FUJITA'S BAR
1 | 2 次ページ >> ▼ /
2008-05-31

5月を終えて

テーマ:エッセイ

【今月行かなかった映画とその理由】


「ハンティング・パーティー」

行くつもりで準備していたんですが、当日になって、滅多に会わない友達からメールが来て、一緒に夕食をとることになっちゃいまして、見逃してしまいました。まあ、それもいいかと。


「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」

トム・ハンクスとジュリア・ロバーツという組み合わせは、いかにもって感じがするので萎える。ジュリアがゴージャスな役というのもさらに萎える。「オーシャンズなんとか」 がトラウマになってるもんで。


「最高の人生の見つけ方」

サイテーの映画の見つけ方はよく知ってます。余計なお世話です。


「ナルニア国物語 第2章」

1作目で懲りたので行きません。ナルニアだかナニワヤだか知らんが、どうでもいいッス。


「スパイダー・ウィックの謎」

読むな、と言われた本を読んで、妖精と戦争になる映画ですか。はあ、自業自得ですね。しかも、そんなちっちゃいメガネでしか見えないの?戦いにくいじゃん!イライラしそうなのでパス。


「迷子の警察音楽隊」

そんな頼りない警察はイヤだ。


「山のあなた 徳市の恋」

盲目の按摩が主人公だそうで。仕込み杖は持たんのか?恋は盲目っていうオチじゃないでしょうね。


「アフタースクール」

大泉洋がどうも生理的にキライなので、精神衛生上の理由でスルーします。




今月見に行った劇場映画は、全部で10本。今年のトータルは現在47本です。最近仕事が過酷なこともあって、記事を書くまでに時間がかかりました。まあ、いつものことなのでどうかご理解下さい。一応元気ですので。


最近、俺の周りの人がやたらイライラしている。心の病っぽくなっている人もいる。俺も先週はヤバい時があった。でも、そんな感情を、映画がやわらげてくれる。そして、そういうストレスを、前に進む力に変えてくれる。だから、この映画をよりよく感じるために、今週の試練があったという解釈にしたい。


忙しくても、クタクタでも、娘の運動会にはちゃんと行った。PTAの玉入れにも参加した。4個入ったぞ。得点には関係ないけど。やるべきことをちゃんとやらないと、遊びに行けない性格なもんで。


6月は、このブログが誕生して3周年となります。また何か企画しようかな。昨年みたいにすごいことはできないけど、何かやりたいとは思います。では、読者の皆さんもお体大切に。来月もよろしく。







AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
2008-05-31

僕の彼女はサイボーグ

テーマ:アニメ・特撮

もったいないなあ。 もっとオイシイ使い道があったのに…ムッフッフ。


“サイボーグ” とは、広辞苑によると、“人間の生体機能の重要な部分を、電子機器などに代行させたもの” という意味だそうです。つまり、平たく言えば “改造人間” ですな。ちなみに “ロボット” は、“人工の自動人形” と記述されています。つまり、“人造人間”。“アンドロイド” は、“人間そっくりのロボット” だそうな。さて、本作に登場するおねーちゃんはどれに該当するか、考えてみて下さい。


監督・脚本は、クァク・ジョエン。「猟奇的な彼女」 「僕の彼女を紹介します」 に続く、“彼女” シリーズ第3弾!猟奇的に紹介したらサイボーグでした、と覚えましょう。(覚えなくていいです)


出演は、綾瀬はるか、小出恵介、桐谷健太、田口浩正、遠藤憲一、小日向文世、竹中直人、吉行和子。他にもチョイ役で大物がいっぱい。


さて、映画ですが、はっきり言ってトンデモ映画です。だけど、このサイボーグは魅力的だ。俺も欲しい!


実は、綾瀬はるかの演技を見たのはこれが初めて。本作はサイボーグ役なので、演技力はあまり関係ないような気がします。妻の話では、「白夜行」 の演技がヒドかったらしいので、本作もそんなに期待してませんでした。ところが、フタを開けてみれば…これ、けっこうオイシイじゃん!


彼女は、美人だと思います。俺が覚えているのは、確か 「パンテーン」 のCM。シャンプーか何かの商品だったと思うんですが、きれいなアゴが印象的でした。俺、とんがったアゴが好きなもんで。これで肩をコリコリやってくれたらキモチいいだろうなあって。その彼女も、もう今年で23歳。いい女になりましたね。


綾瀬はるかをキャスティングした時点で、この映画の9割は成功していたかもしれない。人形のようにきれいな肌と抜群のスタイル、愛くるしい姿は、なかなか魅力的じゃありませんか。「サイボーグⅡ」 のアンジェリーナ・ジョリーは、体臭が漂ってきそうでヒドかったけど、こっちは抜群にOKです。


やっぱりねえ、横顔がキレイです。特にアゴがいい。俺、このサイボーグ好きだなあ。年食ったらぜひ彼女に介護してもらいたい。酔っ払ったらおんぶして欲しい。それから…(この後しばらく、筆者の妄想タイム)。


小出恵介といえば、「初恋」 で宮崎あおいを振り回した兄ちゃんですな。「きみにしか聞こえない」 では成海璃子を泣かせちゃうし、うらやましい男です。今回は、はるかちゃんにボコボコにされたんか。ちくしょう、アゴだけ俺にさわらせてくれない?


いきなり目の前に美人の女が現れる。キミは誰?どうして僕なんかに?どうやら、彼女には秘密があるらしい。恋愛タッチで、ミステリアスに物語が進んでいく…。はたして、彼女の正体は?


これ、一応はSF映画みたい。恋愛映画としてはかなりぶっ飛んでいますので、斜めに構えて見た方がいいかと。よく考えると絶対オカシイですから。うっかり感情移入すると、どこで泣いていいやらわからなくなりますよ。


開始して30分で、これは絶対うさんくさいと確信したので、ひたすら笑うしかありませんでした。そりゃおかしーだろ!ってかなりツッコめますので、どうぞ肩の力を抜いてご覧下さい。ストーリー、ムチャクチャですから。


後半は、相当悪ノリしていますので、どこまで観客がついて来れるか見ものです。強烈な彼女と付き合うには、男にもパワーが必要なのだ。覚悟して見よ!


本作は、腐女子にはウケないかも。でも、野郎のオタクには一部ウケるかも。あと、一般の人の反応がどうかが気になる。真性オタクよりも、にわかオタクの方をターゲットにしてる感じがするから。


美人がにこやかに近づいてきたら、まず疑え。風俗詐欺か、宗教団体か、サイボーグのどれかだ!この映画を悪用した “ヘタレ詐欺” が出てこないことを祈る。ヘタレたちよ、現実を見極める目を持て!


というわけで、映画の最中ずっと、綾瀬はるかのアゴのラインに見とれていました。ストーリーはどうでもいいから、もっとアゴを映せ!うっふっふ、今度はフトモモ星人からアゴ星人に鞍替えしようかな。


お人形女優は、こういう使い道があるんだということを知りました。綾瀬はるかは、キレイなうちにこういう映画に出られてよかったね。つるんとした美しい体は、まるで人口物のようでした。いいねえ。「KIDS」 の小池徹平なみにハマリ役だと思います。その美しいアゴを大切に、これからもがんばって下さい。


この映画、シチュエーション的にはエロ路線に行こうと思えば行けるんですが、一応健全な作品なので、小学生でも充分OKです。でもね、だからこそ想像力をかきたてるんですよ。小学5、6年生とか、中学生くらいの男の子が見たら、きっとよからぬ想像をして、見た日の夜は悶々とすることでしょう。いいじゃん、それが健全ってもんだ。がんばって将来、立派なダッチワイフ…いやいやサイボーグを作って下さいな。


そんな感じで、少年に夢とロマンを提供する映画です。よい子のみんなは、お母さんに内緒で見に行こう!





【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月31日 劇場:ワーナーマイカル県央 18:40の回 観客:約30人

チケット売り場で、俺の前に並んでいたジイさんが、『…サイボーグ、シルバー2枚!』 って言ったのには笑いました。ジイさん、粋だねえ。


【ワンポイント】

初老のカップルが多かったんですが、映画を見て納得。そういう方たちが喜ぶ場面あり。昭和のよき時代のワンシーンが中盤にあるのでご注目。みなさん、泣いてましたねえ。俺的にはちょっとしつこかったけど。


【オススメ類似作品】


「最終兵器彼女」 (2005年最終兵器彼女製作委員会)

監督:須賀大観、原作:高橋しん、出演:前田亜季。こちらは、かわいい彼女が自衛隊に改造されちゃうトンデモ映画。『…痛くしないで下さい。』 の名セリフは絶品でした。


「火の鳥2772 愛のコスモゾーン」 (1980年手塚プロダクション)

総監督・原作・脚本・構成:手塚治虫という、やりたい放題アニメーション映画。育児ロボットのオルガが登場。母性を感じさせる美しさが魅力です。嫉妬メラメラの電撃は、ラムちゃんを上回ります。主役の声は塩沢兼人、オルガは三輪勝恵。悪役ロックは池田秀一。ブラックジャックの声は、伊武雅刀。そして火の鳥は、何と竹下景子!


「ZOO」 (2005年東映ビデオ)

監督:金田龍他、原作:乙一、出演:小林涼子他。5話で構成されるオムニバス映画。その中において唯一、アニメパートの話があるので、その作品にご注目。本作ととても通じる世界があります。繊細な人にオススメ。


「人造人間キカイダー」第41話 (1973年放映分)

最終回から3話目くらいの話。タイトルを書くと本作のネタバレになりそうなので、あえて表記しません。本作とおんなじシーンがあります。キカイダーファンにはたまらないエピソード。ちなみに、本作の小出君の役名はジロー!おお、不思議な暗号ではありませんか!電流火花が体を走る!




(声優の記述に誤りがありましたので、6月3日に修正いたしました。どうもすいません。)



AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
2008-05-30

4ヶ月、3週と2日

テーマ:洋画

リアル。 ひたすらリアルです。 …固唾を飲んで見守るしかなかった。


監督・脚本は、クリスティアン・ムンジウ。これは何と、ルーマニア映画。2007年カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した作品です。


出演は、アナマリカ・マリンカ、ローラ・ヴァシリウ、ヴラド・イヴァノフ、アレクサンドル・ポトチェアン、ルミニツァ・ゲオルジウ、アディ・カラウレアヌ。…はい、舌が血だらけです。


さて、映画ですが、強烈な作品でした。この映画、男は口をはさむ余地がありません。抑圧された過酷な状況において、生き抜く力という点で考えると、男性より女性の方がずっと能力が上であると実感せざるを得ない。


世界の三大映画祭といえば、ベルリン、ベネチア、カンヌ。それぞれに特色があるもんですが、その中でもカンヌ映画祭に出品される映画は、人の心を深く描いた作品である印象が強い。ちなみに、日本映画 「もがりの森」 が受賞したのはグランプリ。本作が受賞したのは、最高賞のパルムドール。女性をテーマにした映画が世界を席巻していることの証でしょう。


内容は、タイトルから想像がつくように、女性の妊娠がテーマ。望まない妊娠をした女子学生とその親友の、たった1日の壮絶なストーリー。主人公は、親友の側の女性。困っている友達のために奔走する姿を描きます。観客は、彼女たちとともに、この不条理な世界をさまようことになります。


主演のアナマリア・マリンカが素晴らしい。芯の強い、それでいてすぐに崩れそうな主人公を、渾身の演技で表現しています。この映画が初主演だそうな。現在30歳。がんばって下さい。


男である俺は、この映画をどう評価すればいいのか。妊娠という事実を告げられた時、男の反応は様々でしょう。愛の結晶と見るか、欲望の結果と見るか。体内に宿った小さな命に対して、相手がどういう反応を示すのか、その苦悩と不安は、計り知れないものがある。


ちなみに俺は、できちゃった結婚です。最近では “授かり婚” などという言葉もありますが、個人的には理想的な結婚だと思っています。結婚してから、コドモはまだか、なんて責められずにすむしね。(この話をすると長くなるので、機会があったらいずれお話しできればと思います。)


映画では、相手の男の存在は一切出てきません。当の本人にとっては、目の前のことが重要なんだし、観客としても見守るしかありません。特に女性は、明日はわが身、という感情もあるでしょうから、他人事じゃない。画面で展開される状況を、どんな気持ちで見るんでしょうか。


男と女が出会い、関係が深くなれば、当然ながら、そういうこともあり得る。これは、日本ではなく、20年前のルーマニアであることにご注目。チャウシェスク独裁政権のさなかにおいて、自由はなく、抑圧された状況において、違法行為であるとわかっていて、危険な世界に飛び込んでいく若い女性たち。そんな彼女たちに対して、偉そうに説教できる度胸は、俺にはありません。


若者は、年寄りたちが考えている以上に、たくましく生きる力を持っている。俺は、この映画を見てそう感じました。不運な境遇を嘆いてばかりいる弱虫たちより、彼女たちはずっと力強い。俺は、この映画の主人公に対して、かけてあげる言葉がありません。ただ、しっかり生きてくれと祈る他にない。


人生、がんばって報われるという単純なものじゃない。理不尽な結果であっても、そうするべきだと自分で決断した心があれば、生き抜くことはできる。つらくても、報われなくても、自分が選んだ道だから。


映画を見終わった後も、彼女たちのストーリーが続いているような気がします。観客たちのそれぞれの中で、その後の彼女たちが幸せになれるように、独自の展開を考えてあげましょう。男として、勉強させてもらいました。




【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月28日 劇場:シネウインド 20:05の回 観客:3人

1ヶ月、4週と1日ぶりにこの劇場に行きました。整理番号札持ってたのに思いっきり無視されちゃったけど、男性客だからしょうがないか。


【ワンポイント】

この映画は、できれば1人で行くことをオススメします。自分の感じ方を大切に。


【オススメ類似作品】


「サマリア」 (2004年韓国)

監督:キム・ギドク、出演:クァク・チミン、ハン・ヨルム。こちらは、女子高生の援助交際にまつわる不運がテーマ。2人の親友の関係が、本作の2人に通じる部分があります。野心的な秀作。


「ピアノ・レッスン」 (1993年オーストリア)

監督・脚本:ジェーン・カンピオン、出演:ホリー・ハンター、アンナ・パキン。女性監督ジェーン・カンピオンが描く、官能的な女性映画の決定版。口がきけない母親と、幼い娘の交流が印象的でした。カンヌでパルムドール受賞。米アカデミーで主演女優賞と助演女優賞をダブルで受賞したスゴい作品。





AD
いいね!した人  |  リブログ(0)
2008-05-29

ランボー 最後の戦場

テーマ:洋画

地獄絵図のような、死臭漂う戦場! 頭は割られ、手足が吹き飛ぶ!…食らえ、怒涛の首チョンパ!


あの人気シリーズが、20年ぶりに帰ってきた。原題は 「RAMBO」 なので、サブタイトルは日本が勝手につけたんでしょう。案の定、来日したスタローンが、『…次回作を考えている。』 なんて言ったもんだからみんな大慌て。やっぱり彼はただもんじゃないですなあ。


ちなみに第1作の原題は 「FIRSTBLOOD」 2作目は 「FIRSTBLOODⅡ」、3作目で 「RAMBOⅢ」 となります。昨年公開された 「ロッキー・ザ・ファイナル」 の原題はたしか 「ロッキー・バルボア」 だったっけ。本作もたぶん、ランボーという男そのものを表現したかったのかなと思います。


監督・脚本・主演は、われらがシルベスター・スタローン。彼に言わせると、全ての責任を俺が持つ、ということらしい。つまり、やりたい放題。…ランボーが暴走したら、誰も止められない!


その他出演は、ジュリー・ベンツ、ポール・シュルツ、マシュー・マースデン、グレアム・マクタビッシュ、レイ・ガイエゴス、ティム・カン、ジェイク・ラ・ボッツ、ケン・ハワード。ちなみにトラウトマン大佐を演じたリチャード・クレンナは2003年に亡くなっているので、本作の出演はかないませんでした。合掌。


さて、映画ですが、すげえ迫力でした。今回はミャンマーが舞台ということもあって、血なまぐさい描写がてんこ盛り。R-15指定なので、中学生以下は劇場に入れません。まあ、今どきの少年はスタローンなんて知らないだろうから、特に問題はないでしょう。ションベンくさいガキは見なくてよろしい。


それから、カップルで行くのもあまりオススメしません。そういう路線が好きな女性ならOKですが、一般のレディには刺激が強すぎるでしょう。野郎同士で行った方がきっと盛り上がると思います。


内容は、ミャンマーの奥地に物資を届けようとする宗教団体がヒドい目にあう話。現地で静かに暮らしていたランボーの制止も聞かず、能天気な連中は奥へ奥へと進んでいく…ああ、いわんこっちゃない。きゃあ、誰か助けてぇ。…ランボー、どうする?


今回は、最新兵器だの、アクロバティックなアクションといったものはほとんどありません。しかしながら、肉弾戦という視点で見ると、かなりスゴい。少ない人数で大きな戦力に立ち向かうには、現場の戦術というものがとても重要になってくる。善も悪もない。敵か味方か、死ぬか生きるか、殺すか殺されるか、一瞬の判断に全てがかかっている。


この映画は、見る人によって評価がまるで違うでしょう。やりすぎという声も聞こえてきそうですが、作った側からすると、これでもまだ手ぬるいそうです。これ以上の残酷な現実が、今もミャンマーで起こっているということを伝えるために、あえてこういうスタイルにしたらしい。だから、撮影も命がけ。体を張って撮った貴重な1本。


ストーリー自体は、ちょっと安易でもの足りない感じがしますが、総合的な内容として、スタローンの真意はちゃんと伝わることでしょう。男として、彼の行動を称えたいと思います。ちなみに、スタローンは今年で62歳。


実は、以前にもシリーズ復活の企画はあったそうな。何でも、宇宙人と戦う話だったらしい。ランボーは、ターミネターと違って生身の人間であり、自然の中に生きるキャラクターだから、それでよかったと思う。そういう企画は、デモリッションマンにやらせましょう。


本当に強い男というのは、案外もの静かだったりします。俺は強い、と自慢する男は意外と気が弱いことが多い。弱い犬ほどよく吠える。ホントに強い犬なら黙って噛み付く。


昔からよくあるパターンでは、威勢のいい若造が 『…俺と勝負しろ!』 とすごむ。プロの男は相手にしない。『…ははあん、貴様、俺が恐いんだろ!』 ところがいざ勝負すると、一瞬で終わってしまう。それがわかっているから、ギリギリまで我慢する。この “タメ” がいいんですね。高倉健の 「昭和残侠伝」 シリーズも、グッとこらえる健さんがシブいんです。


戦いは、できるだけ避けた方がいい。バカにされても、それでその場が何とかなるなら、その方がいいこともある。しかし、男にはどうしてもゆずれないものがある。守らなければならない大切なものがある。だから、戦うことを決断する時がある。やるからには、全力で戦う。その結果が虚しいとわかっていても、何も変わらないとわかっていても、行かなければならない時がある。


画面に映る、ランボーの瞳をよく見て下さい。悲しみを背負った後姿を見てあげて下さい。ランボーとともに生きた男、シルベスター・スタローンの心の叫びを、本能で体感して下さい。


生きる戦いに疲れたオヤジのみなさん。この映画は絶対に見ましょう。あなたの中にくすぶっていた感情が、きっとよみがえります。ランボーに熱狂した世代の男たちの心には、そういうものが宿っているはず。男は、戦ってナンボの生き物です。オシャレや外見でなく、中身で勝負。内面のカッコよさは、顔つきに表れるもの。


余談ですが、“強い” という文字は、虫が兜をかぶって弓をひいているように見えます。虫のようにちっぽけな存在が、勇気を出して戦おうとしているイメージで俺は覚えました。では、“弱い” という文字はどうでしょう。大きな弓を持ってジタバタしている小さい者たちのイメージです。しかし、弓は2本。ちゃんと心構えができれば、戦う体制になると思いませんか?弱い者が本気で怒ったら、すっごく強いものなんですよ。


弱い者は、本当の勇気を知っている。そこからまた、本当の強さも生まれる。“勇” という文字は、男の頭に何かが乗っていますねえ。何でしょう。…え、魔がさした?あはは、うまいこと言いますね。俺的には、チョンマゲのイメージかな。だから、ランボーでいうとバンダナになります。これこそが、彼の戦うスタイル。


戦いの時が来たら、心のバンダナを締めて、勇気の弓を構えましょう。その瞳には、ランボーの魂が宿る!いざ戦え、男たちよ!自分の誇りを守るために!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月25日 劇場:ワーナーマイカル県央 12:50の回 観客:約35人

やっぱりおっさんの1人客が多いなあ。…はい、俺もオッサンです。


【ワンポイント】

シリーズの名場面が流れるシーンあり。1つだけお宝映像だそうな。ファンは見逃すな!


【オススメ類似作品】


「ランボー」 シリーズ全部

これ以外にないでしょう。ランボーを語るには、ランボー以外にない!男はランボーから学べ!





いいね!した人  |  リブログ(0)
2008-05-24

相棒 劇場版

テーマ:邦画

男の情熱がほとばしる傑作。 熱い。ひたすら熱い。…こんな映画を見たかった!


“相棒” という言葉は、駕籠(かご)を一緒に担ぐ相手、というのが本来の意味。一般的には、“ともに仕事をする人” という意味で使われます。ちなみに、SONYのAIBOは出てきませんのでご注意。


正式タイトルは、「相棒 -劇場版- 絶対絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン」…長過ぎ。8年も続いている人気TVドラマの初映画化だそうな。そういうドラマが存在することは知ってましたが、見たことなかったので、何の予備知識もなく行っちゃいました。…そしたら、面白いのなんの。


監督は、TVシリーズからメイン監督だった和泉聖治。脚本は、シーズン4から参加した戸田山雅司。音楽は、池寄広。


出演は、水谷豊、寺脇康文、岸部一徳、高樹沙耶、鈴木砂羽、津川雅彦、木村佳乃、本仮屋ユイカ、西田敏行、平幹二郎、松下由樹、原田龍二、柏原崇、西村雅彦。チョイ役で岸谷五朗も出ています。


さて、映画ですが、腰のすわった重厚な作品に仕上がりました。何というか、刑事ドラマの真髄を見たような気がします。やるじゃん、テレビ朝日。ここ数年のフ○テレビ製作のクソつまらん映画を全部足しても、この映画がきっと勝つ!


見た直後、すごくコーフンしていたので、落ち着いてから記事を書こうと思ったんですが、未だに映画熱が冷めません。だから、今回は褒め記事中心でいきたいと思います。


この映画で注目したいのは、人の心に踏み込んだ演出をしているところです。スタイルやカッコばかり追っている軟弱な作品とは、一線を画す領域。こういう優れた物語こそが、犯罪の抑止力として効果的だと思います。


主演の水谷豊が素晴らしい。このオヤジ、最強の頭脳を持っています。見た目は普通のおっさんですが、捜査に懸ける情熱は最大級。静かに、メラメラと燃え上がる、戦う男の眼光をとくと見よ!


水谷豊といえば、俺の世代では “熱中先生” であり、“熱中刑事” でもあります。「熱中時代 刑事編」 のオープニング映像が俺は大好きでした。1回転してネコを助ける場面はカッコよかった。クールでやさしい男に、少年は憧れたものです。主題歌 「カリフォルニア・コネクション」 の歌声もシブかった。


“相棒” 役の寺脇康文もよかったと思う。演技自体は大したことありませんが、自分の役割をしっかり演じたと思います。彼の行動力こそが、水谷ブレインの機動力としてとても重要であるし、また、信頼し合っているからこそ、無茶な命令に無茶な行動できるんだと思う。あいつならやってくれる、あの人の言うことなら信じてやってみたい。そういう関係って、カッコいいじゃありませんか。


それから、木村佳乃にも注目したい。このブログではずっと彼女をコケにしてきましたが、今回はなかなかよろしい。彼女の演技を初めていいと思いました。衆議院議員の役柄なんですが、彼女って気品があるから、こういう役だとピシッとハマるような気がする。不敵な笑いもなかなかでした。「ジャンゴ」 も 「全然大丈夫」 もヒドかったけど、本作はOKです。ぜひとも、こういうダークな路線でがんばってみてもらいたい。


もう1人、本仮屋(もとかりや)ユイカ。彼女、やっぱり虐げられる役が映えますねえ。「deer friends」 でも不幸な少女を熱演して主演の北川景子を圧倒していましたが、今回もイケてます。美少女の笑顔よりも、泣き顔の方に惹かれるもんで。


いたいけな不幸少女といえば、他にも 「L」 の福田真由子、「カナリア」 の谷村美月がよろしい。それから 「赤い文化住宅の初子」 の東亜優。「水霊」 のなっちゃんは、演技力不足でちょっとイマイチだったけどカワイイから許す。それから、忘れちゃ行けない 「SAYURI」 の大後寿々花。みんな、一番美しい姿をスクリーンに残せてよかったね。


西田敏行と、水谷豊に共通するものは何でしょう?ヒントは 「西遊記」 と 「傷だらけの天使」。はい、もうわかりましたね。2人とも 『…兄きい!』 っていうキャラなんですねえ。本編と関係ないけど、この組み合わせは笑えますよ。


映画の内容については、ネタバレの危険性もあるので割愛します。まあ、タイトルでわかりそうなもんですが。でも、面白い映画であることは間違いない。ドラマを見ていなくてもこんなに面白かったんだから、ドラマのファンは絶対行くべきでしょう。劇場の大画面で、スリリングな男の戦いを堪能して下さい。


最近は、理由なき殺人だとか、精神異常者の犯行とか、一般の人とは関係ないところに犯人像を当てはめようとする傾向を感じますが、誰でも、犯罪者になる可能性は秘めている。平静なら考えつかないようなことでも、追いつめられたら実行してしまうかもしれない。人の心って、けっこう危ういものなんです。


犯人がなぜこういうことをするのか。どうしてこんな手段を使うのか。その根底にあるものは何か。刑事は考えます。相手はモンスターではない。1人の人間である、という信念を持って。プロファイリングの根底にあるものって、こういう姿勢じゃないのかな。


彼の思考能力の高さは、画面で見ていて気持ちがいい。考えている表情というのは、独特のものがある。そういう “頭脳のアクション” を感じ取ってもらえたら、面白さも倍増しますよ。


かつて 「太陽にほえろ!」 「Gメン’75」 「特捜最前線」 にハマッていた世代の人にもオススメしたい。世の中、ヒドいことばかりのようでも、熱い血の通った人間は、確実にいる。こういう質の高いドラマが作られ、そして多くの人たちの支持を得ていることが、何よりの証拠です。最後に人を救うのは、熱い情熱なんです。


俺はこの映画を見て、警察ってやっぱりカッコいいと素直に思いました。人々を守るためにがんばる男たちの姿は、とても力強い。このドラマを見て、警察官になりたいと思う人が出てくれるとうれしいな。仕事をする男には、やっぱりロマンが必要なんですよ、絶対。


マスコミのみなさんも、警察の悪いところだけ探すんじゃなくて、カッコいい部分もしっかり報道して下さいな。個人的にはこれ以上、警察に雑用を増やさないで欲しい。警察が弱体化して困るのは国民の方なんだから。警察力を強化する方向に協力すべきだと思う。有能な人がしっかりがんばれるように。


このドラマ、もともとは 「土曜ワイド劇場」 で3回放映された後にTVシリーズ化され、現在は第6シーズンだそうな。すごい人気ですね。この映画を見ただけでも、ドラマがいかに面白いか想像できます。細かい点で疑問はありますが、それらを差し引いてもありあまる魅力が、この映画にはあると思う。


相棒って、いい言葉ですね。日本語には、カッコいい表現がいっぱいあります。この映画、大ヒット中だそうで。いいことです。予算と有名タレントばかりに力を使っていくら儲かっても、中身がスカスカでは、名作とは言えない。物語の面白さで人を呼んでこそ、本当の価値がある。演じる人も、作る人も、そういう映画に参加したいと思っているはず。そして、誰よりもそれを望んでいるのは、我々観客なんです。本当にいいものなら、お金を払って見たいって思う。


若い世代のみなさんにとって、カッコいいオヤジってどんなタイプなんでしょう?好みは色々あるでしょうが、この人について行きたいって思えるような人間像ってやっぱりあるでしょ。でも、なかなか現実にはいない。だからこそ、自分がそういう大人になることをめざして、がんばって欲しいんですね。


俺は、本作の水谷豊のようなオヤジに憧れます。彼のような人のもとで働けたら幸せだと思う。でも残念ながら、それはかなわない。だって、彼の相棒になれるのは、寺脇君しかいないから。この2人だからこそ、力が最大限に発揮できる。そういう生涯の相棒に出会えた人は、きっと幸せだと思いますよ。


“正義” という言葉は、もう死語に近いのかもしれない。だけど、失っちゃいけない大切なもの。この映画のヒットが何を意味するのか。楽しんだ後に考えて欲しいと思うんです。仕事は、誇りを持って行うべし。そして、志を同じくする仲間を大切にすべし。この2人の俳優をはじめ、製作スタッフ全員、いい仕事をしたと思う。映画ファンとして、惜しみない拍手を送ります。





【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月19日 劇場:ワーナーマイカル県央 20:55の回 観客:2人

俺と、どっかの兄ちゃんだけでした。…これもある意味、相棒?


【エンドクレジット】

ジグザク気取った都会のビル群を映しながら、勇壮な音楽が流れます。男の魂の輝きの余韻をかみしめながら、劇場を後にしましょう。


【オススメ類似作品】


「野良犬」 (1949年新東宝)

監督・脚本:黒澤明、出演:三船敏郎、志村喬。内容は全く違いますが、おっさんと若い刑事がコンビを組む映画として最初に浮かぶのは、やっぱりコレです。モノクロ映像が、ギラギラした暑さを際立たせる印象が強かった。盗まれた拳銃を追う、若きミフネ刑事が素晴らしい。夏の夕暮れ時に、冷房を付けずにご覧下さい。


「砂の器」 (1974年松竹)

監督:野村芳太郎、原作:松本清張、出演:丹波哲郎、森田健作。これもまた、日本を代表する刑事映画の傑作のひとつ。おっさんと若い刑事のコンビが、難事件をスリリングに解決していきます。後半の、詩情あふれる場面は、見る者の心を揺さぶります。人間はかくも悲しい生き物であり、そして限りなく美しい。


「絆」 (1998年東宝)

監督:根岸吉太郎、原作:白川道、出演:役所広司、渡辺謙。犯人の人間性に焦点を当てて捜査するスタイルは、本作に通じています。シンプルな構成で、ジワジワと追い詰めていくプロセスが面白い。でも、この犯人、同情しちゃうんだよなあ。


「太陽にほえろ!」 TVシリーズ第1話

これはオマケで紹介。ウチの兄貴の情報によると、最初の犯人は水谷豊だったそうな。なるほど、マカロニとの出会いは、そのまま「傷だらけの天使」 に受け継がれるわけですね。つーか、俺も見てえ!見たかもしんないけど忘れた!ビデオ貸してくれ、アニキ!




いいね!した人  |  リブログ(0)
2008-05-17

映画コラム その19 「映画をけなす、ということ」

テーマ:映画コラム

ここらへんで、ちょっと一息入れましょう。 「その15」 の時の記事と重複しますが、やっぱりもう一言。


色んなタイプの人がいるように、映画にも好みが色々あるもんです。“面白い映画とは何か” についてはすでに書きましたが、今回は、“つまらない映画” のお話。


好きな映画だったり、感動した映画であれば、これ面白いし感動するよ、って人に言えますよね。だけど、つまんなかったらどうする?これ、つまんないから見ない方がいいよ、とはなかなか言えないもんでしょう。せっかく相手が楽しみにしているんだったら、なおさらのこと。


確か、デーモン小暮さんのブログで、『…プロが一生懸命やった仕事を、簡単にけなすもんじゃない。』 というお叱りの言葉がありました。なるほど、その通りだと思います。だから、俺は簡単にけなしません。丁寧にけなします。


けなす、というのは、ある意味褒めることより難しい部分がある。つっこんだ言い方をすれば、紙一重なんです。一般的にはけなし言葉でも、使い方次第で褒め言葉になることもある。要は、センスだと思うんですよ。評価、批評、批判、否定、中傷、攻撃…まあ、いろいろとありますが、けなす、というのが俺の場合一番しっくりくる言葉。だから、バカにするという意味じゃないんです。


大作をけなすのには、覚悟がいる。特にプロの評論家はそうでしょう。金もらって書いてるんだから、相手の利益を考えるのは当たり前。その辺、アマチュアのブロガーは気楽に書けていい。だけど、自分の文章が世に出るということの責任は感じます。俺が書くようなショボい文章でも、ちゃんと読んで下さる読者の皆様がいるんだから。


言葉を正しく理解してもらうためには、それを発する者の人格、つまりキャラクターを理解してもらう必要があります。つまり、こいつが言うんだから、こういうことだろう、っていうこと。これは、聞く側の心構えでもあります。


言葉というのは、言う側と聞く側の組み合わせによって、伝わり方が千差万別。愛の言葉でも、汚らわしいオヤジが言うのと、あこがれのあの人が言うのとでは違うでしょ。セクハラだって、何を言われるかよりも、誰に言われるかの方が重要だもんね。


映画ブロガーって、何でも言い放題みたいな存在だけど、俺は何だか、そういうのイヤなんです。何でもけなせばいいってもんじゃない。薄っぺらでテキトーな言葉なんて、すぐに見抜かれてしまう。書いててうんざりするような文章は、読んでる方もうんざりするもの。


ネタバレDVD探検隊の記事を読めばわかると思いますが、どんなショボい映画の記事も、俺は本気で書きます。大作であろうが、B級作品であろうが、差別はなし。高級料理でなくても、おいしいものはやっぱりおいしいから。ということは、まずいものやっぱりはまずい、ってこと。


例えば、こんな話を聞いたとします。 『…この映画、つまんないんだって。』 そこで俺はこう聞き返します。 『…それ、誰が言ってたの?』 その人が俺の知っている人だったら、『…なるほど、あいつがそう言うんなら、こういう映画か。』 …ここが重要ポイント。俺の場合、誰がどういう感じ方をするのかに興味があるんです。だから、お行儀のよい優等生の意見よりも、根拠のある批判を聞きたい。


『…みんながつまんないって言ってたよ。』 なんて言われちゃうと、俄然見たくなったりする。一般受けしない内容なら、絶対見る価値があると思うから。シネ・ウインドの新年会に参加した時に、「恋空」 がヒドかったという話を聞いて、何だか無性に見たくなったのは記憶に新しい。スナックBのAママにも、早く見ろって言われてたっけなあ。


そういうわけなので、俺が書く言葉はあくまでも、俺が感じた世界の話。見る人によって感じ方が違うのは百も承知。俺はたまたまこう感じたけど、これを読むあなたは、180度違う感想かもしれない。それでいい。それが当たり前。むしろ、そうでなくちゃおかしい。感じ方に間違いや正解はない。食べ方は色々あっていい。生でも煮ても焼いても、その人にとって心の栄養になればそれでいい。


俺が一番恐れるのは、記事を鵜呑みにされること。まあ、ほとんど誰も知らないブログなので、社会的影響力はゼロに近いですが、それでも責任の一端はある。そこで賢明な読者の皆様には、『…桑畑がこう言うんだから、きっとこんな映画だろう。』 くらいに思っていただきたい。それでこそ、プロの読者。


映画をけなす。これは、勇気のいること。だけど、自分を偽って褒め記事ばかり書く方がよっぽど不健全。反対にけなしてばっかりなのも、ただのひねくれ者。どんないい映画にも悪い部分はあるし、どんなヒドい映画にも1つくらいはいい部分があるもの。そういうものを全部ひっくるめて、最適の言葉で書き残しておきたい。


長々と愚痴ってしまいましたが、理解してもらえたでしょうか。世の中、面白い映画(ごちそう)ばっかりじゃない。普段つまらない映画(粗食)をいっぱい味わっているからこそ、オイシイ映画のありがたみがわかるってもんでしょう。だからこそ、つまらない映画に対しては、誠意を持って丁寧にけなしたい。これこそが映画熱のプライドであり、誇りなんです。





いいね!した人  |  リブログ(0)
2008-05-16

ミスト

テーマ:洋画

真っ暗闇と、白い闇と、心の闇。 …さあ、一番恐いのはどれ?


“ミスト” とはミスター・ドーナッツの略…ってそれはミスドだろ!もとい、“mist” とは “霧” という意味。原作は、スティーブン・キングの同名ホラー小説。製作・監督・脚本は、フランク・ダラボン。 …ボンボン、ダラボン、ダラボンボン!はい、もう監督の名前、覚えましたね。


出演は、トーマス・ジェーン、ローリー・ホールデン、ネイサン・ギャンブル、マーシャ・ゲイ・ハーデン、アンドレ・ブラウアー、トビー・ジョーンズ、ウィリアム・サドラー、アレクサ・ダヴァロス。


さて、映画ですが、なかなかの秀作でした。“スティーブン・キング原作” というだけで萎えてしまう今日この頃、全く期待していなかっただけに、当たりくじを引いた気分です。これは劇場で見て正解ですね。


田舎の小さな町に、デカい霧が発生。どうも、普通の自然現象じゃないみたい。濃すぎて視界がきかないので、スーパーマーケットからみんな出られなくなってしまう。そこへ血だらけのじいさんが登場。 『…大変じゃあ、霧の中に何かがいる!』 どひゃあ、閉じ込められた人たちの運命は?


本作には、様々なクリーチャーが登場します。具体的には言えませんが、ヌルヌル・グチョグチョ・カサカサ・ザワザワ・シュルシュル…といった感じ。虫系がキライなおねーちゃんをぜひ連れて行こう。きっと盛り上がるぞ!


主役は、正義感あふれる男。息子と2人で来ていたので、父親としての面子も懸かっている。絶対絶命の状況で、いかに行動するか。あくまでも普通の男なので、超人的な活躍は期待できそうもないが…。


集団心理では、必ず “役割” というものが自然発生するもの。リーダーを買って出る者、サポート役になる者、作戦を考える者、文句ばかり言う者…といった具合。こういう状況では誰もが不安だから、魅力的な方向になびくんでしょうねえ。


人は誰でも、基本的には誠実でありたいと思っている。正しく生きることを心掛けてるし、困った人を助けるべきだと思っている。だがそれは、心に余裕があればこそ。異常な状況におかれてしまった時、どこまで理性を保つことができるのか?


この映画の面白いところは、感情移入のポイントが移動するところだと思います。こいつが正しい、いやまてよ、あいつの方がいいじゃん、あ、でもダメだ、こっちの方が…うーむ、という感じ。人間って、結構テキトーなんだよなあ。だから、人のいう事ばかり聞いていると、精神が破綻しちゃう。


つまり、どうすべきかなんて、そういう状況になってみなけりゃわからんということ。善と悪なんて、結果論でしかない。自分なりに最善を尽くそうとした結果だと考えれば、誰を憎むこともできない。自分だったらどうするか。将来、災害に巻き込まれたら、この映画を思い出そう。


霧といえば、「カサブランカ」 や 「夜霧の今夜も有難う」 など、ロマンチックな題材に使用されるイメージが強いですが、問題は濃度。うっすらぼんやり程度なら情緒もありそうなもんですが、密度が濃いと、けっこう恐いものです。


暗闇にしても、都会の夜と田舎の夜の暗さは全然違うでしょ。ホントに真っ暗だと、人間は不安になるもんです。白い闇も同様。新潟の冬なんかでは、吹雪いて視界がきかなくなる “ホワイトアウト” という現象が起きます。自分がどこにいるのかわからない。どこへ向かっているのかもわからない。これって、すっごく恐いことなんです。もし、車を運転している時にこんな目にあったら…。さあ、どうする?


まあ、骨組みはそんなところですが、細かく見れば、ツッコミどころは満載。おいおいって思う場面も豊富です。そういう部分も楽しみながら、怪物たちと戯れましょう。言ってみれば、人間だって立派な怪物だ。次第に狂っていく登場人物と共に、観客も次第に判断力が疲労してくる…。さあ、どうする?


冷静によく考えれば何てことないことでも、異常な状況においては判断力が鈍ってしまうもの。そういう疑似体験を味わう意味でも、この映画を見る価値はあります。げに恐ろしきは、人の心。頭ではわかっていても、心がともなわなければ、行動は微妙にズレてしまう。そこに、恐怖が拍車をかける!


本作は、マニアックな映画です。だから決してファミリー向けではないと思う。そういう意味では、R15指定は正しいのかも。安っぽいヒロイズムはありません。どうしたらいいかは、自分で考える。ガキ共は見なくていい。 …どうしても見るというなら、それなりの覚悟をしろ。


本当の怪物は何か。正義とは何か。判断力とは何か。強さとは何か。 …闇の中にこそ、答えはある。




【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月14日 劇場:T-JOY新潟 21:30の回 観客:約15人

雨が降ってどんよりしていて、ミスト日和の夜でした。


【エンドクレジット】

普通に終わります。すぐに帰っても大丈夫。


【オススメ類似作品】


「サイレント・ヒル」 (2006年アメリカ)

監督:クリストフ・ガンズ、出演:ラダ・ミッチェル。原作は日本のゲームです。本作は父親と息子ですが、こちらは母親と娘。謎の街、サイレント・ヒルで娘が失踪。宗教がかった場面なんかもあって、本作と共通点も多い。超常現象なんのその、かあちゃんパワーで取り戻せ!


「ショーシャンクの空に」 (1994年アメリカ)

監督・脚本:フランク・ダラボン、原作:スティーブン・キング、出演:ティム・ロビンス。ホラーではありません。真面目な人間ドラマです。無実の罪で刑務所に入れられた男が、自由を求めて奮闘する物語。閉じ込められた人間ががんばる設定は、本作と共通しています。一般的には知名度は低いが、映画通には有名な男、ティムの知性あふれる演技にご注目。


「グリーンマイル」 (1999年アメリカ)

監督・脚本:フランク・ダラボン、原作:スティーブン・キング、出演:トム・ハンクス。囚人である黒人の超能力者にチンコをさわられた看守が、幸せになる物語。名優トムの恍惚の表情にご注目。死ぬほど笑いました。あ、そういえばこの男も無実の罪だったっけ。チンコさわって許してもらえるといいね。




いいね!した人  |  リブログ(0)
2008-05-13

隠し砦の三悪人

テーマ:邦画

ユルい・ショボい・つまらないの三悪が凝縮されたハリボテ映画。 …見に行った事実を隠したくなった。


元ネタはもちろん、黒澤明監督の同名映画。「スター・ウォーズ」 も入れれば2度目のリメイクということになります。しかしサブタイトルに 「ザ・ラストプリンセス」 はねえだろ。ディズニーじゃあるまいし。


監督は、「ローレライ」 「日本沈没」 でトンデモ映画の第一人者になった樋口真嗣。新しい映画を作る度に、たんだん観客が置いていかれそうで、何だか心配です。


出演は、松本潤、長澤まさみ、阿部寛、椎名桔平、宮川大輔。脇役で大物俳優もチラホラ。ナレーターは、あの大塚明夫。


さて、映画ですが、金返せと言わんばかりのシロモノでした。せっかくの大作がボロボロ。見るも無残、語れば悲惨、不平不満大爆発。どうしてこんなことになったんだろう?


主役の松本潤は、何で猿の惑星メイクなんだろう?ははあ、さてはチャールトン・ヘストンを追悼しての試みでしょうか。宮川大輔に至っては、土人です。この2人が凸凹コンビというわけですか。魅力ありませんなあ。


松本潤といえば、「僕は妹に恋をする」 でイケメンの兄を演じた男ですが、残念ながら妹の方が背が高くて貫禄ゼロだった苦い経験がありました。その彼が本作に出ると聞いて、さてはR2D2?と思ったんですが、何とC3POの方だそうで…ダメじゃん。R2を演じたら少しは見直したんだけどなあ。もしかして彼、身長コンプレックスなんですかねえ。


まあ、2人とも演技力はゼロに近いので、全く気になりませんでした。もともと期待してなかったし。せめて掛け合いが面白いかなあと思ったんですが、最後まで全くかみ合っていませんでした。やっぱり、アイドルのオーラを出しちゃったら、お笑い芸人は立場がないってもんでしょう。


どうやら阿部寛がミフネ役らしい。弱そうだなあ。「大帝の剣」 とおんなじキャラじゃん。馬に乗ったアクションだけはがんばったと思うけど、後はからっきし。彼が何を演じても、魅力を感じないのでコメントのしようがありません。


敵役の椎名桔平はいい役者だけど、メイクの傷がわざとらしかった。何か被っているみたいでカッコ悪いですね。傷の形もマヌケ過ぎると思う。もうちょい、どうにかならんか。いくらいい演技しても、ダサダサのメイクで苦笑の連続でした。ああ、迷惑なメイク。


唯一よかったのは、長澤まさみ。彼女、やっぱり魔性の女ですね。こんなダサい役なのに、かなり本気モードで演じています。アホみたいなセリフでも彼女が言うと、何だか違って聞こえる。すごい。あんた、やっぱり実力あるよ、きっと。このキャラから想像すると、クライマックスではこんな展開が…なんて勝手に想像しちゃいました。


映画は最後までクソつまらんかったけど、妖怪ナガサワが何かやってくれるんじゃないかってワクワクしただけでも、かなり気がまぎれたと思う。ナガサワちゃんに救われたなあ。彼女はエライです。貧弱な屋台骨を1人で支えてくれました。まるで 「ウルトラヴァイオレット」 のミラ・ジョヴォヴィッチみたいですね!


黒澤監督のオリジナルももちろん見ています(レンタルビデオですよ、まだ生まれてませんから)が、俺的にはそれほど面白い映画じゃない。だから、イメージがどうのこうの言うつもりはありません。本作で唯一評価できるのが、雪姫のニラミ。当時は新人女優の上原美佐でしたが、彼女の押し黙ったニラミの表情がすごかったことをよく覚えています。だから、ナガサワちゃんのニラミはなかなかよろしいと思います。


オリジナルのラストは、凸凹コンビの味のある掛け合いが微笑ましくて、ほのぼのした余韻だったように思う。でも、本作はダメですね。部活の練習が終わったみたいな、そっけない終わり方でした。 …あ~あ。


そんなワケで、あんまり書くことがありません。同じコケるならもっと笑えるコケ方をして欲しかった。これじゃ、ワースト候補としてもショボい。「ミッドナイト・イーグル」 や 「紀元前1万年」 を少しは見習え!


サルメイク松本よりも、「猿の惑星」 のコーネリアス少年の方がイケメンだと思う。ティム・バートン版 「猿の惑星」 では、マーク・ウォルバーグがノーメイクで主演していたけど違和感なかったぞ。どうせ猿をやるならオダユウジか、ナイナイオカムラか、クボタトシノブを起用したらいいじゃん。


猿といえば豊臣秀吉。きっとそういう展開なんじゃないかって勝手に思ったけど、全然関係ありませんでした。ただ微妙に毛深い男というだけのことなんですね。これじゃあ、腐女子には嫌われるねえ。「仮面ライダーキバ」 の第1話で、主人公の入浴シーンのスネ毛露出で、日本中がドン引きしたのは記憶に新しい。さては、次に人気が出るのは、毛深いキャラという先見性のアピールか。…それって、モジャメン?


この映画を見た後、無性にヒゲが剃りたくなりました。 …ああ、うぜえ!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月12日 劇場:ワーナーマイカル県央 21:00の回 観客:約6人

仕事がギリギリだったので、作業服のまんま行っちゃいまいた。客少なくて助かったなあ。


【エンドクレジット】

ワンショット映像が延々と続きますが、そのまんま終わります。だから、急いでいる人はすぐ帰っても大丈夫ですよ。


【オススメ類似作品】


「戦国自衛隊1549」 (2005年戦国自衛隊1549製作委員会)

監督:手塚昌明、原作:福井晴敏、出演:江口洋介。同じリメイクするなら、このくらいバカ映画に徹してくれた方がスッキリする。エロもグロもありませんが、ひたすらアホで笑えます。これならまだ、許せる範囲かと。


「ルパン」 (2004年フランス・イギリス・スペイン・イタリア)

監督:ジャン・ポール・サロメ、原作:モーリス・ルブラン、出演:ロマン・デュリス。毛深い男がお好きな方はこちらをオススメします。まさに、胸毛祭り映画。上半身ハダカで格闘するシーンあり。モジャメン達があなたを誘います…おえーっぷ!


「007 ドクター・ノオ」 (1962年イギリス)

監督:テレンス・ヤング、原作:イアン・フレミング、出演:ショーン・コネリー。胸毛愛好家の中でも上級者向けです。中盤、ジェームズ・ボンドの胸毛を這う毒グモにご注目!


「そのときは彼によろしく」 (2007年)

主演:長澤まさみ。これは、俺的にはホラー映画。眠っている彼女が目を覚ますと、誰かが死んでしまう!妖怪ナガサワがかなりイケてます。悪のオーラが素晴らしい!行け行けナガサワ、ヘタレの精気を吸い尽くせ!




いいね!した人  |  リブログ(0)
2008-05-10

ノーカントリー

テーマ:洋画

殺し方も恐いけど、このおっさんのキャラがコワイ。 …ゾクゾクするくらい、アブない映画。


話題の映画が、ようやく新潟でも公開。原題は 「NO COUNTRY FOR OLD MEN」。意味は何だろう?“年寄りには故郷がない” でしょうか?あいにくパンフが売り切れで、資料が乏しいのでよくわかりません。まあ、年寄りにとって、居心地のよくない世の中ですもんね。なるほど、心の安らぐ場所がない、ということでしょうか。


監督・脚本は、コーエン兄弟。公園で遊んでる兄弟じゃないですよ。ジョエル・コーエンとイーサン・コーエンのコンビです。その道では有名なマニアックな御二方の、気合いの一発。


出演は、トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン、ウッディ・ハレルソン、ケリー・マクドナルド。登場人物は少なめです。


さて、映画ですが、かなり強烈。はっきり言って、手強い映画です。ありきたりのアクションとは一味違います。ずっと見ていると、だんだん自分が殺し屋になったような気分に…おお、これはヤバイ。見に行く人は、それなりの覚悟をして下さい。


中年のヒゲ男が砂漠で狩りをしている時に、ついさっき撃ち合いがあったかのような殺人現場を発見。死体の周りを物色していると、すごい大金が。これはしめしめと、ネコババするヒゲ男。しかし当然ながらそれは、かなりヤバい金だった。追っ手が来る来る。逃げる逃げる。うわ、見つかった、襲われる。ちくしょう、反撃してやる…。だが、相手が悪かった。最強の殺し屋が、ジワジワと追いつめていく。


ストーリー自体はいたってシンプルで、途中から始まって途中で終わるような構成。だから、お約束みたいな妥協はほとんどありません。ヒーロー的な要素も、ロマンスもなし。お行儀のいいご婦人や、スッキリした終わり方じゃないとイヤだという人はちょっと遠慮した方がいいかも。ダークな世界が好きな人にはオススメします。


主演のトミー・リー・ジョーンズは、くたびれた老いぼれ保安官。主役としてはちょっと頼りない。というか、あまり仕事をしたくないみたい。すでにかなり疲れ切っています。色んな事をずっとと我慢してきて、もう限界という顔です。彼の存在そのものが、タイトルの意味を表しているような気がします。


今の物騒な世の中を嘆いている人は多い。年配の人なら、愚痴のひとつも言いたくなるでしょう。それでも、この世で生きていくしかない。悲しいまなざしのジョーンズ保安官を通して、観客は何を見るのか。


ヒゲ男を演じたジョシュ・ブローリンは、ロクデナシのコソ泥ではあるけれど、根っからの悪人じゃない。かといって、善人でもない。他に俳優がいっぱい出ていれば、イヤな男というポジションなんだろうけど、この映画、ロクな奴が出てこない。だからこんなおっさんでも、仕方なく応援しないといけないような、妙な気分になるから不思議。俺的にはこのおっさん、なかなか面白いと思います。


というわけで、本作でダントツに存在感があるのは、殺し屋を演じたハビエル・バルデムでしょう。このおっさん、かなりイカレてます。この異常なギョロ目は殺気に満ちている。そしてこのヘアスタイル!絶対この人オカシイ。間違いなく人生が狂ってます。それでいて、物腰はソフト。でも、言葉遣いはハードボイルド。ああ、何て不気味なんだろう。このおっさんに睨まれた瞬間に…もう命はない!


2年ほど前に、娘が頭蓋骨骨折で入院した記事を書きましたが、その時のセンセイのギョロっとした目は、きっとこんな感じだったのかもしれない。恐かったろうなあ、ムスメ。


さすがに殺し屋を主役にするわけにはいかないんでしょうが、俺的には彼が主役だと思います。初めて見る俳優なので、何の先入観もなく楽しめました。まさに、驚嘆に値する怪演。この男の異常な目は、一度見たら忘れられないでしょう。ホントに人を殺しそうな目をしているんですよ。


彼の武器は、何とガスボンベ。圧縮ガスで、一瞬で撃ち抜く。これって、「いのちの食べかた」 で牛を殺した道具でしょうか?牛が一瞬で死ぬんだから、人間なんてひとたまりもないなあ。どうでもいいけど、ずいぶんかさばる武器だなあ。何だかすぐに足がつきそうですけど。きっと、捜査がユルいからつかまらないんですね。


殺し屋を扱った映画はいくらでもある。しかし、内面の苦悩やら、人間性を全く表現しない映画は珍しい。ただひたすら、殺していく。淡々と、確実に仕事をしていく。そこには 「レオン」 のようなあたたかみはない。そこがシブい。これこそがハードボイルド。しかし微妙ながら、感情を表す場面もあり。はたして彼の人間性を感じとることができるか。どんな人生を生きてきたのか、じっくり考えてみたい。


人は、“得体の知れないもの” を恐がる。正体不明というのは、人を不安にさせる。それが、自分に危害を加えるかもしれない可能性があると、それは次第に “恐怖” になっていく。だから、“正体不明の悪意” が一番恐い。だから、殺人犯に何か異常性を見つけて、自分たちとは違うと思いたい。


本作の恐いところは、見ている側の心理状態にあると思います。自分は、どちら側の人間か。果たしていつまでもこちら側にいられるか、それとも、あちら側の人間になる危険性をはらんでいるか。条件さえ整えば、誰でも悪人になる可能性はある。悪人本人にとっては、それが “善行” という認識かもしれないんだから。


個人的には、ブラックジョークとして楽しめました。殺人自体は罪だけど、殺人を題材にした映画の効能は計り知れないものがある。抑止力にだってなるんだから。この映画がヒットするだけで恐がる人もいるでしょうが、それは短絡的な発想。殺人というテーマに一歩踏み込んだところで考えなきゃ、答えなんか出てこない。


ですから、本作を見る時は、正気を保てるように心構えをしっかりとして臨んで下さい。後から効いてくる部分もありますので、くれぐれもご注意を。玄人好みの、歯ごたえのある映画です。


特筆すべきは、本作には音楽がほとんど使われないということ。俺の記憶では、エンディングでやっと流れたように思いますが、よくわかりません。見に行った人は確認してみて下さい。音楽がない映画というと、「家族ゲーム」 がありましたね。微妙な静けさと、絶妙な間が、緊張感をあおる。これは、かなり高度なテクニックなのかも。


じいさんから見れば、オヤジ世代は若者と同じでしょう。だからこの映画は、ストレスのたまった団塊世代の人たちにウケるんじゃないかって思う。これからは年寄りの犯罪も増えるだろうから、予備軍のみなさんは、この映画を見て思いとどまっていただきたいと思います。殺し屋やるのって、結構しんどそうですよ。


次の瞬間、誰が殺されるかわからない。一寸先は闇の世の中。平安という均衡は、いつ破られるかわからない。明日も生きられるという保証なんかどこにもない。だからこそ、今を精一杯生きなきゃって思います。


これからしばらく、プシューという音にやたらと反応しそう。呼び鈴が鳴り、玄関を開けようとした時に、もしこの音が聞こえたら…危ない、早くドアから離れろ!


この映画の教訓は、やっぱり拾った金はちゃんと届けた方がいい、ということでしょうか。ネコババしようなんて悪いこと考えると…バルデムおやじが襲って来るぞ! 『…悪い子はいねえか~?』 おお、バルデムナマハゲ!秋田のみなさん、今年はひとつコレでいきましょう!




【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月6日 劇場:T-JOY新潟 16:35の回 観客:約15人

「チェスト!」 と続けて見たんですが、こっちの方は消化に時間がかかりました。カレーでいうなら、あっちはファミレスのカレー。こっちは一晩じっくり煮込んだ本格カレー。


【エンドクレジット】

普通に終わりますが、できればしばらく座席に座って余韻に浸りたいところ。ようやくかかった音楽を聴きながら、最後のセリフの意味をかみしめてみましょう。そして場内が明るくなるころには、現実に戻りましょう。


【オススメ類似作品】


「ジャッカルの日」 (1973年アメリカ)

監督:フレッド・ジンネマン、原作:フレデリック・フォーサイス、出演:エドワード・フォックス。フランス大統領暗殺計画を企む殺し屋の物語。黙々と準備するプロセスが、プロの仕事の雰囲気バツグンでした。試し撃ちの場面で、スイカが砕け散る瞬間はゾクゾクしました。ちなみにリチャード・ギア版の 「ジャッカル」 はヘタレ映画なのでダメです。類似品にご注意下さい。


「ワイルドバンチ」 (1969年アメリカ)

監督・脚本:サム・ペキンパー、出演:ウィリアム・ホールデン。おっさんが撃ちあうカッコいい映画といえばやっぱりコレでしょう。スローモーションを多用したペキンパースタイルは、ジョン・ウー監督も影響を受けています。この映画が作られた年代を考えても、すぐれた作品であることがわかります。当時、俺はまだ2歳!


「野獣死すべし」 (1980年角川)

監督:村川透、原作:大藪春彦、出演:松田優作。日本を代表するハードボイルド映画の傑作。優作アニキが、とっても恐い男を熱演。この目は、やっぱり人を殺す目だと思う。バルデムおやじに対抗できるのは、彼以外にいない!バルデム、リップバン・ウィンクルの話をしようか。



いいね!した人  |  リブログ(0)
2008-05-06

チェスト!

テーマ:邦画

内容はともかく、この映画を作った功績を評価しましょう。 …みんなでがんばった思い出を大切に。


文部科学省選定の、お行儀のよい映画です。タイトルの意味は、気合いを入れる時の掛け声だそうな。鹿児島の方言が語源らしいという説もあり、歴史ファンの間では、幕末の薩摩人を示す場合もあるらしい。(はてなダイアリーの記述より)


“chest” という単語自体は “胸” あるいは “頑丈な箱” という意味がありますが、連語などでは心理的な表現に使われることも多いようです。(アドバンストフェイバリット英和辞典より)


監督は、雑賀俊郎。原作・脚本は、登坂恵里香。角川基金が主催する 「日本映画エンジェル大賞」 を受賞した企画だそうな。いわゆる鹿児島の “ご当地ムービー” と解釈してよろしいかと。


出演は、高橋賢人、御厨響一、中嶋和也、宮崎香蓮、松下奈緒、高嶋政宏、大坪千夏、羽田美智子、榎木孝明。大人は脇役、子供が主役ですね。


さて、映画ですが、理想と願望が入り混じった、お行儀のよい仕上がりとなりました。PTA製作の運動会ドキュメントビデオって感じ。個人的には、展開が都合よすぎてちょっと違和感がありますが、子供映画だし、まあヤボなことは言わないでおきましょう。いじめ、体罰、体と心の病気、モンスターペアレンツなど、教育現場における諸問題が次々と登場。…ちょっと盛り込み過ぎじゃねえか?


内容は、鹿児島で毎年行われている、4.2キロの遠泳大会の物語。主人公は、小学6年生のカナヅチ少年。これだけでもう、どういう映画かわかっちゃいますねえ。


今年こそは、と思いながらも恥ずかしくて泳ぎの練習ができない。今年もダメかなと思っていると、東京から転校生がやって来た。気難しい奴だけど、どうも気になってしまう。実は彼には、人に言えない秘密があった…。


俺はてっきり、泳ぎの特訓が中心になると思っていたんですが、どうやらそうでもないみたい。あくまでも、少年たちの心の成長物語というスタイルを取っているので、練習自体はサラッとしています。だから、これを見れば泳げるようになると思ったカナヅチ少年は肩透かしを食らうかも。まあでも、やる気になれば簡単だよってことなのかな?


主役の高橋賢人は、フツーでちょうどいい感じ。肩に力が入ってない雰囲気が面白い。前半のギャグはスベリっぱなしだけど、めげずにチェストしてます。泣き顔の少女を見つめる視線が、何とも言えなかった。


転校生役の御厨響一は、キザな感じがよろしい。面倒くさそうに、もったいぶって行動するのがニクいですね。こういう奴は、きっと女子にモテるんでしょう。中嶋和也は、本当にカナヅチだったそうな。大変だったねえ。この映画に出てよかったじゃん。この3人が中心になって、物語が展開していきます。


主人公が心を奪われる少女を演じた宮崎香蓮は、国民的美少女コンテストの演技部門賞を受賞した女の子らしい。なるほど、表現力という点で注目したい。つらそうな表情、なかなかよかったですよ。子役のみんなは、まだ演技って感じじゃないけど、楽しんでやれたようですね。


大人側での主役は、女教師役の松下奈緒。彼女、最近出まくりですね。ピアニストでもあるので、音楽の授業は違和感なし。ただ、演技力はちょっとねえ…。美人だしスタイルもいいけど、俺的にはあんまり魅力ありません。だから、脇役をどんどんやりましょう。「砂時計」 は、夏帆ちゃんのおかげで何とかなったんだから。


主人公の両親を演じたのは、高嶋政宏と大坪千夏。オーバーアクションな演技は、子供を応援する大人の代表といったところでしょうか。元気いっぱい過ぎて、子供が引いちゃいそう。


で、俺的にはやっぱり羽田美智子。中盤、彼女が登場した瞬間から、画面の温度が急上昇。おお、今までのよどんだ空気が一気にヒートアップ!いいねえ、彼女の切ない表情、スバラシイじゃありませんか!彼女のいい演技が見られただけでも、お金を払う価値は充分にありました。ちなみに、俺より1つ年下です。うっふっふ。


物語的には、先生の指導力うんぬんという感じではないので、子供の主体性がポイントになります。登場する2人の先生は、平均的ないい先生だと思いますよ。学ぶ側がしっかりしていれば、先生が少しくらい頼りなくても教育は成立する。前に立つ大人にあわせて、子供の心は変化していく。


誰にでも、“心の器” というものがある。俺は、器を形勢するもともとの素材の体積はみんな同じだと思うんです。最初は、ただの粘土のかたまり。それが、あらゆる方向から力を受けて、色んな形に変化していく。入り口はデカいけど底が薄かったり、入り口は小さいけど奥が深かったり、細長かったり、穴がいっぱい開いていたり、くぼみすらもなかったり…。各々の経験値で形成された、個性的な形。


一番心配な形は、大きくなろうとして、いっぱい詰め込もうとして、壁が薄くモロくなってしまうこと。自分の許容範囲を超えたレベルになっているのに、まだ広げようとしている。こんな風になってしまったらもう限界。この状態で “がんばれ” なんて言われたら、たちまち崩壊して精神は破綻してしまうでしょう。痛いとすら言えない。こういう友達、近くにいませんか?


心を形成する器が、一番柔軟なのが子供の時なんです。まさに伸縮自在。今日の形も明日には変わる。今日覚えたことを忘れても、昨日できなかったことができるかもしれない。昨日仲がよかった友達も、今日には気が変わるかもしれない。子供なんてそんなもんでいいんじゃないですか。俺がそうだったから。


この映画を楽しむには、子供のそういった柔軟な思考に視点を合わせてみたらいいかと。大人目線だと、きっとイライラするかも。子供は、大人が頼りないと思えばこそ、自分がしっかりしなきゃって思うもんでしょう。ぜひ、そのナマイキパワーで立派な大人になって下さい。こういう大人にだけはなりたくない、って思うなら、自分がなりたい大人を目指せ。


子供は、面白いものやカッコいいものを見るとすぐに真似をする。それでいい。気持ちが動かなかったら、行動力は生まれない。遠泳大会で泳ぐ子供たちは、とてもカッコよかった。波に押されながらも懸命にゴールを目指す姿は、人生に重なる。チビッ子たちは、君らのそういう姿を見て学び、憧れるのだ。その瞬間、君らはヒーローになるのだ。…いよっ、チェストスイマー!


がんばり方は、人によって違う。相手の心を理解することで、心の器の形がわかってくる。その入り口にふさわしい球を、相手が取りやすいスピードで投げるのがコツ。どうやったらそれができるのか、それは、子供たちに考えてもらうことにしましょう。みなさん、おつかれさまでした。俺も、自分の人生を泳ぐチェストスイマーになりたいと思います。




【鑑賞メモ】

鑑賞日:5月6日 劇場:T-JOY新潟 14:20の回 観客:約10人

子供ばっかりかと思いましたが、大人の1人客が多かった。


【エンドクレジット】

メモリアル写真をバックに、松下奈緒の歌が流れます。姉さん、やりたい放題でんなあ。最後に、子供たちがあいさつしますので、時間の許す人は見てあげて下さい。


【オススメ類似作品】


「夜のピクニック」 (2006年ムービーアイ他)

監督:長澤雅彦。原作:恩田陸、出演:多部未華子。本作は “泳ぐ” ですが、こちらは “歩く” です。歩行祭という学校行事を舞台に、それに参加する高校生たちの心理的な駆け引きを面白おかしく描いた映画。貫地谷しほりちゃんも登場。俺的には、柄本祐がメガヒット!こういう友達が欲しい!


「弾丸ランナー」 (1996年にっかつ)

監督・脚本:SABU、出演:田口トモロヲ。さあ、こちらは “走る” です。コンビニ強盗が逃げる。店員が追う。それをまた追うヤクザ。走る、走る、走る。3人でひたすら走る。走っているうちに、色んなものが見えてくる。ひたすらバカです。だけど面白い。不思議な映画。



いいね!した人  |  リブログ(0)
1 | 2 次ページ >> ▼ /

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。