FUJITA'S BAR
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2008-11-30

11月を終えて

テーマ:エッセイ

【今月行かなかった映画とその理由】


「蛇にピアス」

見たかったので、ギリギリまでがんばったんですが、仕事が終わらずに断念。唯一行けそうだった日は、雪が降って大荒れ。劇場が遠すぎるのも困るよなあ。今度DVDで見ます。


「イントゥ・ザ・ワイルド」

優秀で恵まれた環境で育った青年が餓死した理由なんて、どうでもいい。ビンボー人が食い過ぎで死んだ話なら見たいけど。


「ハッピーフライト」

綾瀬はるかの、素の演技には興味がありません。アブノーマルな役柄だったら行きます。試写会は飛行機の中でやったそうですが、揺れる場面では本当に揺らしたんでしょうか?おお、危のうございます!


「蟹工船」

シネウインドでリバイバル上映していたんですが、これも仕事で行けませんでした。ああ、労働者の悲哀。


「フレフレ少女」

気合いが入ってなさそうなのでパス。学ランじゃなくて、チアガールの方がいいのでは?まあ、それでも俺は行きませんが。


「トウキョウソナタ」

「TOKYO!」 の香川照之がこっちにも出ているので、うっかり間違えて見に行くところでした。共演がキョンキョンなので、余計に萎えるのでパス。


「私がクマにキレた理由」

そんなの、どうでもいいです。勝手に食い殺されて下さい。


「1408号室」

自分が見たものしか信じない男が、いわくつきの部屋を探検する。うーむ、見るかどうかまだ決めてません。やっぱり見なきゃ何も始まんないもんね。




今月は、見に行った映画は、11本。忙しかった割には、がんばって見たなあ。今年の累計は、113本になりました。ちなみに、昨年は121本。さて、あと1ヶ月でどこまで見られるか?


年末のランキングも、現在チェック中ですが、まだまだ傑作が飛び出してくる可能性があるので、油断できません。まあ、大作は予想通りコケているので、あと数本見たら、記事を書き始めようと思います。


年々、文章を書くスピードが遅くなってきたようにも感じます。記憶力もだんだん衰えていくので、正確さが危うくなる恐れも。覚えているうちに書いてしまわないと、映画を見た事実すら忘れてしまいそうで恐い。


アランの 「レッドクリフ」 を、ようやく歌えるようになりました。DAMのカラオケだと、クリップ映像で映画の場面が流れていいですね。スピッツの 「若葉」、ダニエル・パウターの「ベスト・オブ・ミー」、柴田淳の 「愛をする人」 もマスターしました。やっぱり映ソンはいい。今年も、名作の歌をいっぱい覚えました。来年になったら、すぐに忘れるかもしれないけど。


ブログのアクセス数は、一時異常に増えて戦々恐々としましたが、今ではほどよく減って、いつものペースに戻りつつあります。いちげんさんはすっかりいなくなってしまったようなので、常連のみなさんが残りました。でも、昨年よりは増えているみたいです。オヤジが書く記事なんて色気も何にもないけど、マニアックな読者に感謝です。


12月は各種忘年会も控えているので、劇場に行くハードルが増えることでしょう。それでも、やっぱり行かずにはいられない。愛しのスクリーンが、俺の魂を呼んでいるのだ。大丈夫、必ず行くから待っててくれ。最終日の最終回まで絶対あきらめないから。


友達も、飲み屋のお姉ちゃんたちも応援してくれています。みんなありがとう。おかげで俺は元気でいられます。さあ、今年もあと1ヶ月。力を出し切って新年を迎えたいと思います。では、12月もよろしく。




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2008-11-30

TOKYO!

テーマ:洋画

これは、とても刺激的な映画です。 …日本という国って、とってもミステリアス。


日本を舞台にして、日本の役者を使って、3人の外国人が監督したオムニバス映画。監督は、フランスのミシェル・ゴンドリーとレオス・カラックス、韓国のポン・ジュノ。すげえマニアックな面子ですな。エンディングテーマは、あのYMOが担当。(現在は、HASYMO)


出演は、藤谷文子、加瀬亮、伊藤歩、大森南朋、妻夫木聡、でんでん、ドゥニ・ラヴァン、ジャン・フランソワ・バルメール、北見敏之、石橋蓮司、嶋田久作、香川照之、蒼井優、竹中直人、荒川良々、松重豊…っておいおい、何だこの豪華キャストは?予備知識ほとんどなしで見に行ってびっくり。


さて、映画ですが、実験的で前衛的なウルトラ視点が爆笑でした。すげえ、こんな映画が作れるってすごい。素直に感動しちゃいます。ただし、一般的にはウケないと思うので、マニアックなプロの観客にオススメです。これは、見た後に語りたくなる映画だ!


第1話は、女性の体に “異常” が起こる物語。普通の話かと思いきや、中盤からスリリングな展開になります。その見せ方がうまい。思わずキム・ギドクの映画かと思いましたが、全体的にアートがキレイなので、やっぱりフランスだなあって思います。彼の作品を見たのは初ですが、面白いと思いました。


第2話は、地底怪人の物語。謎のおっさんが、東京で大暴れ。どこまでがギャグなのか境界線がわからないところが面白い。どうなるか結末が全く読めないので、唖然としたまま見続けるしかありません。「ポンヌフの恋人」 の巨匠ですが、以外と寡作なんですね。5本目がこの映画でいいんでしょうか。うーむ、フランス人って面白いなあ。


第3話は、ひきこもり男の物語。11年間引きこもっていた男が、ある領域に目覚めてしまう。ピザの配達人を、蒼井優ちゃんが好演。彼女はやっぱり、主役よりもこういうポジションが映える。彼女のフトモモがポイントになるので、フトモモ星人のみなさんはお見逃しなく。混乱をテーマにした映画が得意のポン監督が、シュールな映像を見せてくれます。「グエムル」 のことは忘れてあげましょう。


本作にもし日本人監督を参加させるとしたら、故・実相時昭雄監督だと思います。一番近い位置にいるのは、たぶん塚本晋也か黒沢清かと。そのくらいグレードが高い作品だと思う。遊び心満載な世界中の巨匠のみなさん、東京で映画を撮って下さい。面白いッスよ、TOKYO!


この映画は、余計な知識を入れずに見た方がいい。だから、紹介文も最小限ししておきます。気になった人は、迷わず劇場に直行せよ。 …怪奇と幻想の世界を覗いてみる勇気はあるか?




【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月29日 劇場:ワーナーマイカル新潟 19:25の回 観客:3人

全員、男の1人客でした。みなさん、お好きでんなあ。


【上映時間とワンポイント】

1時間50分。オープニングは、CGによる東京が映ります。看板がけっこう笑えますのでよくご覧下さい。


【オススメ類似作品】


「ミステリー・トレイン」 (1989年アメリカ)

監督・脚本:ジム・ジャームッシュ、出演:工藤夕貴、永瀬正敏。ホテルを舞台にした、3話構成のオムニバス映画。第1話に、日本人のこの2人が出演しています。オバQみたいな口紅でヘタレる姿が印象的な、シュールな作品。


「ナイト・オン・ザ・プラネット」 (1991年アメリカ)

同じくジム・ジャームッシュ監督のオムニバス映画。こちらは、世界各国のタクシードライバーが体験する5つの物語。イタリア人運転手に扮した、ロベルト・ベニーニの下ネタトークが爆笑でした。





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2008-11-30

ハンサム☆スーツ

テーマ:アニメ・特撮

あまり深く考えずに、サラッと見ちゃいましょう。 …考えれば考えるほど、恐ろしくなるから。


監督は、英勉。脚本は、鈴木おさむ。出演は、塚地武雄、谷原章介、北川景子、佐田真由美、大島美幸、池内博之、本上まなみ、佐々木希、山本裕典、ブラザートム、中条きよし、伊武雅刀、温水洋一。


さて、映画ですが、ファンタジーと捉えれば娯楽、深く追求するとホラーになるトンデモ映画に仕上がりました。一般的には面白いと思うので、年末にみんなでワイワイ見るのに最適かも。だけど、思考タイプの恋人と一緒に行くと裏目に出る可能性もあるので、パートナーの性格を考慮してからにしましょう。


洋服の青山が、新商品を開発。その名も “ハンサムスーツ”。これを着ると、誰でもハンサムになれるそうな。つまり、整形はおろか、体型まで作り変えてくれるらしい。しかも、着たとたんに数秒でチェンジ。うひゃあ、俺、絶対着たくねえ!


その新商品モニターに選ばれたのが、食堂を経営する主人公だった。彼は、ブサイク度が高得点らしい。ヒドい話ですなあ。で、そのスーツを手にした瞬間から、彼の人生は一変してしまう…。


主演は、ドランクドラゴンの塚地武雄。この役を演じた彼の心境は、いかばかりだったろう。お笑いタレントとしては、人を笑わせてナンボの世界だから、それでいいのかもしれない。でも俺は個人的に、画面の彼を見るのが少し辛かった。一歩間違うと、これはイジメ映画になりかねない。だから、この役をしっかり演じた彼は、大したもんだと思う。できれば後半の場面は、もっと違うセリフを言わせてあげたかった。


スーツ役の谷原章介は、主演じゃなくて、脇役でもなくて、小道具です。だから、演技うんぬんの世界じゃないので、彼の演技力で充分。かえって、あまりうまい役者じゃない方がいいと思う。ナルシストぶりが面白いので笑えますが、中に塚地君が入っている感じがあまりしないのにも目をつぶりましょう。


ヒロイン役は、北川景子。セーラーマーズだった頃を忘れるくらい、いい女優になってきました。ただし、本作は彼女の魅力を生かしきれていないので、ちょっと浮いちゃっているかも。でも彼女、微妙な表情を出せるようになってきましたね。その調子でガンバレ。


大島美幸の役どころは、このキャスティングなら想像がつく…というもんでしょうか。ああ、悲しいなあ。これ見よがしの映画だから、説明するまでもありませんね。でも俺的には、性格が良すぎる女というのも怪しいと思いますが…。


洋服の青山の店長を演じたのは、“三味線屋” 中条きよし。さいきんこの人、何かでつかまらなかったっけ。そうか、この映画に出たから、“あれは○○だった” と言い訳できますね。洋服の青山も、アレはアレなんですと言えば、イメージダウンは避けられるもんね。なるほど、よく考えましたなあ。


特筆すべきは、佐田真由美です。モデル出身の女優がトップモデルを演じると、凄みがある。ハンサムスーツを着た塚地君に言い放ったセリフはよかった。本作で、俺の心に響いた言葉はこれだけです。映画を見てもの足りなかったのは、そういう部分なんじゃないかって思います。




“handsome” とは、“顔立ちのよい、きりっとした、魅力的な” という意味。“不細工” とは、“細工のまずいこと、体裁の悪いこと、容貌の醜いこと” を意味します。まあ、どちらも今どきは死語に近い言葉だと思いますが。


誰でも、思春期になると、自分の容貌が気になるもの。ちょうどその時期には、きれいなものやカッコいいものに憧れる年頃であるから、自分とのギャップに悩んだりするものです。俺なんか、顔中ニキビだらけで坊主刈りで前歯もなくて、不気味な嫌われ者でした。鏡を見るのが嫌いな、醜形恐怖モンスター。自分の顔の部品1つ1つがイヤでイヤでたまりませんでした。女の子にモテるはずもない。


だけど、高校生になってニキビが消え、髪を伸ばして、前歯が入ったら、精神的に安定してきました。友達も次第に増え、ちゃんと人と話ができるようになりました。大人になってから、10代に出来なかったことを少しずつやるようになり、一応社会人としての俺が何とか形成されました。結婚して子供も生まれたし、飲み屋のお姉ちゃんとも会話を楽しめるようになったので、男としての機能に問題はないようです。


顔というのは、色んなものが現れてくる部分。形というのはあくまでも素材だから、内面が表情となって現れ、それが “顔つき” として定着する。疑り深い人は険しい表情になり、無防備な人はのほほんとした顔になる。自分はダメだって思っていたら、そういう顔になってしまう。思い込みが顔を形成するということは、プラスな思い込みをすれば、魅力的になれるということじゃないのか?


つまり、性格が顔つきに出るということだと思うんです。文章にだって表情がある。読み手のプロなら、俺の文章を読んで、俺のイメージが浮かぶでしょう。まさに俺は、そういう顔をしています。読み手側のイメージも、大切な俺の一部です。それは大切にしたい。ぜひともそのイメージで俺を想像して下さい。あっはっは、楽しいなあ。これはブログやっている人間としての醍醐味でもあります。きっと、話し言葉の関係だけではたどり着けない領域なのかも。それはそれで楽しい。


初対面では、見た目で判断されることが多い。だけど、いい面と悪い面の総量は、みんな同じだと俺は思っているから、印象の良過ぎる人の方が不安だし、付き合うのが恐い。むしろ、何だコイツみたいな人の方が、最終的にはいい関係になれたりするんです。最低限の礼儀さえ心得ていれば、何とかなるもの。


美人もハンサムも、人間の才能の一つであることは間違いない。それを生かした職業に就いているなら、技を磨くのがプロ。自分がどうやったら、一番魅力を発揮できるのか。それを、自分の心と対話して掴むことができれば、真のハンサムになれる。自分らしく生きるって簡単じゃない、だけど、そうなれるように努力することが美しいのだ。


営業の人とか、受付嬢とか、接客業の人も、身だしなみという点ではプロ。だけど、仕事をこなす能力がなければ結果は出ない。結局は、仕事に対する情熱が顔つきに出てくる。それが、プロとしてのオーラになる。だから、仕事をしている顔は美しいのだ。


そういう意味で、本作の4人は、全員ハンサムとも言えるし、全員ブサイクとも言えます。どうも、生き生きしていない感じがするんですよねえ。やらされている感じというか、雇われているだけの人というか…。TVのバラエティ番組のコントみたいな印象。あたたかい映画のようで、どうにもウソっぽい。かなり無理があるのは事実。


佐田真由美だけが、ちゃんとした自分の表情をしていた。俺は、彼女の演技を見た代金として、入場料を払った価値があったと思っています。今度、彼女をスクリーンで見かけたら、要チェックだ!


はっきり言わせてもらうと、期待ハズレでした。ネタバレ予告編そのまんまの、いかにもムービー。だから、期待してこのブログ読んだ人には、それこそガッカリでしょう。それも狙っています。そういう人はここに来ない方がよろしい。中途半端な中傷コメントなんて書いても、自分のブサイク度を露呈するだけです。そんなヒマがあったら、どうか他のマトモなブロガーのもとに行ってください。お行儀のいいところで欲望を満たして下さい。


そういう意味では、映画熱はブサイクブログだと思う。だけど、一部の人にとっては違うかもしれない。それは、読者のセンスで決めて下さい。読者だって暴走すれば、“毒者” になる可能性があるんだから。


美しさは、好みによって違う。悩める青少年たちよ、余計な情報に惑わされるな。自分らしく生きるなんて、そう簡単にできるもんじゃない。時期がくれば、ちゃんと解決する。その時のために、今しっかりと悩んでおくのだ。だから、前向きに悩め。涙と怒りを、プラスの力に変えよ。その積み重ねこそが、カッコいい男の心を形成していくのだ。男を磨くというのは、そういうことだと思う。


飲み屋の女の子に 『…モテるでしょ?』 って聞かれることもある。向こうも商売だから社交辞令なんだろうけど、引き算をして考えてもも、興味深々に聞かれることがある。『…モテるわけないでしょ。』 と言いながらも、含みのある言葉で対応しておく。そう、俺は謎の多い男。あの醜形恐怖少年が、そういう駆け引きができるようになるなんて、夢にも思いませんでした。有名人でもない、何の肩書きもないビンボーなただのオヤジだけど、若い頃にいっぱい悩んだからこそ、今の自分があるのだ。その気持ちは今でも大切に持ち続けています。


思春期の頃に悩んだことが懐かしい。俺は、その頃の自分とちっとも変わりません。サイテーの自分も、最高の自分ももとはおんなじ。要は、使い方なのだ。自分のボディを器用に扱って、自分の美しい心を表現するのだ。


そういう意味では、みんなすでにハンサム・スーツを着ていることになる。縁があって装着したアイテムだ。その機能を最大限に生かす力があるからこそ、神がその体を与えたのだ。だから、途中で脱ぐな。投げ出すな。自分の最高のパートナーである証しを、生き方で証明するのだ!


その時こそ、キミは最高のハンサムになれる。 …そういう意味で、レッツ・ハンサム。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月27日 劇場:ワーナーマイカル県央 21:20の回 観客:1人

すげえ、貸切でした。…なんで俺1人やねん!


【上映時間とワンポイント】

1時間55分。エンドロール終了後に、オマケ映像あり。でもどうでもいい内容なので、帰っちゃっても大丈夫です。


【オススメ類似作品】


「トータル・リコール」 (1990年アメリカ)

監督:ポール・バーホーベン、原作:フィリップ・K・ディック、出演:アーノルド・シュワルツェネッガー。商品の自主回収の話ではありません。シュワちゃんが、オバチャン・スーツを着るSF映画です。ヒロインは、シャロン・ストーン。“肉体派” 同士の夢の共演ですな。ラストで2人の目玉が飛び出すシーンはヒドかったなあ。おかげでこの映画、アカデミー視覚効果賞を受賞しました(爆笑)。


「フェイス/オフ」 (1997年アメリカ)

監督:ジョン・ウー、出演:ジョン・トラボルタ、ニコラス・ケイジ。顔をとりかえっこするアクション映画といえば、やっぱりコレでしょう。体格も骨格も違う2人を無理矢理チェンジさせるトンデモ医療技術が笑えました。やっぱりこの映画も、教会と鳩が出ます。冬休みにレンタルで借りて、みんなで盛り上がりましょう。


「キイハンター」 第133話 「私の首を返してちょうだい」 (TVドラマ)

ジェリー藤尾がゲスト出演した話。銃弾を受けて首だけになったどこかの国の皇太子が、色んな体にくっつけて捜査に協力する内容…だったと思う。最初はプロレスラーの体にしたが気に入らなくて、次は歌手の体に。そしたら、歌がうまくなって喜ぶ…ってあんた声帯は首についてるだろ!




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2008-11-28

X-ファイル:真実を求めて

テーマ:洋画

謎は、謎であるからこそ面白い。 自分の信念で行動する男こそがカッコいいのだ。


デデデデンデデン、デデーン、ヒーフーヒーホー…。あのテーマが懐かしいなあ。“X-ファイル” とは、離婚暦のある人のことではなく、FBIにおける常識で解明できない未解決事件を扱う捜査機関のこと。フィクションなので実際そんな仕事があるのかどうかわかりませんが、ありそうな感じが何とも魅力的で、俺もシーズン4くらいまでは見た記憶があります。1993年にスタートしたアメリカの人気TVシリーズで、2002年まで計9シーズンの長寿番組になった怪作。劇場版はこれが2作目。


監督・脚本は、“生みの親” クリス・カーター。シリーズの製作総指揮を担当していたボスが、ついに自ら映画初監督。出演はおなじみ、デヴィッド・ドゥカブニーとジリアン・アンダーソンのコンビに加え、アマンダ・ピート、ビリー・コノリー、アルヴィン・イグジビット・ジョイナー。そして “あのおっさん” も登場。


さて、映画ですが、シンプルで興味深い、X-ファイルらしい仕上がりとなりました。一般的には地味かもしれませんが、シリーズ初期の頃の興奮が甦りそうな感じがして、俺的にはOKです。


FBIを引退して引きこもり生活を送っていたモルダーのもとに、スカリーが現れる。FBI女性捜査官が行方不明になったので、捜査に協力して欲しいとのこと。謎のイカレた霊能者と共に、事件を追うことになるが…。


デヴィッド・ドゥカブニーは、やっぱりモルダー役が一番映える。この役を演じるために生まれてきた男だと俺は思いたい。本人の希望うんぬんに関係なく、やはり彼は、モルダーとして生きる使命があると思うんです。超常現象に情熱を燃やす男って、やっぱりカッコいい。そしてあのタレ目もいい。実は俺も…あ、もうやめましょうか。


ジリアン・アンダーソンもまた、スカリーを演じるために生まれてきた女だと思います。あのまなざしは、男のやんちゃな心を包み込んでくれるような包容力がある。サイキックなオタクには最高のパートナーだと思います。俺みたいな男にとっても、スカリーというキャラは非常においしい。ジリアンももう40歳になりましたが、やっぱり彼女は美しい。


霊能者役のビリー・コノリーが面白い。本作の中では、一番おいしいポジションだと思う。実際、霊能力があるのかどうか怪しいキャラですが、存在自体が笑える。物語の上で重要な役柄を演じるのに充分なインチキくささを持っている。ジョン・リスゴーに似た雰囲気を持つ、なかなか魅力的な男。彼と行動を共にするモルダーが、次第に本気になっていくのがまた面白い。




超常現象ブームって、なかなかすたれないもの。俺なんか生涯マイブームだと思います。だって面白いじゃん!現実的な思考だけでは、人生が楽しくない。それは、人間としてのイマジネーションというか、想像力の世界。同じものを見ても、発想が豊かな人の方が楽しい人生を送れるんじゃないかって思うんです。“どうせ○○だ” という思考の人と、“○○だったら面白いな” っていう思考の人では、人生の幅も違ってくるんじゃないかと。


このブログでも、「わたしの恐怖体験」 というインチキくさいコーナーがありますが、あそこに紹介していないプチ体験も実は数多くあります。でも、そういう些細な出来事の方が逆に心に強く残ったりするもの。


同じ意味で、本作のスタイルは、“一見、ただの○○に見えるが、実は××かもしれない” っていう雰囲気が常に画面を漂う。これみよがしに説明くさい場面で驚かすんじゃなく、潜在意識に訴える手法こそが、X-ファイル最大の魅力であると俺は思うんです。出し過ぎるとつまんない。さりげなくチラっと見せておいてワクワクさせて、クライマックスで肩透かし…なんていう話が結構あったと思います。余韻を残して終わるのがシブい。だから続くんじゃないのかな。


わからないことを追求するからこそ、人生は面白い。俺も、生涯考え続けたいテーマです。人の思考は、一つの宇宙。人間の数だけ宇宙が存在する。情熱と信念で行動する男、モルダーは健在。彼とともに、禁断の世界へ行きましょう。あなたのX-ファイルが見つかるかもしれない。


見終わった後で、余韻に浸って考えるのは、観客としての至福のひととき。シンプルで贅沢な、イマジネーションの世界をご堪能下さい。オールドファンには特にオススメです。


最近では、アメリカのTVドラマが人気だそうですが、俺にとっては、「V」 が初体験だったような気がします。それから 「ツイン・ピークス」 があって、「X-ファイル」 は3番手だった。だけど、すっかり人気が定着して長寿番組になっちゃった。いいじゃん、すたれないジャンルだから、忘れた頃にまたやればいいと思う。ぜひ日本でもロケやって下さい。超常現象オタクにとっては、モルダーとスカリーは憧れの人。仲良くがんばって下さい。


ところで、モルダーとスカリーの関係って、そういう関係だったの?あのう、顔がやたらに近すぎませんか?あらら、○○なんかしちゃって、いつのまにそうなっちゃった? …うーむ、これぞまさしくX-ファイル!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月27日 劇場:ワーナーマイカル県央 19:10の回 観客:2人

俺と、ヤンキー兄ちゃんだけでした。どうせなら、スカリーみたいな女性がよかったなあ。


【上映時間とワンポイント】

1時間44分。時間は短いけれど、内容は濃い。感性のニブい人にはわからないかもしれませんが。


【オススメ類似作品】


「X-ファイル TVシリーズ」 (シーズン1~9)

製作総指揮:クリス・カーター。これを見ずには始まらない。とにかくいっぱいあるので、興味のあるところからご覧下さい。ちなみに俺が好きなのは、ファーストシーズンの 「スクィーズ」 「影」 「氷」 といったところ。宇宙人以外のネタが好きなんですよねえ。


「怪奇大作戦」 (1968年TBSドラマ)

やっぱり俺にとっての元祖X-ファイルはコレです。「ウルトラQ」 や 「アウターリミッツ」 よりも思い入れが深い作品。オススメは 「恐怖の電話」 「死神の子守唄」 「青い血の女」 「殺人回路」 「呪いの壺」 「京都買います」 「ゆきおんな」といったところ。人間による犯罪モノではあるけれど、不気味な余韻が好きでした。


「時効警察」 (テレビ朝日の深夜ドラマ)

監督・脚本:三木聡、出演:オダギリジョー、麻生久美子。これもある意味X-ファイルかと。オダギリモルダーと、麻生スカリーが難事件に挑みます。ユルい捜査方法が秀逸でした。


「ブラックアウト」 (1995年の深夜ドラマ)

こちらは、椎名桔平モルダーと、山本未来スカリーが、超常現象に挑むドラマ。変な楽器を奏でる椎名桔平が、宇宙人みたいで笑えました。ところでこの2人、現実に結婚しちゃったそうですね。




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2008-11-25

映画コラム その21 「傷つくことと傷つけること」

テーマ:映画コラム

誰もが傷つきたくないし、誰も傷つけたくないと思っているもの。


しかし生きている以上は、どうしても傷ついてしまうし、人を傷つけてしまうことも多い。人間として生まれた以上、それはやむを得ないことなのかもしれない。


誰かのために何かをしてあげることが、他の人にとっては不利益になることがある。その人にとってはうれしいことでも、そのために不幸になってしまう人もいるのだ。「包帯クラブ」 で学んだことですね。


自分はいい人間のつもりでも、自分の気がつかないところで誰かに恨まれているかもしれない。つまり、みんなが平等に幸せになれるということは不可能に近いと思った方がいい。自称善人の方には申し訳ないけど、俺はそういう考えを持った人間です。


例えば、カーアクションを扱った映画があるとしましょう。カッコよくて、感動的なストーリーなので大ヒット。世界中で人気が出て名作扱いになりました。しかし、交通事故で家族を失った人にとって、この映画はどういう位置づけになるのか。みんなと同じように感動できるのか。とてもできないでしょう。


親子の愛情をテーマにした映画を、両親を失ったばかりの人が見たら?出産をテーマにした映画を、流産の経験がある人が見たら?まあ、そんなことを挙げればキリがありませんが、みんながいいという映画だから、誰が見ても面白いというわけではない、ということを言いたかったんです。


人にはそれぞれ、好みというものがある。誰かを傷つけた映画が、他の人にとっては生きる力になることもある。人がどうのこうのじゃなく、自分にとってその映画がどうなのか。それを考えるべきだと俺は思うんです。


映画ブログにも、色んなスタイルがある。無難な文章で、褒め言葉ばかり書いている人もいれば、けなしてばかりの人もいる。雑誌や新聞の受け売りのようなものもあるし、独自過ぎてよくわからないものもある。


このブログは、読めばわかると思いますが、あまりお行儀のよいところではありません。青少年にとって悪影響を及ぼす表現も多数使用していますし、基本的に毒舌です。初めて来た人には、不快な感情を抱く人も多いことでしょう。実は、それも狙っていますから。


何度も言いますが、人の言葉を無条件で鵜呑みにするような人間になってはいけません。それは、とても危険なことだからです。どんな信頼できる人物の言葉だったとしても、変だと思ったら熟考してみるべき。どんな人が、どういう状況で言ったのかを無視して、言葉だけを取り上げて攻撃するのはフェアじゃない。


その言葉を自分の頭で考え、心に照らし合わせてこそ、本当の理解が生まれる。あの人の視点で見ると、こう見えるんだなってとらえることができれば、聞き手のプロ。よく噛まずに飲み込むから消化不良が起きる。誤解が生まれる。


俺には、万人が喜ぶような文章を書く才能はありません。どんな文章を書いても、怒る人や傷つく人は必ずいる。どうせ何を書いても怒られるなら、好きなように書く。これが本音です。


俺は、中途半端に人に好かれるよりは、本気で嫌われる方が楽だと思っている男です。わかる人にはわかると思いますが、わからない人にはただのバカだと思われます。実は、それも狙ってます。自分でもバカだと思います。


例えば、100人の人がこのブログを読んだら、たぶん80人以上の人は不快に思うでしょう。他の20人の内、15人くらいは無反応。3人くらいは面白いと思ってもらえると思う。1人くらいは爆笑してくれて、最後の1人は感動してくれる。それが理想かな。その少人数の役に立っていると思えば、力も湧いてくるというもの。


99人に嫌われても、1人くらいはわかってくれる。書き手としては、それで充分。99人を傷つけても、1人に力を与えることができれば本望。ブログを開設した当初から言い続けていることだし、方針を変えるつもりはありません。嫌なら来なければいいだけのこと。居心地が悪いところにわざわざ足を運ぶこともないでしょう。


強くなるためには、どんどん傷ついた方がいい。人を傷つけることをいちいち恐れていたら、ブログなんて書けない。誰にでも愛される文章なんて、面白くもなんともない。それだったら、俺が書く意味がない。


俺が書く以上、俺のやりたいようにやる。どんなにヒドい文章でも、自分の吐いた言葉には責任を持つ。批判されても、訂正する気はありません。その時にそう感じた。だから、そう書いた。それで充分。正直な気持ちなんだから、嘘偽りはありません。


映画熱は、感性を鍛えるブログです。俺の文章を通して、自分の心と照らし合わせてみて下さい。そんなワケねえだろ、と好きなだけツッコんで、自分が本当に思っている答えを導き出して下さい。そのための、考えるための材料になれれば本望なんです。


真の答えは、自分の心の中にある。読者のみなさんがよりよい映画人生を送るために、このブログが小さな手助けになれれば幸いです。傷つくことを恐れるなかれ。リスクを背負ってこそ、見えてくるものがある。


映画の楽しみ方は、いろいろあっていい。 …打たれ強い、プロの観客になるべし。





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2008-11-24

ラブファイト

テーマ:邦画

弱すぎる男と、強すぎる女が、生身でぶつかり合う真剣勝負。 …武器は、拳のみ!


ラブファイトって何だ?“愛の戦い” か?内容とタイトルが合わんだろ!…と思ってたら、どうやらそれでいいみたい。ラブコメかと思いきや、何と本格的なボクシング映画でした。愛憎のもつれとかではなく、本当に “戦う” ところがスゴい。笑いながら、主人公と一緒に悩みましょう。


原作は、まきの・えりの小説 「聖母少女」(講談社文庫)。監督は、成島出。出演は、林遣都、北乃きい、大沢たかお、桜井幸子、波岡一喜、藤村聖子、鳥羽潤、健蔵、三田村周三、ツナミ、Fジャパン。


さて、映画ですが、気持ちのいい力作に仕上がりました。少々甘さはあるものの、妥協のない気合いが充分伝わってくる映画です。格闘大好きな人にも自信をもってオススメできます。ケンカ中の若いカップルも、この映画で仲直りしよう!


主人公は、幼い頃からいじめられて続けられて育ったヘタレ男。ヒロインは、その彼を守り続けて育ったケンカ最強女。高校生になり、お互いに違う意識が生まれるが、相変わらずイジメられる彼を見て、つい助けてしまう彼女。そんな時、彼はボクシングジムの会長に出会った…。


主演の林遣都が、とてもかわいい。どのくらいかわいいかというと、ヒロインの北乃きいよりかわいい。こりゃあ、反則ですなあ。小池徹平のかわいさとはまた違う魅力があります。俺はホモではありませんが、彼くらい魅力的な少年なら、状況によっては何か間違いが起きるかも。(ザ・冗談)


ヒロインの北乃きいは、持ち味のサッパリ感を充分に生かしたキャラ。彼女、ちょっとばかり成長したかも。今回はちょっとよかったですよ。気前のいいパンチラハイキックも、さわやかでなかなかよろしい。健康的な汗もグッドです。


その2人をすくすく育てるのが、絶好調の大沢たかお。今回は、プロデューサーも兼任して奔走したそうな。いい映画を作ろうという情熱が、画面からひしひしと伝わってきます。役柄は、元日本チャンピオンだった男。影のあるやさしさが、大人の男の魅力として映画に溶け込んでいます。


ジムの若手選手兼トレーナー役としてエネルギッシュに活躍するのは、波岡一喜。彼もまた、脂ののった旬の俳優。これまたイキのいいキャスティングだなあ。彼は面白い俳優なので、ドンドン起用しましょう。


大沢君の元恋人を演じるのは、桜井幸子。うひょー、オイシイなあ、この映画。影のある女を演じれば、彼女は絶品。こりゃあ、映画が面白くないはずがない!


特筆すべきは、現役の女子プロボクサー・ツナミが出演していること。彼女との緊迫感のあるスパーリングシーンはスゴかった。本格的ボクシング映画として申し分ない要素だと思います。聞けば、全員吹き替えなしでガチンコボクシングしたそうな。すげえじゃん!


この映画、どうしても見たかったわけじゃなくて、「ブラインドネス」 を見た後にたまたま時間がちょうどよかったので、ついでに見た映画だったんです。そしたら大当たり。これもまた幸運というもの。映画の神様の導きを感じますねえ。



男は誰でも、強くありたいと思うもの。だけど、強くなる必要がなければ努力しないかもしれない。強くならなきゃ生きていけない状況に追い込まれてこそ、真の強さに目覚めるのかもしれない。


最近では、男より強い女がたくさんいるらしい。だけど、男の強さと女の強さは性質が違うと思うんです。色んなスタイルがあっていいし、色んな役割があっていい。本作の2人は、そのちょうどいいポジションを獲得すべく、戦うのだ。好きだからこそ戦う。映画を見れば納得。こりゃあ、2人にしかわからん世界ですわな。


大沢君は、ホントにいい役者になってきました。スティーブン・セガールの敵役を演じたかと思えば、陽気なギャングにもなるし、優しい医者にもなるし、核ミサイルをナパームで焼いてくれと頼むし、魚もさばく。もう何でも来いですなあ。エネルギッシュなのはいいことです。今回は、17歳の少年少女を優しいタレ目で見守るアニキ的な役割をします。こういう大人、いいですねえ。適度にオヤジで。


本作のテーマは、やっぱり “居場所” だと思います。生きていると、心の置き場に困る時がある。10代の多感な少年には、家以外に居心地のいい場所があった方がいい。それは、誰かから一方的に与えられるものではなく、自分の意思で決めるもの。だからこそ価値がある。


このヘタレ少年・稔くんは、他の映画のヘタレ男とはちょっと違う。映画が進むにつれて、何だか応援したくなってしまう要素がある。自分が本当は何をしたいのか、どうありたいのかをしっかり考えているところがいい。終盤になる頃には、すっかり男の顔になって…あ、それじゃ腐女子のみなさんは萌えないか。さあ、あなたはどの稔くんが好き?


少年老い易く、学成り難し。美少年の寿命は短し、恋せよ乙女。 …男の輝く瞬間を見逃すな!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月23日 劇場:T-JOY新潟 18:05の回 観客:4人

カップル1組と、俺と、頭頂部輝くおっさんのみでした。


【上映時間とワンポイント】

約2時間5分(パンフに記述なし)。男性諸君は、きいちゃんのパンチラが何回あったか数えてみよう!


【オススメ類似作品】


「ベスト・キッド」 (1984年アメリカ)

監督:ジョン・B・アビルドセン、出演:ラルフ・マッチオ。ヘタレ少年が強くなろうとがんばる映画といえば、やっぱりコレでしょう。パット・モリタが懐かしいなあ。当時、全米はカラテブームでした。


「AKIRA」 (1988年マッシュルーム)

監督・原作・脚本:大友克洋、声の出演:岩田光央。こっちは、ヘタレが強くなりすぎた映画。声優の佐々木望が、鉄雄役でブレイクしました。美少年じゃないのが残念ですが。…うるせえ、俺に命令すんじゃねえ!


「さようならドラえもん」 (てんとう虫コミックス第6巻に収録、TVアニメ放映は1981年)

日本のヘタレ代表といえば、やっぱりのび太くんでしょう。弱虫だった彼が、ジャイアンにガチンコ勝負で戦いを挑む。それは、ドラえもんとの友情のためであった。あののび太が、ここまでやるなんて。全国の男の子が涙した感動の名作。だけど、次回あっさりドラえもんは帰ってきます。…ダメじゃん。



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2008-11-24

ブラインドネス

テーマ:洋画

見えないからこそ見えるものがあり、見えるからこそ見えないものがある。 …さて、真の闇とは?


“blindness” とは “盲目” という意味の他に、“無分別、無知” という意味があります。原作は、ジョゼ・サラマーゴの同名ベストセラー小説。ちなみに、日本語タイトルは 「白い闇」。


監督は、フェルナンド・メイレレス。脚本は、ドン・マッケラー。出演は、ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、アリス・ブラガ、ダニー・グローバー、ガエル・ガルシア・ベルナル。日本からは、伊勢谷友介と木村佳乃が参加。脚本家のドン・マッケラーも出演しています。


さて、映画ですが、期待したほどの作品ではありませんでした。まあ、そこそこ面白いとは思いますが、恐怖というよりは、かなりイライラ度が大きい。どう考えてもおかしい場面が多いし、特に後半がユル過ぎるので退屈になってしまいました。そういう意味では、とても疲れる映画。


ある日突然、目が見えなくなる奇病が続発。伝染病なのか、テロ攻撃か。患者たちは隔離され、施設に閉じ込められてしまう。閉ざされた空間において、彼らはパニックになってしまう。しかし、その中にたった1人だけ、目が見える女がいた。なぜ彼女だけが見えるのか。彼らの運命は?世界はどうなるのか?


主演のジュリアン・ムーアは、予想通りの好演。しかし、それ以上でもそれ以下でもない。地味で優等生な彼女の演技には、あまり期待していなかったので、まあこんなもんでしょう。色白だから、白い闇に溶け込んでいいという意見もありますが、お肌はさほどきれいじゃないので、かえってアラが目立つと思いますが。


彼女の夫、眼科医役のマーク・ラファロはよかったと思う。本当に誠実な人は、どんな状況にあっても誠実。間違いを犯しても自省する心を持っている。俺が同じ状況に遭ったら、彼と組みたいと思う。お人よしだからトラブルにも巻き込まれるけど、やっぱり彼にリーダーをやってもらいたい。


謎めいた女を演じたアリス・ブラガもそれなりによかった。プロフィールがわからなくても、その行動を見れば、どういう人物か推察できるというもの。こういうしなやかな強さを持った女性は魅力的だと思う。


ダニー・グローバーは、「ソウ」 シリーズ出演以来、善玉か悪役かよくわからなくなってきたので、謎の男として面白い役者になりました。少なくとも、モーガン・フリーマンよりいいポジションにいると思います。


“王様” ガエル・ガルシア・ベルナルはとても弱そうだったので、貧弱な悪役という印象。銃なんか持ったところで、当たるかよ、そんなもん。こんな奴に振り回されるのもバカらしいと思いませんか?戦い方はもっといろいろあったろうに、みんな適度に非力なもんだから、おとなしく従ってしまう。ああ、ガッカリ。これって、生きる気力に乏しい人がかかる病気なんじゃねえの?


日本の2人も、さほど存在感はなく、普通の日本人だねえっていうイメージでしかなかった。日本人である必要はないように思えます。どうせ出すなら、もっと何か考えて欲しかったなあ。


というわけで、役者はそれなりなんですが、ストーリーがどうも…。滅びていく一方の物語って、全然燃えないんだよなあ。まるで、世界が滅びて欲しいと言っているみたい。


映画は、全体的にゆっくり進みます。静かで、淡々とした演出。時折画面が白くボケて、全体がぼんやりする。恐怖よりは、イライラ感が強い。英語がわかる人なら、いっそのこと目を閉じて、耳だけで鑑賞するのもご一考かと。そうそう、視覚に頼る映画よりは、ラジオドラマにした方が効果的だったりして。




目が見えなくなる恐怖。原因不明だという恐怖。これから何が起きるのかわからない恐怖。そして、誰も頼りにできない恐怖。飢え死にするかもしれない恐怖…。考えると、すごい要素がいっぱいあるのに、何でこんなに面白くないんだろう?それはきっと、映画という媒体が、マイナスに作用しているのかもしれない。


出演者たちの熱演がイマイチ伝わってこないのは、観客もまた、“見えている” 側にいるからなんじゃないかって思う。それは、映画である以上は仕方がないのかもしれない。「ブレアウィッチ・プロジェクト」 や 「ノロイ」 が作り物くさくなってしまう要素と似ている。つまりは、見せなくては始まらないのが映画だから。


そこをあえて、見せない手法でどう表現するのかが見たかった。今思うと、それが俺の期待したところであり、本音だったように思います。俺の予想では、聴覚の刺激があるんじゃないかって思ったんですが、それもなかった。せっかく劇場で見たのに、何だか損した気分です。


人間の心の闇を描くにしても、こんなユルい演出ではやっぱりするって。そりゃあ、これだけのっそり進めば、観客もムカついてくるわな。…あ、もしかしてそこが狙い?いずれにしても、狂気を描くという点でもインパクトは弱い。ああ、何がしたかったんだよう。全ては白い闇の中ですか。


これ、傑作だそうですが、俺みたいな貧弱な感性の持ち主ではよくわかりません。巨匠だから傑作に違いないという “盲目的” な視点は持ち合わせておりませんので。どうぞ、高尚な人同士で盛り上がって下さい。


巨匠が手がけてもこんなだったら、やっぱりそこが映画の限界なのかなあ。いやいや、そんなことはないと思うぞ。若い映画監督のみなさん、果敢に挑戦してみて下さい。もしかしたら、メイレレス監督を超える映像が撮れるかもしれないですよ。


映画は、どんどん進化する。見せ方も変わっていく。スタイルは変わっても、映画に込められた心は同じ。作り手は、“こんな映画を見せて上げたい”。観客は、“こんな映画を見てみたい”。見せたいものがあり、見たいものがあるからこそ、映画は進化するのだ。


出でよ、新たな才能。巨匠を超える画期的な 「ブラインドネス」 をリメイクして欲しい。見た人の人生を変えてしまうような、強烈な作品を俺は見たい。 …目が見えているうちに。




【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月23日 劇場:T-JOY新潟 15:45の回 観客:約20人

劇場がやたらと寒かった。その荒廃感だけが、たったひとつのリアリティだったかも。


【上映時間とワンポイント】

2時間1分。すごく長く感じました。世界って、滅ぶのに時間がかかるんですね。


【オススメ類似作品】


「アイ」 (2001年香港・タイ合作)

監督・脚本:オキサイド&ダニー・パン、出演:アンジェリカ・リー。見える恐怖といえば、やっぱりコレでしょう。幼い頃に失明した女が、20歳になって角膜手術を受け、視力が回復。ところが、見えすぎて、見えるはずのないものまで見えてしまう。DVDで見ると大したことないけど、劇場で見た時はずっげえ恐かった。


「復活の日」 (1980年角川)

監督:深作欣二、原作:小松左京、出演:草刈正青。アメリカの細菌兵器により、人類が全滅。わずかに生き残った人々の運命は?子供の頃に見た時は、戦慄の恐怖を覚えたものです。今見たら笑うと思うけど。


「ザ・クレイジーズ 細菌兵器の恐怖」 (1973年アメリカ)

監督・脚本:ジョージ・A・ロメロ、出演:レイン・キャロル。軍用機の墜落により、町の飲料水が汚染されたために封鎖。盲目的に殺されていく狂気を描いたパニック・ホラー映画。ゾンビ映画の巨匠の異色作ですが、ゾンビが細菌に変わっただけで、基本的におんなじ映画です。



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2008-11-24

コドモのコドモ

テーマ:邦画

コドモは、コドモを産んで “オトナ” になる。 …ガキだからって、なめんなよ!


「ジュノ」 よりもすごい映画が登場しました。あっちは高校生、こっちはなんと小学生!11歳でご懐妊した女の子の物語です。いやはや、邦画が盛り上がりますねえ。こんな映画が作れる日本という国は、やっぱり素晴らしい。さあ、ありそうであり得ない、でもあるかもしれない、非日常の世界へ参りましょう。


監督は、萩生田宏治。原作は、さそうあきらの同名マンガ。「神童」 のコンビが再結成というわけですな。脚本は、宮下和雅子。そうですね、ここは女性が書いた方がいいですね。


出演は、甘利はるな、川村悠椰、伊藤梨沙子、麻生久美子、宮崎美子、草村礼子、谷村美月、塩田三省、北見敏之、光石研、森郁月。チョイ役で、上野樹里と柄本佑。


さて、映画ですが、エネルギッシュな作品に仕上がりました。前回見たのは、豚が教室を振り回す映画でしたが、今度は赤ん坊です。少子化対策うんぬんという前に、この映画で生命の力強さを体感せよ!


幼なじみの仲良しの男の子と女の子が、“くっつけっこ” という遊びをした。しかしその後で学校の授業で性教育を受けたら、それは生殖行為であることに気づいてしまう。まさかと思ったのもつかの間、女の子のお腹はどんどん膨らんでいってしまう…。 さあ、どうする?


主演の “妊婦小学生” を演じたのは、甘利はるな。あれ、どっかで見た顔だと思ったら、「ブタがいた教室」 の転校生じゃん。どうやら、こっちがデビュー作らしい。なるほど、本作を見ると、あっちの演技も納得ですね。だから見る順番としては、ブタを最初に見てから赤ん坊がいいと思います。


彼女は、400人のオーディションで選ばれたそうです。こういう映画には、演技のうまい子役を起用しない方がいい。萩生田監督の眼力は大したものだと思います。いいキャスティングでした。彼女を起用したからこそ、いい映画になったと思う。はるなちゃん、おつかれ様でした。いいオンナになって下さい。


母親役は、またしても宮崎美子。うーむ、これでお母さん女優のポジションが不動のものとなりました。屈託のない笑顔が、本作では仇になる一面も。だけど、娘を抱きしめるシーンはよかったなあ。親子の信頼って、言葉や理屈じゃないんですね。


祖母役の草村礼子がまたいい。出番は少ないけれど、重要な役どころです。彼女の存在なくしては、孫のがんばりはなかったかもしれない。血筋と女としての情の世界。いい演技でした。1人の男として、また1人の父親として、しっかり勉強させてもらいました。


先生役の麻生久美子は、東京から来た堅物教師を力強く演じています。いわば “悪役” ですが、信念を持った教師であるという部分がちゃんと出ているので、こちらもいい演技だったと思います。彼女はやっぱりプロの女優です。きっともう、どんな役でもこなせるんじゃないでしょうか。


生徒役では、学級委員長の伊藤梨沙子がよかった。何と言うか、かわいくてたまらない。もしかして俺って、学級委員長フェチか?だって、一生懸命考えて話す子供が好きなんだもん。“ブタ” 側の委員長とはまた違った魅力を持っていると思うから、どんどん磨いて、いい役者さんになって下さい。




小学生の娘を持つ親である俺にとって、この映画は他人事ではありません。しかしながら、我が家はできちゃった婚であるので、身ごもった子供は産ませてあげたいと思うのが人情。ましてや、本人が産む気満々ならなおさらのこと。


性教育って、なかなか難しい。それは、子供にどう教えるかよりも、大人にどう納得してもらうかの方が重点になるから。当の子供なんてあっからかんとしたもんじゃないかって思いますよ。正しい性教育なんて存在しないと思うし、やるなら学校や先生のカラーがあっていい。どう考えたって、トンデモ授業になる要素がある。だから、真面目な麻生先生が一生懸命考えたって、あんな風になってしまう。


だけど、本作での比重は、そんなところにはありません。俺も含めて大人はどうしても先入観で見てしまうからこそ、一応そういう話題に触れました。以上。とりあえずそれはおいといて、子供たちの世界へ入っていきましょう。


本作に出てくる子供たちは、どうしてこんなことになったんだろう、っていう後ろ向きな思考をすることよりも、これからどうしようという方向で考えます。それは、彼女たちが持って生まれた強さではなく、その状況になったからこそ生まれた “現場の強さ” だと思うんです。


先生が強面で気難しい。親は忙しくて話を聞いてくれない。“父親” は頼りにならない。普通の女の子がそういう状況に陥ったら、どうするんだろう?そういうスリリングな視点で、本作を楽しめばいいと思います。俺なんか、見ていてずっと笑えてしょうがありませんでした。これは、はっきり言って面白い。トンデモ度は、“ブタ” よりもすごい。ただ、原作がマンガなので、ファンタジーとしてとらえればよろしい。実際、そりゃねえだろっていう場面もけっこうあるし。まあ、そこは子供の超能力ということで。


限られた状況で、知恵を絞って、色んな行動に出る。それって、すごくワクワクすることなんです。ましてや、お腹の赤ん坊の命が懸かっているなら、本気にならざるを得ない。大人には “○○ゴッコ” に見えても、子供にとっては真剣勝負なのだ!


子供は、いつ大人になるのか。それは、心が決めること。実年齢よりも、心の成長の度合いによって、部分的に少しずつ大人になっていくのだ。そういう意味で、彼女はスーパー小学生と言えます。いよっ、カッコいいぜ、お姉ちゃん!


難しい状況に出くわした時、人はどうするか。逃げるか、立ち向かうか。器の大きさって、トラブルの対処能力に比例すると思う。ちょっと面倒くさくなると投げ出してしまう輩は、彼女から学ぶべし。自分にできることを精一杯がんばるからこそ、仲間が協力しようという気持ちになるのだ。


苦しい時にこそ、人間の真の価値が問われる。機嫌のいい時にがんばるのは誰でもできる。自分が苦しくても、誰かを思いやることができる人は、いい友達がたくさんできる。それは、周りがどんなに非難しようとも、決して侵害されない、真の関係なのだ。そういう仲間は滅多にできるもんじゃない。


だから本作の主人公は、幸せ者だと思う。それは、自分の力で立ち向かい、本気で協力してくれた友達がいたから。そしてかけがえのない、お腹の赤ん坊…。さあ、彼女はどうなるのか、赤ん坊の運命は?刻一刻と迫ってくる予定日。そして予期せぬことが…さあ、後は劇場で。


本作で学ぶことは、生命力の源です。命とは何だろう。生きる力ってどうして湧いてくるんだろう。理屈ではなく、感性で体感して下さい。そして、「ブタがいた教室」 と本作に共通する教訓は、“トンデモ教師は生徒を育てる” ということです。自分たちがしっかりしなきゃダメだ、って思うことができれば、もうプロの生徒だ。


全国のトンデモ教師のみなさん、個性的な授業を堂々とやりましょう。そのかわり、教育の結果には責任を持つ覚悟で。そしてその生徒のみなさんは、奴らに負けないように、子供の強力な個性で立ち向かうべし。


この映画の題材は極端ですが、それだけに、苦しんでいる子供の心に新しい風を吹き込むかもしれない。視点を変えて考えると、意外と乗り越えられる試練は多い。解決のヒントはこの映画にある。そういう意味で、子供たちにとって福音となって欲しい作品です。


新しく生まれてこようとする命と、今を生きる命。 …希望があるかどうかは、命が決めるのだ。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月23日 劇場:シネウインド 12:35の回 観客:約15人

今回は、1人で行きました。いずれ娘にも見せてあげたいと思います。


【上映時間とワンポイント】

2時間2分。クライマックスで、観客のお母さん方が思わず 『…うわあ!』 って声を出す場面があって爆笑でした。ははあ、このシーンは確実に狙ってますね。


【オススメ類似作品】


「ブタがいた教室」 (公開中)

監督:前田哲、原案:黒田恭史、出演:妻夫木聡。本作主演の甘利はるなが転校生で登場。やっぱり、アウトサイダー的な役が似合うなあ。Pちゃんにプレゼントしたアレも、女の子らしくてかわいい。


「ジュノ」 (2007年アメリカ)

監督:ジェイソン・ライトマン、出演:エレン・ペイジ。こちらは高校生の女の子が妊娠してしまうお話。堂々と学校に通い、ハンバーガーを食いまくる姿がクールでした。粋な女の子です。


「4ヶ月、3週と2日」 (2007年ルーマニア)

監督・脚本:クリスティアン・ムンジウ、出演:アナマリカ・マリンカ。こちらは女子大生がご懐妊。でも諸事情により中絶しなければならないことに。しかも、闇の医者を探して…。この映画は、男が口をはさむ要素がありませんので、関連作として紹介します。話題の1つにして下さい。


「アリよさらば」 (TVドラマ)

出演:矢沢永吉。永ちゃんが教師をじたTVドラマ。何話目だったか忘れましたが、生徒が妊娠して先生が奔走する話があります。言葉少ない永ちゃん先生の表情がたまらなかった。子供は、こういう大人に教わるものなんだと思います。



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2008-11-23

ブタがいた教室

テーマ:邦画

豚をめぐって教室がドタバタ。 …楽しくて、オイシイ授業のはじまりだよ!


以前紹介した本 「死の教科書」 にも掲載されていた、大阪の小学校での “豚を飼う授業” のお話。実話であるという点をしっかりふまえてご覧下さい。


監督は、前田哲。原案(つまり、当事者の先生)は、黒田恭史。著書 「豚のPちゃんと32人の小学生」 があり、1993年にフジテレビの 「今夜は好奇心」 で放送されて、賛否両論を巻き起こしたそうです。


出演は、妻夫木聡、甘利はるな、大杉漣、原田美枝子、田畑智子、戸田菜穂、ピエール瀧、その他たくさんの子供たち、豚。


さて、映画ですが、思ったより健全な映画に仕上がりました。“青少年映画審議会推薦” “日本PTA全国協議会特別推薦” “文部科学省選定” などというすごい肩書きがついているので 、家族揃って見ても大丈夫です。…俺的にはちょっと不満が残りますが。


6年生の担任を受け持つことになった新任教師・妻夫木先生は、いきなり教室に子ブタを持って登場。『…このブタをみんなで育てて、最後は食べようと思います。』 生徒たちは困惑するも、かわいいブタに魅せられ、一生懸命に世話をするようになる。食肉のつもりだったブタが、クラスのペットになってしまい…。


主演の妻夫木聡は、なかなかよかったと思います。彼はあまりインパクトのある役柄には向かないと思うので、このくらいのポジションがよろしいかと。熱血教師というよりは、無邪気で悪気のない教師の方がピッタリハマる。問題を投げかけて起きながら、エラいことになったという慌てぶりが面白かった。


校長先生を演じるのは、原田美枝子。ベテランの風格が漂う彼女の話し方は、プロの教育者そのもの。彼女の大らかな心が、この授業の影の力であったことは間違いないでしょう。画面に出てこない部分で、きっと色々なことをしてくれているんじゃないかって思います。彼女の演技には、そういう雰囲気を感じさせる力がある。


脇役陣の中では、父親役の近藤良平と、ピエール瀧がいい感じでした。食育というものは本来、家庭で行うものなんじゃないかって感じるいいセリフでした。こういう言葉をさりげなく言えるオヤジはカッコいい。


生徒を演じた子供たちも、なかなか面白くてかわいかった。俺が注目したのは、学級委員長(たぶん)役の松原菜野花です。基本的に “困り顔” なので、みんなの面倒を見ていそうな雰囲気。辛そうに涙を浮かべながら、しっかりと意見を言う姿に心を打たれました。その勇気と情熱を忘れずに、これからもがんばって欲しいと思います。


そして、特筆すべきは、やっぱりブタでしょう。冒頭から、お尻をぷりぷりさせながら歩く後ろ姿は、なかなかセクシー。うーむ、これでは情がうつっちゃうかもなあ。しかも子供たちは、勝手に名前までつけちゃった。その名も “Pちゃん”。ブタ小屋に大きく掲げた文字を見たら、何だか駐車場みたいで笑えました。




ちょっと考えてみたいことがあるんですが、“豚” という表記と “ブタ” という表記では印象が違うと思うのですが、どうでしょう。前者は家畜や食肉といった印象。後者はペットや友達といった感じ。これは、豚に限ってのことかもしれない。牛とウシ、馬とウマ、鶏とニワトリ、羊とヒツジは割りと同じ印象を覚えるので、やっぱりブタって何か特別な生き物なのかも。かのジョージ・クルーニーも、ブタを飼っているとか。(確か名前はマックス)


そもそも豚は、猪を家畜化した生き物だと言われています。だから当然、人間が飼いやすいように “改良” されている要素があっても不思議じゃない。かわいいと思えるからこそ情が移る。家畜からペット、そして友達…心の暴走は続く。そして子供だからこそ、歯止めが効かなくなっていく。


先生が連れて来た時、かわいい子ブタじゃなかったら?くさくて汚い、いかにもな家畜だったらまた違っていたかもしれませんが、後からだったら何とでも言える。何事も、最初にやる勇気が大切なんだから、俺は黒田先生の情熱と遊び心を高く評価したい。ブタ、いいじゃん。なかなか粋な先生もいたもんだ。いいなあ、俺も生徒で参加したかった。


本作は、食育という面と、人間と動物の関わり合いという面、ひいては人同士のつながりにまで波紋を広げていく。いやはや、ブタ一匹でここまでの騒動になるとは。Pちゃんもすごいプレッシャーですねえ。こんなに有名なブタも珍しいんじゃないでしょうか。まさに伝説のブタ。ブタだけに、“豚(トン)デモな授業” といったところですね。


世の中には、“トンデモ教師” という存在がいる。普通の角度からではなく、別の視点でアプローチして独自の教育方法を考える先生たちのことですが、それもまた色んなタイプがいて、ホントにバカな人と、真面目にバカな人がいる。だけど、そういう先生が学校に1人くらいいて欲しいと俺は思うんですね。

真面目で模範的な先生の授業は無難だけど、その分だけ息苦しさというものも生まれる。子供は刺激的なことが大好きだから、面白いことがあった方が活性化するし、考える力も育つ。


本作でもう一つ注目したいのは、子供の親たちが、学校を信頼しているという点。そりゃあ、オバチャンたちが学校に怒鳴り込んでくる場面もありますが、原田校長先生がしっかりとした対応をすると、ちゃんと刀を納める。エライ!そういう大人たちに囲まれたからこそ、妻夫木先生も最後まで授業ができたんだと思う。始めはトンデモな内容でも、最後に授業として昇華できれば成功。俺はそう思います。


人生においては、答えのないことが実に多い。優等生は、答えを覚えておけば点は取れるが、社会に出るとそれだけではうまくいかない。相手や環境が変われば、それまでの常識はいとも簡単に覆される。そこで大事なのが、“考える力” なんです。あらゆる状況において、自分の頭で考えて、自分で行動を決めていく能力を磨く。それこそが、勉強する理由であると俺は思うんです。そしてそれは最終的に、自分の人生を生き抜いていく力になる。


自分が小学生だった頃を考えても、彼らと同じ視点にはなれない。時代も環境も違うから。情報の洪水のような今の世の中において、正しい基準なんてもうないのかもしれない。誰かが何かを言えば、賛同する人も批判する人もいる。だけど、大切なのは志。黒田先生はいい授業をしたと思います。そしてそこにいた生徒達も、いい授業を受けたことを誇りに思って欲しいと思う。少なくとも、食べ物に感謝できる大人になっていることは間違いない。


今どきの子供、今どきの大人。俺自身も、社会性に乏しい落ちこぼれのトンデモブロガーですが、みんなひっくるめて考えれば、いい悪いに差異はあまりないと思うんです。子供は決して純粋無垢じゃないし、大人も悪い人ばかりじゃない。子供が立派とか、先生が変だとかじゃなくて、この先生と生徒という “組み合わせ” が良かったんだと俺は思うんです。


生徒によって、先生は教育方法を考えればいい。先生によって、子供は勉強方法を考えればいい。誰だって楽しくて刺激的な授業をしたいと思うし、受けたいと思っているはず。そういうところから、勉強という本来の楽しさが生まれるのではないでしょうか。


教える側と、学ぶ側。双方がしっかりしていれば、教材がトンデモであっても授業は成り立つ。逆に、トンデモな授業だからこそ面白いのだ。ここでしか学ぶことができない、貴重な時間を大切にして下さい。子供たちよ、しっかりがんばって、楽しく学んで下さい。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月16日 劇場:ユナイテッドシネマ新潟 15:30の回 観客:約100人

妻と娘と3人で行きました。9歳の娘は、純粋に面白かったと話しています。


【上映時間とワンポイント】

約1時間50分(パンフに記述なし)。豚はかわいくてうまい、というのが我が家の結論です。


【オススメ類似作品】


「紅の豚」 (1992年スタジオジブリ)

監督・原作・脚本:宮崎駿。声の出演:森山周一郎。豚といえばやっぱりコレでしょう。この豚は強くてカッコいい。そして女にモテる。オヤジはこうでなくちゃって思えるような、粋な映画です。


「はれときどきぶた」 (1988年)

監督:平田敏夫、原作:矢玉四郎。児童文学のアニメ映画化。少年の妄想が現実になるトンデモ映画。豚が空からたくさん降ってきます。これだけ豚がいたら、殺して食っても誰も文句は言わんでしょう。


「あしたのジョー劇場版」 (1980年ヘラルドエンタープライズ)

監督:福田陽一郎、原作;ちばてつや、声の出演:あおい輝彦。格闘家のバイブルとも言える傑作。少年院の場面で、豚を暴走させて脱走を図るシーンにご注目。豚の尻に乗ってスタコラサ、これがホントのトンズラと言います。全然かわいくない、汚いイメージの豚が爆走!これを拳で仕留める力石はカッコいい。…さあ、この豚なら食えるだろ!


「未来少年コナン」 (1978年NHK)

監督:宮崎駿、原作:アレクサンダー・ケイ、声の出演:小原乃梨子。主人公コナンの親友、ジムシーが飼っている豚にご注目。名前はウマソーでした(爆笑)。わかりやすくていいじゃん!生き残るのはこういう男だ!これをTV放映したNHKはエラい!


「天使の涙」 (1995年香港)

監督・脚本:ウォン・カーウァイ、出演:レオン・ライ。「恋する惑星」 でさわやか青年を演じていた金城武が、口のきけないアイスクリーム屋を演じています。映画の中で、豚のマッサージをする場面が特に笑えます。


「いのちの食べ方」 (2005年オーストリア・ドイツ合作)

監督・撮影:ニコラウス・ゲイハルター、出演:食材のみなさん。ありとあらゆる食材が、解体されていく様を、延々と見続けていくドキュメント映画。豚はもちろん、牛や鶏、魚も登場します。本作を見た後でこの映画を見る勇気がある人はいないと思いますが、見る機会があったらどうぞ。


「築地魚河岸三代目」 (2008年松竹)

監督:松原信吾、原作:はしもとみつお、出演:大沢たかお。最後は、魚の映画を紹介しましょう。これもまた、食育につながる映画です。“いただきます” という言葉の本当の意味を考えてみませんか。



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2008-11-22

まぼろしの邪馬台国

テーマ:邦画

言わんとしていることはわかるけど、映画としてインパクトが弱かった。


監督は、堤幸彦。脚本は、大石静。出演は、竹中直人、吉永小百合。その他大勢。


さて、映画ですが、年配夫婦向けの旅行ガイドムービーとして申し分ないでしょう。邪馬台国バスツアーでも企画して、土産ものの土器でも用意してみては。


原作は、長崎県島原の活性化に情熱を燃やした宮崎康平氏が夫婦で共著した同名書物。古代日本のロマンあふれる世界を堪能できるのかと思ったら、何だか肩透かしを食らった気分。映画は、夫婦愛と家族愛が中心になっているので、人間ドラマとしてのカラーが強い。できればもっとグレードの高い作品にして欲しかったなあ。


竹中直人は、ちょっとやりすぎかなと思います。昭和という時代を考えれば、このくらいモーレツな男でもいいんだろうけど、こんな調子じゃ誰もついていかないんじゃないか?これでは、ただの荒くれ者にしか見えませんが。人を惹きつける人物って、それなりに魅力的な要素があると思うんですが、いかがなものでしょう。


大御所・吉永小百合の演技は見事なものです。ただ、今回は相手がよくなかったような…。彼女のキメ細かい演技と、ダンナの荒っぽさが対照的で面白いとは思うんですが、後半になってだんだん疲れてきたのも事実。作り手はノリノリでも、見ている観客は置いてきぼりを食らった感じ。


この映画、えらく金がかかっていそう。宣伝費もさることながら、主題歌がセリーヌ・ディオンとか、わけわからんとこに相当力を入れている感じがするんです。何というか、もったいない。


俺のイメージとしては、鼓童のような和太鼓集団にオープニング音楽を担当してもらい、ナレーターは森山周一郎か久米明でスタート。現代と古代を交互に見せていく手法で観客をリードしていきます。古代人には野村萬斎や森次晃嗣のような、この世のものでないイメージの俳優を起用。で、肝心の卑弥呼役は、幼少の頃は福田真由子か谷村美月。大人になったら長沢まさみか真木よう子。晩年は美輪明宏でいきましょう。そして歌も歌ってもらう!挿入歌はフジコ・ヘミングと秋川雅史のデュエットで盛り上げてもらい、音楽は冬木透と川井憲次と久石譲と坂本龍一で!宣伝イメージソングはクレイジーケンバンドで!


…というのは冗談ですが、日本の歴史ロマンなんだから、これくらいやってもいいのではないかと思うんです。これを見た日本人が、日本に邪馬台国あり、という気持ちになるような作品であって欲しかった。奇しくも、中国の 「レッドクリフ」 が大ヒット公開中だからこそ、余計に影が薄くなる。もうちょい、何とかならんもんでしょうか。


本作を見て、日本という国がどうやってできたのかに興味を持った人が増えてくれればいいと思います。そのきっかけになれば、この映画を作った意味がある。そういう方向に力が流れていけば、宮崎氏の魂も喜んでくれるような気がします。…出でよ、歴史ロマン映画。カッコいい卑弥呼をスクリーンで見せてくれ!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月9日 劇場:ワーナーマイカル県央 16:55の回 観客:約40人

やっぱり年配の客が多かった。サユリストの世代かな?


【上映時間とワンポイント】

約2時間(パンフに記述なし)。関連商品として、吉永小百合の卑弥呼のお酒とか、記念切手があるそうです。


【オススメ類似作品】


「フラガール」 (2006年シネカノン)

監督・脚本:李相日、出演:松雪泰子。地方都市の活性化ムービーといえば、最近ではコレでしょう。フラダンスの振り付けには、手話の要素があると聞いて勉強になりました。ちなみに、この映画の主役は松雪泰子です。蒼井優は脇役ですのでお間違えなく。


「東京物語」 (1953年松竹)

監督・脚本:小津安二郎、出演:笠智衆。老夫婦が旅をする映画といえば、やっぱりコレでしょう。寂しい旅だけど、いい伴侶に恵まれて幸せだと思います。家族の絆を考えるなら、この映画から学ぶところが大きい。


「ダヴィンチ・コード」 (2006年アメリカ)

監督:ロン・ハワード、原作:ダン・ブラウン、出演:トム・ハンクス。2006年映画熱ワースト部門第1位作品。何でこの映画かというと、面白い映画を作ろうという意気込みだけは本作に勝っているからです。光るチンコの謎は未だに解明できませんが、美術品への落書きはやめましょう。オチもトンデモな内容で爆笑でした。歴史ロマン風の、お笑いサスペンス映画。本作を見て不満だった人は、帰りにレンタルショップでこれを借りて、別方向の怒りで気をまぎらわせましょう。



【オススメイージソング】


この映画を見た後で、クレイジーケンバンドの 「スポルトマティック」 を聞いてみて下さい。歌詞の内容が映画とピッタリで笑えます。 ~旅行に行こう!だけど問題なのは、金がないということだ~。ちょっと貸してくれないか?返せるあてなどないが、俺には夢があるんだ~。俺の才能に、投資しろ~!ってな具合。




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