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2009-11-30

11月の反省

テーマ:エッセイ

【今月行かなかった映画とその理由】


「PUSH 光と闇の能力者」

行きたかったのですが、行けるようになった頃には終了。仕方なく「スペル」を見ました。ダコタ・ファニングの成長した姿が見たかったなあ。


「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」

映画館に張ってあった宣伝ポスターを見た時は、面白そうだと思ったんですが、予告編がダサダサでアウト。極めつけは、見た人にいちいちインタビューしたあのサイテーの映像ですね。こりゃあ、見たくない映画のブラックリストに入れようと思いました。


「風が強く吹いている」

運動苦手だし、走るの嫌いだし、マラソンも駅伝も大嫌い。どんなにいい俳優が出ていても、これはパス。


「なくもんか」

行くもんか。


「カイジ 人生逆転ゲーム」

ギャンブルが嫌いなのでパス。


「曲がれ!スプーン」

これに行くくらいなら、「PUSH」を見に行くって。ナガサワちゃんも、もうちょっとマシな役を選ぼうよ。


「天使の恋」

ちょっとそそりましたが、劇場が遠いのと時間帯が悪いのとでアウト。


「クリスマスキャロル」

昔の映画を見ているし、「3人のゴースト」もつまらんかったので、この話はもう食傷気味かなあと。


「テイルズ・オブ・ヴェスペリア」

絵柄に興味を感じないのでパス。


「サイドウェイズ」

出演している役者は魅力的なんだけど、題材がイマイチなのでパス。




今月見に行った劇場映画は、全部で9本。おお、がんばったなあ。今年のトータルは、77本になりました。


最近は、どうしても欲しい作品以外は、パンフをあまり買わなくなりました。お金がないせいもありますが、大したこと書いてない場合も多いので。全部ベタベタに褒めている内容ばっかりだと、かえってうさんくさいもの。



自分が思うことを、文章に書き表すことって、簡単なようで難しい。ここは、普段表立って言えないようなことをこっそり書く場所なので、基本的には本音でバンバン書いてます。


しかし、本音すぎると無節操なシロモノになってしまうので、最低限の品性は保ちたいと思っています。あたりさわりのない文章は、誰も傷つけないから無害だけど、それだったら誰にでもできるから、わざわざ俺が書くこともない。でも、マニアックな文章にはしたくない。


できるだけ専門用語を使わないで、わかりやすい一般用語で説明するようにするのが俺のモットー。映画をよく知らない人でも理解できるような文章で表現するのが理想です。実際、伝わっているかどうかはわからないけど。



時々、過去の自分の文章を読み返すことがあります。面白いもんで、自分の書いた記事で笑ったりするんですよね。俺、こんなこと書いたっけ、って。書いた後からどんどん忘れていくんですが、読むと、当時の感情がよみがえる。ああ、そういえばこんな感じだったなあって。


やっぱり、ブログっていいもんです。アナログな日記だったら、完全シークレット文章になるでしょうが、人が読むかもしれないと思うと、それなりの形にしなきゃって思う。その緊張感がいいんですね。


人気ブロガーの人たちは、きっとすごいプレッシャーと戦いながら書いているんでしょうな。俺なんか、気分しだいでポコポコ書いているだけだから、気楽なもんです。やる気があるんだかないんだかよくわからんところがいいでしょ。ずっと書かないと思ったら、突然大量に書く。読まされる方もタイヘンですな。無理して全部読まなくていいですからね。興味を持った記事だけチョイスして読んで下さい。プロの読者のみなさんは、その辺をよくわかってくれているみたいで、非常にありがたいと思ってます。



おかげさまでこのブログは、まだしばらく続けられそう。著者の気分次第で書いたり書かなかったりしますが、その辺はお約束でご理解下さい。体調はあまりよくありませんが、一時期よりは回復していますから。


来月は、毎年恒例の独自なランキング記事を出す予定です。見た映画が少ない分だけ、集計が楽だったりして。いやあ、たくさん見りゃいいってもんじゃないですからね。


記憶が薄れても、心はちゃんと覚えているもの。俺自身が忘れても、誰かの心に何かが残ればいい。そういう文章を書いていきたいな。


現在、いろんなDVDを探検中。まだまだ今年中にやるべきことはたくさんあるぜ。では、12月もがんばりますのでよろしく。




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2009-11-29

スペル

テーマ:洋画

小さな不親切、大きな災難。 …バアさんの入れ歯ミサイルに気をつけろ!


ホラー映画の巨匠・サム・ライミ最新作。“spell” とは、“呪文” あるいは “呪縛にかかった状態” という意味だそうな。原題は、「Drag Me To Hell」。意味は、“我を地獄に引きずっていけ” でいいのかな?


監督・脚本は、サム・ライミ。出演は、真面目で融通の利かない女、汚ねえババア、頼りない彼氏、イヤミな上司、卑怯な同僚、よくわからん霊能者チーム、以上。だって、名前なんかどうでもいいんだもん!


さて、映画ですが、徹底的なバカ映画に仕上がりました。これは笑えます。サム・ライミ監督のサービス精神が爆発した、ウルトラB級ホラーの誕生。 …どいつもこいつも、くたばるまで殺し合え!


主人公は、出世を控えた銀行員の女。彼女は焦っていた。ここで上司にいいとこ見せれば、昇進は確実。ところが、汚ねえバアさんが窓口にやって来た瞬間から、彼女の人生が狂い始めるのであった…。




この映画の見どころは、バアさんのバラエティに富んだ攻撃です。毒舌・首絞め・入れ歯ミサイル。揉み合っているうちに入れ歯が外れ、噛み付いたはずがフガフガ…慌てて入れ歯を装着して、改めてカブ!う~む、とことんバカ映画です。こりゃ、マトモに見ちゃおれんわ。


本作は、ぜひカップルでイチャつきながらご覧下さい。どうでもいいストーリーなので、私語もOKにしましょう。虫がウジャウジャ出る場面や、キモチワルイ場面では、彼女は彼氏の懐に避難しましょう。彼氏諸君は、彼女よりビックリしないようにご注意。恐くないけど、結構驚く場面が多いから。


後は、鬼姑に苦しめられている嫁のみなさんにもオススメしようかな。でも、カタルシスがゼロだからやめといた方がいいか。いやいや、鬼嫁に苦しめられている姑のみなさんに…うーん、どうせならご一緒にどうですか?ケンカの火種が増えるだけかもしれませんが。




こういう映画が公開される世の中って、何だかスバラシイと思います。何も考えなくていいです。ただひたすらに、現実を忘れて楽しみましょう。こいつらが死のうが生きようが、観客の人生に何の関係もありませんから。我田引水・厚顔無恥・自業自得。真面目なあたしがどうしてこんな目に!みんなあのクソババアが悪いんだわ!悪いのはみんな人のせい!ブチ殺せば、全て解決!


ただひたすらアメリカン。日本人は、この能天気さを見習いましょう。予告編で見せ過ぎだったので、ラストは全然ハラハラしませんでした。どうせ観客はバカだと思っているんだろうな。ちゃんと覚えていた自分の記憶力が恨めしい。 …ようし、ジジイになってボケたらもう1回見てやる!


主人公が微妙にかわいくないのも、きっと計算なんでしょう。というわけで、誰にも感情移入する必要なし。ドタバタコントの行方を、最後まで見守りましょう。


しかし、こんなバアさん現実にいるかなあ?これだけ体力あって怪力だったら、土建屋で働けるって。銀行員の女に因縁つけるヒマがあったら、ちゃんと働け、このクソババア!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月28日 劇場:ワーナーマイカル新潟 19:40の回 観客:約10人

俺の前方にいたカップルが、やたらとしゃべっていた。でも、驚き方が面白かったので許す。デュアルショックみたいで楽しかった。彼女より彼氏の方が飛び方が2倍だったような気がしますが。


【上映時間とワンポイント】

1時間39分。スペルというよりは、スベルといったところでしょうか。


【オススメ類似作品】


「エミリー・ローズ」 (2005年アメリカ)

監督・脚本:スコット・デリクソン、出演:ローラ・リニー。悪霊にとりつかれた女といえば、記憶に新しいのはコレ。悪霊そのものよりも、お姉ちゃんの顔がコワかった。ちなみにこの映画を見た後に、娘がエミリー・ローズになりました(笑)。


「ホワット・ライズ・ビニーズ」 (2000年アメリカ)

監督:ロバート・ゼメキス、出演:ハリソン・フォード。こちらは、家に住む悪霊のお話。ミシェル・ファイファーの“自動ドア”の演技が俺のお気に入り。だってその仕草がとってもカワイイんだもん。


「恐怖新聞」 (まんがDVD)

監督:潮永光生、原作:つのだじろう、声の出演:石井正則。傑作マンガの絵柄をそのままに、紙芝居風にまとめた変てこな作品。後半には、除霊の場面があります。この霊能者のお姉さんが魅力的なんだなあ、うっふっふ。




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2009-11-29

クリーン

テーマ:洋画

真っ赤なマフラーなびかせて、女一匹マギー・チャンが行く。 …本気で生きる女は美しい!


親と子の関係は、クリーンでありたいもの。 …邪な心は、純粋な瞳に見破られるから。


カンヌ映画祭で話題の映画が、新潟でも公開。“clean”とは、“清潔な、純粋な”という意味の他に“犯罪歴がない”という意味もあります。監督・脚本は、オリヴィエ・アサイヤス。撮影は、エリック・ゴーティエ。音楽を担当するのは、ブライアン・イーノ、トリッキー、デヴィッド・ローバック、メトリックなど、大物ミュージシャンたちがいっぱい。


出演は、マギー・チャン、ニック・ノルティ、ベアトリス・ダル、ジャンヌ・バリバール、ジェームス・デニス。本作でマギー・チャンがカンヌ映画祭女優賞を、エリック・ゴーティエが技術賞を受賞しています。


さて、映画ですが、生命力に満ち溢れた作品に仕上がりました。見る人によって印象は違うでしょうが、年齢や性別に関係なく、何かを教えてくれる映画だと思います。どう生きるべきかで悩んでいる女性には特にオススメ。


あるロックスターが、ヤク中で志望。妻も麻薬所持で逮捕される。服役して出所した彼女を待っていたのは、厳しい現実であった。ひとり息子は、母親が父親を殺したと思い込んでいる…。




主演は、マギー・チャン。「ポリス・ストーリー」に出ていた彼女も、もう45歳になりました。本作では、直感で行動する女を、力強く演じています。どんな状況でも折れることなく、激しく自己主張していく姿は、ある意味爽快さがある。斬新なヘアスタイルもファッションも、何だかカッコよかった。フランス語と英語と中国語を自在に操り、存在感抜群。すげえ、やっぱり大物女優ですね。


ひとり息子を演じるのは、ジェームズ・デニス。出番は少ないけど、子供なりの微妙な表情が印象的でした。彼の瞳は、静かに何かを語っている。子供は、大人の邪な心を見抜く。だからこそ、親子の関係はクリーンでありたいもの。


マギーの友人を演じるのは、怪女優・ベアトリス・ダル。魅惑的なハスキーボイスは健在。彼女は、マギーと同い年なんですね。先日ご紹介した「屋敷女」が記憶に新しいけど、本作はマトモな役ですので。もう1人の友人を演じるのは、ジャンヌ・バリバール。性格の悪そうな、イヤ~な女っぷりが面白い。


そして特筆すべきは、マギーの義父を演じたニック・ノルティでしょう。クセ者俳優である彼も、もう68歳になりました。やんちゃな義理の娘を、包容力のある深い懐で受け止める男っぷりがシブい。こんなカッコいいじいさんは反則でしょう。はっきり言ってこのポジションは、めちゃめちゃオイシイ。「48時間」でエディ・マーフィと共演していた頃が懐かしいなあ。彫りの深い名演を、どうかじっくりとご覧下さい。


この映画はどんな映画ですかと聞かれたら、逆境に立ち向かう映画であると答えましょう。カップルで見に行くなら、見終わった後にしっかりと語り合いましょう。人間の心の弱さと強さについて。




オリヴィエ・アサイヤス監督とマギー・チャンは、元夫婦の関係。それが、本作にとってはいい効果を生んだのかもしれない…と言ったら失礼になるかな。でも、関係なくはないでしょう。酒井法子をはじめとする今年の芸能人麻薬所持逮捕事件が連発したのも、この映画を公開するのに追い風になったことは間違いないと思う。実にタイムリーな作品なので、これをきっかけにして考えてみましょう。


衝動というのは、抑えきれないもの。俺は考えることが好きな人間ですが、考えすぎると何にもできなくなる。行動しなければ見えない世界があるのは事実。でも世の中には、考えずに行動してしまうタイプの人が数多く存在する。俺は、そういう人がうらやましいと思う。


マギー・チャンの役柄は、直感で行動するタイプ。映画の大半のシーンは、常にイライラしています。前半は、何だかうっとうしいなと思いながらも、後半は応援したくなるような不思議な気分になった。これは、物事に対しての彼女の反応が、常に素直であるからだと思う。小さな嘘はいっぱいついても、大きな嘘はつかない女。というか、つけないのだ、根が正直だから。


彼女は、自分の愚かさを理解している。そして同時に、自分の才能を信じている。だから、苦しくてもあきらめない。あきらめない限りは、絶対に負けていないから。こういう女は強い。弱点をさらけ出せる人間は強いのだ。隠し事をしない分だけ、大胆に行動できるから。


彼女がクスリに手を出したきっかけは、映画では描かれない。そこは、問題じゃないのだ。どうしてこんなことになったのかという過去をほじくるよりも、今どうすべきか、これからどう生きるべきかの方が大事なのだ。彼女の生きる姿勢が、この映画そのものがそう言っているように感じられるんです。




過去の亡霊にしがみついても、前には進めない。だから、本作の主人公は、とにかく前に進もうとする。怒りに震えて自分を見失った後はすぐに反省し、相手を追いかけて謝る。そのしなやかさが、マギー・チャンの演技によってより輝きを増していくのだ。戦う女の必死な横顔は、文句なしに美しい。


本作には、数多くのクセ者キャラが登場します。誰もが、心に闇を持っているもの。そして、そのダークな部分と同じくらい、きれいな部分も持っている。だから、タイトルの「クリーン」は、人そのものではなく、人同士の関係にあるんじゃないかって、俺は思うんです。


俺にも、10歳の娘がいます。父親はマトモな人間じゃありませんが、子供との関係はクリーンでありたい。よくも悪くも、彼女の父親は俺だけなんですから。


世の中には、複雑な事情を抱えて生きている人がいっぱいいる。この映画が、逆境を生きる人たちへの福音となるように祈ります。 …苦しくても、親をやめたらアカンで!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月28日 劇場:シネウインド 16:45の回 観客:約10人

上映途中で映像が途切れるトラブルがありました。がんばってね、I 支配人!


【上映時間とワンポイント】

1時間51分。劇中では、マギー・チャンの歌声も披露されます。じっくりとお聞き下さい。


【オススメ類似作品】


「欲望の翼」 (1990年香港)

監督・脚本:ウォン・カーウァイ、出演:レスリー・チャン。俺がマギー・チャンに初めて色気を感じたのはコレです。彼女がこんなにしおらしい女を演じられるなんて驚きでした。そしてカリーナ・ラウに言い放ったセリフがスゴかった。『…あんた、捨てられたのよ!』 ゾクゾクするような、大人の映画です。もっとカワイイ彼女を見たい人には、「いますぐ抱きしめたい」がオススメ。


「リトルマン・テイト」 (1999年アメリカ)

監督・主演:ジョディ・フォスター。母親と息子の映画というと、これを思い出します。本作の息子の印象は、この映画の彼にも似ているかと。天才ゆえの孤独を描いた、ジョディの監督デビュー作。


「私はうつ依存症の女」 (2001年アメリカ)

監督:エーリク・ショルビャルグ、原作:エリザベス・ワーツェル、出演:クリスティーナ・リッチ。うつ病をテーマにした映画の中では、かなり本格的。本作のマギーと、この映画のクリスティーナが持つ生命力の強さの根本には、共通するものがあるように思えます。冒頭のシーンで、当時21歳のクリスティーナの初々しいヌードが少し映ります。(DVDの字幕をオフにするとバッチリよく見えます)


「アイ・アム・サム」 (2001年アメリカ)

監督・脚本:ジェシー・ネルソン、出演:ショーン・ペン。こちらは、父親と娘の物語。娘を演じるのは、ダコタ・ファニング嬢。父親をフォローする賢い彼女が、何ともキュートでした。中盤の見せ場は、娘にケーキを持って走ってきたショーン・ペンの見事なコケっぷり。素晴らしい!吉本興業真っ青の芸術的なコケでした。これは、映画史上に残ることでしょう(そっちかよ)。



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2009-11-29

僕の初恋をキミに捧ぐ

テーマ:邦画

初恋こそは、一生一度の純愛。 …青い炎を燃やし尽くせ!


お前が行くなよ、と言われそうですが、何だか見たくなったので劇場に行きました。原作は、青木琴美の同名少女マンガ。略して“僕キミ”だそうな。(第53回小学館漫画大賞受賞) 監督は、新城毅彦。主題歌は、平井堅が歌う「僕は君に恋をする」。まぎらわしいなあ、できればおんなじタイトルにしてもらえませんか?


出演は、井上真央、岡田将生、杉本哲太、森口遥子、細田よしひこ、原田夏希、窪田正孝、寺田有希、堀内敬子、仲村トオル。


さて、映画ですが、笑いどころ満載の楽しい作品に仕上がりました。「恋空」以来、このジャンルの楽しみ方を少しずつ体得してきたような手応えを感じます。鋭いツッコミを入れてコキ下ろす人はたくさんいるでしょうが、俺はプラス思考で楽しみたい。大人の恋もいいですが、やっぱり青くさい恋愛は基本ですから。


主人公の繭が好きになったのは、心臓の病気で20歳まで生きられない男だった。8歳で知り合って、お互い成長していくにつれて、死のカウントダウンは迫っていく。果たして、2人の運命は…?




主役の繭(まゆ)を演じるのは、井上真央。TVドラマ「キッズ・ウォー」で前蹴り少女を、「ゲゲゲの鬼太郎2」では鬼太郎より強そうな女を演じ、「花より男子」でイケメン4人を相手にした豪腕女。そうそう、「あんみつ姫」なんてのもありましたな。とにかく、堂々とした肝の据わった女のイメージが強い彼女が本作で演じるのは、何だかかわいらしい女の子でした。おお、これは以外。前半は飛ばしますが、後半はとってもキュート。


原作者のコメントでは、『…井上真央さんは、想像以上に繭の強がりないじらしさを表現して下さいました。』 (ホームページの記事より) 彼女は現在22歳。ええでんなあ、ピチピチギャル(死語)。ちょっぴりセクシーな場面も2つほどありますので、どうかご注目。


限られた命の彼氏を演じるのは、岡田将生。「重力ピエロ」の彼ですね。彼は現在20歳。ほんわかしたつかみどころのない演技は、世の中に染まっていない純粋さが感じられて、本作にとってはプラスでしょう。ただ、病弱な少年がどうやったらこんなイケメンに成長するのかよくわからんけど、そこは少女マンガですから。ファンタGですから。でも、名前が逞(たくま)というのも皮肉なもんですね。


2人の間に割り込む男を演じるのは、細田よしひこ。「デトロイト・メタルシティ」でバンドメンバーだった猫メイクの彼ですな。ポジション的には、及川ミッチーみたいな学園アイドルですが、美しい男かどうかは微妙。そりゃまあ、主人公より目立っちゃイカンもんね。印象としては、黄川田将也を小粒にした感じかと。


逞君の両親を演じるのは、杉本哲太と森口遥子。いかにもといった感じです。繭ちゃんの父親を演じるのは、何と仲村トオル。おっぱいコーチのおっさんですな。彼は、逞君の主治医でもあります。そりゃあ、父親としても医師としても苦悩しますな。


特筆すべきは、原田夏希でしょう。逞君と同じ病院で治療を受けている、年上の女性。彼女が登場した途端のオーラがすごかった。心臓の病気で、ずっと孤独に生きてきた女という雰囲気がビシバシ出ています。現在25歳。オイシイ女優さんですなあ。吸い込まれていきそうな病気オーラがタマらんかった。彼女が、繭ちゃんと逞君にどういう影響を与えるか…そこは、劇場で確認してね。




この映画はどんな映画ですかと聞かれれば、トンデモ映画ですと応えましょう。大きなツッコミどころは10ヶ所以上ありますが、ヤボなことは言いますまい。10代向きの青春レンアイ映画なんだから、大きく構えましょう。何だか、彼らはカワイイじゃありませんか。とても微笑ましい。


これは、やはりカップルで見に行きましょう。女の子同士で行くのもよし。でも、男同士はちょっとね。俺なんか、オヤジ1人だから、ちょっとばかり視線を感じてしまった。カノジョにすっぽかされたんじゃないかって思われたかな?(ザ・自意識過剰)




全てのことには、タイムリミットというものがある。言わば、期間限定。永遠に続くものなんてないのかもしれない。だけど、いつまでも心に残るものは確かにある。それは、時間を超えて続いていく世界。


人間には、喜怒哀楽という感情がある。恋によろこび、恋に怒り、恋に哀しみ、恋を楽しむ。それが繰り返されて続くことによって、深い世界に入っていく。


以前にもお話したように、俺は25歳くらいの時に、遠距離恋愛をしていました。滅多に会えないからこそ、一緒にいる時間がとても貴重でした。だから、限られた時間を大切に過ごしたもんです。時間の長さじゃない。深さなのだ。2人が共有した濃密な世界こそが、心に刻まれるものなのだ。


映画の2人は、とてもよくバランスが取れています。よくも悪くも、これは純愛と言っていいでしょう。子役の2人もかわいかった。何だか、応援してあげたくなっちゃう。




命短し、恋せよ乙女。少年少女の美しい時間は、期間限定だぞ。人を好きになり、恋をすることは、ある意味奇跡の賜物なのだ。自分の心に正直に、素直に行動すべし。


誰にでも、初恋というものがある。まだ人を好きになったことがない人は、これからやって来るかもしれない。いつから好きになるかは、以外と無自覚だったりするもの。気がついたら、気持ちが大きくなっていた、なんてことはよくある。そういう自分から逃げないで、ちゃんと向き合うことが大切。


初恋は、純愛である。それが叶えられた人は幸福である。でも、恋に傷ついて、やっとめぐり合えた人こそが真実の恋かもしれない。簡単に手に入る恋と、届かない恋。実る恋と、実を結ばない恋。どういう結果になるにせよ、相手を心底想う気持ちがあれば、悪い結果にはならないものだと信じたい。


大切なのは、人が決めるんじゃなく、自分が決めるということ。周りが何と言おうと、貫かねばならない恋はあるし、密かに想うのがいい恋もある。くれぐれも、後悔しないように。失敗は、若いうちにいっぱいしておいた方がいいから。


一度も恋をしない人生は、あり得ないと思っています。片思いでもいい。人を好きになる自分の心を愛しましょう。映画を見ながら、本当に好きだった人のことを思い出して下さい。 …さて、心に浮かぶのはどんな相手?





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月28日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 12:30の回 観客:約10人

1人客は俺だけでした。あっはっは。他は、カップルと女の子グループのみ。あっはっは。


【上映時間とワンポイント】

2時間2分。やっぱり女の子は泣くんだなあ。涙もろい人は、ハンカチをご用意。


【オススメ類似作品】


「恋空」 「僕は妹に恋をする」 「世界の中心で愛を叫ぶ」 「砂時計」

どれも、期間限定のウルトラトンデモ映画。この世界にどっぷり浸かりたい人は、片っ端から見なきゃいかんですね。4作品とも、映画熱に記事があります。全然参考にならんけど。




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2009-11-27

イングロリアス・バスターズ

テーマ:洋画

ここまでムチャクチャにやったら、もう誰も怒らんでしょうな。


“inglourious basterds” とは、“名誉なき野郎ども” という意味だそうな。監督・脚本は、クエンティン・タランティーノ。モデルになった映画は、1976年の「地獄のバスターズ」。俺は未見なので、これを語る立場にありません。マニアックな記事を読みたい人は、他のブログへ行って下さい。ここはあくまでも、俺の目線で。


出演は、ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ、イーライ・ロス、ダイアン・クルーガー、ダニエル・ブリュール、ティル・シュヴァイガー、マルティン・ヴトケ。


さて、映画ですが、ブラックジョーク満載の、かなり砕けた作品に仕上がりました。よくわからんけど、何だかスゴかったです(笑)。内容が内容だけに、公開する国によっては一触即発の雰囲気になるかと思いましたが、そこはタランティーノ、しっかりとギャグに昇華。コアなファンも一般人も、肩の力を抜いて、自分の目線で映画を楽しみましょう。


1941年、ナチス占領下のフランスにおいて、アメリカの極秘部隊が投入された。彼らの任務は、ナチスを皆殺しにして、戦争を終わらせること(でいいのかな)。壮絶な長セリフの戦いを経て、不安なクライマックスへと突入していく…。




主演(たぶん)は、ブラッド・ピット。役柄は、イングロリアス・バスターズの隊長。強いんだか弱いんだか、頭がいいのか悪いのか、よくわからんキャラ。華麗でカッコいい彼を見ようとして劇場に行く人は、ちょっと覚悟して下さい。まあ、やんちゃぶりもまた、彼の魅力の1つですから。しかし、面白い役者だよなあ。


とにかく、彼はノリがいい。「カリフォルニア」「ファイトクラブ」の悪ガキがそのままおっさんになったような男。実に呑気に任務をこなしています。戦場で最終的に生き残るのは、こういう男かもしれんなあ。落ち込まない、あまり神経質にならない、直感で行動。そしていつもオイシイ部分をかっさらう。ある意味ヒーロー、ある意味イヤな奴。だから、なかなか死なない。


本当の主演は、たぶんメラニー・ロラン。でも、出番と存在感で比較すると、脇役のような気もする。フランス出身の26歳。美しい女優さんです。役柄は、ナチスに恨みを持つユダヤ人女性。中盤で見せる、寡黙な演技にご注目。微妙にいい表情してます。


ドイツの女優を演じているのは、ドイツ出身のダイアン・クルーガー。あれれ、「ミッシェル・ヴァイヨン」の時はあんなに美しかったのに、いつのまにこんなにアメリカンナイズされてしまったんだろう?きっと、「ナショナル・トレジャー」とか出たのがいけなかったかな。やたらと饒舌なのも、妙にアメリカ女。でも、血だらけの足はセクシー。


特筆すべきは、やはりクリストフ・ヴァルツでしょう。彼の役柄は、“ユダヤハンター”と呼ばれるドイツの大佐。オーストリア出身で、現在53歳。俳優として30年近いキャリアを持ち、ドイツ語はもちろん、フランス語や英語も堪能。言語にこだわったタランティーノ監督の要求に見事に応え、本作でカンヌ映画祭の最優秀男優賞を受賞。


彼はポジション的には悪役ですが、魅力的な“探偵”でした。日本でいうと、古畑任三郎に近いかと。微妙に心理誘導していく語り口が笑えました。いっそのこと、彼が主役でも面白い映画ができるかも。




この映画はどんな映画ですかと聞かれたら、悪ノリ映画ですと応えましょう。デート向きではないので、真面目で大人しい女の子を誘うと、失敗するかもしれんなあ。シャレの通じる、曲者の彼女を誘いましょう。ストレスのたまった人であればあるほど、カタルシスはあるかも。派手な銃撃戦ではなく、セリフのマシンガントークが見せ場。言いたいことを我慢している人にオススメしたい。


トム・クルーズの「ワルキューレ」に比べると、緊張感は薄い。ただ、登場人物がやたらと濃ゆい。全員主役であるとも言えるし、全員脇役であるようにも思える。まあ、タランティーノですから。


いつものことながら、セリフがやたらと長い。その分だけワンシーンが長くなるから、結果的に映画も長くなる。「キル・ビル」にしても、「デス・プルーフ」にしても、長すぎて2本になっちゃった。だから、2本分金を払うことになった。まあ、タランティーノですから。


今回も、削って削ってようやくこの長さなんでしょう。マギー・チャンが出演するシーンは、まるごと削られちゃったみたい。でも、セリフはそのまんまか。おかげで、場面ごとの飛躍がすごい。戦闘シーンも極端に短い。でも、セリフは長い。まあ、タランティーノですから。


「レザボア・ドッグス」「パルプ・フィクション」といった作品でも、セリフ字体が映画のもう1つの主役であった。タランティーノ映画の最大の魅力は、粋なセリフであると言っていいでしょう。映画自体が、彼の説教みたいなもの。だからタランティーノファンは、人の長話を聞く力に長けています。うわっはっは。


ご承知の通り、俺のブログも長いです(笑)。だから、人のことは言えんなあ、あっはっは。大体、オヤジは話がクドいもんです。語れ語れ、自分の世界を好きなだけ語るべし。うわっはっは。(ザ・ごまかし)


話を聞いてくれる人がいるというのは、オヤジにとっては幸せなこと。だから、タランティーノ監督は、とても幸福なポジションにいると思う。でもそれは、彼自らの力で築き上げたもの。レンタルビデオショップで働いている頃から、映画の脚本を書いていた男。出るべくして、出てきた男。映画業界にとって、彼のような男は貴重です。これからも、常識にとらわれずに、新しい娯楽を追及していって下さい。




題材はかなりヘビーだけど、内容はおバカ。ここまでテキトーにやってくれれば、もう誰も文句は言わんでしょうなあ。真面目に怒ったら、「バトル・ロワイアル」に本気で怒った国会議員よりもカッコ悪くなるだろうしね。そこもタラ監督の計算の範疇かな?


天才の考えることは、凡人にはわからない。彼の頭の中には、まだまだ色んなネタがつまっていることでしょう。せっかくだから、これからも暴走し続けてもらいましょう。銃弾を撃ち尽くすまで、マシンガントークしたらいい。


言いたいことはしっかり言う。これは、とても大切なこと。どうせ言うなら、ユーモアたっぷりに、効果的に言う。直球、変化球、豪速球。狙撃、連射、大爆発。使用した弾の数よりも、セリフの量の方が圧倒的に多い。火薬の爆破量よりも、精神爆破量の方が圧倒的に多い。何たって、タランティーノですから。


これだけセリフを吐いても、湯水の如く湧いてくる。 …まだまだ言い足らんティーノ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月21日 劇場:ワーナーマイカル県央 18:10の回 観客:約15人

会社のM先輩と行きました。兵器マニアの彼は、相当怒り狂っていたみたい。ガストでソーセージ食いながら、熱く語り合いました。


【上映時間とワンポイント】

2時間32分。長いです。第1章~第5章まであるので、各章が切り替わる時が、トイレに行くチャンス。


【オススメ類似作品】


「MASH」 (1970年アメリカ)

監督:ロバート・アルトマン、原作:リチャード・フッカー、出演:ドナルド・サザーランド。呑気な戦争映画といえば、やっぱりコレでしょう。ブラックジョークとしても、娯楽作品としても面白くて、高校生の時にレンタルビデオで見て、カルチャーショックを受けた映画。世の中には、色んな世界があるんだなあ。


「カリフォルニア」 (1993年アメリカ)

監督・脚本:ドミニク・セナ、出演:ブラッド・ピット。ブラピの悪ガキぶりが絶好調だった頃の映画。本作を見て、悪いブラピが見たくなった人にオススメ。もっと見たい人は、「トゥルー・ブルース」というTVムービーもあります。共演は、どちらもジュリエット・ルイス。


「パルプ・フィクション」 (1994年アメリカ)

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ、出演:ジョン・トラボルタ。タラ作品の中で、本作に最も近いのはこれかなあと。長セリフの真骨頂は、アフロヘアのサミュエル・L・ジャクソン。チーズバーガーをスプライトで流し込み、聖書を語りながら人殺し。これは、「影の軍団」のパロディだとか。大勢出ていて、誰が主役かわからんところも本作とおんなじです。


「トゥルー・ロマンス」 (1993年アメリカ)

監督:トニー・スコット、脚本:クエンティン・タランティーノ、出演:クリスチャン・スレーター。タラ監督が無名の頃に、ハリウッドに売った脚本を、巨匠トニー・スコットが監督。ヒロインのパトリシア・アークエットが中盤で見せるアクションは、本作よりもカタルシスがある。傷だらけの顔を彼氏に手当てしてもらいながら、タバコを吸う姿はクールだった。いよっ、姉ちゃん、粋だねえ。ブラピは、アホなチョイ役で登場。



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2009-11-23

笑う警官

テーマ:邦画

日本人の男のカッコよさは、簡単にわかるもんじゃない。 …そこがいいのだ。


原作は、佐々木譲の同名小説。出版当初のタイトルは、「うたう警官」だったとか。北海道警察を舞台にした“道警シリーズ”の第1作を映画化。監督・脚本は、角川春樹。監督作としては、12年ぶりだそうです。主題歌を歌うのは、ホイットニー・ヒューストン。


出演は、大森南朋、デスレコード松雪泰子、宮迫博之、忍成修吾、野村祐人、伊藤明賢、蛍雪次郎、加賀丈史、ミスターカップヌードルフォルティッシモ大友康平、矢島健一、大和田伸也、お姉チャンバラ乙黒えり、中川家礼二、平泉成、松山ケンイチ。


さて、映画ですが、見事なオヤジ映画に仕上がりました。出演者の95%以上が男ということもあり、独特の雰囲気になっていて面白い。セリフのない部分で、男の匂いを表現したところが多いので、どうぞお見逃しなく。男を勉強したい人にオススメしたい1本。じっくりと、腰を据えてご覧下さい。


札幌市内のアパートで、女性の死体が発見される。現場に駆けつけた捜査員は、彼女が警察官であることを知る。その直後に、北海道警本部のキャリアたちが次々と到着、現場を明け渡せとの指示。不自然な素早い対応に疑問を持った刑事たちは、独自の調査を極秘に進めていくのであった…。




主演は、絶好調の大森南朋。ニラミをきかせる独特の表情は、すでにマニアックな領域に入りました。彼には、同性を惹きつける魅力がある。年齢に関係なく、男たちをまとめる能力があることを感じさせるその鋭い眼光は、観客を納得させるだけの説得力に満ち溢れています。考える男って、カッコいいですよね。現在37歳。これからますます活躍して欲しい男です。


主人公と行動を共にする女刑事を演じるのは、松雪泰子。男ばっかりの映画なので、実質彼女が紅一点と言っていいでしょう。役柄は、割りと大人しいイメージ。「アナザヘブン」で赤い涙を流すモンスターを演じ、「デトロイト・メタルシティ」では、デスレコードの社長をワイルドに演じた彼女だから、セクハラなんかされても一撃でノックアウトしてくれるでしょう。だから、静かに演じられると、何だかドキドキしてしまいました。


とにかく、男がウジャウジャ出てくるので、1人ずつ紹介していると書くのも大変、読むのも大変。ここはまとめていっちゃいましょう。みなさん、それぞれスバラシかったッス。個別にはそれぞれ中途半端な部分もあるけど、彼らがまとまると、男として機能するんです。そこがカッコいいのだ。


若造、いぶし銀のオヤジ、ズル賢い奴、臆病な奴、気難しい奴、クールな輩…ああ、どれもこれも、男の個性の1つであるように思える。だれが正義で、誰が悪か。そんな単純な図式では割り切れない、リアルな世界がここにある。観客は、自分の頭脳と感性で結論を出しましょう。くれぐれも、見終わってから、あれはどういうことだったの?なんてすぐに人に聞くヤボは避けましょう。その夜くらいは、自分で考えるべし。


「男たちの大和」の時もそうでしたが、どんな演技のヘタな役者であっても、この集団に入れば、何かのスイッチが入る。そういう魅力を感じました。むっさくてハードな現場だけど、妙に居心地がよさそうな空気。限界を超えて戦い抜いた経験のある男なら、きっとわかる世界。


そんなわけで、本作は、“見る人を選ぶ映画”といえるかもしれない。本気で戦う男たちを目の前にしたら、強気な女だって大人しくなる。それだけの迫力を持つ映画です。


さすがは角川春樹、だてにヤクでつかまっていません。実際に警察で取り調べを受けた経験は、彼をより男にさせました。時間をかけて、きっちりオトシマエをつけた男。男にこだわる男。ミスター・男・イン・男。次に逮捕されたら、今度はもっとすげえの作っちゃうぞ!カドカワのオヤジをナメんなよ!…すげえ、警察に本気でケンカを売る映画監督もカッコいいじゃん!




男ってどういう生き物なのか、俺にもよくわからない部分があります。人間らしさ、自分らしさの中間に、男らしさというものが確かにある。男らしいって言われると、やっぱりうれしいものだもんね。


女性から 『…あんた、男らしいね。』 と言われるよりも、同性から 『…お前、男だな。』 と言われる方が俺はうれしい。それって何故なのかわかんないけど、男ってのはそういう生き物なんだなって思う。だから、すごく嫌いな奴と、突然仲良くなったりすることもある。変ですよね、男って。


心の大事な部分は、割りと目立たないもの。自分は男として情けないと思っている人は、この映画を見よう。必ず何か掴めるはずだから。自分に足りないものを吸収しようとする心がある限り、男は成長し続ける。俺はもうダメだと思うか、俺はこんなもんじゃないと思うか。


怒りやストレスは、前に進むためのエネルギー源だ。現場で必死に戦っている男たちに、この映画を捧げたい。世の中キレイ事ばかりじゃないから、ダークな部分を担当する者はどうしても必要。みんながきれいな仕事をしていたら、世の中は回らないのだ。




この映画のもう1つの魅力として、音楽が効果的に使われている点も挙げたいと思います。ジャズを中心とした大人の音楽が、男たちの心情を画面に溶かしていく。男の香りが漂う映画…いいじゃん。


映画を見た後は、馴染みの店に立ち寄って、男を語りましょう。女を追い掛け回すよりも、自分の内面にこだわる時間も大切。酒の香りの奥に、タバコの煙の向こうに、見え隠れする男の世界を楽しみましょう。




これだけ男がいっぱい出てると、それぞれの個性が際立ってくる。同じ人間なんていない。どれだけ男としての魅力があるかで、力関係はコロコロ変わる。年齢や身分に関係なく、心の器で勝負する世界。男にしか通用しない言語もあるし、男だからわかる無言の仕草がある。男ってやっぱり、カッコいい!


本作は、年代や性別によって印象がまるで違う映画になるでしょう。表面的に見てると、いい部分を見逃すかも。 どのキャラも面白くてオイシイ。それはやっぱり角川春樹という男が、人を惹きつける魅力にあふれているということなんでしょう。デカい仕事をする男って、やっぱりスゴいもんです。今回は、いい勉強になりました。「蒼き狼」のことは、しばし忘れましょう。監督も出演者も、いい男っぷりでした。


日本の男のカッコよさは、大国とは違うところにあると思う。わかりにくい部分だからこそ、簡単には理解できないのだ。言葉でサラッと説明できるカッコよさなんて、軽いじゃん。そういう奥深いところで、自分の個性を理解したい。それを人に伝える手段は、きっとたくさんあるから。


自分の立ち位置が、自分の仕事が、男の世界でどういうポジションであるか。男だからこそできること、男である自分にしかできないことは何か。考えてみよう。…男の世界の楽しさがわかってくれば、顔つきも変わってくるものだから。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月21日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 12:00の回 観客:約20人

男の1人客が多かった。 …皆様、今日は男の顔つきで過ごしましょう。


【上映時間とワンポイント】
約2時間5分。R15+なので、15歳以上なら鑑賞できます。あのう、男は全員入れることにしません?ダメ?いいじゃん、アレくらいさあ。せめてPG12くらいにしようよ。


【オススメ類似作品】


「ハゲタカ」 (今年6月公開)

監督:大友啓史、原作:真山仁、出演:大森南朋。大森君に興味を持った人は、これも要チェック。これにもまた、面白い男がいっぱい出ています。本作同様、彼の代表作になるかと。


「L.A.コンフィデンシャル」 (1997年アメリカ)

監督:カーティス・ハンソン、原作:ジェームズ・エルロイ、出演:ケヴィン・スペイシー。角川監督が、本作を撮る時に参考にした映画。’50年代の香りが漂う、ジャズ映画のタッチに仕上げたかったそうです。この映画もまた、男のいい部分が映画を盛り上げました。ラストの銃撃戦に行くまでのくだりが見どころ。


「インサイダー」 (1999年アメリカ)

監督・脚本:マイケル・マン、出演:アル・パチーノ。シブい映画として、これも紹介しておきましょう。先に挙げた「L.A.~」でも活躍したラッセル・クロウの名演が光る1本。苦悩するクロウは、男として感情移入できた。タバコ会社の内部告発をテーマにした映画だけに、タバコの場面が皆無でした(笑)。


「ボディガード」 (1992年アメリカ)

監督:ミック・ジャクソン、出演:ケビン・コスナー。本作でホイットニー・ヒューストンが主題歌を歌ったので、ついでにこれもご紹介。大人の恋愛映画としてあまりにも有名ですが、俺的には、これは男のサムライ映画だと思っています。ラストシーンで銃をぶっ放したケビンの瞳がシビレました。やっぱり男は、ちゃんと仕事しないとね。ただし、依頼人と寝たらイカンよ(笑)。劇中映画に、本物の桑畑四十郎が登場!ちなみに俺は、彼の名を語ったセコいニセモノ侍。えんだ~、いや~、あいるおうるうぇいずら~びゅ~!



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2009-11-22

ゼロの焦点

テーマ:邦画

ヒロスエの、耐えている表情がタマらんかった。 …どうしてあたしがこんな目に!


チャンチャカチャカチャカ、スッチャンチャン、パフ!三遊亭円楽師匠追悼企画、あの人気番組の誕生秘話がついに明らかに。タイトルは、笑点・オブ・ゼロ!…という映画ではありませんのでご注意。(誰も間違えねーよ)


原作は、松本清張の同名小説。監督・脚本は、犬童一心(いぬどういっしん、と読みます)。「眉山」「グーグーだって猫である」のおっちゃんですな。撮影は、蔦井孝洋。音楽は、上野耕路。主題歌を歌うのは、中島みゆき。


出演は、広末涼子、中谷美紀、木村多江、西島秀俊、鹿賀丈史、杉本哲太、崎本大海、野間口徹、黒田福美、本田博太郎、市毛良枝。


さて、映画ですが、格調高いトンデモサスペンスに仕上がりました。もともと原作を知らないし、映画やドラマも未見なので、俺的には充分楽しめました。ストーリーはヒドいけど、キャラで笑えます。何だか、金田一耕助シリーズみたいで楽しめました。


見合い結婚した夫が、式を挙げた1週間後に出張先から失踪。夫の身の上を案じた新妻は、金沢へ向かう。 …彼女が、そこで目にしたものは?




主演は、広末涼子。クレアラシルのCMでデビューしてからもう15年。現在29歳。オイシイ年齢ですなあ。演技の方は相変わらずイマイチですが、彼女的にはがんばったんじゃないでしょうか。与えられた役柄を大切にし、丁寧に演じ切っています。その姿勢は評価されるべきでしょう。オヤジのみなさんは、冒頭の入浴シーンをしっかり見ておきましょう。後半からは急激に存在感が薄くなりますので(笑)。


行方不明になった夫を演じるのは、西島秀俊。ははあ、何考えてるかよくわからんような雰囲気がピッタリですね。彼なら、ふらっとどこかへ入ってしまいそうだ。ただ残念ながら、彼は「蟹工船」同様、熱いキャラを演じられる役者ではないので、淡々といっちゃいました。出番、もっと少なくすればよかったかも。できれば、「神童」くらいのレベルで。


彼の兄を演じるのが、杉本哲太。このおっちゃんもよく出るなあ。役者として存在感はあるんだけど、あんまりバリエーションがないので、何を演じても同じになってしまうのが困ったところです。俺的には、阿部寛と同じジャンルの人。でも、楽しそうに演じてました。


金沢の実業家を演じるのは、鹿賀丈史。悪そうなポジションなのに、ちょっと毒が足りなかった。「野獣死すべし」の頃のキナ臭い感じはどこへいっちゃったかな?松本清張センセイに失礼だから、お行儀よく演じちゃいましたか?もったいないなあ、俺としてはもっとテンション上げて欲しかったけど。


鹿賀の妻を演じるのが、中谷美紀。彼女は、「嫌われ松子の一生」以降、演技に迫力が出てきました。絶好調の33歳。もう何というか、登場した途端に画面を全部持っていってしまう。ものすごいオーラでした。中谷美紀ファンは必見です。ただし、主役より目立っちゃイカンよ。ヒロスエが丁寧に積み上げてきた砂の城を、見事にブチ壊してます(笑)。


鹿賀の会社に勤務する女を演じるのが、木村多江。彼女も、面白い女優さんです。「感染」でオロオロする看護士は絶品でした。本作では、謎の多いキャラとして登場。美紀姉ェほどのオーラはありませんが、何だかドキドキしちゃった。個人的には、ヒロスエ嬢が演じた女より、タエさんが演じた女の方が魅力的だと思います。現在38歳。昭和の格好がよく似合う女優。


ベテラン勢では、本田博太郎が抜群。面倒くさいことに関わりたくないオヤジぶりが笑えました。個人的には、モロ師岡も捨てがたい。彼は、金田一シリーズの等々力警部を演じて欲しい役者さん。市毛良枝は、ヒロスエの母親役。あたたかくて、品のある家庭であることがよくわかりますね。小木茂光は、やっぱり猫のニオイがする。大物では、小泉博も登場。


特筆すべきは、野間口徹でした。彼のポジションが一番オイシイと思う。金沢へ来たばかりで心細いヒロスエを、影でサポートするポジション。頭よさそうで、微妙に悪そう。頼りなさそうで、以外と役に立つ。女性の扱いは、はっきり言ってヘタな役柄なんですが、そこがまた微妙に笑えるんです。いやあ、彼が登場する度にワクワクしましたねえ。





確か、「WSABI」の記者会見で、ヒロスエが感極まって泣いてしまったことがありました。場にそぐわない事態に、どうしたんだろうと思いましたが、何だか印象的でした。感受性が強いのかな、って。


アイドルの作り笑顔は、ある意味演技に近いものがある。でもそれは、仕事が有利に運ぶように、体に染み付いたもの。彼女の場合は、アイドルオーラというよりは、いい子でいなきゃオーラといった印象。周囲の期待に応えようとすればするほど、どう出力したらいいかわからなくなってしまう感じでしょうか。


そういう意味では、彼女は表情が乏しい。「秘密」では、そのぎこちなさがプラス的な効果を生みましたが、30代に王手がかかった今では、いつまでもアイドルしていられないもんね。今の彼女は、自分を表現する手段を確立しようともがいている状態なのかもしれない。その微妙な表情が、本作にとって実にいいのだ。


自分の内面に直結した出力ができれば、女優として大きな第一歩を踏み出せる。本作でそれができたのかどうかは俺にはわからないけど、彼女的には手応えがあったんじゃないかと。それよ、それ。その方向に行って欲しかったんだって。いいじゃん、ヒロスエ。ここにきてようやく本物の女優としてスタートできたんじゃないかって、勝手に感激しちゃいました。もしかして、ここから彼女は面白くなっていくのかも。




つい先日、たまたま深夜のバラエティ番組を見ていたら、ヒロスエがゲストに登場。原稿のないアドリブのトークって、人柄とか性格が出てくるもの。どう演出しても、どううまく編集しても、どこかしらほころびが出るものです。ところが彼女の場合、そういうイヤミがない。何というか、いい意味で無防備なんですね。俗世間に染まっていないというか。


初デート秘話まで披露してくれて、なかなか好印象でした。まあ、売り出そうとする事務所のバックアップもあるんでしょうが、そういうヤラセ指数を差し引いてみても、彼女の本質的な部分に少し魅力を感じました。なるほど、いい意味で世間知らず。それだけ、周囲にしっかりと守られてきたんですね。


今考えると、高倉健主演の「鉄道員(ぽっぽや)」が感慨深い。ヒロスエは幽霊役だったので、ほわんとしたこの世のものでない雰囲気が、画面に合っていたような気がするんですね。これは、ある意味“浮いた存在”である彼女の絶妙な効果があったと言えるのでは…なんて俺は思いました。


ヒロスエの役柄は、世間知らずのお嬢様がトンデモな事態に陥って、自らの判断で立ち向かおうとする女。今の彼女にピッタリですね。やる気は充分感じられるので、作品ごとに成長していく姿を見守りましょう。




純粋に生き抜くことは難しい。がんばって生きても、テキトーに生きても、災難に遭う人は遭うし、お気楽に生きる人もいる。苦難を乗り越えた人ほど人生に厚みが出るものだし、乗り越え方によって、その出来事が自分にとって意味のあるものになっていく。ダークな部分だからといって目を背けるんじゃなく、しっかりと見つめることも大切なのだ。ヒロスエが、谷を乗り越えた女であるかどうかは、劇場で彼女の瞳を見てご判断を。


清張作品で成長し、「ゼロの焦点」で自分をゼロにして昇天させる。ヒロスエの真っ直ぐな瞳は、世の中の矛盾に立ち向かおうとする純粋な光。この表情で睨まれたら、男は悪いことができないぞ。すげえ、これぞヒロスエビーム。焦点を定めて照射される怪光線。…よくも、よくも、あたしを苦しめたわね!


何であたしがこんな目に?あたしの何がいけないの?このままじっとしてなんかいられるもんですか、あたし自身が行動しなくちゃいけないんだわ。自分の足でその地へ行って、自分の目で確かめなくちゃ。そうよ、あたしはそうするべきなんだわ。夫の秘密を、その正体を、この純粋な瞳でしっかりと見なくちゃ!


おのれ、妖獣ナカタニ・キムラ!あたしが主役だっちゅーの。あたしの映画を途中から持っていくんじゃねえ!演技力があるからっていい気になんなよ。 …食らえ、ヒロスエビーム! (註:映画にそんなセリフはありません)




『…愛だけを残せ。』 中島みゆきの歌がエンディングに流れる。人そのものは、いずれ忘れ去られる。だけど、その人が行った大切なものは、人の心に残るもの。作品を愛し、演じる自分自身を愛せよ。心をこめて、作品に愛を残せ。この時代を生きた証しとして。


社会派ドラマは、人間のドラマ。逆境を生き抜いた人間は、打たれ強さが身につく。映画の主人公のその後は、そのまんまヒロスエの人生に重なっていく。涙も怒りも悔しさも、このスクリーンに解き放て。女一匹、女優ヒロスエ。自分の力で、しっかりと生き抜け。


つらい時代を生き抜く女たちよ、必殺技はヒロスエビーム。 …この映画で体得せよ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月16日 劇場:ワーナーマイカル県央 20:10の回 観客:約15人

館内放送で、『…ポップコーン、ソフトドリンクを販売いたしております。』 と言っているのに、売店が無人。これは最近よくある。店員がいなくてパンフ買わなかったこともよくある。今回は見かねてブレザー姿の兄ちゃんに一言言ったら、店員がようやく出てきた。コーヒーを買っていると、俺の後ろにオバチャンたちの列が。…みんな待っていたんですね。こうやって、お客を相当逃がしているんだろうなあ。ここはひとつ、売店のカウンターに呼び出しボタンを設置したらどうでしょう?シネウインドには、チーンていうアレがちゃんと置いてありますよ。


【上映時間とワンポイント】

2時間11分。パンフの表紙、何だかエロいでんなあ。


【オススメ類似作品】


「秘密」 (1999年TBS)

監督:滝田洋二郎、原作:東野圭吾、出演:広末涼子。ヒロスエ嬢の体に、岸本加世子の魂が宿る。うーむ、ロリコンでも熟女でもなく、変てこなプレイですな。ヒロスエが下着を脱がされるシーンは、コーフンしていいのかどうか迷ってしまいました(笑)。でも、オチを聞いてびっくり。これは、2回見たくなる映画かも?


「約三十の嘘」 (2004年角川)

監督:大谷健太郎、原作:土田英生、出演:椎名桔平。この映画の中谷美紀は、女としての魅力にあふれています。特に、後半の涙は美しかった。これはいいオンナです。でもこの後、「嫌われ松子の一生」でメガブレイク。もうこういう役はできんかなあ、と思ったら、「しあわせのかおり」では見事にこの路線を維持していました。すごい。


「感染」 (2004年東宝)

監督:脚本:落合正幸、出演:佐藤浩市。タエさんは、やっぱりコレがいい。どうにもならん病院に、原因不明のウイルスが発生してしまうトンデモホラー。看護士を演じるタエさんのうろたえぶりが絶品です。これは、TVドラマ「振り返れば奴がいる」の松下由樹くらいよかった。本作の彼女は、この映画のキャラが少し入っていて面白い。「ぐるりのこと」よりも、俺はやっぱりこっちの方が好き。




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2009-11-14

ソウ6

テーマ:洋画

死んだ後も、人を殺し続ける男。 …必殺仕置人ジグソウこそが、不滅の殺人マシーンだ!


毎年ハロウィン時期に公開される人気シリーズも、ついに6作目。本作は、第2部の最終章という位置づけだそうな。次々と明らかになる衝撃新事実。前の話をすっかり忘れた人は、予習をしてから劇場に行きましょう。


監督は、シリーズ全作において編集を担当していたケヴィン・グルタート。脚本は、4と5を担当したパトリック・メルトン&マーカス・ダンスタン。創始者のジェームズ・ワンとリー・ワネルの2人は、製作総指揮にクレジットされています。本作の2人の脚本家は、まさに彼らの“後継者”ですね。


出演は、トビン・ベル、コスタス・マンディラー、ベッツィ・ラッセル、マーク・ロルストン、ピーター・アウターブリッジ、ショウニー・スミス。


さて、映画ですが、遊び心タップリのマニアックな作品に仕上がりました。初めてこのシリーズを見る人にはワケわからんでしょうが、ファンにとっては笑える場面も多いので、固定客を狙ったツッコミどころをお見逃しなく。冒頭には一応総集編が出ますが、ムリムリの編集でした。これじゃ、余計に混乱するって(笑)。…もしかして、それも狙い?


ジグソウの“遺産”を受け取った妻ジルは、数字が書かれた封筒を意味ありげに持っていた。新たな後継者と思われた男にも、何やら秘密がありそう。そして、死んだと思われていたあの人も再登場…ううむ、誰だっけ?記憶と照合する間もなく、事態は急展開。…これは忙しいぞ、思い出しながら、新しいことを覚えなきゃ!


この映画に関しては、シリーズの流れや接点ということも考慮して、多少はネタバレ気味な文章になるかと思いますが、ストーリーの肝心な部分には触れませんので、ある程度はご容赦下さい。情報を極力入れずに見たい人は、読まずに映画館に行きましょう。




主演は、またしてもトビン・ベル。このおっさんは3のラストで死にかけて、4の冒頭では死体で登場したので、もういないはずなんですが、あちこちに遺産やら遺言やらを残して、未だに現役の殺人鬼として健在のようです。死んだ後も場を仕切って主導権を握るとは、よほどガンコなジジイですな。犬神家の一族も真っ青。エンドクレジットのトップに出てくることからも考えて、やっぱり彼が主役なんでしょう。トビン・ベルは現在67歳。まだまだやってくれそうですな。


第2部のキーマンであるホフマン刑事を演じるのは、オーストラリア出身のコスタス・マンディラー。サッカー選手から俳優になったらしく、有名なところでは、実写版「北斗の拳」でシンを演じたおっちゃんです。マッチョな体格でマッドマックス臭の漂う男であるだけに、スーツ姿が窮屈そう。ストレス顔がいい感じ。


彼はなんというか、後ろめたい過去があるぜっていう顔をしています。でもそれがどうした、どうせいつか死ぬんだ、その瞬間まで好きにやってやる、というような雰囲気がある。アタマはあんまりよくなさそうだけど、度胸はありそう。微妙に挙動不審な表情も、ナイーブでキュート。…さあ、彼の運命は?


ジグソウの元妻ジルを演じるのは、ベッツィ・ラッセル。このかーちゃんも、悪そうですなあ。キリッとした眉毛に、鋭い眼光が、血の匂いを感じさせます。う~、何と言うSM女王様顔なんだろう。映画の中では、貞節で真面目な女というキャラなんですが、どうもこの女は怪しい。似合う凶器は、やっぱりロープでしょう。彼女がちょっと微笑むだけで、何だかゾーッとしちゃいます。ベッツィは、現在46歳。ええでんなあ。


今回の被害者側の主役を演じるのは、ピーター・アウターブリッジ。やり手のワルといった感じで登場しますが、いとも簡単にキャラが崩れてしまうのがちと残念。もうちょい、骨のある悪党がよかったかな。でも、もしかするとこれも、製作側の意図だったりして。観客自身が、どちら側の人間か迷わせるためとか…。


そして特筆すべきは、アマンダ役のショウニー・スミスの再登場。3で絶命しているのでさすがに生き返りませんが、亡霊としてジグソウとともに現れます。過去の再現場面や、謎が明らかになるシーンでも、今までと違う彼女が見られますので、アマンダファンはお見逃しなく。ショウニーは、現在39歳。オイシイ年頃でんなあ。


ジルを演じたベッツィも、アマンダを演じたショウニーも、特別美人でないところがいい(笑)。存在がリアルだからこそ、感情移入できる。男優もそう。このシリーズは、どこか影があるような役者ばっかりなのだ。だから、誰がいつ死ぬかわからない。こいつは絶対死なないなんて奴はいないのだ。3ですでに主役が死んでるし(爆笑)。



このシリーズのもう1つの魅力は、手作りの殺人マシーン。廃墟ビルに無造作に置いてあるその1つ1つが、実にマニアックなのだ。この映画は、絵に描いたような、キレイな世界じゃない。だからこそ、何が起きるかわからないゾクゾク感があるのだ。漂う湿気、さび付いた金属と血の匂い、無機質な地獄の世界がそこにある。


本作でも、アイディアを駆使した殺人マシーンが登場します。以前ほど多くはないものの、小技の聞いたシステムにご注目。 …キミのお気に入りはどれかな?




ジグソウという男には、歴代映画の殺人鬼にはない魅力がある。それは、最後の引き金を、被害者自身に引かせるということ。生き残る方法を一応用意してあること。そして、彼の哲学である、命を大切にするというテーマが盛り込まれていること。人殺しから、命を粗末にするなと言われて殺されるのもよくわからんが(笑)。


そんなわけで、このオヤジは、自分が人殺しだと思っていない!だから余計に始末が悪い。被害者が自らの手で死んだのだ、ということになっている。その動機は、ファンのみなさんご承知の通りですが、それらを越えたところに、彼の思考の深さがある。彼のセリフの1つ1つに、考え抜いた男の鋭い覚悟が垣間見える。…そこがコワいのだ。


カリスマと呼ばれる人には、人を惹きつけるだけの内容がある。死んでもなお、周囲の人々に影響を与え続けるこの男の正体は、一体何なんだろう?


そして、このオヤジはモテる。病気で半分死にかけても、傍らで必死に看病してくれる女がいる。女同士の嫉妬ビームも熱い火花。ああ、なんてうらやましいジジイなんだろう、何て幸福な最期なんだろう…ってアホか(笑)。


冗談はともかく、男が信念を持って情熱を注いでいる姿って、女性にはどう映るんでしょうね。このシリーズには、女性ファンも多いとか。やっぱり、やみくもにナタを振り回すだけとか、銃を撃ちまくるだけの殺人鬼たちとは、一線を画すんでしょうな。


2のラストで、ボコボコにされたジグソウがニヤリと笑う場面が俺は好きです。腕っぷしの強い相手に勝つ方法は、やっぱり思考力なんだって心底思ったもんです。感動的な名場面でした。このオヤジはすげえ!


ジグソウという肉体は滅びても、殺人マシーンとしての機能は生き続けている。まさに、永久機関。原動力は、人間の情念と、必殺仕置き人ジグソウへの忠誠心。…教祖さま、今日もいい仕事ができますように、ってか。



そして捨てがたいのは、やはりアマンダという女ですな。彼女も、メチャクチャ魅力的なんですねえ。ジグソウの被害者なのに、命を救ってくれた師匠として、献身的に働く健気な女。3で、ジグソウの手術で執刀するために連れてきた女医にも、嫉妬メラメラ…ああ、アマンダの視線がエロい!男の医者でなく、女を選んじゃうところがジグソウのニクいところですなあ、ふっふっふ、俺の命を弄ぶがいい。選択肢は君らに委ねるぜ…うう、何て極悪非道なうらやましいオヤジなんだ!


そのアマンダ、ジルに対しても嫉妬ビーム全開。本作では、アマンダの秘密がついに暴露。ああ、だからこそ彼女は…切ないなあ。哀愁のジャンキー女・アマンダ。マグダラのマリア。安らかに眠れ、アマンダ・ナンマイダ。


いいよなあ、アマンダ。このキャラは、爆発的な人気を生むでしょう。かのアークエット姉妹とも充分張り合える女だと思います。うしろめたいような影のある表情も、情念の炎も、何もかもがはかなく、そして美しい。刺し殺されるなら、彼女のような女がいいなあ。腹をえぐられながら、血だらけになって彼女の唇を奪ってやる!…これぞ、エクスタC!




俺は思うんですが、真面目に生きるだけの人生って、やっぱり無理があるような気がします。無理して真面目にしていると、不真面目な人が許せなくなる。正直に生き過ぎると、嘘が許せなくなる。考え過ぎてばかりいると、何も考えない奴が許せなくなる。そして、窮屈な人生になっていく。だから、心のバランスをとることが大事。


人に厳しく自分に甘い人は、ストレスがたまらない。人に優しく自分に厳しい人は、ストレスがどんどんたまっていく。そりゃそうですね。自分だけ我慢していても、鈍感な周りの人は誰も気がつかないし。そのストレスは、とてつもない力となっていく。


品のない表現になりますが、心のガスがたまってくる、という感覚だと思っていただきたい。たまれば放出したくなるのが人情。だからといって、現実世界で直接暴走していたら、世の中は無法地帯になってしまう。だからこそ、俺にとってホラー映画やスプラッター映画、犯罪映画といったジャンルは、存在意義があるんです。


自分を解放する手段は、いろいろあるから、別に映画じゃなくてもいい。無理に誰かのまねをする必要もない。自分が心底やりたいことを考えればいい。本当にやりたいことっていうのは、自分にとっても回りにとっても気持ちいいことであるはずなんです。たとえ変な趣味であったとしても、人に迷惑をかけなければ問題なし。続けているうちに、そういうお仲間が増えるかもしれないしね。


こうしたらこうなった。じゃあ、今度はこうしてみよう。物事を面白い方向に考えることのできる人には、創造性があります。想像力の乏しい人は、人の気持ちがわからない。他人の痛みを、自分の痛みとして感じることができない。ありすぎても大変だけど、なさすぎると、つまんない人生になっちゃう。だから、磨いていくんです。俺の場合は、映画で磨く。面白さにのめり込んでいくうちに、自然と勝手に磨かれていく。




俺自身がそうなんですが、思考の海に沈んでいく時って、自分が見えなくなっていく傾向があるんです。だから、正気の自分の心に命綱をつけてから、海に潜るのが望ましい。精神的な冒険って、一歩間違うと距離感や方向感覚が曖昧になるから、危険と隣り合わせ。そのくらい恐ろしいものなんです、人の心の世界って。


ものを考えることは、体験を消化していくこと。そして、自分の栄養にして昇華させる。その作業をおろそかにしていると、不純物や毒素がたまって消化不良を起こす。そして、イライラパワーが押さえきれなくなり、暴走していく。理性だけでは、もう止められなくなっていく。


暴走すると、周りが見えなくなる。我に返って、気がついたらとんでもないことをしていた。そういう境界線って、無意識なものなんだけど、訓練して意識できるようになった方がいい。大人しい人がブチ切れる瞬間というのは、そういう意味で恐ろしい。免疫がないから、暴走に歯止めがかからない。


思考するというのは、基本的に楽しいものであって欲しいと思います。深刻な時だけ考え込んでいると、思考するのが面倒くさくなり、次第に恐くなっていく。考えるとロクなことがないなんて、実にもったいない生き方。考える筋肉というのも大事なんです。柔軟に、ソフトに鍛えましょう。ナイーブな部分だから。ここを鍛えると、女の子との会話も楽しくなりますよ。




ジグソウという男は、すごい思考力を持っている。何というか、冷静に暴走している、って感じでしょうか。恨みを晴らすために始めたことが、いつの間にかライフワークに。彼は結果的に殺人鬼になってしまったけど、心はもしかして純粋なままであの世に行ったのかもしれない。方向さえ誤らなければ、違う人生があったかもしれないのに。だけど、奴は間違いなく確信犯。周囲の人物がきっかけになったとはいえ、その引き金を引いたのは、あくまでも彼自身。…ああ、なんて憎たらしいジジイだ!


観客としては、彼にあって自分にないもの、彼の中にはないけど、自分の中には確実にあるものは何かという視点で考えてみるといいかも。思考する男は凛々しく、思考する女は麗しい。姿形ではなく、内面の美しい部分こそが、顔つきや表情、声色や仕草として表れるもの。こういう極端な男を題材として、自分の心を覗いてみてはいかが。




6作目なのに、このシリーズが色あせないのは何故だろう。何度も見たくなるのは何故だろう。シリーズ映画というのは、人気がなくなれば打ち切られる。続くということは、見る者がいるからだ。供給されるのは、需要があるからなのだ。


どうしてそんな映画見に行くの?って聞かれたら、俺はこう答えます。


『…俺の中のジグソウが、見届けろと言っているんだ。』


だから、7作目もぜひ製作して下さい。必ず見に行きます。 …次回は、3Dって本当?





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月12日(木) 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 21:15の回 観客:約15人

昨年同様、スナックBLのT君と一緒に行きました。6番スクリーンだったので、非常にタイムリー。さすがはユナイテッドシネマ。粋なことしますねえ。観客は、カップルが圧倒的に多かった。まあ俺たちも、ある意味カップルかもね。来年は、アマンダっぽい女性もご一緒したいですね。今から募集します。帰りに殺されるかもしれないけど。


【上映時間とワンポイント】

1時間31分。あっという間に終わります。おお、これぞソウ6(早漏)! …ああ、ついに言ってしまった。しょうがないなあ、オヤジって。でも、中身が濃いから許してね。


【オススメ類似作品】


とりあえず、シリーズ全部見るしかないでしょう。…他に副教材なし!





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2009-11-08

ホワイトアウト

テーマ:洋画

南極って、結構賑やかなんですね。 …見ている観客の頭の中がホワイトアウト!


織田裕二が、南極に…キター!っていう映画ではありません。新しい歯磨き粉でもありません。アメリカのグラフィックノベルの映画化です。そのタイトルがもともとコレなんだから、しょうがない。しょうがないから、織田裕二に吹き替えでも頼みますか?やんないと思うけど。


監督は、ドミニク・セナ。出演は、ケイト・ベッキンセール、ガブリエル・マクト、コロンバス・ショート、トム・スケリット。製作は,あのダーク・キャッスル・エンターテイメント。


さて、映画ですが、ヒドい代物に仕上がりました。これは、はっきり言ってバカ映画でしょう。そう思えば笑い飛ばせますが、呑気にポップコーン食って見ていられる映画でもないような…う~ん、少なくとも、デートには向かんでしょうなあ。PG12なので、小学生はダメです。というか、こんなの見せたらバカになるぞ。


南極で、殺人事件が発生(爆笑)。女性警官である主人公と、国連の調査員の兄ちゃんとのセコい意地の張り合いと無用心な捜査ぶりで、状況がだんだん面倒くさくなっていく…。


主演は、ケイト・ベッキンセール。「パール・ハーバー」で選択肢に弱いヒロインを演じた後、「アンダーワールド」シリーズでは、キレイな鎖骨ラインを披露したB級映画の女王。本作のお楽しみとしては、冒頭のシャワーシーンのみ。アップは胸元までですが、曇りガラスの外から全身が映ります。でも別人のボディダブルかもしれないので、そこは想像力で補いましょう。オヤジのみなさんは、そこだけ見たら安心して眠って下さい。




「南極料理人」もけっこうトンデモ映画だったんだけど、極寒のリアルな説明が面白かったのであれはアリだと思う。でもこれは…どうしたもんでしょう。どこまでリアルなのかよくわからん。凍傷になるくらい極寒なはずなのに、あんまり寒さを感じないような…もしかしたら、北海道や新潟の方が寒いのかも。


そうかあ、南極がこんなに暖かいってことは、地球温暖化ってことなんですね。これじゃ、氷もどんどん溶けるでしょうなあ。施設内にいる大勢の人は、半袖のTシャツ着て酒飲んで騒いでいるのが仕事みたいです(笑)。お前ら自身が南極の氷を溶かしてんじゃないのか?


うーむ、これは、ネタ探級のレベルですなあ。さすがに公開中の映画をネタバレするわけにはいかんので、サラッと書いておきましょう。ケイト自身は、それなりに熱演したんですが、もともと演技がヘタなので、そこはしょうがない。だからさあ、せめてセクシーな場面を出そうよ。もう肉体も下り坂になっていくんだから。…え、安売りしたくない。いいじゃん、ケイト大安売り(セール)ってことで。




ホワイトアウトという現象は、雪国ではよくあること。車を走らせている時に急に吹雪いて視界がゼロになる時がある。前方を走る車や後続車がいない時は、自分がどの方向に向いているのかわからなくなる時がある。これは、冬に限らず、山道で濃霧に巻き込まれた時でも起こる。


こんな時は、やみくもに動かずに、その場で止まって視界が戻るのを待つのが確実。無理して動くと田んぼに落ちたり、事故になったりするから。後続者がクラクション鳴らしても放っておけばいい。追い越せるものなら追い越してみろ、お前が落っこちるだけだぞ、って。


だから、本作で頭の中がホワイトアウトになっても、慌てちゃイカンよ。冷静になって、とりあえず思考を止めましょう。ケイトの姉ちゃんがあんなにがんばっているんだから、ヤボなこと言っちゃかわいそうだ。ここはひとつ、ドーンと構えて、彼女の活躍を見届けてやろうじゃないの。


これはおかしい、あれは変だ、どう考えてもアイツが怪しいだろ…まあまあ、観客みんながそう思っているだろうから。わかっていないのは、ケイトだけだったりして(笑)。…ああ、何て健気な女。




チラシのキャッチコピーは、『…南極では、人の良心すら凍りつく。』  確かに、作り手の良心もすでに凍り付いています。


『…2009年、寒く、痛く、息苦しく、最高にエキサイティングな南極体験を、あなたに。』 確かに、寒くてイタイ映画でした。…あっ、そういえば、南極の映画でしたねえ、これって。映画を見ているうちにだんだん忘れていくのは何故だろう?


南極が、いつの間にやらフレームアウト。映画の寒さに、館内もクールダウン。座席で凍りつかないように、みなさん気をつけましょう。 …くれぐれも、凍死しないように。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月8日 劇場:ワーナーマイカル新潟 11:55の回 観客:4人

全員、男の1人客…っておいおい、さっきの組み合わせじゃないだろうな?


【上映時間とワンポイント】

約1時間45分。エンドロールは普通に終了します。早いとこ非難して、ラーメンでも食って帰りましょう。


【オススメ類似作品】


「南極料理人」「南極物語」「南極日誌」「遊星からの物体X」「植村直巳物語」…まあ、本作以外の南極映画ならどれでもいいでしょう。冬山ものでは、「シャイニング」なんかもいいかも。ただし、織田裕二の「ホワイトアウト」はイカンです。原作ファンもホワイトアウトした珍作ですから。これよりは、まだケイト大安売りの方がまだマシかもなあ。DVDが発売されたら、ホワイトアウトツインパックで、500円くらいで売ったらどうでしょう?俺、買わないけど。






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2009-11-08

わたし出すわ

テーマ:邦画

大きな親切、災いの種。 …もらいますか?もらいませんか?


わたし出~す~わ、いくらでも出~す~わ…ってこんな言葉、前に書いたっけなあ。というわけで、あみんの新曲ではありません。でも、シャレで歌ってくれたら面白いと思ったけど。


監督・脚本は、森田芳光。今回は、原作モノではなく、オリジナル脚本。撮影は、沖村志宏。音楽は、大島ミチル。主題歌を歌うのは、辻詩音。


出演は、小雪、黒谷友香、井坂俊哉、山中崇、小沢征悦、小池栄子、仲村トオル、小山田サユリ、ピエール瀧、藤田弓子、永島敏行、加藤治子、袴田吉彦、北川景子…うっわー、すげえ豪華キャスト。


さて、映画ですが、ブラックな笑いに満ち溢れた作品に仕上がりました。これは笑えます。森田監督ってやっぱりスゴいおっさんだと思う。思考の深いところを刺激されました。見る人によってはイライラする映画だと思いますが、俺的には爆笑の連続でした。どちらかというと、玄人向きかも。


東京で成功したと聞いていた同級生の女が、突然帰省し、かつての友達に、次々と大金を渡していく。動揺するものの、断る理由もなく、とりあえず受け取るが…。




主演は、小雪。身長がデカいので、大雪と呼びたいところですが(まだ言うか)、本作では、出演者の身長のバランスがよかったので、全然気になりませんでした。やっぱり、「ラストサムライ」はマズかったって。


小雪の演技力は相変わらずですが、本作は、役柄にピッタリ合っていたような気がします。何というか、得体の知れない空虚感がいい。一般の人と違う目線で生きている感覚…とでもいいましょうか。これって、「回路」で感じたものと似ているかも。彼女を起用するなら、こういう役柄がいいな、個人的には。


同級生を演じるのは、個性豊かな実力派たち。美人度で張り合うのは、黒谷友香。彼女の演技をじっくり見たのは初めてですが、いいですねえ。実に生き生きと演じていました。危なっかしい感じがエロくてよろしい。悪態をつきながらも、心は純粋な女の子…なんてね。小池栄子は、大人しい役柄ですが、顔つきが恐いので、油断できません。う~む、「接吻」の後遺症かなあ。


井坂俊哉は、「砂時計」の彼ですね。こういうナイーブな演技で光る男なんだなあ。山中崇は、ストイックな生真面目さがいい。彼の母親を演じた藤田弓子の効果も絶大。都会のしがらみに疲れたら、ふらっと行きたくなるような、居心地のいい家庭。


そして、特筆すべきは、やっぱり小沢征悦でしょう。彼は、やっぱりスゴい俳優だと思います。「ホタル」を見た時は、真面目な好青年キャラかと思いましたが、「犯人に告ぐ」でガラッとイメージが変わった男。当時の俺のブログを読み返してみたら、『…気持ちいいくらい、キモチワルイ男。』と表現していました。あっはっは、我ながら笑っちゃいました。本作では、主役の小雪といいバランスで演じています。こういう男って、好きだなあ。


他にも、ベテラン俳優がチョイ役でたくさん顔を出していますが、さりげなくていい。さすが、プロの役者たちだと思います。ピエール瀧と、仲村トオルのポジションが特にオイシイかと。


そして、もう1人紹介しておきたいのが、井坂君の愛妻を演じた小山田サユリ。彼女は新潟県出身で、手塚眞監督の「白痴」で主演デビューした女優。本作でも、黒谷友香と張り合うレベルの熱演でした。出番は少ないけど、印象に残る名演技。新潟の観客のみなさんは、彼女にご注目。




この映画はどんな映画ですかと聞かれたら、トンデモ映画です、と答えましょう。決して万人にウケる映画ではないので、オススメしていいものかどうか迷いますが、精神的な面で悩みを抱えている人にとっては、解決の糸口が見つかるきっかけになるかもしれません。物事を表面的にとらえてしまう人や、ハッキリ結論を出さないと気がすまない人にとっては、ムカつく映画かもね。


俺的には、小雪の微妙な表情の中に、主人公の苦悩や優しさがこめられているような気がして、心地よかったです。へえ、小雪ってけっこう魅力あるんだって思いましたね。「ラスト・ブラッド」や「カムイ外伝」の違和感が、本作を見たおかげで氷解。彼女は来月で33歳。これからきっと、面白い女優になっていくかも。




お金というのは、ないと生きていけない。だけど、あり過ぎても大変。お金持ちになったことがないからわからないけど、それなりの苦悩がるんでしょう、きっと。ビンボーな俺にとっては想像もできませんが。


以前は、がんばって働けば、それなりの収入が得られたけど、現在では、働きたくても職がない時代。わずかのお金を稼ぐだけでも、相当な苦労を強いられる。過去の何倍ものエネルギーを消費して、少ない報酬がやっと。そういう時代背景を考えると、本作の主人公の存在は、反感を買うのかもしれない。


貧乏に苦しんだことがある人とない人では、人生観そのものが違う。恋に苦しんだことがある人とない人では、恋愛観が違う。ある部分に恵まれた人は、他の部分で貧しい部分があるんです。俺は、そういう意味では、人間は総合的には平等なんじゃないかって思う。


劣等感の強い人は、ひがみっぽい。人が誉められると、自分がバカにされているような気持ちになる。傷つくのが恐いから、人を攻撃して自分を守ろうとする。理論武装なんて言葉が、一時期流行りましたっけ。




この映画を見て気づいたのは、場面の切り替わる独特の“間”です。ここできっと、何かのやりとりがあったに違いないと思わせるような余白があるんですね。パンフ記事の竹内伸治プロデューサーの言葉では、『…映ってない行間を観客の方々に創り上げてもらえるような映画』 と表現されていました。なるほど、見た人によって印象が違うのは、そういうことなんですね。


普段からモノを考えている人にとって、本作は刺激的な作品であると俺は思います。こう感じなさい、というような上から目線の押し付け映画ではありません。何が真実で何が虚構であるかは、観客が自由に判断していい。そういう意味では、これは成熟した映画であると言えるのではないでしょうか。


大人になると、いろいろと面倒くさいことが増えてきます。だけど、その分だけ心地よいことや美しいことを感じる感性が磨かれていくものです。ある感覚が鈍ると、新しい感覚が開花する。だから、子供でも若者でもおっさんでも、総合的にはやっぱり平等なんじゃないかと。少なくとも、俺はそう思いたい。




「わたし出すわ」というタイトルには、色んな意味が込められているように思います。お金を出すことによって、違うものも出て行く。人が人に向けて出すのは、どんなエネルギーなのか、何を、どんな形で発信するのか。小雪の行動や仕草、佇まいを見ながら一緒に考えましょう。


時間というのは、心の持ち方次第で早く流れることもあれば、ゆっくりと流れる場合もある。時は金なり。お金も、何のためにどう使うかによって、その人の品性が表れるものなんですね。勉強になりました。


大切なものと、大切なこと。どうせなら、お金自身が喜ぶような使い方をしたいもんですね。愛は、お金では買えない。お金がなくては、愛を守れない。そして、お金を使いこなすには愛が必要。


この映画には、終わりがありません。まだ続いています。あんなとってつけたようなラストシーンは、単なる飾りである。少なくとも、俺はそう思う。だって、映画は俺の心の中で続いているから。そのつづきは、映画館から出た瞬間に始まるのだ。


う~ん、やられたなあ、この映画には。いやはや、参りました、森田監督。 …わたし、負けましたわ。(ザ・回文!)





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月8日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 9:15の回 観客:4人

俺を含めて、おっさんの1人客ばっかりでした。中盤で、オバチャンが1人入ってきましたが、すぐに退場。きっと、劇場を間違えたんですね。


【上映時間とワンポイント】

1時間50分。一番爆笑したのは、病室のアレでした。…だって、ショッカーみたいなんだもん!


【オススメ類似作品】


「キッチン」 (1989年光和インターナショナル)

監督・脚本:森田芳光、原作:吉本ばなな、出演:川原亜矢子。「家族ゲーム」「それから」では、松田優作の演技にばかり注目していましたが、本作で初めて森田監督の独自性に気がつきました。映画の持つ不思議な魅力に、当時22歳だった俺の感性が反応したんですね。思い出の1本です。


「サウスバウンド」 (2007年)

監督・脚本:森田芳光、原作:奥田英朗、出演:豊川悦司。痛快爆笑トンデモ映画。ぶっとび男のトヨエツもいいが、妻役の天海祐希が絶妙。彼女がスクリーンで映えたのは、これ1本だけでした。やっぱり、森田監督ってスゴいなあ。


「接吻」 (2006年ジェネオン)

監督・脚本:万田邦敏、出演:小池栄子。本作で脇役だった彼女をもっと見たいと思った人には、これがオススメ。彼女に振り回される男を演じるのは、本作にも登場している仲村トオル。


「百万円と苦虫女」 (2008年日活)

監督・脚本:タナダユキ、出演:蒼井優。金を稼ぐ割りには、欲がない女としては、こんな映画もありましたなあ。俺的に面白くなかったんですが、女性の目線では面白いのかもしれないので一応ご紹介。本作に登場するピエール瀧のおっちゃんも出ています。い~い役で。


「砂時計」 (2008年東宝)

監督・脚本:佐藤信介、原作:芦名妃名子、出演:松下奈緒。主演以外はみんなよかった映画。子役の夏帆ちゃんが見事な熱演をしています。本作に出演している井坂君に興味を持った人には、これもオススメ。振り回される男をナイーブに演じています。そして、子役の池松君のかわいそうなこと!この女、絶対B型に違いない!そして、パンフの手触りはエロい。字体も微妙にエロい!




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