FUJITA'S BAR
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2009-01-31

1月の反省

テーマ:エッセイ

【今月行かなかった映画とその理由】



「レボリューショナリー・ロード」

「タイタニック」 の2人が共演、というだけで萎える。どうせならいっそのこと、「タイタニック2」 にしてもらって、ジャックの亡霊に悩まされるローズのエロティカル・サスペンスの方がいいなあ。


「ヘルボーイ ゴールデン・アーミー」

1作目を見ていないのでパス。ロン・パールマンはノーメイクでも充分怪物なのに、メイクしたら何だか普通のおっさんになった気がしますが。


「休暇」

見に行くつもりだったんですが、仕事が減ってしまって、稼ぎがないので行けませんでした。休暇はいっぱいあるんですけど。


「わたしは貝になりたい」

とっておきのギャグだった 「わたしは具になりたい」 を、お笑いタレントのナイツに先に言われてしまったので、その時点で記事にする意欲が失せました。代わりに、レンタルDVDでフランキー堺主演のオリジナルを借りて見ました。


「252生存者あり」

災害シミュレーション映画として興味を持ったんですが、主演が 「海猿2」 の長電話男だと思うと萎える。生死の境で、彼の顔を見たら “もう助からない” って思うだろうな。見に行くだけで死んでしまいそうなので、行かずに生き残る方を選択します。


「青い鳥」

原作は面白そうだけど、主演が阿部寛ではどうも…。散る散る期待、満ちる不安。


「ザ・ムーン」

お金持ちじゃないと、宇宙旅行はできません。お金が余っていないと、こういう映画は見られません。昨年見た 「アース」 のトラウマが未だ抜けていないので、問答無用でパス。





今月見に行った劇場映画は、全部で7本。お金がない割には、よくがんばって行ったと思います。こういう時に限って、いっぱい公開されてたりするんですよねえ。


毎度のことながら、年明けはランキング記事の執筆に追われて、前半でパワーを使い果たしてヘトヘトになってしまいました。昨年の内に完成したいと思いながらも、毎年こういうことになってしまう。今年こそは、大晦日に全部出したいなって思います。


世の中が不景気だと、お金を払って劇場に出かける人が少なくなる。俺も稼ぎがある時は、週に3~4本見ていた時期もありました。でも、今は無理。収入は大幅に減ったけど、節約すれば映画代くらいは何とかなると思うので、可能な限り今年もいっぱい見たいと思います。


ご承知の通りこのブログは、公開中の劇場映画を、ネタバレしないで紹介するのをモットーにしております。友達からよく言われるのは、“見てないけど、見た気分になるブログ” であるということ。だから、事情があって映画館に行けない人にこそ読んでもらえたら、少しは世の中の役に立つのかも…なんて勝手に思ったりしています。


ここは不人気ブログだけど、微妙に読まれているみたいで、アクセス数も今年になってちょっとだけ増えているような…いや、気のせいか。でも、少人数の “常連さん” がいるのは間違いないみたい。世の中には物好きがいるもんですねえ。俺なんかよりもっとレベルの高い映画記事を書いている人はいっぱいいるので、偏った思考にならないように、できるだけ広範囲にまんべんなく知識を広げられるようにしましょう。


3年半もブログやってると、ともすればマンネリになりがちですが、俺の場合はどうなんだろう。知らないうちに変なこと書いてないかなって時々不安に…いやいや、それはないか。変な文章はいつものことですから。むしろ、マトモなこと書く方がヒンシュクだったりして。


そういえば、ブログを始めた頃は、毒のある文章が楽しみで読みに来る読者もいたっけなあ。その頃に比べればだいぶ大人しくなったと思うけど、人間の本質ってやつは変わらないものだから、時たま毒も出るでしょう。それがまた、文章を書く楽しさでもあるので、ご理解をいただいた上で、適度に暴走したいと思います。


まあ、プロの文筆家ではないので、あくまでも素人のひとりごとであることには変わりありません。ただ、観客としてはプロでありたいという変なプライドだけはありますので、自分の気持ちを偽らずに書くというスタイルだけは貫かせてもらいます。その上で、必要に迫られた変化はあるでしょう。


そういう意味では、ブログもまた、生き物なんです。時代とともに進化していく映画熱。しかし、その本質は決して変わらないもの。そういう意味では、どうか信頼して欲しいと思います。


これを読んでいるあなたとも、不思議な縁があるのでしょう。この関係は、もしかしたら明日には終わるかもしれないし、10年後も続いているかもしれない。人の運命なんて、どうなるか誰にもわからない。それでいい。わからないからこそ、面白いのです。だからこそ、今感じている気持ちと、しっかり向き合いましょう。


老若男女関係なく、人は誰でも悩むもの。それは、パワーの源。悩みぬいてこそ、前に進む力が得られるというもの。だから、考える力は生きる力でもあるのだ。


今年も、映画を交えて色んなことを考えてみたいと思います。御用とお急ぎでない方は、気長にお付き合い下さい。では、来月もよろしく。




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2009-01-31

誰も守ってくれない

テーマ:邦画

改ざんされた脚本でなく、できればオリジナルで映画化して欲しかった。


モントリオール映画祭において、最優秀脚本賞を受賞した話題作が登場。「感染列島」 同様、これもまたオリジナル脚本だそうなので、期待して見に行きました。ところが…。


監督・脚本は、君塚良一。10年間あたためていた構想だったそうで、念願の映画化となりました。出演は、佐藤浩市、志田未来、松田龍平、木村佳乃、柳葉敏郎、石田ゆり子、佐野史郎、佐々木蔵之介、冨浦智嗣、津田寛治。…ゾクゾクするようなキャスティング。


さて、映画ですが、何とも微妙な仕上がりとなりました。前半は重厚なのに、後半になると急にユルユルになってしまったのはなぜだろう。もっとハードボイルドな展開になるかと思ったんですが、妙に脱力感。まあ、フジテレビ製作の映画だから仕方ないでしょう。TVドラマ大好きの人にはウケると思うので、一般人向けの映画としてならOKでしょう。少々目の肥えた人は、それなりの覚悟をして見て下さい。


18歳の少年が殺人犯として逮捕され、加害者の妹を保護しなければならなくなった。それを命じられた刑事が主人公。15歳の少女とおっさんデカは、世間とマスコミとネットの暴力にさらされることに…。


主演の佐藤浩市は、こういう役にピッタリ。彼は、屈折した男がよく似合う。最近は、脇役で見ることが多かったので、主演作は久しぶりに見ました。本作の役柄は、心に深い傷を持つ刑事。職業柄、家族とはうまくいってなくて、何とかしようとしている感じがにじみ出ていてよろしい。苦悩と迷いの男を演じたら、彼はピカイチだと思います。


加害者の妹を演じるのは、志田未来。現在15歳なので、役柄の年齢とおんなじ。女優デビューは2000年だそうなので、すでに8年のキャリアがあることになります。堂々とした演技でしたが、見かけがすごく強そうなので、あんまり守ってやらなくてもよさそう。顔がふっくらしているのはかわいくていいけど、ご飯しっかり食ってそうで、ちっともゲッソリ感が出ません。何だか 「ドラゴンヘッド」 のSAYAKAを思い出すなあ。個人的には、もっと貧相でやせ型の女優さんにして欲しかった。まあ、彼女に罪はありませんが。


主人公の同僚を演じるのは、絶好調の松田龍平。本作では、軽めでシブい兄ちゃんというポジション。なかなかオイシイ役柄ですな。最近でいうと、「伝染歌」 を思い出すようなキャラ。やっぱり父親の血筋なのか、何やってもカッコいい。


精神科医を演じるのは、またまた登場、木村佳乃。姉さん、最近出まくりでんなあ。出番は少ないけど、微妙にエロキャラで印象的でした。登場場面はなかなか笑えます。彼女は、脇役として光る女優なのかも。これからも、色んな役柄に挑戦してみて下さい。今度はしっかり見ますから。


わけありの夫婦を演じるのは、柳葉敏郎と石田ゆり子。なかなかいいバランスでした。ギバちゃんは、熱い情熱を秘めた男がよく似合う。ちなみに 「容疑者室井慎次」 は、本作と同じく君塚監督作品。その縁あっての出演か。そっちはイマイチだったけど、本作の役柄はとてもピッタリだと思います。


特筆すべきは、佐々木蔵之介。こんなにシリアスな彼の表情は、初めて見ました。やっぱり彼は、いい俳優だと思います。「憑神」 や 「椿三十郎」 では笑わせてくれる男でしたが、本作ではかなりギラギラ。「クライマーズ・ハイ」 の堺雅人並みに面白いキャラだと思うので、どうかご注目。




というわけで、役者的にはすごい人たちが揃っているのに、映画の出来は微妙。これでホントに脚本賞なのかと、劇場を出てから疑いたくなりました。しかしその後、パンフの記述を読んで、ははあなるほどな、って思いました。


本作の脚本は、君塚監督がフジテレビに持ち込んだそうです。当初はもっと “叙情的な内容” だったらしいのですが、フジテレビ側が、もっと社会派的な視点を入れようと提案して、鈴木智に依頼して書き換えさせたそうです。なるほど、微妙なつぎはぎ感があったのはそのためか。オリジナル脚本の出来がいいかどうかはともかく、できれば個人的には、君塚監督のカラーで貫いた映画を見たいと思いました。


パンフによると、脚本を書き換えろと言われた監督は、『…頭のスイッチが急には入れ替わらない。』 と言い、フジテレビ側で直して欲しいとプロデューサーに告げたそうです。その時の、監督の悲痛な気持ちを思うと、何だか切なくなってしまいました。 …脚本は、誰も守ってくれない。


だからといって、オリジナル脚本で映画化したらヒットするのかと言われれば、誰も反論はできないでしょう。よくある話ですが、この映画が脚本賞を受賞した事実は、フジテレビにとって快挙なんでしょう。書き換えさせたからもらえたんだ、って。しかし、俺にはこう思えます。『…題材だけは素晴らしい。だけど作品としてはイマイチ。』


しかし、それを判断するのはあくまでも観客。具体的に言うとネタバレになるので、ここでは書きません。気になる人は、劇場でご確認下さい。いい映画なんだろうけど、俺的には微妙な作品です。




“覗き見願望” というのは、誰にでも少なからずあるもの。週刊誌やワイドショーという媒体は、世の中の好奇心を満たす役割があるので、ずっと生き残ってきたジャンルであり、人類が存在する限りは不滅でしょう、たぶん。だから、マスコミの存在自体は決して “悪” ではないんです。マスコミが悪いとしたら、それを活用する人全員に責任があるというもの。


“いじめ” というのも、残念ながら根絶するのは難しい。映画に登場するのは、ネットによる誹謗中傷のオンパレード。悪をこらしめるという名目で、情け容赦ない攻撃が執拗に続き、暴走してさらにエスカレートしていく。プライバシーも個人情報も暴露され、社会的に抹殺されてしまう…。何とも恐ろしい世の中になったもんです。


だけど、社会がどうの、世の中がどうのと言う以前に、それを構成しているのは我々1人1人だということを忘れてはいけないと思うんです。世の中が悪いといくら嘆いても、自分もその1人であることは間違いない。文化や生活が多様化しても、人間の本質は変わらない。ネット自体には利点も多いから、あくまでも使う側の心に左右される性質のものである、ということ。


だから、社会派ドラマと銘打っている以上は、マスコミの暴力という側面もしっかり描くべきだったと思う。それができないなら、脚本をわざわざ書き換えさせる意味がない。本作は、マスコミの取材攻勢自体は出すものの、次の瞬間すぐにネット暴力側に “悪役” が巧みにスイッチされている。それって何だかズルくありませんか? 佐々木蔵之介をマスコミ側に登場させて、微妙に高感度アップ狙ってますって感じもセコい。「相棒 劇場版」 のテレ朝の方がずっと勇気があったりして。フジテレビは、おいしいところだけ持っていきたかったんでしょうか。


この映画は、もっとシンプルにした方がずっといいものになったのかもしれない。だけど、こうして世の中に出た以上、君塚監督が訴えるメッセージはちゃんと伝わったと思う。表面的にとらえるか深くとらえるかで、印象はまるで違うものかもしれないけど、何かのきっかけになればいいと思う。


もうすぐ、日本アカデミー賞の発表があります。その時にはぜひ、君塚監督に監督賞を受賞してもらいたい。こんな改ざんされた脚本なのに、しっかり監督した男を評価してもらいたい。そして、次回作はぜひオリジナル脚本で、いい映画を撮ってもらいたい。俺はそう願います。


劇場で公開される映画が、全ていい映画とは限らない。いい脚本が、製作側の都合で闇に埋もれてしまうこともある。いい映画が世にたくさん出るようになるには、観客の力が必要なのだ。俺は、観客の1人として君塚監督を応援したい。あんたが本当に撮りたい映画を、あんた自身のオリジナル脚本で撮ってくれ!


誰も守ってくれない。だから、大切なものは自分の力で守るのだ。人も家族も、夢も希望も。守る価値があるからこそ、守りたいのだ。そして…守るべきものがある人は、幸せなのだ。




【鑑賞メモ】

鑑賞日:1月29日 劇場:ワーナーマイカル県央 21:30の回 観客:3人

俺と、おっさんだけでしたが、途中から女性が1人入ってきておっさんの横に…ほほう、劇場で待ち合わせですか。もしかして、うしろめたい関係だったりして…。


【上映時間とワンポイント】

1時間58分。公開日に放映されたTVドラマは、あえて見ませんでした。何だか、映画が軽くなってしまうような気がして。


【オススメ類似作品】


「らせん」 (1998年角川)

監督・脚本:飯田譲治、原作:鈴木光司、出演:佐藤浩市、中谷美紀。「リング」 の正式な続編はこちら。「リング2」 が公開された時は、「らせん」 の立場はどうなるってツッコんだものです。佐藤浩市が、幼い息子を亡くした父親役を好演。お相手の女子大生は、中谷美紀。ソフトなベッドシーンもあり。貞子役は、佐伯日奈子。デッカい目をひんむいた顔が魅力的。夜中に現れて、首筋をナメまくるシーンは絶品です。ああ、俺のところにも来てくれないかなあ。


「GONIN」 (1995年ぶんか社)

監督・脚本:石井隆、出演:佐藤浩市、本木雅弘。崖っぷち人生の男5人が、犯罪計画を立てる物語。銃撃戦と暴力と粋なセリフとホモと友情。交通事故直後のビートたけしが、片目に絆創膏を貼って出演しているのも懐かしい。セリフのない椎名桔平も、イライラした竹中直人も、シブい根津甚八と鶴見辰吾もカッコいい。しかし、なんといっても主役の佐藤浩市です。モッくんが 『…てめえ、ナメてんのか!』 とスゴめば、『…ナメたら立つぞ!』 と応酬。死ぬほど爆笑しました。


「レオン」 (1994年アメリカ)

監督・脚本:リュック・ベッソン、出演:ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン。おっさんと少女の組み合わせといえば、やっぱりコレでしょう。殺し屋の修行をする場面を見たい人は 「完全版」 をご覧下さい。思えばナタリーは、この頃から色気があったっけなあ。ジャンキーデカ役のゲイリー・オールドマンのイカレっぷりもお見事。


「長い散歩」 (2007年キネティック)

監督・脚本:奥田瑛二、出演:緒形拳。モントリオール映画祭グランプリ受賞。こちらは、ジイさんと少女。切ない旅をするという点では、本作に通じるものがあります。その徹底した作風が素晴らしく、緒形拳の熱演が心を揺さぶります。エンディングテーマは、井上陽水の 「傘がない」 をUAがカバー。映画館を出た後の余韻が、今でも忘れられない。



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2009-01-24

空へ 救いの翼

テーマ:アニメ・特撮

人は、人によって生かされている。 …だからこそ、命を懸けて、命を救うのだ。


“そら” と聞いて “空” を思い浮かべる人は正常。“宇宙” を思い浮かべる人はガンダムオタク。“蒼井そら” を思い浮かべる人はエロオヤジです。 …さあ、キミはどれ?


オリジナルアニメーションの傑作 「よみがえる空」 が、実写映画となって登場。監督は、手塚昌明。出演は、高山侑子、渡辺大、井坂俊哉、金子賢、三浦友和、木村佳乃、中村雅俊、浅田美代子、鈴木聖奈、瀬戸早妃、宮川一朗太。


さて、映画ですが、シンプルでわかりやすい映画に仕上がりました。毒は一切ないので、超健全な映画です。航空自衛隊が全面協力しているので、本物の迫力をお楽しみ下さい。


航空自衛隊航空救難団小松救難隊に所属する、救難ヘリの新人女性パイロットが主人公。彼女が操縦する高性能ヘリは、UH-60J。過酷な状況で遭難した命を救うために、奮闘しながらも成長していく…。


主演の高山侑子は、新潟県出身の新人女優で、本作で映画デビューとなりました。まだ16歳でありながら、23歳の役柄とはスゴい。演技の方はあんまりイケてませんが、彼女がこの映画に出演することに意味があるんです。実は彼女の父親は航空自衛隊の救難隊員であり、残念ながら事故により2005年に37歳で殉職。彼女は、亡き父の魂を抱きながら、本作で大空を飛びました。その勇姿を、みんなで見守ってあげましょう。


彼女の上官である隊長を演じるのは、三浦友和。洋服の青山スーツもいいけど、自衛隊の制服もよく似合います。短髪も様になっていて、見事なキャスティングと言えるでしょう。海上自衛隊護衛艦艦長を演じた中村雅俊は特別出演。落ち着いた大人の男って、やっぱりカッコいい。セクハラとかありませんので、どうかご心配なく。


渡辺大(渡辺謙の息子)は、「ラストゲーム」 同様、健全な青くさい感じがなかなかよろしい。井坂俊哉は、「砂時計」 同様、微妙にヘタレ男な感じがいい。金子賢は、わかりやすいマッチョな男で、これまたさわやかでよろしい。この映画には、いい人しか出てこないみたいです。個人的には、悪そうな男を1人くらい出した方が映画が盛り上がるかと思いますが、まあそれはそれ。


特筆すべきは、飛行班長を演じた木村佳乃でしょう。俺的にはもともと嫌いな女優だったんですが、「相棒」 「おろち」 で注目して以来、演技が面白くなってきました。やっぱり彼女は、固い役の方がハマると思う。救難捜索機U-125Aに搭乗する時のサングラス姿がカッコよかったし、キリッとした表情が魅力的でした。そして、主人公を思いやる優しさも時折見せてくれたりして、なかなかよろしい。いいじゃん、木村。ぜひこの路線でがんばって欲しいと思います。




航空自衛隊航空救難団は、1958年に編成。当初の目的は、墜落・不時着したパイロットを救出することでしたが、その救難能力が世界でもトップクラスであるため、警察・消防・海上保安庁が対応困難な厳しい状況において、民間人救出のためにも出動するようになったそうです。言わば、救難のプロフェッショナル集団であり、人命救助の最後の砦。実際には、女性の救難ヘリパイロットは存在しませんが、近い将来に誕生する可能性は充分にあるでしょう。(パンフ記事より)


仕事にもいろいろあるけど、大切なのは、世の中の役に立つということ。内容がどうの、給料がどうのこうのじゃなく、それをやり抜く根性があるかどうかだと思うんです。楽して儲かる仕事なんて存在しないし、仮にあったとしても、それは仕事とは言わない。どんな仕事にも、つらい苦悩はあるのだ。


昔から世の中は不公平だから、どんなにやる気があっても仕事がない人もいれば、テキトーにやっていても仕事が来る人もいる。これだけ格差社会が広がれば、いろんな境遇の人がいる。だから、人と比べてもキリがない。自分ができることを、自分のやり方でがんばるしかない。自分がつらい目にあってこそ、人の心の痛みがわかるというもの。今苦しい状況にある人は、楽して生きている人の何倍も心が磨かれているはずだから。


本作の主人公も、かなり悩みます。生きている以上は理想と現実のギャップにつまづくことが必ずある。そういう意味では、彼女を見ていて胸が熱くなりました。しかしながら、感傷に浸っている時間はない。次々と仕事をこなしていかなければならない。お金をもらっている以上は、新人と言えどもプロなのだから。


仕事をこなすには、チームワークというものがどうしても必要になる。自分だけが暴走しても、それは周囲の人にとって迷惑でしかない。出る杭は打たれる。だからどうしても、若者独特の柔軟な発想が、年を重ねると埋もれていってしまう傾向にある。それは、とても哀しいことだと思うんです。


みんなが同じ考えなら、争いもトラブルもないのかもしれない。だけど、必ず自分という存在が輝く瞬間がある。自分にしかできない乗り越え方がある。信念は、岩をも砕くのだ。出すぎた杭は、もはや打たれることはない。それは、“いい仕事をしたい” という純粋な発想がもたらす奇跡なのだ。そういう経験をした人は、土壇場に強い。何とかなるはずだ、何とかしたいという情熱が、人の心を動かすのだ。だから、簡単にあきらめない。最後の砦とは、そういう意味だと思うんです。


この映画は地味ですが、大切なことを教えてくれます。表面的なものではなく、根底に流れる熱いものを読み取りましょう。彼女を主演に起用してこの映画が作られたこと、航空自衛隊が全面協力してくれた事実を、俺は大きく評価したい。いい仕事をしたと思います。スタッフの皆様、どうもおつかれ様でした。


彼女は、今日も大空を飛ぶ。救いを求めている人がいる限り、地の果てまでも駆けつけるのだ。死にそうになったら、彼女の真剣な瞳を思い出そう。『…あたしが必ず行くから、あきらめちゃダメよ。お願い、がんばって生きて。…死んだら絶対許さないから!』 (註・そんなセリフはありません) …おお、彼女が助けに来てくれるなら、俺もがんばって生き残ろうかな。二重遭難になっても本望かも。彼女と固く抱き合って、体を密着させて…むっふっふ。(註・エロ映画ではありません) ようし、俺のスロットルはキミに預ける。しっかり握るんだよ、ユー・ハブ・コントロール!…ってそういう映画じゃないってば! (…この後しばらく筆者妄想タイムにより中断)



若者のイメージって、人によって違うもの。オヤジにもいろんなタイプがいるように、若者も個性が様々。だから、話すと面白いし、とても刺激を受けます。世の中を変えていく柔軟な発想は、彼らから学ぶことが多い。希望に燃える若者たちを、未来に向けて育てるのがオヤジの使命である。まだまだやることはたくさんあるのだ。


自分の能力は、自分自身ではなかなかわからないもの。いい仕事をしたい、人の役に立ちたいと思う情熱は、誰もが持っているものだと思う。その秘めた可能性は、未来を生きる力を生み出すのだ。広い大空を仰いで、胸を張って生きる人間でありたいと思う。現実は厳しくても、澄んだ心を持っていたい。


真剣に戦う彼女の表情には、美しいものがある。それは、自分の命と人の命を両方背負っているから、そういう顔つきになってくるのだ。愛する人のために、家族のために、今日も彼女は大空を舞う。助けを求める者がいる限り、救いたい者がいる限り、決してあきらめない。人間の力を、若者の底力を、スクリーンで体感せよ。 …涙も怒りも悔しさも、このプロペラで吹き飛ばせ!



【鑑賞メモ】

鑑賞日:1月23日 劇場:T-JOY長岡 19:25の回 観客:約5人

会社のM先輩と行きました。初めての映画館だったので、何だかワクワク。


【上映時間とワンポイント】

1時間48分。エンディングテーマを歌うのは、柴崎コウ。そういえば彼女は、「日本沈没」 で自衛官の役やってたっけなあ。


【オススメ類似作品】


「よみがえる空」 (2006年バンダイビジュアル)

監督桜美かつし、シリーズ構成・脚本:高山文彦、声の出演:宮崎一成。本作の原作となったオリジナルアニメーション(全6巻)。これを見ずして本作は語れません。ちなみに、こちらの主人公は男です。シンプルながら力強い作風で、とてもクオリティの高い作品。主題歌 「エンブレム」 を歌うのは、JAMPROJECT影山ヒロノブ。これは名曲。俺もカラオケで歌ってます。


「ブルーサンダー」 (1982年アメリカ)

監督:ジョン・バダム、出演:ロイ・シャイダー。ヘリ映画といえば、やっぱりコレでしょう。クライマックスでの宙返りは爆笑でした。姉妹品として 「エアウルフ」 もあります。兵器モノとしては 「アパッチ」 なんかも面白いかと。


「機動警察パトレイバー 劇場版」 (1989年バンダイ)

監督:押井守、原作:ゆうきまさみ、脚本:伊藤和典、声の出演:冨永みーな。女性パイロットが主人公である点は、本作と同様。話はムチャクチャですが、臨場感が面白い。20代の時に見てとても興奮しました。やっぱり警察は、正義の味方であるのが一番ですね!




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2009-01-22

感染列島

テーマ:アニメ・特撮

忍び寄る、目に見えない恐怖。 きっと、こうしている間にも…。


タイトルからもわかる通り、ウイルス感染のパニック映画です。本作の注目すべき点は、オリジナル脚本であること。原作の映画化がやたらに多い最近の動向を考えれば、大いに評価したいところです。


本作のロケ地に選ばれたのは、旧新潟市民病院。建物をそっくり使用した撮影なので、スタジオのセットでは出せない臨場感をお楽しみ下さい。俺も新潟県人として、お金を払って劇場で見ました。


監督・脚本は、瀬々敬久。原案は、プロデューサーの平野隆・企画の下田淳行の2人。主題歌は、レミオロメン。


出演は、妻夫木聡、壇れい、国仲涼子、池脇千鶴、藤竜也、光石研、夏緒、嶋田久作、佐藤浩市、キムラ緑子、金田明夫、正名僕蔵、馬渕英俚可、小松彩夏、三浦アキフミ、大賀、ダンテ・カーヴァー、カンニング竹山、田中裕二。


さて、映画ですが、日本人らしい作品に仕上がりました。こういうスタイルは、結構好きです。ウイルス感染の恐怖を啓蒙する映画という側面と、自分が当事者になったらどうするかというシミュレーションとして捉えても面白いと思います。ご家族揃ってお楽しみ下さい。


とある市立病院に、急患が運び込まれる。しかし、なすすべもなく急死。さては新型インフルエンザか?次々と院内感染が起き、外部からも新たな患者が運び込まれる。正体不明のウイルスと懸命に戦う医師たち。じわじわと広がっていく “見えない恐怖”。 …果たして日本は、人類はどうなるのか?


主演は、妻夫木聡。TVドラマ 「ブラックジャックによろしく」 で研修医だった彼も、一人前の救命救急医になりました。心優しい青年医師を、さわやかに演じています。NHK大河ドラマの主役としても、新潟にゆかりのある人物を演じているので、彼は新潟のオバチャンたちにも大人気。今年は、彼にとって大いに飛躍の年となることでしょう。


彼自身、本作がオリジナルストーリーである点に興味を示したそうです。「闇の子供たち」 「ブタがいた教室」 といったヘビーな役柄を経て、本作でも気合い充分。俺的にはまだまだですが、確実にレベルアップしているのは間違いない。情熱の瞳は、きっといつか最高の演技を身につけることでしょう。ぜひとも、深みのある俳優を目指して下さい。


ヒロインを演じるのは、壇れい。「武士の一分」 では微妙な役でしたが、本作はなかなかよろしい。やっぱり、宝塚出身の女優は、キリッとした役柄がよく似合う。しおらしい役だと、かえってウソくさいのかも。せっかくの “やり手の女” オーラを生かさなきゃもったいない。彼女が演じるのは、WHOメディカルオフィサー。そうそう、こういうカッコいい女性がピッタリ。張り詰めた緊張感あふれる横顔が、とても魅力的でした。


脇役陣も、実力者がたくさん出ています。教授役の藤竜也は、味のある男。看護士役の国仲涼子は、「電車男」 を思い出しますね。光石研の演技は、とても切なかった。馬渕英俚可の一瞬の表情は、何だかゾクッとした。嶋田久作は、珍しくいい役だった。お笑いタレントは、どれもヒドかった。


特筆すべきは、池脇千鶴でしょう。特に泣き方が素晴らしい。彼女の表情は、とても色気があると思います。出番は少ないけど、強烈な印象が残りました。過去の作品はよく知らないけど、確か 「時効警察」 で犯人役を演じたと記憶しています。プールの指導員か何かの役だったと思いますが、妙に色っぽくてよかった。露骨なエロではなく、健全なエロ。北乃きい以上、小池栄子以下くらいのポジションかと。



ウイルスは当然ながら、目に見えない。いつの間にか体内に侵入して、肉体を蝕んでいく。気がついた時は、もう遅いのだ。予防して100%防げるわけでもないし、無防備でも感染しない人だっている。やはり、人間が本来持っている抵抗力も関係しているんだろうし、まあ、宝クジに当たる確率といい勝負か。最終的には、運ですね。戦場でなかなか弾に当たらない人がいるように。


最近は、除菌だの抗菌だので、人間そのものが過保護になっているのかもしれない。抵抗力というのは、本来 “戦う力” のはずだから、強い敵に遭遇しないと鍛えられない。体にいいことばかりやっていて体を壊す人もいるし、体にいいものばっかり食べていてかえって体調がおかしくなる人もいる。ズボラではいかんけど、気をつけ過ぎてもいかんのだ。何事も、ほどほどがよろしい。


風邪をひいているのかどうか微妙な時って、気分に左右されるもの。気のせいだと思っているうちに治ってしまうこともよくある。“ああ、風邪ひいた”って自覚した瞬間に、“風邪ひき” になるのだ。こうしている間にも、ウイルスがそこまで来ているのかもしれない…っていちいち気にしてもしょうがない。なる時はなる、ならない時はならない。だから少なくとも、気持ちでは負けたくないなって思います。


日本という国は、何でもすぐに流行するから、気分に左右されやすいのかも。どうしようどうしようと悩んでいると、それだけでヘトヘトになってしまう。自分にできることは自分で予防するけど、後はもうどうしようもない。かかったらかかったで、その時はその時だ。そうなる直前まで、好きなことやっていよう。“こうすれば絶対大丈夫” なんてことはあり得ないのだから。


映画の中でも言ってたけど、ウイルスって、不思議な生き物。なんたって、宿主を殺しちゃうんだもんね。ガン細胞しかり。相手を殺していくことで、最終的に自分も滅びてしまうというこの矛盾。こいつらは、何を考えているんでしょうね。何も考えずに暴走するだけなんでしょうか。そんなことして、人生楽しいんだろうか。自然界における彼らの役割って、一体何なんだろうって思います。


そういう意味では、人間もまた不思議な生き物。自己中心であったり、助け合ったり。人を押しのけて助かろうとする人もいれば、自分を犠牲にして人を助けようとする人もいる。普段大人しい人が、暴走して人を傷つける。普段威張っている人が、いざという時に役に立たなくなる。練習ではうまくいくのに、本番でダメな人。逆に、練習はいいかげんだけど、本番でうまくいく人。努力に比例した結果が得られるとは限らない。所詮は、人は不公平で不平等なのだ。


だからこそ、自分にしかできない生き方があり、自分に合った乗り越え方がある。自分だけが何故こんな目にあうのかと嘆いていても、何も始まらない。絶対絶命のピンチは、起死回生のチャンスでもある。自分にとって何が大切なのかを考え、自分にとって意味のあることとして昇華させるのだ。挫折は、飛躍の第一歩。しゃがまなくては、ジャンプできませんから。


運がよくて、一度も挫折しないまま人生を終える人もいるかもしれない。でも、色々あった方が人生は面白い。深刻な状況を数多く経験することによって、培われる心だってあるのだ。失敗の多い人は、人の失敗を笑って許してあげられる。苦労した人は、優しさの本当の意味を知っている。機嫌のいい時に優しくするのは、誰にでもできる。苦しい時にこそ、人の真価が問われるのだ。


この映画を見て、自分だったらどうするだろうって考えました。その時が来るのかどうかわからないけど、勉強させてもらいました。現在、医療現場で戦っている人たちに、心からの声援を送りたい。リスクの大きい仕事ほど、やりがいのある仕事なのだ。そういう意味では、本作の出演者とスタッフにも敬意を払いたいと思います。


苦しい時ほど、助け合う。当たり前のことなんだけど、なかなかできないこと。だから、実際にやるには勇気がいるのだ。楽してできることは、ありがたみがない。困難なことを成し遂げてこそ、大きな成果が得られるのだ。様々な職場で戦い続ける “現場” のみなさんに、この映画をオススメします。


こういう暗い世の中だからこそ、こういう映画があっていい。明るい時には見えなかったもの。暗いからといって、何も見えないわけじゃない。暗さに目が慣れれば、ちゃんと見えてくるもの。友達や家族の、本当の顔。澄んだ目で、耳をすまして、命のなんたるかを一緒に考えましょう。


“看る” という字は、“手” と “目” の組み合わせになっています。手で見るから、“手当て”。見えない部分を心で見て、人を癒すのです。だから、お医者さんは超能力者なのです。これは、娘が入院した時 ( 「娘が頭蓋骨骨折で入院」 の記事参照) に学んだこと。多くの人の力によって、人は生かされているのだ。


だから俺は、人類はそう簡単に滅びないと思います。いざという時は、きっと助け合うと思うから。おめでたい奴だと笑ってくれていい。男には、ロマンがある。常識にとらわれない、自分だけの美学がある。この力こそが、邪悪な敵に立ち向かえる、最後の武器なのだ。 …この情熱の炎で、ウイルスを焼き尽くせ!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:1月17日 劇場:ワーナーマイカル県央 15:10の回 観客:約30人

この日は本来出勤日だったんですが、会社がヒマなので強制的に休みになりました。おかげで初日に見られてラッキー…なんて言えないですね。まあ、体が元気であることに感謝しましょう。


【上映時間とワンポイント】

2時間18分。うっかり咳払いとかすると、ヒンシュクを買うのでご注意。ポップコーンを一度にたくさんほおばると、ムセやすくなるのでさらにご注意。


【オススメ類似作品】


「復活の日」 (1980年角川)

監督:深作欣二、原作:小松左京、出演:草刈正雄。こちらは、アメリカの細菌兵器が、事故によりバラまかれてしまった!人類はなすすべもなく、絶滅の危機に陥る。当時は中学生だったので、大人になってからレンタビデオで見ました。戦慄のトラウマ映画。あれと似てますね、「渚にて」。


「アウトブレイク」 (1995年アメリカ)

監督:ウォルフガング・ペーターゼン、出演:ダスティン・ホフマン。未知の伝染病が、カリフォルニアで発生。名優ダスティン・ホフマンの演技が素晴らしかった。本作は日本ですが、こちらはアメリカ。比べてみるのも面白い。


「エボラシンドローム 悪魔の殺人ウイルス」 (1997年香港)

監督:ハーマン・ヤウ、出演:アンソニー・ウォン。“人肉饅頭”のスタッフ・キャストで製作されたトンデモ映画。殺人逃亡犯が、エボラ出血熱で死に掛けた女をレイプ。感染してさらにパワーアップしたバカ男は、狂気な行動で社会に迷惑をかけ続ける。エボラのツバ攻撃は爆笑でした。


「地震列島」 (1980年東宝)

監督:大森健次郎、出演:勝野洋。本作とタイトルが似ているので、一応ご紹介。地震が起きて、ひたすら逃げる映画。ただ、それだけ。これだったら 「日本沈没」 (藤岡弘版) の方が面白いと思います。内容は、「ポセイドン・アドベンチャー」 みたいでした。


「しあわせのかおり」 (2008年東映)

監督・脚本:三原光尋、出演:中谷美紀。本作の藤竜也の深い演技に興味を持った人は、こちらもオススメ。中華料理屋の頑固なシェフを、渾身の演技で力強く演じています。これは間違いなく、彼の代表作になるでしょう。




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2009-01-16

K-20 怪人二十面相・伝

テーマ:邦画

気がついたら、二十面相になっていた。 …せっかくだから、思いっきり暴れちゃえ!


「K-19」 の2作目ではありません。「K-9」 の11作目でもありません。アメリカ向きのタイトルなのかもしれませんが、かえって混乱したりして。せっかくだから、“KAIJIN” という日本語で勝負するのもありかと。


原作は、江戸川乱歩ではなく、北村想の同名小説。未読なのでよくわかりませんが、怪人20面相の正体を探るスリリングな物語だそうな。監督・脚本は、佐藤嗣麻子。脚本とVFX協力に山崎貢。仮面のデザインは、田島昭宇。主題歌は、オアシス。


出演は、金城武、松たか子、仲村トオル、國村隼、高島礼子、本郷奏多、今井裕貴、増岡徹、鹿賀丈史、要潤、嶋田久作、小日向文世、大滝秀治、松重豊。


さて、映画ですが、ユルくてオシャレな作品に仕上がりました。どちらかといえば、女性向きかも。個人的にはもっとダークな部分を見たかったんですが、今の世相を考えると、これもアリかなって思います。マニアックな人よりは、一般の人にウケる雰囲気。


第二次大戦が起きなかった架空世界の1949年の日本・帝都が舞台。サーカスで働く青年は、うまい話にコロッとダマされて、怪人二十面相にされてしまった。濡れ衣を着せられて逃げ回るが、ラチがあかない。くそう、どうせそう思われてるのなら、こっちから二十面相になってやる!


主演の金城武は、ホントにこういう中途半端なポジションがよく似合う。彼は、この役柄にピッタリでしょう。ただ、彼をキャスティングした時点で、どう考えても悪者ではないことがわかって、少し興ざめになる懸念もありますが。サーカスの曲芸師という設定なので、小道具で鳩が出ます。ここは、「レッドクリフ」 ファンがはにかむところ。


ヒロインの松たか子は、金持ちのご令嬢役。やっぱり彼女は育ちがいいから、こういう役柄がピッタリ。今さらながら、「隠し剣 鬼の爪」 が悔やまれます。主人が貧相で、女中がゴージャスなトンデモ映画でしたねえ。本作の彼女はなかなかよろしいと思います。


明智小五郎を演じたのは、仲村トオル。また出てきたな、兄ちゃん。最近のオモシロ度抜群の絶好調俳優。本作では、一番性格が悪そうな役柄。彼が演じると、これがまた “二重” に面白いッス。


小林少年役は、本郷奏多。なかなか妖しいオーラを放つ少年ですね。彼の方が何だか “明智小五郎” に近い雰囲気をもっているような気がしました。まさに、乱歩のキャラって感じ。名探偵ナカムラとのぎこちないコンビが微笑ましくも、何だかミステリアス。


闇組織のリーダーを演じるのは、國村隼。このおっちゃんも、なかなか面白い俳優です。「キル・ビル」で “腹にイチモツ男” を演じ、「ローレライ」で “何とかする副艦長” を演じた男。 本作の役柄は、“何でもやっちゃう男” といったところでしょうか。彼が出ているだけで、映画の味付けが面白くなりますね。「バットマン」 シリーズのマイケル・ケインや、「007」 のQみたいな位置づけでしょうか。これがもしシリーズ化したら、彼の考案した秘密兵器なんかが毎回登場したりして。




“探偵” という言葉は、少年の心をくすぐるものです。秘密組織、秘密基地、秘密指令…やっぱり男の子は、謎めいた秘め事に興味を持つもの。俺も、ダークな好奇心に満ちた少年でしたが、チームワークが苦手なので、単独行動に憧れたものです。そういう意味でも、探偵という職業は魅力的でした。


俺が子供の頃は、ホラーマンガが流行っていたこともあって、楳図かずお、つのだじろう、古賀真一、日野日出志などの視覚的な恐怖にハマッていました。だから、江戸川乱歩の 「少年探偵」 シリーズには、想像力としての恐怖を学んだような気がします。時たま現れる一枚の挿絵が、コドモの心を刺激したものです。

大人になって結婚した直後に、ある日突然江戸川乱歩を読もうという気になり、創元文庫シリーズを順番に読み始め、20冊以上を一気に読破しました。そしたら、これが面白いのなんの。やっぱり、大人になってからの方が楽しみ方の幅が広がるから、深いところでシンクロできる。改めて、乱歩先生の偉大さを感じました。


彼の小説は、はっきり言ってエロい。猟奇的か残酷かえげつないか、感じ方は人それぞれですが、俺にとっては、“ダークエロ” を学ぶ教科書のように思えました。「人間椅子」 「陰獣」 「芋虫」 のエロ描写は秀逸。俺も、彼の時代に生きたかったなあ、エッヘッヘ。


もう1つの大きな特徴は、ホモネタが多いことです。必ずと言っていいほど、やたらと美少年や美青年が登場。その徹底した倒錯ぶりが笑えます。中でも 「孤島の鬼」 のミチオさんが最高峰。腐女子的にはどうなのかわかりませんが、ウチのカミさんは大ファンみたいです。そして、“屈強な書生”。マッチョな書生に守られる作家というのは、いいもんなんでしょうなあ。「時計じかけのオレンジ」 みたいな。


もちろん、彼の小説には、美しい女性も数多く登場します。少女が誘拐されてうんぬんといった物語もたくさんある。でも、美少年が登場する時の、“筆の入れ方” というか、“熱の入れ方” が違うと思うんですよ。気のせいかもしれないけど、乱歩ファンの皆様はどうでしょうか。


お行儀のいい人ほど、抑圧された感情が封じ込められているもの。育ちがいい人ほど、変わったことに興味を持つもの。江戸川乱歩こそは、人間の心の闇を表現する第一人者。彼のおかげで、昭和のエロは深みを増したんじゃないかって、俺は思うんです。下ネタを文化にしてしまった、禁断の小説家。いよっ、ミスター・ダークエロ・ランポ!


その彼が、少年向きの小説を書いた。それが、「少年探偵」 シリーズ。自分の猟奇的な小説を子供用にアレンジして、少年少女に読ませる…。ああ、これも何だかエロいなあ。日本中の純粋な瞳が小説に釘付けになる状態を想像しながら、乱歩のおっちゃんは悦に入っていたんでしょうなあ。


そんなわけで、本作に対してすごく “期待” してしまった自分が恥ずかしい。この原作者は、乱歩が好きでたまらないんでしょうね。きっと “正しい模範的な読者” だったんじゃないかって思います。俺はきっと、“悪い読者” なんでしょう。それは望むところですよね、乱歩センセイ。きっとホントは、こっちの路線の方がお好きなんですよね。


美少年と同様に、美少女も登場しますが、圧倒的に美少年が多いと思う。美少女はただの飾りで、カモフラージュに過ぎない。美少年こそが、乱歩センセイの真骨頂なのだ。だから、少年探偵団という名目で、美少年たちをはべらして悦に浸るセンセイの姿が目に浮かぶ…うっふっふ、酒池肉林ですなあ、おっさん。



というわけで、映画に戻りましょう。探偵ナカムラの、あの不敵な微笑みには、そういうダークな要素が含まれています。有名な明智先生だから、きっと立派な人物に違いないなんて思っちゃいけませんよ。乱歩の小説では、彼はとっても変人なんです。変わっているからこそ、変わった犯罪に興味がある。結果的に正義の味方にされちゃっているけど、それはきっと、彼の望む方向じゃない。


彼にとって、推理は前戯なのです。おねーちゃんの服を1枚1枚脱がしていく、妖艶な作業。妖しい世界へ、一歩また一歩と踏み込んでいくゾクゾク感がたまらない。俺個人としては、そういう演技ができる俳優に、明智小五郎を演じていただきたい。そういう意味でも、ナカムラ兄ちゃんは面白いと思います。天地茂でもない、本木雅弘にもない、ダークエロ・オーラを出しまくって下さい。


最後に、お金持ちのお嬢様方は、松たか子の視点で本作をご覧になるといいでしょう。実際、俺も含めて世の中は貧しさに耐えている人たちがたくさんいます。格差社会が蔓延しているこのご時世にあって、心優しいお金の使い道を考えてください。夢があふれ、希望に満ちた未来を勝ち取るために、どうかよろしくお願いします。


そんなわけで、ユルいながらも乱歩ワールドの一端を担う作品として、本作は面白いです。幅広いファンを持つこの素敵な世界が、永遠に人の心を魅了し続けることをお祈りします。 …ダークエロ文化、万歳!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:1月15日 劇場:ワーナーマイカル県央 21:20の回 観客:2人

腹心の映画仲間、YD君と2人で見に行きました。俺ら以外誰もいなくて、貸切状態…むっふっふ。


【上映時間とワンポイント】

2時間17分。オープニングのアニメーションが、ちょっとカッコよかった。


【オススメ類似作品】


「ALWAYS三丁目の夕日」 (2005年日本テレビ)

監督:山崎貢、原作:西岸良平、出演:吉岡秀隆。本作でVFXを担当した山崎氏に敬意を払い、この映画から紹介しましょう。本作のユルさの要因の1つでもあります。あえて言うと、ユルさと癒しは表裏一体。もともとレトロ文化というのは、理想的な空想世界の雰囲気がありました。そこを逆手にとったニセモノくさいリアルさが、この映画の魅力。本作の街並みと見比べてみて下さい。


「RAMPO 奥山バージョン」 (1994年松竹)

製作・監督・脚本:奥山和由、原作:江戸川乱歩、出演:本木雅弘。3つの異なるバージョンが存在する、変てこな怪作。その混沌とした世界がまた、この乱歩ワールドそのものなのかもしれません。俺が劇場で見たのは、たぶんこれだったと思います。公開当時は、“○○バージョン” なんてサブタイトルついてなかったから。「お伊勢登場」 の場面では、名倉靖博のマニアックなアニメーションを堪能できます。


「乱歩地獄」 (2005年角川)

監督:竹内スグル、カネコアツシ、実相寺昭雄、佐藤寿保、原作:江戸川乱歩、出演:浅野忠信。最近公開された、マニアックな乱歩オムニバス映画。この映画に登場する美青年は、松田龍平。出番が少なかったので、乱歩センセイからブーイングが出そう。体カイカイの浅野君は、かなりマヌケでした。あんた、体毛が濃いから痒いんじゃないの?この役こそ、龍平君にやってもらおうよ。


「乱歩 妖しき女たち」 (TVドラマ)

たしか、こんな番組が放映された記憶があります。4話オムニバスで、佐野史郎と川島なお美がストーリーテラーやってた。「人間椅子」 は爆笑でした。ああ、オクサマ。麗しの小川範子も確か出演してました。ビデオ化もしたはずだから、探せばどこかにあるかも。


「ひとでなしの恋」 (1995年松竹)

監督:松浦雅子、原作:江戸川乱歩、出演:阿部寛、羽田美智子。数ある乱歩映画の中で、俺はこの映画が最高傑作であると思います。恋愛は、結婚するとレンアイになるのだ。謎めいた夫と、健気な新妻のスリリングな駆け引きが絶妙。羽田美智子の代表作でもあります。美しくてかわいい彼女が苦悩する姿がいじらしくて、何ともなまめかしい気分になりました。真面目な映画ですが、空気がエロくてよろしい。ダークエロファンはお見逃しなく。




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2009-01-12

チェ 28歳の革命

テーマ:洋画

銃を撃ち、敵を討ち、人の心を打つ男。 …伝説のカリスマ指導者・チェ・ゲバラ参上!


“チェ” とは、舌打ちではなく、“ねえ、君” という意味だそうな。アルゼンチン特有の言葉で、親しみを込めて言う呼び方らしい。チェ・ゲバラの本名は、エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ。彼がこの言葉をよく用いたことで、この愛称で呼ばれるようになったらしい。アルゼンチンの男が、キューバのカリスマとなった理由がわかるような、感慨深い呼称だと思います。


監督・撮影は、スティーヴン・ソダーバーグ。出演は、ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、サンティアゴ・カブレラ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、ロドリゴ・サントロ、ジュリア・オーモンド。


さて、映画ですが、まさに革命的な作品に仕上がりました。革命家の映画にふさわしい、新しいスタイルの確立。これは、ソダーバーグ監督の快挙だと思います。映画を愛する1人の人間として、素直に喜びたい。


チェ・ゲバラは、1967年に39歳の若さでこの世を去りました。俺は、彼が亡くなる半年前に生まれたことになります。Tシャツのデザインで見た写真の人くらいの知識しかありませんので、彼を知らない世代の視点で感じたことを、いつものように語りますので、そこはご理解を。コアな内容を求めている人は、他の人のブログをさがしてみて下さい。


アルゼンチンの裕福な家庭に生まれたゲバラは、医者を目指して勉学に励む優秀な学生であったが、親友と2人でバイクに乗って放浪の旅に出た時に、中南米の人たちが悲惨な状況におかれていることを知り、革命家として生まれ変わる。フィデル・カストロとの出会いにより、本格的に活動するようになった彼は、キューバ革命に突き進んでいくのであった…。


映画は、全部で4時間半の超大作なので、日本では前編と後編を分けて公開することになりました。カンヌ映画祭では、前編の後に休憩が入り、観客にキットカットと水が配給されたそうです。…俺もできればそっちがいいなあ。早く後半が見たい!


主役のチェ・ゲバラを演じたのは、プエルトリコ出身のベニチオ・デル・トロ。この映画の企画は、彼がソダーバーグ監督に持ちかけたらしく、本作ではプロデューサーも兼任。まさに入魂の一作。演技も素晴らしく、地に足のついた堂々たる熱演。間違いなく、彼の代表作になるでしょう。


革命家というと、どうしてもギラギラしたイメージがつきまとうんですが、本作のチェ・ゲバラは、とても物静かな男という印象。ストイックで、仕事を淡々とこなしていく男。それだけに、鋭いオーラを感じるんですね。妥協を許さない、自分に厳しい男。そして俺が一番感心したのは、弱い者いじめをしないということ。これは、ヒーローの最低条件だと思うんです。


彼はもともと医者でもあるので、軍医として負傷兵の手当ても行う。だから、人の面倒見がよくて、人望も厚かった。映画を見ているだけでも、相当幅広い役割を担っていたことがわかる。無学な者には教育を施し、規律を乱す者には厳罰を下す。やたらに威張り散らすこともなく、自分のやるべき事を黙々とやる…うう、カッコいいなあ。こういう男には、自然と人が集まってくると思う。


革命家の映画だと、美化しすぎうんぬんといった批判がつきものですが、本作はそんなヤボな映画じゃありません。真っ直ぐな青年の生き様を描いた青春映画であり、人のあるべき姿を説いた哲学であり、男の美学を体現した人生賛歌でもあります。 …さあ、彼と一緒に心も体も革命しよう!


ベニチオ・デル・トロの存在感が圧倒的過ぎて、他の出演者の演技をまともに見ている余裕がありませんでした。後編になったら、もっと幅広く見ようと思います。ただ、ヒロインのアレイダを演じたカタリーナ・サンディノ・モレノは、見たことある人だと思ったら、「ファースト・フード・ネイション」 で気丈な姉を演じた彼女ですね。コロンビア生まれだそうで、本作の空気にもピッタリ。彼女の健気な視線は、とても心地よかった。後編もガンバレ。




若者が何かに夢中になると、決まって否定したがる輩がいる。あんなもの、どこがいいんだって。それは、ヤボというものでしょう。魅力があるからこそ、人を惹きつけるんだから。俺は、映画のチェ・ゲバラを素直にカッコいいと思いました。それは、とても気持ちのいい男だから。彼といるだけで、魂が浄化されていくように思えるから。


実際の彼は、映画ほどカッコよくないのかもしれない。だけど、彼が残した業績は讃えられるべきでしょう。彼は、決して特別な人間じゃない。我々と同じ、生身の人間なのだ。彼が他の人と違うのは、自分の心に対して、素直に、忠実に生きたから。決して妥協せず、人生を懸けて自分の信念を貫いたから。彼は、ひたすら戦い続けました。その徹底した生き方が、一番カッコいいのです。


強い者に立ち向かうには、何が必要なのか。やみくもに戦っても勝ち目がない。だから考える。映画の中で彼は言います。『…読み書きを勉強しろ。読み書きができない奴は、すぐにダマされる!』 おお、何と説得力のある言葉だろう。勉強は、生き残るためにこそするものなんだ。「たそがれ清兵衛」 しかり。


チェ・ゲバラという男は、“現場の判断” を重要視しているように感じられました。状況によって、臨機応変にやり方を変えていく柔軟性。限られた時間の中で、的確な決断をしていく。これはまさに、優れた指導者には不可欠なもの。そして、部下との信頼関係がなければできないこと。だし、信頼し合っている仲間だからこそ、いざという時に力が出せる。強い組織とは何か。本作には、そのヒントがたくさん転がっています。


本作のスタイルは、単なる伝記映画とは異なる。ドキュメント風の映画とも何かが違う。見ている間中ずっと、チェ・ゲバラと行動をともにしているような気分でした。観客も兵士の1人となり、報道カメラマンとなり、彼の行動をずっと見守り続けているような “錯覚” に捉われる感じ。そのせいで、彼以外の人間が視野からそれてしまったのかもしれませんね。


ソダーバーグ監督作品にこんなに興奮したのは、「セックスと嘘とビデオテープ」 以来かもしれない。一見、ただ淡々と撮っているだけみたいなのに、底知れぬ力強さを感じる不思議な画面。臨場感あふれる映像スタイルを、じっくり堪能させてもらいました。撮影も自分でこなした、監督のこだわりを高く評価します。



「禅」 を見た後でこの映画を見ると、とても感慨深いものがあります。日本人である道元が、中国で認められたように、アルゼンチン出身のゲバラもまた、キューバで認められました。これは、すごいことだと思うんです。国籍を超えて認め合うことは、人間としてのレベルが高いことの証明だと思います。人の心を動かすのは、やっぱり人の心なんですね。


当然のことながら、日本とキューバでは、国を取り巻く状況も考え方も文化も違うので、容易に比較はできません。連合赤軍と結びつけて考えるのも、俺の守備範囲外。だから、余計なことは言いません。だけど、彼の人間としての生き方から、学ぶべきことが絶対ある。


夢を持った人が全員かなえられるほど、世の中は甘くないし、そう単純じゃない。いつの世でも、限られた人だけが成功をつかむことができるのだ。人には、それぞれに合った役割というものがある。志が同じなら、ヒーローを通して夢を共有するのもまた、夢のある生き方だと俺は思うんです。応援するファンがいるからこそ、ヒーローは立ち上がれる。自分が憧れたヒーローを、真のヒーローにするのは、応援するみんなの力でもあるのだ。そして、勝利の喜びをともに味わえばいい。


だから若者は、好きなことをドンドンやるべし。好きなことをやるためには、周囲に理解してもらわなくてはならないし、ちゃんと勉強しなきゃいけないし、ちゃんと働かないといけない。そうやっていい仕事をして、成功して褒められたら、その時に初めてこう言えばいい。『…自分はこれをやってきたから、こうなれました。』 それって、すごくカッコいいことだと思うんです。


人は実績を残してこそ、初めて話を聞いてもらえるもの。好きなことだけやって、後は知らん顔では、チェ・ゲバラに笑われてしまう。やるべきことをしっかりやってこそ、やりたいことが思い切りできる。それは、とても気持ちいいこと。努力が報われようが報われまいが、真剣に取り組む姿勢が大事なのだ。その心が、その情熱が、最終的に人を動かすのだから。これは遠い異国のお話ではなく、同じ人間としての熱いドラマなのだ。


誰もが、苦悩と戦っている。苦しみの重さは、安易に人と比較できない。みんな、自分のことで精一杯だから。そんな時代だからこそ、ヒーローが必要なのだ。最初は、小さなことでいい。自分が苦しくても、人に優しくしてあげられるたら、その人はヒーローだと思う。そういう小さな行為の積み重ねが、後に大きな結果を生むことも多い。閉鎖的な空間に “心地よい空気” を流せる人が、明日のチェ・ゲバラになる。


人は、生まれた以上、何かきっと大きな役割がそれぞれにある。自分の好きな道で、自分にふさわしいポジションがある。その居場所を獲得するために、今という時間がある。今日という日がある。明日という未来がある。だからこそ、自分としっかり向き合うのだ。


人の心は羅針盤。心の針が指し示す方向は、一体どこか。安易に人に従うのは、試合放棄に等しい。迷った時は、心の声に従え。自分の人生なんだから、自分が主役。考える力こそが、最大の武器。あきらめない限り、人は変われる可能性がある。そして、自分が本当に行きたい方向がわかったら、ほんの少しでいいから、小さな1歩を踏み出してみよう。 …その瞬間から、革命が始まる。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:1月11日 劇場:ワーナーマイカル県央 14:30の回 観客:約30人

チケット買う時に 『…チェ、一般1枚下さい。』 って言いにくいなあ。舌打ちしてるみたいで…ちぇっ。


【上映時間とワンポイント】

2時間12分。冒頭に、チェ・ゲバラについての説明ナレーションあり。エンドロールの後には、後編の予告編もあり。やや長時間なので、喉が乾く人は飲み物を用意しましょう。ゲバラが水筒の水を飲む場面で、一緒に飲むといいかも。


【オススメ類似作品】


「モーターサイクル・ダイアリーズ」 (2003年イギリス・アメリカ合作)


監督:ウォルター・サレス、原作:エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ、出演:ガエル・ガルシア・ベルナル。チェ・ゲバラが書き残した日記をもとに映画化した作品。若き日のゲバラが、親友アルベルトとともに、バイクで南米横断の旅に出る。そこで目にしたものは…?ソダーバーグ監督も、この映画があったからこそ本作を製作できたと語っています。時間的に余裕があれば、本作を見に行く前に予習していくのもいいかと。


「コマンダンテ」 (2003年アメリカ)

監督:オリバー・ストーン、出演:フィデル・カストロ。強面オヤジ・ストーン監督が、キューバ最高指導者カストロ本人に直接インタビューしたドキュメント映画。内容が内容だけに、本国アメリカでは上映禁止になりました。これを上映してくれたシネウインドはエラい。見る機会があったら、本作と合わせてご覧下さい。


「13デイズ」 (2000年アメリカ)

監督:ロジャー・ドナルドソン、出演:ケビン・コスナー。キューバ革命は、アメリカにとってはキューバ危機。ホワイトハウスを舞台に、息詰まる緊張感を描いた映画。アメリカ側からの視点として、紹介しておきます。


「二百三高地」 (1980年東映)

監督:舛田利雄、出演:仲代達矢。日露戦争における重要拠点、旅順の壮絶な戦いを描いた超大作。アジアの小さな島国である日本が、強国ロシアを打ち破った史実は、アジアの人たちに勇気を与えました。撃たれても撃たれても、あきらめない日本兵の肉弾戦は、涙なくして見られない!



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2009-01-12

テーマ:邦画

座る・座る・ひたすら座る。 黙って座れば、見えてくる。 …心の中にある、一番美しいもの。


“禅” とは、広辞苑によれば “心を安定・統一させることによって、宗教的叡知に達しようとする修行法” とあります。その時のスタイルが “座禅” というわけですね。“すわる” という言葉には、“腰掛ける” という以外に “落ち着いて動じない・安定する” という意味もあり、その時は “据る” と表記します。なるほど、“赤ちゃんの首がすわる” はこっちの方かな。(ちなみに、パソコンの変換では “据わる” になっています。これは、“据える” と間違えやすいので読みやすくするためだそうな。)


日本曹洞宗の開祖・道元禅師が切り開いた境地を映画化。原作は、大谷哲夫著 「永平の風 道元の生涯」 監督・脚本は、高橋伴明。「火火」 のおっちゃんですな。


出演は、中村勘太郎、内田有紀、藤原竜也、村上淳、哀川翔、勝村政信、笹野高史、西村雅彦、高橋恵子。


さて、映画ですが、とてもありがたい作品に仕上がりました。これは、体感する映画だと思います。己の感性を総動員して、道元オーラを体中に浴びましょう。老若男女問わず、悩み多き人たちにオススメです。


乱世の鎌倉時代、日本の既成仏教に疑問を抱いた青年・道元は、宋国に渡って正師と出会うことにより悟りを開く。日本に帰ってからは、万人を救済すべく、真の教えを説いて行く…。


主演の中村勘太郎は、歌舞伎役者だけあって、佇まいが美しい。表情も微妙に細かくて、侘びさびといった表現に満ち溢れています。彼をキャスティングできた時点で、この映画の大半は成功したといっていいかもしれません。思わず、すう~っと引き込まれるような雰囲気。彼の周りの空気は、常に浄化されているように感じられました。


内田有紀が演じるのは、貧しい故に売春婦となった女。聖書でいうところの “マグダラのマリア” ですね。彼女の演技力はまだまだですが、意気込みは十分。これからもこの調子で、色んな役柄に挑戦して欲しいと思います。


藤原竜也は、執権の北条時頼。苦悩する青年の顔は、「デス・ノート」 「バトル・ロワイアル2」 を思い出します。できれば 「激突」 の京本政樹くらいのテンションが欲しいところですが、そこは友情出演ということで。 藤原君を見たくて見に行ったオネエサマ方は、なかなか出てこなくてイライラするでしょうが、辛抱して修行を続けて下さい。その分、現れた時の感激が大きくなるかも。


母親を演じた高橋(旧姓は関根)恵子は、高橋監督の奥さんでもあります。冒頭で登場するだけですが、とても重要な役割。彼女もまた、監督の信頼できる最高の女優であるからこそですね。笹野のおっちゃんも、いい役者ぶりで気持ちがいい。この映画そのものに込められているあたたかい心そのものが、道元の教えなのかもしれませんね。




“禅” という字は、“しめすへん” に “単” と書きます。意味はすでに冒頭でお話しましたが、俺的に言わせてもらうと、“神に対して、ひとりで向き合う” というイメージ。つまり、神と自分とのガチンコ勝負であり、1対1の対話である、ということ。仏は人の中にあるそうですが、己の心の奥底に問いかけるという意味では同様ではないかと。


考えてみれば、映画感で映画を見ること自体、一種の座禅に近いことなのかもしれません。ここにいる数時間は、誰もが静かに集中してスクリーンをひたすら見つめている。じっとしていられない人には苦痛かもしれないけど、映画にのめりこんでしまえば、これほど楽しくて充実した時間はないでしょう。(時には、拷問のような映画もありますが)


だから、座禅を組むという行為は、一見苦痛の時間に見えますが、筋に入ってしまえば、楽しくてしょうがない時間なのかもしれない。祈りという行為だって、神と人間との対話なんだから、親子の会話であると捉えてもいいのでは。そんなに毎日毎日懺悔してばっかりでも、聞く方だってイヤになるでしょう。どこかで喜びや楽しみがあるからこそ、長く続けられるんじゃないかな。だからきっと、座禅って面白いのかもしれない。


“修行” という字は、“行いを修める” と書きます。あるいは “修めるための行い” か。いずれにしても、“乱れたものを正して整える” 作業であることは間違いないでしょう。だから、修行の長さではなく、深さが問題であると思うんです。部活の練習とおんなじですね。内容が伴ってこそ、いざという時に力が出る。


俺は、1人の時間が好きです。自分と思いっきり向き合えるから。人は誰でも、人の心がわからないと言って嘆く。しかし、自分のことはどれだけわかっているだろう?人を理解するためにも、自分と向き合うことは大切だと俺は思うんです。


誰かと常に一緒にいないと気がすまない人は、1人になるのが恐いのかもしれない。孤独な時って、大勢でいると余計に孤独を感じたりする。恐がりな人には、絶えず不安がつきまとう。不安だから人のことが気になるし、その不安な心をまぎらわしたくて、色んなことをする。でも、満たされない。俺も20代の頃は、そうやってもがいたっけなあ。そういう状態は、とても苦しくてつらいもんです。


自分と向き合う、ということは、簡単なようで、なかなか大変な作業です。自分をいくらごまかしても、自分の心はあざむけない。だから俺は、常に自問自答の毎日です。もちろん、すぐに答えの出ないことばかり。だけど、考えることをやめたら、そこで終わってしまうような気がする。だから、答えが見つからなくても、考え続ける。


座禅の経験はないけど、10代の頃にやたらと瞑想をした時期がありました。心の奥底にチャンネルを合わせると、心が体を離れてフワッと浮かんでいく感覚が楽しかったことをよく覚えています。これは、映画に興奮している時の状態に似ています。画面と自分の心だけが、宇宙に浮かんでいる感じ。これは、究極のスタイル。俺はこうなってしまうと、もう話しかけられても反応しなくなります。


本作を見ている最中にも、これに似た不思議な感覚を味わいました。体は座っているのに、心は宙に浮いている。道元が語る言葉、行動、しぐさの1つ1つに無形のメッセージがこめられている。そのオーラ力を浴びて、俺の心の余計な部分がそぎ落とされ、心の核に直接働きかけられたような感覚。でもそれは、決して厳しく冷たいものではなく、優しくてあたたかいものでした。


心が曇っていると、真実が見えなくなる。真実が見えても、人によってその形は異なる。だから、自分の感覚を鍛え、直感力を研ぎ澄ます。それが、感性を磨くということ。人が言ったことや、TVで言ってた内容は、知識として記憶しておけばいい。問題は、そのことを自分がどう感じるか、ということだから。


言葉には、魂が宿る。悪意を込めれば攻撃の言葉になり、善意を込めれば愛情の言葉になる。しかし、自分と人とが同じ心を持っているとは限らない。相手の心を理解しなければ、それは結局、自分本位の言葉でしかない。だから、相手の心を理解するために、自分の心を磨くのだ。


仏の心って、俺にはよくわからない。だけど、この映画を全身に浴びて、少しだけわかったような気がします。自分と向き合うこと、自分の心に問いかけること、そして、人としっかりと向き合うこと。聖書で言う “自分を愛するように、あなたの隣人を愛せよ” というキリストの言葉とおんなじですね。自分と向き合うことによって、初めて人の心も見えてくるもの。


生きていると、答えが見つからないことは多い。どうすればいいのかわからない。誰も教えてくれない。だから、自分で考えて行動するしかない。結果がどうであれ、自分で決めて行動することが尊いのだ。それが自立というものであり、自分の人生に責任を持つことにつながっていく。


例えば、恋愛もそう。相手の心と真摯に向き合う心があれば、いい恋愛ができる。雰囲気だけで好きになっても、表面的な付き合いしかできない。親子だって、友情だって、実感があってこその “絆” なんだから。


心は、目に見えない。だけど、確かにそこにある。そして、固有のかたちがある。その表れ方が表情であり、行動であり、しぐさになる。“心ここにあらず” なんて言葉がありますが、相手の心がどこに向かっているのかわからないと、一緒にいる人は不安になるもの。だから、自分の心を相手に伝える努力が必要だし、相手の心を汲んであげる努力も必要。愛されたいのなら、相手が愛しやすいように工夫することも大切。


自分はそのままで、相手だけをを変えることは難しい。自分が変わることによって、その影響を受けて相手も変わっていくことの方が、ずっと価値があると思うんです。そのために、心の精進をする。俺にとってその最高のアイテムが映画なんです。だからこの映画は、劇場で見て本当によかったと思います。きっと、仏様の導きかもしれませんね。


生きるというのは、つらい出来事のくり返しかもしれない。だけど、俺には映画がある。お金がなくて映画を見る本数が減っても、その分だけ1本1本をじっくり見ることができる。ブログも本気で書ける。だから冷めない、映画熱。俺の心の奥底に、決して消えない炎がある。スクリーンから注がれる、生命エネルギーを吸収し、生きる情熱に変えていく。それが俺の、力の源。その大切なものを与えてくれたのは、大いなる存在なのかもしれない。


人の心は、宇宙のように広く、そして深い。人生は、冒険の連続。これからは、もっと深い視点で映画を見つめていきたいと思う。人から理解されなくても、中傷されてもくじけない。どうせ怒られるなら、好きなことを一生懸命やって怒られたい。中途半端な秀才よりも、本気のバカでありたいから。


ナルシストでロマンチスト。マニアックでエロティック。極論続出、批判続出。ベタほめあれば、次の瞬間コケおろす。真面目な読者をハラハラさせながら、今日も何とか生きてます。ふざけたはみ出しブロガーは、これからもこんな調子で行くんでしょう。すいません、こんなバカで。仏様、すいません、こんな生き方しかできなくて。


心が磨かれてきれいになっていくと、どうしても消えない汚れや、小さな傷が目立つようになる。だから、やさしい人ほど苦悩している。だけど、仏様は、その小さな傷を愛してくれます。その傷に悩む人の心を愛してくれます。そういうもんだと、俺は思います。 …この映画が、それを教えてくれたから。




【鑑賞メモ】

鑑賞日:1月10日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 18:00の回 観客:約100人

老若男女、色んな人がいました。着物姿の女性もチラホラ。みなさん、静かに修行なさっていました。


【上映時間とワンポイント】

2時間7分。パンフレットが売り切れでした。初日からすごい人気だこと。


【オススメ類似作品】


「火火」 (2004年火火製作委員会)

監督:高橋伴明、原作:那須田稔、出演:田中裕子。高橋監督作品では、これが俺のお気に入り。実在の女性陶芸家の物語。息子が白血病になり、極貧であえぎながらも、本物を生み出そうとする情熱の炎が、かまどの温度をさらに上げていく!田中裕子の渾身の熱演は、本作の道元の生き様にも通じると思います。


「長い散歩」 (2006年ゼロピクチュアズ)

監督:奥田瑛二、出演:緒形拳。心に傷を持つ初老の男が、虐待されている女の子を救い出し、長い旅をする物語。少女誘拐犯として指名手配されながらも、ひたすら歩き続ける男の、魂に去来するものは何か。故・緒形拳の晩年の入魂作。モントリオール国際映画祭グランプリ受賞。


「ガンジー」 (1982年イギリス・インド合作)

監督:リチャード・アッテンボロー、出演:ベン・キングスレー。指導者が “断食” をすることで、民が悔い改めていく過程が印象的でした。“無抵抗の迫力” もスゴかった。当時思春期だった俺にとって、衝撃的な作品。


「夜のピクニック」 (2006年ムービーアイ)

監督:長澤雅彦、原作:恩田陸、出演:多部未華子。“歩く” ことをテーマにした、青春映画の秀作。ひらすら歩くことで、見えてくるものは多い。歩くのもまた、立派な修行だと思います。



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2009-01-07

ワールド・オブ・ライズ

テーマ:洋画

ハリウッド版踊る大捜査線・CIA中近東編。 …死体は会議室じゃなくて、現場で飛び交ってます!


“world of lies” とは “嘘の世界” という意味。原題は、“body of lies”。こっちだと “嘘の体” になっちゃう。整形手術し過ぎた人の映画と誤解されそうですが、そこはたぶん “嘘が染み付いた体” という解釈でよろしいかと。


原作は、デヴィッド・イグネイシアス。監督は、巨匠・リドリー・スコット。脚本は、ウィリアム・モナハン。撮影・美術・編集・衣装・音楽などのスタッフは、「アメリカン・ギャングスター」 とおんなじ。つまり、“リドリー・スコット組” というわけですな。


出演は、レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ、マーク・ストロング、ゴルシフテ・ファラハニ、サイモン・マクバーニー、アロン・アブトゥブール。ごっついキャスティングです。


さて、映画ですが、男気タップリの作品に仕上がりました。2009年の幕開けにふさわしい、骨太なシブい映画。デートにはちょっと向かないかもしれないけど、相手によっては、見た後の会話が盛り上がるかも。男同士で行くのもよし、1人でじっくり見たい人にもオススメ。PG12なので、小学生のガキんちょは、アニキかオヤジに連れて行ってもらいましょう。


アメリカ合衆国中央情報局、いわゆるCIAの上司と部下の物語。中近東という物騒な地域を担当しているので、臨機応変に判断しないと、命がいくつあっても足りない。威圧的に指示を出すおっさんと、現場で死に物狂いの戦いをしている若者とのスリリングな駆け引き。 …ちくしょう、人をモノ扱いしやがって。そんなにうまくいくかよってんだ。カラダ張って仕事してんのはこっちだっつーの。現場の判断でガンガンやってやるぜ!


主演は、レオナルド・ディカプリオ。今回は、アゴヒゲをたくわえて、現場の男を熱演。彼は、「タイタニック」 に出演したばっかりに、アイドルオーラが出てしまってしばらく低迷していましたが、最近はだんだんと本来進むべき方向に近づいているように思えます。「クリッター3」 以来の、眉間のシワは、ますますパワーアップ!マッチョな役柄を演じても、あどけない笑顔は変わらない。…熱い熱い、レオが熱い!燃えろレオ!戦えレオ!おうおう、レオ様をナメんじゃねえぞ、眉間から怪光線出したろか。食らえ、レオビーム!(註:本編にそんなシーンはありません)


人使いの荒い上司を演じるのは、ラッセル・クロウ。今回は、監督の指示により20キロ体重を増量して、撮影に臨んだそうです。うーむ、どっから見てもオヤジだ。彼の演技力の深さには、毎回本当に感心します。「L.A.コンフィデンシャル」 の悪徳刑事、「インサイダー」 の気弱な男、「ビューティフル・マインド」 の天才数学者、「グラディエーター」 の最強戦士、そして 「シンデレラマン」 の心優しいボクサー…これだけのバラエティ豊かな役柄を演じられるだけでもすごいのに、それぞれが説得力のあるキャラクターになっているところが、さらにスゴい。


だから、この2人が共演するというだけで、男の化学反応が起きる!それを目の当たりにする観客の男心の導火線にも火がともる。…熱い熱い、映画館も熱いぜ!演じる男の火花が、観客の熱い男汁に引火する!ダイナミック・レオと、ブラックマインド・クロウの対決!…これは、アゴヒゲライオンと凶悪カラスの戦いだ!(註;怪獣映画ではありません)


ヒロインを演じるのは、ゴルシフテ・ファラハニ。舌が血だらけになりそうな名前の彼女は、イラン出身の女優さんで、本作でアメリカ映画デビューだそうです。出番が少ないながらも、印象的な役柄。女がほとんど出てこないので、とてもキュートに感じられました。演技力はまだ未知数ですが、しぐさに気品を感じられたので高ポイント。他の映画でまたお会いしたいですね。


特筆すべきは、マーク・ストロングでしょう。ヨルダンの総合情報総局の最強ボスを演じています。イギリス出身だけあって、ジェントルマンな悪の香りが漂ってきそうでコワい。ダミ声でこれみよがしにしゃべる男なんかよりも、物静かに話す男の言葉の方が、ずっと重みと貫禄がある。彼の瞳の奥に光る、青白い炎を感じませんか?利害よりも、信念で動く男。筋の通った極悪処刑人。サムライのようなおっさん。いい役者ですねえ。次は、ジョン・ウー監督作品にも出演して欲しいなあ。




口が虚しいと書いて、“嘘” と読みます。子供の頃は、“嘘をついてはいけません” と誰もが教えられたもんですが、人間が生きていく以上、どうしても嘘をつかざるを得ない時がある。不用意に本当のことを言うと、人を傷つけてしまう可能性があることも多いから。自分の心に正直に生きる方が、ずっと難しい世の中。


ちなみに広辞苑で “嘘” を調べると、①真実でないこと。偽り。②正しくないこと。③適当でないこと。という意味があるそうです。なるほど、所詮は人間の言葉ですから。使い方次第で愛情表現にもなるし、傷つける凶器にもなるんですね。要はセンスなんですよ、きっと。


人間関係って、結局は駆け引きだと思うんです。よかれと思って言った言葉が反感を買うこともあるし、悪意を持って言った言葉が偶然人を喜ばすこともある。そういう視点で本作の2人の会話を聞いていると、実に面白い。上司と部下という垣根を越えて、本気でぶつかり合える関係って素晴らしいと思います。


信頼しているから、言える言葉がある。信じられないから、受け入れられない言葉がある。知恵に長けた男と、行動力に長けた男。お互いの長所を認め合ってこそ、欠点をカバーし合える関係になれるのだ。嫌われても一目置かれている男って、何だかカッコいいじゃないですか。


本作は、2人のアメリカ人のアプローチの仕方を比較する視点で見ても面白い。ストーリーは、途中からトンデモな方向へ行きますが、そこは賛否両論。俺的には、人間ドラマとして楽しませてもらいました。それだけで充分。


たぶん、この映画は一般受けはしないかもしれない。でも、俺はこの映画が好きです。嘘か真実かは、視点によって変わってくるもの。気になった人は、劇場で確認して下さい。

映画はある意味、嘘の世界。ブログだって、嘘のかたまりみたいなもの。そう思えば、何でも嘘になっちゃう。そう、俺は嘘つきブロガー。ニセモノ侍。嘘の嘘は本当。でもそれ、ホントにホント?…さあ、キミは何を信じる?





【鑑賞メモ】

鑑賞日:1月4日 劇場:ワーナーマイカル県央 14:30の回 観客:約25人

思いっきりイビキかいてるオヤジが1人。聞き方によってはジープが走る音にも感じられて、何だか笑えました。プロの観客は、ハプニングも楽しむのだ!


【上映時間とワンポイント】

2時間8分。やや長時間で喉が乾くと思いますので、売店で飲み物を購入しておいた方がいいでしょう。


【オススメ類似作品】


「ブラッド・ダイヤモンド」 (2007年アメリカ)

監督:エドワード・ズウィック、出演:レオナルド・ディカプリオ。骨太レオシリーズ第1弾。宇宙にきらめくエメラルド…じゃなかった、ダイヤモンドのお話。ダイヤが1個商品化するのに、どれほどの血が流れるのか。レオのくわえタバコがカッコよかった。現場に生きる男は素晴らしい。面倒くさそうにがんばるくたびれ感もサイコーでした。


「アメリカン・ギャングスター」 (2008年アメリカ)

監督:リドリー・スコット、出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ。「トレーニング・デイ」 のデンゼル・ワシントンはヒドかったけど、この映画はよかった。ラッセル・クロウは、苦悩するはみだし刑事役。この2人が初めて顔を合わせる場面は名シーンです。ボビー・ウーマックの歌もバッチリ合っています。


「ヒート」 (1995年アメリカ)

監督:マイケル・マン、出演:アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ。この監督、この2人の共演というだけで、男汁がほとばしる!男ばっかりで、女はどうでもいいという徹底したスタイルが、マン監督の真骨頂。「ゴッドファーザーPART2」 以来の2人の共演は、競演であり、饗宴でもあります。熱い男たちの、熱い火花を体中に浴びよ!




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2009-01-05

初めて来た人へ&ご愛読の皆様へ 2009

テーマ:ごあいさつ

映画熱へようこそ。こんなむさ苦しいところによくおいで下さいました。まあ、ごゆるりと。


“映画熱” という言葉は、いわゆる造語です。ここでは、“映画を見た後の余韻が、心に残っている状態” という定義でブログをスタートしました。しかし最近では、この言葉を口にする人が結構多くなり、“映画を見たいと思う気持ちが高ぶる状態” または “映画にハマッている状態” を表す言葉として定着しているようです。まあ、言葉は生き物だし、使いやすいように使えばいいと思うので、個人的には何でもOK。


ハンドルネームは、黒澤明監督作品 「用心棒」 の主人公の名前からきています。ブログを始めた当初は三十郎でしたが、今では四十郎に改名したというわけで。


ここのアクセス数は、普段は100から200の間くらいで、年末や大型連休の時だけ、最大1500アクセスくらいになることがたまにあります。ここ1年間を見ると、たまに来てくれる人も含めて読者数は400人くらいじゃないかと思っています。日本の人口の、約30万分の1の人が読んでくれていることになりますか。何だかすごいなあ。みなさんは、選ばれた人なのかもしれませんね。


ちなみに、アメブロ読者は1月5日の時点で24人。この数字は、不人気ブログであることをアピールするのにちょうどいい。読者がいつのまにかいなくなっても、誰かがまた登録してくれるので、年間を通してこの数字はあまり変わりません。まあ、俺にふさわしい数字なんでしょう、きっと。


このブログには、自分なりにいくつかルールを決めてあります。その詳細は、「初めて来た方へ&ご愛読して下さっている方々へ 2008」 をお読み下さい、その方針は基本的に変わりませんので。




映画は、俺にとって生きる力です。一寸の映画にも五分の魂。A級であろうがB級であろうが、手応えのある作品はベタほめ、つまらないと容赦なく攻撃、というスタイルは、これからも変わらないと思います。もともと、人に読ませるために始めたんじゃなくて、自分の鑑賞記録として残すのが当初の目的。読ませる相手は、未来の自分という意味合いでした。まあ、物忘れがひどくなってきたこともありますけど。


無理をして自分に嘘をついていると、長くは続かない。中傷されても、どんなに否定されても、自分の信念に基づいて行動している限り、うしろめたいことは何一つない。文章はアマチュアだけど、観客としてはプロのつもりだから。


ブログの役割って何だろう、って時々思います。映画会社の記事も、雑誌の記事も、お金がからんでいるから、どうしても利害が絡んでくる。評論家の文章は専門的過ぎて難しい一面がある。だから、一般的な視点で語るポジションがあった方がいい。ブロガーによって、ミーハーな人、マニアックな人、理論家の人、頭のいい人、アウトサイダーな人など、実に様々なジャンルの人がいる。その中から、自分に合ったものを選べばいいんです。


ここに来る人は、もしかしたら俺と共通点のある人なのかもしれません。映画ブログなんてそこらじゅうにあるし、俺よりマトモな記事を書いている人はいくらでもいる。だから、いつも言うんです。ここは、あまりしょっちゅう来てはいけません。偏った文章は、読み過ぎると体に毒です。


何事も、無防備に鵜呑みしちゃいけません。自分の頭で考え、心で噛み砕くのです。人の意見は、あくまでも参考程度に。結論は、自分で出しましょう。それができてこそ、読み手のプロです。


映画熱の読者のみなさんは、文章を読む力に長けています。少なくとも、俺はそう信じています。いつのまにか来て、いつのまにか去っていく人たち。ヒドいブログだったな、読むに堪えない文章ばっかりだったけど、あれだけは面白かったな、なんて思ってくれる文章が一つでもあれば本望。俺のブログがきっかけで、生涯最高の映画に出会えたなら、これ以上の喜びはありません。


情熱は、人を動かす。感動は、人の感性を育てる。生きる喜び、怒り、苦しみ、悲しみ。その全ての答えは、スクリーンの向こうにあります。生きている限り、映画を見続けたい。そして、アホな文章を書く。誰にも読まれなくなっても、自分が生きた証しとして書き残していく。俺の魂がそれを望む限り。


俺は、自分がどういう人間なのか未だにわかりません。そんな人間が書いているんだから、読む側がわかんなくて当然でしょう。何故映画を見るのか。何故ブログを書くのか。その明確な答えがわかるのは、まだずっと先でしょう。その時が来るまで、もうしばらくがんばってみたいと思います。


まあ、今年もそんな感じでスタートしたいと思います。気が向いたら、いつでもお越し下さい。何もおもてなしはできませんが、アホな映画話をたくさんしてあげます。 …皆様、今年もがんばりましょう!




                                         2009年1月5日 桑畑四十郎




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2009-01-04

2008年映画熱ランキング その8 予告編

テーマ:ランキング

映画雑誌をあまり読まない俺にとって、映画の最初の情報源は、劇場で見る予告編です。この印象で、見に行くかどうかを決めます。人の意見はあまり関係ない。自分の直感が頼り。


最近は、ネタバレし過ぎて行く気がなくなる予告編が多いので、そういう編集をしてしまうということは、よほど本編が貧弱なんだろうって思うことにしています。では、2008年映画熱ランキングも最後の記事になりました。独断と偏見で選んだ、ベスト10本と、ワースト10本をご紹介します。




【ベスト編】



1.アメリカン・ギャングスター


ボビー・ウーマックの主題歌にのせて、シブい映像がキラリ。リドリー・スコット監督の鋭い絵柄が、ラッシュフィルムのように視覚を刺激する。予告を半分見た段階で、絶対見に行こうと決めました。男の香りが漂う、2008年のベスト予告編です。



2.最後の初恋


ダイアン・レイン主演の、大人の恋の物語。いいなあと思っていると、中盤でダニエル・パウターの主題歌が流れる。うっひゃあ、うまいねえ。これはいい予告編です。映画の出来にも満足。CDも買っちゃいました。



3.マリと子犬の物語


あの号泣シーンをこれでもかこれでもかと見せつけられ、新潟中越地震がテーマとなれば、新潟県民として見に行かねばならんでしょう。まさに、粘り勝ちです。俺は、麻緒ちゃんの涙を無駄にはしません。新潟の人はみんなやさしいから、劇場でほぼ全員泣いてましたよ。レンタルDVDも高回転ですよ!



4.やわらかい手


映画の内容から言って、ネタバレせずには予告編が作れないと思うので、よく出来ている方だと思います。これ見ちゃったら、行かないわけにはいかない。で、やっぱり本編は傑作でした。丁寧に作った、やわらかい予告編だと思います。



5.呉精源 極みの棋譜


『…天才の頭の中、覗いてみませんか?』 ナレーションの谷啓の言葉に惹かれて、劇場に足を運びました。映画の出来は普通だったけど、クオリティの高い表現ができた秀作だと思います。天才は謎めいている存在だからこそ、魅力的なのだ。



6.砂時計


いきものがかりの主題歌が流れた途端、見に行こうと決めました。やっぱり、音楽の力はすごい。『…お母さんのいくじなし!』 という夏帆のセリフは、ネタバレ絡みのセリフですが、このセリフが入っていることで、彼女の演技力のアピールになりました。だから、これはOK。編集担当者の方の腕ってやつですね。お見事です。



7.ラスト・コーション


本編はヒドいけど、予告編はよかった。たまに、こういうパターンもあります。だから、予告編を見て見に行った人の中には、怒り狂っている人もいるでしょう。少なくとも、口コミじゃ観客が入りそうもない映画だと思うので、カップルで見に行ってしまった人はご愁傷様でした。ちなみに、タイトルの意味は “最後の警告”。



8.ハプニング


シャマラン監督作品は、予告編が毎回出来がいい。で、本編は3回に2回はハズレです。今回は、結局ハズレでした。ああ、予告はこんなに面白いのに。やっぱり、怒りがおシャマラン。(まだ言うか)



9.スカイ・クロラ


これはもう、かかった途端に見に行こうと決めました。だから、あんまり見せないで欲しい。ちゃんと見に行くから!



10.クローバー・フィールド


予告編の出来はよかった。少なくとも、本編の怪獣登場シーンまではワクワクしていられたので、よしとすべきか。ああ…悪夢のジイさん怪獣。




【ワースト編】



1.シルク


ワースト編でも言いましたが、ウソはいかんでしょう、ウソは。ストーリーだって、もっと品のあるものにできそうなもんなのに、何だか大人の女性に振り回される中学生みたい…いやいや、相手は年下の少女という設定だから、「ロリータ」 か 「白い婚礼」 といったところでしょうか。実に、もったいない映画。だまされることを覚悟しなきゃ、禁断の愛はできないのかもなあ。



2.崖の上のポニョ


イヤになるくらい予告編を見せられて、耳にタコができるくらい歌を聞かされて、本編を見る頃にはもうヘトヘトになってました。しかし、公開直前の予告編は最悪だったなあ。海の上走ってるところ見せちゃいかんでしょうが!ネタバレすんなよ、ジブリのウスラバカ野郎!…と子供相手の映画に怒ってもしょうがないか。



3.犬と私の10の約束


『…絶対見に来てね。約束だよ!』 なんて映画を見る前から勝手に約束されてもなあ。限りなく嫌悪感を覚えたので、絶対行くもんかと固く誓いました。



4.ザ・マジックアワー


あまりのユルさに力が抜けたので、行こうという気がおきませんでした。そういう意味では、親切ないい予告編だったりして?



5.陰日向に咲く


完全ネタバレ予告編の代表格かもしれません。いかにもな場面の連続に、嘔吐しそうになりました。よっぽど本編に自信がなかったんですね。



6.奇跡のシンフォニー


これもまた、どういう映画か完璧にわかってしまう予告編。こんなに見せちゃったら、感動もクソもないでしょう。あくびしすぎて涙が出るんじゃないのと言いたい。奇跡って、そんなに安いもんなの?



7.魔法にかけられて


あまりのキモチワルさに、気分が悪くなりました。魔法にかけられても、見に行きたくありません。お金をもらえるとしても、遠慮させてもらいます。ヒマじゃないんで。



8.Little D.J.


神木君が途中で病気になって死んでしまうのがバレバレですが、実際はどうなんでしょう?まあ、ドラえもんを台無しにした俳優の映画には興味ないので。



9.紀元前1万年


誰も見たことのない世界なんだから、ちょっとはワクワクしてきそうなもんですが、回数見る度に不安になっていくのは何故だろう?果たして、その不安は現実のものになりました。そういう意味では、正確な予告編と言えるかも。



10.イーグル・アイ


やたらと予告編をガンガン流すメジャー映画に限って、ロクでもない作品である可能性が高い。シャイア・ラブーフ以外の男が主演していたら、まだ少しはマシだったかもしれないけど、映画の中身がこんなんだったから、やっぱり彼でちょうどいいんでしょうな。作品が見えてないのは、一体誰か。俺の方か。それとも…?イーグル・アイで、しかと見よ!





以上をもちまして、2008年映画熱ランキングの記事を終了します。ご愛読ありがとうございました。


正月休みも今日で終わりまして、俺も明日から仕事始めになります。明日以降、また体制を立て直しまして、2009年の記事をスタートさせたいと思います。くれぐれも、期待しないで気長にお待ち下さい。では、またお会いしましょう。




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