プロジェクトの「反省会手順書」を作成して、初めての反省会を先日実施しました。
手順としては、出席者全員が各自で付箋に、自分の思う「KPT」項目を書き出し、それを並べてディスカッションします。
その後、各自が出した反省項目をいくつかのカテゴリーで分けて、KPTとのマトリクスを作り、カテゴリー毎にKPTがどう分布しているかを見ます。
ディスカッションの内容そのものに、わたしはあまり意見を言うことはありません。ただし、項目として挙げておくべき項目が漏れてしまいそうなときには、わたしが注意を喚起する場合があります。
今回もこんなことがありました。
「顧客から提供される仕様が遅れる」という項目が挙がったのですが、これをリーダーが「顧客の問題だから仕方ないよね。」の一言で終わってしまいそうになりました。
実はこれにはもっと裏があり、仕様の提示が遅れても、やることになったら納期は動かせない、というある意味「よくある状況」になり、顧客からの支持は「とりあえずやっておいて。」という、何とも雲をつかむような指示。
しかし「顧客がそういうのだから」とその指示を受け入れ、見込みで作業を行ったのですが、結局その作業は必要なくなり、作業を実施したメンバーの仕事は無駄となってしまったのです。
この状況をリーダーは「顧客の指示だから仕方がない」で終わろうとしていたのですが、わたしは「それって、ホントにそうかな?」というふうに話を進めてみました。
わたしはここに2つの問題があると考えます。
その1:無駄になりそうな作業を受け入れることを、顧客と十分に納得できていたか?
その2:作業を無駄にされたメンバーのモチベーションを、どう理解し解決したのか?
「その1」については、無駄になるかもしれないということを顧客も十分理解し、作業工数の計上も認められていたので、今回はあまり問題はなかったと合意。(理屈ではそうだが、ホントはもっと良い解決方法があったと、わたしは思う。)
「その2」について、リーダーはこの段階まで全く意識していなかったよう。わたしがこのメンバーに「無駄になったとき、どう思った?」と聞いてみました。以下はやり取り。
「それは、いやですよね。モチベーション下がりました。」
「じゃあさ、最初からもっと『もしかしたら無駄になるかも』と説明されていたら、どうだった?」
「うーん。もう少しは気分的に救われたと思いますね。」
等々。
内容として問題はありますが、メンバーのモチベーションということを話題に取り上げただけでも、このチームにとっては成長です。なんといっても、今まで「進捗会議」すらやっていなかったのですから。
ということで、進捗会議の有効性についてもメンバーで話題になりました。
やはり、チームの状況が見えてくると、些細なことではあるが、チームで協力しようという気持ちになると。
ここのチームは顧客とのやり取りを日々膨大な量のメールで行っているのですが、どうしてもメールだと見落としが発生してしまいます。そこで、少し前からリーダーがメールをExcelで一覧化して、課題管理として利用しています。
これにより、課題の状況をチームで共有しているのですが、これをもとにチームメンバー相互で「声がけ」をするようになったそうです。例えば、顧客への提出物件の締め切りが近づいているのが見えると、それを担当メンバーに「準備できてる?」のような声をかけたりするようになったそうです。
実践ができているということが、成果にもつながってきています。
今まではよく提出物件の遅れを顧客に指摘され、かなり関係が悪くなったこともありましたが、今はそのようなことは起こらず、顧客からの信頼も少しずつ回復しているとのことです。
そしてもう1つ。
「反省会を実施するタイミングが遅い」という項目が出ました。
これは、なかなか良い感じです。反省会が自分たちの作業の一部として、認識されてきた証拠ですから。
反省会を行うことで、メンバーが今回の作業に対してどう思っているかということを知ることで、自分の参考にもなるとのことでした。情報を共有するということに、メンバーが真剣に取り組み始めたようです。
そして「キャリアによる出荷承認」のタイミングを反省会の開催日にしよう、ということで意見がまとまりました。そしてその日はみんなで定時に帰り、打ち上げもやろう!という話まで。ようやくチームがやわらかい空気に包まれてきました。
目に見える情報共有により、チームの方向性がはっきりして、それに対してメンバーは尽力しようとする。
「見える化」の当たり前な活動なのですが、目の前でそれらが実践され、チームとして効果が出てくると、とっても気分がいいです。そう、「Happy」になれますね。
あれこれ言葉を尽くしてロジックを語るより、目の前で展開する実践のドラマのほうが、現場エンジニアにとっては何倍も価値あるものですね。
≪彼らの仕事意識≫
前半はいいことを書いてみましたが、ここからはちょっと苦言を。というか今後の改善点ですね。
途中で書きましたが「顧客が言うのだから仕方がない」という、必要かどうかわからない作業を見込みで始めた件。
この発言は問題だな、と思いました。それは「顧客に価値あるソフトを提供する」ということがわたしたちエンジニアの仕事ならば、その作業に価値が見出せなければ、「No」というべき場面だったのではないだろうかと、思ったから。
SIerによくある風景、といってしまえばそれまでですが、「顧客の言うことが全て」では、顧客の言い分が間違っていて、それを承知で顧客の言いなりになってしまいます。しかし顧客も人間だし、間違うこともあるでしょう。わたしは、顧客は「同じソフトを作る仲間」という気持ちで臨むようにしていました。そうすれば、ソフト開発に関して見解が違っていても、話し合いで解決する姿勢を忘れることはありません。最終的には「顧客の言い分を呑む」ことのほうが多いでしょうが、鵜呑みよりはまだよいでしょう。
わたしたちの仕事は「顧客の言ったとおりに仕事をする」のではなく、「顧客に価値あるソフトを提供する」ことであると、胸を張って言えるチームになってほしい。
そのために、わたしももっと努力せねば。