2011-11-04 21:41:57

成功することを決めた 商社マンがスープで広げた共感ビジネス

テーマ:本の紹介
成功することを決めた―商社マンがスープで広げた共感ビジネス (新潮文庫)/遠山 正道

¥460
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この本との出会いから紹介したいと思います。

最近、どうも思考がネガティブになりがちだったので、移動時間などを何かに集中させておくため、常に本を読むようにしています。欲しい本があり、文庫の平積みを探していたのですが、一向に見つかりませんでした。

そこになぜか、わたしが探していたミステリー本の表紙とは、おおよそかけ離れたデザインの文庫が、それも逆さまで斜めに置いてありました。
これも平積みなのかと思って手に取ったら、たった一冊、この本だけが置いてありました。

まるで、誰かが「読んでおけ」と言っているように感じました。わたしは迷わずこの本を買って帰りました。

著者、遠山正道さんが、三菱商事の商社マンとして社内ベンチャーで「Soup Stock Tokyo」を興し、成長させる道のりを書いていらっしゃいます。

わたしもSoup Stock Tokyoのスープとお店は大好きです。本の中に書かれているペルソナは、まさにわたしそのものでした。
実に綿密に「ストーリー」を描き、それに向かって「成功するんだ」と決めることで実現してきた様々なものを、とても好感がもてる丁寧な読みやすい文章で、まるで目の前で語ってくれているかのように書かれています。

この本に対する感想は、3点あります。

<まるで本当に起こったことのような、物語のプレゼンテーション>
第一章の最後に、遠山さんがスープをメインにしたビジネスの開始を、会社の役員向けにプレゼンテーションするための資料が掲載されています。これは当時作成したそのものとほとんど変わらないそうです。

商社のプレゼン資料といえば、図やキャッチーなフレーズを駆使して、まるで広告を見ているようなものを想像しますが、この資料は全く違います。
実際のものにはあるのかもしれませんが、掲載されているものに、図は一切入っていません。ただ1つだけ、表紙に男の子が美味しそうにカップのスープを飲んでいる写真があるだけ。

資料の中身は、簡単に言えば「ペルソナ」です。しかし、わたしがこれまで見てきたどのペルソナよりもそこにはストーリーがありました。「スープのある一日」と題して、想定した人物がどのように生活の場面でスープと関わっているのか、ということを綿密に想定して、その人の一日を綴っています。

ただ物語が続くのではなく、その中にきちんとビジネスのコンセプトや施策が書かれています。顧客の顔が見える文章と、それを作り出す仕組み仕掛けのバランスが、素晴らしい文章となっています。

資料の最後には、既にベンチャーは進められていて、このように成功“した”という想定ではありますが、まるで報告書のようにそこまでの成功を“振り返って”います。
これを役員に提示する遠山さんという方は、なんとユニークな人なんだろうと、会ってもいない人がよくわかる気がする内容です。

この資料の部分を読むだけでも、とても価値のある本だとすぐに思いました。
そしてこの資料は、今でもスマイルズの人たちがバイブルとして持ち歩いているそうです。

<簡単に独立しないしたたかさ>
遠山さんは、社内ベンチャーで起業し、すぐに独立することは考えていなかったそうです。むしろ、独立することは当初まったく考えていなかったのではないでしょうか。

三菱商事という会社のキャパシティを十分利用して、ある意味自由に挑戦できるメリットをよく知っていたのだと思います。わたしも中堅ソフトウェアハウスから、全社員が10名前後の会社に移ってから、キャパシティというものの強さを思い知りました。

やりたいことがあるにしても、そこには様々なリソースが必要となります。小さな会社は意思決定は早いです。自分から「やりたい!」と手を上げれば、自分自身も追いつけないぐらいのスピードで物事が進むこともあります。しかし、たとえどんな企業であっても、ビジネスを始めるためには「背景」が必要です。

「どう成功させるのか」「そのためにどんな戦略を持っているのか」

これらを準備するのに、キャパシティは大きな効力を発揮します。

何百人、何千人と社員のいる会社なら、どんなに新しいことであっても、それに関するスキルや経験を持った人がいる「可能性」が高くなります。もしくは、ビジネスに関する強い「思い」を持った人と内部で出会えることもあると思います。人員的なリソースを、大きな会社は既に抱えている可能性があります。

また資金の問題もキャパシティが解決できるケースもあります。

堅実に利益を上げている会社は、その利益を更なる成長のために使います。より成功の可能性が高い、新たなビジネスに投資することも視野にあるわけですから、そこに適う提案をすれば、自分で資金を調達しなくてもビジネスを始められることもあります。

このような大企業のメリットについて、同じことを言っていた人がいました。SonicGardenのCEO 倉貫さん(@kuranuki)です。
倉貫さんも某大手SIerで社内ベンチャーとして起業し、最近そこから独立しています。

彼のキャリア戦略やビジネスに関する考え方は、とても頷けるものなので、ぜひ読んでみてください。


ビジネスにはある程度「賭け」は必要なのかもしれませんが、それはビジネスの目的ではありません。逆に「どうすれば確実に成功できるか」を考え続け、行動することがビジネスですから、リスクを少なくする手段があるなら、それは大いに利用すればいい。ただし、一人勝ちでは理解されないので、投資する企業の側にもメリットがあるように考える。本当に独立が必要なのかどうか、考える時期は絶対に来るものだなと、この本にも、倉貫さんの言葉にも感じ取ることができました。

起業 = 独立

この構図が全てではない時代なのだと感じました。

<“顔”のあるビジネス>
特に「顔」という言葉を出して、説明されている文章はありません。「顔」という言葉を連想したのはわたしの感想です。

スープに対するこだわり、店舗に対するこだわり。遠山さんが思い描くビジネスのそこここに、こだわりという言葉が多く使われています。それは顧客にお店を愛してもらえるように、愛情を注ぐことだと感じました。だから、このビジネスには、人のような表情があって、お客様という人を愛する有機体なんじゃないかと思わされました。

その顔とは、スマイルズの社員であったり、店舗のパートナーであったり、遠山さんそのものであったりするのかもしれません。その、ひとりひとりがこのビジネスの顔となって、Soup Stock Tokyoという有機体を構成している。それを強く感じます。

全てが成功事例ではありません。辛く厳しい時期もあり、それをどう乗り越えたかということも書かれています。

それですら、人が働くことに対して何を悦びに感じるか、顧客は何に惹き付けられるのか、ということがよくわかって、そして青春映画を見るような、ちょっとセンチメンタルで心があたたまる物語でもあります。

仕事に疲れてしまったとき、ちょっと背中を押してもらえる本だと思います。
2009-09-25 09:17:48

過剰管理の処方箋 自然にみんながやる気!になる

テーマ:本の紹介
遅くなりましたが、先日PMIの月例セミナーでこの本の著者である岸良裕司さんのお話を聞いてきました。
内容はこの本の中に書いてあることと、ほぼ同様です。

過剰管理の処方箋 自然にみんながやる気!になる/金井 壽宏
¥1,680
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なかなかよいタイトルだと思います。内容とタイトルに込めた「思い」がマッチしています。

この中でCCPMがプロジェクトを成功させる1つの手法であると説明されています。それはプロジェクト内で各自に割り当てられた個々のタスクに余裕としてのバッファを与えるのではなく、それぞれのタスクは「できるか、できないか」半々ぐらいの見積で計画し、プロジェクト全体にバッファを持たせるという方法です。

弊社でもCCPMの考え方は取り入れたタスク見積をしています。よく「実践は難しそうだ」という声を聞きますが、岸良さんのセミナーを聞くと、単純に「バッファ」というものを捉えれば、自ずとこういう考え方になるんじゃないか、と思わされます。

また、人のやる気を“適度に”引き出す方法としてのODSCも、役に立つ方法だと思います。
関係者全員でプロジェクトの目標を「すり合わせる」ために、簡単に文書化して共有するという方法ですが、ここのポイントは「簡単に」なのだと思います。あまり詳細な内容だと、本当に目指すべきものが文章に埋もれてしまいます。それこそ、このODSCはA4用紙1枚程度で書ける内容です。
書くことそのものはあまり難しくありませんが、「ODSCを誰に書かせるか」とか「どうやって見せるか」という“運用”の側面には工夫がいろいろと盛り込まれています。
これらのことも、岸良さんのセミナーでお話を聞くと、とても納得感のあるものでした。

この本もオススメですし、一度岸良さんのセミナーを聴講されるのもオススメです。
2009-06-25 13:27:11

ダイアローグ 対話する組織

テーマ:本の紹介
大学の恩師の著書を紹介します。

ダイアローグ 対話する組織/中原 淳
¥1,680
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東大の中原先生と、恩師である産能大の長岡先生が書かれました。
企業において対話型コミュニケーションがどのような役割を持っていて、大人の学びに対してどのような影響を与えるものかということが、アカデミックなアプローチと、フィールドワークによる企業研究をおりまぜて説明されています。
企業で社員の教育に関して悩みを持っている方には、対話を通して学ぶという場がないことに気づかされるのではないでしょうか。

書かれている内容は、社会人としてある程度の年数を経て、技術や知識の問題とはいまひとつ違うことを乗り越えてきた人には、必ず思い当たる節のあることばかりです。しかし、それらを「人生経験」のような言葉でラップしてしまい、自分の「腹に落ちる」知識として形づくれていないことも多いはず。そのような方には、アカデミックな理論によりコミュニケーションの場面で見られる問題点を解説してもらえることで「そうか、自分のあの経験はこういう意味を持っていたのか」という感覚を得ることができると思います。

わたしがこの本を読み始めて、「なるほど!」と思ったのは「緊密なコミュニケーション=よい職場、という幻想」です。社会人でなくとも、誰もが一度は感じたことがあるのではないでしょうか。日常的にとても親しい友人と、仕事上の意見の違いを率直に言えないケースなど。仕事に対する価値よりも、人間関係に比重を置いてしまうのは、感情で動く動物であるから仕方のないことではあるのですが。

教育学と社会行動学のアカデミアの先生が、企業での学びを語ることに抵抗を感じる方もいると思います。しかし、この第三者的な観点からの意見や知識というのは、ときに実践者たちの鏡となって、自分たちの姿を映し出して気づかせてくれることも多いはずです。

文章は決して難しいものではありません。読んで損はない一冊です。
2009-06-16 10:07:22

人材開発マネジメントブック-学習が企業を強くする

テーマ:本の紹介
プロセス改善の効果として、わたしは「人の成長」が最大なのではないかと思っています。
日常の現場改善で積んだ多くの経験を、アセスメントの場で再確認し形式知化する、というプロセスを構築する仕組みとしてのプロセス改善に価値を感じるので。

そのような考え方から、人材教育の様々な知識はプロセス改善の推進に役立つと思います。そこでこの本をご紹介します。

人材開発マネジメントブック―学習が企業を強くする/福澤 英弘
¥2,730
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企業で人材教育を主たる業務にしている方向けに書かれている本ですが、部下の能力開発に問題意識を持つマネージャー層にもお勧めだと思います。
人材開発をひとつの「プロジェクト」として捕らえ、目標設定や計画作成の重要性を解説し、また具体的にどのようなプラクティスが必要か、などの実践的な記述も多い内容です。この通りに実践するれば必ず人が育つ、というものではありませんが、単なる知識ベースの教育必要論から一歩踏み込んで書かれています。

前半は企業の人材教育実践のプロセスを解説していて、後半はそのプラクティスを掘り下げて解説している内容です。例えば、集合研修においてどうやって上司の理解を獲得するか、計画に際しどのような項目があるか、外部委託企業や講師の選定はどうするか、など。

講師の4タイプについての解説は、特に勉強になりました。研修講師は「先生」「研究者」「ファシリテーター」「コーチ」の4種類に分類され、研修の目的によって講師のタイプを変える必要がある。プロセス改善におけるアセッサーの役割や、改善推進担当者の役割などに置き換えると、とても参考になるのではないでしょうか。
2009-05-01 16:42:49

ソフトウェア現場力ハンドブック

テーマ:本の紹介
弊社社長、濱勝巳も執筆に加わった本が発売されました。

ソフトウェア現場力ハンドブック/松本 吉弘
¥4,410
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少々お高い本ですが、よろしければお手にとってご覧ください。
ソフトウェアセル生産についても記載されています。

2009-04-14 00:12:23

技術者・エンジニアの知的生産性向上

テーマ:本の紹介
技術KI計画 という考え方をご存知でしょうか?
http://www.jmac.co.jp/service/consulting/detail.php?dt=147&n=9&b=18

上記リンクによれば

技術KI計画は、頭脳集団である技術者、研究者、あるいは設計者の知的生産性の向上を実現するプログラムです。また、技術KI計画活動の過程で、チーム化とリーダーの成長により職場力が向上し、組織風土の活性化をも実現できます。
<日本能率協会ホームページより引用>

ということで、様々な現場活性化のプラクティスを通して、現場が“悪魔のサイクル”と称される現場のすさんだ現場の状況を“天使のサイクル”に変えていこう、という考え方なのだそうです。

この技術KI計画を、事例を交えて説明しているのがこの本です。
技術者・エンジニアの知的生産性向上/日本能率協会コンサルティング
¥2,835
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まえがきに書かれていますが、この技術KI計画とは、1980年ごろに産学協同でホワイトカラーの生産性研究を始めたのが起こりで、1993年に「技術者の知的生産性向上」という本が前身なのだそうです。当時の「現場」としての対象は機械や電気のエンジニアでした。ここに、現在爆発的に増えたソフトウェアやシステムの開発をするエンジニアにも適用できる考え方に改善したものが「新・技術KI計画」としてまとめられ、この書籍になったとのことです。
もう15年以上も前から、このような現場活性化の考え方とプラクティスは考え出されていたのですね。

プロジェクトファシリテーション (PF)をご存知の方には、この技術KI計画もよく理解できる内容だと思います。紹介されているプラクティスは違いますが、そこから得られる効果は同じものであるし、各プラクティスが踏まえるべき原則も同じものだと、すぐに気づくことと思います。プラクティスの中には、少々やり方や名前の付け方を変えただけに見えるものもあります。

また、最近では「モチベーション」というキーワードで現場活性化の必要性が語られる機会は多く、それらを読んでいる方にはわざわざそこを説明する必要はないでしょう。(もし、まだ読んでいないようでしたら、ぜひこの本を。)
なので、今回はそこの必要性を理解しているということを前提にして、この本のお勧めポイントを書きたいと思います。

<年長者にも理解しやすい言葉づかい>
前述のとおり、この考え方は1980年ごろから始まっています。そのせいかどうかはわかりませんが、あまり目新しい言葉が出てきません。特にカタカナ語は少なく感じます。あったとしても「マネジメント」など、既に古くから馴染んでいる言葉が多いです。
例えば、現場が自由に意見を出し合えるミーティングの場に「ワイガヤミーティング」という名前をつけています。この「ワイガヤ」とは「ワイワイ、ガヤガヤ」を略した言葉ですし、年長者でも知っている言葉です。そしてその言葉がすぐに「自由な雰囲気」を感じ取れるものでもあります。
また、ふりかえりの場面で使う見える化のツールとして「YWT」というものを紹介しています。これはアジャイルやPFを実践している方にはお馴染みな「KPT」と同じような使い方をするものです。
Y…やったこと W…わかったこと T…次にやること
ふりかえりのときにこの3つを挙げる、という方法です。これらが日本語の頭文字であることで、これを説明するだけで何を出せばいいか、すぐにわかります。

年長者にも理解できる言葉を使うことのメリットは、「上司が新しい取り組みに理解を示してくれない」という問題に対して、ひとつの解決方法になると思います。新しい言葉が羅列されると、どうもやることも斬新で、現在を否定されるばかりのものなのではないか、と感じることもあると思います。上司も人間ですから、そのような感覚で取り組みを評価してしまうこともあるでしょう。そこを、言葉の使い方ひとつで何とかなるんじゃないだろうか?わたしはそんなふうに思いました。

<マネジメントと一体化した考え方>
技術KI計画の基本は「見える計画」です。ここでは「かんばん」を用いてプロジェクトの計画が見えるようになっています。(この書籍では「かんばん」=「見える計画」という名前付けになっているようです。)

この「見える計画」の原則は
・一元管理
・物理的にチームメンバーに見えるようにする工夫
・随時かつ定期的に更新していく
・適度な細かさ
つまり、チームの状況が一箇所で感覚的に誰にでも理解できる、ということでしょうか。
特に最初の「一元管理」については、このチームの状況だけでなく、マネージャーが管理している計画や顧客/他部署へ提出している計画なども含めて全部見せているところです。

PFでは「PMとPF」という言葉で、そこには差があることを様々な場面で考えます。しかし、いつもたどり着くのは「どちらも大切」という価値観です。だったらいっそ、一緒にしてもいいかもと思わされました。また、チームの活動にマネージャーを巻き込む方法として、一元管理を利用するのもアリだと思います。マネージャーだって、チームから遠いところに置かれたら寂しくなるものです。

<取り組みのプロセスが説明されている>
第8章「技術者が生き生きとする運営の仕掛け」というところで、技術KI計画を適用するためのステップが説明されています。おそらくこれも「一例」なのだと思いますが、このままでも取り組めそうなレベルになっています。これに囚われてしまっては、最終的に自律した活動にならないと思いますが「今、自分たちは何をどうすればいいのかわからない」という切実な悩みを抱えている現場には、これだけ詳しく説明された手法のほうが、「まず、始めてみよう」という気持ちになれると思います。

<全体として上司が受け入れやすい内容>
ここまでで紹介したお勧めポイントの総括になりますが、言い方が悪いですが「ちょっと古臭い形式」の説明が多いと思います。出所が古いということは否めませんが、それがかえって「誰にでも受け入れやすい」内容を作っているように思います。問題を抱えているチームがあったとき、それを何とか解消したいと思っているのは、チームの当事者だけでなく、周りのステークホルダーと言われる人たちも同様です。少しでも多くの関係する人たちが理解してくれる取り組みのほうが、理解者が少ないよりも成功する可能性は高くなると思います。そのためにも「受け入れやすさ」というのは大切なことではないでしょうか。

<今まで知らなかったPFのプラクティス例として>
最初に書きましたが、考え方の基本はPFと変わらないとわたしは思っています。なので、ここで紹介されているプラクティスをPFの取り組みとして含めることは、まったく遜色ないかと。また、少々面倒かもしれませんが、マネージャー層も巻き込む「見える計画」などを理解し、試してみることで、PFとは違うものの見方を感じることもできるのではないでしょうか。

上記が、わたしの考えた本書のお勧めポイントです。

まあ、ちょっと日能さんのまわしもの的に濃く説明してみましたが、内容はそんなに固いものではありません。かつて日本の現場を明るいものにした「QC活動」の匂いも、どことなく残っているかもしれません。そういうものからこそ、学ぶべきものがあったりする、かも。
2009-04-13 18:20:50

ソフトウェア開発を成功させるチームビルディング

テーマ:本の紹介
著者の岡島幸男さんに献本いただきました。ありがとうございました。
とても読みやすい文章と構成で、すらすらと読み進みました。

ソフトウェア開発を成功させるチームビルディング 5人のチームを上手に導く現場リーダーの技術/岡島 幸男
¥1,995
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最もお勧めするターゲットを絞るとすれば、「リーダーとは何か」ということは十分理解はできたけれど、実際どのようなことを始めていいのかわからない、という方には最適だと思います。
「はじめに」に書かれているとおり、リーダーとして最初に行う仕事はチームビルディングです。そのチームビルディングに関する具体的な活動の方法が説明され、そこに必要なリーダーとしてのマインドというか、その活動を行うにあたりリーダーとして心得るべきポイントがわかりやすく説明されています。
各章の最後に「練習問題」が設定され、各章のポイントを自分の立場に置き換えて考えるきっかけを作っているところなどが、まさに「学ぶためのプラクティス」を提供しています。

お勧めポイントを逆説的に言えば、この本を読むには「リーダーとは何か」ということが理解されていることが、この本をよりよく利用できる前提条件となります。そこでお勧めしたいのは何度も書いていますが

チームリーダーの教科書―図解 フジマキ流 アツイチームをつくる/藤巻 幸夫
¥1,470
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この本です。実に平易に、しかし「リーダーとはなにか」ということは漏らすことなく書かれている本だと思います。

実は、この「チームリーダーの教科書」の各章に対し、どのようなプラクティスを実行するのがよいか、ということを「チームビルディング」の各章とマッピングしてみたいと思っていました。言い訳になって恐縮なのですが、ちょっと時間がなくてそこまでできませんでした。

しかし、もしこれらの本を活用して、「一皮剥けたリーダー」になりたいと思った方は、「チームリーダーの教科書」に限らず、自分がリーダーとして行うべきと思う振る舞いのWhyやWhatを列挙し、それにはどのHowを用いてみようか、ということを書き出してみるのもいいかもしれません。

最初はこのマッピングをマトリクス形式にしようかと考えていましたが、今この記事を書きながら、どうもその形式がわたしの手を動かさなかったように思います。
そんなときはマインドマップなど、ラフなツールで自分なりのリーダー像を吐き出して、そこにプラクティスをあてはめてみるという、簡単な見える化などから始めてみてはいかがでしょうか。

2009-03-27 12:57:39

ソフトウェア職人気質

テーマ:本の紹介
必要に迫られて読んだ本なのですが、今のわたしには非常に読みやすく、納得感の多い本でした。

ソフトウェア職人気質―人を育て、システム開発を成功へと導くための重要キーワード (Professional Computing Series)/ピート マクブリーン
¥2,415
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このタイトルといい表紙といい、何となく和テイストを感じますね。

2002年に発売された本ですが、当時からこれだけ「ソフトウェア開発には人間の要素が重要だ」と訴えられているのに、今でもソフトウェア工学至上主義の人が多いのは、ちょっと不思議なことですね。

今、わたしが抱えている問題は「アジャイルの開発手法しか知らないエンジニアの“当たり前”教育」です。

アジャイル開発では、どんな開発手法でも必要な要求の定義や見積、計画などを行ってはいますが、特にウォーターフォール型に見られる「何でもかんでもドキュメントにする」ということはしません。ドキュメント化しないと内容が共有できないような、大きなスコープをいつも抱えていないからです。

だから、ドキュメント化していないだけで、きちんとやっていることが多いアジャイル開発では、この「見えていない知識・技術」を伝えていなかったことがとても多いと感じています。
では、この「見えてない知識・技術」をどうやって若い人に学んでもらえばいいのだろうか?それが目下の悩みというわけです。

この本を手にしたのは、別の理由からだったのですが、「優れたエンジニアに弟子をつける」という方法を通して、ソフトウェア開発を実践する中で「伝えていく」ということの筋道を獲た気がします。
特に本の後半では、「ソフトウェア職人にはどうやってなっていくのか」ということを「アプレンティス」「ジャーニーマン」という段階を経て、自らの力で職人になる過程を説明しています。そのまま、というわけにはいかないと思いますが、この考え方は日本が古くから続けている「徒弟制度」的なOJTにとても近く、実践しやすい考え方だと感じました。

この本を読んで、ソフトウェア開発をする上で必要な「チーム」というものの像を改めて考えさせられるきっかけになりました。エンジニアとしての「リスペクト」により繋がっているチームは、きっと本当に強いチームなのだと。
2009-03-16 11:18:39

プロセス改善ナビゲーションガイド 虎の巻編-改善のゴールに一歩近づくために

テーマ:本の紹介
ここに書くのをすっかり忘れていました。

プロセス改善ナビゲーションガイド 虎の巻編―改善のゴールに一歩近づくために (SEC BOOKS)
¥1,500
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わたしも執筆者として参加させていただいた、初めてのSEC BOOKです。当初予定よりもずいぶんと発刊が遅れましたが、ようやく出ました。
プロセス改善を効果的に進めるために、改善そのもののプロセスや問題点の考え方、そして勘所をわかりやすく紹介している本です。

「おわりに」というあとがきはわたしが書いたものです。
そこにも書いたとおり「本のとおり真似ても改善は成功しない」というのが、本書の重要なメッセージです。ちょっと矛盾してるように聞こえますが、本はあくまで「ガイド」であって、自分たちの組織・チームがどう変わりたいか、ということが踏まえられていない改善は、どんなすばらしい書籍を参考にしても、成功するはずはありません。まあ、成功が定義されていないということなのですから、当たり前ですね。

しかしながら、自分たちのゴールをきちんと見据えて、改善を進めていこうと考えている方にこの本は多くのヒントを与えてくれると思います。ぜひご一読ください。

明日はこの本を解説するセミナーが開催されます。わたしが講師を務めることになっていますが、さてうまくできますやら。
2008-06-25 23:17:05

ドキュメントハックス-書かない技術

テーマ:本の紹介
ドキュメントハックス-書かない技術 ~ムダな文書を作り方からカイゼンする~ [マイコミ新書] (マイコミ新書)/石黒 由紀
¥819
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※ちょっと、町内会の臭いがします。第6章あたり。


フレームワークアプローチのプロセス改善には、文書作成はつきものです。改善活動の当初は、ほとんど文書作成といってもいいかもしれません。

標準を文書化し、同じプロセスを実施すれば誰もが一定の品質でソフトウェアが作れる、ということが一般的に目指されている方法なので、文書はとても重要なアイテムです。(それが正しいアプローチかどうかは別として...。)


この本には、価値ある文書を作成するためには、文書の目的や作成方法などを計画するということから、文書の品質ということをどう確立するか。そしてその品質を保つために、どのような運用をするべきかということが書かれています。今まで、文章術のような書籍は多く出ていましたが、文書の品質確保に関することはあまり語られていなかったように思います。


プロセス改善で必要とする文書は「標準化」という目的があるため、読み手が多数であることが一般的です。しかし、この本にも書かれてあるのですが、全ての読み手が満足できる文書を作成するということは、不可能に近いことです。だからこそ、文書の品質を特定し、全体として70点ぐらいの文書を目指す。このあたりは、標準を記した文書として「妥当な価値を提供する」ということに、とても寄与する考え方だと思います。

文書をたくさん扱う、ISO9000やCMMIに携わる人たちには、おススメの一冊です。


また、わたしが感じたのは、これはぜひ「読み手」の方々にも読んでもらいたいということ。

文書というのは書き手の数に比べて、読み手のほうが圧倒的に多いものです。その全ての人が100%満足できる文書は作れない、ということを読み手に理解してもらうことで、文書を介したコミュニケーションがより高い共感の中で進められるのではないかと考えます。


ただ少々残念だったのは「書かない技術」ということについて、この本が表現したかったことと、読み手であるわたしが期待していたことが、少々違っていたこと。「書かない」とは、「ムダなものを作らない」ということのようです。それはそれで大切なことですね。

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