FUJITA'S BAR
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2009-02-24

祝・おくりびと

テーマ:エッセイ

映画 「おくりびと」 が、日本アカデミー賞各賞と、米アカデミー外国語映画賞を受賞しました。この映画を愛する映画ファンの1人として、心よりお祝い申し上げます。


日本アカデミー賞をほぼ総ナメしてしまった時は、あまりの1作集中ぶりに、正直 “おいおい” と思いました。確かに優れた傑作だけど、他にも評価すべき映画はいっぱいあっただろ、っていう印象。俺としては、監督賞は 「クライマーズ・ハイ」 の原田監督に、助演男優賞は堤真一か堺雅人に、助演女優賞は松雪泰子に取らせてあげたいところでした。あまりにも一色だと、どうにもバランスが悪くて。


まあ、主演女優賞が広末涼子じゃなくて木村多江だったのがよかったと思います。これでヒロスエが取っちゃったら、日本アカデミーそのものの信頼性を疑ってしまうので。「ぐるりのこと」 の木村多江はイマイチだったけど、ヒロスエよりはずっといいと思うから。(俺としては、「感染」 の木村多江の演技が好きです)


日本アカデミーが 「おくりびと」 一色だったことで、本場アメリカのアカデミー賞にも期待がかかりました。俺個人としては、日本人の死生観は、アメリカ人には理解できないんじゃないかって思っていたんです。だから、「おくりびと」 はノミネートされただけでも充分。むしろ、短編アニメ賞の 「つみきのいえ」 が取ったら面白いだろうなっていう感触でした。ところが、フタを開けてみてびっくり。両作品とも受賞してしまいました。…うひゃあ、すげえ!


「つみきのいえ」 は、当然ながらまだ未見です。どうか早いとこ公開して下さい。2月23日の夜9時のNHKニュースで紹介されていた映像を見た限りでは、「パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻」 みたいな印象。絵柄のあたたかさだけで、内容が直感できるような出来栄えかと。メディア全体が 「おくりびと」 一色なので、どうかこちらの方も紹介して下さいな。 (運良く見ることが出来たら、改めて記事にしたいと思います)




「おくりびと」 という映画が、アメリカで評価されたという事実を、俺は興味深く思っています。日本人はとかく無宗教と言われ、お祭り騒ぎだけが好きな主体性のない能天気民族だと思われがちですが、そんなことはないんです。誰もが心の中に持っている共通の心。それを表現するのに成功したのが、この映画であると思うんです。それを理解できたアメリカ人の感性の素晴らしさを讃えたい。 …いいじゃん、アメリカ!


アメリカという国は、日本にとっては先進国として先輩にあたります。アメリカから受けた恩恵は計り知れないものがありますが、日本として譲れないものは絶対ある。アメリカのいいものは吸収しても、コピー国にはならない。それは当然。国家として、民族としての歴史があるから。知識としてじゃなく、DNAレベルで刻まれているものがちゃんとあるのだ。世代を超えて共感できるこの世界は、日本人だけに限らず、世界に共通する感情なのかもしれない。


映画は、面倒くさい理屈を並べたりしません。あの世に旅立つ人と、この世に残される人との絆を結ぶ役割をするだけです。その情感あふれる映像を見て、忘れていた何かを思い出して下さい。見れば、きっとわかると思います。


人は、生まれた時と死ぬ時が一番注目されるもの。幸せに生まれて、幸せに死んでいくことができれば悔いはないけれど、志半ばで、未練を残して死んでしまう人もいる。本人も辛いし、残される者も悲しい。その両者をつないであげるのが、おくりびと。


この映画は、構想から完成するまでに、15年の歳月を費やしたそうです。本木雅弘の執念を讃えましょう。その純粋な思いは、映画を見ればわかります。映画を見れば、理屈を超えた感情で理解できます。考えなくてもいいから、感じて欲しいのです。誰もが持っている、大切な心を。


この映画で “おくられびと” を演じた峰岸徹は、あの世で喜んでいることでしょう。俳優冥利に尽きると思います。あっちの世界に行ったら、岡田有紀子とデートしてあげて下さいね。


俺も、いつかは死んでしまうでしょう。その時、誰も見送ってくれなかったら、死に際にこの映画を思い出すことにします。今まで見たたくさんの映画に見送られて、生涯を閉じたい。生まれてきてよかった、そう思ってこの世を去りたいもんですね。


おくって、おくられて、人生は続いていく。日本という素晴らしい国に生まれたことを、誇りに思います。いい映画に出会うと、生きていてよかったと実感します。1人でも多くの人に、この映画を見てもらいたい。年齢に関係なく、楽しめる映画です。笑って、泣いて、しみじみと感じて下さい。そして、思い出して下さい。大切な何かを。





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2009-02-19

13日の金曜日

テーマ:洋画

新作なのか、リメイクなのか、さっぱりわかりませんでした。 …これもまた “番外編”?


“13日の金曜日” といえば、キリストとマカロニが殺された日ですな。不吉なことが起こる日としてクリスチャン達が恐れた日。で、今月の13日の金曜日に合わせて新作が公開。大ヒットシリーズも、今年で30周年だそうな。そうか、30年も殺しまくってたんだなあ。


監督は、マーカス・ニスペル。製作は、マイケル・ベイ。脚本は、ダミアン・シャノン、マーク・スウィフト。


出演は、殺人鬼1人と殺される人がいっぱい。以上。…あ、これじゃダメ?だって、どうせほとんど殺されるんだから、名前もへったくれもないでしょう。


では改めてまして、出演は、ジャレッド・パダレッキ、ダニエル・パナベイカー、アマンダ・リゲッティ、アーロン・ヨー、ジョナサン・サドウスキー、デレク・ミアーズ、トラヴィス・ヴァン・ウィンクル(…おい、何だこの「タクシードライバー」と「野獣死すべし」をくっつけたような名前は!)。


さて、映画ですが、ホラー映画としては凡作に仕上がりました。しかしながら、エロ映画としては見る価値が少しあるような気がします。R15指定は、残酷描写じゃなくて、エロ描写で引っかかったんでしょう、きっと。


“クリスタル・レイク” という名前のキャンプ場では、恐ろしい伝説があった。今年も、能天気な若者たちが性懲りもなくやって来ます。 …さあ、出番ですぜ、ジェイソンの旦那!


本作のジェイソンは、袋を被って登場。これって、PART2?しかしながら、映画の途中でホッケーマスクにチェンジ。お、PART3の要素も入っている。これって、ただのリメイク総集編?考える間もなく、バッタバッタと人が斬り殺されていきます。…まあ、考えてもしょうがないか。


ジェイソンの武器は、ナタが基本。今回もバッサリやってくれます。刺すわ斬るわ投げるわ、手当たり次第に首チョンパ。サイドアイテムとして、アーチェリーも登場。おおっ、「ランボー 最後の戦場」 を意識…してないか。


今回登場する死体候補は、男は全員魅力なし。しかし、女性陣はなかなか見どころがあります。何たって、脱ぎっぷりがいい。トップレスで水上スキー、胸元にオイルをたらして男を誘惑、激しいベッドシーンなどなど、残り少ない寿命を燃焼しまくっています。ヤることヤって死ぬんだから、きっと悔いはないでしょう。(あるよ)


映画は、冒頭がやたら長い。かなり進んでから、ようやくタイトルバック。(遅せーよ) 後はひたすら殺すだけ、さあ、今回生き残る奴は誰だ?生き残ったはずが、ラストでバッサリ…なんてこともよくあるからね。まあ、運よく生き残ったとしても、次回作まで観客に顔を覚えてもらえる確率は、もっと低いでしょう。


そういうわけなので、本作は内容としては相当軽い。でも、このシリーズはそれがウリですから。あんまり考えなくていいし、途中で席を立ってもストーリーがわからなくなるような心配はご無用。だから、カップルがイチャつきながら見ても全然OK。でも、うるさくするとついでにジェイソンに殺されるかもしれないのでご注意。


映画がちょっと慌しく感じるのは、13日の金曜日公開に間に合わせようとして、焦って製作した感じもしますなあ。 『…何でもいいからさっさと撮れ!』 ってマイケル・ベイがせかす状況が目に浮かびます。それもあって、画面のノリノリ感が増したのかも…?


それから、ショック音もやたらとデカいので、結構びっくりする場面も多い。思わず 『…うわ!』 なんて声も出そうな雰囲気ですが、あんまり何回もやってると後半は 『…またかよ。』 って感じになるのでご注意。だけど、この感覚が懐かしい。特殊メイクやエアーポンプ、粘着液と血糊の世界…思春期の頃はハマりましたなあ。


ジェイソンこそは、’80年代ホラーの殺人鬼の中でも、超有名な存在。その彼が暴れてくれるだけで、ストレス解消になるオヤジは多い。まあ、中身はありませんが、つらい現実を一時忘れるくらいの効果はあるでしょう。何でもいいから、景気のいいことは大歓迎!…殺して殺して殺しまくれ!


彼のように、時代に流されず、自分のスタイルを貫くというストイックさが、観客として学ぶ点でしょう。ジェイソンには、語らずにひたすら処刑していく。ためらわない、妥協しない、ひるまない。狂気の凶器はナタ1本。男ジェイソン、今日も行く。…男は黙って、自分のやるべき事をやれ!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月18日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 21:00の回 観客:約30人

カップルがダントツに多く、おねーちゃん2人とか3人もいました。俺は、兄と2人で行きました。


【上映時間とワンポイント】

1時間37分。冒頭で、パラマウントとニューラインシネマの社名ロゴがいつもと違うのでご注目。それから、パンフレットが製作されなかったそうなので、販売してませんでした。やっぱり相当慌てて作ったんだろ、マイケル・ベイのおっちゃん。


【オススメ類似作品】


「13日の金曜日」 シリーズ全10作

これを見ずしては、本作は語れない。だんだん後半になると、ニューユークに遠征したり、宇宙に行ったりとおバカぶりが加速しますが、彼は黙々と自分の仕事を続けます。…職人だねえ、ジェイソン。仕事のえり好みはしないんですね。番外編として 「フレディVSジェイソン」 なんてのもあったな。




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2009-02-18

ベンジャミン・バトン 数奇な人生

テーマ:洋画

小さなジイさんが成長して、体がデカくなって若返って、お肌スベスベで老衰。 …ああ、忙しい細胞。


ポスターの絵柄を見ると、お互いの顔が半分ずつ写っています。これって、「感染列島」 とおんなじですね。男女の並びは逆ですが、まぎらわしいので、シネコンで見る場合は入るところを間違えないようにご注意下さい。(間違えねーよ) ブラピが日本語しゃべっていて医者役だったら、確実に間違ってます…ってだから間違えねえってば!


“ベンジャミン・バトン” は、主人公の名前。誰かにバトンタッチするわけじゃないので、勘違いしないようにご注意。予告編でストーリーの大半を思いっきりネタバレしているので、今回は少し内容に踏み込みます。見る前に情報を入れたくない人は、読まない方が賢明。…はい、警告しましたよ。


監督は、大物デビッド・フィンチャー。彼の映像は、とにかく湿気がやたら多く、ビショビショでネバネバでねちっこいイメージ。言わば “人間加湿器” と名づけたいところ。「セブン」 「ファイトクラブ」 「ゲーム」 「エイリアン3」 …ねっ、そう思いませんか?リドリー・スコット監督とも、デビッド・クローネンバーグ監督とも違う、独特の粘着性。その彼が今回挑んだ題材は、F・スコット・フィッツジェラルド原作の短編小説。


出演は、ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、タラジ・P・ヘンソン、ジュリア・オーモンド、ジェイソン・フレミング、イライアス・コーティーズ、ティルダ・スウィントン。


さて、映画ですが、品格のあるトンデモ映画に仕上がりました。恋愛映画として見ても、SF映画として見ても面白い。感動するかどうかはともかく、これはもう、笑うしかありません。これがオスカー候補になっているのが余計に笑えます。キャッチコピーは、『…人生は素晴らしい。』 (爆笑) …確かに、スバラシ過ぎます、この映画。大真面目なんだけど、部分的にオカシイ。しかも、ムダに長い(苦笑)。


今回は、パンフを購入しませんでした。だから、チラシと、記憶と、俺の心象風景だけで書きます。詳しい内容が知りたい人は、他の人のブログをご覧下さい。


ある裕福な家に生まれた赤ん坊は、老人のようにしわくちゃな皮膚を持った奇形児であった。出産直後に母親は急死。途方にくれた父親は、生まれたばかりの我が子を捨ててしまう。里親に育てられた彼は、年齢とともに変わっていく自分の姿を、次第に理解していくのであった…。


主演のブラッド・ピットは、現在45歳。ヒロインのケイト・ブランシェットは39歳。ええっ、ブラピの方が年上なんですか?失礼ながら、ケイトの方がずっとお姉さんに見えました。ははあ、ブラピが童顔だからそう見えたのかも。両者とも、違った意味で年齢不詳なところがあるので、そのあたりもキャスティングの妙かと。


ただ、ブラピの役柄は、アプローチがドヘタです。この辺だけが妙にリアルでした。だからこの映画は笑えるんです。ああ、そんなんじゃダメだって…!って感じ。美人かどうか微妙な女だけに、あんまり力が入らないのも笑える。がんばれブラピ、最強の童顔俳優を目指せ!ディカプリオを超えろ!


ケイトは、たぶんおっさん達にウケる女優じゃないかと思います。日本でいうと、寺島しのぶみたいなポジションかと。実際、どんな役柄でもチャレンジするしね。もう10年くらいして、どんな女優になっているかを見てみたい気もする。特に応援しないけど、覚えておきます。


この2人の組み合わせは、とてもバランスがいいと思う。何と言うか、うまくかみ合っている感じがするんです。童顔のブラピと、老け顔のケイト。いいじゃないですか。しかも、年齢差が逆。これはやっぱり面白い。やはり本作は、この2人のキャスティングだけで高ポイントとしたい。


出合った時は、ジイさんと少女。少女が成長して大人になると、老人は初老の男になる。青年から中年くらいは甘いひとときがあって、晩年は熟女と少年…うわー、エロいなあ。絶妙の組み合わせばっかりじゃん!しかも、いつの間にか立場が逆転してしまう緊張感もあって、これはなかなか目が離せない。尺も長いので、妄想しながら楽しみましょう。一番オイシイ組み合わせはどれか?




人は年を取ると、誰もが若返りたいって思うもの。俺はまだそんな風に思いませんが、そのうち思うようになるのかも。ゆっくりでも体が自由に動かせれば、何歳でも構わないけどね。年寄りの風格って、結構好きだから。同様に、少年には少年の、オヤジにはオヤジの魅力があるのだ。


元気なジイさんもいいけど、元気過ぎるとかえって周りが迷惑するんじゃないでしょうか。必要以上に若く見せようと必死になるのも、何だか見苦しくてイヤだ。不自然な若さって、何だかちょっとコワい。そういう意味では、年相応に見られる人はある意味幸せなのかも。


本作の主人公は、年齢とともに結局は退化していきますが、トータルすると、みんなと同じ分だけ生きている。ただ、順番が違うだけ。そういう男を愛してしまった女は、彼が若返っていく分だけ自分が老けていくのを感じなければならないという虚しさがある。そこでエゴが出てきそうなもんですが、結局キレイな部分だけでまとめたって感じ。できれば、愛憎劇が見たかったなあ。でも、オスカー候補ってなるとそれはムリか。


個人的には、主人公を女にした映画も見てみたい。「ハウルの動く城」 は、主人公のバアさんが少女になった話でしたが、声がそのままバアさんだったので撃沈でした。ケイトがバアさんで生まれて、熟女になってギャル(死語)になって、少女から幼女へ…うわー、こっちの方がヤバそう。そうか、だからこういう物語になったのか。妙に納得。やっぱりオスカー候補だから、品格がないといけないもんね。もう何も言いますまい。



しかし、成長しながら若返っていくというのは、どうもピンとこない。生まれて間もない頃は、耳が遠かったり目がよく見えなかったりするが、成長とともにはっきり見え、聞こえるようになる。曲がった腰がシャンとして、毛髪が生え、体が筋肉質になっていく…ってそれはあくまでも身体的な話。では、彼の脳はどうなっているんだろう?脳が老人の状態で生まれ、年齢とともに若返っていくとしたら、晩年はそうとう記憶力がよくなるはずでは?


脳は、手足の感覚によって生かされている側面もあるから、身体機能が充実してくれば脳も活発になってくるような気もするんですが、その辺はどうなんでしょう?専門家の意見は?認知証なんていうのも脳の症状であるはずだから、映画を見る限りでは、彼の脳だけは普通の人間とおんなじ老け方をしているように思えるんですが…。でもこれは、高齢になると幼児化する傾向もあるよってことを暗示したニュアンスなのかもしれない。


実際、自分がこんな人生だったら大変だろうなって思う。でも不思議なのは、彼の変貌ぶりを誰も変に思わないこと。母親と恋人はわかっているにしても、周囲で話題にならないのはどうしてなんだろう?みんなきっと、自分のことで精一杯なんですね。1人くらい、『…その若返りの秘密は何?』 って聞いてきてもよさそうなのにね。大学の医療研究チームの目に留まれば、こぞって研究材料になるだろうし、戦時中だったら兵力増強のための恰好な材料になりそうなのに。しかも、イケメンなのにね。実にもったいないと思うけど、それはそれで彼の人生。


平凡な人生なんて、あろうはずがない。その意味では誰もが、数奇な人生を生きているのかもしれない。それを呪うか、愛するかは自分の考え方ひとつ。人のせいにばかりしているヒマがあったら、自分のやるべき事を考えたい。そうでなくては、前に進めないから。


この映画で学ぶべきことは、人は不平等だけど、広い意味では平等であるということ。誰の心の中にも “異形のもの” は存在する。その醜い部分と真摯に向き合ってこそ、本当の意味で生きる力が生まれます。みんなと同じことを真似しようとしても、無理があるというもの。むしろ、自分にしかできないことを1つでも多く見つけた方が面白い。変わっているから、ダメってわけじゃない。人と違うから、悪いってわけじゃない。


短所だと思っていた部分は、方向を変えると途端に長所に変わる。そういう部分を磨いてこそ、社会の役に立てる人生がスタートできるのだ。“異形” こそは、“偉業” を成し遂げるためのエネルギー源なのだ。


ベンジャミンの人生は、面白いと思う。どんな人生だって、面白くできる要素がある。自分の人生は、あくまでも自分のもの。それがちゃんとわかっていれば、美しく老化していけるんじゃないでしょうか。形は変わっても、決して変わらないものがある。それが、自分というものの本来の姿。その素晴らしさこそが、人生を輝かせるのだ。





【鑑賞メモ】

2月14日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 13:15の回 観客:約150人

ヴァン・ダムを見終わって帰ろうとしたら、妻と娘がバレンタイン手作りチョコを製作中だったので、時間稼ぎにもう1本続けて見ることにしました。あっはっは。


【上映時間とワンポイント】

2時間47分。短編小説なのに、映画は長時間とはこれいかに。映画を見るよりも、小説読む方が早かったりして。


【オススメ類似作品】


「魔女の宅急便」 (1989年スタジオジブリ)

監督:宮崎駿、原作:角野栄子、声の出演:高山みなみ。本作を見て、真っ先に浮かんだのはこの映画です。『…あたし、魔女のキキです!』 って自己紹介する場面で、街の人は 『…あっ、そう。』 とユルい反応でした。ははあ、別に珍しくないんだ、魔女って。ベンジャミンの生まれた街にも、そういう人がいっぱいいたのかなあ?


「エンブリヨ」 (1976年アメリカ)

監督:ラルフ・ネルソン、原作:ジャック・J・トーマス、出演:ロック・ハドソン、バーバラ・カレラ。生物実験モノのSF映画。成長ホルモン剤を投与された胎児が、1ヵ月で成人女性になってしまう。このままでは老化現象を起こして死んでしまうので、彼女は健康な脳下垂体を狙って、殺人鬼になっていく…。パッケージの写真が、エロくて素敵です。


「ヤマトよ永遠に」 (1980年オフィスアカデミー)

監督・原作:松本零士、声の出演:富山敬。イスカンダル星のスターシャが産んだ娘、サーシャは、大人になるまでの成長が早かった。成人してからは、地球の人たちとおんなじだそうな。うーむ、イスカンダル星にはきっとロリコンがいないんでしょうな。でも、映画のラストで古代オジサマを守って死にました。ああ、慌ただしく数奇な人生。


「ハンガー」 (1983年イギリス)

監督:トニー・スコット、出演:カトリーヌ・ドヌーブ、デヴィッド・ボウイ。これは、ヴァンパイアの映画。デヴィッド・ボウイは血を吸わないとだんだん老けていって死んでしまいます。…死にたくなかったら、急いで口で吸え!




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2009-02-17

その男、ヴァン・ダム

テーマ:洋画

アクションスター・ヴァン・ダムの男泣き鎮魂歌。 …彼は、これでようやく本物の俳優になった!


原題は、「JCVD」。そのまんま、ジャン・クロード・ヴァン・ダム。予告編のナレーションが若本規夫だったので、そのあまりの説得力に圧倒され、映画熱が沸騰。これは、見に行かねばならない1本となりました。


アクションスターの高齢化が進み、体力的につらいご時世において、彼もまた例外ではなかった。47歳という微妙な年齢で苦悩する男の生き様を見よ!


監督・脚本は、マブルク・エル・メクリ。出演:ジャン・クロード・ヴァン・ダム、フランソワ・ダミアン、ジネディーヌ・スアレム、カリム・ベルカドラ、フランソワ・ウォルフ、アンヌ・パウリスヴィック。


さて、映画ですが、これはアタリです。全然期待していなかっただけに、予想をはるかに上回る傑作でした。これは新しいスタイルだと思います。ヴァン・ダムを初めて “俳優” として見ることができました。生涯最高の演技と言っていいでしょう。ヴァン・ダムファン必見、ヴァンダムによる、ヴァン・ダムのための映画です。


アクションスターの高齢化が進み、体力的にしんどいご時世において、ジャン・クロード・ヴァン・ダムもまた例外ではなかった。ベルギー出身のアメリカンドリーム男も、すでに47歳。かつての勢いはなく、人気は低迷。ようやく出演した映画は、劇場公開されずにいきなりビデオ発売。子供の親権裁判で借金は増えるのに、収入は乏しい。まさに、八方塞がりの状態。そんなある日、彼が振込みのために訪れた郵便局において、強盗が発生。1発の銃声が、彼の運命を大きく変えるのであった…。


主演はもちろん、ジャン・クロード・ヴァン・ダム。役柄は、ジャン・クロード・ヴァン・ダム。つまり、本人を本人が演じます。私生活や彼の本音も随所に出てくるので、どこまでがフェイクで、どこからが本当なのかよくわからない。ただし、演じるヴァン・ダムの本気さだけは本物です。この映画に出演した彼の勇気と根性を讃えたい。


共演者は、クセ者がいっぱい。テキトーな警視役のフランソワ・ダミアンは、「ヘブンズ・ドア」 の三浦友和とキャラが似ている。気合いが入りすぎた堅物なおっちゃんよりも、こういう人物の方が面白い。ユルいようでいて、ちゃんと仕事をこなしていくところがよろしい。


強盗役のジネディーヌ・スアレムが爆笑でした。髪は長いが、気は短い男。わがままな割りに、大した思考ができない。いいですなあ、こういうおっさんが映画を盛り上げるんですね。手際がいいようで、適度にマヌケな犯人は、観客をハラハラさせてくれるものです。


極めつけは、ガードマン役のカリム・ベルカドラでしょう。このおっさん、最強です。気難しい強盗たちの中にあって、自分の心に忠実に行動するストイックさがたまらん。しかも、ヴァン・ダム映画オタクときたもんだ。彼の映画トークは笑えます。ジョン・ウーをコケにした言葉は名セリフと言えるでしょう。いい役者だと思います。


マブルク・エリ・メクリ監督は、フランス出身の新鋭。彼の、この映画に対する熱意が、ヴァン・ダムの心を動かしたらしい。その思いは、画面からしっかりと伝わってくると思う。いい仕事をしましたね。


この映画はどういう映画ですか、と聞かれれば、真面目な映画です、と答えます。いたって真面目なんですが、内容はマヌケで危なっかしい。ちゃんと映画として成立するのか?というような不安感が常につきまとう。その意味では、観客もハラハラしっぱなしになります。さて、強盗に囲まれた彼は、どう行動するのか?アクションスターではあるけれど、生身の彼にできることは?金に困った男が追い詰められるとどうなるのか?…さあ、モタモタしていられないぞ、世紀の瞬間を見逃すな!




男は、一生のうちに必ず “輝く瞬間” というものが訪れます。それは、自覚していない場合もあるけれど、誰かが覚えているもの。 『…あの頃のあんたが、一番カッコよかったね。』


人には、必ず何らかの “才能” というものが備わっている。それは、生まれつき決まっているものなのか、努力によって積み重ねられていくものなのかはよくわからない。だけど、確実にある。それが仕事と結びつけば幸運と言えるし、趣味と結びつけば、人生の楽しみが増すというもの。


俺がジャン・クロード・ヴァン・ダムを初めて見たのは、「サイボーグ」 「キックボクサー」 あたりだったと思う。その時の印象は、“体が軟らかい男”。必殺技は、股割り。ダンスを踊る時の腰の動きがセクシーだった。ガッチリ系の頑強筋肉男とは、一線を引く男。しなやかなハイキックは美しい。だけど、あんまり強そうじゃなかった。


ドルフ・ラングレンと共演した 「ユニバーサル・ソルジャー」 は、やっぱりこの2人は似てるなあという印象。日本のゲームを映画化した 「ストリート・ファイター」 「クエスト」 はマヌケ過ぎて爆笑。何でもやるコミカル俳優になっていった頃から、次第に彼の名前を聞かなくなっていった。


ヴァン・ダムという俳優が、そういう人生で満足していたのなら、何も言うことはない。だけど、彼の心の中で、どうしてもくすぶっているものがあった。金に困ったから本作に出演したのかもしれないけど、そういうものを超えたものが、確実にあったんじゃないか。映画を見ていると、そう思えます。


本作の中で、“シーンX” という場面があります。これは、台本にない部分の追加シーンなんですが、ヴァン・ダムのたっての希望で、彼と監督の2人だけで打ち合わせて撮ったそうです。中盤で、彼が観客に向かって語りかける場面にご注目。俺はこの瞬間、俳優としてのヴァン・ダムが誕生したと感じました。コアなファンは見逃すなかれ。




俳優として成功したからといって、自動的に幸運な人生を手に入れられるわけじゃない。リスクを背負った分だけ、苦悩も増えるのだ。辛酸をなめた分だけ、弱い者の気持ちもわかるようになるというもの。彼は言う。 『…自分は特別な人間じゃない。』 彼の苦悩が産んだセリフの1つ1つが、観客の心を打ち、男たちの胸に沁み込んでいく。


元気をなくした男たちよ、希望を見出せない戦士たちよ、彼の言葉に耳を傾けて欲しい。どん底の深さは人によって違うけれど、みんないっぱいいっぱいで何とか生きている。ヴァン・ダムの言葉は、男のくすぶっている心を刺激する。「ロッキー・ザ・ファイナル」 のスタローンの言葉以上に、俺の心は揺さぶられた。そうなんだ、よくぞ言ってくれた。地味で平凡な言葉だけど、愚痴みたいなもんだけど、今の俺にはとても力になったよ。ありがとう、ヴァン・ダム。


彼は本作で、かけがえのない体験をしたと思う。役者魂に火がつけば、もっといい俳優になれる。その気持ちを大切にして、これから大人の人生を生きて欲しい。俺も観客の1人として、今後の彼に注目したい。


人間、何がきっかけになるかわからないもんですね。世の中が暗いと、どうしても悪い方に考えてしまいがち。こういう時こそ、物事をじっくり考えてみたい。 (そのおかげでブログを出すペースが遅れてます…なんて言い訳したりして。どうも、時間貧乏なもんで。)


本作は、主演のヴァン・ダムにとっても、メクリ監督にとっても幸運な1本となりました。しかし、努力した上で掴んだんだから、立派な実績でしょう。お互いに胸を張って、次回作に挑んで下さい。お見事でした。


この映画を、どう見るか。哀しい物語としてとらえるか、コメディととらえるか、未来の希望に満ち溢れた作品ととらえるか。全ては、観客の心一つで決まる。燃え上がれ立ち上がれ甦れヴァンダム!正義の怒りをぶつけろヴァンダム、股割り戦士ヴァンダム! …さあ、キミも一緒にヴァン・ダムしよう!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月14日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 10:30の回 観客:約10人

やっぱりおっさんが多いなあ。俺もその1人だけど。ガラガラだったので、股割りして座れますよ。


【上映時間とワンポイント】

1時間36分。こんなに短いのに、とても濃い時間を過ごせました。


【オススメ類似作品】


「ノーサレンダー」 (1985年アメリカ)

監督:コリー・ユエン、出演:カート・マッキニー。ビデオ発売時は 「シンデレラ・ボーイ」 という安いタイトルでした。ヴァン・ダムは、悪役で映画デビュー。ユエン監督は、ヴァン・ダムを踏み台にしてハリウッドで成功しました。


「ハード・ターゲット」 (1993年アメリカ)

監督:ジョン・ウー、出演:ジャン・クロード・ヴァン・ダム。西部劇風のつまんないアクションですが、ジョン・ウー監督のハリウッドデビュー作品です。彼もまたヴァン・ダムを踏み台にして、ハリウッドで成功しました。


「プレデター」 (1987年アメリカ)

監督:ジョン・マクティアナン、出演:アーノルド・シュワルツェネッガー。シュワちゃんの人気作ですが、プレデターの中身に入っていたのがヴァン・ダムだったというウワサがあります。本作のパンフ記事では、顔が映らないからイヤだといってヴァン・ダムが下りたと記述してありましたが、真相はどうなんでしょう?コアなファンなら、プレデターの動き1つでわかったりして。もし入っていたら、夢の対決になっただろうにねえ。


そういえばこの映画には、「ロッキー」 のアポロ役だったカール・ウェザースも出ていたっけなあ。あっという間にプレデターに殺されましたけど(笑)。これは、スタローンに対しての軽いジャブでしょう。色んな意味で、話題の多い映画。ヴァン・ダム、今ならシュワ知事を倒せるかもしれないぞ。プレデターの着ぐるみを着て、必殺股割りキックで襲い掛かれ!何なら、援護にロボコップをつけてやるぞ! (そして…あっさりやられる)





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2009-02-16

ヘブンズ・ドア

テーマ:邦画

天国って、もしかしたらいいところなのかもしれない。 …この映画を見て、そう思いました。


1973年にボブ・ディランが発表した名曲 「Knockin’ On heaven’s Door」 (邦題:天国の扉) にインスパイアされて製作された1997年のドイツ映画 「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」 を、日本版にリメイク。監督は、マイケル・アリアス。脚本は、大森美香。主題歌をカバーするのは、アンジェラ・アキ。


つまり、アメリカ人が歌った歌をもとにドイツ人が映画化したものを、アメリカ人が監督して日本でリメイク。キャストは日本人で、舞台も日本で、セリフも日本語。脚本は日本人女性で、主題歌も日本とアメリカのハーフである女性シンガーが歌う。歌そのものはアメリカ人の歌だけど、歌詞は日本語と英語が混在。で、シンガーの名前も混在…ああ、ややこしや。


でも、ディランの 「天国の扉」 は、もともとサム・ペキンパー監督の映画 「ビリー・ザ・キッド21歳の生涯」 のために製作した曲。主演はジェームズ・コバーンですが、ディラン自身もビリーの手下エリアス役で出演。この歌は、年老いたシェリフが銃弾を受け、妻の前で死んでいく場面で流れたそうです。なるほど、西部劇だったら、扉のイメージはアレかな?エリック・クラプトンをはじめ、様々なアーティストがこの歌をカバーしているらしく、ディランの代表曲の1つと言えるでしょう。


出演は、長瀬智也、福田麻由子、三浦友和、長塚圭史、。田中泯、大倉孝二、和田聰宏、黄川田将也、薬師丸ひろ子。…すっげえキャスト。


さて、映画ですが、ギャグ満載のロードムービーに仕上がりました。悲壮感はほとんどありません。ひたすら楽しい映画です。 …このまま、天国に行けたらいいなあ。


主人公は、28歳の青年。突然脳腫瘍が発覚し、余命はもってあと3日と告げられる。仕方なく入院するも、イライラしてしょうがない。そんな時、余命1ヵ月の14歳の少女に出会う…。


主演の長瀬智也は、役者という匂いがあまりしないんですが、こういう役柄をやるとバッチリハマる。「真夜中の弥次さん喜多さん」 「タイガー&ドラゴン」 と全くおんなじキャラ。演技うんぬんではなく、こういう役を演じる彼が面白い。ジャニーズ出身の中でも、稀有な存在だと思います。魅力的な兄ちゃんですな。


ヒロインの少女を演じるのは、絶好調の福田麻由子。余命いくばくもない薄幸の美少女を、元気いっぱいに演じてます…っておいおい、元気じゃイカンだろ!だって、健全な女の子そのものって感じなんだもん。演技はうまいんだけど、もうちょい顔色悪くなるべきじゃねえか?まあ、かわいいから許されるのかな。


悪役の長塚圭史は、存在感があるようでないところが面白い。どういう男かわからん雰囲気というのも、意外性があっていいんじゃないでしょうか。手下の田中泯と大倉孝二の対比がまた笑える。しっかりした重鎮と、軽~いバカ。こっちのコンビもなかなか捨てがたい。


特筆すべきは、刑事役の三浦友和でしょう。「転々」で消化不良だったものが、本作で見事に昇華されました。スバラシイ演技です。真面目なテキトーさの魅力って、こういうことなんでしょう。「ALWAYS三丁目の夕日」 のお医者さんの延長キャラでイメージすると、感慨深いものがあります。日本アカデミー主演男優賞候補になるなら、こっちの映画の方がいいな。彼の名セリフがいっぱいありますので、どうかお聞き逃しのないように。




映画の設定はハードですが、物語はいたってユルいです。のん気に旅をする心の中には、絶えず葛藤がある。だけど、シタバタしてもしょうがない。残り時間はあとわずかなのだ。泣いて消えるよりも、笑って前向きに人生を終えたい。きっと、誰もがそう思うのではないでしょうか。


人生がやたら長いのも考えもので、時間が限られているからこそ価値があると思いたい。期間限定モノが売れるのも、そういう心理でしょ。今しかない、って思ったら、人間は大胆になるものなんです。


「イキガミ」 では、「明日死ぬ」 と突然言われます。24時間しかないと、慌てているうちに命が終わってしまう。半年や1年、3ヶ月でも微妙に長い。やっぱり、本作のように3日くらいがちょうどいいかも。そういう意味で、主人公の境遇を、何だかうらやましく感じました。


「チェ 39歳最後の手紙」 でも寿命について考えましたが、本作の場合は、あまり考えているヒマがない。ぶっちゃけて言えば、考えてもしょうがないことなのかもしれない。だけど、俺は考え続けると思う。自分の人生はいつの間にか始まっているものだけど、人生の終わりはきちんとしたいから。考えることは、自分が自分であり続けるためにも大切なことなのだ。


天国はあるのか?俺はあると思います。理由はカンタン、あった方が面白いから。天国のイメージというと、雲の上にあって、みんな白い服着てて、羽が生えていて…って感じでしょうか。それが天国なら、俺は行きたくないなあ。居心地悪そうだから。


俺のイメージする天国は、適度にユルい感じで、ワクワクする雰囲気かな。ここでだったら、何でも出来そうな感じがする。そうか、今までの俺の苦悩は、ここにたどり着くためにあった。この世界での、よりよい住民になるための修行だったんだ。だからここは、懐かしい場所であり、夢が大きく膨らむ場所でもあるのだ。


この世での人生をどう生き抜くかで、あの世の居場所は変わるんじゃないかと思う。テキトーに生きた人、がんばった人、苦労した人、愛に苦しんだ人、恋を知らずに一生を終えた人…。その人それぞれにふさわしい場所がある。どこへ行こうと、その人にとっては天国なんです。そう考えると、地獄だって住み慣れれば天国になるってものでしょう。それでいい。みんなちゃんと、居心地のいい場所に行くんです、きっと。


映画の2人は、死に際になって初めて、何かを考えます。同じ行動をしていても、お互いが考えることは違っているでしょう。でも、しんみりした会話はしない。したところで、何の解決にもならないことがわかっているから。限られた時間の中で、今しかできないことを満喫したい。それでいい。「セカチュー」 で消化不良だったことが、この映画で昇華されました。…お前ら、なかなかいいじゃん。


この映画はどんな映画ですか、と聞かれたら、気持ちのいい映画です、と答えます。人生に疲れた人、心の行き場を失った人、居場所が見つからない人、迷っている人は、この映画を見て下さい。ほんの少しだけ、彼らと行動をともにして見て下さい。そして、映画館を出た時に、大きく深呼吸しましょう。肩の力を抜いて。


長生きだから幸せだとか、短命だから不幸だとか、あんまり関係ないと思います。自分と真剣に向き合い、燃焼してしまえばみんなおんなじ。だから、彼らは幸せだと思う。天国は、確かにある。どんな扉にたどり着くかは、生き方で決まるのだ。 …自分らしく生きることによって、自分の本当の居場所を見極めよ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月12日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 21:30の回 観客:約15人

帰りの車の中で、ディランの 「天国の扉」 を、何度も何度も聞きました。


【上映時間とワンポイント】

1時間46分。アンジェラ・アキの歌は、俺的にはちょっとイマイチ。まあ、お姉ちゃんたちにウケればいいかと。


【オススメ類似作品】


「鉄コン筋クリート」 (2006年アスミックエース)

監督:マイケル・アリアス、原作:松本大洋、声の出演:二宮和也、蒼井優。アリアス監督の、劇場映画デビュー作。原作の個性的な絵柄を、見事にアニメーション化しました。この映画のクロとシロは、本作の2人に通じていると思います。 …やっぱり、ガキは元気な方がいい。


「真夜中の弥次さん喜多さん」 (2005年アスミックエース)

監督・脚本:宮藤官九郎、原作:しりあがり寿、出演:長瀬智也、中村七之助。こちらは、ホモのロードムービー。この映画のお伊勢様が、本作では海になります。長瀬君は、本作とおんなじキャラ。 …2人がたどり着いた先に、愛はあるのか?


「アヒルと鴨のコインロッカー」 (2007年ザナドゥー)

監督・脚本:中村義洋、原作:伊坂幸太郎、出演:濱田岳、瑛太。ディランネタの映画として、一応紹介しておきます。俺的にはイマイチの映画ですが、関めぐみがよかったのでかろうじてセーフ。「風に吹かれて」 がお好きな人にオススメ。この映画は本当に傑作なのか?答えは…風の中。


「誰も守ってくれない」 (現在公開中)

監督・脚本:君塚良一、出演:佐藤浩市、志田未来。おっさんと少女という組み合わせとして、まだ記憶に新しい1本。俺的にはイマイチでしたが、本作を見た後で考えると、この映画もわかってあげたくなる。居場所がないという点では、彼らの方が深刻だから。ちなみに志田未来は、福田麻由子よりも1歳年上ですが、色気は福田ちゃんの方が上です。




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2009-02-14

007 慰めの報酬

テーマ:洋画

怒って怒って怒りまくれ! …世の中の不条理も理不尽も、この映画に叩きつけろ!


「007カジノ・ロワイヤル」 から2年を経て、待望の続編が登場。タイトルは、「慰めの報酬」。…って何?もしかして援助交際の話?いやいや、そんなはずはないでしょう。ええと、原題は 「quantum of solace」。“quantum” は “量”、“solace” は “慰め” を表すから、“慰めの量”。ははあ、どれだけ慰めたかで勝負してお金をもらう…ってだから援助交際じゃないってば!


監督は、マーク・フォスター。脚本は、前作と同じくポール・ハギスを筆頭に、ニール・パーヴィス&ロバート・ウェイドとのコラボ。音楽は、デヴィッド・アーノルド。主題歌を歌うのは、アリシア・キーズ&ジャック・ホワイト。


出演は、ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリエンコ、マチュー・アマルリック、ジュディ・デンチ、ジャンカルノ・ジャンニーニ、ジェマ・アータートン、ジェフリー・ライト、イェスパー・クリステンセン。


さて、映画ですが、前作同様、マッチョな仕上がりとなりました。007が007として誕生するエピソードとして申し分ないでしょう。オシャレなアクションを期待している人は、遠慮した方がいいかも。本作は、肉弾戦の激闘映画です。粘りに粘りまくる、超強力ボンドの密着アクションをお楽しみ下さい。


前作は、ワケわからないうちに終わったので、今回は前作のラスト直後から始まります。最愛のヴェスパーを失ったボンドは、彼女を影で操っていた男を確保するが、追っ手が執拗に追跡。冒頭で激しいカーチェイスを繰り広げる。慈善団体を名乗る、謎の組織の正体は何か?ボンドの行く手を阻む、謎の女は一体何者なのか?味方さえも信用できない、絶体絶命のピンチを、彼はどう切り抜けるのか?


主演のダニエル・クレイグは、今までの歴代ジェームズ・ボンドの中で、一番血の気が多い。当然ながら、007が誕生するいきさつから始まるこのシリーズにおいて、青くさいキャラであることは覚悟していましたが、ここまで無鉄砲だと逆に気持ちがいい。行動力と破壊力において、ダントツの男だと思います。


007というと、品格があってオシャレで、女にモテて酒が強くて、ダンスも踊れるジェントルマンというイメージが強い。その路線でいうと、ダニエルは歴代ボンドを逸脱したキャラかもしれない。でも、それもいいんじゃないですか。最初からスマートに仕事できるほど、甘っちょろい世界じゃないしね。


ただ、ギラギラ感はあるものの、華がないといえばない。背もあまり高くない。だけど、スパイという職業を考えれば、目立たない存在であることはむしろ長所と言えるのでは?見た目よりも、男は行動力が大事。そのエネルギーが、顔つきに表れてくるというもの。だから、彼には歴代ボンドにはない魅力があると思うんです。


ダニエル・ボンドは、とにかく強い。ワルサーPPKよりも、アストン・マーチンよりも、彼の肉体そのものが最強の武器。まるで 「電人ザボーガー」 の大門豊みたいですな。この鋼のようなボディで、悪者をドツキ回します。グラサンかけた時の眉間のシワが、これまたシブい。スパイというよりも、まるでヤクザの用心棒。 …おうおう、うかつに近寄るんじゃねえ、ヤケドするぜ!


彼が怒れば怒るほど、事件が余計に混乱して、膿が出てくる。普通のやり方が通用しない相手ならば、普通じゃないやり方を実行するまで。そういう意味でも、ダニエルは最終兵器。ダイナマイト・ボディ・イン・ザ・胸毛。


品格というのは、持って生まれた感性なのかもしれない。ダニエルは、そういう面ではまだ不器用。だから、これから場数を踏むことによって、次第にジェームズ・ボンドらしくなっていくような気がします。彼の怒りは無軌道なようでいて、ある意味ちゃんと筋が通っている。その行動の向こう側に、何かを期待したい。



今回のボンドガールは、「ヒットマン」 で娼婦を演じたオルガ・キュリエンコ。あどけないようでいて、もう30歳なんですね。演技力はイマイチだけど、青くさいボンドといい感じでつり合っているみたい。邪魔したり助けたりで、なかなか盛り上げてくれます。どことなく影のある雰囲気も、作品に合っていてよろしい。セクシー女優になれる要素は充分にあると思うので、今度は色気のある演技面を磨いていって下さい。


悪役のマチュー・アマルリックは、「潜水服は蝶の夢を見る」 で目玉おやじを演じた、目ヂカラ俳優ですね。今回も、かなりイッちゃってます。彼は一体、どんな夢を見るのか?


ボンドの上司であるMを演じるのは、もちろんジュディ・デンチ。今年で75歳になる彼女がいつまでこの役をやれるのかどうかわかりませんが、元気そうなのでまだしばらく大丈夫そう。お体を大切にして、末永くがんばって下さい。くれぐれも “電池” 切れにならないように、定期的にバッテリーチェックを。


ジェフリー・ライトは、前作と同様、CIA諜報員として出演。存在感がなくパッしませんが、そのうち活躍するんでしょう。俺的には、ジャンカルロ・ジャンニーニのポジションがオイシイ。このおっさん、なかなかカッコいいなあ。前作こ引き続いての出演。イタリア出身だそうで、年齢は67歳。何だかこの雰囲気、憧れちゃいます。


本作で唯一残念なのは、色気が少ないこと。007といえば、セクシーな場面が欠かせないんですが、そこはまだまだ駆け出しのボンド。ちょっとはありますが、往年のオヤジファンからは不満が出そう。でもしょうがないでしょう。ボンドが一人前になったら、きっとやってくれますよ。オープニングのセクシーな影絵はちゃんとあるので、そちらの方でガマンして下さいな。


個人的には、Qがいないのが淋しいんですが、それもまた、これからシリーズが重なっていけば、いずれ登場するのではないかと。まずは、足場を踏み固めて、キャラを育てていきましょう。




“信頼” というのは、簡単には得られない。表面的な実績だけでは、なかなか信用できないもの。人は最終的には、情で動くもの。だから、顔の見えない相手や、心の見えない相手では不安になってしまうのかもしれない。


何を考えているかわからない人というのは、相手に不安を与える。何をするかわからない人は、相手に緊張感を与える。相手を気遣うあまり、必要以上に隠し事を重ねると、そうなってしまう可能性が高い。弱みを見せたくなくて、嫌われたくなくて、微妙な距離感が残ってしまうことはよくある。


そういう意味では、Mとボンドの関係は面白い。Mは、ボンドを邪険に扱いながらも、どこかで頼りにしている部分があり、ボンドは無鉄砲ながらも、Mを尊敬している。一見バラバラのようで、深い絆を感じさせる雰囲気が、両者の間にはあると思う。007黎明期のエピソードとして、非常に興味深い。


心に深い傷を負ったボンドは、ともすればやみくもに突進し、自暴自棄に陥りやすい。孤独な戦いをする上で、Mの大きな懐と、謎の女との心の共鳴によって、少しずつ何かが変わっていく。はたして、答えは出るのか?そこは、劇場で確認してみて下さい。



男は、突っ走る時期があっていい。考えるよりも、行動する方が早く答えが出る場合もある。若いうちは、心の赴くままにがんばってみればいい。考えてもわからない時は、もがいてみればいい。何もしないで後悔するよりは、何かをして後悔せよ。それは、価値のある後悔であり、未来の航海につながる後悔なのだ。


失ったものは、もう取り戻せない。しかし、それを乗り越えた後に、何かが変わる。だから、現実から目を背けずに、しっかりと前を見よ。空を見上げよ。心の持ち方一つで、景色はまるで違って見えるもの。新しい風は、そうやって吹いてくるのだ。


ダニエル・ボンドは、もがきながら、自分の心と戦いながら、何かを掴もうとしている。不器用でもいい。自分の魂に恥じない道を行くべし。自分にしかできないスタイルを貫け、007。それができてこそ、真のヒーローとして誕生できるのだ。


本作のラストにおいて、ようやくあのおなじみの場面が登場します。それは一体何を意味するのか?さてさて、面白くなってまいりました。次回作も思いっきり暴れて欲しい。中途半端でなく、徹底的にやるべし。彼が関わると、みんな死んでしまって誰も生き残らない。まさに、“007は殺しの番号”。それが定着する時こそが、ジェームズ・ボンドが真に誕生する瞬間なのだ!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月10日 劇場:ワーナーマイカル県央 21:50の回 観客:約7人

「チェ」 と続けて見ました。逆境に立ち向かう男の映画として、いい組み合わせだと思います。


【上映時間とワンポイント】

1時間46分。時間は短いけど、中身は濃いです。俺、汗かいちゃいました。


【オススメ類似作品】


「007カジノ・ロワイヤル」(2006年アメリカ)

監督:マーティン・キャンベル、出演:ダニエル・クレイグ。ダニエル・ボンドのデビュー作。撮影前に免許を取りに行ったとか行かないとか、色んな怪情報が飛び交って、不安タップリに公開されたっけなあ。ところが、フタを開けてみれば、ムチャクチャカッコいいじゃありませんか。新しい風を感じた瞬間です。本作をより楽しむためにも、予習しておいた方がいいでしょう。


「ミッション・インポッシブル」 (1996年アメリカ)

監督:ブライアン・デ・パルマ、出演:トム・クルーズ。罠にハメられ、裏切り者として組織から追われる身になる男の物語。人気TVシリーズの映画化ということでも、新しい風が吹いた1本。本作と見比べて下さい。


「仮面ライダー THE FIRST」 (2005年東映)

監督:長石多可男、原作:石ノ森章太郎、出演:黄川田将也。あの不滅のヒーローが、劇場版でリニューアル。組織を裏切って、正義の心に目覚めた男が、ひたすら戦う物語。コスチュームがカッコよくてシビレました。これもまた、新しい風が吹くぜ!…ヘーンシン!


「電人ザボーガー」 (1974年フジテレビ系特撮ドラマ)

製作:ピープロダクション、出演:山口暁。生身の主人公が強い作品といえば、やっぱりコレでしょう。秘密刑事である大門豊は、カラテの達人。敵のサイボーグを素手で倒し、ジャンプ力は50メートル。彼がいれば、ザボーガーなんて必要ありません。あれは、主人公の乗り物に過ぎません。この恥ずかしいデザインのバイクを平気で乗りこなせる彼は、やっぱり超人と言えるでしょう。



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2009-02-11

チェ 39歳別れの手紙

テーマ:洋画

人間の寿命というものについて、深く考えさせられる映画でした。


「チェ 28歳の革命」 に引き続き、後半の部分。監督・撮影は、前作と同様スティーヴン・ソダーバーグ、脚本は、ピーター・バックマン。出演は、ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、カタリーナ・サンディノ・モレノ、ヨアキム・デ・アルメイダ、ロドリゴ・サントロ、フランカ・ポテンテ、ルー・ダイアモンド・フィリップス。あと、チョイ役でマット・デイモン(たぶん)。


さて、映画ですが、前作と同様、とても感慨深い作品に仕上がりました。彼が39歳の生涯を閉じるまでの最後の2年間を、静かに、力強く表現しています。伝説の男の生き様を、しっかりと見届けましょう。


キューバ革命が成功した直後、キューバ最高指導者カストロの隣にチェ・ゲバラはいなかった。彼は、キューバにおける地位を放棄し、再び革命の旅に出たのであった。コンゴからボリビアへ、彼の戦いは続く。カストロは、国民の前で、チェ・ゲバラの手紙を読み始めた…。


主演は、もちろんベニチオ・デル・トロ。もうすでに、役柄と同化しているように見えます。さながら、チェの霊が降りてきていたりして。いや、それはないか。彼のことだからあの世でもきっと、現役の革命家としてがんばっているのかもしれないから。


今回注目したいのは、ボリビアのバリエントス大統領を演じた、ヨアキム・デ・アルメイダ。彼は、「デスペラード」 で麻薬王ブッチョを演じたあのおっちゃんですね。ちなみにその時は “ホアキン・デ・アルメイダ” という表記でした。スペルは “joaquim”。 ヨアキムとも読めるから、やっぱり同一人物でしょう。まあ、こんなスゴい顔してる俳優はそんなにいないだろうし。俺的には、ダニー・トレホと同じ分類に入るコワモテの名脇役。年を経て、ますますスバラシイ悪役顔になりました。これからもがんばって下さい。


映画は、淡々と進んでいきます。ダイナミックな仕掛けも、派手な演出もない。変に美化せず、ありのままを臨場感タップリに描くことで、あたかも彼がすぐ近くにいるような気持ちになる。ソダーバーグ監督の高い撮影技術が、本作を格調高い映画に導いてくれています。


パンフ記事によると、撮影には、可能な限り自然光だけを使ったそうです。なるほど、テレンス・マリック監督のスタイルですな。確かに、「シン・レッド・ライン」 「ニュー・ワールド」 のような自然感があった。特に印象的だったのは、死にかけた隊員が空を仰ぎ見る場面の、木々のゆらめく音。とても、詩的な名場面でした。最近の日本映画だと、「コドモのコドモ」 の冒頭で、“くっつけっこ” の場面で効果的に使われたのが記憶に新しい。


もう一つ付け加えたいのは、“RED” という特殊なカメラを使用したこと。軽量で高性能、柔軟性に富む流線型のフォルム。これを使ったソダーバーグ監督は、“初めて聞くビートルズのようだった” と語ったそうです。まさに、革命的なカメラ。本作を構成する上で、重要な役割を担っていたという点において、記述しておきます。


この映画は、前作を見ていなくても大丈夫ですが、できれば両方順番通りに見た方がいいと思います。チェ・ゲバラと共に、心の旅をしましょう。




人は、誰でも不満や怒りを抱えている。それを何とかしたいと思っている。だけど、自分1人の力ではどうにもできないことがある。みんなで力を合わせれば、なんてきれい事は、実際の世の中ではあまり通用しない。人は、利害が絡んでいなければ、基本的に無関心なのだ。というより、自分のことで精一杯というのが実情なのかもしれない。


しかし、自分を捨ててみんなのために尽くしてくれる人がいたらどうだろう。最初は、何か企んでいるんだろうと警戒するかもしれない。だけど、彼の人柄や行動を見ているうちに、信頼という気持ちが生まれる。彼を理解し、協力するようになる。嫌いな者同士でも、彼を通してつながっていく。人は最終的に、理屈ではなく、人の心で動くのだ。


チェ・ゲバラという人は、決して超人でも超能力者でもない。映画を見てわかるように、いたって普通の男なのだ。彼の魅力は、生涯を通じて同じスタイルを貫き通した、そのストイックさにあると思う。立派な言葉をいくら多く語っても、行動がともなわなければ、誰もついて来ない。逆に、多くを語らなくても、行動が立派であれば、信頼は得られるのだ。黙々とがんばる人を毛嫌いする人は、ただのひねくれ者。


チェは、前作で 『…読み書きをしっかり勉強しろ。』 と説いた。バカにされたり騙されないためにこそ勉強する。何と説得力のある言葉だろう。勉強をがんばるのはいいことである。がんばっている人に対して、“ガリ勉” などと悪口を言う人は、ただのひねくれ者。問題は、何のためにがんばるかなのだ。


生きるためには、様々なことを学ばなければならない。本当に大事なことは、そう多くない。だけど、何事も学んでおいて損はないのだ。やりたくない事でも、やらねばならないのならちゃんとやる。やるからには、確実にやる。そのためには、それを苦痛な時間にしたくない。だから、それをやることによって得られる喜びややりがいというものを探す。そうやって、いつの間にか身に付けていく。仕事をする、ということはそういうことだと思う。


人間、やる気になれば何でもできるもの。彼だって、自分がここまで大きな存在になるとは思っていなかったかもしれない。だけど、偉くなって奢り高ぶった人物になるより、生涯現役を選んだ彼の姿勢は素晴らしいと思う。彼もまた、“現場の男” なのかもしれない。


彼が39歳という若さで死ななかったら、どうなっていただろう。たぶん、老人になってもまだ最前線で戦っていたかもしれない。ボリビアの隣の国は、故郷アルゼンチンがある。彼の終の棲家は、どこになっていただろう。だけど、どこで命が尽きても、彼はチェ・ゲバラとしての人生を全うしたに違いない。


もっとも、39歳という生涯が長いか短いかは、人によって感じ方が違うと思う。長生きした人がみんな幸せかどうかわからないし、もっと短い人生だった若者が、全員不幸かどうかもわからない。細く長く生きるか、太く短く生きるか。要は、自分が納得する生き方が大事なんだと思う。一日一日を、悔いのないように生きたかどうか。人がどう思うかよりも、自分の目で見てしっかり確認しなければならない。


だからこそ、チェの生き方は、いつまでも現在進行形なんだと思う。自分が倒れても、誰かがこの戦いを引き継いでくれる者が現れるのを、彼はきっと信じている。そのために、自分ができることは全部やった。後のことは、君たちで考えてくれ。そうやって、革命の炎をバトンタッチしたのだ。


そのメッセージをしっかり受け止めた者こそが、彼の後継者になれるんだと思う。しかし、彼のような生き方ができる人はそういない。だからこそ彼は、伝説のヒーローであり、革命のシンボルとしてのカリスマ性を失わないのだ。


彼との出会いによって、人生が変わった若者はたくさんいる。キューバ最高指導者カストロだって、彼の存在なくしては勝利しなかったかもしれない。彼の存在そのものが、独裁者として暴走しないためのブレーキになったのかもしれない。最初はただの外国人青年だった男が、キューバの英雄になったことは、揺るぎのない史実。1人の男の力は小さくても、多くの人の心を動かした功績は計り知れない。


少年の夢や憧れは、やがて青年の志となって育っていく。それは激しく燃えて、ひたすら走り続ける。走って走って突っ走り、いつしかそれは伝説となって人々の心に残る。だからそれは、決して燃え尽きることはないのだ。


チェの魂に、この映画は届いただろうか。あの世でも忙しくがんばっている彼がこの映画を見たら、きっとこう言うかもしれない。『…俺はここにいる。だから君も、そこでしっかりがんばれ。』


自分の好きな道を、自分の力で歩める者は幸福である。例えそれが人に認められないまま一生を終えたとしても、悔いなんか残らない。自分の思うように生きられたかどうかは、最終的に自分の心が決めるのだ。俺も、彼から学んだことを忘れずに、残りの人生をしっかり生きたいと思います。


チェは言います。『…愛のない本物の革命家なんて、考えられない。』 行動力の原点は、愛である。同じように、映画に対する愛情があるからこそ、映画ブロガーは文章を書くのだ。どうでもよかったら、もっと薄っぺらい文章になるでしょう。大体こんなしんどい事、好きじゃなかったらできませんって。




もしこのブログが、下らない妄想だと言われるならば、


救いがたい映画バカと言われるならば、


好き勝手な御託を並べていると言われるならば、


評論家気取りの低脳ブロガーと言われるならば、


品のない幼稚な文章だと言われるならば、


自己中心の塊だと言われるならば、


何千回でも答えよう、その通りだ、と。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月10日 劇場:ワーナーマイカル県央 18:50の回 観客:3人

俺と、兄ちゃん2人組でした。少ない聴衆でも、チェは熱く語ってくれたぜ。


【上映時間とワンポイント】

2時間13分。エンドロールは無音になりますので、それぞれの思いを込めて画面を見つめましょう。


【オススメ類似作品】


「チェ 28歳の革命」 (現在公開中)

監督:スティーヴン・ソダーバーグ、出演:ベニチオ・デル・トロ。本作の前編。やはり、これを見ずして本作は語れない!


「連合赤軍 あさま山荘への道程」 (2008年若松プロダクション)

監督・編集;若松孝二、出演:坂井真紀。こちらは、日本人として見ておかねばならない映画。3時間10分の “長大作” ですが、不思議と長く感じませんでした。拷問と制裁が毎日のように繰り返される中で、若者たちが目指したものは一体何だったのだろう。本作の雰囲気と全く違いますが、こちらも史実。残酷な内容ですが、決して目を背けてはいけません。しっかり学習しましょう。


「ドキュメント 太陽の牙ダグラム」 (1983年松竹)

監督・脚本:高橋良輔、声の出演:井上和彦。1981年から3年間も放映されたTVアニメ。地球の植民星デロイアが独立するために、ゲリラ戦を繰り広げる。そのシンボルとなったのが、最新型コンバット・アーマー、ダグラムであった。地球人であるクリン・カシムは、デロイアのために革命軍に参加。この辺は、アルゼンチン出身のゲバラがキューバのために戦う状況と重なる。この作品はあまりにもグレードが高すぎて、子供にはチンプンカンプンだったと思いますが、革命の空気は伝わったと思う。稀有な作品なので、マニアな人しか知らないでしょう。本編は全部で75話くらいあるので、興味ある人は1時間20分に短縮された劇場版を入門編としてオススメしておきます。ちなみに、俺が好きなキャラは、ザルツェフ少佐。装甲を剥がして軽量化したソルティック・ラウンドフェイサーは、何だかコーフンしたなあ。





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2009-02-09

超能力コラム その2 「透視能力」

テーマ:超能力コラム

さて今回は、透視能力のお話。男なら、小学生くらいの時に誰もが夢見た、憧れの能力。中学生になると、エロい想像力も働いて、ボカシ・墨ヌリ・モザイクなどの向こう側の世界に思いをはせたものです。そんな夢のような力が、もし自分のものになったらどうする?


まずは、日常世界から考えてみましょう。トランプで遊んでいる時なんか、きっと最強ですね。ババ抜き・神経衰弱・七ならべ・ポーカー・大貧民…勝つのは容易でしょう。でもこれは、その1で話したように、ゲームそのものの楽しさがなくなるということで、俺的にはパスしたいところ。


じゃあ、福引はどうか。三角クジ・スクラッチ・福袋などは結構イケるかも。でも、ガラガラ回すアレはダメですね。当たり玉がわかっていても、それを都合よく出すのは相当な訓練が必要。かえってイライラしたりして。まあ、宝クジなら予知能力の分野だし、つつましい範囲での力となるでしょう。


オタク的に考えれば、食玩とかガシャポンには絶大な力を発揮するでしょう。「ドラゴンボール」 などのカードゲームでも、レアカードをゲットする確率が高くなる。だから、その順番をみはからって並ぶ…うーむ、ズルいなあ。それは、何だか卑怯な気もする。カードが欲しくて、なけなしのおこづかいをはたいて必死になっている子を尻目に、堂々とズルするのも何だか気が引ける。むしろ、その子を助けてあげようとし順番を譲ってあげたところで、自分のおかげなんだぞって思っても、相手はわかんないもんね。


カッコいい使い方としては、犯罪捜査に役立てるという方法があります。本物かハリボテかどうかの判断とか、金庫の中身の確認とか、泥棒の侵入経路とか、隠れている場所とか…。どうせならいっそのこと、泥棒になっちゃいましょうか。ただ、大きなヤマは踏まない方がいい。チームを組むと、絶対モメ事になって殺されるか、脅迫されてユスられる可能性が高い。どっちにしても、その道のプロになるべく訓練しなきゃならんでしょう。その覚悟がないなら、コソ泥稼業でつつましく生きる方が懸命。


じゃあ、医療に対してはどうか。体の中身がちゃんと見えるから、きっと正確な診断ができるでしょう。だけど、医学的な知識がなかったら、何が何だかわからないので、こっちもちゃんと勉強してプロの医者になる覚悟が必要になります。


製造業に身を置く俺としては、非破壊検査なんかが思い浮かびます。機械をバラさずに中身が見えたら、壊れている部分が一発でわかる。亀裂の具合いなんかもわかる。だけど、ここが壊れてます、なんて言ったところで、お前何でそんなことわかるんだよ、と言われてしまうのがオチ。技術者や職人さんはプライドが高いから、うっかりしたことが言えないことも多い。だから、これもやっぱり専門知識を身につけてこそ役に立つということでしょう。




そう思うと、この能力を手っ取り早く生かすのは、やっぱりエロの世界しかないんでしょうか。彼女がどんな下着を着けているかが気になる人は、思いっきり確認できます。その気になれば、中身だってバッチリ見えます。オッパイがどんな形をしているか、乳首の色はどうか、アンダーヘアが濃いか薄いかだってわかるでしょう。がんばれば、処女かどうかまでわかるかもしれない…はいどうぞ、好きなだけコーフンして下さい。…だけどね、透視している間、きっとスケベな表情をしていることは間違いない。むしろそっちの方が、ずっとハズカシイような気がしますが。


男ってイヤねえ、なんて思っている女性のみなさんだって、案外似たようなもんかもしれませんよ。例えば、彼氏がズラかどうか、気になりませんか?シークレットブーツを履いているかどうか、気になりませんか?デートの時に、彼の財布にいくら入っているかが気になりませんか?向こうを向いてメール打っている時のケータイ画面が気になりませんか?


彼の体が筋肉質かどうか、胸毛があるかどうか、入れ歯かどうか、どんなブリーフを履いているか、チンコがどっち側に曲がっているか…さあ、興味のある部分を片っ端から確認しまくりましょう。…でもね、それを見ている貴女は、かなりエロい顔していると思いますよ。デート中に彼女がそんな顔したら、彼氏は何て思うでしょうね。股間を凝視して、『…うっわー!』 なんて目をひんむかないように、くれぐれもご注意下さい。




ここで、素朴な疑問があるんですが、透視能力って、視力と関係があるんでしょうか。超能力開発に使用するESPカードなんかは、イメージで読み取るものですよね。彼女のカラダを透視するのに、イメージだけ浮かんでもしょうがないでしょう。それじゃ、モザイクやボカシとそんなに変わらないもんね。しっかりと視覚でキャッチできなくては意味がない。…そうでしょ、オヤジのみなさん。


だから、透視能力があっても、近眼だったらどうなるんだろう?メガネやコンタクトをかければ見えるのか?透視している時は、普段見ている時とは眼球の動きが違うかもしれないから、透視用メガネが別に要るようになったりして。それって、かなりマヌケだと思うし、挙動不審人物以外の何者でもないでしょう。


それから、ピントも間違えないようにご注意。力を入れすぎると、筋肉組織や脂肪まで見えてしまうので、服と皮膚の紙一重に合わせるのがコツになるでしょう。何とかがんばってみて下さい。


でも、簡単に見えちゃうと、ありがたみがなくなるかもしれない。俺が中学生くらいの時は、エロ本1冊買うのにもものすごい苦労が必要だった。今ではコンビニで簡単に買えちょうし、露出度もスゴい。でも、これって想像力を奪いませんか?あんまり手軽になり過ぎると、だんだん性欲が減退していくんじゃないでしょうか。これでは恋愛をしても、情欲が湧かなかったりして。プラトニックな恋なら問題はないけど、そういう人は、もともと透視能力なんていらないでしょうね。



もし、俺がこの能力を持ったらどうするか。やっぱり、占い師になるしかないでしょう。警察に保護してもらって、犯罪捜査に協力してもいい。医療現場に協力してもいい。表に出ないように、あくまでも裏の仕事として。そうなるためには、多くの人に信用してもらえる人間になる努力をしなけりゃね。その能力が備わった者にふさわしい生き方をしなければ、ただの脅威でしかない。家族の命を守るためにも、悪い使い方はできないと思います。


うーむ。そう考えると、やっぱりこの能力も、使いこなすのが面倒だなあ。何だか、能力に振り回されるような気がしてしょうがない。その1の時とおんなじで、オン・オフが出来たとしても、気になるからやっぱり使っちゃうことになるんでしょう。そういうわけで、俺、この能力いりません。 …ようし、次いってみよう!



            (次のテーマは、テレパシーの予定。期待しないでお待ち下さい。)





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2009-02-04

超能力コラム その1 「未来予知」

テーマ:超能力コラム

また何か変なこと始めたぞ、という声が聞こえてきそうですが、新しいコーナーをスタートさせます。題して “超能力コラム”。 うっはー、何でしょう、コレ。


あらかじめ言っておきますが、俺には超能力がありません。厳密にはもしかしたらあるのかもしれないけど、一般的な尺度で考えて、ないと思います。じゃあ、超能力トレーニングでもするのか?いやいや、そういうことじゃなくて、こういうことです。“…もしも、超能力があったらどうするか?”


超能力という力は、確実に存在します。理由はカンタン。あった方が面白いから。というわけで、しょうもないシリーズの始まりです。第1回目は、予知能力のお話。


予知能力というのは、未来を予知する能力。つまり、これから何が起こるかがわかるということ。これってすごい。この能力さえあれば、宝クジ、競馬、競輪、競艇、カジノ、賭博、麻雀、ロシアンルーレットなど、賭け事に関しては絶大な力を発揮する。ジャンケンも最強。でも、当ててばっかりいると、イカサマだと思って殺されるかもしれないからご注意。ちなみに、映画 「NEXT」 のニコラス・ケイジは、怪しまれない程度に、カジノで小金を稼いで生活してました。つつましい超能力者ですなあ。


例えば、好きな人に告白する場合はどうか。あっさり断られるなら、絶対しないでしょう。いい雰囲気になって、ここぞという時に確実にゲットできればいいでしょう。承諾の仕方にもいろいろあって、最高の気分で結ばれたいと思うなら、それなりの工夫もいい。相手がこう言うってわかっているから、映画俳優になった気分でセリフを言うことになりますね。でも…それって味気なくない?まあ、実際にはナンパで使うのが手っ取り早いかな。


おいしい店に入る時なんかも、この能力は役に立つ。デートなのに料理がマズかったら台無しだもんね。入る前に、彼女のおいしそうな顔が浮かんだら、迷わずその店に入りましょう。デート自体も、盛り上がる方へコースをドンドン変更したらいい。きっと忘れられない一日を過ごせるでしょう。


人生は、選択の連続です。選択肢に弱いと、損をしてしまうこともある。間違いなく幸せになれる方を選べば、順風満帆の生活が保障される。それはきっと、楽しい人生に違いない…だろうか?




まず、ドキドキしなくなるでしょう。ワクワクもしない。結果がわかっているから、喜びというものがなくなるような気がします。乗ると事故にあうとわかっているから、彼女の車には乗らない。食べるとお腹をこわすとわかっているから、彼女の手料理は食べない。バカにされるのがイヤだから、友達のパーティに参加しない。風邪をうつされるのがイヤだから、お見舞いに行かない…などなど、相手がいるといろいろ面倒になるのだ。


じゃあ、危ないから車はやめよう、と言ったところで彼女はどう思うか?気をつければいいじゃん、ってことになるでしょ。で、仕方なく乗って、やっぱり事故る。ほうら、言わんこっちゃない。何よ、あんたはあたしが事故ればいいと思ってたんでしょ!なんて大ゲンカになっちゃう。だから、知らないふりをしなければならない。うわー、それもある意味恐いなあ。そっちの方がドキドキしたりして。


未来を感じる能力って、オン・オフができるのかな。見たくない時は、オフにしておけばいい?いやいや、そう単純にはいかないと思いますよ。だって、気になると思う。ずっと成功し続けている人は、失敗を極度に恐れるはずだから。見ずにはいられないと思います。


これって、以外と面倒くさい能力ですねえ。もし俺が持つとしたら、例えば一生に3回だけ使えるとか。ここぞという時に神様を呼んで、かなえてもらう。家族の運命がかかっている時とか、大事な時だけってやつ。俺は、それくらいでいいかな。夢がない、なんて思わんで下さい。超能力は、使いこなせなければただの災いなんだから。


俺がこの能力に目覚めたら、その時点で映画熱は終了ですね。だって、映画そのものが見れなくなるじゃん!見る前から結果がネタバレしてんだぞ!そんなクソつまらん文化に付き合ってられるか。 …こりゃあ、生き方を根本から変えることになりますなあ。


というわけで、俺はこの能力、いりません。もし不幸にして目覚めちゃったら、今までの生活にオサラバして、モグリの占い師になります。地味な範囲で人の役に立って、細々と生きていくことになるかな。できることなら後継者を見つけて、譲渡してしまいたい。先着1名様にあげます。


…予知能力かあ、つまんねえ能力だなあ。 …ようし、次いってみよう!





         (次回は、透視能力の予定。期待しないで気長にお待ち下さい。)






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2009-02-03

シャッフル

テーマ:洋画

頭がシャッフル、心もシャッフル。 時空を超えて、ランダム生活。 …こりゃ疲れるわ。


“shuffle” とは、“カードを切る” という意味の他に、“足を引きずって歩く・言い逃れ・ごちゃまぜ・再編成” などの意味もあります。ちなみに原題は 「premonition」。意味は、“予感・虫の知らせ・予告・警告”。こっちのタイトルの方がいいなあ。“シャッフル” というタイトル自体、すでにネタバレしてるもんなあ。


監督は、ドイツ出身のメナン・ヤポ。本作でハリウッドデビュー。脚本は、ビル・ケリー。出演は、サンドラ・ブロック、ジュリアン・マクマホン、ニア・ロング、ケイト・ネリガン、アンバー・ヴァレッタ、ピーター・ストーメア。


さて、映画ですが、トンデモサスペンスの傑作に仕上がりました。これは笑えます。非現実的な不条理世界大好きの人にオススメ。ケンカしているカップルは、この映画を見るとうまくいくかも。


最愛の夫が、出張中に交通事故で死亡。しかし、翌朝になると、彼は生きていた。喜びもつかの間、その翌日にはまた死んでいた…。彼女は、一体どうなってしまったのか?


主演は、サンドラ・ブロック。「スピード」 のおねーちゃんも、もう34歳になりました。微妙なくたびれ顔が、なかなかキュートでした。本作の役柄は、2人の娘を持つ主婦。突然の出来事に翻弄される女を、懸命に演じています。どことなく不器用な雰囲気のある彼女は、観客が感情移入しやすいと思います。


謎めいた夫を演じるのは、オーストラリア出身のジュリアン・マクマホン。「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」 で悪役をやったおっちゃんですな。トロフィーの上に乗ってるような、カッコ悪いメタリック怪人でした。本作でやっとまともな人間の役を…マトモじゃないか。


精神科医を演じるのは、ピーター・ストーメア。うわー、すっげえ悪そう。どこから見ても怪しいおっさん。とりあえず腕っぷしは強そうなので、暴れる患者を力ずくで押さえつけるのは容易でしょう。出番は少ないけど、強烈な印象が残りました。


パンフに名前がのってなかったけど、2人の娘役の女の子がかわいかった。お姉ちゃんの不安そうな表情は絶品でした。サンドラ姐さんの言うことをよく聞いて、いい女優さんになって下さい。


この映画は、登場人物が少ない。それだけに濃密で、不安をあおる効果も絶大。思考と記憶のアクションバトル。精神的な冒険をしたい人は、いざ劇場へ。




人間の記憶というものは、極めて不安定なもの。同じものを見ても、人によって印象が違ったりするので、正確な事実が食い違う時もある。記憶のイメージは、その時の精神状態に左右されるということですね。


男女の言い争いは、“やった・やらない” “言った・言わない” といった記憶が食い違って起きる時が多い。あの時ああしたはず、いやこうだったとか。双方に正しいと思っていると、なかなか決着がつきません。第三者に意見を聞いても、絶対に折れない人もいるでしょう。“欲しい・いらない” “あっちがいい・こっちがいい” という好みの対立よりも、こっちの方が始末が悪いもんなんです。


記憶が間違っていた、と認めるのには勇気がいる。うすうすわかっているはずなのに、なかなか認めないのは、感情が許さないから。自分のアイデンディディが崩れるのか恐いから。記憶というものは、とても大切なものなんですね。


人は、自分の記憶を土台にした思考世界を生きている。例えば俺という人間も、家族や友達の頭脳の中では、それぞれ違ったイメージで記憶されているはず。俺を知っている人間の数だけ、それぞれのストーリーに適合した俺が存在するのだ。


だから、俺は人と話す時には、その人のイメージを大切にすることを心がけています。悪い男として見られていたら、ワルのイメージで通す。優しい男として見られていたら、優しく接する。エロい男だと思われていたら、下ネタトークをする、といった具合い。飲み屋のカウンターで話す時なんかは、その方が面白いから。


記憶が混乱することって、実はよくある。その状況を楽しめるようになれば、そんなに深刻に悩むこともない。忘れていたことをパッと思い出すのって、すごく気持ちがいいもんね。


サンドラの不安な表情は、現代を生きる人間の共通の顔。誰もが見えない不安と戦いながら、毎日を必死に生きている。信じられるものがあるのか、どこまで信じていいのかわからない現実。押しつぶされるような恐怖に耐えながら、みんながんばって生きているのだ。


主人公は、困難な状況に立ち向かいます。勝算なんてない。でも、やらずにいられないのだ。やるしかないのだ。やらなかったら、一生後悔する。ダメかもしれないけど、やるだけやってみる。行動する彼女の表情は、何だかカッコよかった。そういう行動を通して、自分にとって一番大切なものが何かを、彼女は知っていくんですね。


シャッフルというタイトルは、思考に風通しをしてリフレッシュしろという意味なのかもしれません。混乱の中にあっても、自分のやるべき事をちゃんとやれたらいいなって思います。困難は、脳を鍛えるためにあるのだ。


形のあるものは、いつかは壊れてしまう。でもそれは、時間が経って、形そのものが変わっていくということ。変わったと思ったのは、もしかしたら錯覚かもしれない。むしろ、変わったのは自分の方なのかもしれない。姿形は変化しても、決して変わらないものって、絶対あると思う。


この映画、もしかしてまだ続きがあったりして。この調子で毎日がシャッフルされていったら…楽しいじゃん!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:2月1日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 14:00の回 観客:約100人

ゴーオンジャー見た後に、映画館をはしごしました。妻と娘は、お買い物タイム。


【上映時間とワンポイント】

1時間36分。尺は短いけど、内容は濃ゆいです。


【オススメ類似作品】


「クラッシュ」 (2005年アメリカ)

監督・脚本:ポール・ハギス、出演:サンドラ・ブロック。サンドラの苦悩の表情にグッときたのは、この映画から。登場人物がやたらと多いので、彼女は主演というわけじゃありません。しかしながら、強く印象に残りました。映画を見たあとの余韻も、本作と似ています。アカデミー作品賞受賞。


「メメント」 (2000年アメリカ)

監督・脚本:クリストファー・ノーラン、出演:ガイ・ピアース。記憶混乱ドタバタサスペンスコメディといえば、やっぱりコレでしょう。あまりのバカっぽいストーリーに、爆笑の連続でした。記憶が10分しかもたない男という設定からして、すでに笑えます。逆から進行していくスタイルも面白い。色んな意味で、前衛的な映画でした。


「明日の記憶」 (2006年東映)

監督:堤幸彦、原作:荻原浩、出演:渡辺謙。これは、ホラー映画です。記憶を失う恐怖を、これでもかこれでもかというくらいに、執拗に描写しているのがスゴい。CGを使った揺らぎの場面がとても効果的でした。堤監督作品にはアタリハズレがありますが、これはアタリでした。無理矢理ファンタジーにしているところもニクい。


「博士の愛した数式」 (2005年角川)

監督:小泉堯史、原作:小川洋子、出演:寺尾聰。こちらは80分だけ記憶が持つ男。まあ、10分よりは余裕がありそう。周りが彼に合わせてくれているので、彼にとっては普通の日常生活。幸せな男だと思います。


「NEXT」 (2008年アメリカ)

監督:リー・タマホリ、原作:フィリップ・K・ディック、出演:ニコラス・ケイジ。2分だけ未来予知ができるという、中途半端な超能力者の物語。こうやるとこうなるから、こうしよう。お姉ちゃんをナンパする時に使えるなあ。原作は超有名で面白いんだろうけど、映画は思いっきりバカでした。



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