いくらがんばっても、報われない人がいる。あまりがんばらなくても、運の強い人は生き残る。それは、仕方のないことだし、どうしようもないこと。


ただ俺は、人を踏みつけてまで、いいポジションを獲得しようとは思わない。自分の立場を利用して、ズル賢く生きようとも思わない。卑怯な手段は、絶対使いたくない。あくまでも、正々堂々と、男として潔く行動したい。それが、サムライとしての誇りだから。


人が、人にしてあげられることなんて、たかが知れているかもしれない。でも、後悔したくないから、俺は俺のやり方を通すつもり。その結果がどうであれ、やるべき事はやる。やってみせる。



では、明日に備えて、今夜はもう寝ます。どうか、いい結果が出ますように。3月も命がけでがんばりますので、どうぞよろしく。





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2010-03-07

真幸くあらば

テーマ:邦画

これぞ究極のプラトニック・ラブ。 …純粋でエロくて、切なくて美しい!


“まさきくあらば” と読みます。これは、万葉集に出てくる言葉。意味は、そのものズバリ。変に他の言葉に置き換えない方がいいような気がします。だから、映画を見て理解しましょう。


原作は、小嵐九八郎の同名小説。監督は、御徒町凧(おかちまちかいと)。製作は、奥山和由。音楽監督は、森山直太朗。(主題歌も歌っています)


出演は、尾野真千子、久保田将至、佐野史郎、テリー伊藤、ミッキー・カーチス、山中聡。


さて、映画ですが、堂々たる恋愛映画に仕上がりました。題材はタブーですが、内容が素晴らしい。賛否両論でしょうが、俺はこの映画を賞賛します。日本は、こういう映画をどんどん作るべきだと思う。R15なので、中学生以下は入れません。ガキんちょは、オトナになってから見て下さい。


空き巣に入った家にたまたま住人がいて、衝動的に殺してしまった男は、一審で死刑を宣告される。控訴せずに、自らすすんで死刑囚として投獄された彼の前に、謎の女性が面会に現れた…。



主演は、尾野真千子。「萌の朱雀」「殯の森」で河瀬直美監督に見出され、「クライマーズ・ハイ」でも情熱的な女性記者を演じた彼女が、今回はストイックで官能的な役柄を熱演しました。はっきり言って見事です。「サヨナライツカ」の中山美穂の100万倍よかった。 …これですよ、これ!


彼女の持つ雰囲気って、何だかこう、“女の匂い” がするんですよね。決して美人ではないけれど、独特のマニアックな美しさがある。それは、微妙な表情や、ちょっとしたしぐさに込められている。感情を抑えた演技から始まって、次第に高ぶっていく過程は、うっとりしてしまいました。いい役者さんですねえ。俺、何だか彼女が気に入っちゃったなあ。


やっぱり、登場した瞬間のオーラがよかった。映画コラムでも以前に書きましたが、こういうポイントは大事にしたい。何か心に秘めているって感じがあると、惹き付けられるんですね。河瀬監督は、いい女優さんを発掘したもんですね。もう彼女は、自分の力で自分の人生を歩んでいます。堂々たる演技でした。間違いなく、彼女の代表作の1本になるでしょう。


死刑囚の男を演じるのは、久保田将至。現在、尾野真千子と同じく29歳。等身大のカップルというわけですな。彼の演技はひょうひょうとしていて、根っからの悪人風ではない。むしろ、普通の大人しい青年といったところ。特徴があまりないので、彼がどんな人生を生きてきたかということがあまり感じられない。たぶん、そこも狙っているんでしょう。2人のバランスを考えると、ちょうどいいような気もします。


謎の男のもとに、謎の女が訪ねて来る。しかも、舞台は刑務所。それだけで、ミステリアスな空間が出来上がる。鉄格子を隔てて向かい合う2人が、どんな手段で何をするのか…興味深々であります。


弁護士役で、佐野史郎が登場。服役囚として、テリー伊藤とミッキー・カーチスがちょっぴり出ます。でも、彼らはあくまでも添え物。映画のほとんどの場面が、2人のそれぞれの物語を中心として構成されています。いやあ、このスタイルは新鮮ですねえ。こういう映画、久しぶりに見ました。


この映画は、できれば1人で見に行くことをオススメしたい。誰かと一緒だと、映画館を出た途端に感情が飛んでしまうかもしれないので、映画の余韻を抱えたまま、自分の世界に浸ってみてはいかがでしょう。しばらく時間が経ってから、友達と感想を言い合うのもいいんじゃないかと。



これはどんな映画ですかと聞かれたら、恋愛映画ですと答えましょう。純愛ではないかもしれない。禁断の恋かもしれない。しかし、愛し合っている者同士は、真剣なのだ。2人を見ていれば、それがわかるというもの。


死刑執行までという期間限定の恋。しかも、相手に触れることが出来ない恋。近くにいながら、遠い相手。でも、心はいつも一緒。好きになればなるほど、切なくなってくる…。


監視の厳しい刑務所において、どうやって関係を深めていくのか。それは、映画をご覧下さい。彼らは一体、どういう関係なのか。それも、映画館で確認して下さい。余計な予備知識は、できるだけ持たずに行きましょう。



以前に少しお話しましたが、俺は、25歳くらいの時に、遠距離恋愛を経験していますので、会いたいのに会えないというつらい気持ちは、一応わかるつもりです。好きであればあるほど、もっと会いたいって思う。でも、会えない。今思うとやっぱり、女の方がもっとつらいもんなのかなあって。


恋愛というのは、本気であればあるほど、切なくなるもの。ある瞬間幸せを感じても、次の瞬間にはすぐ不安になってしまうこともよくある。それは、心の手応えが欲しいからなのかもしれない。


人間である以上、男と女である以上。見たもの、経験したものを全て同じに感じるのは不可能である。でも、それを同じ方向に近づけていくのが、愛の力。全く違った世界を生きてきた者同士がひとつになるためには、色んなことを乗り越えねばならないのだ。



現実の恋は、映画みたいにうまくいかない。だけど、はなっからうまくいかないような、こんな恋を見せられたら、現実の恋の方がずっと可能性があるじゃん、って感じがしてきませんか。


ダメだと思ってあきらめられれば、ことは簡単。だけど、何か捨てきれないものが心にある。それは、自分でも気がつかないうちにどんどん大きくなっていく。その気持ちに正直に行動したら、何もかも失うことになるってわかっているのに、抑えられないマイ・ハート。 …心の針は今、誰を指していますか?



そういう視点で見ると、尾野真千子がとっても美しく見えるんです。キリスト教のボランティアとして面会に来た清らかな彼女が、だんだん乱れていく姿は、とっても魅力的です。 …ああ、それ以上はいけません!まいっちんぐマチコ先生!(あ~、とうとう言っちゃった)



この映画のもう1つの魅力として、森山直太朗の音楽を挙げたい。清らかで妖しい魅力を放つその歌声は、この世で翻弄されて汚れてしまった人間の魂を、浄化してくれるような効果があると思います。


世の中には、色んな愛の形があっていい。たとえ、どんなに避難される立場であったとしても、その愛が本物であれば、少しもうしろめたく思うことはない。だからどうか、生涯その愛を貫いて欲しい。結果的にうまくいかなかったとしても、それが本気の恋であれば、必ずいいものが心に残る。俺は、そう信じています。



人間とは不思議な生き物であり、そして美しい生き物である。 …いい映画でした。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月27日(土) 劇場:T-JOY新潟 16:40の回 観客:約7人

見に行った日の夜に、とっても美しい月を見ることができました。月って、いいもんですね。


【上映時間とワンポイント】

1時間31分。森山直太朗が歌う「僕らは死んでゆくのだけれど」「真幸くあらば」は名曲です。じっくりと聞いて帰りましょう。


【オススメ類似作品】


「接吻」 (2006年ジェネオン)

監督・脚本:万田邦敏、出演:小池栄子。殺人犯の男に恋をする女の映画といえば、やっぱりコレでしょう。小池栄子の強烈な視線を浴びては、囚人を演じた豊川悦司もタジタジ。途中から、どっちが犯罪者かわからなくなりました。この2人のやり取りを見ていてやきもちを焼く、弁護士役の中村トオルが笑えました。これは、アブノーマルな三角関係ですね。


「浮雲」 (1955年東宝)

監督:成瀬巳喜男、原作:林芙美子、出演:高峰秀子。どうしてこんな男に惚れたんだろう映画といえば、やっぱりコレでしょう。「サヨナライツカ」の記事の時に紹介しようかとも思ったんですが、映画の出来が悪かったのでやめました。でも、本作は出来がいいので、こっち枠で紹介しましょう。これは、俺が見た中で最高の恋愛映画だと思っています。人を好きになるのに理由はいらない。この映画を見て、それを確信しました。


「刑務所の中」 (2002年ビーワイルド)

監督:崔洋一、原作:花輪和一、出演:山崎務。刑務所モノで、一番笑える映画はやっぱりコレでしょう。これを見ると、刑務所って何だか居心地がよさそうだなあって思います。…おっとっと。




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2010-03-07

マッハ!弐

テーマ:洋画

強くなければ生き残れない。 …男のDNAを呼び覚ませ!


音速を超えたスピードで格闘する男の物語…ではありませんので、間違えないようにご注意。(誰も間違えねーよ) まあ、そんな男はきっと短命でしょうな。人生もマッハで終了したりして。


傑作アクション映画「マッハ!」の続編かと思いきや、内容は全然違う話です。だから、前作を知らなくても全く問題ありません。ただ、決してオシャレな映画ではないので、お上品なオネエサマ方はどうかご遠慮下さい。PG12なので、小学生は保護者をゲットしてから行きましょう。


監督・原案・武術指導・アクション監督は、トニー・ジャー。脚本は、エック・イエムチーン。撮影は、ナタウット・キティクン。音楽は、バナナ・レコード。


出演は、トニー・ジャー、プリムター・デットウドム、ソーラポン・チャートリー、サランユー・ウォングガチャイ、サンスティク・プロムシリ、パッタマー・パーントォーング、ペットターイ・ウォンカムラオ、ダン・チューポン、そして象。


さて、映画ですが、全編血まみれ・汗まみれ・土まみれ・泥まみれの殺戮オンパレード映画に仕上がりました。何だか、画面から戦いのニオイが漂ってくるような、強烈ムービーの誕生です。



舞台は、アユタヤ王国による侵略が進む15世紀のタイ。東の王国ではクーデターが勃発、国王夫妻は殺害され、生き残った息子ティンは、悪名高い山賊 “ガルーダの翼峰” に拾われる。 『…自分自身の力で、生き抜いてみせろ!』 あらゆる武術家、格闘家たちがいるプロフェッショナル集団に鍛えられ、少年ティンは、たくましく成長していく…。


主演は、タイのスーパースター、トニー・ジャー。鍛え抜かれた肉体から繰り出される力と技は、人間の能力の凄さを改めて感じさせられます。すげえ、人間ってこんなことができるんだ。「マッハ!」「トム・ヤム・クン!」で充分にその身体能力を披露した彼の最新作は、戦いの原点とも言えるようなスタイル。本作を含む3作に共通するテーマは、“失ったものを取り戻す戦い” であると思う。…さあ、今回は何のために戦うのか?


彼の最大の武器は、膝だと思います。ムチャクチャな体制から繰り出される膝蹴りは、まさに必殺技。この膝は、確実に人を殺せます。睨まれた瞬間、膝が飛んでくるぞ、ありえない方向から!


とにかく、彼のアクションはスバラシイ。格闘ファンはどうぞお見逃しなく。ストーリーは、途中からどうでもよくなってしまいました。もう、余計なことは考えないでいきましょう。 …やっちまえ!蹴り倒せ!ぶっ殺せ!



色んな出演者がいますが、イマイチ誰が誰だかわからない(笑)。誰がいいとか、悪いとかもない。やっぱりいつも思うのは、トニー・ジャーと象とその他大勢って感じ。これはきっと、タイ映画を見慣れていないせいですね。「レベル・サーティーン」もたしかタイ映画だったと思うけど、主演の兄ちゃんの顔が思い出せない(笑)。メガネかけてたのは覚えているけど。どうか、個性的なタイアクターの出現を希望します。ガンバレ。



男の子は、思春期の頃に必ず格闘モノに興味を持つもの。女の子がかわいさ・美しさに憧れるのと同じように、男の子は強くてカッコいいものに憧れるのだ。これは、ケンカに強いかどうかは関係ない。強さというものの本質を理解するための、学習教材と言っていい。


俺がカンフー映画に熱中していたのも、小学校高学年から中学生にかけての頃だったと思う。手製のヌンチャクとか作って、頭ゴンしてたっけなあ。




俺は小学2年の時に、町の剣道場に通い始めました。運動が苦手で、ケンカも弱い自分を何とかしたくて、誰も習わないスポーツをやってみたかったから。空手は痛そうなので、防具をつけていれば大丈夫かな、なんてね。今思うと、自分が本当に運動オンチなのかどうか、確かめてみたかったんだと思う。


当時、萬屋錦之助と赤胴鈴之助に憧れてたこともあって、きっと超能力みたいなものを期待してたのかもしれない。習い始めて半年ほど経った頃、どうやら剣道には “真空斬り” という技はないらしいということと、侍という職業もないらしいということがわかって愕然としました(笑)。でも自分から始めたことだったので、やめようとは思いませんでした。


同い年の先輩で、O君という大柄な男がいたんですが、力まかせでバシバシ打ってくるもんだから、痛いのなんの。やっぱり剣道も、力の強い者が勝つのかなあと思いつつ、週2回の練習に通いました。


ある程度力がついて、練習試合をした時のこと。相手は、強豪O君。これはやられる、と思いましたが、よく見ると、思ったよりスピードは早くない。奴の竹刀をことごとくかわす俺。いらだつO君は、ついに激昂。『…よけてばっかりいるんじゃねえ!』


よけるだけで精一杯なんだからしょうがない。俺は、何だか面白くなってきた。じっと奴を睨んでこう思ったもんです。『…うるせえ、くやしかったら打ち込んでみろ!』 恐いから言えなかったけど(笑)。


簡単にカタが着くと思っていた周りのみんなは、さぞかし以外だったろうと思う。さすがのO君も、だんだん打ち疲れてスピードダウン。気がつくと、俺の竹刀が奴の面をとらえていた。『…1本!』 生まれて初めて、弱虫の少年が脱皮した瞬間でした。あっはっは、俺ってスゴいじゃん!


『…この野郎オオ!』 真っ赤になって怒り狂ったO君は、俺をメッタ打ち。あっという間に後の2本を取られて、俺は1-2で負けました。あっはっは、やっぱりO君は強いや。でも俺、何だかすごくうれしかったんです。今考えても、この1本こそが、男としての俺の出発点だったような気がするんですね。


その日以来、O君と対等に口がきけるようになりました。腕は到底かなわないけど、決して負けてない。そういう自信が、男の子を変えるんです。誰かに言われたわけじゃない。自分で望んで入って手に入れた領域だからこそ、価値があるのです。


剣道は結局、中学3年まで続けました。そのあたりのことは、いずれ機会を見てお話しましょう。とにかく、ケンカに弱い者でも、それなりの戦い方があるということを学んだ、貴重な経験を語りたかった。だから、サムライの名前を名乗ってもいいんじゃないかと。どうせニセ者なんですから。本物に敬意を表してのニセ者侍で充分。人間の本当の強さなんて、誰にもわからないもんだから。




男性諸君は、本作を見て、自分の戦いの原点を思い出して欲しい。強い者も、弱い者も、戦わずには生きていけないのが男というもの。憎いあいつを思い浮かべて、ティンと一緒にスクリーンでやっつけよう!


俺は、未だにケンカが苦手です。でもね、自分の戦い方というものは心得ているつもり。相手によっても、戦い方は違うのだ。強い相手であればあるほど、戦い方も高度になっていく。そして、そこから新たに生まれるものがある。大人のケンカって、なかなか難しいけど、それはそれで面白いもんです。


この映画を見て嫌悪感を抱くか、拍手喝采するかは個人の自由。俺は、トニー・ジャーが体を張って男たちに教えようとしている何かを、しっかり受け止めたいと思う。世界中の少年たちよ、トニー・ジャーに学べ。戦うとは何か、生きるとは何か、男とは何かを考えよう。心と体の両方で。



強さと弱さは表裏一体。優しさと厳しさも紙一重。強さを発揮するべき時と、優しさを発揮すべき時がある。力は、弱い者を守るためにある。自分の弱い部分を守るために、自分の中に眠っている強い心を呼び覚ますのだ。


力は、与えられるものではなく、湧いてくるもの。何かに触発されて、自分の中から出てくるもの。何かをやったから自動的に強くなるのではなく、何かをやることを通して、自分と向き合うことが大切なのだ。


野蛮だとか下品だとか、ヤボなこと言っちゃいけません。これは、男のDNAに刻まれた本能というべきもの。闘争本能こそは、男が男であるためのアイデンティティ。強い男も、弱い男も、現実を忘れてこの戦いワンダーランドを堪能しよう。逃走するより闘争しよう…なんてウマいこと言ってる場合じゃないぞ!


本当に強い者は、やたらに強がらないものだし、つまんないことで怒らないもの。ケンカの仕方を知っている者ほど、厳しい戦いを経験している者ほど、ちゃんと相手を見ているもの。男は、無意味な争いはしないのだ。可能な限り。


ただし、戦わなければならない時がある。一歩も引けない時がある。自分が自分であるために、誇りとプライド守るため。やらなければやられる。獣を解き放つのは、そういう時だ。



戦え、ぼくらのトニー・ジャー。タイの最強ファイター。マッハで膝が飛んでくるぞ!音速より早いから、当たってから音が聞こえるぞ!膝が見えた瞬間に、オマエはもう死んでいる!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月21日(日) 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 18:30の回 観客:約10人

結局、1日で3本見ちゃいました。ハードスケジュールだったけど、楽しかった。


【上映時間とワンポイント】

1時間38分。あらゆる格闘技が登場するのでご注目。酔拳・蛇拳・虎拳・蟷螂拳・南拳。武器も、ナイフ・日本刀・縄標・三節棍とバラエティ豊かで楽しいッス。象との合体技もあります。


【オススメ類似作品】


「マッハ!」 (2003年タイ)

監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ、出演:トニー・ジャー。全ては、ここから始まった。原題の“オンバク”は、仏像の名前。大切な仏像を盗まれて怒り狂った男が、膝で蹴りまくりながら敵を追い詰めていく痛快作。タイトルの感嘆符の数は、7本だったり8本だったり9本だったり…誰か本当の本数を教えて下さい。


「トム・ヤム・クン!」 (2005年タイ)

監督:プラッチャーヤ・ピンゲーオ、出演:トニー・ジャー。大切な象を盗まれて怒り狂った男が、最強の膝を駆使してオーストラリアで大暴れ。飛行中のヘリコプターへ向かっての、ジャンピング・ニーアタックは超爆笑!


「チョコレート・ファイター」 (2008年タイ)

監督:プラッチャーヤ・ピンゲーオ、出演:ジージャー・ヤーニン・ウィサミタナン。男ばっかりがファイターじゃない。今度はおねえちゃんファイターの登場です。タイトルからして、真っ黒な女の子が戦うのかと思ったら、単にマーブルチョコが好きなだけなんですね(笑)。彼女は、病気の母親の治療費を稼ぐために、地上げファイターとなって戦う!何故か阿部寛が父親役で登場。これをバレンタイン時期に公開したシネウインド新潟は、なかなかのセンスでした。


「ドラゴン危機一髪’97」 (1997年香港)

監督・脚本・主演:ドニー・イェン。ついでに、香港のハイスピードアクション映画も1本ご紹介。滞空時間があまりにも長いので、彼はきっと空を飛べるんでしょう。トニー・ジャーと戦って欲しい相手は、チャウ・シンチーでもジェット・リーでもない。ドニー・イェンです!


「居酒屋兆治」 (1983年東宝)

監督:降旗康男、出演:高倉健。ちょっと違った視点で、日本映画を1本ご紹介。健さんの役柄は、居酒屋を経営するおっさん。ずっと大人しく仕事していたのに、ガラの悪い客にからまれて、ついに一発ボディブローが入った。お客は入院。平謝りの健さん。でも、カッコよかったなあ、あのボディブロー。いざとなったらやる男なんだぜ、このおっちゃんは。高校生の時にTVのロードショーで見た俺は、興奮して眠れませんでした。こういうカッコいい大人になりたいなあって、憧れたもんです。男たちよ、日常の中にも戦いはいっぱいあるんだぜ!




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2010-03-06

サヨナライツカ

テーマ:邦画

中山美穂が痛々しかった。 …違う意味で。


監督は、イ・ジェハン。消しゴムのおっちゃんですな。原作は、辻仁成の同名小説。主題歌を歌うのは、中島美嘉。出演は、中山美穂、西島秀俊、石田ゆり子、加藤雅也、マギー。


さて、映画ですが、とってもイライラする作品に仕上がりました。原作を知らない立場なので偉そうなことは言えませんが、何だか色んな意味でもったいない映画。まあ、きっとセレブの人向けなんでしょうな。


婚約者がいるモーレツ社員の男と、金持ちのバツイチ女が、行きずりの恋に落ちる。最初は遊びのつもりだったが、いざ別れの段階になると、さらに激しく燃え上がるのであった…。


主演は、12年ぶりにスクリーンに復帰する中山美穂。俺的には、彼女を役者だとは思ってません。ただ、いい仕事する女性だな、程度の認識です。「Love Letter」の時は、キレイな人だなあっていう印象。アイドルのイメージを保ったまま、いい感じでスイッチしたいい例だと思っています。


その彼女が、R15指定の恋愛映画に主演する!…おいおい、あんた、脱ぐ気じゃないだろうな?これは一体どういう心境の変化なんだろう。気になって見に行ってみれば…なあんだ、全然脱がないじゃん。ちょっと安心、でもガッカリ…ああ、ホントにイライラする!


彼女の演技そのものは、かなりイマイチでした。やっぱり、こういう役は無理なんじゃないかって思う。どういういきさつでこんな役柄を引き受けたのかは知りませんが、何だかかわいそうになりました。どう考えても、男を誘惑する女に見えないんだもん。画面の中の彼女は、あんまり生き生きしてなかったように見えました。何だか、ワケありで引き受けたんじゃないだろうなあ。(ザ・余計なお世話)


確か、TVで見た舞台挨拶でも、あんまりいいコメントしてなかったように思う。彼女にとっての演技は、あくまでも等身大でなきゃいけないのかも。でもそれでは、女優としての成長がない。そこで、あえて殻を破ってみる…的なことを要求されたのかなあって思ってしまいました。まあ、彼女も大人の女性だし、そこはちゃんと考えて行動しているんでしょう。次に彼女が演じる役柄で、それが証明されればいいと思います。


そういうわけなので、画面上の彼女が、何だか痛々しかった。本意ではない状況に陵辱されていくその姿を見ているのが、何ともつらかった。だから、この映画を見ても全然エロい気分にはなれませんでした。



で、共演した男が、西島秀俊。これはアカン。彼は基本的に、演技のできる俳優ではないと思っていますので。彼の無表情ぶりが、その軽薄そうな雰囲気が、ますますミポリンを追いつめていく…。もうちょい、マシな俳優いなかったんですか?


西島君の婚約者として登場するのが、石田ゆり子。おお、彼女の方が、ミポリンの100万倍魅力的だ。冒頭で押し倒される時の演技がエロい。いいねえ、キミが主役やりなさい!


西島君の上司として登場するのが、加藤雅也。おお、カッコいいじゃん!この映画、加藤雅也と石田ゆり子を主演にして、もう1回撮り直しましょうよ。監督は、西川美和さんで!



そんなワケなので、男性諸君にはちょっとオススメできませんなあ。まあ、女性同士で行って、帰りにお茶して話題騒然といったところでしょうか。どうやら、俺の出る幕じゃなさそう。



恋愛というのは、ホントにわからないもの。どうしてこんな時に、こんな人と出会ったんだろう。そういう時に恋した相手こそ、一生に一度の大恋愛に発展するもの。やっぱり、期間限定だと盛り上がるんですなあ。


まあ、理屈をこねてもしょうがない。人が人を好きになるのに、理由はいらないんです。ただ、人に説明するのに理由が必要なだけ。あと、うまくいかずに別れた時に、自分を納得させるためにも必要になりますな。


でもね、恋で盛り上がっている時は、そんなことどうでもいいんです。つまらん理屈よりも、彼女の笑顔で充分満たされる。この状態がいつまでも続けばいいのに。でも…続かないんだよね。


誰を好きになってもOK。誰にも邪魔されないし、誰も反対しない。そうなったらそうなったで、今度は恋愛そのものが燃え上がらないんじゃないだろうか。宗教と恋愛は、迫害されればされるほどに燃え上がるもんだから。



かつて本気で恋愛したことがある人と、まだ一度も人を好きになっていない人では、この映画の印象が違うと思います。本気の恋愛は、苦しくてつらいものなのだ。そんなにしてまでも、好きにならずにいられない。それが、悲しい人の性。


以前にも話しましたが、俺自身は、恋愛を経験する前は、恋愛映画に憧れていました。ところが、実際に恋愛を経験した後は、全く興味がなくなりました。でも、結婚して子供が生まれた後は、また少し見るようになりました。やっぱり、恋愛って永遠のテーマですから。


そういうワケなので、本作は、どういう人にオススメしていいのかわかりません。少なくとも、恋愛で苦しんでいる人は、見ない方がいいかも。別れた恋人を美化しまくっている人にはいいかも。真面目な人生をずっと生きてきた堅実な人は、勉強になるかも。


本作はR15ですが、べつにエロ映画ではないので、誰が見ても問題ないと思います。母親と娘の組み合わせで見に行くのも、結構面白いかもしれませんよ。



“サヨナライツカ” は、石田ゆり子が演じる新妻が書いた詩のタイトル。正直、あんまりいい詩だとは思いませんが、女性にとっては何か意味があるのかもしれない。ああ、わからんなあ、女って。


男にとっては女が、女にとっては男が、永遠に理解できない存在なのかもしれない。わからないからこそ、惹かれる。異質なものだからこそ、刺激的なのだ。だから、恋愛そのものはなくならない。永遠に。


一瞬の感情が、永遠に刻まれていく。同じ時間は、二度と訪れない。だから、今の時間を大切にしよう。たとえ別れても、その想いはちゃんと残るから。迷うことはない。自分の本当の気持ちに正直であれ。



韓国の人にとっては、これが美しい恋愛のカタチなのかもしれない。でも、それはかつて日本人が通過した過去の世界なのだ。だからこそ、今の日本にふわさしい恋愛映画があっていいと思う。難病モノではなく、ストレートな純愛映画。成熟した国民性が生み出す、ピュアなラブストーリー。


そういう映画を見たいと思います。熟年監督の皆様、若手クリエイターのみなさん、張り切っていい恋愛映画を作って下さい。純粋メイド・イン・ジャパンで。



命短し、恋せよ乙女。はかなく消える、線香花火。少年老い易く、学成り難し。生きているうちに、しっかりと恋愛しておきましょう。 …運命の人は、意外と身近にいるかも?





【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月21日(日) 劇場:T-JOY新潟 15:25の回 観客:約10人

さすがに女性客が多かった。やっぱり、みんな泣くんですねえ。


【上映時間とワンポイント】

2時間14分。中島美嘉の歌も、何だか微妙だったなあ。


【オススメ類似作品】


「Love Letter」 (1995年フジテレビ)

監督・脚本:岩井俊二、出演:中山美穂。岩井監督の、劇場映画デビュー作。ミポリンは、2役を演じています。この映画の彼女は、とっても美しかった。やっぱり、正統派女優の方がいいよなあ。


「人でなしの恋」 (1995年松竹)

監督・脚本:松浦雅子、原作:江戸川乱歩、出演:羽田美智子。新婚ホヤホヤの夫が浮気をし、新妻が嫉妬に狂う映画といえば、やっぱりコレでしょう。ただし、相手は人間ではありませんでしたが…。美形の夫役は、阿部寛。羽田美智子は、この映画が一番美しい。


「嫌われ松子の一生」 (2006年)

監督・脚本:中島哲也、原作:山田宗樹、出演:中谷美紀。男を好きになればなるほど、ますます嫌われていく女の物語。いい女なのに、ここまで嫌われてしまうともはや芸術的レベルです。中谷美紀は、この映画が一番美しい。「ゼロの焦点」では、主演の新妻ヒロスエを、ブイブイ言わせて絶好調!




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2010-03-06

リミッツ・オブ・コントロール

テーマ:洋画

いい仕事をしている男の顔つきは、やっぱり違うもの。 …自分の使命に忠実であれ。



過酷な仕事が一段落したので、ブログに戻って参りました。お待たせしました、ようやく再開です。(誰も待っていないか) 現在、映画のストックが4本あるので、これから順次更新していきます。もうすでに3月に入ってしまいましたが、俺の2月はまだ終わっていないので、よろしければお付き合い下さい。



監督・脚本は、ジム・ジャームッシュ。撮影は、クリストファー・ドイル。衣装デザインは、サビーヌ・デグレ。サウンドデザインは、ロバート・ヘイン。音楽は、日本のロックバンド、Boris。


出演は、イザック・ド・バンコレ、アレックス・デスカス、ジャン・フランソワ・ステヴナン、ルイス・トサル、パス・デ・ラ・ウエルタ、ティルダ・スウィントン、ガエル・ガルシア・ベルナル、ヒアム・アッバス、工藤夕貴、ジョン・ハート、ビル・マーレイ。


さて、映画ですが、不思議でクールで、スタイリッシュな作品に仕上がりました。独特の時間の流れに身を任せていると、イヤな現実もしばし忘れてしまいそう。ああ、この映画の住人になりたい。


独自のコードネームを持って行動する、謎の組織の物語。“孤独な男” が受けた新しい指令は、『…自分こそ偉大だと思う男を、墓場に送れ。』 という内容であった…。



主演は、コートジボワール出身のイザック・ド・バンコレ。細身で眼光の鋭いその風貌は、一目でやり手の男という雰囲気バツグン。太極拳をたしなみ、コーヒーの注文の仕方にもこだわりを持った、寡黙な男。こんなにセリフが少ない主役も珍しいですが、そこがかえって強い印象を生むから面白い。


ヒロインと言えるような女性は、いないみたい。唯一それに近い女性は、パス・デ・ラ・ウェルタでしょうか。彼女のコードネームは、“ヌード”。その名の通り、映画全編を通して、彼女はほとんど服を着ていません(笑)。主人公にあてがわれた女みたいなんですが、『…仕事中は女を抱かない。』 と言われて、ずうっと放ったらかしにされちゃいます。この時点で、彼はゴルゴ13よりスゴい。そして、女として恥をかかされたながらも辛抱強く彼に寄り添う彼女がとっても素敵でした。いい男、いい女であるだけにもったいない…でも、そこがシブい。


日本の工藤夕貴も、堂々とした演技でした。主人公が自分から追いかけた女は、彼女だけだもんネ。もう39歳になりましたが、まだまだ色気バツグンであります。「ポリアンナ」の主題歌を歌ってた頃が懐かしい。大御所ジョン・ハートは年をとりませんなあ。このジイさんは、現在70歳。


その他、色んなコードネームを持った男女が、入れ替わり立ち代わり登場。主人公に謎の暗号を残して立ち去ります。彼らの中には、大物もいっぱいいますが、全員平等に扱われているみたいで、特別扱いはしていないようです。そのバランスがミステリアスで、観客の想像力を刺激していくのだ。無表情で指令を受け取り、次の行動に移っていく主人公を通して、この不思議な空間をさまよっていくのです。



本作は、一般的なわかりやすい映画ではありません。ジム・ジャームッシュの作品を見たことがない人にとっては、異質に感じられるかもしれない。面白くてのめり込むか、退屈であくびがでるか。それはその人次第。


楽しいものを求めて見に行くよりは、何となくついでに見ちゃった、というシチュエーションが望ましいかも。あんまり気合いを入れて行くと、ちょっと肩透かしを食らうことになると思うので。


ジム・ジャームッシュ作品の特徴は、映画全体に流れる “ユルさ” にあります。俺が初めて彼の作品を見たのは、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」でした。途中から始まって、途中で終わるような映画。特別すごいことが起こるわけでもなく、ただ何となく過ぎていくユルい時間。だけど、その異空間が気持ちよかった。


デビッド・リンチ監督より上品で、ウッディ・アレン監督よりお行儀が悪く、リュック・ベッソン監督より大人しく、ウォン・カーウァイ監督ほど力が入っていない。SABU監督が疾走タイプなら、ジャームッシュはお散歩タイプでしょうか。時間の流れをゆっくり味わいながら、面白いことをじっくり考えている人じゃないかと思います。



慌ただしい時間ばかり過ごしていると、自分の居場所がわからなくなってしまう。自分の立ち位置がぼやけてしまう。自分の心の状態が不安定になる。これは、年齢とは関係がない。生きるスピードの問題なのだ。


早く移動していると、急に止まったり、曲がったりすることができなくなる。自分の人生に違和感を感じた時は、少しばかりスピードを落とすべきなのだ。焦って早く片付けようとしても、かえってうまくいかないことが多いから。


この2週間、俺は慌ただしい時間をずっと過ごしてきました。焦りがイライラを生み、イライラが暴走を生む。時間がない。トラブルは起きる。がんばってもがんばっても、ちっとも進まない…ホント、最悪の状態でした。


このままいっても、失敗するだけだってわかってしまい、自然に動きを止めました。そして、ゆっくり深呼吸。俺は今、何をしているんだろう?自分に問いかけて、自分自身がいかに危険な状態であるかを認めました。こんなんで、いい仕事ができるはずがない。今、最初にしないといけないことは何だろう?


そう思った時、やっとこの映画の記事が書けると思いました。エスプレッソコーヒーを飲んで、タバコを深く1本吸う。俺よ、帰って来い。俺の魂よ、俺の身体に戻って来い。



見える部分だけで、全てを判断するのは危険である。人を見る時にも、会っていない時の行動を含めて考えられるだけの想像力が大切である。映画に登場する人物たちの、多種多様なスタイルを、イマジネーションを働かせながら、じっくりと味わいましょう。


いい仕事をする男は、顔つきが違う。小さなしぐさや行動パターンから、その人間性をあぶり出せ。自分にないものは、相手が全て持っていると思え。そして、相手が持っていないものは、全部自分が持っていると思え。それこそが、強大な敵に立ち向かうための極意である。


自分とは何か。自分の最大の武器は何か。それを追求した男こそが、戦いのプレッシャーに耐えられる。そういう視点で見たら、主人公がとてもカッコよく見えたんです。一見ユルい映画ですが、これは、ある意味ハードボイルド映画と言えるかもしれない。



普段はユルユル、ダラダラに見えても、いざという時にパワー全開。それは、ユルユルの時間にすでにスタンバイしているってことなのかもしれない。自分を常にいい状態に保てるように、努力を惜しまないのがプロ。自分のスタイルにこだわりを持つのもプロ。男には、そういう美学が必要なのだ。


自分にとっての最大の敵は、自分自身なのかもしれない。男は誰でも、心の中に獣を飼っている。それは、いざという時に解放される、いわば最終兵器。それをうまく制御できるかどうかが、男の器の大きさになる。


獣を飼いならせ。その時が来るまで。 …それが、自分にとってのリミッツ・オブ・コントロール!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月21日(日) 劇場:T-JOY新潟 12:50の回 観客:約8人

1人客が等間隔で五角形に座ってスタートしてから、途中でバタバタと3人組が入ってきました。


【上映時間とワンポイント】

1時間55分。この時間が早く感じられるか長く感じられるかは、観客次第。


【オススメ類似作品】


「デッドマン」 (1995年アメリカ)

監督・脚本:ジム・ジャームッシュ、出演:ジョニー・デップ。本作の雰囲気に近いものの中では、俺的にはこれがオススメ。冒頭からトリップ感タップリで、ユル~い笑いが込み上げてきます。15年前の映画ですが、ジョニー・デップはやっぱりいい俳優ですなあ。ラストは爆笑でした。一応、西部劇です。モノクロです。


「悪い男」 (2001年韓国)

監督・脚本:キム・ギドク、出演:チョ・ジェヒョン。主演の男があんまりしゃべらない映画といえば、やっぱりコレでしょう。全くセリフがないのかと思ったら、中盤に1回だけありました。そしたら、笑えること。だって…アレなんだもん!


「美代子阿佐ヶ谷気分」 (2009年ワイズ出版)

監督:坪田義史、原作:阿部慎一、出演:町田マリー。ヒロインがヌードばっかりといえば、やっぱりコレでしょう。あんまり美人じゃないところがいい。本作のコードネーム“ヌード”のおねえちゃんも、あんまり美人じゃないところがいい。だから、両者ともエロにならない。裸が普段着なのだ。だから、とっても自然…じゃないか。そこは深く考えちゃいけませんね。




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