FUJITA'S BAR
2009-07-29

ハリー・ポッターと謎のプリンス

テーマ:洋画

ジイさんとオヤジたちの視線が熱い。 …気をつけろハリー、魔法の杖をしっかり握って戦え!


節約して余ったお金で、月末にもう1本映画に行くことができました。ああ、17日ぶりの映画館。ちょうどいい時間に始まったので、これを見ることになりました。(お前は行くんじゃねえって言われそうですが)


原題は、「Half-Blood Prince」。うーむ、“混血の王子様” かあ、これは怪しい。“ハーフの王子様” にすると露骨にホモ作品になっちゃうから、きっとこういう邦題になったんでしょう。略語表記だと “HP6”。ヒットポイント6ですか…うわあ、ハリー絶体絶命!


原作は、イギリス児童文学作家J・K・ローリングの人気シリーズ第6作。映画も6本目となり、ホグワーツ魔法魔術学校に通うハリー君も6年生になりました。すでに少年ではなく、もう立派な青年に成長しました。監督は、デイビッド・イェーツ。


出演は、ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、マイケル・ガンホン、ジム・ブロードベント、アラン・リックマン、マギー・スミス、ロビー・コルトレーン、トム・フェルトン、ヘレナ・ボナム・カーター、イバンナ・リンチ、ボニー・ライト、ジェシー・ケイブ。


さて、映画ですが、ホモ色たっぷりの妖しい作品に仕上がりました。これははっきり言ってヤバい。映画はいたって普通ですが、妄想力豊かな人が見ると、きっと違う世界を感じることでしょう。


史上最悪の魔法使い・ヴォルデモードとの対決に備え、ダンブルドア校長は情報収集に余念がなかった。彼は、“選ばれし者” ハリー・ポッターにある使命を与える。『…新しく就任したスラグホーン教授の秘密を探れ。』 彼の澄んだ瞳攻撃でメロメロになった教授は、彼を特別扱いにし、夜な夜な濃密な時間を共に過ごしていく。忠実な僕となったハリーは、加齢臭漂うオヤジたちに翻弄されながらも懸命に耐えるのであったが、黒い魔の手はついに彼の白い肌に伸び…ってそんな話じゃねーだろ!


主演は、ダニエル・ラドクリフ。1作目の時のいたいけな美少年も、すっかり大人に成長しました。気のせいか、男の色気も感じます。彼の魔法の杖も、さぞかし立派にたくましく成長したことでしょう。彼を含む主役の3人は、平等に年を重ねているみたいですが、3人のキャラクターそのものは、基本的に変わっていないみたい。まあ、人によって好みに個人差はあるでしょうが、俺はちょうどいいバランスだと思います。


前作から登場したヘレナ・ボナム・カーターがスバラシイ。ユルい児童文学の世界に、ケバケバしい魅力を持った魔女ババアはインパクト抜群。気の小さいコドモは、恐くてトラウマになるかも。さすがヘレナ姉さん、大した貫禄です。彼女が 「眺めのいい部屋」 の美少女だったかと思うと、余計に笑えます。


ハリーの周りにいる女の子たちも、それぞれにかわいくてよろしい。ルーナを演じたイバンナ・リンチは、力の抜けた感じがいい。肝心な時に助けてくれる存在はオイシイ。ジニーを演じたボニー・ライトが、本作の実質なヒロインになるのかな。誠実で芯が通っている女の子。そして、一番笑ったのが、ラベンダー嬢を演じたジェシー・ケイブ。彼女の暴走ぶりは爆笑でした。いいなあ、楽しそうだなあ、魔法学校。俺も通いたい。というか、用務員で雇ってくれ。


本シリーズは、原作を知らなくても、途中から見てもそれなりに楽しめるようになっていますが、ファンにとっては伏線となる場面も多いらしいので、内容を知っている人ほど面白さは増すでしょう。ちなみに俺は、1作目と5作目しか見てません。でも、面白かったですよ。見方間違ってるかもしれないけど。テキトーな気分で見に行ったら、以外にイケてる1本です。もし彼女がファンだったら、積極的に付き合ってあげましょう。




“魔法使い” という言葉には、独特の響きがあります。魔術師とか魔道師とか、色んな言葉がありますが、児童文学ならやっぱりコレでいくべきでしょう。子供の純粋な発想だからこそ、純粋な魔法が生まれるというもの。


人は誰でも、その人にしかない能力がある。その大小によって、背負った使命も異なる。力の強い者であればあるほど、責任も重くなって当然。生半可な心では、使い切れない技なのだ。


人は、理屈では動かない。感情で動く生き物。考えたことよりも、感じたことが行動力の源になる。だから、心そのものが魔法に表れるのだ。心の澄んだ人の魔法は美しいし、心の歪んだ人の魔法は醜い。映画の中でもそういう感じのセリフがあるので、しっかり聞いておいて下さい。魔法学校という舞台であればこそ、学べる真実があるから。


強い力を持った人間には、役割がある。それが何のための強さかは、自分で考える。どう使えば、自分にも周りにも一番いいか。ハリーはきっと、そういうことを考えているんだと思う。そういう顔つきをしているから。張り詰めた緊張感ある横顔は、とても美しかった…あ、ヤバい?


少年から青年になる、ということはどういうことか。少年にはない新しい魅力が、青年にはある。そして、青年にはない魅力が、オヤジにはあるのだ。わっはっは。魅力があるから惹かれるというもの。


オヤジを見る青年の瞳は、純粋そのもの。青年を見るオヤジの瞳は、慈愛そのもの。両者が惹かれ合い、助け合い、一つになることによって、新しい力が生まれる。その愛情の深さと大きさに比例するのだ。結びつきが深く、そして固く、たくましく…あ、もういいですか、はい。


とにかく、美しい心を持った人の魔法は美しいのだ。心の美しさは、行動に表れるのだ。さあ、青年たちよ、己の大切な杖を普段から磨いておけ。そして邪悪な敵が現れたら、ジャキーンと抜いて、しっかり握って戦うのだ。先端は光を放ち、ほとばしる熱いパトスが邪悪な魂を焼き尽くす。伝家の宝刀・ファイヤースティック手に持って、燃えるマグマのハリー・ポッター。 …閃光の剣を振りかざし、未来を切り開け!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月28日 劇場:ワーナーマイカル県央 18:35の回 観客:約8人

パンフ買おうかと思ったら、売店に人がいない。フードコーナーにもいない。チケット売り場とシネマ入り口にしかいない。今日は2人しか店員いないの?この映画館、大丈夫か?つぶれるんじゃないの?というわけで、パンフ買えませんでした(笑)。


【上映時間とワンポイント】

2時間34分。エンドロール終了後に、次回作のお知らせがあります。次は、2部作になるそうな。


【オススメ類似作品】


「御法度」 (1999年松竹)

監督:大島渚、原作:司馬遼太郎、出演:松田龍平。マツタケ映画ではありません。ショウチク映画です。おっさんの中に美青年がいたばっかりに、新撰組はホモ集団になってしまいました。ひらすら爆笑です。豪華キャストで、こんなシロモノを作ってしまう大島監督はオモロイ。確かアメリカ版タイトルは 「タブー」 だったかな。


「ベニスに死す」 (1971年イタリア)

監督:ルキノ・ヴィスコンティ、原作:トーマス・マン、出演:ダーク・ボガード。ペニスではありません。ベニスです。ちなみにペニスで死ぬのはアベサダですな。おっさんが少年に欲情する映画といえば、やっぱりコレでしょう。ちなみにそのおっさんは、作曲家マーラー(笑)。


「太陽と月に背いて」 (1995年イギリス)

監督:アニエスカ・ホランド、出演:レオナルド・ディカプリオ。詩人ランボーの、ホモ恋愛映画。おっさんと青年の組み合わせといえば、やっぱりコレでしょう。中年オヤジが、青年ディカプリオに迫る・迫る・迫る!…お願い、ランボーしないで!




AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
同じテーマ 「洋画」 の記事
2009-07-20

映画熱4周年記念特別企画 歴代映画ランキング ~主役以外はよかった映画~

テーマ:ランキング

さあ、今年もやります。独断と偏見に基づいた、恒例のアホなランキングシリーズ。今回は、“主役以外はみんなよかった映画”。つまり、“主役だけがダメだった映画” と同義語ですな。


コイツが主役じゃなかったらもっといい映画になったのに、って思う作品は多い。ヒットしたかどうかは関係ありません。お叱りは覚悟の上。非難されるのも本望。俺がそう感じたんだから、しょうがない。そういうつもりで、しばしおつき合い下さい。ネタバレも随所にありますので、ご容赦を。


…さあ、覚悟はよろしいか。深呼吸して、禁断の世界へ参りましょう。




1.八つ墓村 (1996年東宝 主演:豊川悦司)


これは、日本映画史上に残るヒドさです。市川監督は石坂浩二でいくつもりだったらしいのですが、東宝側が “若手の人気俳優を使え” と指示。世にも奇妙なトヨエツ金田一が誕生しました。


トヨエツは、絶対犯人顔だと思う。背が高くて、殺気がムラムラ。俺はちゃんと劇場で見たんですが、見ている間ずっと、奴はニセ者だと思ってました。クライマックスでイシザカ金田一が登場して、ニセ金田一との頭脳バトルが始まるんだとばかり思っていたものです。しかし…そのまま終わっちゃった。


これだったら、松竹版の寅さん金田一の方がまだマシだった。こっちは完璧なホラー映画で、変な手が映る場面も話題に。あれはあれで面白いんだけど、できれば市川・石坂コンビで実現して欲しかったなあ。トヨエツが悪いわけじゃないんだけど、心の底から惜しいと感じています。


「八つ墓村」 という作品は、やっぱり祟られているのかもしれませんね。死ぬまでに、最高の仕上がりの 「八つ墓村」 を見てみたい。狂気と情念がほとばしる、パワフルな製作陣の出現を望みます。若手監督のみなさん、がんばってね!




2.E.T.(1982年アメリカ 主演:謎の宇宙生物)


E.T.って本当にカワイイの?俺は、絶対キモチワルイと思います。どうしてこんなにブサイクなデザインになってしまったのか未だに謎。「グレムリン」 はまだマシだったけど、これはいくらなんでもヒドい!


直感的に、江戸川乱歩の 「芋虫」 を連想しました。それだったらイケてるかもしれないけど、この造型はマヌケ過ぎるでしょう。吉田戦車の 「いじめてくん」 より殺意が込み上げてくるような…あ、さては兵器か?


捕まりそうになったら、さっさと撃ち殺されてしまえって思いました。空を飛ぶシーンでは、早く落ちろと思いました。だからこの映画、感動どころじゃなかったッス。ビデオ発売した時の宣伝文句は、“世界中に愛された映画” だった。大丈夫、絶対そんなことないと思います。


E.T.なんて絶対かわいくない。こんな宇宙人がいてもいいけど、魅力はゼロ。お前なんか、さっさとゴーホーム!わっはっは、ついに言ってやったぞ、ざまあ見ろ。日野日出志の 「地獄少女」 「毒虫小僧」 の方がずっとかわいいぞ。どうもスピルバーグは、宇宙人のセンスがよくない。「宇宙戦争」 でタコを登場させなかった罪は重いぞ!




3.模倣犯 (2002年東宝 主演:中居正広)


宮部みゆき原作の傑作小説の映画化。山崎努のホモオヤジぶりが絶品。津田寛治の怪演ぶりが素晴らしい。これは骨太な面白さでした。で、この映画の主役って誰だったっけ…はあ、中居君ですか。いたっけかなあ、そんな人。


あ、もしかして、出番とセリフがやたらと多かったあの脇役ですか?あんなにいっぱい映っていたのに、存在感がゼロでしたねえ。彼なりに熱演したんだろうけど、空回りでしたねえ。彼はやっぱり、TVドラマの方が映えるんじゃないのかな。




4.武士の一分 (2006年松竹 主演:木村拓哉)


わっはっは。これで日本中の女性を敵に回すことになりましたな。だって、これもヒドかったんだもん。山田洋次監督は名匠だけど、これはアカン。キムタクが登場した時点で、時代劇コントかと思いました。彼が画面に映った途端に吹き出してしまったのは事実です。


アイドルオーラというのは、本人が自覚していない部分で出てしまうものなのかもしれない。注目したのは、盲目になってからの、目を閉じた演技。でも、やっぱり消えなかった。「アイス・キャッスル」 みたいにはいかんもんですな。キムタクとしてはがんばったんじゃないかって思うけど、映画が貧弱になってしまった。これもやっぱりTVドラマの方がよかった。年末時代劇なら高得点だったでしょう。


とにかく、何から何までコントでした。壇れいの中途半端な色気が、それに水をさす。笑いをこらえるのに必死で、感動するヒマがありませんでした。彼が武士であると感じた時間は、一分もなかったなあ。




5.隠し剣 鬼の爪 (2004年松竹 主演:永瀬正敏)


主人公の侍が貧相で、ヒロインの使用人が顔パンパン女。いけませんなあ。主人はロクなもの食ってなくて、使用人はいいもの食ってそうな松たか子。この組み合わせは最悪でした。


内容がどんなによくても、最後まで気になってしょうがなかった。身分違いの恋ってのは、そういう意味だったか?




6.海猫 (2004年東映 主演:伊東美咲)


アイドル女優のイトーミサキさん、もうちょい何とかならんかったか。佐藤浩市と中村トオルという男に挟まれての三角関係というオイシイ役柄なのに、フツーにテキトーな演技レベルなんだもん。こりゃあ、シラケるわな。


この映画には、情念が必要だと思う。孤独で居場所がない女が、こんなに淡々としてるか?2人の男に惚れられる役だけど、彼女にそんな魅力があるか?個人的には、脇役の小島聖の方が何倍も魅力的だったぞ。


たぶん彼女は、罰ゲームで主演したんでしょう。すごくイヤそうに演じていたように思う。やる気が全くなかったことは間違いない。エンディングテーマのMISIAの歌が、余計に哀しかった。…映画をナメんなよ。




7.瞳の中の訪問者 (1977年ホリプロ 主演:宍戸錠)


何と、ブラックジャックが宍戸錠!しかも、髪の毛が白なのはともかく、移植された顔の皮膚が緑!ぎゃあ、肌が腐ってますよ、先生!黒人の少年からもらった大事な形見なのに!


それにしても、ゴツいブラックジャックだなあ。まさに、マルちゃんの緑のたぬき。後半は先生の出番がほとんどなかったのに、あの姿がいつまでも残って、ずっと画面に映っている感じがしたものです。ああ、青春のトラウマ映画。


まだ、加山雄三とか、本木雅弘とか、隆大介の方はマシ。…でも、このおっさんは許せん!




8.本陣殺人事件 (1975年ATG 主演:中尾彬)


何と、金田一耕助が中尾彬!それはいいんだけど、ヒッピー風ってどうよ。ジージャンにジーンズに、赤バンダナってどうよ。まさに、通りすがりの名探偵ってか。


絶対、こんなぶっきらぼうにヒロインが心を許すはずがない。…やっぱり、コイツが犯人だ!トヨエツ、何とかしろ!




9.ドラゴンヘッド (2003年アミューズ 主演:妻夫木聡、SAYAKA)


特撮はスゴかった。山田孝之のイカレっぷりもよかった。でも、主役の2人がダメです。妻夫木君は、特徴がなさすぎてアウト。原作のイメージがどうなのかはわかりませんが、映画としてショボい。サミシイ。一番生命力なさそうに見えました。絶食で喉カラカラで、たどり着いたコンビニで、とりあえずペットボトルのお茶を手にしてしまったのが笑えました。…あんまりひもじくなかったんですね、っていう印象でテンション下がっちゃった。


で、もっとイカンのがSAYAKA。さすが、「アルマゲドン」で無理矢理ブルース・ウィリスと “共演” した某アイドル歌手の娘だけのことはある。これで “熱演” とは噴飯モノです。餓死寸前の女が、頬っぺたパンパンなのはどういうことだ!…キサマ、みんなに黙ってまんじゅう食ってたろ!


だからこの映画、主役だけCGで消して、背景だけでプロモにした方が映像的にシュールかもしれない。「千と千尋の神隠し」 のエンディングみたいに。せっかくオープンセット作ったのに、もったいない映画になっちゃった。




10.日本沈没 (2006年版 主演:草彅剛、柴崎コウ)


この2人が主演、というだけで俺が沈没しました。映画は沈没したまんま、最後まで浮上しませんでした。何でこんなヒドいキャスティングになっちゃったんでしょう?クサナギは貧相でやる気ゼロのキャラ。シバザキは、一日自衛隊員のアイドル風。戦っているというオーラが、まるでない。田舎のファッションショーじゃないんだからね。


ミッチーはカッコよかった。福田ちゃんは美しかった。トヨエツ博士のイカレっぷりも見事。でも、主役がダメ。だからこの2人は、“出番のやたら多い脇役” という位置づけにしましょう。 …どうせなら、ミッチーを主役にしろ!




11.予言 (2004年東宝 主演:三上博史)


つのだじろうの傑作マンガ 「恐怖新聞」 の実写映画化。青スジ俳優・ミカミの強烈な演技力が、血管と同じく浮きまくり。見ている方がキモチワルくなる怪演ぶりに、もはやすでに悪霊と化していました。やっぱり彼は、ポルターガイスト役の方がよかったと思います。存在そのものが、充分過ぎるほどやかましい。


わざわざ恐怖新聞読まなくても、たぶん彼はすぐに寿命を使い切って死ぬでしょう。




12.着信アリ (2003年東宝 主演:柴崎コウ)


今さら言うまでもありませんが、コワモテの彼女がいくら大げさに恐がっても、映画の恐怖度はゼロに等しい。題材は面白いし、死体愛好家の岸谷五朗の怪演もメガヒット。堤真一の探偵キャラは、京極堂シリーズの前にこれがあるから興味深い。オバケのみなさんもなかなか魅力的でよろしい。 …ホントに、主演以外は素晴らしい映画でした。




13.ドラえもん のび太の恐竜2006 (2006年東宝 恐竜の声:神木隆之介)


のび太が飼うことになるフタバスズキリュウ、ピー助の声がダメです。中学生の声変わりした声で、『…ピューイ!』 ってマンガ原作のフキダシそのまんまを発音…ムチャクチャなセンスですなあ。家族で見に行った時はそれなりに感動もありましたが、時間が経てば立つほど、あの耳障りな神木ピー助のキモチワルイ声が残ってしまう。映画は素晴らしいのに、もったいない。…うぜーよ、クソガキ!




14.ガンヘッド (1989年東宝 主役メカ:ガンヘッド)


1/1スケールで作った巨大ロボットが登場する、前代未聞の特撮SF映画…はいいんだけど、肝心のロボットがイマイチカッコ悪かった。たぶん、すごい予算をかけたんだろうけど、巨大感を感じたのは、撮影現場にいた人たちだけだったりして。アナログの迫力を出したかったのはわかるけど、映画なんだからミニチュアでも大丈夫だったと思います。でも、作りたかったんでしょうね、アレ。やっとの思いで動いているような、ポンコツ感がたまりませんでした。しかし、あのデザイン、もうちょいどうにかならんか。




15.高校教師 (1993年 東京放送 主演:唐沢寿明)


TVドラマがヒットしたので、慌てて製作された劇場版。ヒロインの遠山景織子はよかったけど、主演の唐沢寿明がダメです。はっきり言って、人間が強すぎる。繊細な弱い心を共有して支え合う切なさが魅力だったTVドラマに対して、この映画はマッチョ過ぎる。これじゃあ、ヤクザ映画とおんなじ。世の中にイラついたチンピラ教師が、教え子に手を出して奴隷にしていく…そしてきっとそのうちに、ヒラメ貼りとかスケノジ貼りプレイとかする気だろ!




16.ホワイトアウト (2000年東宝 主演:織田裕二)


真保裕一の原作はあんなに面白かったのに、映画になったら何だか変てこでした。これもさっきと同じ理由で、主演がマッチョ過ぎるんですね。無力な男が勇気を振り絞って懸命にがんばる姿がカッコいいのに、彼を主役に起用した時点で、何だかやれそうな感じがしてしまったのがイカンかったらしい。原作を知らなかったら、それなりに楽しかったのかもしれないけど。松嶋菜々子の色気ゼロの演技が、それに拍車をかけています。あんなにワクワクした冒険物語がこんな無残な姿に…ああ、俺の頭がホワイトアウト。




17.敬愛なるベートーヴェン (2006年イギリス・ハンガリー合作 主演:エド・ハリス)


邦画ばっかりになってきたので、たまには洋画にも目を向けましょう。この映画、内容は面白くて素晴らしいし、ヒロインのダイアン・クルーガーも美しい。主演のエド・ハリスの演技も申し分なし。じゃあ、何が問題かというと、彼の髪型です。キング・オブ・ハゲのエドにロン毛のヅラ被せちゃイカンよ。これは、見ている観客の方がアタマがムレる。


映画を見ている間中ずっと、微妙にイライラしてしまいました。エドを起用するくらいだからきっと、ベートーベンは実はヅラでした…なんてオチがあるんじゃないのかと変な期待しちゃったじゃねえか!ハゲが魅力の男に無理矢理ヅラ被せるのはやめましょう。人権侵害だ。「12モンキーズ」 のブルース・ウィリス、「リボルバー」 のジェイソン・ステイサムしかり。「武士の一分」 のキムタクと同様、コントになっちゃうよ!




18.トレーニング・デイ (2001年アメリカ 主演:デンゼル・ワシントン)


俺は、この映画がキライです。デンゼル・ワシントンは名優であり、数多くの傑作があることも認めます。しかし、この映画はイカン。役柄は、汚職刑事。相棒のイーサン・ホークを通して彼の謎を暴いていくんですが、彼というキャラはどうしても、根っからの悪人に見えないんです。


真面目な男がワケありで悪の道に進んでしまうというのならわかるんですが、最初から悪者でした、っていう結論には納得できない。彼は、そういう目をしていない。これは、ウソの演技だ。映画の中ではそこまで踏み込まなかったから、せっかく彼を起用したことがかえってマイナスになってしまったと思うんです。


デンゼルも、演じていておかしいと気づかなかったのか?この映画で彼は、悪役という新境地を築いたとしてオスカーを受賞しました。何だか、俺は虚しくなりました。彼のスタイルは、何も変わっちゃいない。「アメリカン・ギャングスター」 を見て、そう確信しました。彼の正義の瞳は、持って生まれた天性のものです。本気で悪役やりたいなら、もっと自分の心を鍛えるべし。そのオスカー像に恥じないように、いつか本物の悪役ぶりを見せて欲しい。


俺ももっと、映画を見る力を鍛えたい。俳優のいい演技をしっかり見たいから。いい映画のよさを理解できるようになるまで、自分の心としっかり向き合おう。日々これ精進。 …毎日が、トレーニング・デイ!




19.ISOLA 多重人格少女 (2000年角川 主演:木村佳乃)


謎の少女役は、黒澤優。彼女、いけませんなあ、最初っから怪しすぎる。登場した時点で、すでに3人くらいブチ殺しているような雰囲気。この時点で、映画がアウトでした。黒澤監督の孫だろうとそんなのカンケーねえ。女優やる気あるなら、もう1回顔洗って出直して来い!そして、主演が木村佳乃ときたもんだ。ホラー映画のヒロインに、鉄仮面女優はご法度でしょう。おかげで、映画の盛り上がらないこと。原作はあんなに面白いのに。




20.コブラ劇場版 (1982年東宝 声の出演:松崎しげる)


最後は、アニメで締めましょう。悪名高い、マツコブラの登場です。TVシリーズの野沢那智のスバラシイ声を知っているファンにとっては、さぞかしショックだったことでしょう。「噂の刑事トミーとマツ」 のマツですから。


彼の声は、はっきり言って下品です。コブラという男は、三枚目という役柄ですが、独特の気品がないといけない。マツコブラは、ただのチンピラである。ゴロツキの、宇宙海賊。こんな男に、女が命を託すか?愛を感じるか?思春期の俺が見ても、これはオカシイと思いました。これは、コブラじゃねえ!


アニメーションなのに、テキトーなアイドルを起用した安い実写映画を見ている気分になりました。お前にサイコガンは撃てねえよ。コイツはニセモンだ。みんな、ダマされるんじゃねえぞ!


コブラは最近、DVDでシリーズ化されています。声は野沢那智が担当してホッとしましたが、エンディングテーマを歌うのは、マツコブラ。うーむ、しつこい野郎だ。虎視眈々と主役の座を狙っているな、キサマ。おいコブラ、こんな奴に負けるんじゃねーぞ。敵は多い分だけ、味方もいっぱいいるぞ。俺はあんたを生涯応援するぜ。あんたこぞ、本物のコブラだ。これからも伝家の宝刀、本家サイコガンで、世の中の闇を吹っ飛ばしてくれ!





以上、20作品を紹介しました。まだまだ挙げられそうですが、疲れたのでもうやめます。つまんないと言いながらも、しっかり見ている自分が何とも笑えます。


また何か思いついたら、企画しようと思います。今日は、これまで。




AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
2009-07-19

ノウイング

テーマ:洋画

知らぬが仏、知れば地獄。 …どうしようもないなら、ホットケ。


昨年の年末に静止したかと思ったら、今度は消滅だそうです。地球って結構忙しいんですね。 “knowing” とは、“全てを知っているような、わかったような” という意味らしい。(アドバンストフェイバリット英和辞典より)


監督は、アレックス・プロヤス。出演は、ニコラス・ケイジ、ローズ・バーン、チャンドラー・カンタベリー、ララ・ロビンソン、ベン・メンデルソーン、ナディア・タウンゼント。


さて、映画ですが、血ぬられたトンデモ作品に仕上がりました。驚愕のラストに観客の頭も大噴火。身も心もかき乱す、ナンジャコリャ・ディザスタームービー。すごいものを期待して見る人は、それなりの覚悟をして下さい。俺の視点では、ワクワクしたことがかえって災いになりました。…さんざん引っ張っておいて、そりゃねーだろ!


50年前の子供たちが埋めたタイムカプセルを掘り出したところ、意味不明の数字の羅列がびっしりと書き込まれた1枚の紙があった。それを手にした子供の父親が宇宙物理学者だったこともあり、興味を持って暗号を解読し始めたところ、驚愕の事実が浮かび上がった…。


主演は、ニコラス・ケイジ。「NEXT」 でトンデモ超能力者を演じたのが記憶に新しい彼ですが、今回は超能力ではなく、心に傷を持つ宇宙物理学者。苦悩する男を演じさせたら、彼は天下一品。「ナショナル・トレジャー」 とカブりそうですが、微妙にキャラが違うので混同しないようにご注意。


彼の息子を演じるのは、チャンドラー・カンタベリー。「ベンジャミン・バトン」 で8歳(いや、72歳というべきか)のブラピ少年を演じた子役だそうですが、よく覚えてないなあ。特別美少年でもなく、憎たらしくもない。どこにでもいそうな、特徴のない子供であることが、本作では重要なのかもしれないけど。


“自動書記児童” ルシンダを演じるのは、ララ・ロビンソン。おお、この少女はあやしい。俺が子供だったら友達になりたいような雰囲気がある。出番は少ないけど、印象は抜群でした。他の出演者はまあ、どっこいどっこい。


アレックス・プロヤス監督は、エジプトで生まれて3歳の時にオーストラリアに移住し、シドニーの映画学校に17歳で入学したそうな。そのせいか、本作にはオーストラリア出身の俳優がいっぱい。きっと、演出がしやすいんでしょうね。“出エジプト” 監督であるだけに、宗教的な香りもプンプン。


彼の代表的な作品といえば、やっぱり 「クロウ」 だと思います。続く 「ダーク・シティ」 もスタイリッシュで面白かった。しかし彼の作風は、B級映画テイストだからこそ映えるような気がするんですね。大作 「アイ・ロボット」 なんかもわりと人をおちょくったような雰囲気があったから、きっと本作も、何か仕掛けがしてあるんじゃないかと。


そんなわけでこの映画は、SFなのか宗教なのかよくわかりません。そんなに難しい話でもないので、アタマを酷使することもないでしょう。ただ、映画を表面的に見ると、つまらん話だと思う。映画を見た後で、何故このような結論になったかを考える方が楽しい。だから、知的な会話ができる友達か恋人と一緒に行きましょう。




事故や災害などで、一度に多くの人が死ぬことがある。そんな時、被害者の遺族は誰を恨めばいいのか。どうして愛する人の命が奪われてしまったのか。生涯にわたって、答えのない自問自答が繰り返される。


本作の主人公は、過去に災害で奥さんを亡くしています。その思いが、彼の行動を生み出す原動力になったことは間違いない。学者としての知識を総動員して、命懸けで奔走する姿が、とても痛々しかった。そういう意味でも、ニコラス・ケイジのキャスティングは効果的と言えるでしょう。


ちょっと前までは、ノストラダムスの大予言なんていうブームがありました。1999年に地球が滅びると言っては騒いで、TVでも特集番組が組まれていたものです。学者や易者、研究家たちの話を聞きながら、見ている側は思ったもんです。 …お前ら、地球がそんなに滅びて欲しいか?


どいつもこいつも、知ったかぶりのノウイング。したり顔で、エセ評論家で、マユツバ理論で、テキトーなインチキ野郎。そう、このブログもおんなじ仲間です。俺はニセ者の田舎侍。こんな男の言うことを、マトモに聞いちゃいかんよ。考える材料は提供するけど、結論は自分で考えてね。




予言というのは、なかなか始末が悪い。あいつは死ぬ、なんて言って本当に死んだら、お前が殺したんだろうって疑われちゃう。ハズレたらそれはそれで、アホ扱いされる。占いも、遊びの範囲でやるのがよろしい。ヘビーな結果が出るのはご法度。


同じ予言でも、神のお告げになると始末が悪い。この場合は、“預言” と書けばいいのかな、言葉を預かるという意味で。日本では宗教心うんぬんはあまり気にしないところがあるので、言葉のインパクトとしては弱い。だから、神がかり的な存在…といったものは、どうもうさんくさく感じてしまう。


本作に登場するのは、旧約聖書のエゼキエル書。旧約預言書中では最も整ったものであり、その骨子はエゼキエル自身であると言われているくらい、影響力のある書物だそうです。(「新共同訳聖書 聖書辞典」より)


そんなわけなので、ユダヤ教やキリスト教信者にとってはセンセーショナルな展開であり、数学者や歴史学者にとっても興味深い内容になります。ただ、一般人にとっては、物語は単純ながらも、難解になってしまう側面がある。


科学的に考えたら、そんなもんか。宗教的に考えたら、あら、そうなっちゃうの。一般的に考えたら、うわー、そんなんありかよ。ってなところでしょうか。 …うーん、これ以上は言えない。


つまり、ハッピーエンドなのかどうか、見る人によってまるで違う映画と言えます。もしかしたら、それこそがプロヤス監督の狙いなんじゃないかって、俺なんかは思うんです。 『…どうだ、お前らの望むように作ってやったぞ。これで満足か?』


人の命は、地球より重いとか、人が人の命を奪う権利などない、と普段言っている善人たちは、この映画を見てどう思うでしょう?理不尽だと言って怒りますか?人なら犯罪でも、神なら正義の裁きですか?それとも、運命だから仕方ないって達観しますか?


俺は、運が悪かったとしか言えません。間が悪かったとしか言いようがありません。人の生き死には、誰が決めるのかわからない。死ぬ時は死ぬ。生き残る奴は生き残る。ただ、それだけのこと。考えてもわかんないし、どう行動してもダメなら、とりあえず放っておくしかないじゃん。


自分は正しいことをしているから大丈夫、なんてことは絶対にない。聖書の神なんて、血の気が多いんだぞ。生きる権利があろうとなかろうと、生きていられること自体が幸運だと思っていい。今こうして無事でいられることがありがたいのだ。だから、今日の命に感謝すべし。うまくいった時こそ、誰かのおかげだと思うべきなのだ。感謝の対象は、神でも仏でも、愛する人でも誰でもいいから。


“運命” という言葉は、あくまでも結果的な表現だと思う。どうがんばっても同じ結末になるなんて、俺は絶対に思わない。今日死ぬ運命にあったとしても、死ぬ時の気分は自分で決めたい。人生がどうだったかは、自分の心で判断すればいいのだ。運命を呪ったところで、今さらどうしようもないもんね。


笑って死ねる人生、それさえあればいい。これは、「野性の証明」 の主題歌の歌詞。男は、そういうもんです。自分が今までしてきたことを抱きながら、最後の時間を楽しんで逝きたい。それでいいと思う。


例えば、タイタニック号に乗り合わせたとしよう。もう救命ボートには乗れず、沈むまであと20分。そんな時はどうするか。俺は、その最後の20分を楽しく過ごすことを考えたい。目の前に、もう助からないわと泣きじゃくっている女を見たら、10分で恋に落ちて、残りの10分で死ぬほどキスしたい。最後にいい女に出会えてよかった、なんて言葉の一つもかけてあげよう。そして、固く抱き合ったまま水中で息を引き取るのだ…うっほー、ナイスな死に方!でも、その後浮き上がって助けられたりして。お互いに顔を見て、好みじゃないとか言ってケンカしたりして。それはそれで笑えるじゃん。 …で、そのまま俺は海に突き落とされる(爆笑)。そしたら、海底でディカプリオの溺死体と抱き合ってホモになって絶命…ああ、太陽と月に背いて!




俺は、20代の時にずっと、どう死ぬべきかを考えていた時期がありました。全部で50パターン以上考えたかな。だんだんネタが乏しくなって、トンデモな状況を考えたっけなあ。でもたぶん、そのどれにも当てはまらない状況でこの世を去るんだと思います。できれば、ありえないような奇抜な死に方であっさり死にたいなあ。


人の運命は、誰が決めるのか。地球の運命は誰が決めるのか。映画を見ながらじっくり考えてみましょう。神でも仏でも何でもいい。好きな運命を選んで、好きなものを信じましょう。何も信じない人は、そう思っている自分を信じてるってこと。だから、健全に信じましょう。信じる者は、救われる。信じない者は、足をすくわれる。


災害は、忘れた頃にやって来る。さあ、手強い映画の登場だ。あんまりヒットしないと思うから、消滅する前に劇場に行くべし!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月11日 劇場:ワーナーマイカル新潟 20:35の回 観客:約20人

思ったより少なかったなあ。…観客も消滅したか?


【上映時間とワンポイント】

2時間1分。特撮シーンは見応えいっぱいですが、DVDで見るときっとショボいかも。


【オススメ類似作品】


「リーピング」 (2007年アメリカ)

監督:スティーヴン・ホプキンス、原案:ブライアン・ラウソ、出演:ヒラリー・スワンク。イナゴパニックのホラー映画かと思ったら、れっきとした宗教映画でした。イナゴ少女を演じたアナソフィア・ロブ嬢は、「チャーリーとチョコレート工場」 でガム噛んでた女の子。


「ゾディアック」 (2007年アメリカ)

監督:デヴィッド・フィンチャー、出演:ジェイク・ギレンホール。暗号が出てくるサスペンス映画といえば、最近ではコレでしょう。映像の情報量を少なくする手法が、なかなかマニアックでした。主演の兄ちゃんは、ホモ映画 「ブロークバック・マウンテン」 で “受け” をやった男。


「ダイ・ハード3」 (1995年アメリカ)

監督:ジョン・マクティアナン、出演:ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン。地下鉄といえば、このこの映画を思い出します。刑事ブルースと電気屋ジャクソンが、クイズを解きながら犯人と追いかけっこ。マンホールジャンプの場面は、死ぬほど笑いました。


「アンブレイカブル」 (2000年アメリカ)

監督・脚本:M・ナイト・シャマラン、出演:ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン。「パルプ・フィクション」もあったけど、この2人はよく共演しますなあ。ブルースは、地下鉄事故に巻き込まれながらも、奇跡的に生き残った男を演じます。ジャクソンは、『…何でテメエだけ生き残るんだ!』 と恫喝しますが、たぶん、ダイ・ハードマンだから、体が丈夫だったんでしょう。ちなみにジャクソンおやじは、「ロング・キス・グッドナイト」で、トレーラーが横転しても死にませんでした。血だらけの顔でウッヒッヒ…どっちもどっちだって。




AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
2009-07-14

群青 愛が沈んだ海の色

テーマ:邦画

微妙な表情の演技にご注目。 …セリフそのものよりも、言葉の裏側にある心情を読み取るべし。


“群青色” とは、Wikipediaによると、“やや紫を帯びた深い青色” だそうです。なるほど、谷村新司の 「群青」 には、手折れば散る薄紫の、っていう歌詞が入ってました。英語だと、ウルトラマリンブルー。何だか、カッコいいですね。海を越えてきた青色という意味で、地中海のことを指すそうです。和名である群青は、青の集まりということらしい。とにかく、幻想的で魅力的な色です。(ちなみに、フェルメールの名画 「真珠の耳飾りの少女」 のターバンの色は、ラピスラズリより得られた、天然ウルトラマリンブルー。)


原作は、宮木あや子の同名小説。監督・脚本は、中川陽介。撮影は、柳田裕男。音楽は、沢田穣治。主題歌を歌うのは、畠山美由紀。


出演は、長澤まさみ、良知真次、福士誠治、佐々木蔵之介、田中美里、洞口依子、玉城満、今井清隆、宮地雅子。


さて、映画ですが、叙情的で深みのある作品に仕上がりました。役者の演技の深さが海の色とリンクして、幻想的な効果をかもし出しています。感性の鋭い人ほど、感じる世界は大きいでしょう。いい映画だと思います。


舞台は、沖縄の離島・南風原(はえばる)島。寡黙な猟師である男は、わけありのピアニストの女と出会うことにより、人生が大きく変わっていく。2人の間に生まれた娘には、過酷な運命を背負うことになる…。


本作は、できれば予備知識なしで見た方がいいでしょう。だから、宣伝やチラシでストーリーを半分以上ネタバレしているのは、やっぱりよくないと思う。あらすじを紹介するのはいいけど、もうちょい何とかならんもんか。これを読む人もすでに知っているかもしれないけど、ここではあくまでもネタバレしないで書くつもりです。


主演は、長澤まさみ。「その時は彼によろしく」 で彼女のスバラシイ魔性の女ぶりにシビレて興奮したのが、まだ昨日のことのようです。本作はまたしても清純派路線。彼女が女子高生に見えるのかどうかはさておき、苦悩する表情と演技が何だかゾクゾクしました。やっぱりナガサワちゃんは、悪役の方が絶対映える。


以前新聞記事で読んだんですが、彼女の演技は自己流だそうな。なるほど、だから自分オーラが強いのかもしれない。打たれ強く、頑固な性格であるからこそ、演技に対してのこだわりも強烈なんでしょう。彼女はやっぱり、登場人物の少ない映画に出た方がいい思う。だから、本作はマルです。


ナガサワちゃんの幼なじみを演じるのは、良知真次と福士誠治。マッチョな肉体派と、草食系男子ですな。それぞれに、青くさくてよろしい。さあ、彼女のハートを射止めるのは誰かな?


母親を演じるのは、田中美里。出番は少ないながらも、抜群の演技でした。いいなあ、こんな女が現れたら、俺も惚れるかもしれない…なんちゃって。俺だったら、こんな風に口説いてみようか…うっしっし。


そして特筆すべきは、父親役の佐々木蔵之介です。俺が見た中でも、最高の演技でした。文句なしに、素晴らしい。圧倒的な存在感と説得力。彼は、いい役者ですねえ。「憑神」 「椿三十郎」 「誰も守ってくれない」 といった中身の薄っぺらい映画でも、彼が出演することでお得感が出たものです。名脇役、ばんざい!できれば本作で、日本アカデミー賞の助演男優賞を受賞して欲しいな。


そんな蔵之介オヤジと、ナガサワちゃんの火花散る演技対決をお楽しみ下さい。どっちもスゴいです。


この映画は、悩める人にオススメしたい。できれば1人でじっくり見ましょう。自分の感じ方を大切にして、自分なりのとらえ方をして欲しい。正解はありません。自分が感情移入できる役者を通して、過酷な人生を生き抜く意味を考えてみて下さい。きっと、何かの力になると思います。




誰かを好きになる。何故と聞かれても、理由なんてない。好きなものは好き。ただ、人に説明するために、一応の理由が必要なだけ。愛の本質は、理屈を超えたところにあるのだ。駆け引きを楽しんでるうちは、ただのゲーム。本気で恋をすればするほど、切ないものなんです。


愛し合うと、愛の循環が起きる。躍動すればするほど、その振幅は大きくなっていく。しかし、それが突然何らかの原因で絶たれたら?その苦しさは、文章で表現できないくらいに堪えがたいものなのだ。こんなに苦しむのなら、あの人を好きになるんじゃなかった…と後悔するかもしれない。


だけど、その人に出会わなかったら、どんな自分だったと思いますか。どんな人生を送ったと思いますか。出会ったからこそ、生まれたものもあるはず。出会ったからこそ、初めてわかったこともあるはず。それは、かけがえのない心の宝物であり、自分が生きた証し。


何故、人は人を愛するのか。答えのない問いですが、本作にはそれを考えさせるだけの力があります。画一的な結論ではなく、観客一人一人の心にふさわしい方向へ導く力があります。


俺は、この映画を見て、かつて愛した人を思い出しました。そして思うのです。出会ってよかった。出会えたからこそ、今の自分がいる。この映画を通して、今理解できたことがある、と。


群青色の海。それは、深い愛の世界。人を愛すればこそ、人は傷つく。痛みを知っているからこそ、人に優しくなれる。激しいうねりも、いつかは静かなさざ波に変わる。自分の心の海に沈んでいる宝物を、どうかなくさないように。海は広いからきっと…どこかでつながっていますから。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月11日 劇場:ワーナーマイカル新潟 16:45の回 観客:5人

女性1人と、草食系男子1人と、オヤジ3人でした。全員1人客。…すいません、オヤジで。


【上映時間とワンポイント】

1時間59分。劇中に流れる音楽にも耳を傾けて下さいね。


【オススメ類似作品】


「そのときは彼によろしく」 (2007年)

監督:平川雄一朗、原作:市川拓司、出演:長澤まさみ。魔性の女・妖怪ナガサワ降臨。彼女が眠る度に、誰かが次々と死んでいく…ああ恐ろしや。このバケモノは、誰にも止められない!


「伝説巨神イデオン 発動編」 (1982年松竹)

総監督・原作:富野善幸、声の出演:塩屋翼。本作を見て、真っ先に思い出したのはこの映画。ガンダムよりもスゴいテンションで、根強い人気を誇るカルトアニメ。フォルモッサ・シェリルのあのセリフはスゴかった。『…何であたしの人が、みんな○○○○○○ー!』 実写版イデオンやる時は、ナガサワちゃんに演じてもらおう!


「幻の光」 (1995年バンダイ)

監督:是枝裕和、原作:宮本輝、出演:江角マキコ。是枝監督と、女優江角マキコのデビュー作。静かな演出が印象的でした。本作に通じるテーマがあると思います。




いいね!した人  |  リブログ(0)
2009-07-12

MW ームウー

テーマ:邦画

MとWの文字って、何だかエロいなあ。 …ひっくり返して、立場逆転!


原作は、1976年にビッグコミックで連載していた、手塚治虫の同名ホモマンガ。生誕80周年記念作品として、ついに実写映画化。果たして、禁断の扉はどう開くのか?監督は、TVドラマ出身の岩本仁志。


出演は、玉木宏、山田孝之、石橋凌、林泰文、石田ゆり子、山本裕典、品川徹、鶴見辰吾、山下リオ、風間トオル、半海一晃、中村育二。


さて、映画ですが、コントみたいな作品に仕上がりました。全編、失笑の連続。一見、フツーの映画ですが、随所にちりばめられたトンデモな要素を拾い上げて全力でツッコミましょう。このショボさは、ある意味手強いぞ。


16年前に、ある離島の島民600人全員が失踪(失笑)。生き残った2人の少年(全員じゃねえじゃん)は青年に成長し、1人はエリート銀行員、1人は神父になった。しかし、2人の心の中には、青白い炎がゆらめいていた。ある目的を果たすために、狂気の行動が始まる!


主演は、玉木宏。この兄ちゃんは売れっ子になりましたなあ。「真夏のオリオン」 で、誰も死なせたくない無血艦長を演じたと思ったら、今度は皆殺し殺人鬼。演技は相変わらずダメだけど、彼の容貌って、手塚マンガに出てくるレギュラーみたいな感じがして面白い。本作は、冷酷な男というイメージなので、表情の乏しさがひょっとしてプラスに作用したかも。彼を起用したセンスは、とりあえずいいんじゃないでしょうか。


ヒロイン…いやいや、相方を演じるのは、山田孝之。原作だともっとマッチョな体育会系だそうですが、イケメン祭りにするにはちょうどいいのかも。無精ヒゲを生やした感じも悪くない。ただ、あんまり仕事してなさそうですが。


基本的には、この2人を中心に見ていればよろしい。この2人の細かいやりとりを見ていて、ホモ要素を感じ取れれば、本作を2倍楽しむことができるでしょう。画面に映っていないところで彼らがナニをしていたのか、想像しながら楽しみましょう。ちなみに、予告編でシャワーを浴びていたのはタマキ君です。キレイな背中ですねえ。


新聞記者を演じるのは、石田ゆり子。山田教会でお手伝いをするお姉ちゃんを演じるのは、山下リオ。ホモ映画なので、この2人はクズほどにも存在感がありませんでした。他にも、それなりに有名な役者が出演していますが、無視してOKです。物語にあんまり関係ないので。


ただ、特筆すべきは石橋凌でしょう。ホモ映画の、オヤジ枠担当。主人公の2人よりも、必要以上に前に出過ぎでしたねえ。オヤジ大好きな貴女は、存在感あふれる彼にご注目。どうでもいいアクションシーンで思いっきりお金と手間をかけているのは、オヤジの汗を際立たせるためか。劇場内に漂う、加齢臭タップリのほとばしるイシバシ汗の匂いを、心ゆくまでご堪能下さい…おえーっぷ!


というわけで本作は、女性の方にウケるかも、と申し上げておきましょう。そして、一部の女性客にはメチャクチャウケる(笑)。熱狂的な手塚ファンであっても、タマキ君だったら許せるかもしれない。ヤマダ君にだって、もしかしたら原作にない魅力があるのかもしれない。たぶん、賛否両論でしょうな。駄作だと否定するのは簡単だけど、せっかくだから楽しみたいと思うしね。




ちなみに俺は、原作を読んでいません。当時はまだ小学生。街の本屋さんで、棚の上の方にそういうタイトルのマンガが確か並んでたな、くらいの記憶です。まあ、大人のエロマンガだろうって思ったんですが、ホントにそうだったとは知らなかった。…しかも、思いっきりホモマンガだった!


“MW(ムウ)” とは、某国の秘密兵器のコードネームのことらしい。原作でも詳細は説明していないのか、様々な諸説があるようです。“Mad Weapon” とか、“Man & Woman” とか。決して、“マヌケでわざとらしい” という意味ではありません。


上下逆さまにしても同じ文字になることから、価値観は常に逆転する可能性がある、なんてもっともらしいことを言ってますが、要するにアレでしょ。“攻め” と “受け” が激しく入れ替わって、プレイが盛り上がるってことじゃん!今夜は上にしようか下にしようか。お互いにスイッチバッターで、バットを握り合って、ボクのバットは少し曲がって、キミのバットは黒光りで…さあ、いざ一球入魂!うーむ、そう考えると、エロいですねえ、タイトル文字が。何かのシルエットに見えてきませんか?


映画では残念ながら、ホモシーンが一切除外されてしまったみたいですね。まあ、PG12にするためのオトナの事情ってやつでしょうか。腐女子のみなさんは気になるところでしょう、どんなシーンだったのか。もしかして、撮影してからカットになってたりして…ウッヒッヒ。


世界の手塚センセイの作品だから、品性のあるものにしなきゃ、なんて考えているスタッフがいたら、それは間違いかもしれませんよ。「千夜一夜物語」 とか、「クレオパトラ」 とか、「哀しみのベラドンナ」といったアニメラマシリーズがあったじゃありませんか。彼も、大人のエロ映画撮りたかったんですよ、きっと。マンガでも、「人間昆虫記」 とか 「奇子」 とかあったし。


本作の2人ががっちりホモの関係であると表現すれば、行動に説得力が増し、映画がもっと盛り上がったでしょう。そういう関係を匂わす場面がなくもないけど、無さ過ぎ・弱過ぎ。ノンアルコールビールじゃないんだから。せめてホッピーにしてくれよってもんだ。露骨に表現しなくていいから、手法はいくらでもあるでしょ。R15でもR18でもいいから、本気で映画作って欲しかった。その方が手塚センセイも喜ぶと思うし、ヒットしなくてもDVDは絶対売れる。3年くらい経ってからカルト作品になるような、前衛的な要素を盛り込んで欲しいところ。




本作のもう1つの側面は、“復讐劇” という要素。手塚マンガには、ドロドロした復讐をテーマにしたものも多い。「時計じかけのりんご」 ってのもあったな。超能力で義手が動くやつ。「ブラックジャック」 だって、結構性格悪かったしね。健全なヒーローなんて、センセイは望んでいないのかもしれないッスよ。


本作のタマキ君には、どれだけ悪人的要素があるかどうか。根っからの悪人に見えるか、ワケありで悪人になったように見えるか。俺はどうも後者であるような気がします。その辺は、原作ファンの間でも意見が分かれるところかもしれませんが、それぞれの宗教観も関係してくる。性善説と性悪説ですな。


そこでタマキ君の微妙な演技力が、面白い化学反応を起こしていると思うんです。どちらにも取れるような、飄々とした演技。意味ありげなまなざし。こういう男に見つめられると、女は弱いのかな。同性から見ても色気があると思う。やっぱり魅力的な男ですよねえ。タマキ君は、売れ筋のタマスジってことで。


ヤマダ神父(牧師じゃなくて神父というところがスゴい)は、贖罪という観点から、彼の行動を憂える。彼の気持ちが理解できるからこそ、彼を止めたいと思う反面、思いを遂げさせてあげたい願望もあるのだ。…うう、エロい関係だなあ。こうしてヤマダ神父は新婦となり、贖罪の食材になっていくのであった…。(何じゃそりゃ)


こういうジャンルは、“ピカレスク” というんだそうな。主題歌のタイトルにもなっているこの言葉は、“悪党” という意味。悪人を主人公にして、世の中を風刺する小説を、一般的にピカレスク小説と呼ぶそうです。スペイン語で “picaresca”、英語では “picaresque” という綴り。俺的には、ピックアップ・レスキューと覚えたいところですね。世の中の汚点をピックアップして、人々の救いになる物語を綴っていく。これこそまさに、ピカレスク・ロマン。




人は、善の心だけを持って生きていくことはできない。純粋であればあるほど、正直であればあるほど、心は傷つきやすく、脆いものなのだ。だから、誰もが心に鎧をまとう。強がり・プライド・理論武装。そうしなくては、生きていけない世の中。だけど、本当の心を見失ってはいけない。


強がれば強がるほど、無理すればするほど、心は悲鳴を上げていく。その心に向き合う勇気はあるか。獣を飼い慣らす覚悟はあるか。その心をさらけ出せる、真のパートナーはいるか。


人と人とがつながるのは、それぞれの宇宙が溶け合うことである。つながりが深ければ深いほど、その宇宙同士の広がりも増していく。友達、家族、恋人…それぞれの出会い一つ一つが、かけがえのない奇跡なのだ。それは偶然かもしれないし、必然なのかもしれない。…こんな人を待っていた。そういう気持ちになるのは何故?


だからこそ、同性愛において最高のパートナーを見つけた人は、もっと確率の低い奇跡が起きたと言えるんじゃないかって、俺は思うんです。俺は今のところノーマルですが、同性愛の人たちを否定しません。好きな道を一生懸命にがんばっている人は尊敬します。…ホモもレズも、カッコいいじゃん!


「どろろ」 の時もそうでしたが、この映画自体が製作されて世に出た、という事実だけでも評価されるべきでしょう。最初は誰でも恐いものです。さあ、突破口はできた。我こそは本物のムウを撮ってみせるというイキのいい監督はいませんか?恐いもの知らずの脚本家はいませんか?せっかくだからやりましょうよ。これぞムウ、っていう傑作が見たいなあ。手塚ファンと、手塚センセイの悲願のためにも。


さあ、次にこれを撮る人間は、ハードルが高くなったぞ。もうチャラチャラしたものは撮れんぞ。だから、本気でやるべし。タブーを破るための武器は、知恵と勇気と力。発禁になるくらい、パワフルで強烈なヤツを頼むぜ。 …テキトーなもん作りやがったら、ムウ帝国の怪獣マンダの生け贄にしてくれるわ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月11日 劇場:ワーナーマイカル新潟 12:50の回 観客:10人

安い日じゃなかったけど、ストレスに押しつぶされそうになったので、今日は一日映画館!


【上映時間とワンポイント】

2時間9分。劇場でロゴの入ったキーホルダーがあったら買おうと思っていたんですが、売ってませんでした。買おうと思った理由は、俺を知ってる友達ならたぶんわかりますよね。


【オススメ類似作品】


「変身」 (2005年変身製作委員会)

監督:佐野智樹、原作:東野圭吾、出演:玉木宏。主人公のタマキ君の脳が、半分要潤になることによって繰り広げられる、ドタバタサスペンス。本作ではヤマダ君が蹴られますが、こっちでは蒼井優ちゃんが蹴られます。ブログ記事出した時は怒り狂ったけど、今となっては懐かしい1本。まだ、ミスドのCMに出る前だったかな。


「海底軍艦」 (1963年東宝)

監督:本多猪四郎、出演:高島忠夫。ムウといえば、やっぱりコレでしょう。赤い髪の女王サマは、子供心にときめいたものです。うっふっふ…今なら俺のマンダの生け贄に…って下ネタやめんかい!


「危険な遊び」 (1993年アメリカ)

監督:ジョセフ・ルーベン、出演:マコーレー・カルキン。「ホーム・アローン」 で人気子役になったマコーレー少年が、何と殺人鬼に!手伝わされる気の弱い少年が、本作のヤマダ君とカブります。故マイケル・ジャクソンとのホモ疑惑もあったこともあって、見事な熱演でした。マイケルはどうやって彼を口説いたんでしょう?…頼むよマコーレー、キミがいないと、俺のマンダがホームアローン!






いいね!した人  |  リブログ(0)
2009-07-05

最近読んだ本

テーマ:

軽い本にも飽きてきたので、ちょっとグレードの高い本を2冊読みました。思考力と感性がサビないように、頭と心の手入れをしなきゃね。




「思考の整理学」 (外山滋比古著、ちくま文庫)


これは、1983年に刊行されて、86年に文庫化。2009年5月の時点ですでに第51刷発行になっているので、ウルトラベストセラーな1冊。シンプルなタイトルに惹かれて、手に取ってみました。


この本を執筆したおっちゃんは、なるほど頭がいい。難しい言葉をあまり使わずに表現したエッセイ風の本ですが、一冊通して読むと、しっかりした理論体系になっている。これは、良書であると思います。


俺自身も、子供の頃からモノを考えることが好きで、思考の冒険を限りなく続けてきました。学がないので知識には乏しいけど、全く違うものを関連づけて考えるのはよくやりました。


この本では、グライダーと飛行機の違いに例えて、自ら飛ぶ力を有するようになるためには、何が必要であるかを問います。何でも簡単に答えが出るほど、世の中は単純じゃない。“しばらく寝かせておく” という著者の表現は、とても優れていると思いました。自分が無意識にやってきたことにも、意味があったんだと思うと、ちょっとうれしくなりましたね。


本を読む時の読み方には、3種類あるそうです。だから、映画を見る時もそうだと思う。感じ方というのは、人によって違うものだから、見方によって解釈がいろいろあっていい。模範解答なんていうのは、学校の世界だけなんだから。俺は、それで落ちこぼれちゃったもんで。


映画ブログというのは、紹介記事を書けばいいというものではないと思う。わかりやすくて読みやすい記事を望む人は、少なくともここには来ないでしょう。俺の文章は、読むと疲れる。そしてやたらと長い。まるで行のようですが、そういう人が毎日200~300人くらい来ています。根性あるなあ、ウチの読者は。


考えをまとめて文章にする、という作業は、簡単なようでなかなか難しい。俺は平均して、1つの記事を2日くらいかけて書くくらいのペースでやっています。短時間でコンパクトにまとめたいところですが、どうしてもこのくらいになってしまう。きっと、これもまた俺のスタイルなのかもしれない。


ブログをやっていると、思考が混乱することはよくある。同じ言葉を重複したり、ポイントがズレたり。まあ、素人の文章なんだからそんなに気にしなくてもいいんだろうけど、自分が書く以上は、納得のいく形で出したいって思うもので。だから、この本に書いてあることは、とても力になりました。


考えがまとまらない時の一工夫とか、参考文献や資料の読み方、断片的な思考のまとめ方など、日常のテクニックも豊富に登場。カクテルになぞった思考の話は、大人のトークですね。シブいじゃん、オヤジ。


ただ、外山センセイはお酒があまり好きではないらしく、飲酒に対しては否定的でした。酔った時の思考というのは、それはそれで面白いんだけどなあ。飲み会で盛り上がったり、飲み屋で語っている時などは、普段じゃ絶対思いつかないような鋭い思考力が発揮するもんです。やっぱり、人間同士の会話の化学作用が、一番刺激的なのかもかもしれないですね。


考えるということは、覚えたことをより深く極めていって、自分の生きる力に変えていく作業でもある。映画が何故面白かったのか、何故つまらなかったのか、何故感動できたのか、自分にとってどんな位置づけになるのか、どんな栄養になるのか。いつも何気なく考えていたことは、脳のメカニズムのなせる業だったのか…すげえ。


思考型のブロガーを目指す人には、この本をオススメしたいと思います。だいぶ前に紹介した斉藤センセイの 「コメント力」 と同様、執筆する時の力になるでしょう。


映画 「たそがれ清兵衛」 で、幼い娘が 『…どうして勉強しないといけないの?』 と質問する場面があります。清兵衛は静かに答えます。『…勉強すると、考える力がつく。考える力が、生きる力になるんだ。』


考え方は、生き方そのもの。人の言われた通りに行動してばかりいると、何かあった時に人のせいにする人間になってしまう。俺は、それを嫌ってわざと1人になって考えました。その8年後に結婚して家庭を持ったので生活はガラリと変わりましたが、今でも1人の時間を大切にしています


この本は、今の自分にとって、“地に足をつけて考えよ” というメッセージだったんじゃないかって思います。4年もブログ書いてても、俺はまだまだ青いです。根無し草の、素浪人侍。風の吹くまま、わがまま気まま。


少なくとも、“忘れるのが恐いから書く” という考え方は改めようかと思います。“大切なことは書かないでおく” というセンセイの言葉が心に響きました。…頭がいいオヤジって、カッコいいなあ!




「フェルメール全点踏破の旅」 (朽木ゆり子著、集英社新書ヴィジュアル版)


フェルメールの名画全37点を、オールカラーで収録した豪華本。値段は1000円。これは飛びつきました。宝物にしたいので、絶対手放さないつもりです。


ヨハネス・フェルメールは、17世紀のオランダ出身の画家。映画 「真珠の耳飾りの少女」 では、スカーレット・ヨハンソン嬢がモデルになってましたが、ちょっと違うだろってツッコミたくなったのは、俺だけではあるまい。


彼の絵の独創性は、俺の貧しい文筆では表現しきれないので、詳しく知りたい人は、美術に詳しいブログを探しましょう。ここではあくまでも俺の独り言のレベルということで。


フェルメールの絵には、気品と美しさがある。素材はあくまでも日常風景なんですが、その切り取ったひとコマにちゃんとドラマがある。何というか、空気が清浄な感じがするんですね。光と影の使い方から、人物表情、佇まいが素晴らしい。静かな迫力と、人のぬくもりがビンビンに伝わってきます。


例えば、ルノワールという画家がいます。彼の描く女性は、みんな優しそうで健康的なイメージ。俺が思うに、ルノワールという男は、人を喜ばせることが上手だったんじゃないかって思うんです。女性なら、誰でも自分をキレイに描いて欲しいって思うもの。だから、完成した絵を見て、依頼人の女性は、絵の通りの笑顔になった。奥様、これが貴女の本当のお姿です、なんてね。だから、彼の絵には人を幸せにするオーラがある。


では、ゴヤはどうでしょう。映画 「宮廷画家ゴヤは見た」 の記事でも書きましたが、正直に描き過ぎて人を怒らせるキャラと言えるでしょう。お金をもらって描く以上、依頼人の望みを最大限にかなえるのがプロというものですが、彼の、絵に対する作品的なこだわりが、裏目に出てしまった。ブラックなシャレが通じなかったんですね。


で、フェルメールですが、彼の絵には、ルノワールのような派手さはないけど、静かな美しさがある。余計なものを削り取ったことによって、重要なポイントがかえって強調されている。ゴヤのような毒々しい迫力なないけど、表情の奥にゾッとするような凄みがある。絵を見る時間が長くなればなるほど、それはよりいっそう浮かび上がって、見る者の心に沁み込んでくるのだ。


「窓辺で手紙を読む女」 は、息づかいが聞こえてきそうな雰囲気で、緊張感のある横顔が美しい。「牛乳を注ぐ女」 は、匂いと音がしてきそうな感じがして、食欲をそそる作品。「手紙を書く女」 は、おでこの光と手がかわいくて、何だか話しかけたくなる。


「真珠の耳飾りの少女」 は、ロリロリした瞳と、半開きの唇がエロくてなかなかよろしい。健全なお色気です。だから、ヨハンソンはちょっとねえ…。


手の魅力としては、「レースを編む女」 の仕事をする手、「天秤を持つ女」 の繊細な手、「女と召使」 の奥様のあごに添えた手がそそります。「ギターを弾く女」 も、手だけは美しい。フェルメールって、手フェチだったりして。


映画もそうだけど、絵画にも恐ろしいくらい “好み” というものがあります。画風、タッチ、色づかいやら描写やら、細かく見ればキリがありません。


何故フェルメールが好きかと聞かれれば、エロいからです。露骨なエロではなく、健全なエロです。宗教がかっていないところもいい。あくまでも日常生活の中において、美しい場面は無数に存在するのだという、彼の主張が込められているようで、見ていると気持ちがいいんです。


シンプルでいて、今にも動き出しそうな生命力と躍動感。彼の生み出す作品は、どれも生きている。時が経ても、それは決して色あせることはないのだ。それこそが、本物の芸術といえるのではないでしょうか。


この本は、買った日に夜中までかかってずっと読みふけっていました。時間をしばし忘れ、美しい作品に没頭するのも悪くない。この本もまた、俺の心に栄養を与えてくれました。


フェルメールファンには、必携の1冊。彼と一緒に、美しい心の旅をしてみませんか。



いいね!した人  |  リブログ(0)
2009-07-04

ターミネーター4

テーマ:洋画

ガイ~ンな鋼鉄機械獣がいっぱい。 …赤い瞳の骸骨が、観客席のキミに襲い掛かる!


ジャジャンジャンジャジャン!といえば、ボスボロット…ってそれはジャンジャジャ~ンだろ!あ、そうか、ジャカジャカジャン、ジャカジャカジャン…ってそれはコニーちゃんのジャンケン。なるほど、ジャンジャカジャンジャン、ジャンジャンジャンですね…ってそれはカトちゃんのちょっとだけよ。


もとい、ジャジャンジャンジャジャン!といえば、ターミネーターのテーマです。たしか、2作目のメイン・タイトルだったかな。今回は、シリーズ4作目なので、通称 「T4」。 おおっ、ティーフォーと言えば、兜甲児が乗ったUFO…ってそれはTFOだろ!でも懐かしいなあグレンダイザー…うーむ、さっぱり進まんなあ。


本作は、公開してからだいぶ時間が経過しているので、宣伝や雑誌その他ですでに公表されているレベルでのネタバレは、少しばかり入れておきましょう。でも、物語の核になる部分は秘密にしますので、その辺は信頼して下さい。情報を全く入れずに見たい人は、見に行ってから読んでね。



監督は、マックG。脚本・原案は、ジョン・ブランカトー&マイケル・フェリス。撮影は、シェーン・ハールバット。音楽は、ダニー・エルフマン。


出演は、クリスチャン・ベイル、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン、ブライス・ダラス・ハワード、ムーン・ブラッドグッド、ヘレナ・ボナム・カーター、ジェイダグレイス・ベリー、ジェーン・アレキサンダー、コモン、マイケル・アイアンサイド、アーノルド・シュワルツェネッガー(CG)。



さて、映画ですが、なかなか骨太でシブい作品に仕上がりました。雰囲気は 「マッドマックス」 に近いかも。これは、男の映画と言っていいでしょう。女子供は 「トランスフォーマー」 で楽しんでもらうとして、野郎どもはこっちで盛り上がろうぜ!


時は2018年。成長して指導者になったジョン・コナーは、スカイネットロボ軍団に対抗すべく、秘密兵器を開発していた。それは、特殊なシグナルで敵の機械を制御しようというものだった。おお、ジョン・コナー印のムシコナーズですな。名づけて、ターミネーターコナーズ!(いいのか?そんなアホな説明で)




主人公のジョン・コナーを演じるのは、イギリス出身のクリスチャン・ベイル。この兄ちゃんは、だんだんマッチョになっていきますねえ。「太陽の帝国」 の少年役でデビューし、殺人鬼・不眠症のガリガリ男・蝙蝠男を経て、いよいよターミネーターに登場。「3」 のジョンがショボ過ぎた分だけ、今回はマッチョに返り咲きました。エドワード・ファーロングとうまくつながるかどうかはさておき、見事なキャスティングでした。彼なら、大勢を率いていく魅力があるように見えるというもの。


謎の協力者・マーカス・ライトを演じるのは、オーストラリア出身のサム・ワーシントン。ワシントンじゃなくて、ワーシントン。寡黙でストイックでありながら、人間的な優しさがにじみ出ている、三白眼の瞳を持つ男。ワケありな過去を持っているという雰囲気が、魅力的なオーラを放つ。この2人の男を中心とした物語が、映画の核になりますので、じっくりと見ましょう。


ジョンの妻を演じるのは、ブライス・ダラス・ハワード。ロン・ハワード監督の娘さんだそうです。マーカスに思いを寄せる女戦士ブレアを演じるのは、ムーン・ブラッドグッド。さあ、この2人のねーちゃんのうち、ヒロインはどっちでしょう?男ばっかのむっさい映画だから、見る人の解釈次第でいいでしょう。俺は、こっちだと思うな。さあ、劇場で確認しよう!


渦中の男・カイル・リースを演じるのは、ロシア出身のアントン・イェルチン。マイケル・ビーンとうまくつながるかはさておき、彼の青くさい演技にも注目しましょう。彼の相棒である少女スターを演じるのは、ジェイダグレイス・ベリー。本作では戦争のトラウマにより口がきけなくなった役でしたが、プライベートでは歌が大好きだそうな。この2人のコンビは、「北斗の拳」 のリンとバットみたいでした。で、ケンシロウがマーカスってことで。


反乱軍の司令官を演じるのは、マイケル・アイアンサイド。彼は、「トップガン」 「スターシップ・トルーパーズ」 で教官を演じたおっちゃん。それから、冒頭のシーンでは、怪女優ヘレナ・ボナム・カーターが登場!彼らを起用しただけでも、本作のマニアック度はますますヒートアップ!


そして特筆すべきは、やはりアーノルド・シュワルツェネッガーでしょう。果たしてこれが出演と言えるのかどうかわかりませんが、いた方が確実に盛り上がるでしょう。「ギララの逆襲」 のビートたけしみたいなもんでしょうか。どこで登場するかは、劇場でのお楽しみということで。


本作は、デートコースで見るとしたら、マニアックな女性を誘った方がいいでしょう。オシャレなお嬢さんは、「トランスフォーマー」 に連れてってから夜のベッドの上でトランスフォームすればいいとして、ターミネーター女は、つれこみ宿で布団もしかずにいきなり突撃!(つまり、畳で寝ーたーってことで…おおっ、これは寒い!)




4作目とはいえ、今までのストーリーの発端を描くストーリーでもあるので、「ターミネーター・ゼロ・ビギニング」 と言えなくもない。つまり、コレを見るとまた1作目が見たくなるっていう計算ですね。うまくできてるなあ。


1・2作目を世に出したジェームズ・キャメロン監督は、「エイリアン2」 の監督でもあり、「ランボー2」 の第2班監督でもありました。つまり、“2作目を撮らせたら右に出る者がいない男” という筋金入りの実力者。(デビュー作 「殺人魚フライング・キラー」 もたしか 「ピラニア2」 だった)


「T2」 の驚異のCG映像の前には 「アビス」 がある。特撮映画ファンにとっては超大物監督であった彼が、「タイタニック」 でオスカーをいっぱい獲っちゃったために、フツーのおっさんになってしまった。これは惜しい。でも、時が経ってもうほとぼりも冷めたことでしょう。現在は、新作映画に取り掛かっているらしいですが、本来の居場所にもいずれ戻って来て欲しいな。


何なら 「タイタニック2」 は、宇宙戦艦タイタニックに改造して、銀河の彼方に飛ばしちゃいましょうよ。沖田艦長はショーン・コネリーで、古代戦闘班長はジョージ・クルーニーにして、島航海士はスティーヴン・セガール、ブラックタイガーのパイロットはコリン・ファレル。徳川機関長はシルベスター・スタローン、真田技師長はアル・パチーノ、軍医はロバート・デ・ニーロ。そして森雪の役だけ日本人女優にして、今をときめく吉高由里子ちゃんにお願いしたい。いいねえ、そりゃ絶対見に行くなあ。じゃあ、デスラー総統は、レイフ・ファインズでいきましょうか。するとドメル将軍は、サミュエル・L・ジャクソンでしょう。今のキャメロンおやじなら、そのくらいやれるはず。…誰も見たことのない、すごい映画を作ってくれ!


キャメロン映画で育った世代は、着実にいいものを受け継いでいます。形やスタイルは変わっても、運命と戦う男の情熱は変わらない。若くて新しい力が加わって、限りなくパワーアップしていくものなのだ。本作はそういう意味で、新しい層を開拓できると思う。オールドファンはもちろん、若い世代も素直に反応して欲しい。オシャレでキレイなスタイルだけでは、語れない世界があるのだ。




本作には、面白いメカニックがいっぱい登場します。トランスフォーマーはオモチャだけど、こっちはモロに兵器というイメージ。ガイ~ンな重機って、何だか男の子向き。何というか、機械油の匂いが漂ってくるようなイメージですね。このリアルな空気は、「機動警察パトレイバー」 に登場するレイバーのようでもある。妙に現実的でオイシイ。モトターミネーター(無人バイク)の飛び出し方は、電人ザボーガーみたいで爆笑でした。


あまりにSFチックだと現実離れしてしまうけど、これは、もしかしたらあるかも…なんて思いたくなる。やっぱり、ロボットこそは男のロマン。「トランスフォーマー」 のヘタレ主人公は逃げてばっかりいたけど、こっちの人間はとことん戦います。やっぱり俺は、こっちの方が物語としてカッコいいと思いました。


人間と機械が戦うという構図は、昔から存在する。個体のパワーでは、機械の方が圧倒的に上。人間は非力だけど、機械にはない能力が備わっている。その最大の武器は一体何か。人間という生命体が生き残って来れた秘密は一体何か。エンターテイメントを楽しんだ後に考えてみましょう。


赤い瞳がキラリと光れば、ターミネーター襲い来る。止めてくれるな愛する者よ、男は行かねばならんのだ。覚悟しやがれポンコツ軍団、人間サマをナメんじゃねえ!どっちが主人か教えてやるぜ!…ジャジャンジャンジャジャン…ジャジャンジャンジャジャン!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:7月1日 劇場:ワーナーマイカル県央 21:50の回 観客:約10人

ファーストデイで1000円。今月はさらにビンボーになるので、ほとんど映画に行けないと思うから、1本ずつ大切に見て行きたいと思います。


【上映時間とワンポイント】

1時間54分。グッズが色々あって楽しいけど、全部ショボくて笑えました。


【オススメ類似作品】


とりあえず、シリーズを見ておきましょう。 「T1」 「T2」 はセットで見て下さい。 「T3」 は飛ばしてもOK。この映画はなかったことにしましょう。どうせなら、TVシリーズの 「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」 の方が面白いかも。同級生の女がターミネーターだったというシチュエーションはオイシイ。現在、セカンドシーズンまで出ているみたい。(俺もまだ途中です)




いいね!した人  |  リブログ(0)

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。