予感 3
それに対して、破魔は眼鏡を輝かせました。
「嘘ではありません!」
わずかな間を置き、彼女が発言します。
「サンタとは夢と希望の塊。
一人しか……と言うのは物理的に不可能だと思いませんか?
しかし、サンタは人間を媒体として無数に存在することが可能です。
これなら、理論は通ります」
「反論を申し出ます!」
バンッ、
破魔の理論に対し、詩織が再びテーブルを叩いて叫びました。
いつの間にか彼女たちの側面に結が座り、うなずきます。
「では、検察側の意見をどうぞ」
「(検察側!? どこの裁判だよ!?)」
別の意味でリアルな光景でした。
実際に目の前で行われているのですから、リアルと言う以外にはありません。
すると、詩織が発言します。
「一昨日の夜、私はあなたの姿を見ていません。
更に、家の鍵は全てチェックしています。
いくらあなたでも、兄さんの部屋に入ることは不可能です。
よって、犯行の立証は不可能でしょう」
「(検察側に不向きな発言!?)」
雰囲気では、検察側といわれても仕方ありません。
しかし、発言は弁護側ともいえるでしょう。
そう考えていると、破魔が眼鏡を輝かせました。
「甘いですね!」
ブオォ、
彼女が手をかざし、妙な風圧が詩織に襲い掛かります。
その風圧は詩織の前髪を真上に浮かせ、一瞬だけ額を広く見せました。
そして、結が落ち着いて破魔に視線を送ります。
「それでは、被告人。反証をどうぞ」
「(弁護側じゃなかった!)」
結の言葉に、破魔が発言しました。
「ここに草薙宅の間取り図があります。
裁判長、受理をお願いします。」
「(裁判長!? ってか、こいつ……何ゆえ僕の家の間取り図を!?)」
気付けば、僕の家の間取り図がコタツの上に提出されています。
同時に、結がうなずきました。
「受理したのでござります。
ところで、先ほどから弁護側の意見がないのでござりますな。
何か言う事はありませんか? 兄上」
「(僕が弁護人だったの!?) え、えっと……破魔は犯行に及んでいました―――確か、僕のクローゼットに彼女の服が残っていると思います」
僕が致命的なことを言うと、詩織が「つまらないわ!」と横から口を挟みます。
〔つづく〕
登場人物
草薙 香 主人公
大根 真央 香の従兄弟、両親は他界 小等部三年
草薙 詩織 香の妹 双子の姉 厳格で気丈 中等部 二年
草薙 結 香の妹 双子の妹 のん気で明るい中等部二年
真田 刃(剣) 香の親友(ある事情で、兄を演じる香の彼女)
宮司 破魔 眼鏡の学級委員長
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