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2007-08-31

8月の言い訳

テーマ:エッセイ

【今月行かなかった映画とその理由】


「歌謡曲だよ、人生は」

タイトルも内容も予告編も、全てが “いかにも” でイヤだ。歌謡曲だけじゃ、人生つまんねえよ!


「TAXi 4」

まだやるんですか。はあ、吹替版…?思いっきりパスですね。


「ラッシュアワー3」

これはちゃんと行こうと思ってます。しばしお待ちを。


「阿波DANCE」

デカイ女が踊るなんて、余計にイヤだ。同じアホなら見なくても損はしません。


「Life 天国で君に会えたら」

いい話なんだろうけど、映画として見に行く気になれません。予告でストーリー全部バラしちゃってるし。


「キサラギ」

ユースケが出ているだけでブチこわしのような気がするのでスルーします。


「天然コケッコー」

タイトルがバカっぽくてイヤだ。ただ、それだけ。



今月見に行った映画は、全部で13本でした。今年の累計は、現在77本。


お盆まで、見に行く映画が全然なかったのに、8月後半になった途端、やたらと公開される本数が多くなってしまった。これではとても間に合いません。現在は、公開が終了しそうなものから優先的に見に行っている状況です。


今月のアクセス数は、8月8日の564アクセスが最高でした。これは、過去最高。普段は100~150くらいなので、かなり慌てました。あんまり読まれると恥ずかしいので、ほどほどにお願いします。


先月始めた歴代ランキングが、なかなか進みません。膨大なのでボーゼンとしながらせっせとやってます。何の参考にもならんでしょうが、せっかく始めたので、最後までがんばろうと思います。今年中には終わるでしょう。


最近は、アメブロがメンテナンスばかりやっているせいで、ちっとも記事が書けませんでした。おかげで今週は、更新が遅いこと。せっかく書く気になるとコレだ…なんて作家でもないくせに。


というわけで、映画は絶好調。記事はマイペース。9月もがんばります。




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2007-08-30

伝染歌

テーマ:邦画

AKB48のどの女の子よりも、松田龍平の方がキレイだった。


“伝染歌” とは、それを歌うと死んでしまうという、呪いの歌だそうな。“聞く” ではなく “歌う” というところがマヌケですね。その特許、JASRACが高く買いますよ、きっと。


監督・脚本は、原田眞人。原作は、“おニャン子クラブ” の仕掛け人・秋元康。


出演は、松田龍平、伊勢谷友介、木村佳乃、阿部寛、堀部圭亮、遊人。その他、AKB48の女の子がいっぱい。ちなみに問題の伝染歌は、元アイドルのあの人が歌っています。


さて、映画ですが、ホラーとしてはショボい。しかし、違った意味で面白い作品に仕上がりました。


秋元康のホラー映画といえば 「着信アリ」 ですが、これは、最初のとっかかりは面白いものの、作品としての持続性がない。すぐに底が見えてしまうから、シリーズ化してもだんだん尻すぼみになっていく。回を重ねるごとに、つまらないという確信アリになったものです。この辺、いかに思いつきで作っているかがわかる。


しかし、原田監督を起用したのはよかった。骨太な社会派としての腕と、コギャル(死語)映画を撮った経歴がいい効果をもたらしたと言えます。


何よりも、松田龍平を主役にしたのがいい。彼は、松田優作の息子として有名ですが、彼の妖艶なオーラは、特筆すべきことです。カッコよくて、美しい。彼と一緒の画面に映ると、女の子たちの影が薄くなってしまうほど。ナマイキな女子高生たちを、軽くあしらうテクニックはお見事でした。 …ざまあみろ、ガキども!


映画は、伝染歌の謎を解いていくという流れで進みますが、途中からだんだんどうでもよくなってきた感じがする。やっぱり思いつきだけじゃ作品になりませんって。やっぱりこれは、秋元センセイの作家性ではなく、プロデューサーとしての力を示したかっただけみたいな気がする。大体、「着信アリ」 って本当にヒットしたの?海外で人気あるの?


怪しい原作者と、妖しい主演男優。モンスター・アキモトは、松田龍平に目をつけました。2人の関係があやしいものにならないようにと、祈るばかりです。龍平、オジサンも軽くあしらってやれ。


彼は、塚本晋也監督の 「悪夢探偵」 でも “世話のやける霊能者第4号” を好演しています。これも2作目を撮るらしい。本作も、シリーズ化する気でしょうか。まあ、どうでもいいけど。


やっぱり、歌で伝染するのは、ビデオで感染する 「リング」 の2番煎じみたいでイヤだなあ。どうせなら、“伝染マンガ” というのはどうだろう。すごく面白いマンガがあって、誰かに内容を話すと死んでしまう話。黙っていれば生きていられるんだけど、つい友達に話してしまう。その “共有したい心” につけ込んだホラー。どうでしょう、「世にも奇妙な物語」 のネタくらいにはならないかな。


本作品の最大のメリットは、松田君の魅力を堪能できるところです。共演の俳優たちも、マニアックな顔ぶれでよかった。オタクという人種は、好きなことを一生懸命やっているから、ある意味スッキリしたところがあるもんです。普通の人生を送っているだけの大人とは、やはり違う。俺は、そこがいいと思う。


だから、これから大人になる人たちは、現役の大人をバカにすればするほど、そういう大人に近づいていくことを肝に命じましょう。大人でも子供でも、イヤな奴はいるし、いい人も同じくらいいる。自分が大人に対して抱いているその感情は、いつか自分に向けられるもの。それを覚悟して、バカにすべし。


この映画の伝染力は、どれくらいのものなのか。それは、観客が答えを出すでしょう。


【エンドクレジット】

普通に終わります。すぐに帰っても大丈夫。


【トイレに行くタイミング】

中盤は、カラオケボックス場面。後半は、みんなでダラダラ歩いているシーンがよろしいかと。


【オススメ類似作品】


「バウンス ko GALS」 (1997年バウンス ko GALS製作委員会)

原田眞人監督・脚本。佐藤仁美主演。援助交際やブルセラショップなどを題材にしたコギャル映画。作品としては大したことはないけど、当時このジャンルに果敢に挑んだ原田監督の心意気を買いたい。主演の佐藤仁美は、「リング」 にも出演しています。最近はパッとしないけど。


「ラブ&ポップ」 (1998年 ラブ&ポップ製作委員会)

庵野秀明監督、村上龍原作の実写映画。上記作品に比べて、リアルな心理描写が中心になっています。“金で買われた女” というセリフは秀逸でした。変態オヤジも大量に登場。マニアックな映画です。


「悪魔の手毬歌」 (1977年東宝)

横溝正史原作、石坂浩二主演の金田一耕助シリーズ第2弾。歌にまつわる怪事件といえば、やっぱりコレでしょう。それにしても、手毬唄を歌ったおばあちゃんは、一体誰だったっけ? …はあ、忘れた、言うちょります。



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2007-08-29

呪怨 パンデミック (吹替版)

テーマ:洋画

もう、ウスラバカのインスタント声優はたくさんだ。 お前ら、全員呪われてしまえ!


新潟では吹替版しかやってなかったので、仕方なく見に行ったんですが、いやはやヒドいもんです。こんなシロモノを劇場で公開するという、その神経がわからない。 …金払って見る価値なし!


監督は、清水崇。プロデューサーはもちろん、サム・ライミと一瀬隆重。


主演は、アンバー・タンブリン、アリエル・ケベル、ジェニファー・ビールス、エディソン・チャン、宇野実彩子、サラ・ローマー、石橋凌、サラ・ミシェル・ゲラー。


さて、映画ですが、たぶん字幕版だったとしてもつまらないと思います。恐怖度ゼロの、退屈な作品に仕上がりました。ご愁傷さまです。


“パンデミック” とは、感染が流行する、という意味だそうな。なるほど、つまんない映画多いからね。


“伽椰子” は、すっかり “KAYAKO” になってしまいました。お前、全然魅力なくなっちゃったなあ。


清水監督も、お笑い作品をやり過ぎて、ホラーを撮る感覚が鈍ったようです。もう終わっちゃったかな?


そして、この映画の最大のガンは、ロクでもないインスタント声優たち。ハリセンボンの2人、森三中の3人、あべこうじ、まちゃまちゃ。お前ら、よくこんなんで声優やったなんて威張れるよなあ。バッカじゃねえの。国語の教科書を朗読してるんじゃないんだから、もっと本気でやらんかい!


この映画を見て、面白いと感じることができる人は、相当器用だと思う。どうぞ勝手に盛り上がって下さい。以上。



【エンドクレジット】

普通に終わります。早く逃げましょう。


【トイレに行くタイミング】

全編トイレ行き放題です。何回でも行きまくって下さい。何なら帰って来なくてもいいです。


【オススメ類似作品】


「呪怨」 ビデオ版 (2000年東映)

清水崇監督。やっぱりこのシリーズは最初のやつがいい。2作目もあります。



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2007-08-28

キャプテン

テーマ:邦画

“がんばる” という言葉の本当の意味を、この映画で学ぶべし。


“キャプテン” といっても、海賊モノじゃないよ。これは、中学生の野球映画。少年野球や高校野球ほど華がないなんて、どうか思わないで下さい。実際、最近は、マンガが原作の映画がやたらと多いので、俺自身も正直そんなに全然期待していませんでした。ところが、あまりの出来のよさにビックリ。これ、アタリです。


原作は、ちばあきおの同名マンガ。「少年ジャンプ」 を昔から読んでいる人には、説明するまでもないでしょう。素晴らしい傑作です。監督・脚本は、室賀厚。監督自身も、原作の熱狂的ファンだそうです。


出演は、布施則行、小川拓哉、中西健、岩田さゆり、小林麻央、筧利夫、宮崎美子。


さて、映画ですが、なかなか気持ちのいい作品に仕上がりました。男の子の長所って、案外こんなもんかもしれないなって思います。小中学生のみなさんはもちろん、指導者という立場のオジサンたちにも見てもらいたい。人を動かす力とは、一体何か。


オーディションの基準が、“野球のできる少年” だったそうな。演技は2の次…というよりも、うまい役者を拒んだ、といったところでしょうか。「キャプテン」 という作品のスタイルを考えると、これはこれで面白い。


主役の布施くんなんか、思いっきりヘタです。オロオロして、うじうじして…あれっ、それっていかにも谷口じゃん。彼は、流暢にしゃべっちゃいけないキャラなんだもんね。あくまでもぎこちなく、恥かしがり屋じゃないといけない。


だから、演技力がどうのこうのと言うヒマもないくらい、実にテンポよく話が進みます。そのおかげで、説明くさくなくていい。実にさわやか。ところどころにハリウッド映画ネタもおりまぜたりして、なかなかニクい。


原作と大きく違っている点は、谷口がいきなり3年生として登場するところ。なるほど、これなら、谷口・丸井・イガラシの3人が一度に揃うというわけです。これって、「頭文字D」 の3台バトルと同じくらいの力技。でも、面白いからOK。映画は映画でドンドン盛り上げましょう。


アニメ版主題歌 「君は何かができる」 も挿入歌として登場します。ああ、懐かしいなあ。


1人の男が立ち上がるためには、様々な要素が必要である。この映画で描かれていることは、“仲間との信頼関係” だと思う。支えてくれる人がいれば、人間は大きな力を発揮できるもんです。


最近は、やたらと “がんばらない” という言葉が流行しています。だけど、がんばるっていう本質は、そういうもんじゃないと思う。イヤでしょうがないのに、がんばらないといけないっていうのがつらいんです。やりたいことをがんばるのは、楽しい。そういうもんじゃないかな。


中学生は、大人の考え方と子供の視点が交錯する、悩める世代。この時期に、がんばることの楽しさを知ることは重要です。感受性の強い時にこそ、こういう作品に出会ってもらいたい。父親と息子の組み合わせで行くのもよし、親友同士もよし、ただ、彼女とデートするのには向かないかも。あ、でも体育会系の彼女ならいいかな。


昔も今も、子供の本質は変わらないと思う。俺自身、目立たなくて暗い少年だったから、偉そうなことは言えません。だけど、中学生の時に、TVスペシャルアニメでこの作品に出会い、すごく興奮したことは今でもよく覚えています。見たからといって、すぐにそうなれるわけではない。だけど、その時学んだことが、大人になってからプラスに働いているのは事実です。


「キャプテン」 が好きな人は、“がんばる” ということの、真の意味を知っている。がんばれるということは、幸せなことなんです。好きなことをがんばる。その情熱が、周りの仲間を動かす。何ともカッコいいじゃありませんか。


がんばりたいから、がんばる。やりたいから、やる。真剣に戦うからこそ、本気の結果が出る。そういう志を共有した信頼関係は、揺らぐことがない。その中心にいるのが、キャプテン。


キャプテン自身は、ただの男。信頼で結ばれた仲間たちが、彼をキャプテンという存在にしていくんです。みんなで選んだキャプテンを信じて、がんばる。それこそが、美しい。少年たちよ、その心を大切に。一生の宝物です。




【エンドクレジット】

名場面のオマケ映像が出ます。できれば最後までどうぞ。


【トイレに行くタイミング】

1時間38分しかないから、ガマンしましょう。君なら、できる。


【オススメ類似作品】


「逆境ナイン」 (2005年日本テレビ)

羽住英一郎監督、島本和彦原作、玉山鉄二主演。本作同様、こちらもド根性野球マンガですが、超能力とか魔球とか、四文字熟語とか、セパタクローとか、いろいろあってよくわかりませんが、がんばればなんとかなるということです。主役が強烈過ぎて、他の人たちの影が薄いのが難点。


「セロ弾きのゴーシュ」 (1982年オープロダクション)

高畑勲監督、宮沢賢治原作のアニメ。1人の男が成長するためには、多くの仲間が支えてくれているもんです。タヌキがかわいかった。“インドの虎狩り” は名曲です。



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2007-08-26

映画熱2周年特別企画 歴代映画ランキングその5 ~ホラー映画編~

テーマ:ランキング

“horror” とは、“恐怖、恐ろしいこと” という意味。ちなみに “holler” だと、“大声で叫ぶ” という意味になります。まあ、スリラー(ゾッとする)映画とか、スプラッター(血しぶき)映画とか、スラッシャー(切り裂く)映画とか、色んな表現がありましたが、ホラーという表現が一般的みたいですね。


一口にホラーと言っても、実に様々なスタイルがあるもんです。幽霊もの、殺人もの、怪物もの、巨大生物もの…・。ヘタをすると、SF映画やディザスター映画との境界線もあやしくなるので、集計も一苦労。


“俺の基準” による、厳選ホラー映画50本を紹介します。夜中に1人で、部屋を暗くしてご覧下さい。…うっひっひ。


【ホラー映画編】

1.女優霊 (1996年WOWWOW・バンダイビジュアル)

中田秀夫監督の最高傑作。高橋洋脚本、柳ユーレイ主演。撮影所に現れる幽霊ものは数あれど、これほどの臨場感と薄気味悪さを兼ね備えた作品は、他に例がなかった。大人になってからこんな恐い映画に出会えるなんて、幸せな気分。石橋けいちゃんの、口パクパクは最高でした。小規模な作品ですが、俺的には、これが日本のホラー映画の最高峰。DVD未発売なので、ビデオソフトを探して下さい。


2.牡丹燈籠 (1968年大映)

山本薩夫監督、本郷功次郎主演。昔の怪談映画では、これがダントツに気に入ってます。ラブロマンスの要素を交えながら、妖しくも魅力的な女幽霊が、毎晩あなたを訪問する…。お嬢様を世話するおばさん幽霊が浮かび上がるシーンは、恐すぎて興奮しました。雰囲気タップリの、日本が誇るホラー映画の決定版。


3.エクソシスト (1973年アメリカ)

ウィリアム・ピーター・ブラッティ原作・脚本、ウィリアム・フリードキン監督。洋モノでは、やっぱりこれが一番いい。小学生の頃にTVで見て、恐くてトイレに行けなくなった人は多いでしょう。俺もそうです。何が恐いって、リンダ・ブレアの顔が恐い。巨匠ディック・スミスの特殊メイクは、映画史上に残る最高の出来栄えでした。この映画を見て、悪魔の存在を信じるようになった人も多いのでは?


4.リング (1998年角川)

中田秀夫監督の名を、世界に轟かせたJホラーの代表作。今どきの人には、ホラーといえばやっぱりコレでしょう。当時、真冬のホラー2本立てという、変わった趣向で公開されたこの映画。何も知らずに見に行ったら、これがまあ、恐いのなんの。よく見れば、「女優霊」 の監督じゃん!脚本もおんなじ高橋洋。これは面白くないわけがない。興奮したので、劇場に4回も見に行きました。だって、ビデオで見たら面白さが半減するってわかってるから。この映画、充分目に焼きつきました。内容はダイナミックで豪華になったけど、個人的には、「女優霊」の方が好きなので、4番手とさせてもらいます。小説もオススメ。


5.八つ墓村 (1977年松竹)

横溝正史原作、野村芳太郎監督、萩原健一主演。これは、薄気味悪さでは、日本映画屈指の出来栄え。金田一耕助役が渥美清という以外さや、前半の空港の場面で、変な腕が写るシーンがあったりと、話題騒然。後半のクライマックスで、うめき声をあげながら追いかけてくる女を演じた小川真由美の熱演は、永遠のトラウマになりました。物悲しいテーマ曲が、いつまでも心に残ります。この映画で脚本を書いた橋本忍は、この後 「幻の湖」 というトンデモ映画を無理矢理製作して、自己崩壊しました。…たたりじゃ。


6.箪笥 (2003年韓国)

キム・ジウン監督・脚本、イム・スジョン主演。韓国ホラー映画の最高傑作。これほど素晴らしい出来のホラー映画は、そう滅多に出るものじゃありません。この映画を劇場で見られた人は、幸せ者と言えるでしょう。俺も、自宅から車で1時間以上かかる劇場まで、平日のレイトショーに3回出かけました。人格障害と、心霊現象の見事な融合。孤独な姉妹独特の心理描写。よくわからん幽霊も、虐待ママも、情けないオヤジも、何もかもが調和して見事な世界を構成している。切なく、哀しく、そして、美しい物語。


7.悪魔の手毬唄 (1977年東宝)

石坂浩二が演じる金田一耕助シリーズ第2弾。個人的にはこれが一番好きです。子供にとっては、怪談も推理モノも、等しくホラー映画なのだ。この作品はいわば “怪奇映画” といったところでしょう。老婆のおどろおどろしい影、サトちゃんの痣、飾り立てられた死体の数々…、うひひー、たまらんですねえ。旅館の女将を岸恵子がしっとりと演じていました。もちろん、加藤武の 『…よし、わかった!』 もあります。手毬唄を歌うおばあちゃんが、何ともかわいらしかったなあ。有名な人、名前なんだっけ?…はあ、おぼえちょらん、言うとります。


8.シャイニング (1980年アメリカ)

スタンリー・キューブリック監督・脚本、スティーヴン・キング原作、ジャック・ニコルソン主演。この映画の何が恐いか。それは、廊下に突然現れる、双子の女の子でしょう。これにはゾーッとしました。血の津波には唖然。普通のおっさんたちだと思ったら幽霊だったり、なかなか楽しませてくれます。中でも、ジャック・ニコルソンが次第に凶暴になっていくさまがいい。彼は後に、「バットマン」 でジョーカーをやることになります。


9.マタンゴ (1963年東宝)

本多猪四郎監督、久保明主演。和製ホラー映画では、極上の完成度を誇る傑作。もしも、無人島に遭難して、食べ物がキノコしかなかったら、あなたは食べますか?その結果がどうなるかわかっても、やっぱり食べますか?みんなが食べたら、自分も食べますか?食べずに人間のまま飢え死にしますか?それとも…?さあ、よく考えよう!


10.悪魔のいけにえ (1974年アメリカ)

トビー・フーパー監督・脚本、マリリン・バーンズ主演。数あるホラー映画の中でも、屈指の出来栄え。さらに、恐怖度と爆笑度が背中合わせのような怪作。主人公のモデルは、エド・ゲイン。「サイコ」 とおんなじです。でも、全然違うところがいい。目をひんむいて、ぎゃあぎゃあとわめきながら逃げるヒロインを、後ろからチェーンソー持って追いかける変態男。人呼んで “レザーフェイス”。運動神経悪そうな怪力ぶりがいい。ちなみに2作目では、デニス・ホッパーおやじが、チェーンソーでチャンバラやってました。


11.ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド (1968年アメリカ)

ジョージ・A・ロメロ監督・原案・撮影、ジュディズ・オデア主演。ゾンビ映画初の作品。ナントカ宇宙線を浴びたら、死体が生き返った!しかも、生きている人間を食う。何で?モノクロ映像の不気味さと、のっそりやって来るゾンビがじわじわとあなたを追い詰める…。個人的には、この映画の予告編が大好きです。しつこいナレーションがいい。


12.たたり (1963年アメリカ)

ロバート・ワイズ製作・監督、リチャード・ジョンソン主演。’60年代という時代を考えると、役者の演技に音響効果をプラスして恐がらせる手法は、画期的なものだったと思う。見えないからこそコワい。そこに確かにいるのに…。ちなみに、ワイズ監督は 「サウンド・オブ・ミュージック」 を撮ったおっちゃんです。


13.ザ・チャイルド (1976年スペイン)

ナルシソ・イバネス・セラドール監督、ルイス・ファインダー主演。これは、見た後に恐くなる映画。幽霊も妖怪もモンスターも出てきません。恐いのは、子供たち。…ガキだと思ってナメんなよ。何だか、諸星大二郎のマンガを連想するような、不思議な作品。イヤ~な気分を堪能して下さい。


14.アザーズ (2001年アメリカ)

アレハンドロ・アメナーバル監督・脚本・音楽、ニコール・キッドマン主演。先述の 「たたり」 と雰囲気が似ています。こういうのって、“ゴシック・ホラー” というらしい。上品で美しい女性の心が、恐怖で歪んでいく様が秀逸。ちなみにタイトルは、アンタッチャブル山崎のギャグとは無関係です。お笑い映画じゃないので間違えないで下さい。


15.CURE (1997年大映)

黒沢清監督・脚本、役所広司主演のサイコホラー。幽霊は出てきませんが、幽霊みたいな男が出てきます。そして、ワケわからん方法で、殺人が連鎖的に起こります。この映画の恐いところは、全体の薄気味悪さだと思う。この映画を見た後に、あなたは正気でいられるか?見る前は、念のため近くに刃物を置かないようにしましょう。


16.降霊 (1999年関西テレビ)

黒沢清監督・脚本、役所広司主演。TVムービーとして放映された作品。今度は、幽霊が出てきます。この映画の変わったところは、ギャグが満載なところです。別にコメディじゃないんだけど、まじめにオロオロする姿が、何だかとてもおかしい。世話のやける霊能者第1号、風吹ジュンの好演が光ります。


17.プルシアンブルーの肖像 (1986年キティフィルム)

多賀秀典監督、松井五郎原案、玉置浩二主演。夏休みの小学校で起こる、連続児童失踪事件。安全地帯のボーカルだった玉置浩二が、無口で怪しい用務員を熱演。当時、キモチワルイ男と言われたイメージを逆手に取った開き直りが、とても斬新で気に入った。女の子は純でかわいく、男の子は意地悪でいたずらっ子。いつの時代も、こんなもんかもしれないなあ。この映画でデビューした高橋かおりは、イジメられても負けない、芯の強い女の子をしっかり演じてました。踊りは変だったけど。


18.4人の食卓 (2003年韓国)

イ・スヨン監督・脚本、チョン・ジヒョン主演。名前からわかるように、監督は女性です。そして主演は、当時一番人気の女優を起用。ところが、ほとんどノーメイクで出演。だから、パッケージの写真はウソです。しかしながら、彼女の演技力の鋭さには感心しました。世話のやける霊能者第2号が、画面いっぱいに暴れまくる、怪しさ抜群の映画。この映画で俺は、彼女のファンになりました。「デイジー」 はかわいかったもんね。


19.アイ (2001年香港・タイ)

オキサイド&ダニー・パン監督・原案・脚本・編集、マン・ウォン主演。監督は、パン兄弟と呼ばれますが、パン屋ではありません。タイトルは、“目” のアイです。移植した眼球が映し出す、恐怖の映像に怯える女性の物語。「リング」 と 「ブラック・ジャック」 のパクリ映画であることは一目瞭然ですが、面白いから許す。幽霊が現れるシーンは、なかなか雰囲気タップリでワクワク。劇場で見た人は、冒頭のショックシーンを覚えていると思いますが、DVDだと、アレ、ないんです。どうしてなんだろう?


20.ローズマリーの赤ちゃん (1968年アメリカ)

ロマン・ポランスキー監督、アイラ・レヴィン原作、ミア・ファロー主演。赤ちゃんを体内に宿した女性は、それだけで不安定な気持ちになりやすいもの。それをさらに追い詰めるポランスキーのサディスティックな演出は、世界中の妊婦を恐怖のドン底に落としました…ってことはないか。でもまあ、イライラするような場面の連続なので、妊娠中の方はご遠慮下さい。この作品もまた、ホラー映画の新たな領域を開拓した傑作です。


21.ポルターガイスト (1982年アメリカ)

トビー・フーパー監督、スティーヴン・スピルバーグ原作・脚本、ヘザー・オルーク主演。いろいろ盛りだくさんで、家族揃って楽しめる、正統派ホラー映画。「エクソシスト」 よりはかなりユルいので、ある意味安心して見られます。恐がりな人と一緒に見るのに最適かと。当時、砂の嵐の映像に 『…ゼア・ヒア~。』 ってつぶやいたバカ少年は多かったことでしょう。俺も、その1人。


22.オーメン (1976年アメリカ)

リチャード・ドナー監督、グレゴリー・ペック主演。聖書「ヨハネの黙示録」に書かれているハルマゲドンをモチーフにしているので、原作はキリスト教の神様でしょうか。母親がローズマリーかどうかはわからないけど、悪魔の子として生まれたダミアンには、頭に666の落書きがしてあった(もしかしたら「銀河鉄道999」のファンかもしれないけど)。彼に逆らう者は、ことごとく悲惨な最期を遂げるのであった。その “処刑” ぶりがすごいインパクト。シリーズを全部見たけど、彼はどうしたいのか、さっぱりわからんかった。やっぱりデビルマン出せばよかったのに。


23.CUBE (1997年カナダ)

ヴィンチェンゾ・ナタリ監督・脚本、モーリス・ディー主演。「CURE」 とタイトルが似ているので、間違えないで下さい。あっちは日本、こっちはカナダ映画です。目覚めたら、殺風景な部屋に閉じ込められていた。ドアを開けると、またおんなじ部屋が。さらにどうやら、部屋ごとにトラップが仕掛けてあるらしい。果たして、この建物から脱出できるのか?ゲーム好きな人は、見るとハマるかも。ブラックでシュールなギャグが満載。アイデアが光る1本。


24.SAW2 (2005年アメリカ)

ジェームズ・ワン監督、ドニー・ウォールバーグ主演。かつてこれほど残酷で痛々しいホラー映画があっただろうか。1作目を初めて見た時に感じた虚無感は、2作目で興奮の嵐を巻き起こしました。誰しも心のダークサイドを持っている。しかし、これはエグい。思わず “うわっ” と声が出るシーンの連続。まさに、拷問のような映画。中盤からは、誰が正しくて、誰が悪い奴なのかわからなくなってしまう。このシリーズ、現在3作目まで公開されていますが、まだつづきがありそう。だって、犯人がまだ…。


25.リパルジョン/反撥 (1965年イギリス)

ロマン・ポランスキー監督・脚本、カトリーヌ・ドヌーブ主演。活発でモテる姉と、おとなしくてジメジメした妹の物語。毎晩現れる、姉の彼氏。年頃の女の子は悶々として、幻覚に悩まされるようになっていく…。モノクロ画面が雰囲気タップリの秀作。怪奇と幻想の世界。カトリーヌは、やっぱり美しい。


26.テナント 恐怖を借りた男 (1976年フランス)

ロマン・ポランスキー監督・脚本、そして主演。タイトルからして内容が想像できそうですが、まさにそのまんま。新しく借りたアパートは、前の住人が自殺した部屋だった。そんなことは気にしない主人公であったが、予想しなかった恐怖が、彼を襲うのだった…。やっぱり一番恐いのは、人間の心なのかもしれませんね。それにしても、ポランスキーという男、年中イライラしているんでしょうか。かなり本気に見えたもんで…。


27.ビデオドローム (1983年カナダ)

デヴィッド・クローネンバーグ監督・脚本、ジェームズ・ウッズ主演。カルトな映画なので、一般の人はご遠慮下さい。禁断のビデオに写っていた、気になる映像が、男の人生を狂わせていく映画。これまた、怪奇と幻想の1本。気がついたら、お腹に穴が開いていた!ビデオテープも拳銃も、この中にしまっちゃえ…ってドラえもんかい!テレビが女になって誘惑してくる、悶絶シーンもあり。これを書いてる俺自身も、いまだにこの映画が理解できません。まあ、わからんところがいいんでしょう、きっと。カミナリ様が鳴ったら、お腹を隠せ。でないと、腹がパックリ開いて、ビデオテープ入れられるぞ!


28.うずまき (2000年うずまき製作委員会)

Higuchinsky監督、伊藤潤二原作、初音映莉子主演。「ビデオドローム」 と同じくらい、キモチワルイ映画。確か、閉鎖されるのが近い、新潟東映で最後に見た映画でした。グルグルグルグル、グールグル、あなたもわたしもグールグル、巻いて巻いて巻きまくり、巻かれて歪んでグールグル。…さあ、ご一緒に!


29.鬼婆 (1964年近代映画協会)

新藤兼人監督、乙羽信子主演。これは、時代劇サイコ・ホラーというべきでしょうか。義母と娘が、同じ男を好きなってしまって、さあ大変。夜な夜な繰り広げられる、ドロドログチョグチョの世界。昼ドラを見飽きたあなた、モノクロ映像の迫力にチャレンジしてみませんか?どうしてこんなタイトルがついたかは秘密。本編を見ればわかります。


30.ターン (2000年ターンプロジェクトチーム)

平山秀幸監督、北村薫原作、牧瀬里穂主演。日常が突然、非日常になる恐怖。それは、誰もが恐れているが、心の中に押し込めて気が付かないふりをしているだけかもしれない。おとなしい女性であっても、そういう状況になれば、必死に声を張り上げて、助けを呼ぶことになる。景色は同じだけど、何かがおかしい。「ウルトラセブン」第43話 「第四惑星の恐怖」 を思い出すような映画でした。一度は行ってみたいな、異空間。


31.八仙飯店之人肉饅頭 (1993年香港)

ハーマン・ヤウ監督、アンソニー・ウォン主演。タイトルは、“はっせんはんてんのじんにくまんじゅう” と読みます。その名の通り、人を殺して解体し、饅頭にして客に食わせます。ダンボール肉まんよりはおいしいのかな。アンソニー・ウォンは、この映画で香港アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞しました。やれやれ。ちなみに彼はこの後、「エボラシンドローム」 という映画に出て、怪優としての地位を不動のものにしました。最近は 「インファナル・アフェア」 や 「頭文字D」 にも出演。まさに、香港最強のオヤジ俳優。


32.エルム街の悪夢 (1984年アメリカ)

ウェス・クレイヴン監督・脚本、ヘザー・ランゲンカンプ主演。ご存知フレディ・クルーガーが登場する、シリーズ第1作。眠るとやってくる、というシチュエーションが面白かった。眠れずに悩んでいる人は多いけど、眠るのが恐くて悩んでいる人は、そう多くないでしょう。子供たちの歌う “わらべうた” も雰囲気タップリでよかった。ただ逃げ回るだけのヒロインばかりだった当時、抵抗する強いおねーちゃんは、とても新鮮でした。ワナを仕掛けて、ハンマーパンチを食らわせるシーンは爆笑。ちなみに、フレディって、「クロマティ高校」 のあいつじゃないよ。


33.13日の金曜日 PART2 (1981年アメリカ)

スティーヴ・マイナー監督、ジョン・フューリー主演。ご存知ジェイソンが殺しまくるシリーズ第2作。この映画で、彼は初めてホッケーマスクを被ります。どいつもこいつも、バカップルは皆殺しだ!死にたい奴は、レイクサイドに集まるべし!すでにシリーズは10作を超えているそうな。最近だと、宇宙で戦ってたなあ。恐怖度よりも爆笑度が高い、変なシリーズになってしまいました。今度は、巨大化でもするか?


34.ビヨンド (1980年イタリア)

ルチオ・フルチ監督・脚本、カトリオーナ・マッコール主演。黒澤明監督の 「用心棒」 をパクって巨匠になったセルジオ・レオーネ監督と同様、ロメロ監督の 「ゾンビ」 をパクって巨匠になった、フルチ監督(フルチンじゃないよ)。イタリアって、何でもアリですね。その中でも、俺のお気に入りなコレです。ショットガンで女ゾンビの頭を吹き飛ばすシーンは、「スキャナーズ」 より面白かった。ベタベタなラストも、けっこう好きです。


35.富江 (1998年大映)

及川中監督、伊藤潤二原作、菅野美穂主演。殺しても殺しても、何度でも再生する謎の美少女、富江をめぐって、男たちの人生が狂っていく。シリーズはたくさんあるけど、菅野美穂版が一番妖艶だった。中身はつまらんけど。だって、人を狂わせるような微笑み方をするから。内容としては、2作目の 「富江 replay」 の方が面白い。宝生舞は、全く色気がないけど。まあ、彼女と付き合えるのは、ジェイソンくらいでしょうか。あ、まだあいつがいた。「愛ルケ」 の豊川センセイ!おお、いいじゃん、毎晩殺人プレイができるってもんだ。


36.ハウリング (1981年アメリカ)

ジョー・ダンテ監督、ディー・ウォーレス主演。これは、狼男の映画。変身シーンがカッコよくて笑えます。特殊メイクを担当したロブ・ボーティンは、この後 「ロボコップ」 を手掛けることになります。いよっ、粋だねえ、ホラー職人!ハイテクだろうがローテクだろうが、面白いもん作った方が勝ち!


37.狼の血族 (1984年イギリス)

ニール・ジョーダン監督・脚本、アンジェラ・ランズベリー主演。グリム童話 「赤ずきん」 をベースにしたホラー・ファンタジー。幻想的な映像が美しかったのをよく覚えています。狼の変身シーンが、これまたスゴい。先述の「ハウリング」と見比べてみるのも面白いと思います。


38.コレクター (1965年アメリカ)

ウィリアム・ワイラー監督、ジョン・フォウルス原作、テレンス・スタンプ主演。主人公は、真面目な銀行員。蝶のコレクターである彼は、密かにある計画を行動に移す…。テレンス・スタンプの、狂気あふれる熱演が、強烈な印象を残しました。やっぱり犯罪計画って、マメじゃないと実行に移せないもんなんですね。ちなみに、モーガン・フリーマンが主演した同じタイトルの映画は、全くの別モノ。間違えないようにご注意。


39.クリスティーン (1983年アメリカ)

ジョン・カーペンター監督、スティーヴン・キング原作、キース・ゴードン主演。車を愛する男は世の中にいっぱいいますが、車に愛された男はそういないでしょう。まさに “愛車”。その名はクリスティーン。人間の女の子を車に乗せようものなら、本気で嫉妬するクリスティーン。カワイイじゃないですか。せっかくだから、つきあっちゃえば。ぶつかってボコボコになっても、自分で再生する能力あり。素晴らしい!ようし、酔っ払ったら、クリスティーンに迎えに来てもらおう。え、ナイト2000の方がいい?イヤだよう、あいつ、カタいんだもん。


40.キャリー (1976年アメリカ)

ブライアン・デ・パルマ監督、スティーヴン・キング原作、シシー・スペイセク主演。イジメられっ子が爆発するまでには、“ため” が必要です。おとなしければおとなしいほど、こらえればこらえるほど、そのパワーは絶大。こいつは弱いから、絶対抵抗しないとタカをくくっているイジメっ子どもよ、天罰を受けろ!行け行けキャリー、お前の心をズタズタにした、卑怯な奴らを絶対に許すな。君のその悲しみを怒りに変え、邪悪な奴らに正義の鉄拳をくらわせるのだ! …え、そういう話じゃなかったっけ?


41.ホワット・ライズ・ビニーズ (2000年アメリカ)

ロバート・ゼメキス監督、ハリソン・フォード主演。これは楽しい “お化け屋敷” 映画。 ’70~’80年代のオーソドックスなスタイルが懐かしく、ある意味新鮮でした。ミシェル・ファイファーの微妙な演技が、とてもいい感じ。“自動ドア” の場面が数回出ますが、全部笑えました。やや軽めですが、恐くて笑える1本。


42.イレイザー・ヘッド (1977年アメリカ)

デヴィッド・リンチ監督・脚本、ジャック・ナンス主演。これもまた、カルトな作品なので、一般の人はご遠慮下さい。この映画は、孤独な男の、キモチワルイ悪夢を描いた作品。不気味な主人公、奇形の赤ん坊、怪しげなフリークスたち。しかし、彼らは限りなく優しくて純粋である。むしろ、普通の人ほどイカレているから、世の中は不思議なもんです。俺がこの映画を見て思うのは、見た目と中身は必ずしも一致しない、ということ。だから、自分が好きなものは、人から理解されなくても、やっぱり好きなんです。たぶん、リンチ監督自身の心象風景を表現した作品なのかもしれない。これが長編デビュー作なんだから、彼は映画人として幸せなスタートを切ったんだと思います。


43.イリヤ (2002年インテグレートフィルムズ)

佐藤智也監督・脚本、荻原志乃主演。“イリヤ” とは、フランス語で “存在” という意味。この映画を知っている人は、相当マニアックな方でしょう。普通の人は、知らなくていい作品。自殺が流行する世の中、自殺の瞬間を撮影し、それに音楽をつけてビデオクリップにするのを商売にする女がいた。ところが、予想しなかった事態に…。短編ながら、世界中の映画祭で絶賛された、カルトムービー。地味だけど、強烈。


44.ドッペルゲンガー (2000年ドッペルゲンガー製作委員会)

黒沢清監督・脚本、役所広司主演。もうひとりの自分が現れるまでは、ホラー色プンプンでしたが、それ以降はギャグ映画になりました。だけど、面白いから許す。こういう題材で、こういう笑いに持っていけるセンスを持っているのは、世界広しといえど、黒沢監督くらいでしょう、たぶん。ヒロインの永作博美がキュートで魅力的でした。


45.水霊 (2006年水霊製作委員会)

山本清史監督、田中啓文原作、井川遙主演。原作は、ロリコンオヤジの爆笑小説でしたが、映画は面白かった。やや太めの井川遙が、苦悩する主人公を好演。星井七瀬が霊能力少女をかわいく演じています。ムダにシリアスな渡部篤郎が、ユーモラスで笑えます。さあ、死に水を飲むのは一体誰か?


46.ノロイ (2005年オズ・ジェネオン)

白石晃士監督、小林雅文主演。ドキュメント風のホラー映画。俺の書いた記事で、一番アクセスが多かったのは、たぶんこれかもしれない。霊体ミミズって、いまだにわかりません。世界で一番頼りない心霊レポーターと、世界で一番頼りない霊能者の、心霊スポット巡りおバカ珍道中映画。一生、2人で漫才やってろ、このウスラバカ!ただ、松本まりかの絶叫とうめき声だけはよかった。よくも悪くも、変な映画です。


47.明日の記憶 (2006年明日の記憶製作委員会)

堤幸彦監督、荻原浩原作、渡辺謙主演。若年性アルツハイマー病と診断された男の物語。一般的にはヒューマニズム映画ですが、俺的にはホラー映画です。記憶を徐々に失っていく恐怖。突然、今の状況がわからなくなる恐怖。目の前にいる人が誰だかわからなくなる恐怖。迷子になってしまう恐怖…。当たり前のことができなくなるのは、やっぱり恐いし、寂しいもんです。年を取れば取るほど、恐怖度が増すのかもしれない。俺の場合、映画の記憶が失われていくのが恐い。だからこそ、ブログで保存しておきたいなって思うんです。


48.フェノミナ (1984年イタリア)

ダリオ・アルジェント監督・脚本、ジェニファー・コネリー主演。虫と交信できる能力を持つ14歳の少女が、殺人事件の捜査に協力する。夢遊病の美少女というのは、何ともエロい設定ですなあ。ジェニファーの白い肌が、気色悪いダークな画面にとてもよく映えていて、なかなかGOOD。首チョンパもあります。


49.エミリー・ローズ (2005年アメリカ)

スコット・デリクソン監督・脚本、ローラ・リニー主演。この映画の何が恐いかって、主演女優の顔が恐い。恐怖におののくお前の顔が恐い。そんな恐い顔してりゃ、悪霊の方が逃げ出してしまうでしょう。こんな女が身近にいたら、さぞかし刺激的な生活を送れるかも。彼女は、もっと静かに、上品に恐がる訓練をしましょう。この調子じゃ、誰にも助けてもらえませんぜ、嬢ちゃん。「ノロイ」 の松本まりかと、絶叫対決したら面白そうだ。


50.死霊のはらわた (1983年アメリカ)

最後を飾るのは、サム・ライミ監督・脚本、ブルース・キャンベル主演の傑作。恐怖と笑いは紙一重であることを、見事に証明した1本でもあります。バケモンだって、もともとは人間なんだから、いろんな奴がいてもおかしくない。よくわからんタイトルに、よくわからん内容。でも、映像が楽しい。楽しいから笑える。ホラー映画を見て笑うという、高尚な楽しみ方は、この映画で学びました。やっぱり、何度見ても笑えます。笑い過ぎて、恐怖はもう感じなくなっちゃった。ああ、罪な映画。



さて、以上です。みなさまのお気に入りはあったでしょうか。次回は、サスペンス映画にする予定。くれぐれも、期待しないでお待ち下さい。



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2007-08-26

ベクシル 2077 日本鎖国

テーマ:アニメ・特撮

映画自体が鎖国してます。 もうちょい何とかならんもんか。


監督・脚本は、曽利文彦。“3Dライブアニメ” という最先端の映像技術だそうな。


声の出演は、黒木メイサ、松雪泰子、谷原章介、大塚明夫、櫻井孝宏、柿原徹也、森川智之。


さて、映画ですが、かなりヒドい出来でした。こんなシロモノを公開できる度胸だけは、大したもんだ。


止め絵としては、キレイな絵柄だと思うけど、動いた途端に笑いがこみ上げてくる。日本のCGアニメって、肝心なところがカクカクしているのに、どうでもいいところだけ妙になめらかだったりする。あの3人を使うんだったら、やっぱり実写で撮れば?


日本のアニメは優秀ですが、CGに関してはまだ浅い。ゲームの映像だとクオリティが高いのに、劇場用アニメとなると、どうしてこんなにダメなんだろう。「ファイナル・ファンタジー」 しかり、「デビルマン」 しかり、「メガロドン」 しかり…。


やっぱりアニメーションは、まず “映像ありき” だと思うんです。魅力的な映像があってこそ、声優陣も力が入るってもんだ。いいものをよりいいものにしていく、最高にクリエイティブな仕事。本作を見る限り、やはり慌てて作った感は、どうしても否めない。納期と予算と製作陣にプレッシャーをかけられた、悲惨な現場が想像できそうだ。


もっと手間ひまかけていいから、いいもの作って欲しいなあ。今現在、CGアニメで良質なモノを送り出したところはまだないから、1本当たりさえすれば、“映像革命” という金字塔となってハクがつくのに。若いクリエイターのみなさん、今のうちに技に磨きをかけて、いつか最高の仕事して下さい。ファンはそういうものを待っています。


さてさて、今回も貧弱なキャスト陣。実写なら豪華でも、声優はまるで違う。主役のベクシルを演じる黒木メイサは、はっきりいって声がブサイクでした。これほど絵柄と完全に合ってないのも珍しいでしょう。わが地方紙新潟日報の記事に載っていたコメントによると、アクションシーンでは足ぶみをしながらやったとか。…わはは、アホですな。


谷原章介は、出番も少ないし、どうでもいい役なので、あんまり気になりませんでした。まあ、ヘタクソであることはまちがいないので、放っておきましょう。


収録に対して、黒木は 『…タイミングを合わせる以外は、苦労は特にありませんでした。』 と抜かしやがる。谷原にいたっては 『…アニメアニメしないように気をつけました。』 (めざましTVのインタビューより) という始末。2人とも、声優という仕事を見事にナメきっています。アニメを見下した感情が、画面からビンビンと伝わってくる。お前ら、アニメをあんまりバカにしていると、バチがあたるぞ。


しかしながら、松雪泰子だけはよかった。これは、特筆すべきことだし、今回の一番の収穫。彼女の声って、美人ですね。上映中に目をつぶってみたけど、何とも心地よかった。パンフレットのコメントを読んだ限りでは、誠実に仕事をした感じがしました。少なくとも、他の2人よりは抜群にいい。やっぱり、役柄に対しての姿勢が違うのかな。


彼女は、「フラガール」 の主役だったのに、脇役の蒼井優に全部持っていかれたみたいで、さぞ悔しかったことでしょう。でも、作品が素晴らしかったので、よしとすべき。しかし今回は、作品がダメだった。だけど、彼女はいい仕事をしたと思う。彼女だったら、俺は声優としても応援してみたい。またアニメに起用されることがあったら、しっかり聞くことを約束します。ガンバレ。


大塚・櫻井・柿原・森川は、やっぱりプロだと思う。あんなにヒドい絵柄でも、ちゃんと命を吹き込んでいる。自分のポジションにふさわしいオーラを放ち、作品のバランスをしっかり取っている。その分、主役のドヘタぶりが目立つ結果になりましたが、それはしょうがないもんね。


タレントの “一日声優” というイベントは、いつまで続くのやら。何でもそうだけど、本業以外の仕事をする時は、もっと勉強してからにしましょう。そして、その仕事をずっと続けてきた人に、敬意を払いましょう。“簡単で楽な仕事” なんて、この世には存在しないから。もしあるというなら、それはマガイモノです。“つもり” だけなら誰でもできる。しかし、お客から金を払ってもらう以上、ちゃんとした姿勢でやれ。


黒木メイサは、「大帝の剣」 で無口な剣士を演じたのが印象的だった。…あっ、そうか。あんた、しゃべんない方がいいんだ。「着信アリファイナル」 では、セリフと出番の少ない主役だったっけ。なるほど、よくわかりました。あんたは、声優なんかやっちゃダメなんだよ、きっと。


谷原クンは、「嫌われ松子の一生」 でお月さま怪獣を演じた男。あんた、個性がちっとも感じられないから、ドンドン悪役をやってみては。性格の悪さを駆使できるよ、きっと。


そういうワケなので、これから劇場に行かれる人は、心して見て下さい。しかし、俺は信じたい。いつかきっと、日本にしか作れない、最高のCGアニメが誕生することを。本作も、その日を迎えるための試作品なんです。ちゃんと金払って見てあげるから、がんばっていいもの作って欲しい。


こうしている間にも、秘密のプロジェクトが水面下で動いてたりして…おお、そういう “鎖国” は大歓迎。俺が生きているうちに、最高のものを完成させてくれ!



【エンドクレジット】

普通に終わります。すぐに帰っても大丈夫。早く人間の世界に戻りましょう。


【トイレに行くタイミング】

基本的に、どこで行っても大丈夫。主役が出ている場面は全部OK。


【オススメ類似作品】


「アップルシード」 (2004年アップルシードフィルムパートナーズ)

荒牧伸志監督、士郎正宗原作、小林愛主演。今まで見たCGアニメ映画の中では、出来が一番いいと思う。女の子の表情がエロゲーみたいで面白かった。ちなみに、この映画も曽利文彦がプロデュースしてます。


「ピンポン」 (2002年アスミックエース)

曽利文彦監督、松本大原作、窪塚洋介主演。これは面白い映画です。窪塚君は、どう見ても高校生に見えないんですが、作品のパワーで押し切ってしまった。脇役のメガネ男子もいい。敵役の中村獅童はクールで最高でした。オリエンタルラジオの “シャキーン” というポーズを見る度に、この映画を思い出してしまう。


「メガゾーン23」 (1985年アートランド・アートミック)

石黒昇監督のOVA。世界の終わりをかけて若者が突っ走る、気持ちのいいバカ・アクションシリーズ第1作。メカニック・デザインを担当した荒牧伸志は、「アップルシード」 の監督。アクション監督・板野一郎という名前を聞いて、魂が燃えあがる人は、筋金入りのオタクでしょう。製作したアートランドは、プロのアニメ集団。最近は 「蟲師」 という偉業を成し遂げました。平野・美樹本キャラも懐かしい。



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2007-08-25

夕凪の街 桜の国

テーマ:邦画

限りなく厳しい現実だからこそ、限りない優しさに救われる、というものかもしれない。


原作は、こうの史代の同名マンガ。監督・脚本は、佐々部清。


出演は、田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、中越典子、伊崎充則、堺正章、藤村志保。シンプルで力強いキャスティング。


さて、映画ですが、日本人らしい、誠実な作品に仕上がりました。さり気なく、しっかりと自己主張。


構成は、前半パートが 「夕凪の街」、後半が 「桜の国」 になってします。前半の主人公が麻生久美子、後半の主人公が田中麗奈です。両者の間は、固い絆で結ばれています。受け継がれていく “大切なもの” を、心にしっかりと刻んで下さい。


麻生久美子は、女優として風格が出てきました。彼女、ホントに素晴らしいですねえ。あの伝説の駄作 「SHINOBI 」のチョイ役ですら、主役より目立っていたくらいだから。控えめにすればするほど、輝きを増していく表現力。本作は、渾身の演技でした。表情、しぐさ、佇まい。彼女が全身で伝えようとしているものを、ぜひ劇場で感じ取って下さい。


田中麗奈は、今回は明るいキャラ担当。この2人のコントラストが絶妙で、作品としてのバランスを保っています。例えて言うなら、「火垂るの墓」 担当の麻生と、「となりのトトロ」 担当の田中、といったところでしょうか。


この映画を見て思うのは、“本当の優しさ”って何だろう、ということです。“優しい人になりなさい” と誰もが言います。だけど、その根底にあるものがしっかりしていないと、見かけだけのハリボテになってしまうもの。


「やさしい」 という言葉を広辞苑で調べてみると、色んな説明が出ていますが、どれも実感がわかなかった。なるほど、決して “易しい” 言葉ではないんですね。


俺が個人的に思うのは、感情を注ぐ動機が自分にあるか、相手にあるかによって、“優しさ” の形が違うということです。つまり、自分にとって都合のいい相手に対しては、みんな優しい。ところが、相手が自分にとって都合が悪くなると、途端に態度が変化する。悲しいけど、それが現実かもしれない。


“差別” という問題も、この映画で取り上げられています。仲間外れやいじめなどの根底には、ドロドロしたエゴイズムが存在しています。違うもの、異質なものはことごとく排除され、パターン化された均一で個性がないものが当たり前の世の中。人と違うことばかりしてきた俺自身も、いろいろ言われたっけなあ。


何も悪いことをしていないのに、一方的に被害を受けたのに、どうしてひどい扱われ方をされるのか。人と違うことが悪いのか。一番悲しいのは、それが “社会の正義” になってしまうこと。一人一人はみんな優しいのに、集団だと暴力化してしまう。みんなおかしいってわかっているのに、みんながやっているからいいんだ、って安易に思ってしまうこと。それが恐い。被爆者のみなさんは、そういう目にあってきました。


いじめや差別は、どうしても起きてしまう。そういう状態になった時の対処を、実践で学んで強くなるしかない。こんな殺伐とした世の中では、若者が未来に希望を持てなくなってしまう、と心配する人は多い。


だけど、大丈夫。若者はそんなにヤワじゃない。おっさん達の固くなった頭よりも、彼らなりの柔軟な発想で、今の時代をがんばって生きています。色メガネで見る前に、彼らから学ぶくらいの姿勢でいなきゃね。大体、自分が若い頃だって、そんなに大した若者じゃなかったから。


この映画に出てくる若者たちは、みんな素晴らしい。原爆の被害にあったからとか、そういうことじゃない。今も昔も、人間の本質はそんなに変わっていないということだと、俺は思うんです。コドモは大人の言うことは聞かないけど、大人のマネはちゃんとする。自分たちなりに、未来を見据えて行動しているもんです。


『…昔の人間は苦労したからエライ。今どきの奴は楽してるからダメだ。』 そういう言葉を言う前に、もっと考えることがあるはず。 『…こんなつらい目にあうのは、自分だけでたくさんだ。』 といって甘やかさなかったか。 『…お前みたいな奴は、何をやってもムダだ。』 と言って可能性をつぶさなかったか。


不満や愚痴ばかりでは、発展性がない。“昔はよかった” とやたらに言う年寄りは、今の世の中を築いたのが自分たちであるという誇りを忘れている。今の若者を生み出した責任を放棄している。そういう大人ばっかりじゃ、コドモは元気出ないよねえ。


この映画を見ていると、若者の素晴らしさを感じてしまう。若いからこそできること、年寄りだからできることがいっぱいある。見下したり、投げ出した瞬間から、何もかも腐っていってしまう。若くても年を取っていても、立派な人は立派なんだし、優しい人は優しい。


“優しさ” は人の心を救う。しかし、自己中心的な優しさは、人を追い詰める。まさに、両刃の剣。主人公たちにとって、苦しみを乗り越えるために必要だったものは、一体何か。


子供の頃、“こういう大人になりたい”って思ってたイメージ、俺はまだ頭の中にあるんです。そうそうなれるもんでもないけど、簡単に投げ出したくない。がんばっている自分の背中を、誰かが見ているかもしれないから。


だから、被爆者のみなさんは、自分たちの身代わりになってくれた人として、敬意を表したいと思います。心と身体の痛みと戦いながら、今もがんばっていると思うと、胸が熱くなります。人間としての力強いメッセージ、確かに受け取りました。


日本人って、やっぱり優しいと思う。他国からどう思われようと、俺はそう思います。



【エンドクレジット】

普通に終わります。余韻に浸るもよし。涙をふくもよし。


【トイレに行くタイミング】

わりとゆったり進むので、行こうと思えばいつでも行けます。


【オススメ類似作品】


「ヒロシマナガサキ」 (現在公開中)

スティーヴン・オカザキ監督のドキュメント映画。この作品も、本作も、根底に流れるテーマは同じだと思います。本作でも使用された原爆の絵が、この映画にも出てきます。より深く勉強したい人はぜひご覧下さい。


「カンゾー先生」 (1998年東映)

今村昌平監督、坂口安吾原作、柄本明主演。麻生久美子が、健康的なねえちゃんを初々しく演じています。映画のセリフを借りて表現すれば、“激しいおなご” です。…ああ、たくましい日本女性の素晴らしさよ!


「暗いところで待ち合わせ」 (2006年ジェネオン)

天願大介監督、乙一原作、田中麗奈主演。本作と違うキャラだけど、傷ついた心を持っているのは同じ。これもまた、優しい映画であると思います。


「半落ち」 (2003年半落ち製作委員会)

佐々部清監督・脚本、寺尾聰主演。人間の感情を中心としたスタイルに好感が持てました。しみじみと、心に響いてくる演出は、日本映画史上に残ります。贖罪という苦悩に対して、逃げずに真摯に向き合うというのは、とても勇気がいることです。地味だけど、忘れられない作品。



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2007-08-22

コマンダンテ

テーマ:洋画

アブナイ友達がまた1人増えて、ストーン監督、ご満悦。 …しかし、ようやるわ、このおっさん。


“コマンダンテ” とは “司令官” の意味。ちなみに英語だと “コマンダー” になります。


この映画は、2003年に製作された、アメリカのドキュメンタリー映画。しかし、本国アメリカでは上映禁止になりました。そりゃそうだ、キューバの最高指導者、カストロ直撃インタビューなんだもん。しかし、日本では公開されました。さすが、自由の国、何でもありのニッポン。


監督は、俺様映画の巨匠・オリバー・ストーン。社会派と言われていますが、自分が撮りたいものを自分のスタイルで撮るという徹底ぶりは、他の追随を許しません。まさに、恐いもの知らずのオヤジ。


主演は、フィデル・カストロ、オリバー・ストーン。以上。後は、通訳とスタッフのみ。


さて、映画ですが、これもまた “勉強になる映画” と言っておきましょう。少なくとも、キューバの歴史を学ぶにはもってこいの教材だと思います。独裁者と呼ばれた男の、内面に迫る、貴重なフィルムであることは間違いない。


キューバというと、中米に位置する島国。面積は日本の3分の1くらい。1492年にコロンブスが発見したことにより、世界史に登場しました。1902年に独立。まあ、政治的なことは、このブログではあまり書かないことにしているので、興味ある人は、他でいろいろ調べてみて下さい。


この映画を見て思うことは、カストロの頭の回転のよさです。ほとんどの質問に即答している。しかも、一瞬で本質を見ぬく眼力をお持ちのようだ。こりゃ、手ごわい。普通の人間がかなう相手じゃない。しかも、186センチの長身と、見事なヒゲ。もう80歳を過ぎたそうですが、すごいオーラを感じました。やっぱり、英雄と呼ばれる人は違うんだなあって、素直に思います。


インタビュアーを自ら務めたストーン監督も、カストロと並ぶと、悪そうな顔がよりいっそう強調される。このオヤジ、よっぽどアブナイ場所が好きなんだなあ。常に危険と隣り合わせじゃないと、生きている実感がないのかも。


今回は、世間話ばっかりかと思いきや、結構ヤバイ質問も飛び出しています。見ている間、監督が3回くらい殺されるかと思いました。さすがカストロ、やわらかい物腰の中にも、殺気を感じます。


この映画はやっぱり、アメリカ政府が認めるわけにはいかないでしょう。映画という文化はほとんどの場合、国益にかなうかどうかが問われるもの。ましてやアメリカ、中国、韓国などは結構うるさい。何でもありなのは、日本くらいじゃないでしょうか。わが国では、映画文化そのものを尊重する姿勢がありますから。


制限があるからこそ、生まれる表現方法もある。規制の厳しいイギリスでは、押さえた表現によるブリティッシュ・ホラーが発達しました。作り手の創意工夫、知恵と勇気で何とかなるもんです。そういった意味では、映画の表現できる世界は、無限に近いものがあるかもしれない。


オリバー・ストーンという人は、本質的にはとても真面目なんだと思います。だから、わからないことはとことん追求し、徹底的にこだわる。さすがはアメリカ映画界の、社会派第一人者ですね。たぶんこのおっさんは、こういう映画の撮影中に撃ち殺されても、悔いはないでしょう。人間、やりたい事をやれる時が一番幸せなんです。


監督自身も、ベトナム戦争で戦い、勲章をもらった男です。戦いの中で味わったことを、映画で表現することで、消化しているんだろうと思います。本作で得たことを、今後の映画づくりに役立てて下さい。それから、カストロがヤバイことしそうになったら、説得に行って下さい。…そのまま人質になったりして。


妥協なき男。孤高のハードボイルド監督。そのあくなき挑戦は、これからも続くことでしょう。誰も真似できない、自分だけのカラーで表現する、男のダンディズム。生涯を通して貫くべし。



【エンドクレジット】

陽気なラテン系ミュージックが流れて普通に終わります。すぐに帰っても大丈夫。


【トイレに行くタイミング】

ドキュメントなので、頃合いを見てサッと行きたいところ。中盤の会食場面での、熱い質問攻撃は緊迫感があるので、そこだけはしっかり見て下さい。


【オススメ類似作品】


「JFK」 (1991年アメリカ)

オリバー・ストーン監督・脚本、ケビン・コスナー主演。ケネディ暗殺事件の様々な疑問を、ていねいに検証した映画。3時間8分という長い作品ですが、内容も充分濃いです。本作でも話題になっているので、関連作として紹介しておきます。


「13DAYS」 (2000年アメリカ)

ロジャー・ドナルドソン監督、ケビン・コスナー主演。キューバ危機を舞台に、ホワイトハウスでの展開を描いた映画。本作と思いっきり関係あり。


「ボーリング・フォー・コロンバイン」 (2003年アメリカ)

マイケル・ムーア監督・主演のドキュメント映画。アメリカ銃社会に敢然と立ち向かう、電波少年オヤジ突撃ゲリラインタビュー攻撃は、卑怯で笑えました。不意を突かれたチャールトン・ヘストンは、本作のカストロを見習って下さい。ちなみに、「華氏911」 は、悪ノリし過ぎてバカ映画になっちゃいました。ご愁傷様です。


「大日本人」 (現在まだ公開中)

松本人志監督・主演。インタビュー形式で進む、ドキュメント映画風の作品。この映画では、インタビュアーが思いっきりバカで笑えます。本作と全然関係ありませんが、何となく連想したもんで。



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2007-08-19

殯の森

テーマ:邦画

画面全体から、息づかいが漂ってくるような迫力。 苦悩の先に見えてくるものは、一体何か。


タイトルは、“もがりのもり” と読みます。“もがり” というのは、“敬う人の死を惜しみ、しのぶ時間のこと” だそうです。語源は、“喪あがり”。(パンフレットの記述より)


監督・脚本は河瀬直美。本作で、カンヌ映画祭グランプリを受賞しました。最近の日本映画では、女性監督の活躍が目立つようになり、なかなか面白くなってきました。


出演は、尾野真千子、うだしげき、渡辺真起子、ますだかなこ、斉藤陽一郎。その他、地元の人たち。


さて、映画ですが、渾身の力作です。姿勢を正してご覧下さい。苦悩の人生を堪能している方々は、この映画を見てぜひ “共鳴” してみて下さい。少しだけ心が楽になるかも。


まず、何といっても、主演の尾野真千子の演技。彼女、本気で演じています。画面に登場した瞬間に、ゾクッとくるものがありました。今にも消えてしまいそうなくらい、生命力のない女。あんた、一体何があったんだよって顔してる。放っておいたら、いずれ自殺するんじゃないかって思えるほど、思いつめた表情。見る者は、思わず身を乗り出してしまう。


表面上は平静を装っても、心の奥底にはいつもドス黒いものが渦巻いている。人間って、少なからずそういう部分を持っているもんだけど、決して平気なわけじゃない。絶えず苦しんでいる。それが、ちょっとしたきっかけで、噴き出してしまうことがある。そうならないように、少しずつ発散できるようなら、何とかなる。


しかし、本作の主人公は、デリケート過ぎて、人に話しまくって発散…というタイプではなさそう。抱えるだけ抱え込み、いっぱいいっぱいになっても、荷物を下ろすことができない。今にも倒れてしまいそうなのに、がんばって歩こうとしている。今の世の中、こんな人が多いんだと思います。たぶん、俺もその1人かな…と。優しい人は、やっぱり苦悩するもんなんです。


片や、認知症の男性。彼は彼で、ずっと重い荷物を背負ったまま33年間も悩み続けてきた。お互いが、このままいったらどうなってしまうだろうという状況で、出会っている。2つの深い宇宙が、激しく交錯する。マイナスの要素が強い2人は、一体どうなってしまうのか?


この映画を見て感じることは、介護士って大変だなあということ。体力ないともたないですね。体育会系で心の優しい方、どうぞよろしく。逃げ回るジジイを、パシッとつかまえて下さいな。


平均寿命が延びれば延びるほど、老いという問題は増えていくもんでしょう。俺もいつこうなるかわからんので、自分の問題としてとらえたいと思います。まあ、インスタント食品に汚染された俺らの世代は、団塊の人より早死にだと思うけどね。


それにしても、このおっさんのポジションはおいしい。フキンシンかもしれないけど、ワケありの若い女性介護士に面倒みてもらえるなら、うらやましい限りです。どうせなら、メイドさんの格好してもらって…ああ、冥土の土産になりそう。くの一プレイなんかもいいなあ。


そもそも、“もがり” なんて言葉、普段全く使わないですよね。せっかくだから、この言葉を使いこなしてみたいもんです。ちなみに、“もがる” は、“やきもきする、気にして思い煩う” とか “逆らう、いやがる” といった使い方があります(広辞苑より)。 いずれにせよ、その状態に心がついていってないことを指しているように思えます。だから、気が済むまで悩み苦しんだ方がいいのかもしれない。


“もがく” だと、嫌なものから抜け出すイメージが強い。それよりも “もがる” の方が、使い方としては面白いと思う。何というか、抱きしめて同化しようとするような感じがするんですが、みなさんはどうでしょうか。


頭ではわかっているけど、心が納得しないってこと、結構ありますよね。心ここにあらず。気持ちがついていかない。違和感を感じる。そういう状態で悩んでいる時に使ってみたい。 『…俺、ちょっともがってんだよね。』


思考と感情は別モノ。だから、変化の速度も違うもんです。両方足並みが揃った時に、本当の力が発揮できるのかもしれない。はっきりしてるのは、感情そのものが一番、行動力に結びつくということ。やっぱり人間というものは、最初に心ありきなんですね。


悩むということは、とても大切なこと。悩むからこそ成長するし、悩みを克服した分だけ、人の気持ちもわかるようになるってもんです。重ねて言いますが、悩む人って、基本的に優しい人だと思うんです。どうしたらいいか、もっといい方法はないかって、納得するまで考えるものだから。


過酷な状況で、人に何かを与えられるというのは、素晴らしいこと。己の人生を振り返ってみると、まだまだ青いなあと思います。年をとってジジイになった時に、心の中に何が残っているかが大事なんだろうな。


心を整理するためには、それなりの時間が必要です。今まで消化しきれなかった悩みをこの映画に重ねて、一緒にもがってみましょう。関係ないけど、“悩” という字って、男の子が頭をポリポリ掻いているように見えますよね。ホントに関係ないけど。


考えごとをするのには、体力がいる。考えるのをすぐにやめてしまう人は、いつまでも心にしこりが残ってしまうのかもしれない。自分の心と真剣に向き合い、寄り添うようにして、ゆったりと考える。そういうイメージを、俺は大切にしたいと思ってます。どこかで膿を出さなきゃね。


人の心は、森のように深く、そして美しい。光と闇のはざまに、苦悩の向こう側に、自分にふさわしい答えがきっと見つかる。悩んだ分だけ、素晴らしいものが掴めるはず。そう信じて、もがり続けるべし!




【エンドクレジット】

普通に終わりますが、できれば静かに余韻を楽しんでから帰りましょう。


【トイレに行くタイミング】

前半はしっかり見た方がいいです。後半の森の場面になったら、個人の判断で行って下さい。


【オススメ類似作品】


「長い散歩」 (2006年ゼロピクチュアズ)

奥田瑛二監督、緒形拳主演。傷ついた者は、行動することによって、失ったものを取り戻そうとするものなのかもしれない。結果がどうあれ、その勇気と行動力は讃えられるべきです。モントリオール映画祭グランプリ受賞。


「キャスト・アウェイ」 (2000年アメリカ)

ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス主演。ひたすら孤独と戦う、無人島サバイバル・ダイエット映画。やせたい人は、無人島に漂流すべし。誰もいないからモテませんけど。

「ミッション」 (1986年イギリス)

ローランド・ジョフィ監督、ロバート・デ・ニーロ主演。弟を殺した男が、伝道師となって贖罪の旅に出る。森の中でインディアンに囲まれたり、滝から十字架ダイブしたり、大泣きしたり、さあ大変!ちなみに、この作品もカンヌ映画祭グランプリ受賞してます。


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2007-08-17

映画コラム その15 「ネタバレについて」

テーマ:映画コラム

最近、予告編でネタバレしすぎて、本編を見てもさっぱり盛り上がらない映画が増えてきているので、ここら辺で自分の考えを述べておきたいと思います。


映画を人に語る時、どこまでネタバレしていいものか悩む時がある。相手がこれから見ようとしている場合、内容は極力言わない方がいい。だからといって、見ればわかるよ、なんて突き放すのもイヤだし。面白さを伝えるには、ある程度は話さないといけない。そこは、話す人のセンスが大きく影響するもの。


俺自身、できるだけ内容を知らずに見たいタイプの人間なので、必要以上に紹介記事は読みたくない。ブログを書く時の資料も、パンフレットのみ。いつも買う映画雑誌は 「ビデオでーた」(現在はDVDでーた。創刊号から買ってるもんで、この名前の方がなじむんです) くらいで、たまに買うのは 「映画秘宝」。あとは、実家で取ってる 「日刊スポーツ」 の映画記事をたまに読む程度。後は記憶に頼ってます。オヤジになればなるほど記憶力も怪しくなるけど、それはそれで面白いじゃん。だから、“見てから1週間以内に書く” ってルール、守っているでしょ?


推理小説を紹介される時なんか、犯人の手掛かりはできるだけ少ない方がいいと思いませんか?考えることの好きな人間は、そういうもんだと思うけど。


だから当然のごとく、ブログもこんなスタイルになってしまうんだと思う。世のブロガーのみなさんの記事は、思いっきりネタバレして書いているものが多い。これじゃあ、うっかり友達になんかなれないって。


ごくまれに、ストーリーを全部知った上でないと、映画を見れないという人もいます。俺の出会った人の中では、2人だけいました。理由は、“ハッピーエンドだってわかってないと、不安で見れないから” だそうです。なるほど、つらい現実を忘れるには、それもいいのかもしれない。だけど、わからないで見た方が面白いと思う人の方が、圧倒的に多いと、俺は思うんですが…。


最近の映画予告編でいうと、「ダイ・ハード4.0」 「トランスフォーマー」 などがいい例だと思う。まるで、あらすじを全部教えられた上で見せられているような気分になる。これって何だか、バカにされているみたいでイヤだ。


かつて、アルフレッド・ヒッチコック監督が 「サイコ」 の予告編に出演していたことがありましたが、内容については、極力触れないようにしていた。作り手の立場だったら、やはり最高の状態で見てもらいたい、と思うもんじゃないのかな。


だから俺は、極力ネタバレせずに記事を書くことをモットーにしています。もしもこのブログを読んで、その映画が見たくなって劇場に行った時に、できるだけいい状態で見て欲しいから。


もちろん、ネタバレした方が面白い記事が書けます。それは、自信がある。だけど、それは反則。あくまでもネタバレせずに書くからこそ、頭を使うんじゃないですか。そこで、自分のボキャブラリーが試されるというもの。限られた状態で、どれだけ言いたいことを記事にできるか。それがまた、面白いんですよ。


最近、「ネタバレDVD探検隊」 というアホなことを始めました。これは、こんな下らんDVDは借りない方がいいですよ、という警告と、ネタバレするとこんな記事が書けます、という2つの要素があります。だから、このコーナーでは、これを読んでDVDを見る人はほとんどいないというのが前提となっています。ここまで書いても見ちゃうなら、それなりの覚悟をしてるんでしょう。それはもう、止めようがない。


ただ、公開中の劇場映画に関しては、どんな下らん映画でも、できるだけネタバレしないように書くことをお約束します。これは、ブロガーとしての俺のポリシーです。そこは信頼して下さい。


そこで、どこまでネタバレしなきゃいいか、という問題が出てきます。紹介するからには、タイトル、監督および代表的なスタッフ、原作の有無、出演者、それから映画のジャンルくらいはまず絶対必要でしょう。ここまではいいですよね。


では、内容はどこまでか。一言で言えば、ストーリーの核心に触れなければ、基本的にOKだと思うんです。このくらいはいいだろう、という基準が人によって違う。それを知ったら、映画がつまんなくなるネタはバラさない。その辺の線引きが難しい。そこは、毎回悩むところ。でも、それがまた楽しい。


ブログの後半は、自分の心象風景が中心になります。この映画は、俺自身にどういう影響を与えたのか。そこで、賢明な読者のみなさんは、“俺” というキャラクターをふまえて読み取っていただきたいのです。こいつがこう思うなら、きっとこんな映画じゃないかって。その2段構えで理解していただければ、あなたなりの映画のイメージができてくると思う。そのスタイルを確立すれば、あなたはもう、“プロの読者” です。


だいたい、ブロガーなんて無責任なんだから、あんまりまともに受けない方がいいんです。ほとんどテキトーなこと言ってますので、読みながらガンガン突っ込んで下さい。そして、たまにいいこと言ったら心の中でちょっとだけホメて下さい。それで充分。


基本的にネタバレしない。ちょっとはするけど、極力しないようにする。それができなくなったら、このブログは終わりです。その時は潔く退散しましょう。読者がいてもいなくても、終わる時は終わる。


もう2年も続けてるので、マンネリ化してるかもしれませんが、長く読んでくれてる人には本当に感謝してます。何もおもてなしはできませんが、お好きなだけご滞在下さい。知る人ぞ知る “ブログの穴場” を目指すつもりなので、友達にはナイショでいい。あなたとわたしの秘密の関係、秘境・映画熱。これからも、どうぞごひいきに。





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