FUJITA'S BAR
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2006-07-30

7月のつぶやき

テーマ:エッセイ

【今月行かなかった映画とその理由】


「カーズ」

やっぱりデザインが気色悪いので、魅力を感じませんでした。


「ハチミツとクローバー」

「好きだ、」

どちらも “アオイちゃん” が出ているんだけど、やっぱり恋愛だけじゃねえ…。




今月は、大作が多いせいで、今現在、見に行く映画が1本もありません。さらに、「ゲド戦記」 の試写会が当たったもんだから、今週はゼロ。ああ、淋しいなあ。


そんな訳で、映画の記事が書けないので、DVDとか本の記事でも書こうかと思っています。まあ、そんなに楽しみにしている人もいないだろうし、映画見ないことには始まらないから、しょうがない。


映画コラムも、いよいよあと1回。今週中に出します。それから、「蟲師」 の新しいDVDも買ったから、そっちの記事も書きましょう。映画版も今から楽しみです。


最新映画の記事は、8月5日公開の「仮面ライダーカブト」 までおあずけです。では、来月もよろしく。

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2006-07-30

「他人を見下す若者たち」 を見下す大人たち

テーマ:

あまりのヒドい内容に唖然としました。この本、本当に売れてるの?


タイトルは、「他人を見下す若者たち」。今週は見に行く映画もないし、前から気になっていたので、買って読んでみました。そしたら、トンデモ本でした。


著者は、速水敏彦。どっかのエライ教授さんだそうです。悲しいまでに、後ろ向きの本です。世の中の悪い事全てが、若者のせいだと思っている人たちにオススメ。愚痴のネタ本として最適。説得力はゼロだけど。


悪いことは全て人のせい、という考えは、ある意味一番楽な考え方です。でも、その考えそのものが、結果的に自分を追いつめていくということを、どこかで気付くべきでしょう。


このおっさんは、今年で59歳だそうで、脳細胞もいい加減小回りが利かなさそうだから、放っておきましょう。オヤジなんだから、しょうがない。


この本を読んでいると、彼がいかに若者がキライかということがよくわかる。きっと何かくやしい思いをたくさんしたんですね。その恨みを本で晴らしているとしか思えません。


自分のわからないことは、みんな悪という発想は、心を狭くします。おいおい、お前が言うなよと言われそうですが、その俺が読んでも、やっぱりおかしいと思うって。


わからないことを否定するということは、とりあえず理解する努力をする姿勢が必要であることが前提になっているはず。その上で、これはわかるけどこれはわからんなあ、という程度のものでしょう。


俺だって、見ていない映画は否定しません。批評する資格がないから。わからないことは、わからないんだからしょうがない。でも、わからないことをわかったふりして、持論を振りかざすのはおかしい。そういう大人のなんと多いことか。年寄りの的外れな説教ほど見苦しいものはない。


例えば、ゴルフ。俺はやらないので面白さはわかりません。でも、ゴルフそのものを否定したりはしない。自分のわからない世界を、いたずらにバカにはできんでしょう。それが当たり前のことです。


養老先生の 「バカの壁」 は面白かった。この人は、マトモなことを実にわかりやすく表現していると思う。この人の表現は、自然で説得力があるし、自分の立場をきちんとわきまえていると思う。だから、頭のいい人だなって、俺みたいな人間でもわかる。こういう人の話だったら、若者はちゃんと聞くと思う。


ところがこの本は、俺的にはどうもうさんくさい。それなりに下調べもしているみたいだけど、最初から結論が決まっていて、それを確認したいだけって感じがする。


若者の文化の全てを否定し、世の中の悪の全てを、若者と若い親のせいする。いくら読んでも、俺はこの人の考え方に賛成できそうもありません。


相手を見下せば、自分が上になって満足する、という若者の欠点を指摘して得意になっているのは、著者の方でしょう。あんた自身が、若者を見下しているんじゃないのか?


若い親が悪いと言うなら、そういう若い親を育てた親の責任はどうなるんだ?でもそう言うと、彼らはこう言います。 『俺らを育てた親が悪い。』 そうやって、全部人のせいにしているがいい。聖書の神様みたいに。


子供というものは、親の言うことは聞かないけど、親のマネはよくするそうです。若者だって年寄りのマネしますよ。子供と若者は、時代を映し出す鏡だってことを忘れないで欲しいです。


最後に、香山リカの文章を引き合いに、映画を否定する発言も遠慮していただきたいです。映画はそんなに軽いものじゃない。あんたより20歳くらいも若い俺が言うのもナマイキかもしれませんが、今どきの映画だって、いい作品は多いですよ。あんたが知らないだけです。


他人を見下す若者たち…を見下す大人…を見下す俺。さあ、そこで読者のみなさんは俺を見下して下さい。なんと見事な連鎖でしょう。人をバカにするのって、本当、ばからしいですね。


長く生きた人間ほど、愚痴をこぼすよりは、未来を熱く語る存在であって欲しい。少なくとも、俺はそう思っています。 …だから、この本はキライだ! 文句あるか!



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2006-07-28

映画コラム その11 「声優の力」

テーマ:映画コラム

「ゲド戦記」 の “絵” が優れていることについては既に触れました。しかしもう一つ、強く感じたことがあります。それは、“声の力”。というわけで今回は、声優さんのお話。


アニメとしての “命” がもちろん “絵” であることは言うまでもありませんが、その “命” に “魂” が吹き込まれてこそ、“生命” を持った存在になる。それが、声優の仕事。


映画コラム 「俳優の力」 編で語った時と同様に考えると、まず、声優の魅力の第1は、“いい声” の持ち主であること。これは大前提。だから、いい声じゃない人は、声優やっちゃダメです。


声って、いろいろな表情がある。きれいな声、かわいい声、シブい声、ダミ声、黄色い声、さわやかな声、か細い声、死にそうな声、力強い声、クールな声…などなど。


声そのものが、俳優でいうところの “顔” になる。見た目というよりは、聞いた感じですね。その素材そのものが、“使える声” であるかが、作品にとっては大事なんです。


“いい顔” というのは、美人とかハンサムとかではなく、表情豊かな “味のある、いい顔” であるということ。それと同じように、“いい声” というのは、“味のある、いい声” であるということになります。


顔がきれいなら、声もきれいかっていうと、必ずしもそうじゃない。その人の一番きれいな部分が顔だったら、顔で勝負すればいい。スタイルがいいなら、体で勝負。したがって、“声” で勝負するのが声優。


次に、第2の魅力として、やはり “表現力” を挙げます。これがなかったら、声優の仕事はできない。絵の表情以上に、感情を表現する能力があってこそ、キャラクターが生命力を持つ。


かつては、アニメ映画が封切られると、必ず “ドラマ編” のレコードが出た。ビデオもない時代だから、それを聞いて、アニメ版コミックなんか読みながら、記憶力と想像力で楽しんだものです。


そのセリフを聞いただけで、心の中に画面が甦る。極端な話、作品を見ていなくても、声だけで画面のキャラクターが想像できる。まさに、表現者と鑑賞者の力の融合。これこそが、実写映画と違う、アニメーション映画独特の魅力。その世界は味わい深く、そして広い。


感性の豊かな思春期に、優れた声優の声をしっかり聞いて育った人は、本物とニセ者の違いがきっとわかるはず。自分の心の声に従って、判断して下さい。


そして第3の魅力は、作品そのものとのバランスがとれているかということ。これは、他のキャラクターとしっかり噛みあっているかも含めての評価。作品のテーマをきちんと伝えているかということです。


力が入りすぎて、浮いてしまうキャラがいる。それが主役となると、うっとうしいだけの作品になってしまう。逆に、主人公の覇気がないと、スカスカの作品になってしまう。それだけ主役というものは大変で、難しい。


映画でも、キレイな人ばっかり出ていると不自然なもの。役割に合わせていろんなタイプの人を出すから面白い。だから声優も、役に合わせていろんな人を出した方がいい。


「ゲド戦記」 の菅原文太は素晴らしかった。年輪を重ねた男の内面を見事に表現している。「風の谷のナウシカ」 のユパを演じた納谷吾朗は、うまい人だから申し分ないけど、文太兄ィは、独特のくたびれ感がいい。


田中裕子も、孤独な魔女を好演していた。彼女の声そのものが魔力を感じさせる。この2人の掛け合いが素晴らしく、とても崇高なものに思えました。


そして、その間に風吹ジュンがさり気なく入る。彼女の控えめでしっかりした声は、生活感があっていい。この世の人の声、という感じがして安心感がある。


この人たち、本業は役者ですが、さすがベテランだけあって、声優の仕事も見事にこなしています。これはもうベテラン声優の域でしょう。風格があって頼もしかった。


では、主役の2人はどうか。まあ、はっきり言ってヘタですが、それがあまり気にならないのが、この作品のすごいところ。しっかりした声優たちと、しっかりと描かれた絵の力に支えられて、それなりの存在に見えてしまった。だから、俺的にはセーフ。…でも、ちゃんと勉強しろよ、お前ら。


かつて、「雨に唄えば」 というミュージカル映画がありました。この作品は、サイレントからトーキーに変わる時の人間模様を描いています。


サイレント時代では大女優だった人が、実はヒドいキンキン声。これではイメージダウンになってしまうので、売れていないが歌がうまい女優に吹き替えをさせたところ、これが大当たり。ところが…というお話。


「シェルブールの雨傘」 でも、主演はあくまでもカトリーヌ・ドヌーブですが、確か歌だけは、ダニエル・リカーリが吹き替えていたように記憶しています。それでも作品として素晴らしく調和していました。


このように、セリフはよくても歌がダメ。声はいいけど顔が地味。顔はいいけど声がブス。そういう人たちの欠点を補うために、他の人のいい部分を使う。これも作品としての大切な要素。スタントマンとか、ボディ・ダブルとかもそうですよね。


声優の武器は、声です。声だけで勝負するのが声優。何だかカッコいいじゃないですか。タレントが声優を軽々しくやるのはどうかと思いますが、やるならそれなりの覚悟をしろよ、と俺は言いたい。


女優が見た目をお手入れするように、声優は、声のお手入れをすべし。顔は、ブサイクでもいいじゃん。きれいな顔を自慢したいなら、女優になればいい。ブサイクの仕事を取るな!


人間、誰でも美しい部分を持っているもの。それを声で表現するのが声優。ハンサムじゃなくても、美人じゃなくても、声で美を表現せよ。“声美人” を目指せ。


美しい声を発する時の声優さんは、きっといい表情をしていると思う。それがキャラを通して、見る者に伝わってくる。優れた声は、観客の心をしっかりとつかむ。それは間違いない。


「ゲド戦記」 のもう一つの面白さは、過去の宮崎・高畑作品へのオマージュが感じられるという点。冒頭の狼に追いかけられる場面は、「太陽の王子ホルスの大冒険」 を思い出す。テルーの走り方は、伝統的な宮崎作品に共通するものを思い浮かべる。


細かい一つ一つが、実によく丁寧につくられている。だから、2世だとか、パクリだとかいった印象はない。むしろ、過去の作品の輝きの延長上に、新しい何かが感じられる。それがきっと、若い監督の力なんだと思う。


ベテラン声優たちに支えられた若い二人と、ベテラン作家に支えられた監督が重なります。古い人間の懐が広く、暖かいものであれば、新しい力はすくすくと育つ。そして、力をつけたら勝手に飛んで行きます。


だから、声優を目指す人は、ベテランの “声の演技” を聞いてよく勉強して下さい。


映画に出てくる “翼” は、誰の心にもあるもの。現在修行中の若い声優のみなさん。自分にしか出せない、素晴らしい声で、これからの未来の作品を切り開いて下さい。応援します。


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2006-07-23

パイレーツ・オブ・カリビアン  デッドマン・チェスト

テーマ:洋画

タコだ! わーい、タコ祭りだ! 「宇宙戦争」 の仇をとってくれ! …後は、はっきりいってどうでもいい。


この映画の主役は、タコです。タコ男のウニョウニョが気色悪くてたまらん。巨大タコ怪獣もナイスでした。話はどうでもいいストーリーなので、ドタバタアクションを楽しめればOK。けっこう笑えました。


製作は、ウォルト・ディズニー&ジェリー・ブラッカイマー。いかにもユルくて大味なイメージが予測できてしまう。でも、しっかり儲けてます。まさに、ハリウッドのフジテレビ映画。


監督は、ゴア・ヴァービンスキー。「ザ・リング」 のおっちゃんです。自分のカラーがあまりない印象だから、ブラッカイマーのいうこともよく聞くでしょう。見事な仕事ぶりでした。


出演は、前作と同じく、ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイの3人が中心。 脇役は、ジョナサン・プライス、ナオミ・ハリス、ジャック・ダヴェンポート、そして、ステラン・スカルスゲールド。微妙に有名な人達がチラホラ。でも、存在感は均一。


さて、映画ですが、ギャグシーンと退屈なシーンが交互に切り替わる、お祭りムービーに仕上がっています。友達同士でワイワイ見るのがいいでしょう。


ギャグのネタは、ほとんど全部どこかでみたことがあるようなものばかり。さあ、いくつパクリネタをみつけられるかな。ドリフのコントみたいなのもいっぱいあります。


俺の横に座っていたおねーちゃんなんかは、笑っているか寝ているかのどっちかでした。たぶん、ジョニーのファンなんでしょう。一人で見に来て大笑いしている、なかなかの強者。


まあ、作品としての評価はかなり低いですが、みんなで楽しめるという点では、ポイントの高い映画といえるでしょう。一般の人向けの作品として、申し分ない。


少なくとも、1作目よりは面白い。そして、なんたってタコです。あ~、この技術でもう一回 「宇宙戦争」 撮ってくれないかなあ。ブラッカイマー製作でもいいから。主演はもう一度トム・クルーズで。


ストーリーは、ショボくてどうでもいい話なので、気にせずにアクションを楽しみましょう。考えるほどのことでもないです。


オーランド・ブルームの演技力は、まだ未知数ですが、キーラ・ナイトレイの方は底が見えた感じ。「ドミノ」 でも全然イケてなかった。彼女は、しゃべらない方がいい。セリフをいったとたんに軽くなってしまう。きれいな人であるだけに、ギャップが激しい。まあ、やる気ないんでしょう。日本の女優の誰かさんみたい。


ジョニーは、余裕タップリで楽しんでいる様子でした。まあ、いいんじゃないの。お祭りだし。


当然、3作目も作るみたい。せっかくだからシリーズ化しちゃえば。好きなだけ撮って下さい。


とにかく、この映画の収穫は、タコです。「テンタクルズ」 の巨大ダコよりも、「帰ってきたウルトラマン」 のタッコングよりも、こっちの方が面白い。タコファンの人は必見です。


最近は、海モノ映画がたくさんあるけど、怪獣はなかなか出てこない。タコ怪獣が出たということで、「日本沈没」 よりもある意味ポイント高いかも。内容はともかく、視覚的にね。


本命怪獣映画 「グエムル」 の公開も近いので、怪獣ものは、嫌が応でも気分が盛り上がる。まあ、これも前座ということで。 


とにかく、楽しい映画であることは間違いない。作り手の、客を楽しませようという気持ちが、作品によく出ていると思います。俺好みではありませんが、一般の人にはオススメ。


娯楽映画は、楽しんだもん勝ち。いっぱい笑って、ストレスを発散して下さい。





【エンドクレジット】

最後に、オマケのギャグがあります。でも、そうとう待たないと見れないから、じれったくなった人は帰ってもいいですよ。


【トイレに行くタイミング】

ズバリ、退屈なシーンに行って下さい。面白いシーンが終わった直後です。


【オススメ類似作品】


「ウォーターワールド」

ケビン・コスナー主演。「ボディガード」 の後に公開したトンデモ映画。冒頭の飲尿シーンで悲鳴をあげた人は多いはず。色んな意味で、彼の勝負作です。海モノとしては、かなりマニアックな作品。


「ドクター・モローの島」

HGウエルズ原作のSF映画。バート・ランカスター主演。「獣人島」のリメイクですが、こっちの方が造型が見事。本作の半魚人達と見くらべてみて下さい。


「海底軍艦」

本多猪四郎監督。大海竜マンダが登場する、海モノ特撮映画。ムー帝国の王女の赤い髪が魅力的。


「アナコンダ」

ジョン・ボイト主演。あの大きさで、あの速さ!シビレる怪獣映画です。

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2006-07-21

ゲド戦記

テーマ:アニメ・特撮

常に “心の闇” と戦い続けている現代人に問い掛ける映画。 テーマは、“調和とバランス” です。


自分自身と戦い、悩み疲れてヘトヘトになっている方は、是非この映画を見て下さい。答えとまではいかないまでも、何かしら考えるきっかけを与えてくれる作品であることは間違いないと思います。


今回は、珍しく試写会が当たったので、娘を連れて、一足早く見に行って来ました。最近のアニメは、期待よりも不安が先行してしまいがちなんですが、これはなかなかよい出来だったと思います。


人間の心というものは、単純なようで、意外と複雑なもの。それをさり気ない描写とシンプルな言葉で、わかりやすく、見る者の心に染み込ませてくれる。気高く、力強く、そしてやさしい映画に仕上がりました。


原作は、アーシュラ・K・ル=グウィンのファンタジー文学。製作はもちろんスタジオジブリですが、今回の監督は、宮崎駿オヤジではなく、長男の宮崎吾朗。ジブリ美術館をデザインした人だそうです。


声の出演は、岡田准一、手嶌葵、菅原文太、田中裕子、風吹ジュン、小林薫、香川照之、夏川結衣、内藤剛志、倍賞美津子。またしても声優以外の人ばっかりですが、今回は、かえってそれがよかった。


キャラクターの原案は、宮崎駿原作の 「シュナの旅」 だそうです。なるほど、予告編で感じたことはそういうことだったんですね。高校生の頃に読んだアニメージュ文庫、まだ押入れのどこかにしまってあるかも。


映画のスタイルとしては、ゲドを主役と考えると、「ファインディング・ニモ」 と同様、オヤジ映画になってしまうんですが、若い二人に花を持たせるという展開で、ある意味 “世代交代” の要素も入っていたみたい。


旅人のゲド (ハイタカ) は、「風の谷のナウシカ」 のユパを思い出させるキャラ。孤独だけど、自分をしっかりと持っている。そして、自分のやるべきことがわかっている。こういう大人が身近にいたら、若者はちゃんと従ってくるのかもしれない。


ゲド役の菅原文太が素晴らしい。“釜爺” に続いて二度目となりますが、彼の声っていいですね。聞き惚れてしまいます。「妖怪大戦争」 の時のボケた役と全然違う。さすが大物俳優。ゲドが戦う時は、個人的には 「仁義なき戦い」 のテーマで。そして旅をしている時は、「一番星ブルース」 をかけたいところ。


そして、悪の魔法使い、クモを演じるのは田中裕子。「もののけ姫」 でも存在感抜群だった彼女、今回も凄味のある役柄です。ゾクゾクするほど魅力的でした。本作での、俺の一番のお気に入りキャラ。


テナー役の風吹ジュンも、それなりによかった。少しくたびれた感じがいい。はつらつとはしていないけど、ひたむき感があって、それらしい。絶妙なキャスティング。


主役の二人は、はっきり言ってうまくないけど、悪くもなかった。作品の力があったのと、もともとぎこちないキャラだったから、さほど違和感はありませんでした。まあ、OKということで。


この作品の何が素晴らしいかというと、背景の美術です。アニメにとって、絵は命です。俺的には、特に雲の動きがよかった。流れる速さも方向も、とってもいい感じ。見ているだけで、何だか癒されてしまう。


それから、道端の植物。丁寧に描かれた一つ一つが、生命を持っているような力強さを感じます。前作の 「ハウルの動く城」 が俺的に大コケだった分、今回はとっても俺好みな絵柄でした。


ストーリーも素晴らしい。原作がきっと素晴らしいから、作品に表れているんでしょう。人間が生きるということはどういうことなのか、何のために生きるのか。なかなか答えにくいことを、実にわかりやすく表現していると思います。メッセージ性も高ポイント。


最近、「蟲師」 にハマっているせいもあって、こういう題材は、心にすっと入り込みます。難しい悩みの答えほど、意外と単純なことだったりするんですよね。


俺自身、この映画を見て一つ反省しました。それは、本職の声優じゃなくても、素晴らしい作品になり得るということがよくわかったからです。この作品の出演者たちは、実によく調和している。うまい人も、ヘタな人も、それなりにうまく溶け込んで、しっかりとバランスがとれて、一つの作品を成り立たせている。


実際の世界も、いろんな人がいるように、映画の世界も色々なタイプの人がいた方が、やっぱり面白い。うまい人ばっかりだとかえってうっとうしいし、カッコいい人ばっかりでも不自然で嘘くさくなってしまう。


で、俺が一番感じたことは、“心のバランス” についてです。心と体、善の心と悪の心、本音とタテマエなど、人間の心は、様々な状況で葛藤するもの。我慢や辛抱はとても大事なことですが、そればっかりでは、いつか心が破綻してしまう。人は、そんなに強いもんじゃない。


疲れたら休む、というのが基本だけど、今の世の中、時間の進むスピードは加速するばかりで、じっくり物事を考えているヒマなどない。でも、置き去りにしてはいけない心が、確かにある。


そういう、置き忘れた大切な心を、この作品は思い出させてくれる。確か、「となりのトトロ」 のキャッチコピーは、“忘れ物を届けに来ました” だったと記憶していますが、この映画は、さらに成熟したものを届けてくれました。


置き忘れた心は、甘やかすのではなく、いたわってあげて下さい。それもまた自分自身なのだと受け入れて、しっかりと抱きしめてあげて下さい。そうやって、地に足がついた自分というものが形成されていくもの。


もちろん、見た人によって感じ方は様々だと思いますが、俺にとっては、心の栄養になる、とても良質な作品でした。もし試写会に当たらなかったら、見に行かなかったかもしれなかっただけに、とても幸運だったと改めて思います。


色んな意味で、今の自分にとてもピッタリな映画でした。小学一年生の娘も面白かったと言っています。多少難しい内容かもしれないけど、子供は自分なりの感性でちゃんと見ているものです。だから、余計な説明などしなくてもいい。自分が今日感じた、“自分の感じ方” を大切にしてくれればいいと俺は思います。


オヤジがくたびれた分、子供がしっかりしてくる。それもまた、素晴らしいことじゃないですか。宮崎吾朗監督、あんたはしっかり自分の信じる道を進んで下さい。次回作を楽しみにしています。ガンバレ。




【エンドクレジット】

途中で娘がオシッコしたいと言い出したので、最後はわかりませんでした。すいません。


【トイレに行くタイミング】

中盤は、つかまったアレンをハイタカが助けた直後くらい。後半は、テナーがつかまった直後くらいがいいかと思います。


【オススメ類似作品】


「ドッペルゲンガー」

黒澤清監督。この映画も、もう一人の自分が登場します。ギャグの要素もある、シュールな作品。


「セロ弾きのゴーシュ」

高畑勲監督。動物たちとのふれあいによって、主人公は自分のいいところを発見します。


「Dolls」

北野武監督。ショックでバラバラに引き裂かれた心は、そう簡単に戻らないことを表現した映画。


「赤ひげ」

黒澤明監督。三船敏郎と加山雄三の関係は、本作のハイタカとアレンの関係に似ています。





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2006-07-19

日本沈没

テーマ:邦画

主役の二人以外は、みんな良かった。 日本映画の “気概” を感じさせる一本。


公開してすぐ見に行ったんですが、三連休だったせいもあって、物凄い行列。並んでいる人達が、何だか難民みたいに見えました。…おめーら、そんなに沈みてえか! でも、俺もその一人。やっぱり気になるもんね。


とにかく特撮がすごい。昔のチープなスタイルを今どきの技術で、ダイナミックに表現。爆発、噴火、地割れ、ガケ崩れ、圧倒的な迫力が画面に広がります。ぜひ劇場でご覧下さい。


原作は、SFの巨匠・小松左京の同名小説。’70年代に映画化され、TVドラマにもなった有名な作品。ただ、前作と比べてばかりいると前に進まないので、別モノと考えるべきでしょう。ちなみに俺は、こっちのストーリーの方が好きです。


監督は、“平成ガメラ” の片割れ・樋口真嗣。「ローレライ」 に続いての本作。絶好調です。


出演は、草彅 剛、柴咲コウ、豊川悦司、大地真央、石坂浩二、及川光博、吉田日出子、福田麻由子、國村隼、加藤武、柄本明、六平直政、大倉孝二、遠藤憲一、北村和夫、長山藍子。…豪華けんらん。


チョイ役も豪華。なんと富野由悠季!僧侶の役で出演しています。スキンヘッドを生かした絶妙なキャスト。セリフはありませんが、絶対わかります。お見逃しなく。それから、庵野秀明と福井晴敏もいます。


その他、前作で総理を演じた丹波哲郎は写真で出演。和久井映見は酒屋の女(夏子かい!)、木村多江、前田愛、佐藤江梨子、津田寛治なんかももチラッと出ています。


さて、映画ですが、俺的には、前作より面白かった。実は、「日本沈没」 っていう題材が好きじゃなかったんです。だって、ただ沈むだけじゃん。逃げるだけじゃん。「タイタニック」 は実話だからいいとしても、フィクションなんだったら、もっとドラマチックにしてほしい、とずっと思ってました。


ところが、この映画は違う。ちゃんと知恵を使って立ち向かっている。そうそう、これよ、これ。ダメとわかっていても、何とかしようと最後まで戦う姿勢が、俺は好きなんです。そうこなくっちゃ。


だいたい、日本が沈んでしまうというトンデモストーリーなんだから、立ち向かう方法もムチャクチャでいい。ええ、そんなんありかよ、知らねえぞっていうくらいでいい。ヤバそうだけど、それができたらすごいじゃん作戦が、日本特撮映画の伝統ってもんでしょ。


そういう意味で、この映画は画期的でした。もちろん、「妖星ゴラス」 ほどではないけど。樋口監督って面白いスタイルですねえ。「ローレライ」 は “気合い” でやっつける映画。本作は、ズバリ、“気概” です。映画なんだから、ムチャクチャなことやるイカレた奴がいた方がいい。


危機管理担当大臣を演じた大地真央は、素晴らしかった。宝塚の人はフォーマルな服がよく似合う。彼女が放つオーラは、国を背負って立とうとする “気概” が感じられました。総理を演じた石坂浩二とのカラミもよかった。心に残る、名場面だったと思います。


博士を演じる豊川悦司も、それらしくてよかった。彼は、こういうイカレた役がよく似合う。「八つ墓村」(東宝版)で演じた、饒舌な金田一耕助はヒドかったけど。彼もまた、背負ったものに苦悩する感じがよく出ていたと思います。


今回は、石坂浩二と豊川悦司と加藤武の三人がカラむ場面もあるので、金田一ファンの方はお楽しみに。


大人の演技としては、吉田日出子と長山藍子に注目して下さい。セリフの重みが違います。


特筆すべきは、及川光博。彼は最近、とてもよくなってきました。「明日の記憶」 でも医師役を好演していましたが、今回も、出番が少ないわりに好印象。主役の草ナギ剛よりずっとよかった。


彼の表情って、“覚悟” が感じられるんです。これは、大切な要素。彼は、“現場の男” という感じがしました。きっと苦労したんですね。つらいことを乗り越えた顔をしています。セリフは少ないけど、しっかり演じ切っていますので、しっかり見てあげて下さい。


さて、どうにもならんのは、主役の二人。まあ、はなっから期待していなかったので、さほどのショックはなかったんですが、ちょっとくらいやる気を見せろよって思いました。


草彅 剛の演技は、学生レベル。黒澤清監督の 「降霊」 の時はそれなりによかったけど、これは監督の腕。これ以外に、彼がいいと思ったことは一度もありません。


柴咲コウは、「バトル・ロワイアル」 で演じた女子高生役が、いかにもニセ者くさくて笑えましたが、演技力がどうのこうのというレベルではありません。「着信アリ」 で演技力がゼロに近いことがわかったので、もうどうでもよくなりました。ナントカ賞をもらったらしいですが、俺的にはどうでもいいことです。


だいたい、登場シーンがダメすぎる。草彅は行動力のない男として登場。途中で化けるのかと思ったら、そのまんま終わりました。ただ、成り行きでがんばった感じ。


対する柴咲は、見事にハイパーレスキュー隊員に見えない。何だか “一日所長” って感じ。パンフレットのインタビューで、訓練したことを話していましたが、いかんせん、画面に映ったことが全てなので。あんたの自慢話なんか知るか!やっぱりお人形さん風の、“ナンチャッテ女優” の域を出ない。


まあでも、それが気にならないくらい、作品の力があったので、こいつらが主役だと思わなければ、さほど気になりません。やたら出番の多い脇役だなあ、ってくらいでよろしい。


この映画もまた、日本人の良さを表現している作品と言えます。世界から見たらおめでたいかもしれないけど、そこがいい。もし沈没するなら俺も逃げるかもしれないけど、できることならギリギリまでとどまっていたくなるかも。


最近は、邦画のパワーが上昇していると感じられる作品が多い。こういう時に起用された若い俳優や製作スタッフは、きっと力をつけるでしょう。皆様、がんばって下さい。


前回紹介した 「サイレント・ヒル」 と同様、“ぶっとび映画” としてオススメです。カップルの方は、いざとなったらオレが守ってやるよ、なんて会話で盛り上がって下さい。年配の方は、もっと深い会話で盛り上がって下さい。…きっと、大切なことだから。


余談ですが、筒井康隆原作の、「日本以外全部沈没」 も早く見たいですね。 (今秋公開予定!)




【エンドクレジット】

普通に終わります。途中で帰っても大丈夫。


【トイレに行くタイミング】

主役の二人のシーン全部。お好きな時にどうぞ。


【オススメ類似作品】


「妖星ゴラス」

本多猪四郎監督。ゴラスが地球に衝突するのを防ぐ方法とは?日本映画史上最大のスケールで展開する、SFトンデモ映画の決定版。「アルマゲドン」 よりすごい映画。不朽の名作です。


「アルマゲドン」

マイケル・ベイ監督。ブルース・ウィリス工務店が地球を救うために立ち上がる!「ディープ・インパクト」 より積極性が感じられる、トンデモSF映画の決定版。


「宇宙大怪獣ドゴラ」

本多猪四郎監督。人間の知恵で立ち向かうスタイルが好感触。不定形なドゴラが面白い。


「198X年」

アメリカのSDI計画うんぬんの頃に出来たアニメ。核戦争の危機を救えるかどうかは、日本人パイロットに託された。キャラの顔はコワいけど、話は面白かった。


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2006-07-17

サイレント・ヒル

テーマ:洋画

テーマは、“恨み” と “復讐”。 孤独と不安と恐怖のオンパレード! かなりの力作です。


原作は、日本の同名ゲーム。ゲームファンにもわりとウケがよかったらしく、評判は上々。どうせなら、「サイレン」 もこっちに作ってもらったらよかったね。


監督は、ラブクラフト原作のオムニバス映画 「ネクロノミカン」 や、小池一夫原作の 「クライング・フリーマン」 を手掛けたオタク監督、クリストフ・ガンズ。「ジェヴォーダンの獣」 がショボかったので、ずっと話題性ばかりのB級監督だと思っていたんですが、本作でやっと認められたかも。よかったね。


もう一つ注目すべきは、脚本を担当したロジャー・エイヴァリー。タランティーノ監督の盟友であり、一緒に仕事もしたんですが、彼が監督した映画は残念ながらロクなのがなくて、才能ないのかなあってずっと思っていたんですが、本作でやっと認められたかも。よかったね。


主演は、ラダ・ミッチェル。「ネバーランド」 や 「マイ・ボディガード」 に出ていたそうですが、特徴のない顔で印象の薄い演技だったので、まるで記憶に残っていませんでした。でも、本作で認められたかも。よかったね。


共演は、ローリー・ホールデン、“ニセ者俳優” ショーン・ビーン、「クラッシュ」(クローネンバーグ監督の方ですよ)で妖しい女を演じたデボラ・カーラ・アンガー、キム・コーツ、アリス・クリーグ、ジョデル・フェルランド。


さて、映画ですが、中盤のダレた雰囲気を除けば、なかなかいい出来栄えと言えるでしょう。サスペンスとしてもスリラーとしてもなかなかのもの。


俺自身、ゲームしない男なので、原作の面白さはわかりませんが、この映画を見る限り、きっともとの話が面白いんだろうなってことはわかります。「サイレン」 みたいなアホ映画より100倍出来がいい。


冒頭の場面だけで、作り手のやる気まんまん度がよくわかる。すうっと引き込まれてしまう、見事なツカミ。街に入ってからのシーンになったら、ゲーム的な場面が目白押し。扉を開ける、人と話す、アイテムを入手する、移動する…etc. ゲーム好きな人は、コントローラを持参して鑑賞すると面白いかも。


クリーチャーも、バラエティに富んで面白い。人面昆虫、焼死体ゾンビ、三角定規ゾンビ、ヨガゾンビ、だるまさんがころんだナース軍団ゾンビ…楽しいじゃん!


この映画のすごいところは、抑えるべきところはできるだけシンプルにして、観客の想像力を刺激しているところ。しかも、映像的にもかなりこだわっているから、雰囲気もタップリ。特に中盤から後半にかけての盛り上がりはすごい。“タメ” があってこそ、“爆発” が生きるというもの。


人間の心ほど恐いものはない。まして、恨みというものは、際限がない。人を呪わば穴二つ。ここまで人を変えてしまう力って何なんでしょう。ホントに恐ろしいことです。わかっているけど、やっぱりこいつら許せねえ。


特筆すべきは、クライマックスのCG場面。目を見張るようなすごいシーンを見て、画面に釘付けになりました。「マトリックス・レボリューション」 のウニョウニョな場面は気持ち悪いだけだったけど、これは美しささえ感じられるほどよかった。…お見事!


「地獄少女」 よりこっちの方が面白い。気持ちいいくらいにぶっ飛んでいます。たまっていたモヤモヤもスッキリ。いや~、すごかった。


こういう使い方、CGならではって感じがします。手作業の特撮じゃできない。CGのうまい使い方のお手本にしたい映画です。特撮の今後の可能性を考えても、画期的な作品だと思うので、各CG製作会社の人は参考にして欲しいところです。


ラストも、シブい終わり方でシュール。詩的な感じさえする、余韻タップリ、いい感じ。「エミリー・ローズ」 とは違う、深い世界を堪能しました。


クリストファー・ガンズ監督で、ロジャー・エイヴァリー脚本。この二人、相性がいいかも。是非またコンビを組んで、もう一山当てて下さい。ガンバレ。






【エンドクレジット】

最初だけ映像が流れますが、後は普通に終わるので、途中で帰っても大丈夫。でも、エンディングテーマがちょっとカッコよかったなあ。


【トイレに行くタイミング】

中盤は、学校から脱出したあたり。後半は教会を出たシーンあたりがいいかと。


【オススメ類似作品】


「アザース」

アレハンドロ・アメナーベル監督、ニコール・キッドマン主演。カラーだけどモノクロな感じが、本作と似ています。この世のものでない “何か” と関わってしまった人たちの物語。こっちも面白いです。


「八つ墓村」(松竹版)

横溝正史原作。渥美清が演じる唯一の金田一耕助。“恨み” という点では、こっちもコワいお話。


「ローズマリーの赤ちゃん」

ロマン・ポランスキー監督の傑作。追いつめられる女性の映画は、やっぱコレでしょう。


「MONSTER」

浦沢直樹原作のアニメ。街で起きる惨劇は、本作と通じるものがあります。最終回だけつまんなかったけど。


「マウス・オブ・マッドネス」

ジョン・カーペンター監督。不思議な街に迷い込んだら、もう逃げられない。本作と似ているけど、こっちはかなり悪ノリしているので、マニア向きです。

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2006-07-15

M:i:Ⅲ

テーマ:洋画
 

トム・クルーズ本気モード。 “生身” にこだわった、体当たりド根性アクション映画でした。


「ミッション・インポッシブル」 ( いわゆる、スパイ大作戦 ) シリーズの3作目。色々あって大幅に伸びたけど、ようやく完成。スタントマンを使わずに、全部自分でやったそうです。ブルーバック撮影でCG合成がいくらでもできる時代に、彼がそこまでこだわったものは何か。


監督・脚本は、「エイリアス」 や 「LOST」 などのTVドラマを手掛けた、J・J・エイブラムス。なるほど、何でもアリなアクションシーンが盛り沢山。


主演は、もちろんトム・クルーズ。ヒロインは、ミシェル・モナハン。悪役は、オスカーを獲ったばかりのフィリップ・シーモア・ホフマン。この男、相当コワい。それと、女をさらった実行犯の男の顔も相当コワい。この悪者ぶりが、作品を盛り上げます。


ミッション仲間におなじみヴィング・レイムスをはじめ、ビリー・クラダップ、ケリー・ラッセル、ジョナサン・リス・マイヤーズ、マギー・Q。そして、ローレンス・フィッシュバーンも出ています。


さて、映画ですが、とにかくアクションがすごい。しかも濃い。これって、’90年代くらいのノリじゃないでしょうか。何だか懐かしいような気分になりました。


“スパイ映画” っていうと、大抵は地味なものが多かったように思います。007シリーズあたりから、優雅に、オシャレに、そして華麗なアクションと秘密兵器が重要なアイテムとして定番になったみたい。


でも、この映画は違う。とにかく派手。スパイにしちゃ目立ちすぎ。だってしょうがない。トムの容姿は華があり過ぎるんだもん。だから、地味な作品にするには、もったいない素材。


1作目は、サスペンスの巨匠、ブライアン・デ・パルマ監督だった。トムは短髪。活動的でプロフェッショナルな感じがして、雰囲気タップリ。この時は、ちゃんとした “スパイ映画” だったように思います。


2作目はアクションの巨匠、ジョン・ウー監督。トムはロン毛。バイクに乗って疾走するトムの髪がなびいてカッコよかった。銃撃戦とインチキくさいカンフーも面白かった。もうこの時点で、“スパイ映画” でなくなっていたようにも思います。


そして3作目。もう何でもアリなアクションの目白押し。これでもかといわんばかりの、絶体絶命のピンチの連続。スパイというよりは、特殊部隊といった感じ。もうすっかり、自分の映画になってしまいました。


でも、やりたかったんだよね、トム。映画の撮影が大幅に延びた上に、「宇宙戦争」 がコケて、しかもプライベートでも色々あったから、もう精神的に限界に近かったったんでしょう。


冒頭で涙目になっているトムが、痛々しかった。…そうか、辛かったんだね。わかった。よし、こうなったら、お前さんの映画だ、思う存分、好きなだけ暴れまくれ!


現在の彼の毒を吐き出すかのように、映画はひたすらアクションの連続。まさにデトックス。素晴らしいまでのヤケクソな演出。すごい。この勢いだったら、「宇宙戦争」 のポッドも素手で倒せそう。


そんなこんなで、この男、危なっかしくて目が離せません。次に一体何するやら。そういうわけで、トムも動きすぎてヘトヘト。観客もヘトヘト。何だか変な一体感。…なんじゃこりゃ。



トムって、決して巧くはないけど、いい俳優だと思うんです。カッコよさと美しさを兼ね備えた容姿。美しさもまた、立派な能力の一つ。美形俳優って、演技の面はなかなか評価されないんだけど、彼は、確実にいいものを持っている。後は、表現力を磨くのみ。


「ザ・エージェント」 の熱演がまだ記憶に残っています。彼の持ち味である “誠実さ” がうまく表れていたと思います。等身大の青年の苦悩と、ひたむきさが際立っていた。


「ラスト・サムライ」 では、日本人の心を、正確に表現しようとした熱意に心を打たれました。こんなアメリカ人、めったにいないですよ。内容はともかく、画期的な作品だった。


「コラテラル」 では、なんと悪役に挑戦したけど、どうもなりきれなかった。やっぱり、いい人に見えるんですよね。訳ありで悪の道に入ったんだろうって思われる。でも、そう思わせるのは、彼自身の魅力でもある。


ちなみに、デンゼル・ワシントンも同様。悪役をやっても、どことなくいい人に見える。彼もまた、トムと共通する魅力の持ち主だと思います。だから、「トレーニング・デイ」 のオスカー受賞を俺は認めない。 ( むしろ、マヌケさが際立ったイーサン・ホークの方がそれらしくてよかった。)


また、「ハイド・アンド・シーク」 に出ていたロバート・デ・ニーロは、優しい父親として登場したのに、怪しすぎて悪者にしか見えなかった。案の定、当たりだったけど。トムと正反対ですね。


かつて、美形俳優であるがゆえに、なかなか認められなかった人がいました。「ローマの休日」 に出ていたグレゴリー・ペックです。年をとってから、「アラバマ物語」 の弁護士役でオスカーを受賞。だから、トムもいつかきっと認められる日がくる。その日まで、がんばって欲しいと思います。


トムの魅力は、その容姿はもちろん、体全体から出る、“一生懸命さ” にあります。もちろん俳優はみんながんばっているんだけど、その “がんばってる感” の伝わり方が違う。


その真っ直ぐな姿勢が、周りの人たちを動かすのかもしれない。何度も言っていることですが、俺は真面目にがんばる人が大好きです。彼が目の前で苦労していたら、手を貸してあげたくなるかもしれない。


人を動かす力って、天性のものがあります。魅力があるからこそ、惹かれるというもの。俺流に言うと、トム・クルーズは、“正義” を背負うことのできる、数少ない俳優の一人だと思うんです。


私生活の方では、色々とバッシングされている彼ですが、俺的には、映画でいい仕事をしてくれれば問題なし。俳優は、あくまでもスクリーン上で勝負だ!それ以外の雑音は、評価とは関係なし!


トムに対する評価って、悪いものの方が多い気がするんです。それって、彼の美しさを妬んでいる人達が多いからじゃないのかな。美しいものは、やっぱり美しいじゃん。


今回は、そんな彼のマイナス要因を全て吹き飛ばすかのような、開き直った直球ド真ん中の作品になりました。色んな意味で、彼の代表作の一本になるでしょう。


彼はもう44歳になるけれど、まだまだパワーが満ち溢れています。もう少し年をとると、円熟したいい演技が見られるかも。そのためにも、私生活でもっともまれたらいいじゃん。問題起こせば起こすほど、俳優としてのグレードは上がるぞ。


その意味では、自分のイメージにこだわらずに、あらゆる役に挑戦する彼の姿勢は評価したい。自分の信じた道を貫く男は美しい。やっぱり同性として憧れます。


いつか、老けたトムがオスカーを受賞して、涙いっぱいの誠実なスピーチをするところを見てみたい。がんばれよ、トム!応援するぜ。


その後で、もう一回 「宇宙戦争」 を撮ろう!今度こそタコと格闘だ! ( …まだ言うか。)




【エンドクレジット】

普通に終わります。途中で席を立っても大丈夫。


【トイレに行くタイミング】

中盤は、悪者をとっつかまえたシーンの直後くらい。後半は、上海に舞台が移ったあたりがちょうどいいかと。それ以降のクライマックスは、どうぞお見逃しなく。


【オススメ類似作品】


「ボーン・スプレマシー」

マット・デイモン主演。ストイックなキャラと、こだわりのアクションがムチャクチャカッコいいです。


「ミニミニ大作戦」

最近のリメイク版。マーク・ウォルバーグ主演。綿密な犯罪計画が、とってもスタイリッシュ。「トランスポーター」 に出ていたジェイソン・ステイサムもハンドルを握っています。


「マイ・ボディガード」

デンゼル・ワシントン主演。ダコタ・ファニング嬢が誘拐されてさあ大変!中盤の復讐の場面が燃えました。カタルシスを感じる、シブい一本。ラストシーンはいただけないけど。


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2006-07-14

「蟲師」 DVDと原作本とシングルCD

テーマ:DVD ・ アニメ

うーん、すっかりハマってしまいました。


現在出ているDVD全部と、原作のマンガと、主題歌のシングルCDを買ってしまいました。目下、カラオケで歌おうと練習中。…ははは、まいったね。


やっぱりこのアニメ、面白いです。何というか、日本人としての感性を刺激する、稀有な作品であることは間違いない。


原作者の漆原友紀は、素晴らしい感性の持ち主ですね。彼女のイマジネーションの深さと、キャラクターの可愛さにすっかり魅了されてしまいました。


以前に紹介した時に、妖怪ハンターものなんてマヌケな表現をしとことを反省します。これは、癒しの物語であり、生命力の根源と、共存という深いテーマに鋭く切り込んだ、斬新かつシンプルな傑作です。


物語のスタイルは、いたって地味。登場人物も、セリフも最低限。しかも、動画はあまり多くないと思う。それなのに、すごい力で心に迫ってくる、不思議なパワーを感じさせる作品。


製作は、老舗のアートランド。石黒昇率いるプロ集団ですな。プロダクションIGに引けをとらないクオリティの高さに、ただただ感心しています。


俺的にうれしいのは、声優の土井美加がナレーターをしていること。彼女、「超時空要塞マクロス」で早瀬美沙を演じた人ですよね。ああ、なつかしい声。今作では、おどろおどろしい声で好演しています。オールドファンは一見の価値あり。


主人公のギンコは、蟲による病に苦しむ人々を治療しながら旅をする “蟲師”。時代設定は、鎖国がまだとけていない時代だとか。まあ、江戸時代末期ということになるのかな。


だから、みんな着物姿。最近は、和のテイストが流行だから、とてもいい感じ。でも、ギンコだけは洋服を着ている。これが、妙な違和感と “よそ者” 効果に一役買っている。


そして、登場する少年や少女が、いたいけで可愛い。繊細な日本人の子供の心を、実に見事に表現しています。そして、大人たちも、ひたむきで美しい。だから、思わず助けてあげたくなる。


話のパターンとしては、毎回、ギンコが訪れた村に不治の病が発生している。…どれどれ、ああ、これは蟲のしわざですな。私が何とかしてしんぜよう。 ( ガマの油売りじゃないよ )


すると、あ~ら不思議。病人は治ってしまったりする。すげえ、旅のお方、是非ともおらが村にとどまって、一緒に暮らしてもらえんだろうか。


いやいや、この身は蟲を寄せ付ける性質があるので、長居はできません。みんなに迷惑がかかってはいけない。また来るから、その時までお元気に。


…ていう感じ。まさにウエスタンなスタイル。この生き方、男として憧れます。カッコいいなあ。


この作品に出会ってからというもの、あらゆる自然現象を見る目が変わったように思います。もともと日本人が持っていた、目に見えないものを感じ取る力を思い出させてくれたような気がするんです。


物事には全て原因がある。そして理由がある。わからなくても、なんとなく感じられる世界がある。人の心の根源にあるものは何か。


そういう、考えるときりがない難しい事柄を、実にサラッと表現している。素晴らしい。そして、日本のアニメーションの技術が世界レベルであることも、改めて実感しました。


あくまでも架空の物語だけど、もしかしてこういう人がいたかもしれない。そういう気持ちにさせるのは、作品が優れている証拠。だから、やっぱり本当にいるんですよ、きっと。いるに決まっています。だって、いた方が面白いじゃん!


もしかして、イエス・キリストも蟲師だったりして。おお、これは驚愕のストーリーだ。「ダヴィンチ・コード2」 で是非使ってくれ。主演は、Mr.マリックで!…魔術師は見た!


まあ、それは冗談ですが、この作品の世界観がとてつもなく大きく、そして深いということは事実。日本人として、この作品を強力オススメします。


水木しげるの作品にも通じる世界。こういう、感性を育てる作品に出会うと、何だかうれしくなってしまいます。


生きることに疲れている人、持病を抱えて苦しんでいる人、心の傷が癒えない人たちが、この作品を見ることで、少しでも癒されますように。


…晩年になって、孫でも生まれたら、蟲師のお話を聞かせてあげたいです。




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2006-07-13

…おお、やせた!

テーマ:エッセイ

先日、健康診断があって、体重を測ったら、1年前より4.7キロ減っていました。


毎年、ちょっとずつ太っていたのでイヤだなあと思っていたんですが、いつのまにか4年間くらいの体重にもどっちゃった。


思えば1年前は、体調も悪く、ストレスもピークで倒れる寸前って感じだった。その時に比べると、現在は見違えるほど元気になっているような気がします。


どうやらもしかして、ブログの効果かも。ちょうど1年前から始めた俺流のデトックスな作業。体中にたまる毒を吐き続けたら、思わぬ結果に!…そうか、毒が4.7キロも…。すげえ。


もう一つ考えられるのは、去年の秋くらいから、近所のスナックに通い始めたのも関係あるかと。もともと10年以上通った店があったんだけど、そこは5年以上前に閉店してしまって、ずっと飲みに行っていなかった。


映画館に通うだけじゃ、ストレスが全部解消されないんですね、きっと。毒がたまったら、発散して吐き出す必要があるんだなと思います。そうでなきゃ、体がもたん。


呼吸に例えると、映画を見るは “吸う” 行為。文章を書くのは “吐く” 行為に似ている。このバランスが保たれると、精神的にも安定するみたい。


それに加えて、読書したり、音楽を聞いたり、飲んで騒いで歌うのも、そのどちらかであると思われます。


やっぱり、循環させるって大事ですね。バランスのいい流れを保っていると、心がリフレッシュできるみたい。


文章を書くって、大変だけど、楽しい作業。毒をくらった方はたまりませんが、書かずにいられないこともあるので、どうかお許し下さい。


いい映画を見て、いい記事を書く。俺なりの健康法です。そして元気に、今日も映画館に通うのであった。


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