2009-04-30

4月の反省

テーマ:エッセイ

【今月行かなかった映画とその理由】


「トワイライト 初恋」

好きになった男は吸血鬼だった。…うーむ、逆だったら行くんだけどなあ。女が吸血鬼の方がエロいじゃん。八重歯がキュートな女優さんを起用してくれたら、尚最高ッス。


「バーン・アフター・リーディング」

予告編がバカ過ぎて、見ようという気が起きませんでした。これって、オーシャンズシリーズの番外編?


「鴨川ホルモー」

さっぱりわからんのでパス。


「ザ・バンク 堕ちた巨像」

銀行でデカい金が動いたとか言われても、社会の底辺で生きる男にはピンときません。せいぜい、金持ちの間で


「エグザイル 絆」

見たい題材でしたが、映画館が遠くて、駐車場代もかかるのでパス。もうすぐDVD出るみたいだし。


「クローンは故郷をめざす」

ミッチーの演技が見たいと思いましたが、やっぱりお金がないのでパス。


「レインフォール 雨の牙」

行こうかどうしようか迷ってます。もしかしたら行くかも。


「ミルク」

ショーン・ペンの演技に興味が湧かないのでパス。オスカーも関係ありません。


「グラン・トリノ」

これは、一応行く予定。たぶん。



今月見に行った劇場映画は、全部で5本。もっと見たかったんですが、金銭的にキビしいのでこんなもんでしょう。来月は少しでも多く見たいと思います。


アメブロランキングのジャンルが変わったそうで、「映画」 というカテゴリーはなくなり、「映画・テレビ」 が一緒になっちゃいました。できれば分けて欲しいんだけどなあ。これだと何だか、TVの記事も書かなきゃなんないみたいで。ジャンルは2つ選べるそうなので何にしようかと考えたんですが、ロクな選択肢がないので、「オヤジ」 にしちゃいました。「アラフォー」 なんて中途半端な領域は柄じゃないし。


「映画熱Vol.7」 (2008年下期) を製本したんですが、印刷文字がデカ過ぎて、何だかちょっとなあ。デカいから、俺の半年分の文章量だと、11月分までしか収録できない。しかも、とてつもなくぶ厚い(401ページ)。でも、目次が付いたのはナイスです。どうせ今年は記事数が少なくなると思うから、次に編集する時に7ヵ月分にしようっと。今回は、スナックBTに一冊プレゼントしましょう。オネエサマ方、お楽しみに。


4月18日に、スナックJの昔のメンバーで飲み会がありました。懐かしい面子がたくさんいたので、大いに盛り上がりました。群馬から駆けつけてくれたH君、どうもありがとう。ブログの名刺渡したから、読んでくれたかな。俺、今こんなことやってます。規模は小さいけど、好きな世界なので、よかったらたまに覗いてみて下さい。これが続いているうちは、俺が元気だということなので。次に会った時は、「壊れかけのRadio」 歌ってね。


世の中は、GWの真っ最中だそうですが、ビンボーな我が家にはあんまりワクワクしません。まあ、一日くらいは娘をどこかに連れて行ってやろうと思いますが、大半は家で過ごすでしょう。


ついこの間までは、仕事してるか映画見てるか飲んでるかだったんですが、最近はだいぶ変わりました。時間だけはあるので、たまった本を読んだりDVDを見たり、家の掃除をしたりして過ごしています。先日は、障子を張り替えて、家の周りの草取りなんかしてました。やるとけっこう夢中になるので、いい汗かいちゃった。


生活の不安はあるけど、悩んでばかりいても疲れてしまうので、適度に好きなことをした方がいい。月末になって久しぶりにスナックBLに行ったら、すごく歓迎されました。よかった、忘れられていなかった。リクエストもされて、いっぱいカラオケ歌っちゃいました。やっぱり、楽しい酒は気持ちがいい。スナックBLもスナックBTも、どちらも大切な俺の居場所。景気がよくなったら、たくさん行くからね。パワーをありがとう。


職場の方は、会社としての仕事は少ないんだけど、俺の部署だけ忙しいという状態が続いています。残業禁止なので、昼休みとか休憩時間もつぶしてがんばっても間に合わない。定時で帰っても、残業するより疲れてヘトヘトになってしまう。終わらないまま、次の日のことを考えて眠りが浅い時もある。悪夢にうなされる時もある。


5月からは、休みをもっと増やす予定らしい。どうなるんでしょうね。仕事が目の前にいっぱいあるのに帰らないといけない、休まないといけないってのはどうも納得できん。俺だけこっそり残業させてくれたら、納期遅れもなくなるし、売り上げも上がるのにね。そうしたら映画も行けるし、ブログも充実するし、元気になってまたいっぱい働けるのにねえ。世の中、思うようにいかないもんですな。


俺を取り巻く状況は、次第に圧力を増してくる。果たして、俺はこのピンチを切り抜けられるのか?このままつぶされていくだけなのか?それは、誰にもわからない。わからないからこそ、人生はスリリングなのだ。映画のようにはいかないけれど、生きてみたいなカッコよく。ピンチとチャンスは紙一重。己の魂朽ちるまで、戦いぬくのだド根性! …では、こんな感じで来月もがんばりますので、どうぞよろしく。




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2009-04-26

おっぱいバレー

テーマ:邦画

女の最大の武器は涙だと思っていたけど、こっちの方が強力でした。 …おっぱいは偉大だ!


「ヤッターマン」 を見に行った時の予告編が気になって、ついに劇場に見に行ってしまいました。しかしまあ、何ともチケットが買いにくいタイトル。これはぜひ2人で見に行って、窓口でこう言いましょう。 『…おっぱい2つ!』


原作は、水野宗徳の同名小説(何と実話だそうな)。監督は、羽住英一郎。おお、「逆境ナイン」 のおっちゃんですな。バレーボール指導は、大林素子。映画のBGMとして、懐かしのキャンディーズやらツイストやら甲斐バンドやら、ムリヤリな楽曲がいっぱい。主題歌は 「個人授業」 で、オリジナルラブの田島貴男とELTの持田香織がカバー。


出演は、綾瀬はるか、青木崇高、仲村トオル、木村遼希、高橋賢人、橘義尋、本庄正季、恵隆一郎、吉原拓弥、石田卓也、大後寿々花、福士誠治、光石研、田口浩正、市毛良枝。


さて、映画ですが、健全な青春映画に仕上がりました。でも、文部省推薦は無理でしょう(あたりめーだ)。これは、同年代の同性と一緒に行くのがよろしいかと。カップルは、相手によりけりですね。胸の大きさに不満がある女性は連れていかない方が懸命かも…(ザ・余計なお世話)。


予告編で7割くらいネタバレしていることもあるので、今回は少しばかり内容に踏み込んだ紹介にします。全く情報を入れずに劇場に行きたい人は、読まない方が賢明。今のうちに選択して下さい。


福岡県のとある中学校には、弱小男子バレーボール部があった。新任の女性教師が顧問を任されることになり、現状を知って愕然。練習もロクにしない彼らを何とか奮い立たせようとして、『…あなたたちががんばるなら、先生何でもするから!』 と思わず口走ってしまった。


それを聞いた部員たちは、『…じゃあ、試合に勝ったら、先生のおっぱいを見せて下さい!』 『…はあ?』 『…先生、さっき何でもするって言ったじゃん!それとも、嘘ついたの?』


エラいことになってしまった、どうしよう。断るタイミングを逸したまま、部員たちはすでに燃え上がる闘志を湧き立たせている。『…ようし、がんばって先生のおっぱい見るぞ!』 実は彼女には、嘘に対するトラウマがあった…。


主演の美香子先生を演じるのは、人気絶頂の綾瀬はるか。女座頭市、女サイボーグの次は、何とおっぱい先生。すげえなあ。どんな役柄でもやる気満々。演技はやっぱりヘタですが、役に対する意気込みは買いましょう。誰も演じられないようなスゴい役柄に、これからも挑戦していって下さい。


同僚の教師役を演じるのは、青木崇高。「ちりとてちん」 の草々君ですな。彼もまた、演技がイマイチなので、綾瀬センセイとちょうどいいバランスかと。彼の頼りなさと不器用さが、本作にとって救いとなっているのも事実。まさに、絶妙なキャスティングと言えるでしょう。


6人しかいないバレーボール部員を演じる少年たちは、みんなそれぞれ等身大で面白い。1人だけ見覚えがあるのがいるなと思ったら、高橋賢人は 「チェスト!」 の主人公だった少年ですね。運動オンチに見えるというのも、ある意味才能かもしれない。6人とも、ヘタレっぷりが見事でした。


予告編で 『…ナイス、おっぱい!』 という意味深なセリフを言い放った仲村トオルは、てっきり先生役かと思ったら、部員の父親役でした。何とも楽しそうに演じています。彼も娘を持つ身なので、台本の置き場所に困ったとか。元バレーボールの選手という設定なので、息子のために一肌脱いで、コーチをすることに。 …さて、綾瀬センセイも一肌脱いでくれるんでしょうか?それは見てのお楽しみ!


バレー部のコワモテなOBを演じるのは、石田卓也。「リアル鬼ごっこ」 で逃げまくっていた男が、今度はツッパリのチンピラを演じています。キャラ的には、「死神の精度」 の時の駆け出しヤクザ役が近いかも。あまり強そうじゃなくて、弱い者の前で威張る姿が、中学の先輩後輩って感じがして何ともリアル。


教頭先生を演じるのは、光石研。強豪バレーボールチームの監督を演じるのは、田口浩正。どちらも神経質そうな、イライラキャラ。美香子センセイの元カレを演じる福士誠治のKYぶりも楽しい。バブルの頃って、こんな兄ちゃんがいっぱいいたっけなあ。


特筆すべきは、美香子センセイの少女時代を演じた大後寿々花でしょう。出番はわずかだけど、存在感は抜群。画面に映った瞬間のオーラで、すぐに彼女だとわかりました。すごい子役使っちゃったなあ。TVドラマ 「白夜行」 の時は、綾瀬はるかの少女役は福田麻由子だった。その時感じた違和感ほどではないにしろ、本作もちょっとヤバい。子役の方がうまいと、主演が霞んでしまう恐れがあるので、演技のヘタな女優さんは気をつけましょう。


だけど、横顔はやっぱり綾瀬はるかの方が美しかった。一度でいいから、あのアゴで肩をグリグリやってもらいたいなあ。


年代の設定が1979年なので、ケータイもコンビニもない時代。家庭用ゲーム機はまだ普及していなくて、スペ-スインベーダーの次代。こののんびりした空気が、トンデモな物語をやさしく包んでいるようにも思える。今どきに設定したら、ものすごいことになっちゃうでしょうね。




試合に勝ったら、おっぱい見せてあげるって言われたら、そりゃがんばるでしょう。男が100人いたら、90人以上はそう言うでしょう。そのうち60人くらいは即答。たぶん0.5秒くらいで。そのくらい、男ってバカなんです。そこがまた、男の長所でもある。聡明な女性のみなさんは、そういう男の気持ちを考えて、うまく操縦しましょう。


「クローズ ZEROⅡ」 の記事にも書いたけど、男が憧れるものは3つ。カッコいいこと。面白いこと。そして気持ちいいこと。おっぱいは、気持ちいいことに該当しますな。そして、おっぱいのためにがんばることが面白くなっていく。がんばるから強くなっていく。…さあ、その次は?


ニンジンをぶらさげると、人はがんばる。みんなそうだとは限らないけど、誰もがそういう部分を持っているのは事実。いや、がんばること自体が大事なのだ、なんて言っても、おっぱいを出されちゃあ、かなわないでしょ。だからやっぱりニクいよなあ、この題材。抵抗できねえんだもん。


何度も言うように、俺個人は、オッパイ星人ではなく、フトモモ星人です。しかし、『…勝ったらフトモモ見せてあげる。』 なんて話は、どう考えてもエロい。やっぱりオッパイの方がまだ健全だと思う(そうかな)。しかも、平仮名で “おっぱい” というところがいいんですな。うーむ、よくできているもんだ。


中学生のエロい妄想って、何だか楽しい。俺はどんな妄想していたっけなあ。映画を見ていると、何だか居心地がよさそうでうらやましかった。俺は、暗い中学時代を過ごしたから。


女性のみなさんは、彼らを見てどう思うのだろう。悪気はないし、無邪気なイタズラみたいなもんだと笑ってもらえるでしょうか。男ってバカだから、甘やかすとどこまでもつけ上がるっていう声もあるけど、どこまでもってことはない。ある程度までバカやったら、今度は違うことをしたくなるものだから。


面白いことと、気持ちいいことだけでは、一歩間違うとただの腑抜けになってしまう。そこで重要なのが、カッコいいことをやりたい、というもう1つの願望。これは、男の美学に左右される内容だから、一概には言えない。だけど、これもまた男が共通して持っているものなのだ。俺流に言わせてもらうと、自分がカッコいいと思える男を目指す、ということ。


女に褒めてもらう、女に認めてもらうには、それだけの資質が必要なのだ。甘えることを許されるだけの資格がいるのだ。自分の中だけじゃなく、相手に伝わるまでその戦いは続くのだ。


本作の部員たちは、一方的に約束をさせてしまう。軽い気持ちで始めたことが、次第に大きな問題へと発展していった時に、彼らの心に去来するものは何か。そこで、彼らの男としての真価が問われるのだ。


美香子センセイは、彼らが必死でがんばる姿に感動する。『…ねえ、もうおっぱいなんてどうでもよくなってきたでしょ?』 彼らの返答は、予告編の通りです。あっはっは、そりゃそうだよなあ。さて、どうする?センセイ!


頼まれると、イヤと言えない人がいる。俗に言う “お人好し” ですな。俺もそういうところがあるから、若い時は損ばかりしていたように思う。だけど、自分のそういう部分があればこそ、いい仲間もまた増えていく。弾みで言ってしまったことや、勢いで決めてしまったことが、その後の人生を左右することもある。


たぶん、美香子センセイは、乗りかかった船だから、最後までちゃんとがんばる人なんだと思う。真面目だから、すぐにつまづいてしまう。でもそれは、大事なことをおろそかにしないということでもある。勢いだけだったら、あんなにはがんばれない。おっぱいという関係だけの先生だったら、それは当事者にとっても観客にとっても哀しい。


男子たるもの、言い出したことは最後まできちんとやるべし。武士に二言はない。教師たるもの、生徒との約束は守らねばならん。見せたくないなら、負ければいい。でも、彼らがあんなにがんばっているのに、ああどうしよう。どうせ負けるに決まっているわ。でも、あたしが信じてあげなきゃあ。ジレンマに悩みながら、大きな胸を痛めるセンセイ。…ますます危うし、センセイのおっぱい!


果たして試合の結果は?おっぱいの運命は?教育の根源に関わる重大事態に発生する危険を孕みながらも、物語は進行していくのであった。…勝たせてあげたい。でも、勝ったらどうしよう?


苦しくったって、哀しくったって、おっぱいのためなら、平気なの。ボールが唸ると、胸が弾むわ。願望が膨らむわ。イエイ、ザッツ・オッパイ・エンターテイメント!いっちょう揉んでやるわよ、かかってらっしゃい!


「レッドクリフ」 は、巨大な敵を前に、少ない戦力で戦う男たちの物語だった。本作は、強敵を前に、貧弱な戦力で立ち向かう物語。しかも、女の運命がかかっている…おお、これはおんなじ映画じゃん!(次の瞬間、三国志ファンから10万本の矢が飛んでくる)


やっぱりねえ、男にはロマンが必要なんですよ。発想の奇抜さが、不可能を可能にする。そうなのだ、これは、男の意地とプライドとおっぱいの運命を懸けた、尊い戦いなのだ。…すべては、ビッグゴールドおっぱいのために!くらえ、シズマドライブ・シュート!(次の瞬間、横山光輝ファンから10万本の矢が…いやいや、どうせなら銀鈴ロボのオッパイミサイルがいいなあ、むにょーんって)


というわけで、これもまた熱い映画です。レッドクリフの後は、“レッドヒル” で盛り上がりましょう。赤い壁を越えると、赤い丘が見えます。覆い隠された頭頂部を狙って、最強のシュートを放つべし。思春期の未来がかかった、欲望の最終決戦。血と汗と涙にまみれた彼らに、勝利のニップルは微笑むのか?


今回は、かなり内容にツッコミましたが、肝心はところは教えません。『…そんなに簡単に見られると思ったら、大間違いよ!』 美香子センセイは約束を守る、そして、嘘はつかない。…さあ、劇場へ急げ。白い鳩になって大空を飛び、迷わず美香子センセイのレッドヒルを目指せ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:4月25日 劇場:ワーナーマイカル県央 19:00の回 観客:約20人

当然ながら、会社のM先輩と行きました。女性客がいっぱい笑ってくれたので、救われる思いでした。日本人の女性は、心が広いなあ。つまり、懐がデカい…おっとっと。


【上映時間とワンポイント】

1時間45分。エンドロールの時に、オマケ映像が流れます。それから、劇中に映る映画館のポスターが爆笑でした。特撮ファンは見逃すなかれ。売店で売っていたおっぱいシールも笑えました。


【オススメ類似作品】


「逆境ナイン」 (2005年)

監督:羽住英一郎、原作:島本和彦、出演:玉山鉄二。エロはありませんが、ギャグ満載です。逆境にあえぐ人は、この映画を見て元気を取り戻して下さい。ここまでいくと、バカも芸術だと思います。


「メジャー・リーグ」 (1989年アメリカ)

監督・脚本:デヴィッド・S・ワード、出演:チャーリー・シーン。落ちこぼればかり集めて、負けるように仕向けられたプロ野球チームが、団結してがんばる映画。悪徳女性オーナーの合成写真パネルをロッカールームに置いて、一勝する度に服を剥ぎ取っていくアイディアは爆笑でした。この映画のノリは、本作にも通じているかと。


「キャプテン」 (2007年トルネードフィルム)

監督:室賀厚、原作:ちばあきお、出演:布施紀行。ご存知少年ジャンプに連載していた名作野球マンガの実写映画化。みなさい、おっぱいなんて見せなくても、純粋にがんばれる少年はちゃんといるのだ。彼らはエラい。墨谷二中のナインにおっぱい見せたら、きっとみんな鼻血ブーだろうなあ。


「グーグーだって猫である」 (2008年)

監督:犬童一心、原作:大島弓子、出演:小泉今日子。大後寿々花が、ニャンコ役で登場します。どこで出るかは、見てのお楽しみ。彼女の持つ独特の雰囲気が、人間でない何かを感じさせるように思えるから不思議。ほんの一場面だけど、記憶に残りました。



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2009-04-26

レッドクリフ PART Ⅱ 未来への最終決戦

テーマ:洋画

男たちの “熱い駆け引き” に目が離せない! …1人1人の小さな火は、力を合わせて炎となるのだ!


世界を沸かせた世紀のアジア映画、待望の続編。製作・監督・脚本は、義理と人情の男・ジョン・ウー。アクション監督は、コリン・ユー。音楽は、岩代太郎。主題歌は、アラン。日本語ナレーションは、大塚明夫。


出演は、トニー・レオン、金城武、チャン・フォン・イー、ユウ・ヨン、チャン・チェン、フー・ジュン、バーサンジャプ、ザン・ジンシェン、リン・チーリン、ヴィッキー・チャオ、ドン・ダーウェイ、中村獅童。


さて、映画ですが、アナログの魅力に満ち溢れた作品に仕上がりました。ダイナミックな戦闘シーンは圧巻。あの 「ベン・ハー」 を思い出しました。これは、ぜひとも劇場でご覧下さい。


赤壁でにらみ合う曹操軍80万と、孫権と劉備の連合軍5万。圧倒的な戦力差を前に、奇策はあるのか?疫病、裏切り、密偵…そして、戦いの時は迫った!


周瑜を演じるのは、トニー・レオン。前作の記事でも少し触れましたが、ウー監督が最初にオファーしたのはトニーだったらしい。しかし、当時の彼は体調を崩していたらしく、監督に迷惑をかけてはいけないと思い、丁重に断った。しかし、チョウ・ユンファがドタキャンしたという知らせを聞いて、すぐに監督に連絡。『…私でお役に立てるなら、お手伝いしましょうか。』 ウー監督の窮地を救ったという話です。(産経新聞のインタビュー記事より)


トニーには、荒々しいイメージはない。しかし、思慮深い男としての魅力がある。前作に引き続き、本作での彼を見ていると、役柄に対する “覚悟” が感じられる。戦いが始まる後半では、だんだんといい顔つきになっていきますのでご注目。


孔明を演じるのは、金城武。彼のつかみどころのない演技もまた、ミステリアスで面白い。策士というのは、ずるがしこいイメージがあるものですが、彼のひょうひょうとした雰囲気もまた、相手を油断させる効果があると思う。


孔明のアイテムは、団扇。これをヒラヒラさせながら、相手を煙に巻いて、人の心をサラッと流す。団扇一振りで、内輪モメも解決…なんてね。ユラユラヒラヒラ、諸葛亮。遠くを見る目は、何を想う。言わば、“壁際の魔術師” といったところか。撮影時は酷暑だったそうだから、鎧なしで軽装でウチワ持っていられるのも、やっぱりオイシイ役柄ですね。(本人もTVでそう言ってました)


実は今回は、横山光輝のマンガ文庫12巻と13巻を読んでから行きました。前作を見た時は、内容をあまりにも知らなさ過ぎたので、今回は少しでも予習しておこうかと。マンガの周瑜と孔明の関係は、ギラギラしていて笑えます。悪そうな孔明と、スキあらば孔明を殺そうとする周瑜とのスリリングな駆け引きが面白い。その視点で本作を見ると、実に興味深い。


映画は、周瑜と孔明の友情がテーマになっていますが、双方ともかなり濃ゆい人物なので、そう簡単に友達にはなれんでしょう。しかしながら、トニーと金城という組み合わせで見ると、これがなかなかバランスがいい。わずかな表情や会話、琴の饗宴などを通して、天才同士にしかわからない駆け引きがあったのではないかと想像したくなる。


個性が強い者同士では、さぐりあいが延々と続くもの。こいつ、ただもんじゃないな、と思った瞬間から、男の意地がぶつかり合う。手強いからこそ、敵に回すのが恐ろしい。得体のしれない力を持った男というのは、尊敬と同時に、恐怖の対象でもあるのだ。


史実に忠実にやろうとすればするほど、ドロドロした雰囲気になるのかもしれない。しかし、ジョン・ウーは男の美学を追及する男。人間として魅力がなければ、多くの人はついて来ない。彼は、映画の中でちゃんと人の心を見つめているのだ。ウー監督がトニーと金城を起用した理由は、画面を見ていれば納得。彼らにしか表現できない世界を、俺も1人の男としてしっかりと見させてもらいました。


周瑜の妻・小喬を演じるのは、リン・チーリン。演技力はないけど、美しいという一点でOK。今回は捨て身の行動もあって見せ場が多いので、彼女をよく目に焼き付けておきましょう。たぶん、今が一番ピークだと思うから。


孫権役のチャン・チェンは、兜をかぶった姿が周瑜よりカッコよかった。尚香役のビッキー・チャオは、美しくないけど、演技はリン・チーリンより上だと思う。彼女はきっと、息の長い女優になるかも。関羽と張飛は、見た目で爆笑して納得。今回初登場したトン・ダーウェイは、どうでもいいキャラだったけど、ウー監督のヒューマニズムを伝ええるためには、ある意味重要な役柄と言えるかも。


魯粛役のホウ・ヨンが、ユーモラスで面白い。マンガとおんなじキャラでした。周瑜と孔明の間を右往左往する姿は、親しみやすくて何だかホッとします。大島渚監督の 「御法度」 で、怪物キャラばっかりの中で唯一普通の男だった、トミーズ雅を思い出しますね。


特筆すべきは、やはり中村獅童でしょう。出番は少ないですが、戦いで見せてくれます。セリフもカッコよかった。「男たちの大和」 の頃の、骨太キャラを思い出します。竹内結子という “スリバチヤマ” は奪還できなかったけど、本作で男を上げました。よかったねえ、ウー監督に感謝しよう!


この映画は、コアな三国志ファンには賛否両論でしょうが、内容を知らない人のための入り口としては、立派に機能を果たしていると思います。俺もその口ですから。正義と悪は、双方の心の中に宿るものなり。人の意見よりも、自分の感性で見抜くべし。その時にこそ、真の英雄を見極められるのだ。




男が男に信頼される条件は、約束を守る、ということ。これは、本作のテーマでもあると思う。本作のサブタイトルは、「未来への最終決戦」。これは、国の存亡をかけて戦う男たちの、未来へのメッセージでもあるのだ。


志なくして、死闘はできない。命を懸けるに値するからこそ、本気で戦うのだ。戦いの意味は、歴史が証明してくれる。だから、今できることを精一杯やる。男たちは、そうやって戦い続ける存在なのだ。


男なら、約束を守れ。男なら、恩義を忘れるなかれ。男なら、弱い者を守れ。男なら、本気で戦え。強い者には、責任がある。弱い者には、役割がある。自分にしかできない、大切なことは何か。それを見極め、最大限に努力することが大切なのだ。そういう力を合わせることによって、奇跡は起こるのだ。それは、“力を合わせる” ということ自体が、素晴らしい奇跡であることの証明なのだから。


前作の記事でも触れましたが、ジョン・ウー監督は、クロサワ映画で育った世代。本作のラスト近くのセリフにも、「七人の侍」 が垣間見えました。やっぱり、男は素晴らしい生き物です。女には理解できないし、うまく説明もできない部分がある。それでいい。男であるからこそ、わかってあげたいのだ。


光り輝く表の顔を、裏で支える馬鹿がいる。これは、「修羅の群れ」 の主題歌の一節。英雄の影で、多くの命が散っていった。英雄はそれを忘れてはならない。彼らのおかげで戦えたことを忘れてはならない。そして、英雄を生み出した力もまた、民の中にあったことを忘れてはならない。


戦士たちがこの世にいなくなった後に、伝説は残る。それは、命を懸けて守り抜こうとした大切なものを、忘れないためでもある。それが、未来を生き抜く力となるのだ。


ウー監督、大変お疲れ様でした。偉業を成し遂げて、黒澤監督もあの世から惜しみない拍手を送ってくれることでしょう。あなたの起こした奇跡は、しっかりと語り継いでいきたいと思います。


炎が上がり、血しぶきが舞う。矢が飛び交い、猛者たちの雄たけびが響き渡る。その中を飛ぶ、一羽の白い鳩。けがれのない、純白の翼が、大空に舞い上がる。迷うな、一途に飛べ。 …未来の光が見えるまで!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:4月24日 劇場:ワーナーマイカル県央 21:40の回 観客:約20人

YD君と一緒に行きました。ふたりデイ割引で1000円。おかげでパンフが買えました。


【上映時間とワンポイント】

2時間24分。俺が見たのは字幕版。冒頭に日本語のナレーションがありました。


【オススメ類似作品】


「レッドクリフ PARTⅠ」 (2008年アメリカ・中国・日本・台湾・韓国合作)

監督・監督:ジョン・ウー、出演:トニー・レオン。やはりコレを見ずしては始まらない。本作をより楽しむためにも、チェックしておきましょう。


「呉清源 極みの棋譜」 (2006年中国)

監督:ティエン・チュアンチュアン、出演:チャン・チェン。本作で呉の君主である孫権を演じたチャン・チェンが、呉という男を演じます。こちらは、碁のプロ棋士の物語。丸メガネの向こうに光る、静かな眼光が美しかった。本作といい、この映画といい、思い悩む役がよく似合う男ですな。


「シクロ」 (1995年フランス・ベトナム・香港合作)

監督・脚本:トラン・アン・ユン、出演:トニー・レオン。「インファナル・アフェア」 にしようかとも思いましたが、今回はあえてこれでいきましょう。タバコをくわえたヤクザ幹部のトニーが、メチャクチャカッコよかった。物を言わずにただひたすらタバコの煙を燻らせる姿に、大物の風格を感じたものです。ナイーブなイメージの彼からすると、以外な感じがして面白かった。




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2009-04-22

クローズ ZERO Ⅱ

テーマ:邦画

ルールを守って、楽しくケンカ。 …丈夫な体に産んでくれた親に感謝しろよ!


“ゼロツー” とはまた変てこなタイトル。「キカイダー01」 とは何の関係もないのでお間違えなきよう(間違えねーよ)。原作は、高橋ヒロシの同名マンガですが、前日譚なのでストーリーはオリジナル。監督は、前作と同じく三池崇史。


出演は、小栗旬、やべきょうすけ、山田孝之、高岡蒼甫、岸谷五朗、遠藤憲一、金子ノブアキ、桐谷健太、三浦春馬、上地祐輔、黒木メイサ。


さて、映画ですが、わかりやすくてよろしい。これは、素直に見て笑いましょう。やっぱり男の子ってのはいいもんです。若いうちは、悩むよりも行動した方が解決するもの。殴って殴られて、相手の痛みを知れ。


鈴蘭高校にとって、鳳仙高校は因縁のライバル校であった。過去の傷害事件で服役した1人の男が出所しとことにより、抗争の火種が勃発。凶悪なスキンヘッド集団を前に、鈴蘭は統制が取れないまま、最大の危機を迎えた…。


主要キャストは、前作と同じ。主演はもちろん小栗旬。彼は、高校生特有の青くさい感じがしていい。演技がうまくないところがまたいい。こういう映画には、うまい役者を起用すると、かえって嘘くさくなる恐れがあるから、ドヘタな方がかえっていいのだ。そういう意味で、“ハマリ役” と言えるでしょう。いいじゃん、オグリ。その調子でヘタさを保ってがんばって下さい。


イケメンやらコワモテやら、元気な連中がウジャウジャ登場。前作の記事でいろいろ書いたので細かいところは省きますが、楽しい雰囲気はそのまま。前作を未見の人は、DVDで予習してから劇場に向かいましょう。知らないで見ると、後半の盛り上がりが半減するかもしれないから。


今回一番バカな役割を果たしたのが、“ライオン丸” 波岡一喜。彼って、何を演じても楽しそう。「ちりとてちん」 の時と同じキャラだったような気がする。でも、野郎同士の仲間には、こういうバカがいた方が面白いのも事実。そういう意味では、オイシイ役柄かもしれない。こういうバカを演じたら、彼は天下一品です。敬意を込めて、笑ってあげましょう。この兄ちゃんは、若手の脇役キャラでは一番面白いと思うから。

で、問題のヒロイン・黒木メイサですが…ああ、やっぱりって感じ。彼女が演じるんだったら、ヒロインなんていなくてもいいみたいに思いました。彼女を出すんだったら、「昴」 みたいにマッチョな役柄にして、一緒にケンカしてくれれば盛り上がったかも。前作に引き続いて、本作でも存在感ZEROⅡでした。メイサが登場する場面が、トイレに行くチャンスです。


特筆すべきは、主人公の親父を演じた岸谷五朗でしょう。今回は少し出番が多いので、シブい演技にご注目。「龍が如く」 を見た人は、2倍楽しめると思います。ある場面で思わず、あの名セリフが出てきそうで爆笑でした。やっぱり、あのドリンク飲んでるんでしょうか?


この映画はどういう映画ですか、と聞かれれば、ブルースのような映画です、と答えましょう。前作はロック。今回は、心に沁みるブルース。どうぞ、カラダの芯から燃えて下さい。




この映画の舞台は学校なんですが、前作も含めて教師が一度も登場しません。まあ、いるんでしょうが、彼らの目には映ってないんでしょう。まさか、すでに廃校になっている建物に出没する幽霊たちが、抗争を永遠に繰り返しているとか…ウッヒッヒ。それはそれで面白いけど、やっぱりそれはないな。


男が2人以上いると、どっちが強いかを意識するもの。度合いは個人差があるけど、アイツよりオレの方が優れている的なことを考える。女から見れば、別にそんなことどうでもいいじゃんと思えることが、男にとっては死活問題なのだ。そういう意味では、男はみんなライバルであるとも言える。


男がケンカするのは、相手の手応えを確認する作業でもある。自分が得意なものに関しては特に張り合う。どちらが強いかを確認するまでは、決して手を緩めない。そういう生き物なんだから、しょうがない。


だけど、上には上がある。精一杯やって負けると、逆に気持ちがいい。その瞬間に、新しい感情が生まれる。これだったら自分の方が優れているけど、あれだけはアイツにかなわない。そう思えた瞬間に、もうお互いを認め合っているということ。いい友達というのは、そんな関係だと思うんです。


だから、友達はみんな個性が違う。違うから面白い。そして、俺の友達には変わり者が多い。変わっているから面白い。誰にもマネできない、自分だけの個性。そのポジションを獲得したら、もう誰ともキャラかぶりません。同じように見える人も、少しずつどこか違うものなのだ。キミの周りの友達にも、隠された魅力がまだまだあるかもしれない。積極的に探してみよう。


男の集団には、それぞれ役割がある。自分の個性が立ち位置を決めるから、属する集団によって、自分のポジションが変わることもある。だから男は、色んな顔を持っていていいのだ。 …昼間のパパは、ちょっと違う。夜のパパは、もっと違う! …見た目は子供、頭脳は大人、下半身はもっと大人!


自分が自分らしく振舞えるところ。それが、男の居場所になる。それは、色々な形があっていい。そうやって、男は精神的なバランスを取っているのだ。それは、すごく健全なこと。


思いっきりケンカができるのも、ある意味幸せと言える。殴られると、確かに痛い。ルールがなければただの殺し合い。格闘技みたいに決まった規則はないけれど、戦いながら、自分たちでルールを作るのだ。男なら、自分のルールで戦うべし。卑怯はご法度。正々堂々と立ち向かうことが、強さの証しなのだ。


男が憧れるものは、3つある。カッコいいこと。面白いこと。そして、気持ちいいこと。それが何かは、人それぞれ。さあ、自分が求めている最高の状態は何か。奴らと一緒に、汗を流して考えるべし。


男には、自分に合った戦い方がある。人のマネをする必要はない。自分らしいケンカをすればよろしい。ルール無用の悪党には、正義のパンチをぶちかませ。行け行けクローズ、戦えカラスたちよ。男に生まれたからには、戦わずして逃げるべからず。後悔したくないなら、ダメとわかっていても意地を見せよ。男の名に恥じない戦いをしてこそ、真の男になれるというものなのだ。


男には、男の美学がある。女には、わからなくていい。男なら、黙って行動すべし。心に渦巻く黒い影は、痛みを通してゼロになる。 …これぞ即ち、黒・渦・零・痛!






【鑑賞メモ】

鑑賞日:4月17日 劇場:ワーナーマイカル県央 21:10の回 観客:約150人

ワンダフリーポイントがたまっていたので、無料鑑賞できました。…こういう時、助かるなあ。


【上映時間とワンポイント】

2時間13分。エンドロールの途中で、前作も含めたメモリアル映像が流れます。


【オススメ類似作品】


「クローズ ZERO」 (2007年)

監督:三池崇史、原作:高橋ヒロシ、出演:小栗旬。やっぱり、これを見ずには始まらない。ゼロワンを見てから、ゼロツーを見よう!


「ワルボロ」 (2007年)

監督:隅田靖。原作:ゲッツ板谷、出演:松田翔太。本作は高校生ですが、こちらは中学生。円熟した本作に比べ、こちらは無邪気さがあります。ツッパリ世代の人たちは、こちらも要チェック。リーゼントに、ペチャンコカバン。ちなみに、こちらのヒロインはガッキーです。


「龍が如く」 (2007年)

監督:三池崇史、出演:北村一輝。岸谷五朗がヤクザ怪人を熱演しています。監督は、本作とおんなじ。音楽は、クレイジーケンバンド!


「ドラゴンヘッド」 (2003年アミューズ)

監督:飯田譲治、原作:望月峯太郎、出演:妻夫木聡。山田孝之といえば、「電車男」 で百式のTシャツ着て泣きながら走っていたイメージが強いですが、その前にこんな映画もありましたなあ。顔面を真っ赤にペイントして、殺意むき出しの軟弱男を怪演していたのがこの映画。本作で顔中を血だらけにして笑っていた場面を見て、これを思い出しちゃいました。





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2009-04-19

詩編 「桜の花びら」

テーマ:詩編

桜の花びら 舞い落ちる


風に吹かれて 舞い落ちる


居心地のいい枝に 別れを告げて 今 役目を終えた


ひらひら ひらひら 飛んでいく


迷いはない 悔いもない




俺は見たぞ お前の姿を お前はまだ終わっていない


最後の着地点に到達するまで 俺が見送ってやる


俺が見ているから しっかり飛べ


俺が見ているから 宙を舞え


ちっぽけなお前には 限りない美しさがあるのだ



だから 最後までしっかり飛べ


お前が生きた時間と 俺が生きた時間が重なったから


お前の一生には意味があるのだ



地面すれすれ また舞い上がる そうか まだがんばるか


信号が変わった 俺はもう行くよ


最後まで見送れないけど お前の勇姿を忘れない


小さな友人よ またどこかの世界で迷った時に 会えるといいな





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2009-04-12

ネタバレDVD探検隊 ~トンデモサスペンス編~

テーマ:ネタバレDVD探検隊

このコーナーも、本来はこんな映画見ちゃイカンよっていう警告のつもりで始めたんですが、最近はすっかりスタイルが変わっちゃいました。劇場公開中の作品はネタバレしないけど、DVDで見られる作品は別モノ。今回も、尾ヒレをたくさんつけて紹介します。そんな場面ないぞ、そんなセリフないぞと怒りの声もチラホラですが、俺の記憶と心象風景ではそうなっていますので、嘘偽りはありません。ひとつご理解を。


今回は、トンデモなサスペンス映画を2本紹介。世の中不安なことだらけで、神経過敏な人が急増中。そんな時は、トンデモサスペンスの世界に浸りましょう。あまりの不条理さに、しばし自分の悩みを忘れられます。見終わった後は、自分の生きている世界はまだマシである、と自覚すればよろしい。…では、いざ探検!




「屋敷女」 (2007年フランス)


主演は何と、ベアトリス・ダル。おおっ、「ベティ・ブルー」 で激しい女を演じて恋人を脅しまくり、「ナイト・オン・ザ・プラネット」 では気骨あふれる盲目な乗客を演じ、黒人のタクシードライバーをコケにしまくったコワモテ女優ですな。その彼女もすっかりオバチャン世代になり、魔力が増してきたことでしょう。で、本作の役柄は、ハサミを武器にした殺人鬼。


主人公は、出産予定日を明日に控えた女性。しかし彼女は、赤ちゃんが生まれる喜びを感じている余裕はなかった。それは、交通事故に遭って夫を亡くしてしまっていたから。自分とお腹の子だけ生き延びてしまい、本来なら夫の分も強く生きようという気持ちが出てくるべきなのかもしれないけど、人の心はそう単純じゃないもんです。


病院の廊下で彼女が座っていると、怪人ベアトリスがナース姿で現れ、何と隣でタバコを吸い始める。さすがの彼女もこれには少しばかり慌ててしまう。他の看護士に注意され、不敵な笑いを残して去っていく怪人ベアトリス。これが、悪夢の始まりであった…。


彼女は、1人で出産することに決めていた。母親が家に泊まるように言っても、『…1人で大丈夫。』 と遠慮する。職場の上司であるおっさんも、しきりに心配しているようだから、どうも彼女に好意を寄せているらしい。ははあ、周りが優しくし過ぎてうんざりしているのかも。きっと煩わしいんですね。


結局、明日の朝に上司のおっさんが迎えに来る約束をし、彼女は1人で夜を過ごすことになった。屋敷かどうかはわからんが、屋敷女の運命はいかに?


その夜に、謎の訪問者が。彼女の名前も、妊娠していることも知っている。気味が悪いので無視すると、ガラスを素手で割って侵入。きゃあ!ドタバタ逃げ回って、彼女は警察に通報。


通報で警察が駆けつけた時には、誰もいなかった。家の外にも人影はなし。あっさり警察は引き上げる。彼女が寝室で眠りにつくと、いつの間にか部屋の中に怪人ベアトリスの姿が!


ハサミを手にしたベアトリスは、ゆっくりと彼女に近づく。服のボタンを外し、あらわになった妊婦のお腹に、ハサミがを突き立てられる。狙いを定めて、ヘソをブスッ! 『…きゃあ!』 流血がしたたり、目を覚ます主人公。怪人は、ハサミを振りかぶってグサグサと執拗に攻撃!


顔を負傷した主人公は、とにかく逃げる。他の部屋に逃げて鍵をかけるが、すぐに追いつかれてしまう。ドアにハサミがドン、ドン、と突き立てられて穴があく。彼女は恐怖のあまり絶叫。その瞬間、ブツンと破水(爆笑)。CGの赤ん坊がもがく姿もキモチワルさに拍車をかける。…おお、何だか盛り上がってきたぞ。


こんなことなら、母親の家に泊まればよかったのか、あるいは上司に泊まってもらったらよかったのか。いいや、いずれにしても怪人ベアトリスに殺されてしまうだろう。赤ちゃんの命は、母親である自分が守らねばならんのだ!絶叫しながらもがく彼女の姿は、生きる力がまだ残っていることを証明していた。


非力ながらも、怪人と対決しようとする彼女。ドタバタしていると、上司のおっさんが現れた。『…心配だから様子を見に来たんだ。』 怪人ベアトリスは、とっさに母親のフリをする。『…彼女は心配ないわ。』 あっさり信用するおっさん。しかし、本物の母親が現れてバレてしまう(苦笑)。『…チッ!』 とたんに殺害され、警官も全滅(爆笑)。


『…やっぱりあたしが戦わなくちゃ!』 またドタバタが始まるが、今度は警察が来た。怪人はまた母親のフリをするが、やっぱりバレてしまう(苦笑)。で、警察も殺す(爆笑)。最強でんなあ、オバチャン。


結局、女同士の戦いになる。怪人ベアトリス優性。しかし、余裕でタバコに火をつけた瞬間、すかさず主人公はスプレー火炎放射で逆襲! 『…ぎゃあああ!』 怪人の顔が燃え上がり、断末魔の悲鳴が…と思いきや、なかなかる死なない怪人ベアトリス。 …その時、陣痛が始まった!(大爆笑)


顔面がただれた怪人ベアトリスが、股間に迫る。さあどうする?身動きできない主人公。これでは、出産できない。力んでも出てこない。怪人ベアトリスは、再びハサミを持った。刃先は、やっぱりヘソに向かう。今度は逃げられない主人公。ああ、絶対絶命!…ブスリ、ぎゃあああ!


ハサミをヘソから差込んで、ジョキジョキと帝王切開が始まる。映像はボカシが入ってよくわからんが、きっと凄惨なシーンなんでしょう。 …そうか、赤ん坊を産むってタイヘンな痛みと苦労があるんですねえ(感心するとこが違うだろ)。


母親は絶命か?取り出した赤ん坊を抱いた、顔面溶解女怪人ベアトリス。実は彼女は、夫が事故った相手だった。ぶつけたのは夫の車の方で、ベアトリスのお腹の赤ちゃんを死なせていたらしい。 …ていうか、今まで知らなかったの?保険会社の話し合いはしなかったの?警察は取り調べなかったの?


事故現場には、苦悶する2人の妊婦がいたんですねえ。つまり、自分は子供を失ったのに、殺した相手が無事に出産するのは許せない。生まれるべきは、あたしの子供なんだ!だから、子供はあたしのものなんだ!


これって、「ゆりかごを揺らす手」 のレベッカ・デモーネイを思い出しますね。あれは、ベビーシッターを装って家に侵入した映画だったっけ。こっちは、思いっきりダイレクトなバイオレンス。怪人ベアトリスは、腕っぷしは強いが、どうもアタマが悪いようです。そして、モノマネもヘタだ。普通に出産してから盗んだ方が確実だったね。


難産の末に生まれてみたら、顔面溶解血マミレスババアが目の前に。こりゃあ、がんばって泣くしかないわな。泣け、力の限り泣くんだベイビー、レッツ・クライング・ベイビー。 …己の人生を背負って泣け!





「臨死」 (2007年アメリカ)


原題は 「THE INVISIBLE」。“見えないもの、気づかれないもの” という意味でよろしいかと。主人公のニックは、母親と2人暮らしの高校生。家は裕福で、成績は優秀。死んだ父親を慕う心が強く、母親に反感を持っている。優等生であるが、今まで親の言いなりだった自分にイラついている。


卒業を控え、進路のことで母親とモメていることもあって、心穏やかでない彼にとって唯一の息抜きは、親友ピートの存在だった。しかし、意気地なしのピートは、イジメグループにカツアゲされて困っていた。ニックは、札ビラを切って金で解決しようとする。 『…彼が借りた金はいくらだ?これで足りるか?』 ううむ、一番マズい対応だってりして。


イジメグループのリーダーは、家庭環境フクザツの不良少女、アニー。彼女は、金持ちぼっちゃんであるニックの行動にムカツく(そりゃそうだ)。『…バカにしやがって!』 彼女はニックを睨みつけると、つかつかと歩いてきて、だんだん走ってきて…何とニックに飛び掛った!(爆笑)


学校内の暴力事件となり、呼び出される2人。先生は 『…どうして成績優秀な君が…らしくないな。』 『…彼女、僕にゾッコンなんです。』(苦笑) とりあえず色恋沙汰の痴話ゲンカということで、注意だけ受けて解放され、アニーに貸しを作ったつもりのニック。彼はきっと、自分より下の人間を憐れむことで、精神のバランスを保っているんですね。これじゃ、友達は少ないでしょう。いたとしても、たかられるだけか。


いつも黒のニット帽を被ったアニーは、悪態ぶりが徹底しているが、あまりモノを考えてなさそう。次の瞬間に何するかわからん、アブナイ女。弟のマーカスだけが、唯一の心の支え。イジメを邪魔され、プライドを傷つけられ、イラ立つアニー。『…ちきしょう、ニックめ。育ちのいいおぼっちゃんのなんかに、あたしの気持ちがわかるもんか!』 バカだなあ、上手に付き合えば、いい金ヅルになったのに。


アニーの彼氏マーカスは、仮釈放中の男だった。2人で組んで盗みをする時にも、アニーの身勝手さにマーカスはうんざり。ある夜、宝石と車を盗むが、無鉄砲さと自分勝手さで計画を台無しになり、彼女と口論になる。アニーが盗んだ宝石を一方的に持ち帰ったことで、マーカスは逆上し、何と自分のケータイで警察に通報する(爆笑)。


通報により学校に駆けつけた警官は、アニーのロッカーから盗品の宝石を発見。アニーは逃げ回るが、警官たちに取り押さえられ、逮捕されてしまう。『…そういえば、ロッカーの近くでピートがあたしを見ていた。ちくしょう、あいつがチクったんだ!』 一方的にピートを疑うアニー。 …オカシイだろ、どうしてピートがお前が宝石盗んだことを知ってるんだ?


うーむ、こういうタイプの人は困りますよね。『…あたしの財布がない!』 なんて騒いで、近くにいた子供に 『…あんた、盗んだでしょう。このドロボー野郎!』 なんて言いがかりをつけて騒いだ上、結局財布は自分のカバンの中にあったりして、『…ああ、よかった。ごめんねボク、アイス買ってあげようか。』 とコロッと変わったりする。映画のこの場面だけ見ても、アニーがいかに短絡的思考の女であるかがよくわかります。


裁判まで一時拘留を解かれ、一旦帰宅するアニー。ピートを呼び出し、イジメグループの仲間とともに取り囲んで暴行。『…あんたがバラしたんだろ!』 『…違うよ、僕じゃない!』 『…あんたじゃなきゃ、誰だって言うのよ!』 『…ニックだ!』 …おお、親友をあっさり売ってしまうピート!


実は、ピートはニックが親に黙って今夜ロンドンに発つことを知っていた。どうせ今頃は、飛行機の中だと思ったから、彼女たちが追いつけるはずがないと踏んでいた。しかし…ニックは行かなかったのだ。


卒業パーティーでしこたま飲んで酔っ払い、道路をフラフラと歩いていたニックに、背後から近づく車があった。轢き殺されると思ったニックは、森に逃げる。車にいたのは、アニーの仲間とピートだった。追い詰めてボコボコにするアニーたち。懲らしめるだけかと思いきや、アニーは執拗にニックを蹴り飛ばす。やがて…ニックは動かなくなってしまった。 『…しまった、殺しちゃった!』 …やっぱりこのバカ女、何も考えてねえ!


発覚を恐れ、死体をマンホールの中に投げ入れ、マーカスのもとに行くアニー。『…あたしを売ったヤツを殺したの。どうしよう?』 苦笑する彼氏。この2人の関係もすでに終わってますな。今さら通報したのは俺だと言えないし、困惑するマーカス。『…アリバイがいるの。今夜一緒にいたことにして。』 しかしまあこの女、その場しのぎの悪知恵だけは働くんだよなあ。 


ニックは、森を歩いていた。もう朝になっている。そのまま歩いて学校に行くが、誰もが彼を無視する。教室に入っても、誰も自分を見ない。授業で発言しても、大声を出しても無反応。自分はどうやら欠席したことになってるらしい。そのうち、自分の悪口が始まった。『…アイツはロクでもない男だ。』 この状況はツラい。人間関係なんてそんなもんかな。ニックはみんなが悪ふざけしていると思い、ムシャクシャして本を投げつける。しかし次の瞬間、それはもとに戻っていた。この描写は面白いと思う。


パニックになり、学校を飛び出すニック。人にぶつかっても車に轢かれても、全部すり抜けていく。まるで透明人間になったようだ。そういえばポールバーホーベン監督の透明人間のリメイクは 「インビジブルマン」 だったっけ。主人公のケビン・ベーコンのチンコも透明になって、海綿体が露出してたっけなあ。


傷心のニックが家に帰ると、自分が行方不明になって警察が捜索しているらしかった。『…僕は本当に死んだのか?』 犯人であるアニーにひたすら付きまとい、ののしりながら捜査の行方を追うニック。かくして、ストーカー幽霊となったニックの、さすらいの旅が今始まったのであった。


アニーも事情聴取を受けるが、『…知らないわ。マーカスと一緒だったし。』 しらばっくれる彼女の横で 『…嘘つけ!お前がやったんじゃねえか!』 とわめくニックであったが、残念ながら誰にも彼の声は届かない。


警察が森を捜索することになり、捜索隊にはピートの姿があった。これはアニーの指示で、死体が見つからないようにミスリードさせるため。どこまでも主体性のない奴だ。おどおどして挙動不審のピート。こりゃあ、かえって怪しいなあ。ますますイラ立つニック。『…僕はまだ死んでない。そっちに行くな、こっちだよ!』 遺留品は見つかったものの、死体は発見できないまま、その日の捜索は終了。


ピートはその夜、アニーたちに呼び出される。 『…ダメだ、このままじゃ見つかっちゃうよ。』 『死体は見つかっていないわ。』 『…僕、警察に本当のことを話すよ。』 『…そんなことしたら、刑務所行きよ!』 『…やったのは君だろ!』 『…あんたも黙って見てたでしょ!立派な共犯よ!』 …ムチャクチャな屁理屈。


こうしている中にも、イジメは続いているんでしょう。ピートは、ニックの家に侵入して金を盗む。『…ごめんよ、ニック。』 その姿を間近で見つめるニック。彼は悪いことをしたけど、心底憎めない。やっぱり、親友だったから。ピートの涙を見て、さらに母親の泣き崩れる姿を見て、彼は何かを感じられずにはいられなかった。


マーカスは、ピートを脅してニックの死体を移動させる。改めて死体を見たピートは、自分の罪の重さを知るのであった。しかし、家に警察が来るとやっぱり逃走。あっさりつかまってしまう(笑)。しかし、父親が迎えに来て強引に連れ戻されてしまう。やっぱり、彼も過保護だったんですな。そもそもコイツの優柔不断さが、事件を大きくしてしまったんだからねえ。


マーカスは、ピートと共にアニーグループの男と接触し、アニーを呼び出す。アニーが現れると、ピートを帰す。『…あいつは、警察に尾行されているからな。』 アニーに銃を突きつけた瞬間、警官がウジャウジャ現れる(爆笑)。そういえば、「アニーよ銃をとれ」 っていうミュージカル映画があったっけ。アニーはマーカスから銃を奪い(奪われるなよマーカス)、軽~く鬼ごっこをしながらあっさり逃走。(発砲しろよ警官)


遠ざかるアニーを目で追い、ストーカーニックは叫ぶ。 『…絶対捕まるぞ!』 『…誰が!』 『…あれ、僕の声聞こえた?』


孤独に逃げ回るアニー。マーカスからもらったペンダントを売って金にし、帽子を脱いでディスコで踊り狂う。その姿を見たニックは、何やらときめいた様子(ときめくなよ)。彼女を恨む気持ちは、違うものに変化していくのであった…。


母親の墓の前で泣くアニー。彼女は、彼と反対に、母親を亡くしていた。新しいママに馴染めず、反逆児になったらしい。ニックは、彼女がうらやましく思えた。『…君みたいに行動できたら、僕の人生も違うものになっていただろうな。』 いやいやニック、こんな生き方しちゃイカンよ。ニックは、彼女の耳元で延々と身の上話を続けるのであった。 『…聞こえてるんだろ?アニー。』


バスに乗って遠くへ行こうとするアニーの傍らで、ニックは囁く。『…ビクターはどうする?行く末は君と同じだぞ。』 『…停めて!』 バスを降りて、学校へ向かうアニー。誰もいなくて無防備な学校。 「セカチュー」とおんなじですな。ナイフ1本で簡単にピッキングできる学校の出入口。アニーは、自分のロッカーにビクターあての封筒を入れる。中身はお金。


『…頼るのは君しかいない、皮肉なもんだけどな。…時間がないんだ、アニー!』 絶叫した声に振り返るアニーであったが、そこには誰もいない。切なさと恐怖が入り混じり、アニーは涙を浮かべるのであった。


服を脱いで、シャワールームに入るアニー。ニックは、ちゃんと廊下にいて目をつぶっています。さすがはおぼっちゃん、紳士ですなあ。せっかくだから見ちゃえばいいのに。体育館のマットの上で眠るアニー。添い寝をするニック。しかし朝になって気がつくと、彼女はいなかった。 『…しまった、逃げられた!』(爆笑) …幽霊が寝過ごすんじゃねえ!


彼女は、ニックの死体を隠した現場に向かった。しかし、死体がない。途方にくれた彼女は、ニックの部屋に侵入。アルバムを眺め、微笑むアニー。どうやら、2人は幼なじみの同級生だったらしい。この時点で、ニックの憎しみは消えていくのであった。


アニーは再び学校に侵入し、ピートを問い詰める。『…ニックの死体はどこよ?』 ピートは、ようやくアニーに告白する。『…君を通報したのはニックじゃない。きっとマーカスだ。君は意味もなくニックを殺したんだ。』 『…そんな、まさか!』 …だから最初からオマエがおかしいんだって!


逆上したアニーは、マーカスを追う。ピートは、服毒自殺を図る。マーカスとアニーは銃で撃ち合い、双方重傷を負う。流血したアニーは、警察に通報。『…ニックの居場所を教えるわ。』


ニックの死体は、ダムに移動させられていた。しかし、まもなく放流が開始されるという。『…大変だ、僕の体が!』 ニックは、自分の死体を抱えて叫ぶ。『…助けてくれ!ヘルプミー!』(爆笑) うわはは、これはセカチューより笑えますな。


『…弱いが、まだ脈があるぞ!』 何と、ニックは生きていた!あ、そうだ、この映画のタイトルは 「臨死」 だったっけなあ。おぼっちゃんの割には、すばらしくタフな肉体ですなあ。病院に搬送され、処置を受けるニック。ガラスを隔てた廊下で、心配そうに見つめる母親と幽霊ニック。この絵柄も、何となく笑えます。


一方、パトカーとカーチェイスを繰り広げるアニー。追い詰められても包囲網を突破して逃げ回る。彼女はもう、どうしようもないのだ。どこにも帰る場所がないアニーの行き着いた場所は、ニックが搬送された病院だった。アニーを見つけたニックは、声で彼女を誘導する。『…僕は、この向こうにいる。』 しかしニックの母親が見つけ、アニーだと知って驚愕する。『…あなた、何しに来たの!』


『…彼を感じるの。』 アニーは、ニックの言いたかったことを代弁して母親に話す。死んだ父親のことや、疾走後の気持ちのことなど、彼しか知りえないことを、アニーの体を通して話す。『…ママ、僕はここにいるんだ。』


『…どうしたいの?』 『…彼に会わせて欲しいの。』 『…それはダメよ。』 『…会わなきゃいけないの。きっと彼の意識を取り戻せるわ。』 銃を母親に渡して、流血した下腹部を押さえて、アニーは病室に入る。


ベッドに横たわる、痛々しいニック。(微妙な胸毛が笑える) 『…ごめんね、ニック。知らなかったのよ、あんたのこと。やり直せたらいいのに…ニックお願い、死なないで。』 『…僕はここだ。』 『…ああ、ニック…。』 ペンダントを胸毛の海に沈めるアニー。感動的な場面なのに、笑いが止まりません。


その時、ニックの意識が回復。普通にクルッとアニーの方を振り向くニック。おいおい、首の骨は大丈夫か?お前、何回も落とされたろ?恐ろしく強靭な肉体ですなあ。お前は 「アンブレイカブル」 のブルース・ウィリスか!


アニーは感極まって言う。『…一度でいいから、いいことをしたかった。』 それは、かつて弟に言った言葉であった。ビクターは、自分のようになって欲しくないのだ。ニックは、それをわかってくれている。『…できたよ立派に。君は僕を助けてくれた。君は、命の恩人だ。ありがとうアニー。』 アニーは、静かに息を引き取った。病院のベッドで今、2つの魂がつながったのであった…。


それからしばらくして、湖のほとりでラジコンを飛ばす少年がいた。彼は、アニーの弟ビクター。姉ちゃんが残した金で、ちゃっかりラジコン買ったんですね。貧しい家なんだから、もうちょっとマシな使い方があってもよさそうなもんですが、そこは言いますまい。粋な買い物したね、少年。 しかしまあ、イジワルな親によく取り上げられなかったもんですね。


ニックがビクターに近寄り、『…姉さんにメッセージを送ろう。』 と言う。飛行機の翼に “Hey,Annie!” と書いて、再び飛ばすのであった。ここで、映画は終了。姉さんは風になって、あの大きな空を吹きわたっています…といったところでしょうか。


殺した女を憎んでつけまわして、殺した男を恐れて逃げ回って、いつしかそこには愛が生まれてしまう。しかし、実際付き合ったら、あの女はタイヘンだよ、ニック。だから、うまいこと死んでくれてよかったね。君はこれから、好きな人生を歩むといい。


…だけどなあ、ニック。世の中そんなに甘くないかもしれないよ。アニーの魂は、きっとまだそこら辺をうろついているかもしれない。きっと君の肩に張り付いて、耳元で延々と自分の身の上話をしていることだろう。 …そう、君が彼女にそうしたように…ウッヒッヒ。





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2009-04-10

ウォッチメン

テーマ:洋画

ヒーローだって、ストレスがたまるのだ。 …悪者を倒すには、相手以上にワルになるしかない!


アメコミのヒーロー映画なのに、R15ってどうよ。予告編を見ても、どういう映画なのかさっぱりわからない。きっとバイオレンス描写がモノスゴイのかもしれん。これは見に行かねば!


“ウォッチメン” とは、時計付きのカップラーメンではなく、“見張り” という意味だそうな。“watch” という言葉は、名詞では “時計” ですが、動詞だと “見る” という意味になります。表記は “watch men”。“men” は “man” の複数形なので、“見張る男たち” という解釈でよろしいかと。


原作は、デイブ・ギボンズの同名グラフィックノベル。監督は、ザック・スナイダー。製作は、ローレンス・ゴードン。


出演は、ジャッキー・アール・ヘイリー、ビリー・クラダップ、マシュー・グード、パトリック・ウィルソン、マリン・アッカーマン、ジェフリー・ディーン・モーガン。


さて、映画ですが、ムチャクチャながらもパワフルな作品に仕上がりました。SF映画ですが、上品なシロモノではありませんので、デートには向かないかも。ストレスの溜まった野郎同士で行くのがいいように思います。ただ、雰囲気になじめないと、余計にストレスがたまる可能性もあるので、物事をあまり深く考えたくない人は遠慮すべし。ある意味、玄人好みの映画。


舞台は、ニクソン大統領時代のアメリカ。東西の冷戦が続き、核戦争の恐怖が現実のものになりつつある世界において、引退したヒーローが何者かに殺害される。かつての仲間たちは、犯人を探すべく立ち上がった…。


ところで、この映画の主演は誰だろう?6人のヒーロー全員かもしれないので、1人ずつかいつまんで紹介することにしましょうか。(パンフ掲載順)


①ロールシャッハ

名前のごとく、マスクの顔が “ロールシャッハテスト” になっています。仮面の模様が刻一刻と変化していくのが楽しい。これって、感情によって動くのかな。何だか、タイガーマスクに出てきそうなキャラ。これを被ってトレンチコートを着用しているところは、江戸川乱歩の怪人みたい。本作の語り部を、「タクシー・ドライバー」 風に務めています。


②ナイトオウル Ⅱ

名前のごとく、2代目のようです。初代のジイサンを時折訪ねて話を聞いてあげる律義者で、ロールシャッハとはコンビを組んでいた。いでたちは、バットマンとナショナルキッドを足して10で割ったような雰囲気。ナイーブな性格で、6人中一番おとなしそう。


③ドクター・マンハッタン

コイツが一番問題のキャラ。研究施設の放射能事故により、青く光る体を手に入れました。各種超能力はもちろん、巨大化もテレポートも自由自在。登場場面の九割がマッチョなオールヌードなので、青いチンコがブラブラ。そうか、コレのせいでR15になったんじゃねえの?


④シルク・スペクター Ⅱ

初代は母親。紅一点のセクシーキャラですが、美しいかケバいかは観客の判断。他に女が出てこないので、オヤジのみなさんはとりあえずこの子でガマンして下さい。脱ぎっぷりがいいので、「ファンタスティック・フォー」 のジェシカ・アルバよりは魅力的。


⑤オジマンディアス

弾より速く動いてしまうので、銃で仕留めるのは難しいでしょう。頭もいいので、口げんかしてもかなわないでしょう。いでたちは、ゴジラ映画の悪者宇宙人風。クールで、面白味に欠けるキャラ。きっと、友達がいないんでしょうね。この孤独さが、彼をますます強くしていくんでしょう。


⑥コメディアン

このおっさんは、常に酔っ払っているようです。アル中のヒーローといえば 「ハンコック」 ですが、こっちの方が面白い。ミーティングに酒を持ってきて怒られてました。いでたちは、SMクラブのオーナーといったところでしょうか。観客の女性の99%が、彼を見てドン引きすることでしょう。1%の貴女は、彼に調教してもらって下さい。


というわけで、一応の主役はロールシャッハのようですが、全員が濃ゆいキャラなので、存在感のバランスがムチャクチャ。誰がいつ死んでもおかしくない状況ですが、みなさんそれぞれ体が丈夫なので、なかなか死にそうもない。観客は、誰に感情移入してみようもない。ただひたすら、彼らが繰り広げるドツキ合いを、固唾を飲んで見守るしかない。


しかしまあ、すごい集団だと思う。きっと彼らは、正義を行おうという気はないんでしょう。ムシャクシャしてやった、アタマにきたからやった行為が、結果的に悪者をやっつけただけのような感じがします。これって、とってもリアル。…さあ、キミはどのタイプ?





ヒーローっていうのは、実際にやってみるとなかなかツラい職業だと思う。そうそう絵に描いたようなイメージ通りには、うまく行動できない時もある。キレイゴトには限界があるし、人の見方は千差万別。いつの世であっても、バッシングはあるでしょう。「大日本人」 しかり、「鉄人タイガーセブン」 しかり。


本作に登場するヒーローたちは、全員が変人である。でも、それが魅力。変わった人間には、人にできないことができるから、特殊な役割があるのだ。自分にしかできない得意技で、悪と戦うのだ。


この映画は、ある特定のジャンルの人に勇気を与える福音となるかもしれない。アメコミのヒーローには、ダークな要素があるものが多いけど、これはなかなか俺的にイケてます。少数限定、わかる人にはわかる世界。彼らの行動が、世間的には褒められたもんじゃないかもしれないけど、カタルシスを感じさせてくれる。もしかしたら、今こそ彼らのような存在が必要なのかもしれない。まさに、ヒーローを超越したヒーロー。ウルトラなウルトラマン。


人は誰でも、何かの役に立っている。本人が自覚していなくても、見えない形で誰かを助けているもの。そこで個性というものが重要になってくる。俺は、“人並み” という言葉があまり好きではありません。人と違うことは、本来誇るべきことなのだ。


ウォッチメンのおっさんたちは、人から嫌われている存在なのかもしれない。だけど俺は、彼らが何だか他人に見えない。彼らがダークな仕事をちゃんとしてくれるからこそ、世の中が機能しているようにも思える。そういう部分で、ありきたりのヒーローとは一味違う魅力があると思うんです。


みんなに気に入られようとすれば、ますます嫌われる。みんなが平等に幸せになる社会ってのは、現実にはムツカシイ。所詮、人は完全にはまとまらないのだ。それは、みんなそれぞれ違う生き物だから。


能力の高い人ほど、孤独である場合が多い。逆に言えば、孤独な人には潜在能力があるということ。家族や友達と仲良くできても、自分の中の全てを理解してもらうのは不可能。そういう部分で共鳴できる相手が、真の見方となるのだ。どんなに性格が悪くても、周囲から嫌われていようとも、俺はそういう友人を大切にしたいと思う。


ダークな心には、居場所が必要。誰にも、自分にふさわしい場所というものがある。自分は変わっている、と悩んでいる人は、みんなと違うということに誇りを持つべきなのだ。そんな自分だからこそ、他の人には見えないものが見えるんだし、人に理解できないことが理解できるんだし、人にできないことができるんだから。 


生きるのは楽じゃないし、正義を貫くことも楽じゃない。正しいかどうかなんて、他人が勝手に決めること。弱気になって逃げ回るよりは、反撃して戦い抜くべし。何をしても否定されるくらいなら、好きなようにやる方がいい。人の評価なんて一時のこと。正しいか間違っているかではなく、自分が自分として精一杯行動しているかが問題。最後の審判は、自分自身が下すのだ。


正義の味方はストレスがたまる。オヤジはフラストレーションがたまる。理不尽なものに対する怒りを、毒々しい炎に変えて悪を焼き尽くせ。やるなら徹底的にやれ。叩き潰して粉砕せよ。そして、自分の中のモヤモヤも吐き出してしまえ。 …いざ、デトックス・ファイト!


悪いなあ、兄ちゃん、俺らはこんな風にしか生きられねえんだ。マトモに生きられるなら、それに越したことはねえ。だけどよう、それで世の中うまくいくこともあるんだ。ようく覚えときな。


ウォッチメンに学べ。辛酸なめたオヤジたちの生き様を、己のダークな心に刻み込め。異形の心は、生身の人間である証し。だから、根底にあるものはみな同じなのだ。 …彼らの “ドツキ愛” を、しかとウォッチせよ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:4月6日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 20:00の回 観客:約15人

親友のYD君と2人で行きました。この日はメンズデーで1000円。帰りの車の中で、熱く語り合いました。


【上映時間とワンポイント】

2時間43分。ダラダラと長いですが、オヤジのペース配分で行動すると、こんなもんでしょう。意表をついた選曲にもびっくり。ボブ・ディランとか、サイモン&ガーファンクルとか、ネーナとか…。


【オススメ類似作品】


「ダークナイト」 (2008年アメリカ)

監督・脚本:クリストファー・ノーラン、出演:クリスチャン・ベール。ジョーカー役のヒース・レジャーの遺作となった作品。彼は、自分の死期を感じていたんでしょうか。鬼気迫る名演技もすごかったけど、彼の最大の魅力は、あのぶっとい声だと思います。“怪人笑い” はサイコーでした。バットマンは、途中からブチ切れて応戦。やっぱり、悪を倒すには、悪以上に悪にならねばならんのだ。


「シン・シティ」 (2005年アメリカ)

監督・原作・製作・脚本:フランク・ミラー、出演:ブルース・ウィリス。マンガがそのまま実写になった映像がド迫力でした。これはシブい。そしてカッコいい。マニアックな俳優がウジャウジャ出ています。デヴォン青木のよくわからんアクションも最高にクール!


「ケモノヅメ」

先日の記事でも紹介した、日本のアニメーション。ストーリーのぶっ飛び度は、本作に負けていません。ダークでマニアックな世界は、やっぱり居心地がいいなあ。ケモノ女と付き合うには、やっぱり体力がいるぜ。



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2009-04-04

昴 ースバルー

テーマ:アニメ・特撮

コワモテ鉄仮面ダンサー登場。 …ガタガタ言うんじゃねえ、しまいには踊っちゃうぞこの野郎!


“昴” とは、谷村新司のアレではなく、主人公の名前です。パンフによると “宮本すばる” という平仮名表記なのに、タイトルは漢字。これは、星座でいう ところの昴と関係があるのかな?六連星の星座なので、ライバルが最終的に6人になったりして。広辞苑によると、昴には、“1つにまとまる” という意味もあるらしい。


原作は、曽田正人の同名マンガ。現在は続編の 「MOON」 がビッグコミックスピリッツで連載中。監督・脚本は、リー・チーガイ。衣装デザインは、黒澤和子。主題歌は、倖田來未。


出演は、黒木メイサ、桃井かおり、佐野光来、平岡祐太、Ara、前田健、筧利夫、そしてなぜか東方神起。


さて、映画ですが、色気ゼロのマッチョな作品に仕上がりました。とにかくパワフルなので、画面の迫力に圧倒されっぱなしでした。原作を知らない立場で見ると、ただひたすらに笑えます。


幼い頃に、母親と弟を相次いで亡くし、父親と2人になってしまったすばるは、ダンサーになることを志す。それは、亡き弟のためであり、自分のためでもあった。反対する父親に後ろめたさを感じながらも、着実に力をつけていくすばるであったが…。


主演は、黒木メイサ。彼女は、セリフを言わない方が画面的に映える。踊っている場面だけは見応え充分で、なかなかカッコよかった。演技力はゼロに近いけど、本作にかける情熱を買いましょう。ダンスは得意だけどバレエは未経験だったので、短期間でステップをマスターし、見事に演じ切ったようです。プロから見たらどうかわかりませんが。


バレエのことはさっぱりわからないけど、彼女は、バレリーナという雰囲気じゃないと思う。イメージが固いというか、何だか直線的な感じがするんですね。女性特有の “曲線美” というものがまるで感じられない。バレエというよりは、カラテみたいでした。優雅に舞うというよりは、敵を蹴散らすような攻撃性を感じる。バレエって、そういう要素もあるんだろうか?だからこれ、バレエ映画じゃなくてダンス映画だと思います。


名前がわかんないけど、すばるの子供時代を演じた女の子がなかなかよかった。性格がキツくて、かわいくないところがいい。弟がカワイイ少年だったことが、余計にダークな彼女を引き立てました。


そんな主人公をガッチリ受け止めるのが、大物女優・桃井かおり。実は俺、かおり姉さんが見たくて劇場に行ったというのが本音です。役柄は 「あしたのジョー」 の丹下団平のような立場。彼女がバレエをやっていたことは有名。TVのCMなんかでも、バレリーナの仕草を見せてくれたのがあったっけなあ。年を食っても、やっぱりかおり姉さんは色気ムンムン(死語)でした。昨年の 「ジャンゴ」 の美しいアクションも記憶に新しい。


幼なじみの友達を演じるのは、佐野光来。彼女は、小中学生の頃にバレエを習っていたそうです。地味な役柄ですが、主人公が鉄仮面なので、俺的には彼女の方が魅力的だった。真面目で、自分に正直なセリフがなかなか女の子らしくてよろしい。原作の彼女はどういう雰囲気なのかな?


ライバルのダンサーを演じるのは、韓国出身のAra。角川春樹のオレサマ映画 「蒼き狼」 に出演していたけど、あんまり印象なかったなあ。日本語が堪能だけど、演技はイマイチ。むしろ、英語か韓国語でセリフ言った方がよかったかも。見た目は美しいけど、何だかちょっとアンバランスなキャラ。ただし、バレエのシーンは美しかった。


主人公が全く男に関心がないせいもあって、平岡祐太は影が薄いことこの上ない。はっきり言って、いなくてもよかったですね。最後まで存在感ゼロでした。劇場を出た頃には、彼の顔をみんな忘れているかもしれません。何だか、かわいそうな男。まあ、演技力もないみたいだし、どうでもいいかと。


で、一番イカンのが、コーチ役の筧利夫。彼は、どう見ても体が固そうでダンサーに見えません。中盤に彼が登場した途端に、映画のテンションが思いっきりダウン。気合いビシバシの指導風景は、やっぱりカラテ道場じゃん!バレエ映画やめて、カラテダンス映画にしようよ。


バレエ指導者の役柄は、もうちょっと雰囲気のある人に演じて欲しかった。熊川哲也、ミハイル・バリシニコフは無理だとしても、大澄賢也とか、マツケンサンバの真島茂樹を起用しても、充分冒険できると思う。演技力はなくても、ダンスにかける情熱は表現できるはずだから。(あ、田原俊彦なんてのも面白いかも)


そういう意味で、特筆すべきは、前田健であります。彼は、松浦亜弥のモノマネ(はるな愛ではなく、キモチワルイ方)で有名なお笑いタレントですが、19歳でニューヨークに留学して歌とダンスを修行した経験を持っています。役柄は、“桃井ダンス劇場” の雇われダンサー。彼のナイーブな雰囲気が、ダンサーとしてのオーラを感じられて、なかなかよかった。ステージの近くにいる男、という存在感があると思います。


彼の物腰や仕草はとてもやわらかく、かおり姉さんとの掛け合いも自然な感じ。ずっと一緒に仕事をしてきたような説得力があります。本作中で、一番安心感を与えるキャラでした。彼の雰囲気って、ハリウッドでいうところのジャック・ブラックに似ているかも。決して二枚目ではありませんが、あたたかみのあるキャラとして面白いと思います。今回は、彼が収穫でした。かおり姉さんと彼の演技にこそ、お金を払う価値があります。


この映画の原作は、きっと面白いんじゃないかって思います。「め組の大吾」 は全巻読んだし、マンガの作風は理解しているつもり。映画は、エイベックスが製作したせいもあって、ムダにゴージャスな装飾が付き過ぎてしまった印象が強い。クライマックスであるコンクールが開催される場所は、映画では上海ですが、原作ではスイスだったとか。これは、プロデューサーと監督が香港の人だからでしょうね。


で、問題の東方神起。劇中のライブハウスに登場して踊りながら歌ってましたが、ゴージャスというよりは、かえって三流シンガーみたいな扱いでショッパかった。エンディングテーマは、倖田來未がガンガン歌ってましたが、これって 「フラッシュダンス」 のノリ?映画見た後で、タコ焼き食いたくなりそう。双方とも、実力のあるアーティストなんだろうけど、楽曲が映画に合っていないような気がします。でもまあ、今どきの若者にウケればいいでしょう。


それから、一応はバレエ映画なんだから、エンディングテーマくらいはもっと格調高いものにして欲しかったなあ。それこそ、サラ・ブライトマンとか、セリーヌ・ディオンとか、白鳥英美子とか、堀江美都子とか、しなやかなボーカリストいっぱいいるじゃん。


そんなわけで、この映画はどんな映画ですかと聞かれれば、トンデモ映画です、と答えましょう。バレエ映画というよりは、やっぱりダンス映画。ゴージャスな具がたっぷり入った、バランスの悪いゲテモノ料理のような映画。 …さあ、恐いもの見たさで劇場に行く勇者はいるか?




人にはそれぞれ、自分にふさわしい表現手段がある。その人の持っている最高のものを、人に伝えることができる方法。それは、生まれながらに持っているものであったり、努力して身に付けたものであったりと様々ですが、一番大事なのは、本人が楽しいかどうか、好きであるかということだと思う。本作の主人公は、それがバレエであったということ。


映画の主人公は、踊ることによって自分を表現する。踊ることは、生きること。前に進むために、新しい自分に生まれ変わるために、踊りまくって “脱皮” するのだ。だから、本気で踊る。真剣に踊る。戦って踊る。ライバルと、自分自身と、自分の運命を変えるために。


黒木メイサの長所は、“迷いがない” ということではないでしょうか。彼女の表情を見ていると、全てのエネルギーを前に向かって放射しているように見える。余計な力を使わずに、全力で堂々と生きている、という感じ。


だから、女性特有のやわらかさに乏しい分だけ、むしろ男性的なオーラが感じられる。これは、宝塚の女優とはまた異質のものだと思う。その “異形” ぶりが何だか新鮮なのだ。バレエ団の中に入っていても、彼女は特異な存在感に包まれている。それを “浮いている” と言うべきか、“異彩” を放っていると言うべきか。


男の目線では、彼女は “色気のない女” というイメージ。しかし、女性から見たらどうなんでしょう?同性の視点で見たら、彼女はカッコいいのかもしれない。憧れの対象になるのかもしれない。とにかく彼女には、他の女優にはない独特の雰囲気があることは間違いないでしょう。


「着信アリ FINAL」 では、恐怖に怯える主人公というポジションが全く感じられませんでした。肝の据わった彼女の方が、よっぽど魔物であったように思う。「クローズ ZERO」 では、紅一点のヒロイン役でしたが、どう見てもケンカが強そうなので、ゴロツキの中にいても全く違和感がなかった。だから、誘拐された時はウソかと思いました。「ベクシル」 では声優に挑戦しましたが、声だけだとまるでドヘタでした。やっぱり、寡黙で強い役柄が合っているのではないかと思います。


そういう意味で彼女は、“スゴイ女優” になる可能性を秘めています。ただ、今までの役柄が全く合っていなかっただけかもしれないから。「クローズド・ノート」 で沢尻エリカに感じたものより強いものを、俺は彼女に感じました。少なくとも、バレエの特訓をした彼女の情熱だけは、本物だと思うから。


本作は、“黒木メイサの情熱をアピールする作品” としての位置づけでいいと思う。彼女の魅力を最大限に生かす題材が、絶対にある。彼女でなきゃ演じられない役柄が、きっとある。それがあるからこそ、神は彼女に才能を与えたのだ。映画監督のみなさん、脚本家のみなさん、彼女をイメージした映画を構想していただけないもんでしょうか。ぜひお願いします。オリジナル脚本による、黒木メイサの渾身の一作を見てみたい。(だから、ちゃんと演技を勉強しろよ)


彼女は、本作で “踊る力” を身に付けました。自分を表現する手段は、1つでも多くあった方がいい。この映画がどんなに酷評されようと、彼女は動じないことでしょう。それでいいのだ。まだ21歳。これからドンドン精力的に成長していけばいい。今はきっと、色んなことを吸収する時なんでしょう。


メイサを見つめる、かおり姉さんの深い表情が忘れられない。彼女はきっと、自分の若い頃を思い出しているんでしょう。お互いに、女優として、女として、この出会いをどうか大切に。 …ああ~いつの日か~誰かが~この道を~。


ダンスは戦いである。演技も戦いである。自分の心と戦う姿は、見る者を真剣にさせる力がある。彼女が踊る姿の端々に、眠っていたセクシーなエネルギーがチラリ・キラリと垣間見える。女優として開花した暁には、本作で培ったものがきっと役に立つことでしょう。それが出来た時に、かおり姉さんに心から感謝したらいい。


ふてぶてしいコワモテ鉄仮面ダンサー、メイサ・すばる。このねーちゃんには、凄みがある。 『…あたしはあたしの踊りたいように踊るんだ、文句あるか!ガタガタ言うんじゃねえ、チンピラダンサーどもはスッこんでろ!目ん玉ひん剥いてよく見やがれ!これがあたしのウルトラダイナマイトダンスだ!』 (註:映画にそんな場面はありません)


メイサ・すばるよ、青白い頬のままで、我が道を行け。つま先で地を蹴り、宙を舞い、四肢を振り回し、妖艶なオーラを放ちながら、観客の心にトルネード!…踊れ踊れ、踊りまくって、力の限り踊り抜け!己の力で、自分の女優人生を切り開け!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:4月1日 劇場:ワーナーマイカル県央 19:35の回 観客:4人

ファーストデーでレディースデーなのに、映画館がガラガラでした。しかも、一番小さい1番スクリーン。帰る時には雨が降ってました。…映画の場面を思い出しますね。


【上映時間とワンポイント】

1時間45分。尺が短いせいか、後半の展開が強引だったかもなあ。筧センセイが登場した途端にユルくなるので、トイレに行きたい人はこの時がチャンス。エンドロールでは、オマケ映像が少し流れます。


【オススメ類似作品】


「ショーガール」 (1995年アメリカ)

監督:ポール・バーホーベン、出演:エリザベス・バークレー。ダンサーが “戦う” 映画といえば、やっぱりコレでしょう。のし上がるために何でもやる主人公の根性がたまらん。蹴落とすライバルダンサーは、何とジーナ・ガーション。色気を通り越して、ケバくてドロドロした演出が爆笑モノでした。こんな変な映画は、バーホーベンおやじにしか撮れない! (ゴールデンラズベリー賞受賞作品)


「ブレイクダンス」 (1984年アメリカ)

監督:ジョエル・シルバーグ、出演:ルシンダ・ディッキー。ニューヨークのサウス・ブロンクスで生まれたブレイクダンスをテーマにした青春映画。これを見た時の俺は、まだ高校生でした。本作の “ダンス対決” の場面を見て、この映画を思い出しました。


「花とアリス」 (2004年ロックウェルアイズ)

監督・脚本:岩井俊二、出演:鈴木杏、蒼井優。バレエを習っている女の子映画といえば、やっぱりコレです。テキトーで能天気な蒼井ちゃんと、ドス黒い悪役の鈴木杏が対照的で笑えました。女の子の世界って、面白いなあ。


「神童」 (2007年神童製作委員会)

監督:萩生田宏治、原作:さそうあきら、出演:成海璃子。本作はバレエですが、こちらはピアノです。プロのピアニストが出演していたり、楽曲にこだわっている点で、とてもレベルの高い作品に仕上がりました。この映画の緊張感が素晴らしく、2007年映画熱邦画部門ベストワンに選びました。エンディングテーマは心に沁みましたねえ。感激してCDをすぐに買っちゃいました。でもやっぱりワイルドなねえちゃんがいいなあという人は、「4分間のピアニスト」 をご覧下さい。こちらはモロに 「あしたのジョー」 です。





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