自分のブログ史上、最長のタイトルになった気がする。
どういうタイトルにしようかと思ったのですが、そのままでいいやと思って長くしたまんまにしました。
以下に書くことは、これからどこかでしゃべろうと思っていることのネタにしたいものですが、論点が完全ではないかもしれません。自分でも整理しきれていないところもあるので、できれば多くの方からのフィードバックをいただいて洗練したいと思いブログに書きました。
弊社ではアジャイルを「ビジネスモデル」だと捉えています。
どういうことかというと、顧客のビジネス上も問題点を解決するために弊社はITを提供するのですが、まだリリースされたばかりの段階では、まだ顧客にとっての価値はゼロだと思っています。しかし、顧客がビジネスの中で弊社が作ったITを利用することで、ビジネスそのものの価値が増大していくことがITの本質的な価値だと考えるのです。
もう少しわかりやすく説明すると、こういうことです。
ある人が通信販売を始めようとしています。当初は雑誌に商品を掲載し、申し込みは葉書か電話で受け付けます。このようなビジネスモデルで得られる利益が1000万円だとしましょう。
この「通信販売」というものを、ITによって実現したら、ビジネスそのものはどう変わるでしょうか。
商品はweb上で紹介され、検索エンジンからも見つけられるようになり、申し込みもwebでできるようになれば、欲しいと思った瞬間、つい「ぽちっ」としてしまう環境ができる。
そうなったら、同じ「通信販売」というビジネスなのに、ITを利用することでマーケットやユーザが拡大し、2000万円とか3000万円になってしまう可能性があるわけです。
このように、ITが「あるビジネスに価値を付加できる」場面では、常に利用可能なITをリリースすることで、いつも「新鮮なビジネス」がマーケットの要求に遅れることなく、価値を生み続けることができるわけです。だから、アジャイルで実践することでより早くビジネスの価値を提供できる、というわけです。
それに対して、製造業におけるITの位置づけはかなり異なります。
わたしも育ったドメインである組込みなどでは、ITの技術は「製品の一部」になります。つまり製品の原材料のようなものでしょうか。
これを簿記でいうところの「製造原価」で考えると、よくわかります。
ある製品を作るために、原材料はAとBとCがあります。
Aは100円、Bは100円、Cは200円だとします。合計して400円の原価で、これに利益を100円加えると、この製品の価格は500円になります。
しかし、ライバル企業の競合製品が450円で販売されていたら、それよりも安く売ることが必要になります。最初に削られるのはおそらく「利益」かもしれません。単価あたりの利益が少なくても、今までより多く売れば利益は確保できるかもしれませんから。
しかし、これにも限界があります。利益0で製品を作り続けるわけにはいきません。そうなると次に考えられるのは「コストダウン」です。原材料であるA、B、Cいずれかのうち、どこかの原価を下げなければ市場競争には勝てない。このような原理が働いたとき、部品であるソフトウェアもコストダウンの対象になりやすいのです。
つまり、どちらのケースでもITが投資額もしくは原価として100円だったとしても、前者は200円、300円の価値に膨れる可能性がありますが、後者は100円以上の価値になる可能性がほとんどないのです。
だからといって、製品に含まれるITの価値が低い、と言っているわけではありません。その場合はリリースの段階でその価値が決定するので、リリース以降は別のものとして新しいライフサイクルにのせていく必要があると思うのです。
価値を重ねてシステムを育てていく、という考え方のほうがアジャイルの本質には近いと思います。だから、ITを投資としてみることのできる金融や流通などのビジネスラインでの適用のほうが、アジャイルの価値を理解しやすいのだと思います。