2009-06-29 15:28:48

組込みライフ 知識ゼロから一人前になるためのすべて

テーマ:今日の出来事
いやー、サブタイトル大げさすぎじゃないですか?
今朝、わたしが特集の一部を執筆させていただいたムック本の見本誌が届きました。
組込みライフ 知識ゼロから一人前になるためのすべて/組込みプレス編集部
¥1,869
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表紙の一番下に「技術力・価値力・人間力」ってのがあると思いますが、そのうちの「人間力」を担当させていただきました。

「技術者としての人間力」では、学ぶことの大切さとかチームの意味など。「社会人としての人間力」では、モラルやルールを守ることの意味、仕事やストレスに向かう姿勢などについて、書いてみました。

お話をいただいてから発売まで、1年以上かかっている技術評論社さま渾身の一冊です。(?)
ぜひご一読ください。

2009-06-25 13:27:11

ダイアローグ 対話する組織

テーマ:本の紹介
大学の恩師の著書を紹介します。

ダイアローグ 対話する組織/中原 淳
¥1,680
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東大の中原先生と、恩師である産能大の長岡先生が書かれました。
企業において対話型コミュニケーションがどのような役割を持っていて、大人の学びに対してどのような影響を与えるものかということが、アカデミックなアプローチと、フィールドワークによる企業研究をおりまぜて説明されています。
企業で社員の教育に関して悩みを持っている方には、対話を通して学ぶという場がないことに気づかされるのではないでしょうか。

書かれている内容は、社会人としてある程度の年数を経て、技術や知識の問題とはいまひとつ違うことを乗り越えてきた人には、必ず思い当たる節のあることばかりです。しかし、それらを「人生経験」のような言葉でラップしてしまい、自分の「腹に落ちる」知識として形づくれていないことも多いはず。そのような方には、アカデミックな理論によりコミュニケーションの場面で見られる問題点を解説してもらえることで「そうか、自分のあの経験はこういう意味を持っていたのか」という感覚を得ることができると思います。

わたしがこの本を読み始めて、「なるほど!」と思ったのは「緊密なコミュニケーション=よい職場、という幻想」です。社会人でなくとも、誰もが一度は感じたことがあるのではないでしょうか。日常的にとても親しい友人と、仕事上の意見の違いを率直に言えないケースなど。仕事に対する価値よりも、人間関係に比重を置いてしまうのは、感情で動く動物であるから仕方のないことではあるのですが。

教育学と社会行動学のアカデミアの先生が、企業での学びを語ることに抵抗を感じる方もいると思います。しかし、この第三者的な観点からの意見や知識というのは、ときに実践者たちの鏡となって、自分たちの姿を映し出して気づかせてくれることも多いはずです。

文章は決して難しいものではありません。読んで損はない一冊です。
2009-06-16 10:07:22

人材開発マネジメントブック-学習が企業を強くする

テーマ:本の紹介
プロセス改善の効果として、わたしは「人の成長」が最大なのではないかと思っています。
日常の現場改善で積んだ多くの経験を、アセスメントの場で再確認し形式知化する、というプロセスを構築する仕組みとしてのプロセス改善に価値を感じるので。

そのような考え方から、人材教育の様々な知識はプロセス改善の推進に役立つと思います。そこでこの本をご紹介します。

人材開発マネジメントブック―学習が企業を強くする/福澤 英弘
¥2,730
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企業で人材教育を主たる業務にしている方向けに書かれている本ですが、部下の能力開発に問題意識を持つマネージャー層にもお勧めだと思います。
人材開発をひとつの「プロジェクト」として捕らえ、目標設定や計画作成の重要性を解説し、また具体的にどのようなプラクティスが必要か、などの実践的な記述も多い内容です。この通りに実践するれば必ず人が育つ、というものではありませんが、単なる知識ベースの教育必要論から一歩踏み込んで書かれています。

前半は企業の人材教育実践のプロセスを解説していて、後半はそのプラクティスを掘り下げて解説している内容です。例えば、集合研修においてどうやって上司の理解を獲得するか、計画に際しどのような項目があるか、外部委託企業や講師の選定はどうするか、など。

講師の4タイプについての解説は、特に勉強になりました。研修講師は「先生」「研究者」「ファシリテーター」「コーチ」の4種類に分類され、研修の目的によって講師のタイプを変える必要がある。プロセス改善におけるアセッサーの役割や、改善推進担当者の役割などに置き換えると、とても参考になるのではないでしょうか。
2009-06-01 00:50:38

長い歴史の一端で。

テーマ:ひとこと。
先日、SECから9冊の本が送られてきました。昨年度の1年間で「SEC Book」として出版されたもの全てだそうです。中にはわたしも関わった「プロセス改善ナビゲーションガイド ~虎の巻編~」もあります。

SECの委員会に参加して約2年。諸先輩方からよく「プロセス改善はまだ十分普及していない」とか「理解されていない」という言葉を聞くことがありました。わたしもそう思って、本の出版やセミナーの開催などを通して、少しでもプロセス改善を理解していただき、それぞれの現場を良くするための一助になればと思って活動してきました。

それでもやっぱり、まだ十分に理解されていないと思うことは多いです。また、自分が思うプロセス改善の重要性とは違うことを、プロセス改善の価値として考えている方もいらっしゃいます。
そんな状況をときには憤懣やるかたない思いになることもあったのですが、この頃はちょっと考え方を変えています。

最近、宮大工の西岡常一さんとそのお弟子さんの話の本を読んでいるのですが、宮大工という仕事は飛鳥時代あたりには既にあった仕事で、それを今の時代に生きている人も受け継いでいます。そんな長い歴史を受け継いで仕事をしている宮大工の人たちは、実際に自分たちができる仕事の数はそんなに多くありません。1つの建物の修復工事ですら2年とか3年などとても長く、現役の大工でいられる間に手がけることができる仕事の数は、宮大工の歴史に比べればとても少ないのです。

これをアジャイルでいうところのイテレーションで考えてみると、宮大工という1つのストーリーの中で、ある宮大工が関われるのはせいぜい1イテレーション。もしかしたらそれ以下かもしれない。

だから、宮大工の人たちは自分たちの技術を生涯かけて磨くのですが、それは自分の代で完成させるということは考えていなくて、自分が学んできた技術が次の世代に受け継がれ、そしてその時代に合わせて宮大工という仕事が「食える仕事」として残っていくことに、今は尽力されているそうです。

以前とあるセミナーでドラッガー研究をされている大学の先生が「まだまだIT業界は始まってせいぜい50年。これからもっと長い歴史の中でも産業として成長していくのですから、まだいろいろうまくいかないことがあったって当たり前ですよ。」とおっしゃっていたことを思い出しました。そう、まだITは産業として生まれたばかりと言ってもいいぐらいのものなのです。

まだIT業界にも、様々な変化があると思います。ソフトウェアがハードウェアの一部として生産されていただけの時代から、ようやくソフトウェアに価値がある、ということが普及してきた今。ビジネスだけでなく社会の重要なインフラとして認められるようになってきた今。
そしてようやく、このソフトウェアを作る人たちが「よりよく働く」ということでよいソフトができる、という考え方が生まれてきたばかり。だから、まだ普及していないことを嘆く段階には早いのかもしれない、と思うようになりました。

だからここで「普及」ということを自分の中で再定義しようと思いました。
より多くの現場にプロセス改善を理解してもらい、自分たちの仕事をよりよくしてもらいたいという気持ちは大切なのですが、たとえ幅広くなくてもいいから、自分たちのこのプロセス改善への思い入れが、次の世代にも価値のある考え方として、確実に誰かに残していければいいのではないかと。

自分たちの代で全てが叶うほど、世界を変えるって簡単なことではないと思います。でも、それを諦めることなく、そして次の世代を信じて自分の役割をしっかり果たしていけば、いつかはきっと世界は変わる。

ひと一人の人生は短いものですけど、それがまだ見ぬこれからこの業界を背負っていく人たちと繋がっていけることって、すごいと思うんですよ。それを大切にしていきたいと、今は強く思っています。

木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)/西岡 常一
¥900
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