2009-04-14 00:12:23
技術者・エンジニアの知的生産性向上
テーマ:本の紹介
技術KI計画
という考え方をご存知でしょうか?
http://www.jmac.co.jp/service/consulting/detail.php?dt=147&n=9&b=18
上記リンクによれば
技術KI計画は、頭脳集団である技術者、研究者、あるいは設計者の知的生産性の向上を実現するプログラムです。また、技術KI計画活動の過程で、チーム化とリーダーの成長により職場力が向上し、組織風土の活性化をも実現できます。
<日本能率協会ホームページより引用>
ということで、様々な現場活性化のプラクティスを通して、現場が“悪魔のサイクル”と称される現場のすさんだ現場の状況を“天使のサイクル”に変えていこう、という考え方なのだそうです。
この技術KI計画を、事例を交えて説明しているのがこの本です。
もう15年以上も前から、このような現場活性化の考え方とプラクティスは考え出されていたのですね。
プロジェクトファシリテーション (PF)をご存知の方には、この技術KI計画もよく理解できる内容だと思います。紹介されているプラクティスは違いますが、そこから得られる効果は同じものであるし、各プラクティスが踏まえるべき原則も同じものだと、すぐに気づくことと思います。プラクティスの中には、少々やり方や名前の付け方を変えただけに見えるものもあります。
また、最近では「モチベーション」というキーワードで現場活性化の必要性が語られる機会は多く、それらを読んでいる方にはわざわざそこを説明する必要はないでしょう。(もし、まだ読んでいないようでしたら、ぜひこの本を。)
なので、今回はそこの必要性を理解しているということを前提にして、この本のお勧めポイントを書きたいと思います。
<年長者にも理解しやすい言葉づかい>
前述のとおり、この考え方は1980年ごろから始まっています。そのせいかどうかはわかりませんが、あまり目新しい言葉が出てきません。特にカタカナ語は少なく感じます。あったとしても「マネジメント」など、既に古くから馴染んでいる言葉が多いです。
例えば、現場が自由に意見を出し合えるミーティングの場に「ワイガヤミーティング」という名前をつけています。この「ワイガヤ」とは「ワイワイ、ガヤガヤ」を略した言葉ですし、年長者でも知っている言葉です。そしてその言葉がすぐに「自由な雰囲気」を感じ取れるものでもあります。
また、ふりかえりの場面で使う見える化のツールとして「YWT」というものを紹介しています。これはアジャイルやPFを実践している方にはお馴染みな「KPT」と同じような使い方をするものです。
Y…やったこと W…わかったこと T…次にやること
ふりかえりのときにこの3つを挙げる、という方法です。これらが日本語の頭文字であることで、これを説明するだけで何を出せばいいか、すぐにわかります。
年長者にも理解できる言葉を使うことのメリットは、「上司が新しい取り組みに理解を示してくれない」という問題に対して、ひとつの解決方法になると思います。新しい言葉が羅列されると、どうもやることも斬新で、現在を否定されるばかりのものなのではないか、と感じることもあると思います。上司も人間ですから、そのような感覚で取り組みを評価してしまうこともあるでしょう。そこを、言葉の使い方ひとつで何とかなるんじゃないだろうか?わたしはそんなふうに思いました。
<マネジメントと一体化した考え方>
技術KI計画の基本は「見える計画」です。ここでは「かんばん」を用いてプロジェクトの計画が見えるようになっています。(この書籍では「かんばん」=「見える計画」という名前付けになっているようです。)
この「見える計画」の原則は
・一元管理
・物理的にチームメンバーに見えるようにする工夫
・随時かつ定期的に更新していく
・適度な細かさ
つまり、チームの状況が一箇所で感覚的に誰にでも理解できる、ということでしょうか。
特に最初の「一元管理」については、このチームの状況だけでなく、マネージャーが管理している計画や顧客/他部署へ提出している計画なども含めて全部見せているところです。
PFでは「PMとPF」という言葉で、そこには差があることを様々な場面で考えます。しかし、いつもたどり着くのは「どちらも大切」という価値観です。だったらいっそ、一緒にしてもいいかもと思わされました。また、チームの活動にマネージャーを巻き込む方法として、一元管理を利用するのもアリだと思います。マネージャーだって、チームから遠いところに置かれたら寂しくなるものです。
<取り組みのプロセスが説明されている>
第8章「技術者が生き生きとする運営の仕掛け」というところで、技術KI計画を適用するためのステップが説明されています。おそらくこれも「一例」なのだと思いますが、このままでも取り組めそうなレベルになっています。これに囚われてしまっては、最終的に自律した活動にならないと思いますが「今、自分たちは何をどうすればいいのかわからない」という切実な悩みを抱えている現場には、これだけ詳しく説明された手法のほうが、「まず、始めてみよう」という気持ちになれると思います。
<全体として上司が受け入れやすい内容>
ここまでで紹介したお勧めポイントの総括になりますが、言い方が悪いですが「ちょっと古臭い形式」の説明が多いと思います。出所が古いということは否めませんが、それがかえって「誰にでも受け入れやすい」内容を作っているように思います。問題を抱えているチームがあったとき、それを何とか解消したいと思っているのは、チームの当事者だけでなく、周りのステークホルダーと言われる人たちも同様です。少しでも多くの関係する人たちが理解してくれる取り組みのほうが、理解者が少ないよりも成功する可能性は高くなると思います。そのためにも「受け入れやすさ」というのは大切なことではないでしょうか。
<今まで知らなかったPFのプラクティス例として>
最初に書きましたが、考え方の基本はPFと変わらないとわたしは思っています。なので、ここで紹介されているプラクティスをPFの取り組みとして含めることは、まったく遜色ないかと。また、少々面倒かもしれませんが、マネージャー層も巻き込む「見える計画」などを理解し、試してみることで、PFとは違うものの見方を感じることもできるのではないでしょうか。
上記が、わたしの考えた本書のお勧めポイントです。
まあ、ちょっと日能さんのまわしもの的に濃く説明してみましたが、内容はそんなに固いものではありません。かつて日本の現場を明るいものにした「QC活動」の匂いも、どことなく残っているかもしれません。そういうものからこそ、学ぶべきものがあったりする、かも。
http://www.jmac.co.jp/service/consulting/detail.php?dt=147&n=9&b=18
上記リンクによれば
技術KI計画は、頭脳集団である技術者、研究者、あるいは設計者の知的生産性の向上を実現するプログラムです。また、技術KI計画活動の過程で、チーム化とリーダーの成長により職場力が向上し、組織風土の活性化をも実現できます。
<日本能率協会ホームページより引用>
ということで、様々な現場活性化のプラクティスを通して、現場が“悪魔のサイクル”と称される現場のすさんだ現場の状況を“天使のサイクル”に変えていこう、という考え方なのだそうです。
この技術KI計画を、事例を交えて説明しているのがこの本です。
- 技術者・エンジニアの知的生産性向上/日本能率協会コンサルティング
- ¥2,835
- Amazon.co.jp
もう15年以上も前から、このような現場活性化の考え方とプラクティスは考え出されていたのですね。
プロジェクトファシリテーション (PF)をご存知の方には、この技術KI計画もよく理解できる内容だと思います。紹介されているプラクティスは違いますが、そこから得られる効果は同じものであるし、各プラクティスが踏まえるべき原則も同じものだと、すぐに気づくことと思います。プラクティスの中には、少々やり方や名前の付け方を変えただけに見えるものもあります。
また、最近では「モチベーション」というキーワードで現場活性化の必要性が語られる機会は多く、それらを読んでいる方にはわざわざそこを説明する必要はないでしょう。(もし、まだ読んでいないようでしたら、ぜひこの本を。)
なので、今回はそこの必要性を理解しているということを前提にして、この本のお勧めポイントを書きたいと思います。
<年長者にも理解しやすい言葉づかい>
前述のとおり、この考え方は1980年ごろから始まっています。そのせいかどうかはわかりませんが、あまり目新しい言葉が出てきません。特にカタカナ語は少なく感じます。あったとしても「マネジメント」など、既に古くから馴染んでいる言葉が多いです。
例えば、現場が自由に意見を出し合えるミーティングの場に「ワイガヤミーティング」という名前をつけています。この「ワイガヤ」とは「ワイワイ、ガヤガヤ」を略した言葉ですし、年長者でも知っている言葉です。そしてその言葉がすぐに「自由な雰囲気」を感じ取れるものでもあります。
また、ふりかえりの場面で使う見える化のツールとして「YWT」というものを紹介しています。これはアジャイルやPFを実践している方にはお馴染みな「KPT」と同じような使い方をするものです。
Y…やったこと W…わかったこと T…次にやること
ふりかえりのときにこの3つを挙げる、という方法です。これらが日本語の頭文字であることで、これを説明するだけで何を出せばいいか、すぐにわかります。
年長者にも理解できる言葉を使うことのメリットは、「上司が新しい取り組みに理解を示してくれない」という問題に対して、ひとつの解決方法になると思います。新しい言葉が羅列されると、どうもやることも斬新で、現在を否定されるばかりのものなのではないか、と感じることもあると思います。上司も人間ですから、そのような感覚で取り組みを評価してしまうこともあるでしょう。そこを、言葉の使い方ひとつで何とかなるんじゃないだろうか?わたしはそんなふうに思いました。
<マネジメントと一体化した考え方>
技術KI計画の基本は「見える計画」です。ここでは「かんばん」を用いてプロジェクトの計画が見えるようになっています。(この書籍では「かんばん」=「見える計画」という名前付けになっているようです。)
この「見える計画」の原則は
・一元管理
・物理的にチームメンバーに見えるようにする工夫
・随時かつ定期的に更新していく
・適度な細かさ
つまり、チームの状況が一箇所で感覚的に誰にでも理解できる、ということでしょうか。
特に最初の「一元管理」については、このチームの状況だけでなく、マネージャーが管理している計画や顧客/他部署へ提出している計画なども含めて全部見せているところです。
PFでは「PMとPF」という言葉で、そこには差があることを様々な場面で考えます。しかし、いつもたどり着くのは「どちらも大切」という価値観です。だったらいっそ、一緒にしてもいいかもと思わされました。また、チームの活動にマネージャーを巻き込む方法として、一元管理を利用するのもアリだと思います。マネージャーだって、チームから遠いところに置かれたら寂しくなるものです。
<取り組みのプロセスが説明されている>
第8章「技術者が生き生きとする運営の仕掛け」というところで、技術KI計画を適用するためのステップが説明されています。おそらくこれも「一例」なのだと思いますが、このままでも取り組めそうなレベルになっています。これに囚われてしまっては、最終的に自律した活動にならないと思いますが「今、自分たちは何をどうすればいいのかわからない」という切実な悩みを抱えている現場には、これだけ詳しく説明された手法のほうが、「まず、始めてみよう」という気持ちになれると思います。
<全体として上司が受け入れやすい内容>
ここまでで紹介したお勧めポイントの総括になりますが、言い方が悪いですが「ちょっと古臭い形式」の説明が多いと思います。出所が古いということは否めませんが、それがかえって「誰にでも受け入れやすい」内容を作っているように思います。問題を抱えているチームがあったとき、それを何とか解消したいと思っているのは、チームの当事者だけでなく、周りのステークホルダーと言われる人たちも同様です。少しでも多くの関係する人たちが理解してくれる取り組みのほうが、理解者が少ないよりも成功する可能性は高くなると思います。そのためにも「受け入れやすさ」というのは大切なことではないでしょうか。
<今まで知らなかったPFのプラクティス例として>
最初に書きましたが、考え方の基本はPFと変わらないとわたしは思っています。なので、ここで紹介されているプラクティスをPFの取り組みとして含めることは、まったく遜色ないかと。また、少々面倒かもしれませんが、マネージャー層も巻き込む「見える計画」などを理解し、試してみることで、PFとは違うものの見方を感じることもできるのではないでしょうか。
上記が、わたしの考えた本書のお勧めポイントです。
まあ、ちょっと日能さんのまわしもの的に濃く説明してみましたが、内容はそんなに固いものではありません。かつて日本の現場を明るいものにした「QC活動」の匂いも、どことなく残っているかもしれません。そういうものからこそ、学ぶべきものがあったりする、かも。







